JP3758581B2 - 低炭素快削鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Pbを含有せずに、しかも従来の鉛快削鋼および鉛と他の快削元素を併用した複合快削鋼に優る被削性と熱間加工性を有する低炭素快削鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、強度をあまり必要としない軟質の小物部品には生産性向上のため被削性に優れた鋼材、いわゆる快削鋼が用いられている。最も良く知られている快削鋼は、Sを多量に添加してMnSにより被削性を改善した硫黄快削鋼、Pbを添加した鉛快削鋼、およびSとPbの両者を含む複合快削鋼である。特に、Pbを含む快削鋼は、切屑切断性に優れ、工具寿命の延長に寄与する。さらに被削性改善の目的でTe(テルル)やBi(ビスマス)等を含有する快削鋼もある。これらは、自動車部品、パソコン周辺器機部品をはじめ、電気機器部品や金型等の各種機械部品に大量に使用されている。
【0003】
近年、切削機械の性能向上によって切削作業の高速度化が可能になった。それにともなって、上記のような部品の素材となる鋼材にも、高速切削加工時の被削性向上が望まれている。
【0004】
鋼材の被削性としては、工具寿命を延長するための被削性とともに、切屑の分断性、つまり切屑処理性が重要視される。この切屑処理性は、加工ラインの自動化に欠かせないものであり、生産性向上のためには必須だからである。
【0005】
鉛快削鋼および鉛と他の被削性改善元素を併用した複合快削鋼は、上記の被削性に最も優れているとされてきた。しかし、Pbを含む鋼材は、その製造過程において大がかりな排気設備を必要とする。また、環境保全のためにPbの使用を抑制する動きが高まるとともにPbを含有しない快削鋼が強く望まれている。
【0006】
上記の要望に応えるべく、鉛快削鋼に代わるものとして低炭素硫黄快削鋼においてはS含有量を増やし、鋼中のMnS量を増やすことで被削性を改善する技術などが提案されている。しかし、S含有量の増加は鋼の熱間加工性を悪化させる。また、高S快削鋼でも、切削速度が150m/min以上というような高速切削時においては、工具寿命の延長効果が乏しく、鉛快削鋼に匹敵する被削性は得られていない。
【0007】
特開2000-319753号公報には、0.4%を超えるSを含有させてMnSを増量した、Pbを添加しない低炭素硫黄系快削鋼が開示されている。このような鋼では、ある程度の工具寿命の改善は認められるが、高速切削加工時にはその効果が小さい。また、その鋼は、工具寿命と共に被削性の要素として重要視される切屑処理性が改善されたものではなく、従来の硫黄快削鋼の性能を大きく変えるものではない。
【0008】
特開昭50-20917号公報には、0.5%以下のC、0.3〜0.75%のS、0.1〜0.5%のTiを含有する鋼であって、Ti量がS量を超えないという硫黄快削鋼が開示されている。この鋼は、硫化鉄を主に活用し、これにTiを添加することで硫化鉄中にTiとMnを固溶させて被削性を改善したというものである。しかし、この鋼のC含有量は、実施例の記載から明らかなように、0.24%以上である。同公報には、Cが0.19%以下の低炭素鋼において硫化物の組成形態を制御することで格段の被削性が得られることについての記載は一切ない。また、適量のTi及びMnを固溶した硫化鉄を主体として被削性改善を図っているが、後述する本願発明鋼のような低炭素系快削鋼や複合快削鋼と比較して、十分な被削性を有するものではない。さらに、上記公報に開示される鋼は、硫化鉄の組成制御が困難であって十分な熱間加工性が得られないために、連続鋳造設備等で製造するのは困難であって実用的でない。
【0009】
特開平09-53147号公報には、C:0.01〜0.2%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.5〜1.75%、P:0.005〜0.15%、S:0.15〜0.40%、O(酸素):0.001〜0.010%、Ti:0.0005〜0.020%、N:0.003〜0.03%を含有し、超硬工具に対する被削性が優れる快削鋼が開示されている。この組成範囲にすることによって、ある程度の工具寿命の改善を図ることは可能であるが、Ti量の上限が0.02%と少ないために、十分な工具寿命が得られないばかりでなく、工具寿命と共に重要視される優れた切屑処理性が確保できない。
【0010】
