JP3489656B2 - 被削性に優れた高強度高靭性調質鋼材 - Google Patents
被削性に優れた高強度高靭性調質鋼材Info
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Description
度高靭性調質鋼材に関する。更に詳しくは、焼入れ焼戻
し後に極めて優れた強度−靭性バランスを有するととも
に被削性にも優れた機械構造部品などの素材として好適
な調質鋼材に関するものである。
を必要とする機械構造部品などは、(1)熱間加工で所定
の形状に粗加工し、次いで、切削加工によって所望形状
に仕上げた後、焼入れ焼戻しの調質処理を施すか、(2)
熱間加工及び焼入れ焼戻し処理を施した後、切削加工に
よって所望形状に仕上げるのが一般的であった。しか
し、機械構造部品などが高強度化するに伴って、切削加
工のコストが嵩んできた。そこで、切削加工を容易に
し、低コスト化を図るために被削性に優れた快削鋼に対
する要求がますます大きくなっている。
快削元素を単独あるいは複合添加すれば被削性が向上す
ることは周知の事実である。このため、従来は機械構造
用鋼を初めとする鋼に前記の快削元素を添加して切削加
工性を改善する方法が採られてきた。しかし、機械構造
用鋼などに単に快削元素を添加しただけの場合には、所
望の機械的特性、なかでも靭性を確保できないことが多
い。
後に切削加工してから焼入れ焼戻し処理を施す技術とし
て、例えば、特開平2−111842号公報と特開平6
−279849号公報に、鋼中のCを黒鉛として存在さ
せ、この黒鉛の切欠き並びに潤滑効果を利用することに
よって被削性を向上させた「被削性、焼入性に優れた熱
間圧延鋼材」と「被削性に優れた機械構造用鋼の製造方
法」がそれぞれ提案されている。
提案された鋼材は、Bを添加しB窒化物(BN)を黒鉛
化の核として黒鉛化を促進させるものであって、Bの添
加が必須であるため凝固時に割れを生じ易いという問題
を含んでいる。一方、特開平6−279849号公報に
記載の方法は、Al添加とともに鋼中O(酸素)を低く
規制することで熱間圧延ままで黒鉛化を促進させるもの
であるが、熱間圧延後に5時間以上の黒鉛化焼なまし処
理を施す必要があるため、必ずしも経済的とはいえない
ものである。
戻し処理を施した後、切削加工する技術として、例え
ば、特開平6−212347号公報に特定の化学組成を
有する鋼を熱間鍛造後直ちに焼入れし、その後焼戻し処
理を行ってTiCを析出させる「高疲労強度を有する熱
間鍛造品及びその製造方法」が開示されている。しかし
この公報に記載の熱間鍛造品は、鋼の組成としてのN量
をTi量との比率であるN/Tiで0.1未満と規定し
ているだけであるため、必ずしも良好な靭性と被削性が
確保できない場合がある。つまり、重量%で、0.01
〜0.20%のTiを含む鋼のN含有量をN/Tiで
0.1未満と規定しただけでは、硬質のTiNが多量に
形成されて靭性の劣化と被削性の劣化を生ずる場合があ
る。
84)には、脱酸調整快削鋼にTiを添加すれば被削性
が高まる場合のあることが報告されている。しかし、T
iの多量の添加はTiNが多量に生成されることもあっ
て工具摩耗を増大させ、被削性の点からは好ましくない
ことも述べられている。例えば、C:0.45%、S
i:0.29%、Mn:0.78%、P:0.017
%、S:0.041%、Al:0.006%、N:0.
0087%、Ti:0.228%、O:0.004%及
びCa:0.001%を含有する鋼では却ってドリル寿
命が低下して被削性が劣っている。このように、鋼に単
にTiを添加するだけでは被削性は向上するものではな
い。
Zrが添加されることがあるが、例えば、鉄と鋼(vo
l.62(1976年)p.885)に記されているよ
うに、Zrは被削性に対してはほとんど影響を及ぼさな
い。つまり、鋼に単にZrを添加するだけでは被削性は
向上するものではない。
鑑みなされたもので、通常の熱間加工と焼入れ焼戻しの
熱処理を施すことで極めて良好な強度−靭性バランスを
有し、しかも焼入れ焼戻しの各々の強度レベルで被削性
が良好な、機械構造部品などの素材用として好適な鋼材
を提供することを目的とする。
(1)及び(2)に示す被削性に優れた高強度高靭性調
質鋼材にある。
%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.4〜2.0
%、S:0.002〜0.2%、Ti:0.04〜1.
