JP3255612B2 - 超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材 - Google Patents

超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、機械加工性に優
れた超快削鋼棒線材の製造技術に関するものであって、
制御圧延により棒線材に黒鉛粒の析出を促進させ、次い
で制御冷却により上記黒鉛粒を成長させることにより、
金属組織を軟質なフェライトとパーライト、又はフェラ
イト単相からなるものにして、無鉛の超快削鋼棒線材を
製造する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の被削性に優れた超快削鋼として
は、硫黄及び鉛を複合添加したJISG 4804のS
UM24LやSUM31Lが代表的なものである。これ
ら超快削鋼は強度、靱性よりも被削性が重視されるもの
であるが、これらに求められる被削性としては、外周部
の旋削加工やドリル等の工具による鋼材断面中心の穴明
け加工性に優れていることが重要であり、長い工具寿命
と共に、切り屑処理性の優れていることが求められる。
【0003】切削工具の寿命が短いと、頻繁に工具を交
換しなければならず、生産性を阻害すし、工具は高価な
ものであるから、コストアップの要因になる。また、切
り屑が適当に細かく分断しないと穴からの切り屑排出性
が悪く、ドリル等の工具折損の原因となる。また、最近
は自動盤により無人で機械加工されることが多く、切り
屑が長くつながって絡まってしまうと、機械の停止や切
り屑を取り除くための余計な作業を行なう必要が生じ、
生産性を低下させることになる。そのため、工具の寿命
が長いことと共に、切り屑が適当な大きさに細かく分断
するような、切り屑処理性に優れた快削鋼が求められて
いる。
【0004】これら工具寿命及び切り屑処理性の改善の
ために、従来はSUM23L、SUM24Lにみられる
ように、硫黄、燐複合快削鋼に更に、快削元素である鉛
を0.10〜0.35%添加して被削性を向上させてき
た。
【0005】Pbの融点は327℃と低いので、切削中
にPbが溶融して鋼が脆化し、切り屑処理性を向上させ
る。またPbの潤滑作用も加わり、工具の寿命が伸び
る。しかしながら、快削鋼におけるPbの使用は、Pb
ヒュームが発生する等の環境衛生上の問題から、今日無
鉛の超快削鋼が求められている。
【0006】鋼材の被削性を向上させる元素としては、
Pbの他にS、Ca、Bi、Se及びTe等の元素が知
られているが、これら元素は単独では、被削性改善効
果が小さい、高価である、環境衛生上問題がある、
といった欠点を少なくとも1つは有しているために、鉛
代替の元素として使用することには制限を受ける。
【0007】例えば、Sは被削性の改善に効果はある
が、Sを多量に添加すると熱間加工方向に長く伸びたM
nSが多量に形成されて、機械的性質に異方性を生じさ
せたり、靱性を低下させたりする等の問題がある。この
ため従来のSUM24L、SUM31Lにおいては、熱
間圧延に際して先端割れを起こし易く、圧延トラブルの
原因となっていた。このトラブルを回避するため圧延前
鋼片の先端を鉛筆の先端形状のように細く削る等の煩雑
な作業をする必要があった。またSUM24L、SUM
31Lは低炭素鋼であるため、機械加工した部品に耐摩
耗性を付与する場合は、900℃前後で数時間という長
時間の浸炭焼入れを施す必要があった。
【0008】一方、黒鉛は鋳鉄にみられるように、被削
性を極めて向上させる元素である。しかしながら、鋼に
炭素を添加するとセメンタイトを析出するので、黒鉛を
得るのは容易ではない。従来の発明における炭素濃度
0.10〜1.5%を有する鋼の場合には、例えば特開
平2−107742号公報(以下、先行技術1という)
や、特開平3−140411号公報(以下、先行技術2
という)には、600〜800℃の温度で数時間〜20
0時間という長時間の焼鈍を行なって黒鉛を析出させる
鋼材、又はそのような鋼材の製造方法が開示されてい
る。
【0009】しかしながら、このように長時間の黒鉛化
熱処理はコストの増大を招くのみならず、熱処理中に鋼
材に脱炭を起こし、最終部品の性能に悪影響を及ぼすと
いった弊害が生ずる。そこで、黒鉛化熱処理を施すこと
なく、機械加工性に優れた無鉛の超快削鋼が望まれてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術1、
2には下記問題点のいずれかが未解決となっている。 問題点1:使用されている快削元素には毒性があり、環
境対策上問題がある。 問題点2:多量のS、Pを複合して含有しているため、
熱間加工性が劣り、圧延前鋼片に先端割れ防止のための
特殊な機械加工を必要とする。 問題点3:耐摩耗性を向上させるため、長時間の浸炭焼
入れを行う必要がある。 問題点4:毒性のない快削元素として炭素を利用し、黒
鉛として析出させることにより、被削性を向上させるこ
とができるが、長時間の黒鉛化焼鈍を施さねばならず、
コストが嵩む。
【0011】この発明では上記問題点を解決して、高水
準の機械加工性を確保しつつ自動車や産業機械の部品類
を製造するために、黒鉛化熱処理を施すことなく制御
圧延−制御冷却により、機械加工性に優れ、高周波
焼入れで表面を硬化させることができ、安価で且つ無
鉛の環境衛生上問題のない棒線材を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から、鉛を添加することなく、従来の硫黄鉛複合快
削鋼と同等あるいはそれを上回る機械加工性に優れた超
快削鋼を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、次の
