JP2002167284A - 接合体及びその製造方法 - Google Patents

接合体及びその製造方法

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JP2002167284A JP2000361761A JP2000361761A JP2002167284A JP 2002167284 A JP2002167284 A JP 2002167284A JP 2000361761 A JP2000361761 A JP 2000361761A JP 2000361761 A JP2000361761 A JP 2000361761A JP 2002167284 A JP2002167284 A JP 2002167284A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】実用に耐えうる強度を有するコージェライト接
合体とその製造方法を提供する。 【解決手段】コージェライト質焼結体からなる複数の部
材を、接合部を介して一体化せしめてなる接合体におい
て、前記接合部が周期律表第3族元素から選ばれた少な
くとも1種の元素を含むことを特徴とし、特に接合部が
コージェライトを含むことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接合体及びその製
造方法に関し、特に、温度変化による低膨張性が要求さ
れる精密機器用部材等に適し、複雑形状の構造部材とし
て好適に用いられる接合体及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】コージェライト質焼結体は熱膨張率が小さ
く、軽量であるため、精密な加工プロセス又は製造プロ
セスにおいて用いられている。例えば、特公平6−97
675号公報には、精密加工装置への応用が記されてい
る。また、一方では、種々の形状への適用に当たり、複
雑形状の部材を作製する上で、セラミックス同士を接合
することが求められている。
【0003】一方、コージェライト質焼結体の接合は、
従来からコージェライトにガラス成分を加えたものが接
着剤として接合部に用いられていた。例えば、特開平2
000−72559号公報では、粒径10〜50μmの
コージェライト25重量部以上と、粒径0.1〜1μm
のシリカ粉末6〜17重量部と、残部が75μm未満で
大部分がコージェライト質粒子である粉末からなる混合
物100重量部に対してシリカゾルをシリカ成分に換算
して4〜10重量部混合した接合用組成物を用いてい
る。そして、1000℃で固化し、接合体を形成してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、成形体
を焼成して製品を形成する特公平6−97675号公報
に記載の精密加工装置用部材は、全体が一体として形成
されるため強度が高い利点があるものの、部材が複雑形
状である場合、単純形状の成形体を加工して目的の形状
を得る必要があり、その結果、加工粉として廃棄される
量が多く、原料費が高騰し、また産業廃棄物が増加する
という問題があった。
【0005】また、コージェライトの接合方法において
は、特開平2000−72559号公報に記載の方法
は、被接合体と接合部との熱膨張率に起因する残留応力
を低減するためにコージェライトを主体とする接合用組
成物を用いているものの、接合強度はガラス成分の接着
力に依存するため、十分な接合強度が得られないという
問題があった。
【0006】従って、本発明は、低コストで実用に耐え
うる強度を有するコージェライト質焼結体及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、コージェライ
ト質焼結体同士の接合に関し、接合部の組成を特定して
加熱処理を行うことにより液相を介して物質を移動せし
め、接合強度を高めることができるという知見に基づく
ものであり、その結果、コージェライト質焼結体からな
る製品のコスト削減が図れる。
【0008】すなわち、コージェライト質焼結体からな
る複数の部材を、接合部を介して一体化せしめてなる接
合体において、前記接合部が周期律表第3族元素から選
ばれた少なくとも1種の元素を含むことを特徴とするも
のである。
【0009】本発明によれば、接合部に周期律表第3族
元素から選ばれた少なくとも1種の元素が存在し、加熱
処理中に液相を形成するため、前記周期律表第3族元素
の少なくとも1種が、実質的にコージェライト質焼結体
に拡散し、密着強度の高い接合部を形成できる。
【0010】特に、前記接合部がコージェライトを含む
ことが好ましい。これにより、周期律表第3族元素の拡
散による接合強度向上に加えて、前記液相によりコージ
ェライト粒子同士の焼結が助長され、接合強度の高い接