0%、Al:0.005〜0.05%、N:0.008
%以下、Cr:0〜2.0%、V:0〜0.3%、N
b:0〜0.05%、Mo:0〜0.5%、Cu:0〜
1.0%、Ni:0〜2.0%、B:0〜0.02%、
Nd:0〜0.1%、Pb:0〜0.50%、Ca:0
〜0.01%、Se:0〜0.5%、Te:0〜0.0
5%及びBi:0〜0.4%を含み、下記(1) 式で表さ
れるfn1が0%を超える値(fn1>0%)、残部は
Fe及び不可避不純物の化学組成で、更に鋼中のTi炭
硫化物の最大直径が10μm以下で、且つ、その量が清
浄度で0.05%以上であることを特徴とする被削性に
優れた高強度高靭性調質鋼材。
・・・・(1) (2)重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:0.0
5〜1.5%、Mn:0.4〜2.0%、S:0.00
2〜0.2%、Ti:0〜1.0%、Zr:1.0%以
下で、且つ、Ti(%)+Zr(%):0.04〜1.
0%、Al:0.005〜0.05%、N:0.008
%以下、Cr:0〜2.0%、V:0〜0.3%、N
b:0〜0.05%、Mo:0〜0.5%、W:0〜
0.8%、Cu:0〜1.0%、Ni:0〜2.0%、
B:0〜0.02%、Nd:0〜0.1%、Pb:0〜
0.50%、Ca:0〜0.01%、Se:0〜0.5
%、Te:0〜0.05%及びBi:0〜0.4%を含
み、下記(2) 式で表されるfn2が0%を超える値(f
n2>0%)、残部はFe及び不可避不純物の化学組成
で、更に鋼中のTi炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直
径が10μm以下で、且つ、その量の和が清浄度で0.
05%以上であることを特徴とする被削性に優れた高強
度高靭性調質鋼材。
2×S(%)・・・・(2) なお、本発明でいう「Ti炭硫化物」には単なるTi硫
化物を、又、「Zr炭硫化物」には単なるZr硫化物を
それぞれ含むものとする。又、「(Ti及びZrの炭硫
化物の)最大直径」とは「個々のTi及びZrの炭硫化
物における最も長い径」のことを指す。Ti炭硫化物の
清浄度やZr炭硫化物の清浄度は、光学顕微鏡の倍率を
400倍として、JIS G 0555に規定された「鋼の非金属
介在物の顕微鏡試験方法」によって60視野測定した値
をいう。
戻しを施された、組織の50%以上がマルテンサイト
(焼戻しマルテンサイト)である鋼材のことをいう。
をそれぞれ(1)、(2)の発明という。
織について研究を重ねた結果、TiとZrの少なくとも
いずれかを添加した鋼を熱間加工後に適正な冷却速度で
冷却すれば、その後焼入れ焼戻しした場合でも鋼材の被
削性が飛躍的に向上することを見いだした。そこで更に
研究を続けた結果、下記の事項を知見した。
とZrのいずれかを積極的に添加すると、鋼中にTi炭
硫化物あるいはZr炭硫化物が形成され、Ti及びZr
を添加すると、鋼中にはTi炭硫化物とZr炭硫化物と
が形成される。
炭硫化物が生成すると、MnSの生成量が減少する。
i炭硫化物やZr炭硫化物はMnSよりも大きな被削性
改善効果を有する。これは、Ti炭硫化物やZr炭硫化
物の融点がMnSのそれよりも低いため、切削加工時に
工具のすくい面での潤滑作用が大きくなることに基づ
く。
を充分発揮させるためには、N含有量を低く制限するこ
とが重要である。これは、N含有量が多いとTiNやZ
rNとしてTiやZrが固定されてしまい、Ti炭硫化
物やZr炭硫化物の生成が抑制されてしまうためであ
る。
て被削性を高めるとともに靭性を確保するためには、T
i炭硫化物やZr炭硫化物のサイズと、その清浄度で表
される量(以下、単に「清浄度」という)を適正化して
おくことが重要である。
r炭硫化物は、通常の熱間加工のための加熱温度では基
地に固溶しないし、焼入れ焼戻しの加熱温度でも基地に
固溶しない。
やZrNの減少につながり、これによって靭性を飛躍的
に向上させることもできる。
硫化物の少なくともいずれかが特定条件下にある調質鋼
材は、強度−靭性バランスに優れしかも良好な被削性を
有する。
ものである。
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「重
量%」を意味する。
物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高める作用を有す
る。Cには、鋼に所望の強度を付与する作用もあるし、
TiやZrと結合してTiCやZrCとして析出し、析
出強化によって疲労強度をも向上させる作用がある。前
記の効果を確保するためにCは0.1%以上の含有量を
必要とする。しかし、0.6%を超えて含有すると靭性
の低下を招く。したがって、Cの含有量を0.1〜0.