知見を得た。
【0013】即ち、黒鉛化熱処理を省略して、制御圧延
−制御冷却により黒鉛を析出成長させるためには、鋼の
成分組成に関しCを1.00%超添加して過共析鋼と
し、黒鉛化促進のためSiを1.00%以上と高めとす
る。また鋼の延性を確保するため適量のMnを添加し、
且つP及びSといった不純物元素を低位に抑えた鋼を調
製する。次いで上記化学成分を有する鋳片又は分塊圧延
鋼片を調製し、この鋳片又は鋼片を所定の加熱温度、最
終仕上温度で棒線材に熱間圧延した後、所定の冷却速度
でゆっくり冷却する。制御圧延により転位等の格子欠陥
が鋼材に多数導入され、黒鉛の析出を促進する。その後
の徐冷により黒鉛は大きく成長し、黒鉛の成長に伴って
金属組織に占めるフェライトの割合は高くなって、軟質
なフェライト+パーライト組織になり、十分ゆっくり冷
却した場合にはフェライト単相になる。
【0014】これによって、鉛を添加することなく、従
来硫黄鉛複合快削鋼に較べて同等以上の超快削鋼棒線の
製造が可能であることを見いだした。この発明は上記知
見に基づきなされたものであって、下記特徴を有するも
のである。
【0015】請求項1記載の発明は、重量%で、C :
1.00超〜1.50%、Si:1.00〜2.80
%、Mn:0.01〜2.00%、P :0.050%
以下、S :0.10%以下、O :0.0050%以
下、及び、N :0.020%以下を含有し、残部鉄
(Fe)及び不可避的不純物からなる化学成分組成を有
し、下記(1)式で求められる黒鉛化指数CEが1.3
0以上である鋳片又は鋼片を、850〜1150℃の範
囲内の温度に加熱し、熱間圧延し、前記熱間圧延におけ
る圧延機群の間で中間水冷を施すことにより最終仕上温
度を700〜950℃の範囲内として棒線材に圧延し、
こうして得られた熱間圧延棒線材の前記最終仕上温度か
ら600℃までの間を平均冷却速度60℃/min以下
で冷却し、前記熱間圧延棒線材中に平均粒径1.0μm
以上の黒鉛を100個/mm2以上析出させ、且つその
金属組織を70%以上のフェライトと残部パーライトと
からなるか、又はフェライトのみからなるものにし、し
かもそのビッカース硬さを200以下に調整することに
特徴を有するものである。
【0016】 CE=C+Si/3−Mn/12 -----------------------------(1) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす。な
お、黒鉛は地鉄中の炭素を凝集することにより成長する
ので、フェライトは黒鉛のまわりに層状のセメンタイト
を浸食するような形で析出する。中心部は成分偏析によ
り黒鉛化指数CEが高くなっているので、一層黒鉛の析
出が促進され、黒鉛の量が多いと共に、フェライト量が
多くその周囲より軟質となる。
【0017】以上の処理により、ビッカース硬さが20
0以下の軟質なものとして、機械加工性に優れた超快削
鋼棒線材を得ることができる。請求項2記載の超快削鋼
棒線材の製造方法は、特に、棒線材の直径が細く、その
まま空冷した場合には60℃/min以下の冷却速度で
徐冷できない場合に適用する。即ち、請求項1記載の発
明において、前記熱間圧延棒線材を前記最終仕上温度か
ら600℃まで冷却するに際して、当該熱間圧延棒線材
をカバーで覆い、上記温度区間の平均冷却速度を60℃
/min以下とすることに特徴を有するものである。
【0018】請求項3記載の超快削鋼棒線材の製造方法
は、請求項1又は2記載の発明において、前記鋳片又は
鋼片として、更に下記元素の成分組成からなる群から選
ばれた1種以上を付加して含有し、且つ、前記黒鉛化指
数CEの算出式の代わりに下記(2)式を用いることに
特徴を有するものである。ここで、上記元素の成分組成
からなる群とは、重量%で、Cu:0.01〜2.0
%、Ni:0.01〜1.0%、Co:0.01〜0.
50%、Cr:0.01〜0.50%、Mo:0.01
〜0.50%、及び、B:0.0005〜0.010%
である。そして、(2)式とは、 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9 −Cr/9−Mo/9+B -----------------------------(2) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす、を
指す。
【0019】請求項4記載の超快削鋼棒線材の製造方法
は、請求項1、2又は3記載の発明において、前記鋳片
又は鋼片として、更に下記元素の成分組成からなる群か
ら選ばれた1種以上を付加して含有し、且つ、前記黒鉛
化指数CEの算出式の代わりに下記(3)式を用いるこ
とに特徴を有するものである。ここで、上記元素の成分
組成からなる群とは、重量%で、Al:0.001〜
0.10%、Ti:0.005〜0.050%、Zr:
0.005〜0.050%、V:0.01〜0.20
%、及び、Nb:0.01〜0.20%である。そし
て、(3)式とは、 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9−Cr/9 −Mo/9+B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 -----------------------------(3) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす、を
指す。
【0020】請求項5記載の超快削鋼棒線材の製造方法
は、請求項1〜4記載の発明の内いずれかの方法におい
て、前記鋳片又は鋼片として、更に下記元素の成分組成
