JP2002170871A - 静電チャック - Google Patents

静電チャック

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JP2002170871A
JP2002170871A JP2000368469A JP2000368469A JP2002170871A JP 2002170871 A JP2002170871 A JP 2002170871A JP 2000368469 A JP2000368469 A JP 2000368469A JP 2000368469 A JP2000368469 A JP 2000368469A JP 2002170871 A JP2002170871 A JP 2002170871A
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dielectric layer
fitting member
electrostatic chuck
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less
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JP2000368469A
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Masaki Sato
政喜 佐藤
Kazuhiko Mishima
和彦 三嶋
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸着特性を低下させることなく被吸着物の離脱
性に優れ、かつパーティクルの発生の少ない静電チャッ
クを提供する。 【解決手段】静電チャック1を構成する誘電体層2の上
面に凹部2aを形成し、この凹部2a中に導電性セラミ
ックスからなる嵌合部材7を接合し、誘電体層2の上面
と嵌合部材7の上面を被吸着物Wの設置面3とし、この
設置面3の平面度を5μm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の
被吸着物を静電気力によって吸着固定するのに使用する
静電チャックに関するものであり、例えば、半導体の製
造工程における、成膜処理、エッチング処理、露光処
理、あるいは各種処理工程間の搬送等に好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体の製造工程における、成膜
処理、エッチング処理、露光処理、あるいは各種処理工
程間の搬送等においては、被吸着物である半導体ウエハ
を保持するためにウエハチャックが使用されている。
【0003】ウエハチャックとしては、メカニカルクラ
ンプ、真空チャック、静電チャックと呼ばれるものがあ
るが、このうちメカニカルクランプは、半導体ウエハの
周縁部を金属製の押圧治具で機械的に押さえ付けて固定
するものであるため、押圧治具により押さえられている
部分より半導体素子を形成することができないため、生
産性を高めることができず、また、半導体ウエハの全面
を均一に押さえることができないため、固定した半導体
ウエハに反りや歪みなどが発生し、その加工表面が平坦
になるように精度良く固定することができないといった
課題がった。しかも、半導体ウエハの加工表面を金属製
の押圧部材で押さえるため、コンタミネーションやパー
ティクルを発生させ易く、良品を安定して製作すること
が難しく、歩留まりが悪いといった課題があった。
【0004】また、真空チャックは、半導体ウエハの設
置面に形成された多数の吸引孔より真空引きし、半導体
ウエハを設置面に真空吸引力によって強制的に吸着固定
するものであるが、被吸着物が半導体ウエハのように薄
肉のものであると、吸引孔上に位置する部分のみが窪ん
で半導体ウエハの加工表面に多数の凹凸ができ、加工表
面が平坦になるように精度良く固定することができない
といった課題があった。しかも、スパッタリング法やC
VD法(化学気相成長法:Chemical Vapor Deposition)
等の成膜装置やEB露光装置(電子ビーム:Electron Be
am)等に用いる場合、そのプロセス環境は中高真空下で
あり、このような環境下では真空吸引力を利用した真空
チャックを使用することができないといった課題があっ