6%とした。
を高める作用を有する。更に、Si含有量の増加に伴い
切削時の切り屑表面の潤滑作用が高まって工具寿命が延
びるので、被削性を改善する作用も有する。しかしその
含有量が0.05%未満では添加効果に乏しく、一方、
1.5%を超えると前記効果が飽和するばかりか被削性
が劣化するようになるので、その含有量を0.05〜
1.5%とした。
もに固溶強化によって疲労強度を向上させる効果を有す
る。しかし、その含有量が0.4%未満では所望の効果
が得られず、2.0%を超えるとこの効果が飽和するだ
けでなく、むしろ硬くなりすぎて靭性が低下するように
なる。したがって、Mnの含有量を0.4〜2.0%と
した。
てTi炭硫化物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高め
る作用を有する。しかし、その含有量が0.002%未
満では所望の効果が得られない。一方、0.2%を超え
るとMnSが過剰に生成するのでTi炭硫化物やZr炭
硫化物による被削性向上効果が低下してしまう。したが
って、Sの含有量を0.002〜0.2%とした。
重要な元素であって、それぞれC及びSと結合してTi
炭硫化物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高める作用
を有する。
が0.04%以上の場合に前記の効果が確実に得られ
る。しかし、Tiを1.0%を超えて含有させてもTi
炭硫化物による被削性向上効果が飽和してコストが嵩む
ばかりか、炭硫化物が粗大化して却って靭性の低下を招
く。したがって、(1)の発明にあってはTiの含有量
を0.04〜1.0%とした。なお、(1)の発明の場
合に、良好な被削性と靭性を安定して得るためには、T
iの含有量を0.06〜0.8%とすることが好まし
い。 一方、上記の効果は、TiとZrの含有量に関
し、Ti(%)+Zr(%)の値が0.04%以上の場
合にも確実に得られる。しかし、Ti(%)+Zr
(%)の値で1.0%を超えるTiとZrを含有させて
も被削性向上効果は飽和するのでコストが嵩んでしま
う。なお、Ti(%)+Zr(%)の値が0.04〜
1.0%でありさえすれば良いので、必ずしもTiとZ
rを複合して含有させる必要はない。Zrを添加しない
場合は前記した(1)の発明になり、この場合はTiを
1.0%を超えて含有させるとTi炭硫化物による被削
性向上効果が飽和してコストが嵩むばかりか、Ti炭硫
化物が粗大化して却って靭性の低下を招いてしまう。T
iを添加しない、つまりZrを単独で添加する場合に、
Zrを1.0%を超えて含有させるとZr炭硫化物によ
る被削性向上効果が飽和してコストが嵩むばかりか、Z
r炭硫化物が粗大化して却って靭性の低下を招いてしま
う。したがって(2)の発明にあっては、Tiの含有量
は0〜1.0%、Zrの含有量は1.0%以下とし、且
つ、Ti(%)+Zr(%)の値を0.04〜1.0%
とした。なお、(2)の発明の場合に、良好な被削性と
靭性を安定して得るためには、TiとZrの含有量の上
限はそれぞれ0.8%とすることが好ましい。
である。その効果を確保するためには0.005%以上
の含有量を必要とする。しかし、0.05%を超えて含
有させてもその効果が飽和しコストが嵩むばかりであ
る。したがって、Alの含有量を0.005〜0.05
%とした。
御することが極めて重要である。すなわち、NはTiや
Zrとの親和力が大きいために容易にTiやZrと結合
してTiNやZrNを生成し、TiやZrを固定してし
まうので、Nを多量に含有する場合には前記したTi炭
硫化物やZr炭硫化物の被削性向上効果が充分に発揮で
きないこととなる。特に、TiやZrの含有量が低めの
場合には、N含有量の影響が顕著となる。更に、粗大な
TiNやZrNは靭性を低下させる。
8%以下で、且つ前述の式で表されるfn1が正の値
の場合に前記したTi炭硫化物の効果が確保される。な
お、Ti炭硫化物の効果を高めるために、(1)の発明
におけるN含有量の上限は0.006%とすることが好
ましい。
08%以下で、且つ前述の(2) 式で表されるfn2が正
の値の場合に前記したTi炭硫化物とZr炭硫化物の効
果が確保される。なお、Ti炭硫化物とZr炭硫化物の
効果を高めるために、(2)の発明においても、N含有
量の上限は0.006%とすることが好ましい。