特開2001-107182号公報、ならびに特開2001-152281号、同152282号および同152283号の各公報には、主要成分としてC:0.05%未満、Mn:0.1〜4.0%、S:0.15超〜0.5%、Cr:0.5%未満、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0003〜0.004%を含有させた鋼が開示されている。その鋼では、硫化物の周囲にBを偏析させることにより切屑処理性を向上させるとともに、Cを0.05%未満とすることで被削性を改善した快削鋼である。しかし、Cが0.05%未満であるために切削中にむしれを起こして仕上げ面が悪く、十分な被削性が得られない。
【0011】
特開2001-294976号公報には、C:0.02〜0.15%、Mn:0.3〜1.8%、S:0.2〜0.5%を含有し、更に、Ti:0.1〜0.6%とZr:0.1〜0.6%のうち少なくとも1種を含有し、且つ「Ti+Zrが0.3〜0.6%で、かつ(Ti+Zr)/Sが1.1〜1.5である快削鋼が開示されている。この鋼は、上記の組成にすることによって熱間での変形抵抗の高いTiやZrの硫化物を生成させ、機械的異方性や被削性を改善したものである。しかし、変形抵抗の高い硫化物では切削時に硫化物による擬似的な潤滑効果は得難く、切削抵抗が高くなり、被削性の改善効果には限界がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鉛(Pb)を含有せず、しかも、これまでの鉛快削鋼および鉛と他の被削性改善元素を含む複合添加快削鋼以上の被削性を有し、かつ熱間加工性にも優れた低炭素硫黄快削鋼を提供することを課題としてなされたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、実質的にPbを含有しない低炭素硫黄快削鋼について被削性を改善するために、Ti添加による介在物の形態と被削性の関係を詳細に調査した。その結果、次に述べるような新しい知見が得られた。
【0014】
(A) C含有量は、0.05〜0.19%とするのがよい。
【0015】
(B) 上記のC含有量の鋼中に含有されるMnとSの原子比が、Mn/S≧1の条件を満たし、かつ、S含有量(質量%)を超えない範囲でTiを含有させた場合には、大部分の硫化物は、Ti硫化物でも硫化鉄でもなく、MnSになる。
【0016】
(C) 上記(B)のように限定された組成において、Tiは、MnS中にほとんど固溶せず、Mn・Ti硫化物、即ち、(Mn,Ti)Sを形成することはない。そして、Ti硫化物やTi炭硫化物としてMnSとは別の相として存在する。このTi系介在物(硫化物、炭硫化物)の多くは、MnS中に内在した形態で存在する。
【0017】
(D) 上記(C)に述べた形態でMnSとTi系介在物が存在する鋼材は、高速切削において優れた被削性を示す。即ち、例えば100m/min以上の高速度で旋削を行うと、工具表面にMnSが付着すると共に、硬質の層状を呈するTiNが形成される。このTiNが工具を保護することによって、これまで最も被削性に優れるとされてきたJIS SUM22L〜24Lの複合快削鋼と比較しても、遙かに優れた工具寿命を得ることができる。また、上記の規定範囲内でTiを添加することによって、硫化物は微細に生成し、個数が増大する。これらの硫化物が切削中に応力集中源となって亀裂伝播を助長するので、これまでの硫黄快削鋼やPbとの複合快削鋼に比べ、優れた切屑処理性をも同時に得ることができる。更に、この鋼は熱間加工性に全く問題がないことから、連続鋳造設備等によって製造する場合にも何ら支障をきたすことがなく、実用性に優れている。
【0018】
本発明は、上記の知見に基づき、前述の合金成分以外の成分についても作用効果を詳細に検討してなされたもので、その要旨は下記(1)〜(4)の快削鋼にある。
【0019】
(1) 質量%で、C:0.05〜0.19%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜0.50%、Ti:0.03〜0.30%、Si:1.0%以下、P:0.001〜0.3%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.0010〜0.050%およびN:0.0001〜0.0200%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、TiとSの含有量が下記(1)式を満たし、MnとSの原子比が下記(2)式を満たし、かつ、鋼中にTi硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
【0020】
Ti(質量%)/S(質量%)<1 ・・・(1)
Mn/S≧1 ・・・(2)