からなる群から選ばれた1種以上を付加して含有し、且
つ、前記黒鉛化指数CEの算出式の代わりに下記(4)
式を用いることに特徴を有するものである。ここで、上
記元素の成分組成からなる群とは、重量%で、Ca:
0.0010〜0.0100%、Mg:0.0010〜
0.10%、及び、REM:0.0010〜0.10%
である。そして、(4)式とは、 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9−Cr/9 −Mo/9+B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 +0.07 -----------------------------(4) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす、を
指す。
【0021】請求項6記載の超快削鋼棒線材は、請求項
1〜5記載の発明の内いずれかの方法によって製造され
たものであることに特徴を有するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明は、高Siの過共析炭素
鋼、及びその低合金鋼を素材として、制御圧延により低
めの温度で熱間圧延を終了した棒線材を、所定の冷却速
度以下で徐冷することにより、黒鉛を析出成長させ、金
属組織を軟質なフェライト+パーライト、又はフェライ
ト単相の組織とするものである。即ち、適切な鋼の成分
組成を見いだし、上記簡単な工程により、黒鉛化熱処理
を施すことなく、無鉛の機械加工性に優れた超快削鋼部
品を製造するものである。
【0023】次に、本発明の構成要件とその限定理由に
ついて説明する。 (1)炭素(C) Cは黒鉛を析出させ、強度を確保するために重要な元素
である。黒鉛化熱処理を行なわずに制御圧延−制御冷却
のみにより、黒鉛を析出させるには、C含有率を1.0
0%超を必要とする。しかしながら、C含有率が1.5
0%を超えると、熱間延性の低下が大きく、棒圧延に際
して表面疵の発生が増大する。また徐冷後に析出する黒
鉛粒が粗大になり、靱性を低下させる。従って、C含有
率は1.00超〜1.50%の範囲内に限定する。
【0024】(2)珪素(Si) Siは本発明において重要な役目を果たす元素である。
即ち、Siはセメンタイトの黒鉛化を促進する元素であ
る。しかし、1.00%未満ではその効果は小さい。一
方、Siが2.80%を超えると非金属介在物が増大し
て靱性の低下を招くのみならず、熱間圧延のための加熱
において脱炭を大きくする。従って、Si含有量は1.
00〜2.80%の範囲内に限定する。
【0025】(3)マンガン(Mn) Mnは鋼中のSをMnSとして無害化して、鋼の熱間延
性を向上させる。この目的で用いるので、Mnは0.0
1%以上の添加を必要とする。しかし、Mnは黒鉛の析
出を阻害する元素であり、2.00%を超えると黒鉛の
析出が困難になると共に、熱間延性も低下する。なお、
Mn含有率を低めにすれば黒鉛化のために必要なSiの
量を低減させることができる。Mn含有率が高めの場合
には部品に高い強度及び靱性を付与することができる。
そこで、Mn含有率は0.01〜2.00%の範囲内に
限定する。
【0026】(4)燐(P) Pは黒鉛化を促進する元素である。しかし、Pは粒界に
偏析して熱間延性を低下させ、表面疵の発生を助長す
る。このような悪影響を防ぐために、P含有率は0.0
50以下に限定する。一層望ましくは0.030%以下
にする。
【0027】(5)硫黄(S) Sは黒鉛化を大きく阻害する元素であり、その含有率が
0.100%を超えると、Si等の黒鉛化促進元素を多
量に添加する必要があり、また熱間延性の低下を招く。
従って、S含有率は0.100%以下に限定する。一層
望ましくは0.050%以下にするのがよい。
【0028】(6)酸素(O) Oは鋼の清浄性を低下させると共に、黒鉛化を阻害する
元素であるので出来るかぎり低く抑えるべきである。し
かしO含有率は0.0050%までは許容される。そこ
で、O含有率は上限を0.0050%とする。一層望ま
しくは0.0030%以下にする方がよい。
【0029】(7)窒素(N) Nは単独で鋼中に存在すると、黒鉛化を阻害する。N含
有率が0.020%を超えると、黒鉛の析出が困難にな
る他、鋼の凝固中に窒素ガスの発生によりブローホ─ル
が多数形成されて、圧延後の表面疵の原因になる。従っ
て、N含有率は0.020%以下にする。一層望ましく
は0.010%以下にする。
【0030】(8)銅(Cu) Cuは黒鉛の析出を促進し、且つフェライトに固溶して
強度を高める。この目的でCuを利用するするので、
0.01%以上の添加を必要とする。しかし、Cu含有
率が2.0%を超えると、鋼中への固溶限を超えるので
未固溶Cuが残存し、熱間延性を低下させ、表面疵の発
生を助長する。従って、Cu含有率は0.01〜2.0
%の範囲内にするのが望ましい。
【0031】(9)ニッケル(Ni) NiもCuと同様に、黒鉛の析出を促進させると共に、
フェライトに固溶して鋼の靱性を高める。これらの目的
で添加するので、Niは0.01%以上の添加を必要と
する。しかし2.0%を超えて添加すると効果が飽和す
るのみならず、熱間延性が低下する。また、Niは高価
な元素である。従って、Ni含有率は0.01〜2.0
%の範囲内にするのが望ましい。
【0032】(10)コバルト(Co) CoもCuやNiと同じく、黒鉛の析出を促進させると
共に、鋼の靱性を高める。これらの目的で添加するの
で、Coは0.01%以上の添加を必要とする。しかし
CoはNiよりも高価な元素である。従って、Co含有
率は0.01〜0.50%の範囲内にするのが望まし