れば、鋼の焼入れ性を高めるとともに固溶強化によって
疲労強度を向上させる効果がある。こうした効果を確実
に得るには、Crは0.03%以上の含有量とすること
が好ましい。しかし、その含有量が2.0%を超えると
前記の効果が飽和するだけでなく、むしろ硬くなりすぎ
て靭性が低下するようになる。このため、Crの含有量
を0〜2.0%とした。
ば、微細な窒化物や炭窒化物として析出し、鋼の強度、
特に疲労強度を向上させる効果を有する。この効果を確
実に得るには、Vは0.05%以上の含有量とすること
が好ましい。しかし、その含有量が0.3%を超えると
析出物が粗大化するので前記の効果が飽和したり、却っ
て低下したりする。更に、原料コストも嵩むばかりであ
る。したがって、Vの含有量を0〜0.3%とした。
れば、微細な窒化物や炭窒化物として析出し、オ−ステ
ナイト粒の粗大化を防止するとともに、鋼の強度、特に
疲労強度と靭性とを向上させる効果を有する。この効果
を確実に得るには、Nbは0.005%以上の含有量と
することが好ましい。しかし、その含有量が0.05%
を超えると前記の効果が飽和するばかりか、粗大な炭窒
化物が生じて工具を損傷し、被削性の低下を招く。した
がって、Nbの含有量を0〜0.05%とした。
れば、鋼の焼入れ性を高める効果を有する。この効果を
確実に得るには、Moの含有量は0.05%以上とする
ことが好ましい。しかし、その含有量が0.5%を超え
るとこの効果が飽和するだけでなく、むしろ硬くなりす
ぎて靭性が低下するようになるし、コストも嵩んでしま
う。このため、Moの含有量を0〜0.5%とした。
ば、鋼の焼入れ性を高める効果を有する。この効果を確
実に得るには、Wの含有量は0.05%以上とすること
が好ましい。しかし、その含有量が0.8%を超えると
この効果が飽和するだけでなく、むしろ硬くなりすぎて
靭性が低下するようになるし、コストも嵩んでしまう。
このため、(2)の発明において、Wの含有量を0〜
0.8%とした。
れば、靭性を低下させることなく鋼の強度を高め、更に
被削性を高める効果を有する。この効果を確実に得るに
は、Cuは0.2%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が1.0%を超えると熱間加工
性が劣化することに加えて、析出物が粗大化して前記の
効果が飽和したり却って低下したりする。更に、コスト
も嵩むばかりである。したがって、Cuの含有量を0〜
1.0%とした。
れば、鋼の焼入れ性を向上させる効果を有する。この効
果を確実に得るには、Niの含有量は0.02%以上と
することが好ましい。しかし、その含有量が2.0%を
超えるとこの効果が飽和するのでコストが嵩む。このた
め、Niの含有量を0〜2.0%とした。
ば、焼入れ性が向上して鋼の強度、靭性を向上させる効
果を有する。この効果を確実に得るには、Bの含有量は
0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、そ
の含有量が0.02%を超えると前記の効果が飽和した
り、却って靭性が低下したりする。このため、Bの含有
量を0〜0.02%とした。
れば、Nd2S3としてチップブレーカーの作用を有し被
削性を向上させる効果を有する。更に、Nd2S3が溶鋼
の比較的高温域で微細に分散して生成することにともな
って、MnSが微細に分散析出し、この微細に分散析出
したMnSのピンニング効果により後工程での熱間加工
や焼入れのための加熱時におけるオーステナイト粒の成
長が抑制されて組織が微細化し、鋼が高強度・高靭性化
する効果もある。前記の効果を確実に得るには、Ndは
0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.1%を超えるとNd2S3自体が粗
大化して却って靭性の低下をきたす。したがって、Nd
の含有量を0〜0.1%とした。なお、Nd含有量の好
ましい上限値は0.08%である。
れば、鋼の被削性を一段と高める作用がある。この効果
を確実に得るには、Pbは0.05%以上の含有量とす
ることが好ましい。しかし、その含有量が0.50%を
超えると前記の効果が飽和するばかりか、却って粗大介
在物を生成して疲労強度の低下をきたす。更に、Pbの
多量添加は熱間加工性の劣化を招き、特に含有量が0.