(2) 上記(1)に記載した成分に加えてさらに、Se:0.001〜0.01%、Te:0.001〜0.01%、 Sn:0.005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%および希土類元素:0.0005〜0.01%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、上記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
【0021】
(3) 上記(1)に記載した成分に加えてさらに、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜2.5%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.1%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、上記(1)式および(2)式を満たことを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
【0022】
(4) 上記(1)に記載した成分に加えてさらに、Se:0.001〜0.01%、Te:0.001〜0.01%、 Sn:0.005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%および希土類元素:0.0005〜0.01%からなる群から選んだ1種または2種以上と、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜2.5%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.1%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、上記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
【0023】
上記(1)〜(4)の快削鋼は、そのSi含有量が0.1質量%未満であることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
1.Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSについて
本発明の快削鋼の大きな特徴の一つは、「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」を含むことである。
【0025】
Tiは、MnS中に微量に固溶して(Mn,Ti)Sとして存在し得るが、そのMnS中に固溶するTi量は微量であるから、この硫化物は実質的にMnSである。一方、このようなMnSとは明らかにその組成が異なり、TiSまたはTi4C2S2の化学式で表されるTi硫化物またはTi炭硫化物が存在する。これらの多くは、MnS中にMnSとは明白に相分離して存在する。
【0026】
上記のような形態の硫化物が存在することは、鋼材から切り出したミクロ試験片に対してEPMA(電子線マイクロアナライザー)やEDX(エネルギー分散型X線分析装置)等によって面分析及び定量分析を行うことにより把握できる。
【0027】
図1は、後述する表1のNo.3の鋼の硫化物をEPMAによって面分析をした結果を示すものである。(a)に示すのが1個の介在物であり、(b)〜(d)はその介在物中のTi、MnおよびSの存在を示す。
【0028】
これらの図から明らかなように、Ti硫化物またはTi炭硫化物は、1個の硫化物の周辺付近に存在したり、MnSに取り囲まれる形で存在する等、その存在形態は多様である。このように1個のMnSと共にTi硫化物または/およびTi炭硫化物が相分離して存在し、かつ1個の硫化物中のMnSが占める面積率が50%以上である硫化物を、本発明では「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」と定義する。
【0029】
1個のMnS中に内在するTi硫化物およびTi炭硫化物の組成および面積率は、前記EPMAまたはEDXによって確認できる。また、鋼中の「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」も同じ方法で確認でき、その個数も測定することができる。複数の視野で測定した個数を1mm2当たりの個数に換算し、その平均値が10個/1mm2以上であれば、優れた被削性が得られる。
【0030】
Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含む鋼を切削すると、軟質なMnSが被削材と工具との接触面において擬似的な潤滑作用をなし、工具表面にはTiNが形成されて工具を保護する。即ち、切削中に被削材と接触する工具の表面にMnSと共にTi硫化物もしくはTi炭硫化物が付着し、さらに切削中の摩擦による温度上昇によってこれらのTi系硫化物が雰囲気中のN(窒素)と反応し、厚さ数μmから数十μmの層状を呈する硬質のTiNが形成されるものと考えられる。その存在は、切削終了後に炭素系汚染(油分等)をArスパッタリング゛等で除去した工具表面について、AES(オージェ電子分光分析)やEPMAによる面分析および点分析を行うことによって確認することができる。