い。
【0033】(11)クロム(Cr) Crも少量添加の場合はフェライトに固溶して、鋼の靱
性を高める。この目的で用いるので、0.01%以上の
添加を必要とする。しかしCrは、Mnよりも黒鉛化を
阻害する作用が大きい。よって、Crが0.50%を超
えると,黒鉛化促進元素を多量に必要とし、コスト高に
なる。従って、Cr含有率は0.01〜0.50%の範
囲内にするのが望ましい。
【0034】(12)モリブデン(Mo) Moは少量添加の場合は鋼の靱性を高める。この目的で
用いるので、0.01%以上の添加を必要とする。しか
し、Moも黒鉛化を阻害する元素であり、0.50%を
超えると、黒鉛化促進元素を多量に必要とする。従っ
て、Mo含有率0.01〜0.50%の範囲内にするの
が望ましい。
【0035】(13)ボロン(B) Bは鋼中のNをBNとして固定し、Nの黒鉛化阻害作用
を軽減すると共に、BNが黒鉛析出核として作用し、黒
鉛の析出を促進する。この目的で用いるので、0.00
05%以上の添加を必要とする。しかし、Bは0.01
0%を超えて添加しても、効果が飽和するのみならず、
多量のBNや炭ほう化物を析出し、熱間延性を低下させ
る。従って、B含有率は0.0005〜0.010%の
範囲内にするのが望ましい。
【0036】(14)アルミニウム(Al) Alは脱酸剤として重要な元素であると共に、AlNを
析出し結晶粒を微細にする元素である。またSiと同様
に黒鉛化を促進する元素である。これらの目的のために
はAlは少なくとも0.001%以上添加する必要があ
る。しかし、Alを0.10%を超えて添加すると、酸
化物系介在物の量が多くなって、鋼の清浄性を低下さ
せ、熱間加工時の割れの原因となる。また連続鋳造にお
いてAl23 がノズルに堆積して、ノズル詰まりを引
き起こすので、Al含有率は、0.001〜0.10%
の範囲内にするのが望ましい。
【0037】(15)チタン(Ti) TiはTiN及びTiCを析出させ、結晶粒を微細化す
る。またTiN及びTiCは黒鉛析出の核として作用
し、黒鉛の析出を促進する。Ti添加量が0.005%
未満ではその効果は小さく、一方、Tiを0.10%を
超えて添加すると、硬いTiNやTiCが多量に生成し
て、工具の摩耗を助長する。従って、Ti含有率は、
0.005〜0.050%の範囲内にするのが望まし
い。
【0038】(16)ジルコニウム(Zr) ZrもTiと同様に窒化物及び炭化物を析出させ、結晶
粒を微細化すると共に、黒鉛の析出を促進させる。Zr
添加量が0.005%未満ではその効果は小さい。一
方、Zrを0.050%を超えて添加すると、工具の摩
耗を助長する。従って、Zr含有率は0.005〜0.
050%の範囲内にするのが望ましい。
【0039】(17)バナジウム(V) Vも窒化物及び炭化物を析出させ、結晶粒を微細化す
る。また析出物が微細であるので鋼の降伏応力を高め、
疲労限応力を向上させる。V添加量が0.01%未満で
はその効果は小さい。一方、Vは黒鉛の析出を阻害する
元素であり、0.20%を超えて添加すると、黒鉛化促
進元素を多量に必要とする。従って、V含有率は0.0
1〜0.20%の範囲内にするのが望ましい。
【0040】(18)ニオブ(Nb) Nbも窒化物及び炭化物を析出させ、結晶粒を微細化す
ると共に、降伏応力を高める。Nbの炭窒化物は115
0℃の高温でも鋼中に溶解せず、オーステナイト粒の粗
大化を阻止し、鍛造後の結晶粒を微細にして、靱性を向
上させる。Nb添加量が0.01%未満ではその効果は
小さく、一方、0.20%を超えて添加しても、黒鉛の
析出が阻害されて、黒鉛化促進元素を多量に必要とす
る。従って、Nb含有率は0.01〜0.20%の範囲
内にするのが望ましい。
【0041】(19)カルシウム(Ca) Caは鋳鉄においては、接種材として使用され黒鉛化を
促進させる。これは溶鋼の温度水準でのCaの蒸気圧が
高く、鋳造中にCaの蒸気が凝固鋼内に微小な空洞を形
成し、これが黒鉛析出の核となって、球状黒鉛を析出さ
せると考えられる。鋼においてもCaは鋳鉄と同様な挙
動をして、熱間加工後の黒鉛析出を容易にする。また、
Caは酸化物系介在物として存在すると、超硬工具切削
においてベラーグを形成し、工具寿命を延長する効果が
大きいので、快削鋼への添加が望ましい元素である。こ
うした目的のためにはCaは、0.0010%以上添加
する必要がある。しかし、0.010%を超えて添加し
ても効果は飽和する。従って、Ca含有率は0.001
0〜0.010%の範囲内にするのが望ましい。
【0042】(20)マグネシウム(Mg) MgもCaと同じく、鋳鉄において接種材として使用さ
れ、黒鉛化を促進させ、また、鋼においても加工後の黒
鉛析出を容易にする。その添加量が0.0010%未満
では効果は小さい。一方、Mgを0.10%を超えて添
加しても効果は飽和する。従って、Mg含有率は0.0
010〜0.10%の範囲内にするのが望ましい。
【0043】(21)REM(希土類元素) Ce、La等のREMも鍛造後の黒鉛析出を促進する。
その添加量が0.0010%未満では効果は小さい。一
方、REMを0.10%を超えて添加しても効果は飽和
する。従って、REM含有率は0.0010〜0.10
%の範囲内にするのが望ましい。
【0044】以上の他に、鋼にはSn、As等の不可避
的に混入する元素を含む。また環境への問題が小さい場
合には,補足的にBi、Se、Te等の快削性向上元素
を少量添加することも可能である。
【0045】(22)黒鉛化指数 鋼材中の黒鉛はその快削性向上に効果的である。鋼材中
に黒鉛の析出を促進させるためには、黒鉛化指数CEを
大きくすることが重要である。このCEは主要元素につ
