JP7189053B2 - 非調質鍛造用鋼および非調質鍛造部品 - Google Patents
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Description
C :0.40質量%~0.60質量%、
Si:0質量%超、1.0質量%以下、
Mn:0.01質量%~0.70質量%、
P :0質量%超、0.20質量%以下、
S :0質量%超、0.20質量%以下、
Cr:0.01質量%~1質量%、
Al:0質量%超、0.020質量%以下、
V :0.30質量%~0.38質量%、
N :0質量%超、0.0080質量%以下、
Ca:0質量%超、0.030質量%以下、
Ti:0.004質量%以上、0.030質量%以下、および
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
円相当直径が5μm以上の全酸化物系介在物の平均組成が、下記式(1)~(4)を満たす非調質鍛造用鋼である。
[CaO]/[SiO2]≧0.45 ・・・(1)
[Al2O3]/[SiO2]≧0.30 ・・・(2)
[MgO]/[SiO2]≧0.02 ・・・(3)
[TiO2]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO]+[TiO2]) > 0.05 ・・・(4)
上記式(1)~(4)において、[CaO]、[SiO2]、[Al2O3]、[MgO]、[TiO2]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Ca、Si、Al、Mg、Ti)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。
[Al2O3]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO])≦0.40 ・・・(5)
上記式(5)において、[Al2O3]、[SiO2]、[CaO]、[MgO]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Al、Si、Ca、Mg)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。
0.05<[TiO2/(SiO2+CaO+Al2O3+MgO+TiO2)]≦0.30 ・・・(6)
上記式(6)において、TiO2、SiO2、CaO、Al2O3、MgOはそれぞれ、各酸化物系介在物の組成を単独酸化物に質量換算した値を示す。
態様1~3のいずれかに記載の非調質鍛造用鋼を製造する方法であって、
鋼の溶製工程を経た後に鋳造し、その後、熱間圧延する工程を含み、
前記溶製工程で、溶鋼中へのTi添加からCa添加までの時間を5分間以上とし、Ca添加から鋳込み開始までの時間を10分間以上とする非調質鍛造用鋼の製造方法である。
まず本発明の製造条件で製造した本発明鋼は、TiOxが生成することを確認した。なお特許文献1の介在物の主成分であるメリライトは、ゲーレナイト(Ca2Al2SiO7)とオケルマナイト(Ca2MgSi2O7)を端成分とする固溶体であり、Caを置換してNa,Kが含まれ、Al,Si,Mgを置換してFe3+,Fe2+なども含まれると言われており、本発明鋼に含まれる酸化物系介在物とは異なる。
ここで、酸化物にTiが含まれる場合、例えば非結晶状態においてTiは、Siのように安定して網目を形成する元素でなく、一方でCaのような修飾体でもなく、酸化物の組成範囲によって複雑な挙動を取る。これにより、TiOxが存在する場合における介在物の軟化および結晶化挙動への影響は単純でなく、有用知見も極めて乏しい。
[CaO]/[SiO2]≧0.45 ・・・(1)
[Al2O3]/[SiO2]≧0.30 ・・・(2)
[MgO]/[SiO2]≧0.02 ・・・(3)
[TiO2]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO]+[TiO2]) > 0.05 ・・・(4)
上記式(1)~(4)において、[CaO]、[SiO2]、[Al2O3]、[MgO]、[TiO2]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Ca、Si、Al、Mg、Ti)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。
[Al2O3]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO])≦0.40 ・・・(5)