【0031】
上記のような方法で調査したところ、層状のTiN膜の表面積は被削材と工具との接触面積のおよそ10〜80%にわたって存在し、残りの部分にはMnSやFeが付着しているか、または付着物のない工具素地のままであった。このように工具表面に形成された硬質のTiN膜が大きな工具保護効果をもたらし、工具の耐摩耗性が向上し、その寿命が長くなるのである。この工具寿命の改善効果は、硫黄快削鋼やPbを含む複合快削鋼より格段に大きい。
【0032】
本発明鋼の中には「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」の外に、MnS、Ti硫化物およびTi炭硫化物が微細な介在物として存在する。即ち、全介在物個数が著しく多く、これが切削時に生成する切屑中の応力集中点として作用し、亀裂伝播を助長するために切屑分断性も向上するのである。
【0033】
鋼の組成を前記のように調整することによって、鋼中の「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」を存在させることができる。なお、このMnSを安定して存在させるためには、鋳造後、1000℃以上の十分に高い温度に加熱し、十分に保持した後に鍛造するか、または同じく高温で焼準するといった熱履歴を与えることが望ましい。
【0034】
2.化学組成の限定理由
以下、本発明において化学組成を限定した理由について説明する。なお、成分含有量についての%は質量%を意味する。
【0035】
C:0.05〜0.19%
Cは、鋼の被削性に大きな影響を及ぼす重要な元素である。被削性が重要視される用途の鋼材の場合、C含有量が0.19%を超えると鋼材の強度が高くなって被削性が劣化する。しかし、C含有量が0.05%未満の場合は、鋼材が軟質になり過ぎ、切削中にむしれを生じて、かえって工具摩耗を促進するうえに切り屑処理性が劣化する。よってCを0.05〜0.19%の範囲に限定した。なお、さらに良い被削性を得るためのC量のより適正な範囲は0.05〜0.17%である。
【0036】
Mn:0.40〜2.0%
MnはSとともに硫化物系介在物を形成して被削性に大きな影響を及ぼす重要な元素である。0.40%未満では硫化物としての絶対量が不足して満足な被削性を得ることができない。また、2.0%を超えると、鋼材の強度が上昇するために切削抵抗が高くなるのに加え、工具寿命を低下させる。さらに切削抵抗の低減、工具寿命の向上、切り屑処理性の向上、熱間加工性の改善を図るためにもS量との関係が重要である。即ち、その量は、原子比でMn/S≧1の関係を維持しなければならない。なお、これらの性能を確実に得るためにはMn含有量は0.6〜1.8%とすることが好ましい。
【0037】
S:0.21〜0.50%
SはMnあるいはTiと共に硫化物もしくは炭硫化物を形成して被削性を改善するのに有効な必須添加元素である。特にMnSによる被削性向上効果はその生成量に応じて向上する。しかし、0.21%未満では十分な量の硫化物系介在物が得られず、満足な被削性は期待できない。通常、Sの含有量が0.35%を超えると鋼の熱間加工性を劣化させ、鋼塊中央部でのS偏析が生じ、鍛造時に割れを誘発する。しかし、本発明で定める組成を維持すれば、このような弊害なしに、S含有量の上限を0.50 %まで高めることができる。
【0038】
Ti:0.03〜0.30%
TiはSやCとともにTi硫化物またはTi炭硫化物を形成し、これらがMnSに内在する形態で存在することにより鋼の被削性および熱間加工性改善する。従って、本発明鋼においては重要な必須の元素である。Tiは、Mnと比較しても強力な硫化物生成元素であり、含有量が0.03%以上であればTi硫化物またはTi炭硫化物を形成し、MnS中に内在する形態で存在するので被削性を改善する効果は十分に得られる。0.03%未満ではその効果は不十分である。一方、Tiが0.30%を超えると硫化物とし硬質なTi硫化物またはTi炭硫化物が多くなり、切削抵抗を高めて被削性を劣化させる。より望ましいTi含有量の上限は、0.10%である。
【0039】
Si:1.0%以下
Siは脱酸元素として鋼中の酸素量を調整するのに有用である。しかし、その含有量が1.0%を超えると鋼の熱間加工性を劣化させ、また、フェライト相を固溶強化するために切削抵抗が高くなって被削性を損なう。従って、Si含有量の上限を1.0%とするが、0.1%未満に抑えるのが一層望ましい。なお、脱酸のためには、Si含有量は0.001%以上であるのが望ましいが、実質的に0(零)%であっても、後述するAlの添加などで鋼中酸素量が適切な範囲に調整できれば、被削性の劣化は生じない。