た。
【0005】これに対し、静電チャックは、誘電体層を
挟んで形成された静電吸着用電極と半導体ウエハとの間
に静電気力を発生させて強制的に吸着固定するものであ
るため、誘電体層の厚みを一定とし、静電吸着用電極を
半導体ウエハとほぼ同等の大きさに形成しておけば、半
導体ウエハの全面にわたってほぼ均一な静電気力を発生
させることができるため、半導体ウエハの加工表面が平
坦になるように精度良く固定することができ、また、静
電吸着力を用いるために周囲の雰囲気に影響を受け難
く、中高真空下でも使用可能であるため、成膜処理、エ
ッチング処理、露光処理等を使用する半導体の製造工程
では静電チャックの利用が広がりつつあった。
【0006】この種の静電チャックは、図3に示すよう
に、円盤状をした誘電体層22とベース基台25、及び
上記誘電体層22とベース基台25の間に配置された静
電吸着用電極24とからなり、誘電体層22の下面には
円形パターンを有する静電吸着用電極24を備え、この
静電吸着用電極24を覆うように誘電体層22の下面に
は接着層26を介してベース基台25が接合されてお
り、上記誘電体層22の上面を、被吸着物Wを載せる設
置面23としたものであった。
【0007】そして、この静電チャック21により、被
吸着物Wを固定するには、設置面23に載せた被吸着物
Wと静電吸着用電極24との間に電圧を引加すると、被
吸着物Wと設置面23の間には静電吸着力として誘電分
極によるクーロン力が発生し、被吸着物Wを設置面23
に強制的に固定することができるようになっていた。
【0008】ただし、被吸着物Wの吸着精度は、静電チ
ャック21の設置面23における平面度の影響を受ける
ため、設置面23は極めて平坦かつ平滑に仕上げる必要
があり、また被吸着物Wの吸着時や離脱時には摺動によ
る摩耗が発生するため、設置面23には耐摩耗性が必要
である。また、被吸着物Wが半導体ウエハである場合、
金属の混入を防がなければならず、また腐食性ガス等に
曝される場合、耐食性も必要となる。
【0009】そこで、これらの問題を解消するため、静
電チャック21の誘電体層22として、アルミナ質焼結
体、チタン酸カルシウム(CaTiO3)質焼結体、チタ
ン酸バリウム(BaTiO3)質焼結体、窒化アルミニウ
ム質焼結体、あるいは単結晶サファイア等の絶縁性セラ
ミックスの利用が試みられており、近年、このようなセ
ラミック製静電チャックの使用が主流になっている(特
開昭62−264638号公報、特開平4−20694
8号公報、特開平6−291175号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、半導
体の製造工程では、生産性の向上が求められており、各
種処理工程における処理時間をできるだけ短くすること
が要求されており、成膜処理、エッチング処理、露光処
理等では、一枚の半導体ウエハを処理するのに要する時
間(以下、スループットという)、特に静電チャック2
1に固定した半導体ウエハを離脱させるのに要する時間
を短くすることが急務となっている。
【0011】しかしながら、設置面23を形成する誘電
体層22が上述した絶縁性セラミックスからなる静電チ
ャック21では、半導体ウエハと設置面23に極性の異
なる電荷を帯電させることにより静電気力を発現させて
吸着するという吸着原理によって、電圧の引加を止めて
も誘電体層22が絶縁性セラミックスであるために半導
体ウエハと設置面23に帯電した電荷を直ぐに逃がすこ
とができず、吸着力が持続された状態、所謂、残留吸着
力が発生した状態となるため、半導体ウエハを直ぐに離
脱させることができず、スループットを向上させること
ができないといった課題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題を鑑み、絶縁性セラミックスからなる誘電体層の上面
に凹部を形成し、この凹部中に、体積固有抵抗値が10
Ω・cm以下の導電性セラミックスからなる嵌合部材を
接合して上記凹部を埋め、上記誘電体層の上面と上記嵌
合部材の上面とで形成される平面を、被吸着物を載せる
設置面とし、この設置面の平面度を5μm以下とすると
ともに、上記誘電体層の下面に静電吸着用電極を形成し
て静電チャックを構成したことを特徴とする。
【0013】また、上記設置面の面積に対する上記嵌合