上記式(5)において、[Al2O3]、[SiO2]、[CaO]、[MgO]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Al、Si、Ca、Mg)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。
0.05<[TiO2/(SiO2+CaO+Al2O3+MgO+TiO2)]≦0.30 ・・・(6)
上記式(6)において、TiO2、SiO2、CaO、Al2O3、MgOはそれぞれ、各酸化物系介在物の組成を単独酸化物に質量換算した値を示す。
Cは、強度の確保に必要な元素であり、Cが少なすぎると強度が低下する。こうした観点から、C含有量は0.40質量%以上とする必要がある。C含有量は、好ましくは0.45質量%以上であり、より好ましくは0.48質量%以上である。しかしながら、C含有量が過剰になると、強度が必要以上に高くなり、被削性及び製造性が劣化する。こうした観点から、C含有量は0.60質量%以下とする必要がある。C含有量は、好ましくは0.58質量%以下であり、より好ましくは0.56質量%以下である。更に0.54質量%以下、より更には0.52質量%以下としてもよい。
Siは、鋼溶製時の脱酸元素として有用であると共に、鍛造部品の強度を高めるためにも有用な元素である。また、介在物中に酸化物として存在することでベラーグ(工具保護膜)生成などの効果により被削性を高める効果も有する。これらの効果を発揮させるため、Si含有量は0質量%超とする。Si含有量は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.15質量%以上である。しかしながら、Si含有量が過剰になると、強度が必要以上に高くなり被削性が劣化する。また、熱間圧延と熱間鍛造で生じるスケールの生成量が増加し、工具摩耗の原因にもなる。よってSi含有量は、1.0質量%以下とする必要がある。Si含有量は、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下である。更に0.50質量%以下、より更には0.30質量%以下としてもよい。
Mnは、固溶強化による鋼材の強度確保に有用な元素である。よって、Mn含有量は0.01質量%以上とする。Mn含有量は、好ましくは0.10質量%以上であり、より好ましくは0.20質量%以上である。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、ベイナイトなどの過冷組織が生成し、耐力が却って低下する。よって、Mn含有量は0.70質量%以下とする必要がある。Mn含有量は、好ましくは0.60質量%以下、より好ましくは0.55質量%以下、更に好ましくは0.50質量%以下である。
Pは、連続鋳造時に割れなどの鋳造欠陥を誘発しうる元素である。こうした観点から、P含有量は0.20質量%以下とする。P含有量は、好ましくは0.10質量%以下であり、より好ましくは0.030質量%以下、更に好ましくは0.020質量%以下、より更に好ましくは0.010質量%以下である。
Sは被削性確保に有用な元素である。具体的にSは、鋼中にほとんど固溶せず、例えばMnS等の硫化物を形成し、切削時に該硫化物へ応力が集中することで切り屑が分離し易くなり、被削性を高める効果を有する。この効果を十分発揮させるため、S含有量を0質量%超とする。S含有量は、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.020質量%以上である。一方、過剰のSは、連続鋳造時の割れ、熱間鍛造時の割れ、疲労強度の低下、及び欠けの誘発の原因となる。よって、S含有量は0.20質量%以下とする必要がある。S含有量は、好ましくは0.070質量%以下、より好ましくは0.050質量%以下、さらに好ましくは0.040質量%以下である。
Crは、固溶強化による鋼材の強度確保に有用な元素である。よって、Cr含有量は0.01質量%以上とする。Cr含有量は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.10質量%以上である。Cr含有量は、更に0.20質量%以上、より更には0.30質量%以上、特には0.40質量%以上とすることができる。しかしながら、Cr含有量が過剰になると、ベイナイトなどの過冷組織が生成し、却って耐力が低下してしまう。こうした観点から、Cr含有量は1質量%以下とする必要がある。Cr含有量は、好ましくは0.80質量%以下であり、より好ましくは0.70質量%以下、さらに好ましくは0.60質量%以下である。
Alは、鋼溶製時の脱酸に有用な元素である。また溶製時、Alと共に適量のSi、Caが溶鋼中に存在することで被削性の確保に有用な複合酸化物が形成される。これらの観点から、Al含有量を0質量%超とする。Al含有量を0.001質量%以上としてもよい。しかしながら、Al含有量が過剰になると、硬質な酸化物が形成されて被削性が阻害される。こうした観点から、0.020質量%以下、好ましくは0.010質量%以下とする。