【0040】
P:0.001〜0.3%
Pは、0.3%を超えると鋼塊の偏析を助長し、かつ熱間加工性を劣化させる。従って、含有量の上限を0.3%とした。他方、Pは被削性改善効果を有する元素であるから、この効果が得るために下限を0.001%とした。より好ましいPの含有量は0.01〜0.15%である。
【0041】
Al:0.2%以下
Alは強力な脱酸元素として用いられ、0.2%までは含有されていてもよい。しかし脱酸によって生成する酸化物は硬質であって、Al含有量が0.2%を超えると硬質酸化物が大量に生成し、被削性を劣化させる。より好ましいのは、0.1%以下とすることである。なお、前記のSiによって十分な脱酸が可能な場合には、Alの添加は不必要であり、その含有量は実質的に0(零)%であってもよい。
【0042】
O(酸素):0.0010〜0.05%
鋼中に適切な量の酸素を含有させると、その酸素はMnS中に固溶して圧延によるMnSの延伸を防ぎ、機械的性質の異方性を小さくする。さらに被削性および熱間加工性の改善にも寄与し、Sの偏析防止にも有効である。従って、酸素は0.0010%以上含有させるのがよい。しかし、0.05%を超えると溶製時における耐火物の劣損を招く等の弊害がある。よって上限を0.05%とした。上記の効果を適切に得るためのより好ましい範囲は0.005〜0.02%である。
【0043】
N:0.0001〜0.0200%
Nは、AlやTiと共に硬質な窒化物を形成し、これらの窒化物は結晶粒を微細化する効果を有する。この効果はNの含有量が0.0001%以上で生じる。これらの窒化物が大量に存在すると被削性が劣化し、また、切削工具の摩耗が大きくなるが、本発明鋼の切削時には工具表面にTiNが形成されて工具を保護するため、鋼中にある程度の量の窒化物が存在していてもその被削性を劣化させることはない。しかし、N量が0.0200%を超えるとその効果が薄れる。より長い工具寿命を得るためには、0.0150%以下とすることが好ましい。さらなる工具寿命の延長を望む場合には0.0100%以下とすればよい。
【0044】
本発明鋼の一つは、上記の成分の外、残部がFeと不純物からなるものである。
【0045】
本発明のもう一つは、上記の成分の外に、次に述べる第1群の元素または/および第2群の元素の1種以上を含む鋼である。
【0046】
第1群元素は、Se、Te 、 Sn、Ca、Mgおよび希土類元素からなり、これらは鋼の被削性をさらに改善するものである。第2群元素は、Cu、Ni、Cr、Mo、VおよびNbからなり、これらは鋼の機械的性質を改善するものである。
【0047】
Se:0.001〜0.01%、Te:0.001〜0.01%
SeおよびTeは、Mnと共にMn(S,Se)またはMn(S,Te)を生成し、被削性改善に有効な元素である。これらは、それぞれ0.001%未満では効果が乏しい。一方、Se、Teともに0.01%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、経済的でなくなる上に熱間加工性が劣化する。
【0048】
Sn:0.005〜0.3%
Snは、低融点金属介在物として切削時に潤滑効果を発揮し、被削性を改善する。その効果は、 0.005%以上で顕著になる。但し、その含有量が 0.3 %を超えると効果が飽和するばかりでなく、熱間加工性が劣化する。
【0049】
Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%
CaおよびMgは、鋼中のSや酸素に対して大きな親和力を有するのでこれらと硫化物または酸化物を形成すると同時にMnS中に固溶して(Mn,Ca)Sや(Mn,Mg)Sとして存在する。また、これらの酸化物を生成核としてMnSが晶出するために、MnSの延伸を抑制する効果を有する。このように、CaおよびMgは、硫化物の形態を制御して被削性を改善するので、必要に応じて添加しても良い。この効果を確実に得たい場合には、Ca、Mgともにそれぞれ0.0005%以上含有させればよい。ただし、0.01%を超えて含有させても効果は飽和する。また、CaもMgも添加歩留りが低いので、含有量を多くするには多量の添加を要し、製造コストの面からも好ましくない。従って、含有量の上限はそれぞれ0.01%とした。
【0050】
希土類元素:0.0005〜0.01%