合体を得ることができる。
【0011】また、前記接合部に含まれる周期律表第3
族元素から選ばれた少なくとも1種の元素が、前記部材
に含まれることが好ましい。特に、前記周期律表第3族
元素から選ばれた少なくとも1種の元素の接合部全量中
における前記元素の含有量が、前記部材全量中における
前記元素の含有量に対して1〜3倍であることが好まし
い。これにより、接合部から、コージェライト質焼結体
からなる部材内部に対し、前記周期律表第3族元素が拡
散して接合強度をより高くすることができる。
【0012】さらに、前記周期律表第3族元素から選ば
れた少なくとも1種の元素の少なくとも一部が酸化物結
晶として存在することが好ましい。前記周期律表第3族
元素は、コージェライト質焼結体からなる複数の部材の
粒界に拡散するため、結晶化することにより接合強度を
さらに高めることが可能である。
【0013】さらにまた、前記部材中に、前記周期律表
第3族元素から選ばれた少なくとも1種が、酸化物換算
で1〜20重量%含まれることが好ましい。これによ
り、緻密で接合強度の高い接合体が得られる。
【0014】さらにまた、前記接合部が、前記周期律表
第3族元素から選ばれた少なくとも1種を1〜20重量
%、コージェライトを80〜99重量%含有することが
好ましい。これにより、コージェライト質焼結体と接合
部との熱膨張率差を小さくすることができると共に、部
材間又は部材と接合部間においてコージェライト粒子の
焼結も進行し、その結果、残留応力が低下し、接合の信
頼性を高めることができる。
【0015】なお、接合部の厚みが100μm以下であ
ることが好ましく、接合部のコージェライト結晶の平均
粒子径が5μm以下であることが好ましい。接合部の厚
みや接合部のコージェライトの平均粒子径は、接合強度
を高める効果があり、上記の範囲に設定することによっ
て、接合強度をさらに高めることができる。
【0016】また、本発明の接合体の製造方法は、周期
律表第3族元素から選ばれた少なくとも1種の酸化物を
含む接合用粉末に対して、有機バインダを加えて調製し
たペーストを、コージェライト質焼結体からなる複数の
部材の接合面のうち、少なくとも一方の表面に塗布した
後、前記部材の接合面同士を接触させ、1100〜15
00℃の温度で熱処理することを特徴とするもので、こ
れにより、低コストで接合強度の高いコージェライト接
合体を製造することができるとともに、複雑形状にも対
応できる。
【0017】特に、前記接合用粉末が、周期律表第3族
元素から選ばれた少なくとも1種の化合物が1〜20重
量%と、コージェライト粉末80〜99重量%の割合か
らなる混合物であることが好ましく、これによって残留
応力の小さな接合体を得ることができる。
【0018】また、前記熱処理において、接合面の少な
くとも一部に0.1MPa以上の圧力を加えたことが好
ましい。これにより、さらなる接合部の緻密化を実現で
きる。
【0019】さらに、周期律表第3族元素からなる酸化
物粉末の平均粒子径が5μm以下であることが好まし
い。これにより、緻密な接合部が得られ、高い接合強度
が得られる。
【0020】さらにまた、前記コージェライト質焼結体
の接合面の表面粗さが、接合用粉末の平均粒子径以下の
値であることが好ましい。これにより、接合部に充填さ
れた粉末が接合面に余すところ無く充填され、加熱処理
により接合部が緻密化されやすくなる。
【0021】したがって、本発明では、製品コストを削
減し、実用に供する接合強度を有する接合体およびその
製造方法を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の接合体は、コージェライ
ト質焼結体からなる複数の部材の接合部に周期律表第3
族元素から選ばれた少なくとも1種を含むことが重要で
ある。この元素は、コージェライトの粒界相として周期
律表第3族元素及び/又はその化合物が両部材中に拡散
し、強固な結合相を形成し、高い接合強度を実現する。
【0023】なお、複数の部材とは、いずれもコージェ
ライト焼結体からなり、2個以上の部材を意味し、特に
制限はない。
【0024】また、コージェライト質焼結体とは、焼結
体中の50重量%以上がコージェライトであるものであ
れば差し支えないが、特に80重量%以上、さらには9
0重量%以上がコージェライト結晶であることが、耐熱
性や低熱膨張性の点で好ましい。なお、上記焼結体中に
は、焼結助剤及び添加物を含むことができる。
【0025】また、周期律表第3族元素とは、Sc、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu等が
挙げられ、これらの中でも容易に入手できる点でY、安
価な点でCe及びSm、易焼結性の点でYb及びLu、
着色性の点でEr及びNdが好適である。
【0026】本発明では、コージェライト質焼結体から