Vは、強度の確保に必要な元素であるため、V含有量は0.30質量%以上とする必要がある。V含有量は、好ましくは0.31質量%以上、より好ましくは0.32質量%以上である。しかしながら、V含有量が過剰になると、上記の効果が飽和し添加コストに見合わなくなる。また、連続鋳造性の低下が生じやすくなる。こうした観点から、V含有量は0.38質量%以下とする必要がある。V含有量は、好ましくは0.37質量%以下であり、より好ましくは0.36質量%以下である。
Nは不可避的不純物であり、通常の製鋼技術では約0.0030質量%以上は混入しうる。Nを添加しても構わないが、N含有量が過剰になると、製造性の劣化、特に熱間加工性が阻害される。こうした観点から、N含有量は0.0080質量%以下とする必要がある。N含有量は、好ましくは0.0070質量%以下、より好ましくは0.0060質量%以下である。
Caは介在物中に酸化物として存在することでベラーグ(工具保護膜)生成などの効果により被削性を高める効果を有する。またCaは、硫化物系介在物を球状化して脆化を促進させて被削性を高める効果も有する。これらの効果を発揮させるため、Ca含有量を0質量%超とする。Ca含有量は、好ましくは0.0003質量%以上であり、より好ましくは0.0005質量%以上である。しかしCaを過剰に添加しても上記効果が飽和するため、コスト上昇を招く。こうした観点から、Ca含有量は、0.030質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.010質量%以下であり、更に好ましくは0.005質量%以下であり、より更に好ましくは0.003質量%以下である。
Tiは、固溶強化により高強度の確保に有用な元素である。また、TiがNとTiNを形成し析出することで、粒界に生成するVNが相対的に抑制されて高温延性を著しく改善でき、表面割れのリスクを回避することができる。さらに、TiOx含有酸化物系介在物、好ましくは低TiOx含有酸化物系介在物として存在することにより、耐工具摩耗性を十分高めることができる。上記効果を発揮させるため、Ti含有量を0.004質量%以上とする。Ti含有量は、好ましくは0.005質量%以上である。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、硬質介在物が形成されて被削性が劣化しやすくなる。こうした観点から、Ti含有量は0.030質量%以下とする。Ti含有量は、より好ましくは0.028質量%以下であり、更に好ましくは0.027質量%以下である。より更に好ましくは0.025質量%以下である。
Ni:0質量%超、0.2質量%以下、
Mo:0質量%超、0.2質量%以下、および
Nb:0質量%超、0.2質量%以下
よりなる群から選択される1種以上の元素
これらの元素は、非調質鍛造部品と非調質鍛造用鋼を構成する鋼材の更なる強度向上に有用な元素である。以下、各元素について説明する。
Cuを含むことによって、鋼材の焼入れ性を向上でき、鋼材の安定した強度を得ることができる。この効果を得るには、Cu含有量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。しかしながら、Cu含有量が過剰になると、熱間加工性が阻害されるため、製造性が劣化する。こうした観点から、Cu含有量は0.2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.15質量%以下であり、更に好ましくは0.10質量%以下である。
Niを含むことによって、鋼材の焼入れ性を向上でき、鋼材の安定した強度を得ることができる。この効果を得るには、Ni含有量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。しかしながら、Ni含有量が過剰になると、鋼材の靭性が高まりすぎて、例えば破断分離型コンロッドの製造時に嵌合性良く分離することが難しくなる。こうした観点から、Ni含有量は0.2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.15質量%以下であり、更に好ましくは0.10質量%以下である。
Moを含むことによって、鋼材の焼入れ性を向上でき、鋼材の安定した強度を得ることができる。この効果を得るには、Mo含有量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。しかしながら、Mo含有量が過剰になると、強度が過剰に高くなり被削性が劣化する。こうした観点から、Mo含有量は0.2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.15質量%以下であり、更に好ましくは0.10質量%以下である。