いては以下の式で表わされる。即ち、 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9
+Co/9−Cr/9−Mo/9+B+Al/6+Ti
/3+Zr/3−V/3−Nb/3 但し、上式中の元素記号はその元素の含有重量%を表わ
す。またCa、Mg及びREMの内の少なくとも1種を
0.0010%以上含有する場合には、上記式の右辺に
0.07を加算する。
【0046】一方、黒鉛の析出は加熱温度、冷却速度に
よっても左右され、CEによって一義的に決定されるも
のではない。しかしながら、CEが1.30以上でない
場合は、対象高温鋼材を炉冷等により長時間の黒鉛化処
理を行なわなければならず、短時間の熱処理で黒鉛を析
出させることが困難になる。従って、黒鉛化指数CEは
1.30以上に限定する。
【0047】(23)熱間圧延時の加熱温度 熱間圧延前の鋼材加熱温度が850℃未満では、鋼の変
形能が不足して、棒線材に表面疵が発生し易い。一方、
加熱温度が1150℃を超えると鋼の固相線温度に近く
なってやはり熱間延性が不足して棒線材に割れを発生す
る。このため熱間圧延時の加熱温度は850〜1150
℃の間とする。
【0048】(24)最終仕上温度 熱間圧延における最終仕上温度が700℃未満では、鋼
の熱間延性が不足して、棒線材に割れを生ずる。また変
形抵抗が大きくなって、圧延機モーターに過大な負荷が
かかり、故障の原因となる。一方、最終仕上温度が95
0℃を超えると、黒鉛を析出させるための転位等の格子
欠陥が少なくなえい、制御圧延の効果が小さくなる。従
って、最終仕上温度は700〜950℃の範囲内とす
る。仕上温度が750〜800℃付近、即ち鋼のA1
温度付近で最も黒鉛の析出は促進される。
【0049】仕上温度の制御は、圧延機群の間に設けた
水冷装置により圧延中の鋼に水をかけて温度を低下させ
ることにより行なう。水冷直後に次圧延機に噛み込ませ
ると、延性不足で割れを生ずるので700℃以上に鋼材
を復熱させてから噛み込ませることが必要である。ま
た、仕上温度の調整のために、生産性に支障のでない程
度に圧延速度を低下させる手段を補足的に用いてもよ
い。
【0050】(25)熱間圧延後の平均冷却速度 熱間圧延後はできるだけゆっくり冷却することにより、
黒鉛の成長が促進され、フェライト量が多くなって、鋼
は軟化する。仕上温度から600℃まで低下する間の平
均冷却速度が60℃/minより大きいと、所望する大
きさ、数の黒鉛が得られず、また、硬さも高いものにな
る。従って、仕上温度から600℃までの平均冷却速度
は60℃/min以下とする。例えば、仕上温度が90
0℃の場合には、600℃までの冷却時間は5分以上必
要になる。逆に、仕上温度が800℃と低めの場合には
600℃までの冷却時間は3.3分以上と短くて済む。
これは、鋼のA1 点温度付近で最も黒鉛の析出成長が促
進されるからである。
【0051】従って、鋼は必ずしも、600℃まで均一
な冷却速度で冷却する必要はなく、例えば、900℃仕
上圧延材を700℃まで10分で徐冷し、以後空冷して
600℃までを1分で冷却したような場合には、仕上温
度から600℃までの間の冷却時間は11分であるか
ら、この間の平均冷却速度は、300℃/11分=2
7.3℃/minとなり、十分に60℃/minより小
さいので、所望の黒鉛及び金属組織が得られる。
【0052】25mmφ以上の径の太い棒鋼の場合に
は、単に空冷しても上記平均冷却速度を60℃/min
以下とすることはできる。しかしながら、使用量の多い
10〜20mmφ程度の径の細い棒鋼、線材の場合に
は、空冷では上記冷却速度を60℃/min以下とする
ことはできない。従って、真っ直ぐな直棒の場合には冷
却床をカバーで覆って冷却する。あるいは熱間圧延材を
コイル状に巻き取って冷却する。
【0053】更には、コイル状に巻き取った棒線材にカ
バーを掛けて徐冷する。カバーの形態はコイルの搬送ラ
インをトンネル状にカバーをかけて覆ってもよいし、各
コイルをポット型の徐冷容器で覆ってもよい。また、熱
間圧延線材が非同心リング状態でコンベア上を流れるス
テルモアラインのような冷却設備の場合にはコンベアを
カバーで覆って、熱間圧延材を徐冷する。
【0054】以上のような手段により、径の細い棒線材
においても平均冷却速度を60℃/min以下にして冷
却することができる。 (26)黒鉛の粒径 本発明における黒鉛の析出形状は、一般的に塊状と表現
されるものであるが、これが球状、粒状あるいは楕円体
状であってもよく、平均的な長さ/厚み比が5以下なら
ば特に差し支えはない。このように、塊状に析出した黒
鉛の平均粒径が1.0μm未満では、切削時に切り屑を
小さく破砕する効果が小さく、切削性向上への寄与は小
さい。従って、黒鉛の平均粒径は1.0μm以上になる
ようにする。一方、その平均粒径の上限は特に限定しな
いが、30μmを超える黒鉛が多数析出すると靱性低下
の原因となる。従って、黒鉛の平均粒径は30μm以下
にするのが望ましい。
【0055】(27)黒鉛の数 単位断面積当たりの黒鉛の数は、切り屑を小さく分断さ
せるのに重要である。また、黒鉛は潤滑効果を有するの
で、工具の摩耗を小さくして工具寿命を延ばす。その数
が100個/mm2 未満では切り屑処理性の改善及び工
具寿命延長の効果が小さいので、黒鉛の数は100個/
mm2 以上にする。黒鉛の数は、黒鉛の大きさに左右さ
れ、粒径が大きくなれば少なくなり、小さくなれば多く
なる。本発明では粒径が10〜25μmの黒鉛が析出す
るとき、その数はおおよそ100〜1000個/mm2
の間であるが、1.0〜5μmの黒鉛が析出する場合に
はおおよそ3000〜50000個/mm2 に達する。
【0056】(28)金属組織工具寿命を延ばすために