部材の上面の面積が占める割合は5%〜30%とするこ
とが良く、また、上記誘電体層を形成する絶縁性セラミ
ックス及び上記嵌合部材を形成する導電性セラミックス
は、その平均気孔径をそれぞれ1μm以下、気孔率をそ
れぞれ0.05%以下に緻密化したものを用いることが
好ましい。さらに、望ましくは、上記誘電体層を形成す
る絶縁性セラミック部を単結晶アルミナにより形成し、
かつ上記嵌合部材を形成する導電性セラミック材をAl
23−TiC系焼結体により形成することが良い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0015】図1は本発明の静電チャックを示す図で、
(a)は断面図、(b)は平面図である。
【0016】この静電チャック1は、円盤状をした絶縁
性セラミックスからなる誘電体層2と、円盤状をした絶
縁性セラミックスからなるベース基台5、及び上記誘電
体層2と上記ベース基台5との間に配置された静電吸着
用電極4とからなり、上記誘電体層2の下面には半円形
状をした一対の静電吸着用電極4を円を構成するよう
に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法、PVD法、CVD法、あるいはメッキ法やメタ
ライズ法等の膜形成手段によって被着してあり、この静
電吸着用電極4を覆うように誘電体層2の下面には接合
層6を介してベース基台5を接合してある。
【0017】また、誘電体層2の上面には、誘電体層2
を貫通し、ベース基台5にまで達する深さの凹部2aを
形成してあり、設置面2の上方から見たとき凹部2aの
パターン形状が環状となるようにしてある。そして、こ
の環状の凹部2aには、この凹部2aの形状に合致する
環状をした導電性セラミックスからなる嵌合部材7を接
着等にて接合し、嵌合部材7の上面と誘電体層2の上面
とが同一平面上に位置するように形成してあり、この嵌
合部材7の上面と誘電体層2の上面とで構成される平面
を、被吸着物Wを載せる設置面3とし、この設置面3の
平面度が5μm以下となるようにしてある。
【0018】その為、本発明の静電チャック1の設置面
3に、例えば薄肉の被吸着物Wを載せ、一対の静電吸着
用電極4間に電圧を印加して被吸着物Wと設置面3との
間に静電気力として誘電分極によるクーロン力を発現さ
せて被吸着物Wを設置面3に吸着固定すると、被吸着物
Wの表面を設置面3の優れた平面度に倣って平坦にする
ことができる。
【0019】また、吸着固定した被吸着物Wを離脱させ
る場合、静電吸着用電極4への通電を止めるとともに、
嵌合部材7をアースすることにより、被吸着物Wや設置
面3に帯電した電荷を嵌合部材7より直ちに逃がし、大
きな残留吸着力が残るのを防止することができるため、
短時間で被吸着物Wを設置面3より離脱させることがで
きる。
【0020】ところで、このような効果を奏するには、
設置面3全体の面積に対し、嵌合部材7の上面の面積が
占める割合を5%〜30%とすることが良い。
【0021】なぜなら、設置面3全体の面積に対する嵌
合部材7の上面の面積が占める割合が5%未満では、設
置面3に存在する嵌合部材7が占める割合が小さいた
め、被吸着物Wを離脱する際に、被吸着物Wと設置面3
に帯電する電荷を短時間に逃がす効果が小さいからであ
り、逆に、設置面3全体の面積に対する嵌合部材7の上
面の面積が占める割合が30%を超えると、静電気力を
発生させる誘電体層2の上面が占める割合が少なくなり
すぎるため、被吸着物Wの吸着力が小さくなりすぎ、反
りをもった被吸着物Wを設置面3に倣って精度良く吸着
固定することができないからである。
【0022】また、被吸着物Wを均一な静電気力でもっ
て設置面3に固定するには、静電気力の発生に寄与しな
い嵌合部材7を設置面3において偏りなく配置すること
が好ましく、例えば、図1(b)に示すように環状に配
置する以外に、図2(a)や図2(b)に示すように、
嵌合部材7の上面が円形あるいは正方形をしたものを、
設置面3に等間隔に分布させたものや、図2(c)に示
すように、嵌合部材7の上面が円形をしたものを、設置
面3の中央に配置したもの等を用いることができる。
【0023】また、嵌合部材7を形成する導電性セラミ
ックスは、その体積固有抵抗値ができるだけ小さいもの
が良く、好ましくは10Ω・cm以下の体積固有抵抗値
を有するものが良い。この理由は、導電性セラミックス