希土類元素は、ランタノイドとして分類される元素群である。これを添加する場合には、通常、これらを主要成分とするミッシュメタル等を用いる。本発明では希土類元素の含有量は、希土類元素の中の1種または2種以上の元素の合計含有量で表す。希土類元素は、Sおよび酸素と共に硫化物または酸化物を形成すると同時に、硫化物の形態を制御して被削性を向上させる。その効果を確実に得るためには0.0005%以上含有させればよい。しかし、含有量が0.01%を超えると効果は飽和するばかりでなく、CaおよびMgと同じく添加歩留りが低いので多量に含有させるのは経済的でない。
【0051】
Cu:0.01〜1.0%
Cuは、鋼の焼入れ性を向上させる。その効果を得たい場合には0.01%以上含有させると良い。しかし、含有量が1.0%を超えると鋼の熱間加工性が劣化し、また被削性の低下を招く。
【0052】
Ni:0.01〜2.0%
Niには、固溶強化によって鋼の強度を向上させる効果があり、また、焼入れ性の向上や靭性向上の効果もある。この効果を確実に得るためにはその含有量を0.01%以上とすることが望ましい。しかし、2.0%を超えると被削性の劣化を招くと共に熱間加工性も劣化する。
【0053】
Cr:0.01〜2.5%
Crには鋼の焼入れ性を改善する効果がある。その効果を得るには0.01%以上の含有が好ましいが、2.5%を超えると被削性を劣化させる。
【0054】
Mo:0.01〜1.0%
Moには鋼の組織を微細化し、靱性を改善する効果がある。その効果を確実に得るためには含有量を0.01%以上とすることが望ましい。但し、1.0%を超えると効果が飽和し、鋼の製造コストが上昇する。
【0055】
V:0.005〜0.5%、Nb:0.005〜0.1%
VおよびNbは、微細な窒化物や炭窒化物として析出し、鋼の強度を高める。その効果を確実に得るためには、それぞれ0.005%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、Vは0.5%、Nbは0.1%をそれぞれ超えると、上記の効果が飽和するばかりでなく、窒化物や炭化物が過剰に生成し、被削性の劣化をきたす。
【0056】
3.(1)式および(2)式について
Ti含有量とS含有量が(1)式を満たす必要がある理由は以下のとおりである。
【0057】
Tiは、前記のようにCおよびSと共にTi硫化物またはTi炭硫化物を形成する。その傾向は、Mn硫化物の生成傾向よりも大きい。Tiの効果は、前述したとおり、Ti系介在物によって切削時に工具表面にTiNを形成することによる工具寿命の向上である。ところが、Ti硫化物やTi炭硫化物は、MnSに比べると変形抵抗の大きい硬い介在物である。従って、Tiの含有量がS含有量以上となる組成では、MnSの生成量が少なくなってTi硫化物やTi炭硫化物が主体となり、切削時に工具と被削材間の硫化物による擬似的な潤滑効果が得られず、切削抵抗が急激に上昇してしまう。切削抵抗が上昇すると工具寿命が短くなるだけでなく、細径の材料を切削する場合に被削材が振動を起こす等の不具合が生じる。
【0058】
前記の(1)式を満足するように、即ち、「Ti(質量%)/S(質量%)」が1よりも小さくなるように調整することによって、Ti硫化物やTi炭硫化物が主要な硫化物にはならず、硫化物の主体はMnSとなる。この場合には、上記のようにTi硫化物やTi炭硫化物が主要硫化物となった場合に生ずる切削抵抗が上昇するなどの不具合が無く、工具寿命や切屑処理性を向上させることができる。
【0059】
MnとSの原子比が(2)式を満たす必要がある理由は以下のとおりである。
【0060】
Sは熱間鍛造時に割れを誘発させる元素であるが、原子比にてMn/S≧1となる組成を維持すれば、SはMn硫化物として晶出し、熱間加工性に悪影響を及ぼさない。
【0061】
Mn/Sが1未満であっても、TiとSの含有量を前記(1)式を満たさないように調整すれば、Ti系硫化物が生成し、熱間加工性を改善できる。しかし、その場合には、前記のように切削抵抗の増大、工具寿命の短縮等の不具合が生じる。さらに、Mn/Sが1未満であって、TiをS含有量を超えない範囲で含有させた場合、即ち、前記(1)式は満たすが(2)式を満足しない組成とした場合、介在物の主体は、FeSがMnSおよびTiSに多く固溶した硫化物となる。これらの硫化物は、FeSを多く固溶するために鋼の熱間加工性を悪化させ、連続鋳造法などによって製造する場合には操業条件の制御が難しくなる。
【0062】
【実施例】
表1および表2に示す組成の供試鋼を高周波誘導炉を用いて溶製し、直径220mmで150kgの鋼塊を作製した。これらの鋳塊を、「Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnS」を安定して生成させるために、1200℃の高温まで加熱して2時間以上保持した後、1000℃以上で仕上げる鍛造を行い、空冷(AC)して直径65mmの丸棒を得た。この丸棒に950℃で1時間保持して空冷(AC)する焼準を施した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