Nbを含むことによって、鋼材の強度が向上する。この効果を得るには、Nb含有量を0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。しかしながら、Nb含有量が過剰になると、強度向上効果が飽和するため、効果が合金コストに見合わなくなる。こうした観点から、Nb含有量は0.2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.15質量%以下であり、更に好ましくは0.10質量%以下である。
Te:0質量%超、0.20質量%以下、
Sn:0質量%超、0.20質量%以下、
Zr:0質量%超、0.20質量%以下、および
B:0質量%超、0.02質量%以下
よりなる群から選択される1種以上の元素
これらの元素は、被削性の更なる向上に有用な元素である。以下、各元素について説明する。
Pb、Te、Sn、Zrは、鋼中にほとんど固溶せず、溶融脆化やMnSの球状化などの効果により被削性を高める効果を有する。この効果を発揮させるべく上記元素を含有させる場合、各元素の含有量を、0質量%超とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。しかしながら、過剰なPb、Te、Sn、Zrは、連続鋳造で生じる鋳片の割れ、熱間鍛造で生じる鍛造部品の割れ、および疲労強度低下の原因となる。よって、各元素の含有量は0.20質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.10質量%以下であり、更に好ましくは0.05質量%以下である。
Bは、Nが十分に存在する場合にBNを形成し、このBNが工具との潤滑作用をもたらして被削性を高める。良好な被削性を得るため、Bを0.0001質量%以上含有させてもよい。より好ましくは0.0005質量%以上である。しかしながら、過剰にBが含まれると、Bが固溶してベイナイトが発生し易くなる。よって、B含有量は、好ましくは0.02質量%以下であり、より好ましくは0.015質量%以下、更に好ましくは0.010質量%以下である。
本発明の非調質鍛造用鋼の製造方法は、鋼の溶製工程を経た後に鋳造し、その後、熱間圧延する工程を含むものであって、前記溶製工程で、(i)溶鋼中へのTi添加からCa添加までの時間を5分以上とし、(ii)Ca添加から鋳込み開始までの時間を10分以上とする点に特徴を有する。
表1のNo.1は、実機を用いて、溶製してから、鋳造し、次いで分塊圧延を1100℃~1250℃の範囲内で行った。
前記特性評価用試験片を用いて、酸化物系介在物の組成を求めた。詳細には以下の通りである。
まず図1aに示す通り、前記特性評価用試験片の直径x-x線を含む面を観察できるように切断した。図1bはx-x線断面図であり、図1bに示される通り、短辺端から5mm内部であって、長辺端から4.5mmの位置Xを測定スタート位置として、矢印の通り長辺と平行の方向に13mm以上のラインを分析した。分析では、日本電子データム製の電子線マイクロプローブX線分析計(Electron Probe X-ray Micro Analyzer:EPMA 商品名「JXA-8500F」)を用い、円相当径が5μm以上の酸化物系介在物について成分組成を定量分析した。
このとき、観察面積を30mm2(研磨面)以上とし、介在物の中央部での成分組成を特性X線の波長分散分光により定量分析した。分析対象元素はN、O、Na、Mg、Al,Si,S,K,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zrとした。既知物質を用いて各元素のX線強度と元素濃度の関係を予め検量線として求めておき、分析対象とする上記介在物から得られたX線強度と上記検量線から各試料に含まれる元素量を定量し、O(酸素)が10質量%以上検出された介在物を酸化物系介在物とした。この酸化物系介在物において、検出されたMg、Al、Si、Ca、TiがそれぞれMgO、Al2O3、SiO2、CaO、TiO2として存在すると仮定し、酸化物の組成とした。
前記特性評価用試験片を用いて硬さを測定した。図2aに示す通り、前記特性評価用試験片の端から10mmのy-y線で切断し、図2bに示す通り、切断断面において、表層から4.5mm位置Yの硬さを測定した。詳細には、JIS Z 2244(2009)のビッカース硬さ試験-試験方法に準じて、ビッカース硬さ試験機を用い、荷重5kgfの条件で上記位置を測定した。測定はN=5にて実施し、平均値を求めた。その結果を表2に示す。本発明では、ビッカース硬さが350HV以上の場合を高強度と評価した。