なる複数の部材を、接合部を介して一体化せしめてなる
接合体において、前記接合部がさらにコージェライトを
含むことが好ましい。
【0027】この場合、接合部にコージェライトを含有
するため、周期律表第3族元素の拡散による強度向上に
加えて、部材中のコージェライト粒子と接合部のコージ
ェライト粒子の結合が、接合体の接合強度を更に高いも
のにすることができる。また、部材と接合部との熱膨張
率差により発生する応力を低減し、強度低下を防止する
ことができる。
【0028】さらに、接合部に含まれる周期律表第3族
元素から選ばれた少なくとも1種が、部材に含まれてい
ると、接合部から部材への広い範囲にわたって粒界相が
発達したことと類似であるため、接合強度を高める働き
がある。
【0029】特に、周期律表第3族元素から選ばれた少
なくとも1種の元素をXとし、結合部におけるXの含有
量が酸化物換算でYj、部材におけるXの含有量が酸化
物換算でYsとするとき、1≦X≦3、特に1.2≦X
≦2.5、さらに1.5≦X≦2であることが好まし
い。これは、接合性を高めつつ、接合部と部材との組成
の変化を小さくし、上記の範囲に設定することにより、
接合部に蓄積される残留応力を小さくし、クラックの発
生を抑制するためである。
【0030】周期律表第3族元素から選ばれた少なくと
も1種は、酸化物、窒化物、炭化物又は硼化物等の化合
物であればよいが、特に酸化物であることが好ましい。
この酸化物は、周期律表第3族元素の単一酸化物、2種
以上の周期律表3族元素の複合酸化物、又はAl23
SiO2、MgOのうち少なくとも1種と周期律表第3
族元素との複合酸化物等が挙げられる。例えば、周期律
表第3族元素がYbの場合、Yb23、Yb23・Sm
23、YbAlO3、Yb23・SiO2、ダイシリケー
ト(Yb23・2SiO2)等が例示できる。さらに、
この酸化物は非晶質であっても、結晶質であってもかま
わないが、特に少なくとも一部が結晶質であることが高
接合強度の観点で好ましい。
【0031】本発明の部材を構成するコージェライト質
焼結体は、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも
1種の化合物を1〜20重量%、特に2〜15重量%、
さらには3〜10重量%含むことが好ましく、更に、残
部がコージェライトであることが、緻密性が高く、高強
度が得られる点で望ましい。
【0032】そして、接合部が、周期律表第3族元素か
ら選ばれた少なくとも1種の化合物を1〜20重量%、
コージェライトを80〜99重量%含有することをが好
ましい。この組成範囲にあれば、周期律表第3族元素が
十分に拡散し、コージェライトの物質移動が起こり、強
固な接合を実現していることを示している。
【0033】また、接合部の厚みは100μm以下、特
に、20〜90μm、さらには、40〜80μmであるこ
とが望ましい。接合部の厚みを小さくすると破壊源とな
るボイドや他の欠陥の存在確率が小さくなるとともに、
部材間のコージェライト結晶の結合が増加し、その結果
高い接合強度が得られる傾向がある。
【0034】さらに接合部のコージェライト結晶の平均
粒子径が5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であ
ることが好ましい。これは粒径が小さいことにより粒子
の表面エネルギーが大きくなって拡散しやすいため、接
合部は緻密体となりやすく、高い接合強度を得ることが
できる。
【0035】次に、本発明の接合体を製造する方法につ
いて説明する。
【0036】まず、平均粒径が0.1〜5μm、特に
0.5〜1.5μmでかつ過剰のAl、Mg及びSiの
少ないコージェライト粉末と平均粒子径が5μm以下の
焼結助剤を準備する。特に、周期律表第3族元素から選
ばれた少なくとも1種の酸化物粉末であることが好まし
い。
【0037】そして、コージェライト粉末に、焼結助
剤、特に周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1
種の酸化物を1〜20重量%、好ましくは2〜15重量
%、さらは3〜10重量%の範囲に調製し、残部をコー
ジェライトにすることが好ましい。
【0038】これらは、焼成時にコージェライトの成分
と反応し、液相を生成することから焼結性を高める作用
が発揮され、低温焼成化とともに、焼成可能温度領域を
±25℃程度まで拡げることができ、量産性を高めるこ
とが可能となる。なお、コージェライト粉末の少なくと
も一部をMgOと、Al23とSiO2とを2:2:5
の割合で混合した混合物として用いても良い。
【0039】この範囲で調合した原料粉末に対して、エ
タノールやイソプロピルアルコール等の有機溶剤及びバ
インダを加えたあと、公知の粉砕方法、例えばボールミ