の体積固有抵抗値が10Ω・cmより大きいと、導電性
というより半導電性に近くなり、被吸着物Wや設置面3
に帯電した電荷を直ちに逃がすことができず、被吸着物
Wの離脱時間を短くする効果が小さいからである。
【0024】10Ω・cm以下の体積固有抵抗値を有す
る導電性セラミックスとしては、Al23−TiC系焼
結体、TiO2を含有したアルミナ質焼結体等を用いる
ことができ、例えば、Al23−TiC系焼結体を用い
る場合、原料としてアルミナ(Al23)50〜95重量
%に対し、炭化チタン(TiC)を5〜50重量%の範囲
で添加した混合原料を用いるか、あるいは上記組成比で
含有する混合原料100重量%に対し、焼結助剤とし
て、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(Mg
O)、酸化珪素(SiO2)、酸化カルシウム(CaO)、酸
化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イッテルビウム(Yb2
3)のうち1種類以上を10重量%以下の範囲で添加し
た混合原料、さらには希土類酸化物や不可避不純物を5
重量%以下の範囲で添加した混合原料を用い、これらの
混合原料を所定形状に成形した後、ホットプレスにて焼
成し、さらにHIP処理を施すか、あるいは上記混合原
料を所定形状に成形した後、真空炉やGPS(Gas Pre
ssure Sintering)にて焼成したものを用いれば良く、
このようにして得たAl23−TiC系焼結体は、平均
気孔径が1μm以下、気孔率が0.05%以下と極めて
緻密であるため、被吸着物Wの吸着時や離脱時に摺動し
たとしても摩耗したり、脱粒を生じることが少ないた
め、パーティクルの発生を抑えることができる。
【0025】しかも、Al23−TiC系焼結体は、後
述する誘電体層2を形成する絶縁性セラミックスと同程
度の切削性を有することから、設置面3を形成するため
に、研削加工や研磨加工を施した時に誘電体層3の上面
と嵌合部材7の上面を同程度だけ削ることができるた
め、設置面3の平面度を5μm以下にまで平坦化するこ
とができる。
【0026】また、誘電体層2を形成する絶縁性セラミ
ックスとしては、1012Ω・cm以上の体積固有抵抗値
を有するとともに、吸着時や離脱時における被吸着物W
との摺動においても摩耗したり、脱粒を起こし難い材料
により形成することが好ましく、アルミナ質焼結体、窒
化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、あるいは
単結晶アルミナを用いることができる。
【0027】この中でも単結晶アルミナは、多結晶体で
あるアルミナ質焼結体、窒化珪素質焼結体、窒化アルミ
ニウム質焼結体等のように粒界のない単結晶体であるた
め、吸着時や離脱時における被吸着物Wとの摺動におい
て脱粒を起こすことがなく、また耐摩耗性に優れること
からパーティクルの発生を大幅に低減することができ
る。
【0028】また、単結晶アルミナとAl23−TiC
系焼結体とは、切削性が近似していることから、設置面
3を形成するために研削加工や研磨加工を施せば、設置
面3の平面度を容易に5μm以下とすることができ、静
電チャック1を形成する場合、誘電体層2を単結晶アル
ミナにより形成するとともに、嵌合部材7をAl23
TiC系焼結体により形成した組み合わせとすることが
好ましい。
【0029】なお、誘電体層2をアルミナ質焼結体、窒
化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体等の多結晶
体により形成する場合、パーティクルの発生を極力抑え
る観点から、平均気孔径1μm以下、気孔率0.05%
以下に緻密化されたものを用いることが好ましい。
【0030】また、誘電体層2の下面に被着する静電吸
着用電極4の材質としては、パラジウム、ニッケル、チ
タン、タングステン、モリブデン、白金、金、銀等の金
属やFe−Co−Ni合金、あるいはTiNやTiC等
の導電性セラミック膜を用いることができ、前述したよ
うに、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、PVD法、CVD法、あるいはメッキ法やメ
タライズ法等の膜形成手段によって被着すれば良い。
【0031】さらに、ベース基台5を形成する絶縁性セ