は、鋼材の硬さを低くする必要がある。このような低硬
さの鋼材を得るには、棒線材材の金属組織はフェライト
+パーライト又はフェライトのみにすることが必要であ
り、フェライトの量を70%以上にすることが必要であ
る。熱間圧延後の冷却速度が小さくなるにつれて、黒鉛
が大きく成長し、これに伴ってフェライトの量が増加
し、パーライト量は減少する。十分小さい冷却速度での
冷却によって、金属組織はパーライトを含まない軟質な
フェライト単相になる。従って、金属組織は30%以上
のフェライト+パーライト又はフェライト単相とする。
【0057】(29)硬さ 棒線材のビッカース硬さ(HV )が200を超えると、
切削工具の摩耗が大きくなって、工具寿命が短くなる。
従って、ビッカース硬さは200以下であることが必要
である。金属組織がフェライト単相になった場合にはビ
ッカース硬さは130程度まで低下する。
【0058】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。表1及び2に、試験に用いた供試鋼の化学
成分組成及び黒鉛化指数CEを示す。表1の鋼No.1〜
12、21〜25は全て、化学成分組成に関し本発明の
範囲内の鋼であり、鋼No.26、27及び表2の鋼No.
28〜47は全て化学成分組成に関し本発明の範囲外の
比較鋼であり、鋼No.48は同じく従来鋼のSUM24
L、鋼No.49は同じく従来型黒鉛鋼である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】上記各成分の供試鋼(鋼No.1〜12、2
1〜49)を130トン電気炉により溶製後、連続鋳造
又は造塊により鋳片に鋳造した。これら鋳片を160m
m角の鋼片に分塊圧延後、鋼片加熱炉にて加熱後、棒線
材に熱間圧延した。但し、鋼No.2、6及び10につい
ては180mmφの丸鋳片に鋳込み、分塊圧延せずに棒
線材に熱間圧延した。熱間圧延に際し、被圧延材を圧延
機群の間で中間水冷して仕上温度を調整した。直径60
mmφ以上の太い棒鋼については粗圧延機入側にてデス
ケーラーにより材料を水冷し、直径60mmφ未満の棒
線材については中間圧延機群、及び仕上圧延機群入側で
水冷した。
【0062】その後、棒線材には試験目的に従ってカバ
ーをかけて徐冷した。真直した直棒には冷却床でカバー
をかけ、コイル状に巻き取った棒線材の場合は、コイル
状棒線材が次工程へ搬送される途中で、トンネル型のカ
バーをかけて徐冷した。また、実施例1−4の直径20
mmφ線材にはステルモア冷却ラインで非同心リング状
態で搬送される途中でカバーをかけて徐冷した。
【0063】表3及び4に、棒線材造試験に用いた供試
鋼の鋼No.、鋼片の熱間圧延条件及び冷却条件、並び
に、棒線材の黒鉛析出状態、金属組織及び硬さを示す。
同表において、実施例1−1〜実施例1−20は本発明
の範囲内の試験であり、比較例1−21〜比較例1−4
7及び従来例1−48、−49は本発明の範囲外の試験
である。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】圧延された棒線材は、表面疵、割れの有無
を磁気探傷器によりチェックした。また黒鉛析出状態及
び金属組織を光学顕微鏡で観察し、ビッカース硬さ計に
て硬さを試験した。黒鉛析出状態としては、黒鉛の平均
粒径及び黒鉛粒の数を測定した。金属組織としてはフェ
ライト+パーライト組織中のフェライト%(面積%)を
測定した。ビッカース硬さは棒線材横断面の中心部と表
層部との中間部について測定測定した。
【0067】その後、棒鋼を自動盤にて切削加工し被削
性を試験した。被削性は切り屑の処理性と工具寿命で判
定した。切り屑処理性の判定は、切り屑が2巻以下で分
断しているものを「良好」、切り屑が3〜6巻で分断し
ているものを「普通」、そして切り屑が7巻以上に長く
つながっているものを「不良」と判定した。工具寿命の
試験は、ハイス工具で切削速度150m/min、送り
0.20mm/revにて切削油をかけた状態で切削
し、刃先が溶損して切削不能になるまでの時間を測定
し、工具寿命とした。
【0068】上記試験結果を、表3及び4に併記した。
以上の表1〜4より、下記事項がわかる。 (1)本発明の本発明の範囲内の試験である実施例1−
1〜1−12においては、棒鋼の表面疵発生はなく、黒
鉛の平均粒径及び黒鉛粒の数は目標値を満たし、金属組
織についても目標が満たされていた。そして、ビッカー
ス硬さもHV200以下と軟質な棒鋼となっている。こ
のため、切り屑は2巻以下で小さく分断された処理性の
良好なものであり、工具寿命も53〜151分と優れた
ものであった。図1に、本発明の快削鋼棒鋼の顕微鏡組
織を示す例として、実施例1−1の黒鉛とフェライト+
パーライトとからなるミクロ組織を示す図を示す。
【0069】(2)これに対して、本発明の範囲外の条
件が一つでも入っている試験である、比較例1−21〜
1−47及び従来例1−48、−49では、本発明の目
標が達成されなかった。詳細は次の通りである。
【0070】・比較例1−21は、化学成分は本発明の
範囲内であるが、熱間圧延時の加熱温度が本発明の範囲
より高かったために、熱間延性が不足して棒鋼に大きな
疵が発生した。また比較例1−22は同様に、化学成分
は本発明の範囲内であるが、熱間圧延時の加熱温度が逆
に本発明の範囲より低かったために、熱間延性が不足し
て棒鋼に大きな疵が発生した。
【0071】・比較例1−23は、化学成分は本発明の
範囲内であるが、最終仕上温度が本発明の範囲より低か
ったために、熱間延性が不足して棒鋼に大きな疵が発生
した。また比較例1−24も化学成分は本発明の範囲内
であるが、熱間圧延時の加熱温度が逆に本発明の範囲よ