(1)介在物の組成形態の調査
上記の鍛伸材のDf/4(Dfは鍛伸材の直径)に当たる部分の縦断面方向からミクロ観察用試験片を切り出し、研磨した後、EPMAおよびEDXによって面分析と定量分析を行った。その結果、No.1からNo.29までの鋼には、Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSが平均10個/mm2以上存在することが確認された。
【0066】
(2)被削性の調査
鍛造によって得られた丸棒を60mmφまで外削した後、切削試験に供した。なお、熱間加工性が悪いために鍛造によって割れを生じたものについては割れが生じた時点でそのまま950℃で1時間保持する焼準を行い空冷(AC)した後、切削によって60mmφまで外削して供試材とした。
【0067】
被削性試験は、TiNコーティング処理が施されていないJIS P種の超硬工具を用いて行った。切削は乾式(潤滑油無し)の旋削で、その条件は、切削速度:150m/min、送り:0.10mm/rev、切り込み:2.0mm、である。
【0068】
上記の条件で30分旋削した後の切削工具の平均逃げ面摩耗量(VB)を測定した。なお、30分以内に平均逃げ面摩耗量が200μm以上に到達した供試材については、その到達時間とその時の平均逃げ面摩耗量(VB)を測定した。また、平均逃げ面摩耗量(VB)が100μmに達する時間を工具寿命の目安として評価した。試験途中で耐摩耗性に優れ、摩耗進行速度が極めて小さいために供試材が不足したものについては旋削時間−工具摩耗量曲線から平均逃げ面摩耗量(VB)が100μmに達する時間を回帰により算出した。また切屑処理性は、排出された切屑のうちの代表的なものを200個以上採取し、その重量を測定した上で単位重量当たりの個数を算出して評価した。
【0069】
(3)熱間加工性の評価
熱間加工性の評価は次のように行った。即ち、連続鋳造設備による製造条件を模擬するために、前述と同様に作製した150kg鋼塊の表面部に近いDi/8(Diは鋼塊の直径)の位置を中心として、鋼塊高さ方向から直径10mm、長さ130mmの高温引張試験片を採取した。これを、固定間隔を110mmとした上で直接通電によって1250℃まで加熱し、5分保持後、10℃/秒の冷却速度で1100℃まで冷却し、さらに10秒保持した後、歪み速度10−3/秒にて引張試験を行った。その際、破断部の絞りを測定して熱間加工性を評価した。
【0070】
以上の試験結果を表3および表4に示す。また、図2に切り屑処理性と工具寿命との関係、図3に熱間引張試験の絞り値と工具寿命の関係をそれぞれ示す。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
表2の鋼No.30と31は複合快削鋼、鋼No.32は硫黄快削鋼で、これまで被削性に最も優れるものとされていた鋼(JIS SUM23LまたはSUM23相当材)である。表3、表4および図2から明らかなように、これらと比較しても本発明鋼は格段に優れた工具摩耗抑制効果を有している。 さらに、鋼No.1〜29の本発明鋼では鍛造時に割れを起こすことが一切なく、連続鋳造設備等による実用的な製造を模擬した高温引張試験による絞りも、表3に示すとおり、複合快削鋼や硫黄快削鋼と同等以上であって実用的には何ら問題がない。
【0074】
一方、鋼No.30〜47のように本発明で規定する条件の一つでも外れているものは、熱間延性、工具寿命、切屑処理性のうち少なくとも一つが本発明鋼に比べて劣っている。なお、鋼No.41と42ではMnとSが前記(2)式を満たさないために熱間加工性が劣悪となっている。
【0075】
【発明の効果】
本発明の快削鋼は、Pbを含有しないにもかかわらず、従来の鉛快削鋼および複合快削鋼のいずれにも勝る被削性を有している。この鋼は、熱間加工性にも優れ、連続鋳造法によって安価に製造できる。従って、各種機械部品の素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼で観察されたTi硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSのEPMA分析結果を示す図である。
【図2】本発明鋼(鋼No.1〜29)と比較鋼(鋼No.30〜47)における切り屑処理性と工具寿命との関係を示す図である。
【図3】:本発明鋼(鋼No.1〜29)と比較鋼(鋼No.30〜47)における熱間延性試験による絞りと工具寿命との関係を示す図
Claims (5)