ラミックスとしては、1012Ω・cm以上の体積固有抵
抗値を有するものであれば良く、例えば、誘電体層2を
形成する絶縁性セラミックスとして挙げたセラミックス
以外に、コージライト質焼結体、イットリューム・アル
ミニウム・ガーネット(YAG)質焼結体等を用いるこ
とができ、好ましくはベース基台5と誘電体層2を接合
する際に熱膨張差によって作用する応力をできるだけ緩
和し、接合強度を高める観点から、ベース基台5と誘電
体層2は熱膨張差が近似した材料を適宜選択して組み合
わせれば良く、望ましくはベース基台5と誘電体層2を
同一の絶縁性セラミックスにより形成することが良い。
【0032】次に、図1(a)(b)に示す静電チャッ
クの製造方法について説明する。
【0033】まず、誘電体層2及びベース基台5を形成
する絶縁性セラミックスを用意し、切削加工により円盤
状に形成した誘電体層2の一方の主面に研磨加工を施し
て平滑に仕上げた後、研磨した一方の主面に、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PV
D法、CVD法、あるいはメッキ法やメタライズ法等の
膜形成手段によって静電吸着用電極4を被着し、この静
電吸着用電極4を覆うように誘電体層2の一方の主面
に、切削加工により円盤状に形成したベース基台5を接
合する。
【0034】誘電体層2とベース基台5の接合方法とし
ては、接着、ガラス付け、ロウ付け等の方法を適宜選定
して用いれば良い。
【0035】次に、誘電体層2の他方の主面に、環状の
凹部2aを、その底部がベース基台5の一部にかかるま
で研削加工にて形成し、この環状凹部2aに、該凹部2
aに係合する環状をした導電性セラミックスからなる嵌
合部材7を挿入し、接着、ガラス付け、ロウ付け等の接
合方法により接合する。
【0036】次いで、嵌合部材7が嵌め込まれた誘電体
層2の他方の主面に研削加工、研磨加工を施して平坦に
仕上げ、被吸着物Wの設置面3を形成する。この時、嵌
合部材7を形成する導電性セラミックスを、誘電体層2
を形成する絶縁性セラミックスと同じような切削性を有
する材料により形成することで、異材質からなる誘電体
層2の上面と嵌合部材7の上面を平坦に仕上げることが
でき、平面度で5μm以下の精度に仕上げることができ
る。
【0037】しかる後、ベース基台5に静電吸着用電極
4と嵌合部材7に連通する穴を穿孔し、静電吸着用電極
4と嵌合部材7にリード線を結線することにより、本発
明の静電チャック1を得ることができる。
【0038】以上、本実施形態では、双極型の静電チャ
ックを例にとって説明したが、単一の静電吸着用電極を
備える単極型の静電チャックであっても構わない。ま
た、本実施形態に示す静電チャック1は、誘電体層2と
ベース基台5との間に静電吸着用電極4を挟んで接合し
た構造を示したが、誘電体層2とベース基台5が一体的
に形成された絶縁性セラミックスからなる誘電体中に静
電吸着用電極を埋設した静電チャックにも適用できるこ
とは言うまでもない。
【0039】このように、本発明の要旨を逸脱しない範
囲であれば、改良や変更しても構わない。
【0040】
【実施例】ここで、図1(a)(b)に示す静電チャッ
ク1のうち、嵌合部材7の材質、設置面3の面積に対す
る嵌合部材7の上面の面積が占める割合をそれぞれ異な
らせた時の設置面3の平面度、被吸着物Wの吸着力と離
脱性、及びパーティクルの発生具合について調べる実験
を行った。
【0041】本実験に用いる静電チャック1は、誘電体
層2を厚みが0.2mmの単結晶アルミナにより形成
し、この誘電体層2の下面に蒸着法によりチタン(T
i)からなる静電吸着用電極4を被着し、アルミナ純度
が99.5%のアルミナ質焼結体からなるベース基台5
をエポキシ系接着剤にて接合したものを用いた。
【0042】なお、嵌合部材7の材質、静電チャック1
の外径、環状をした嵌合部材7の外径と内径は表2に示
す通りとした。また、静電チャック1を構成する誘電体
層2及び嵌合部7を形成する材質の特性は表1に示す通
りである。また、嵌合部材7を形成するAl23−Ti
C系焼結体は、アルミナを65重量%、炭化チタンを3
5重量%添加した原料100重量%に対し、焼結助剤と
して酸化チタン(TiO2)を8重量%添加した混合原料
を所定形状に成形した後、ホットプレスにて焼成し、さ