り高かったために、黒鉛の析出が不十分で、大きさが1
μmより小さくなり、切り屑はランク普通のものしか得
ることができなかった。
【0072】・比較例1−25は化学成分、加熱温度及
び最終仕上温度はいずれも本発明の範囲内であるが、圧
延後の冷却速度が本発明の範囲より大きかったために、
黒鉛の成長が不十分で、大きさが1μmより小さくな
り、またフェライト量も30%未満となり、切り屑はラ
ンク普通のものしか得ることができず、工具寿命も短か
った。
【0073】・比較例1−26及び−27は化学成分は
本発明の範囲内であるが、黒鉛化指数CEが1.30よ
り小さく、よって黒鉛の析出はみられず、硬さも高くな
った。そのため切り屑は長くつながったものになり、工
具寿命も短かった。
【0074】・比較例1−28は、C含有率が本発明の
範囲を外れて低く、また黒鉛化指数CEも低かったため
に黒鉛の析出がみられなかった。また、比較例1−29
は、C含有率が本発明の範囲を外れて高く、熱間延性に
不足して、棒鋼に割れが発生した。
【0075】・比較例1−30は、Si含有率が本発明
の範囲を外れて低く、また黒鉛化指数CEも低かった。
そのため黒鉛の析出はなく、被削性に劣るものであっ
た。また、比較例1−31は、Si含有率が本発明の範
囲を外れて高く、このため熱間延性が不足して、棒鋼に
割れが発生した。 ・比較例1−32は、Mn含有率が2.0%を超えて高
く、やはり熱間延性が不足して、棒鋼に疵が発生した。
【0076】・比較例1−33は、P含有率が本発明の
範囲より高く、熱間延性不足で、棒鋼に疵が発生した。 ・比較例1−34は、S含有率が本発明の範囲より高
く、熱間延性不足で、棒鋼に疵が発生した。
【0077】・比較例1−35は、Cr含有率が本発明
の範囲より高く、このため黒鉛化指数CEが1.30を
下回って低かったために黒鉛の析出はなく、硬くて被削
性に劣るものであった。
【0078】・比較例1−36は、Cu含有率が本発明
の範囲より高く、熱間延性不足で、棒鋼に疵が発生し
た。 ・比較例1─37は、Ni及びMo含有率が本発明の範
囲より高く、このため熱間延性が不足して、棒鋼に疵を
生じた。
【0079】・比較例1−38は、Co及びO含有率が
本発明より高く、やはり棒鋼に疵が発生した。 ・比較例1−39は、B含有率が本発明の範囲より高
く、多量の炭ほう化物が析出して、延性不足により疵が
発生した。
【0080】・比較例1−40は、N含有率が本発明の
範囲より高く、このため鋳片に発生したブローホールが
原因して、棒鋼の表面に多数の線状疵が発生した。 ・比較例1─41は、Zr及びTi含有率が本発明の範
囲より高く、棒鋼に疵が発生した。
【0081】・比較例1─42は、V含有率が本発明の
範囲より高く、黒鉛化指数CEが1.30より小さく不
足して、黒鉛の析出が起こらなかった。 ・比較例1─43は、Al含有率が本発明の範囲より高
く、棒鋼に疵が発生した。
【0082】・比較例1─44は、Nb含有率が本発明
の範囲より高く、黒鉛化指数CEが1.30より小さく
不足して、黒鉛の析出が起こらなかった。 ・比較例1─45はCa含有率が、比較例1−46はM
g含有率が、比較例1−47はREM含有率が、それぞ
れ本発明の範囲より高く、このため酸化物系介在物が鋼
中に多量に巻き込まれ、これが棒鋼に圧延疵として残存
した。
【0083】・従来例1−48は、従来成分鋼のSUM
24Lであり、被削性は良好なものであった。しかし、
本鋼は多量のPbを含んでいるため、環境衛生上Pbを
含有しない快削鋼が望まれる。また、SUM24Lを棒
鋼に熱間圧延するに際しては、圧延中に先端が裂けて割
れたりして、ミスロールになるのを防ぐため、鋼片の先
端を鉛筆の先端のように細くして、圧延機に噛み込ませ
る必要があった。これに対して、実施例1−1〜1−2
0の本発明の範囲内の試験では、鋼片又は鋳片に特殊な
加工を施さなくても、通常のシャー切断ままで圧延が可
能であった。
【0084】・従来例1−49は、従来型のC:1.0
%以下の黒鉛鋼であるが、黒鉛化指数CEが本発明の範
囲より低いため、制御圧延−制御徐冷では黒鉛の析出は
起こらず、750℃×15hrの黒鉛化熱処理を行なっ
て、黒鉛を析出させる必要があった。
【0085】次に、実施例1−10及び従来例1−48
の20mmφ棒鋼を用いて、自動車用ブレーキの油圧部
品であるピストンピンに加工した。切り屑処理性はいず
れも良好であった。工具寿命は従来鋼SUM24Lに比
較して、2倍の長寿命を示した。
【0086】耐摩耗性を向上させるため、従来鋼SUM
24Lは、920℃×4hrの浸炭焼入れ170℃、
1.5hr焼戻しを行なって、表面を硬化させる必要が
あった。これに対して、実施例1−10の圧延棒鋼にお
いては、高周波で数秒加熱して焼入れ、数秒焼き戻すと
いう、簡便な熱処理で表面を硬化させることが可能であ
った。
【0087】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
鉛を添加することなく、従来の硫黄鉛複合快削鋼と同等
以上の被削性に優れた超快削鋼部品の製造が可能であ
り、また、当該部品の機械加工後は浸炭焼入れを行なわ
なくても、簡便な高周波焼入れにより、耐摩耗性を向上
させることが可能である。このような超快削鋼棒線材及
び部品の製造技術を提供することができ、工業上有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の快削鋼棒鋼の顕微鏡組織の一例(実施
1−1)であり、黒鉛とフェライト+パーライトとか