ル、振動ミル、回転ミル、バレルミル等により原料粉末
を均一に混合粉砕したものを、一軸加圧成形法や等加圧
成形法、あるいは鋳込み成形法、押出成形法、射出成形
法、冷間静水圧プレス等の公知のセラミック成形手段に
て所望の形状に形成した成形体を製作する。この時、必
要に応じて成形体に切削加工を施して良い。
【0040】次に、得られた成形体を、非酸化雰囲気中
にて1100〜1500℃、特に1200〜1475
℃、さらには1300〜1450℃の温度で焼成する。
この時の雰囲気は大気中でも、窒素やアルゴン等の不活
性ガス中でもかまわない。また、ガスの圧力は、大気圧
であっても加圧下であってもよい。
【0041】なお、焼成はこの方法以外にも、大気中、
又はアルゴンや窒素などの非酸化性雰囲気中において、
非加圧焼成法、ホットプレス法、熱間静水圧焼成法(H
IP)などが採用でき、1100〜1500℃の温度で
焼成して相対密度95%以上の緻密体を得ることができ
る。
【0042】得られた焼結体を部材として使用するが、
この焼結体の相対密度は95〜99.5%、特に96〜
99%、さらには97〜98.5%であることが周期律
表第3族元素の拡散を助長するために好ましい。
【0043】次に、接合用原料粉末として、平均粒子径
が5μm以下、特に3μm以下の周期律表第3族元素か
ら選ばれた少なくとも1種の酸化物粉末を準備する。こ
の平均粒子径が5μm以下と小さいことにより、粒子の
表面エネルギーが大きくなって拡散しやすいため、接合
部は緻密体となりやすく、高い接合強度を得ることがで
きる。
【0044】また、所望により、上記接合用粉末にコー
ジェライト粉末を加えることができる。この粉末は、平
均粒径が0.1〜5μm、特に0.5〜1.5μmでか
つ過剰のAl、Mg及びSiの少ないものを用いること
が良い。また、コージェライト粉末の少なくとも一部を
MgOと、Al23とSiO2とを2:2:5の割合で
混合した混合物として用いても良い。
【0045】そして、接合用粉末にコージェライトを含
む場合、周期律表第3族元素から選ばれた少なくとも1
種の酸化物を1〜20重量%、好ましくは2〜15重量
%、さらは3〜10重量%の範囲に調製し、残部をコー
ジェライトにすることが好ましい。この組成範囲に調製
することにより、接合部の緻密化が容易となり、また、
部材との整合性が良好となって、部材から接合部にわた
って比較的均質な接合体を実現できる。また、接合部の
熱膨張係数差により発生する応力が低減され、その結果
接合強度をさらに高めることができる。
【0046】この組成によってコージェライト質焼結体
からなる部材の接合面に存在する空隙を上記接合用粉末
で充填することができ、周期律表第3族元素のみからな
る接合用粉末の場合に対して、更に接合部を部材組成に
近づけ、接合部における周期律表第3族元素の偏析によ
る大きな粒子の形成を減らし、接合強度をより高くする
ことができる。
【0047】これは、焼成時にコージェライトの成分と
反応し、液相を生成することから焼結性を高める作用が
発揮され、低温焼成化とともに、焼成可能温度領域を±
25℃程度まで拡げることができ、量産性を高めること
が可能となる。
【0048】次に、周期律表第3族元素から選ばれた少
なくとも1種の酸化物を含む接合用粉末に対して、有機
バインダを加えて混合し、ペーストを作製する。このペ
ーストは粘度の高いものが取扱いの点で好ましい。
【0049】また、上記の接合用混合粉末100重量部
に対し、アクリル樹脂等の有機バインダを10〜60重
量部、特に20〜40重量部添加することが好ましい。
このように調製することにより、塗布に適する粘度を有
するペーストを形成でき、また接合用粉体を高い密度で
充填しやすくなり、その結果、緻密な接合部を形成し、
接合強度を高めることができる。
【0050】さらに必要に応じて可塑剤等を添加し、十
分に混合しスラリー化する。このスラリーを2つの部材
の接合面の少なくとも一方の表面に塗布した後、前記部
材接合面同士を接触させる。この時、塗布する方法とし
ては、刷毛で塗る方法、スラリー中に部材を入れてスラ
リーを接合面に付着させるディッピング法、または印刷
法を用いて塗布することができる。
【0051】そして、上記複数の部材の接合面を接触さ
せ、加熱処理を行う。加熱温度は1100〜1500
℃、特に1200〜1475℃、さらには1300〜1
450℃であることが好ましい。この温度はコージェラ
イトの焼成温度と同じ温度範囲であり、周期律表第3族
元素が液相として拡散するとともに、コージェライトの
焼結を助長し、部材間にコージェライトを介した結合を
生じせしめ、一体成形を行う場合に比べて容易に又低コ
ストで複雑な形状体を作製することが可能となる。
【0052】なお、加熱処理温度が1100℃より低い
と接合部が緻密化不足を招き、1500℃より高いとコ