らにHIP処理を施したものを用いた。さらに静電チャ
ック1の中央には直径3mmの設置面3を貫通する貫通
孔を予め穿孔しておいた。
【0043】そして、設置面3の平面度については、嵌
合部材7を嵌め込んだ誘電体層2の上面をダイヤモンド
ホイールにて研削し、次いで、粒径50nm以下のコロ
イダルシリカを用いて化学研磨することにより設置面3
を形成し、得られた設置面3の平面度を、触針式の平面
度測定器を用いて測定し、平面度が5μm以下であるも
のは使用可能であるため「○」、平面度が5μmを超え
るものは使用不可であるため「×」で表した。
【0044】また、被吸着物Wの吸着力と離脱性は、各
静電チャック1を真空チャンバー内に設置し、0.02
mmの反りをもった8インチのシリコンウエハを静電チ
ャック1の設置面3に載せ、一対の静電吸着用電極4間
に3kVの電圧を印加して固定した時のウエハの平面度
を測定し、この平面度が0.01mm以下であるものは
吸着性良好であるため「○」、平面度が0.01mmを
超えたものは吸着力不十分であるため「×」で示した。
【0045】次に、吸着したウエハに1.5Vの電子線
を10分照射した後、静電吸着用電極4への通電と、電
子線の照射を止めた後、静電チャック1の貫通孔からウ
エハの裏面に0.038Pa(5torr)の圧力でH
eガスを供給し、ウエハが剥がれるまでの時間を測定
し、5秒以内にウエハを設置面3より離脱させることが
できたものを離脱性良好と判断した。
【0046】さらに、パーティクルの発生具合は、設置
面3より離脱させたウエハに付着するパーティクルの数
を、パーティクルカウンターを用いて測定し、パーティ
クル数が50個以下であるものを「○」、パーティクル
数が50個を超えたものを「×」で示した。
【0047】結果は表2に示す通りである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】この結果、試料No.1,2に示すよう
に、嵌合部材7が金属からなるものでは、誘電体層2を
形成する絶縁性セラミックスとの切削性が大きくことな
るため、設置面3の平面度を5μm以下とすることがで
きなかった。また、金属からなる嵌合部材7は硬度が小
さいため、ウエハの着脱時の摺動において摩耗し、ウエ
ハには多数のパーティクルが付着していた。
【0051】また、試料No.9のように、設置面3の
面積に対する嵌合部材7の上面の面積が占める割合が3
0%を超えると、静電気力に寄与しない嵌合部材7が占
める割合が多くなりすぎるため、十分な吸着力を得るこ
とができず、ウエハを精度良く吸着させることができな
かった。
【0052】これに対し、試料No.3〜8に示すよう
に、嵌合部材7をAl23−TiC系焼結体からなる導
電性セラミックスにより形成した静電チャック1は、設
置面3の平面度を5μm以下に仕上げることができると
ともに、設置面の面積に対する嵌合部材7の上面の面積
が占める割合を5%〜30%とすることにより、ウエハ
を吸着させるのに十分な吸着力を得ることができ、さら
に、ウエハを短時間で離脱させることができた。しか
も、ウエハに付着するパーティクル数も大幅に低減する
ことができ、優れていた。
【0053】この結果、嵌合部材7を導電性セラミック
スにより形成するとともに、設置面の面積に対する嵌合
部材7の上面の面積が占める割合を5%〜30%とする
ことにより、平坦な設置面3を有し、十分な吸着力と離
脱性に優れた静電チェック1が得られることが判る。
【0054】(実施例2)次に、嵌合部材7をAl23
−TiC系焼結体により形成し、成形条件や焼成条件を
変えて平均気孔径や気孔率を異ならせた時のパーティク
ルの発生具合について実施例1と同様の条件にて測定し
た。なお、パーティクル数が5個以下であるものは特に
優れているため「◎」で示した。
【0055】結果は表3に示す通りである。
【0056】
【表3】
【0057】この結果、嵌合部材7を形成するAl23
−TiC系焼結体の平均気孔径を1μm以下でかつ気孔
率を0.05%以下とすることによりパーティクル数を
5個以下とすることができた。
【0058】この結果、嵌合部材7を形成する導電性セ
ラミックスは、その平均気孔径を1μm以下でかつ気孔
率を0.05%以下とすることが良いことが判る。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明のによれば、絶縁