- 質量%で、C:0.05〜0.19%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜0.50%、Ti:0.03〜0.30%、Si:1.0%以下、P:0.001〜0.3%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.0010〜0.050%およびN:0.0001〜0.0200%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、TiとSの含有量が下記(1)式を満たし、MnとSの原子比が下記(2)式を満たし、かつ、Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
Ti(質量%)/S(質量%)<1 ・・・(1)
Mn/S≧1 ・・・(2) - 質量%で、C:0.05〜0.19%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜0.50%、Ti:0.03〜0.30%、Si:1.0%以下、P:0.001〜0.3%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.0010〜0.050%、N:0.0001〜0.0200%、ならびにSe:0.001〜0.01%、Te:0.001〜0.01%、 Sn:0.005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%および希土類元素:0.0005〜0.01%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、TiとSの含有量が下記(1)式を満たし、MnとSの原子比が下記(2)式を満たし、かつ、Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
Ti(質量%)/S(質量%)<1 ・・・(1)
Mn/S≧1 ・・・(2) - 質量%で、C:0.05〜0.19%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜0.50%、Ti:0.03〜0.30%、Si:1.0%以下、P:0.001〜0.3%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.0010〜0.050%、N:0.0001〜0.0200%、ならびにCu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜2.5%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.1%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、TiとSの含有量が下記(1)式を満たし、MnとSの原子比が下記(2)式を満たし、かつ、Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
Ti(質量%)/S(質量%)<1 ・・・(1)
Mn/S≧1 ・・・(2) - 質量%で、C:0.05〜0.19%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.21〜0.50 %、Ti:0.03〜0.30%、Si:1.0%以下、P:0.001〜0.3%、Al:0.2%以下、O(酸素):0.0010〜0.050%、N:0.0001〜0.0200%、ならびにSe:0.001〜0.01%、Te:0.001〜0.01%、 Sn:0.005〜0.3%、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%および希土類元素:0.0005〜0.01%からなる群から選んだ1種または2種以上と、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜2.5%、Mo:0.01〜1.0%、V:0.005〜0.5%およびNb:0.005〜0.1%からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、TiとSの含有量が下記(1)式を満たし、MnとSの原子比が下記(2)式を満たし、かつ、Ti硫化物または/およびTi炭硫化物が内在するMnSを含有することを特徴とする低炭素硫黄快削鋼。
Ti(質量%)/S(質量%)<1 ・・・(1)
Mn/S≧1 ・・・(2) - Si含有量が0.1質量%未満である請求項1から4までのいずれかに記載の低炭素硫黄快削鋼。
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