被削性は、被削試験によって評価した。被削試験では、試験機としてNC旋盤を用い、上記特性評価用試験片(直径27mm×長さ200mmの試験片)に対し、下記の切削試験条件で旋盤加工を行った。そして、切削に用いたサーメット工具の逃げ面において、5000m切削後の最大摩耗量(Vbmax)を求めた。その結果を表2に示す。本発明では、Vbmaxが150μm以下の場合を被削性に非常に優れていると評価し、Vbmaxが150μm超、250μm以下の場合を被削性により優れていると評価し、Vbmaxが250μm超、400μm以下の場合を被削性に優れていると評価し、Vbmaxが400μm超の場合を被削性に劣ると評価した。
切削試験(外周旋削試験)条件
工具:サーメット(タンガロイ DNMA150404-NS520)
ホルダ:DJNR/L 2525
切削速度:200m/min
送り速度:0.1mm/rev
切り込み量:0.5mm
潤滑:WET
前記角棒を切削し、該角棒の長手方向の中央部、幅方向の中央部および厚さ方向の中央部のいずれも含む部位から、平行部が直径6mm×長さ15mmで全長が68mmである引張試験片を得た。上記引張試験片の採取では、引張試験片の長手方向と、角棒片の長手方向が一致するようにした。また、引張試験で加える引張力も上記長手方向と同一の向きとした。高温延性試験は、Ar雰囲気中で1300℃に一旦加熱保持した後、800℃まで5℃/secで冷却し、800℃に保持した状態において、引張速度0.01mm/secで引張力を試験片が破断するまで与え、破断後は急冷し、試験片の破断後の絞り値を計測した。その結果を表2に示す。本発明では、連続鋳造性の指標として絞り値が17%以上のものを合格とした。
Claims (5)
- 成分組成が、
C :0.40質量%~0.60質量%、
Si:0質量%超、1.0質量%以下、
Mn:0.01質量%~0.70質量%、
P :0質量%超、0.20質量%以下、
S :0質量%超、0.20質量%以下、
Cr:0.01質量%~1質量%、
Al:0質量%超、0.020質量%以下、
V :0.30質量%~0.38質量%、
N :0質量%超、0.0080質量%以下、
Ca:0質量%超、0.030質量%以下、
Ti:0.004質量%以上、0.030質量%以下、および
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
円相当直径が5μm以上の全酸化物系介在物の平均組成が、下記式(1)~(4)を満たす非調質鍛造用鋼。
[CaO]/[SiO2]≧0.45 ・・・(1)
[Al2O3]/[SiO2]≧0.30 ・・・(2)
[MgO]/[SiO2]≧0.02 ・・・(3)
[TiO2]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO]+[TiO2]) > 0.05 ・・・(4)
上記式(1)~(4)において、[CaO]、[SiO2]、[Al2O3]、[MgO]、[TiO2]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Ca、Si、Al、Mg、Ti)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。 - 円相当直径が5μm以上の全酸化物系介在物の平均組成が、下記式(5)を満たす請求項1に記載の非調質鍛造用鋼。
[Al2O3]/([SiO2]+[CaO]+[Al2O3]+[MgO])≦0.40 ・・・(5)
上記式(5)において、[Al2O3]、[SiO2]、[CaO]、[MgO]はそれぞれ、全酸化物系介在物に含まれる各元素(Al、Si、Ca、Mg)の合計含有量を、各元素の酸化物に質量換算した値を示す。 - 円相当直径が5μm以上の全酸化物系介在物に占める、下記式(6)を満たす低TiOx含有酸化物系介在物の個数割合が、20%以上である請求項1または2に記載の非調質鍛造用鋼。
0.05<[TiO2/(SiO2+CaO+Al2O3+MgO+TiO2)]≦0.30 ・・・(6)
上記式(6)において、TiO2、SiO2、CaO、Al2O3、MgOはそれぞれ、各酸化物系介在物の組成を単独酸化物に質量換算した値を示す。 - 請求項1~3のいずれかに記載の非調質鍛造用鋼を用いてなる非調質鍛造部品。
- 請求項1~3のいずれかに記載の非調質鍛造用鋼を製造する方法であって、
鋼の溶製工程を経た後に鋳造し、その後、熱間圧延する工程を含み、
前記溶製工程で、溶鋼中へのTi添加からCa添加までの時間を5分間以上とし、Ca添加から鋳込み開始までの時間を10分間以上とする非調質鍛造用鋼の製造方法。
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