性セラミックスからなる誘電体層の上面に凹部を形成
し、この凹部中に、体積固有抵抗値が10Ω・cm以下
の導電性セラミックスからなる嵌合部材を接合して上記
凹部を埋め、上記誘電体層の上面と上記嵌合部材の上面
とで形成される平面を、被吸着物を載せる設置面とし、
この設置面の平面度を5μm以下とするとともに、上記
誘電体層の下面に静電吸着用電極を形成して静電チャッ
クを構成したことによって、反り等を持つ薄肉の被吸着
物を、設置面の優れた平面精度に倣って精度良く吸着固
定することができるとともに、被吸着物を離脱させる際
には、被吸着物や設置面に帯電した電荷を嵌合部材より
直ちに逃がし、短時間で被吸着物を設置面より離脱させ
ることができる。
【0060】また、本発明は、誘電体層を形成する絶縁
性セラミックス及び嵌合部材を形成する導電性セラミッ
クスの平均気孔径がそれぞれ1μm以下、気孔率をそれ
ぞれ0.05%以下に緻密化することにより、着脱時に
おける被吸着物との摺動においても脱粒や摩耗を抑え、
パーティクルの発生を低減することができる。
【0061】さらに、本発明は、誘電体層を形成する絶
縁性セラミック部を単結晶アルミナにより形成し、かつ
嵌合部材を形成する導電性セラミック材をAl23−T
iC系焼結体により形成したことにより、設置面を平坦
に仕上げることができるとともに、着脱時における被吸
着物との摺動においても脱粒や摩耗を抑え、パーティク
ルの発生を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電チャックの一例を示す図で、
(a)はその断面図、(b)はその平面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本発明に係る静電チ
ャックの他の設置面の構造を示す平面図である。
【図3】従来の静電チャックの一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1,21:静電チャック 2,22:誘電体層 3,23:設置面 4,24:静電吸着用電極 5,25:ベース基台 6,26:接合層 7:嵌合部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C016 GA10 4G030 AA16 AA36 AA45 BA02 GA29 GA32 4K029 JA05 4K030 GA02 KA46 5F031 CA02 HA02 HA17 HA19 MA27 MA28 MA32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性セラミックスからなる誘電体層の上
    面に凹部を形成し、該凹部中に、体積固有抵抗値が10
    Ω・cm以下の導電性セラミックスからなる嵌合部材を
    接合して上記凹部を埋め、上記誘電体層の上面と上記嵌
    合部材の上面とで形成される平面を、被吸着物を載せる
    設置面とし、該設置面の平面度を5μm以下とするとと
    もに、上記誘電体層の下面に静電吸着用電極を形成した
    ことを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】上記設置面の面積に対する上記嵌合部材の
    上面の面積が占める割合が5%〜30%の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 【請求項3】上記誘電体層を形成する絶縁性セラミック
    スと、上記嵌合部材を形成する導電性セラミックスの平
    均気孔径がそれぞれ1μm以下で、かつ気孔率がそれぞ
    れ0.05%以下であることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の静電チャック。
  4. 【請求項4】上記誘電体層を形成する絶縁性セラミック
    スが単結晶アルミナからなり、かつ上記嵌合部材を形成
    する導電性セラミックスがAl23−TiC系焼結体か
    らなることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の
    静電チャック。
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