ージェライトが分解して接合部材との熱膨張率の差が大
きくなり、強度低下を引き起こす。また、加熱処理時間
は、組成や焼成温度にもよるが、1〜10時間であれば
良い。
【0053】なお、熱処理は、大気中、又はアルゴンや
窒素などの非酸化性雰囲気中において、非加圧焼成法、
ホットプレス法、熱間静水圧焼成法(HIP)などが採
用できる。特に、本発明においては、熱処理の際に接合
面の少なくとも一部に0.1MPa以上、特に0.3M
Pa以上、更には0.5MPa以上、より好適には1M
Pa以上、最も好適には5MPa以上の圧力を加え、物
質移動を助長することが好ましい。これにより、接合強
度を高めることが可能である。
【0054】さらに、上記非加圧焼成法またはホットプ
レス法によって形成した接合体を、900〜1400℃
の温度、100気圧以上の圧力下で熱間静水圧焼成(H
IP)することにより、これにより低コストで高密度、
高強度のコージェライト接合体を製造することができる
と共に、緻密な接合部を形成し、接合強度を高めること
ができる。
【0055】さらにまた、接合される部材は、その接合
面の接触面積を大きくし、接合強度をより高めるため、
接合面の表面粗さRaを1μm以下、特に0.7μm、
さらには0.5μm以下、より好適には0.3μm以下
であることが好ましい。
【0056】また、得られた接合体の接合強度は100
MPa、特に150MPaが実用上の目安となる。10
0MPa未満では治具や装置構成部材等において強度不
足から使用に耐えなかったり、寿命が短いといった問題
が発生しやすい。
【0057】なお、本発明における接合体においては、
接合強度100MPa以上の特性を満足することを条件
に、上記コージェライト成分および上記金属元素の酸化
物、希土類元素化合物以外に、製造上の不可避的不純物
や、焼結性や特性向上のために他の成分を含有してもよ
い。接合部は、不純物として、Cr、Co等の元素が混
入していても接合強度に影響を与えなければなんら差し
支えない。
【0058】Cr、Co等の元素を含む焼結体は、10
0MPa以上の接合強度を有し、かつ着色されて遮光性
を有するため、遮光板や構造体として好適に使用するこ
とができる。
【0059】
【実施例】周期律表第3族元素から選ばれた化合物とし
て純度99.9%、平均粒径が1.8μmのY23
末、0.8、1.8μm、2.5μm、4.8μmのYb
23粉末、0.7μmのLu23粉末、0.6μmのEr
23粉末、0.8μmのCe23粉末、0.8μmNd2
3粉末、0.7μmのSm23粉末(いずれも信越レア
アース(株)製)及び0.8μm、2.5μm、4.3μ
mのYb23粉末を用いた。また、コージェライト粉末
として純度98%、平均粒径2.2μmのコージェライ
ト(共立マテリアル(株)製、商品名MAS225)及
び平均粒径0.6μm、1.5μm、4.2μmのコージ
ェライト粉末を用いた。
【0060】上記の周期律表第3族元素から選ばれた化
合物とコージェライトとからなる混合粉末にバインダと
してアクリル樹脂を用いた。各原料及びバインダを表1
に示す組み合わせで秤量した。これに可塑剤としてDB
P(ジブチルフタレート)を添加し、ボールミルを用い
て混合してペーストを得た。
【0061】接合に用いる部材は、5重量%のYb23
粉末と残部のコージェライト粉末とからなる成形体を常
圧焼成にて作製したコージェライト焼結体を用いた。こ
の焼結体の相対密度は95〜99%であった。このコー
ジェライトを一辺が20mmの立方体に加工して部材と
した。この部材の接合面の表面粗さは触針式表面粗さ計
で測定した。
【0062】この部材の接合面に上記のペーストを塗布
させた後、他の立方体を貼り合わせて角柱を作製し、こ
の角柱を大気中で表1に示す条件により2時間保持して
熱処理した。ペーストは刷毛を用いて接合面に塗布し
た。
【0063】なお、接合体は2個の立方体からなる部材
で構成されるが、2つの接合面の片面又は両面にペース
トを塗布した。
【0064】得られた接合体から3mm×4mm×45
mmの寸法で、接合面が長径方向の中心に位置するよう
に強度試験片を切り出し、表面を研磨した。
【0065】次に、JIS−R1601に基づき、接合
部を2つの支持点の中心に配置した4点曲げ試験により
室温で抗折強度を測定し、これを接合強度とした。この
時、接合面に最大応力が加わるように試験を行った。
【0066】なお、接合部の厚みは、走査型電子顕微鏡
(SEM)による写真を用いて測定し、10箇所の平均
値として算出した。また、接合部のコージェライト粒子
の結晶粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真
を用いて、100個のコージェライト粒子のサイズから