らなるミクロ組織を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−293387(JP,A) 特開 平11−293388(JP,A) 特開 平11−293389(JP,A) 特開 平11−350066(JP,A) 特開 平11−350067(JP,A) 特開 平11−350068(JP,A) 特開 昭49−67817(JP,A) 特開 平3−146618(JP,A) 特開 平6−279849(JP,A) 特開 平8−127845(JP,A) 社団法人日本金属学会編,球状黒鉛鋳 鉄の理論と実際,日本,丸善株式会社発 行,1966年6月30日,p.438 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 6/00,8/06,8/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :1.00超〜1.50%、 Si:1.00〜2.80%、 Mn:0.01〜2.00%、 P :0.050%以下、 S :0.10%以下、 O :0.0050%以下、及び、 N :0.020%以下 を含有し、残部鉄(Fe)及び不可避的不純物からなる
    化学成分組成を有し、下記(1)式で求められる黒鉛化
    指数CEが1.30以上である鋳片又は鋼片を、850
    〜1150℃の範囲内の温度に加熱し、熱間圧延し、前
    記熱間圧延における圧延機群の間で中間水冷を施すこと
    により最終仕上温度を700〜950℃の範囲内として
    棒線材に圧延し、こうして得られた熱間圧延棒線材の前
    記最終仕上温度から600℃までの間を平均冷却速度6
    0℃/min以下で冷却し、前記熱間圧延棒線材中に平
    均粒径1.0μm以上の黒鉛を100個/mm2以上析
    出させ、且つその金属組織を70%以上のフェライトと
    残部パーライトとからなるか、又はフェライトのみから
    なるものにし、しかもそのビッカース硬さを200以下
    に調整することを特徴とする、超快削鋼棒線材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記熱間圧延棒線材を前記最終仕上温度
    から600℃まで冷却するに際して、当該熱間圧延棒線
    材をカバーで覆い、前記温度区間の平均冷却速度を60
    ℃/min以下とすることを特徴とする、請求項1記載
    の超快削鋼棒線材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記鋳片又は鋼片として、更に下記元素
    の成分組成からなる群から選ばれた1種以上を付加して
    含有し、且つ、前記黒鉛化指数CEの算出式の代わりに
    下記(2)式を用いることを特徴とする、請求項1又は
    2記載の超快削鋼棒線材の製造方法。重量%で、 Cu:0.01〜2.0%、 Ni:0.01〜1.0%、 Co:0.01〜0.50%、 Cr:0.01〜0.50%、 Mo:0.01〜0.50%、及び、 B:0.0005〜0.010%。 また黒鉛化指数CEは次の式による。 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9 −Cr/9−Mo/9+B -----------------------------(2) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす。
  4. 【請求項4】 前記鋳片又は鋼片として、更に下記元素
    の成分組成からなる群から選ばれた1種以上を付加して
    含有し、且つ、前記黒鉛化指数CEの算出式の代わりに
    下記(3)式を用いることを特徴とする、請求項1、2
    又は3記載の超快削鋼棒線材の製造方法。重量%で、 Al:0.001〜0.10%、 Ti:0.005〜0.050%、 Zr:0.005〜0.050%、 V:0.01〜0.20%、及び、 Nb:0.01〜0.20%。 また黒鉛化指数CEは次の式による。 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9−Cr/9 −Mo/9+B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 -----------------------------(3) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす。
  5. 【請求項5】 前記鋳片又は鋼片として、更に下記元素
    の成分組成からなる群から選ばれた1種以上を付加して
    含有し、且つ、前記黒鉛化指数CEの算出式の代わりに
    下記(4)式を用いることを特徴とする、請求項1〜4
    記載の発明の内いずれかの超快削鋼棒線材の製造方法。
    重量%で、 Ca:0.0010〜0.0100%、 Mg:0.0010〜0.10%、及び、 REM:0.0010〜0.10%。 また黒鉛化指数CEは次の式による。 CE=C+Si/3−Mn/12+Cu/9+Ni/9+Co/9−Cr/9 −Mo/9+B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3 +0.07 -----------------------------(4) 但し、上式中の元素記号は各元素の重量%を表わす。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の発明の内いずれかの
    方法によって製造されたものであることを特徴とする超
    快削鋼棒線材。
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