接合部の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。ま
た、接合部の結晶相は、透過型電子顕微鏡(TEM)に
より分析した。さらに、周期律表第3族元素の含有量
は、電子プローブマイクロアナリシス(EPMA)法に
よって測定した。
【0067】
【表1】
【0068】本発明の試料No.2〜39は、接合強度
が150MPa以上であった。
【0069】一方、周期律表第3族元素から選ばれた元
素が含まれず、本発明の範囲外のNo.1は、接合強度
が50MPaと低かった。
【0070】
【発明の効果】本発明では、コージェライト質焼結体の
間に特定の組成からなる接合部を設け、特定の熱処理に
より原料及び加工コストを低減し、接合強度を高くする
ことができる。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コージェライト質焼結体からなる複数の部
    材を、接合部を介して一体化せしめてなる接合体におい
    て、前記接合部が周期律表第3族元素から選ばれた少な
    くとも1種の元素を含むことを特徴とする接合体。
  2. 【請求項2】前記接合部がコージェライトを含むことを
    特徴とする請求項1記載の接合体。
  3. 【請求項3】前記接合部に含まれる周期律表第3族元素
    から選ばれた少なくとも1種の元素が、前記部材に含ま
    れることを特徴とする請求項1又は2記載の接合体。
  4. 【請求項4】前記周期律表第3族元素から選ばれた少な
    くとも1種の元素の接合部全量中における前記元素の含
    有量が、前記部材全量中における前記元素の含有量に対
    して1〜3倍であること請求項1乃至3のうちいずれか
    に記載の接合体。
  5. 【請求項5】前記周期律表第3族元素から選ばれた少な
    くとも1種の元素の少なくとも一部が酸化物結晶として
    存在することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれ
    かに記載の接合体。
  6. 【請求項6】前記部材中に、前記周期律表第3族元素か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素が、酸化物換算で1〜
    20重量%含まれることを特徴とする請求項1乃至5の
    うちいずれかに記載の接合体。
  7. 【請求項7】前記接合部が、前記周期律表第3族元素か
    ら選ばれた少なくとも1種を1〜20重量%、コージェ
    ライトを80〜99重量%含有することを特徴とする請
    求項1乃至6のうちいずれかに記載の接合体。
  8. 【請求項8】前記接合部の厚みが100μm以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれかに記載
    の接合体。
  9. 【請求項9】前記接合部のコージェライト結晶の平均粒
    子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至
    8のうちいずれかに記載の接合体。
  10. 【請求項10】周期律表第3族元素から選ばれた少なく
    とも1種の酸化物を含む接合用粉末に対して、有機バイ
    ンダを加えて調製したペーストを、コージェライト質焼
    結体からなる複数の部材の接合面のうち、少なくとも一
    方の表面に塗布した後、前記接合面同士を接触させ、1
    100〜1500℃の温度で熱処理することを特徴とす
    る接合体の製造方法。
  11. 【請求項11】前記接合用粉末が、周期律表第3族元素
    から選ばれた少なくとも1種の化合物が1〜20重量%
    と、コージェライト粉末80〜99重量%の割合からな
    る混合物であることを特徴とする請求項10記載の接合
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】前記熱処理において、接合面の少なくと
    も一部に0.1MPa以上の圧力を加えたことを特徴と
    する請求項10又は11記載の接合体の製造方法。
  13. 【請求項13】周期律表第3族元素からなる酸化物粉末
    の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求
    項10乃至12のうちいずれかに記載の接合体の製造方
    法。
  14. 【請求項14】前記コージェライト質焼結体の接合面の
    表面粗さが、接合用粉末の平均粒子径以下の値であるこ
    とを特徴とする請求項10乃至13のうちいずれかに記
    載の接合体の製造方法。
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