50%を超えると熱間加工した鋼材の表面に疵が生じて
しまう。この疵を除去しなければ焼入れ時に焼割れの起
点となるため、疵手入れという面からもコストが嵩んで
しまう。したがって、Pbの含有量を0〜0.50%と
した。
れば、鋼の被削性を大きく高める作用がある。この効果
を確実に得るには、Caは0.001%以上の含有量と
することが好ましい。しかし、その含有量が0.01%
を超えると前記の効果が飽和するばかりか、却って粗大
介在物を生成して疲労強度の低下をきたす。したがっ
て、Caの含有量を0〜0.01%とした。
れば、鋼の被削性を一段と向上させる効果を有する。こ
の効果を確実に得るには、Seは0.1%以上の含有量
とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.5%
を超えると前記の効果が飽和するばかりか、却って粗大
介在物を生成して疲労強度の低下をきたす。したがっ
て、Seの含有量を0〜0.5%とした。
れば、鋼の被削性を一段と高める効果を有する。この効
果を確実に得るには、Teは0.005%以上の含有量
とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.05
%を超えると前記の効果が飽和するばかりか、却って粗
大介在物を生成して疲労強度の低下をもたらす。更に、
Teの多量添加は熱間加工性の劣化を招き、特に含有量
が0.05%を超えると熱間加工した鋼材の表面に疵が
生じてしまう。この疵を除去しなければ焼入れ時に焼割
れの起点となるため、疵手入れという面からもコストが
嵩んでしまう。したがって、Teの含有量を0〜0.0
5%とした。
れば、鋼の被削性を大きく向上させる効果を有する。こ
の効果を確実に得るには、Biは0.05%以上の含有
量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.4
%を超えると前記の効果が飽和するばかりか、却って粗
大介在物を生成して疲労強度の低下をきたす。更に、熱
間加工性が劣化するので、熱間加工した鋼材の表面に疵
が生じてしまう。この疵を除去しなければ焼入れ時に焼
割れの起点となるため、疵手入れという面からのコスト
アップにつながる。したがって、Biの含有量を0〜
0.4%とした。
で、前述の(1) 式で表されるfn1が0%を超える値
(fn1=Ti(%)−1.2×S(%)>0%)の場
合に前記したTi炭硫化物の被削性向上効果が確保でき
る。fn1が0%以下の値(fn1≦0%)の場合に
は、S量が過剰となるため、その分MnSが過剰生成し
てTi炭硫化物による被削性向上効果が低下してしま
う。したがって、(1)の発明にあっては(1) 式で表さ
れるfn1に関して0%を超える値(fn1>0%)と
規定した。このfn1の値の上限は特に規定されるもの
ではなく、Tiが1.0%でSが0.002%の場合の
値であっても良い。
008%以下で、前述の(2) 式で表されるfn2が0%
を超える値(fn2=Ti(%)+Zr(%)−1.2
×S(%)>0%)の場合に前記したTi炭硫化物とZ
r炭硫化物の被削性向上効果が確保できる。fn2が0
%以下の値(fn2≦0%)の場合には、S量が過剰と
なるため、その分MnSが過剰生成してTi炭硫化物と
Zr炭硫化物による被削性向上効果が低下してしまう。
したがって、(2)の発明にあっては(2) 式で表される
fn2に関して0%を超える値(fn2>0%)と規定
した。このfn2の値の上限は特に規定されるものでは
なく、Ti(%)+Zr(%)の値が1.0%でSが
0.002%の場合の値であっても良い。
く劣化させるので、本発明鋼中の不純物元素としてのP
は、鋼の靭性確保の点から0.05%以下とすることが
好ましい。
ズと量 上記の化学組成を有する調質鋼材の被削性をTi炭硫化
物やZr炭硫化物によって高めるとともに大きな強度、
なかでも大きな疲労強度をも確保するためには、Ti炭
硫化物やZr炭硫化物のサイズと清浄度(TiとZrを
複合添加する場合にはTi炭硫化物とZr炭硫化物の清
浄度の和)で表される量を適正化しておくことが重要で
ある。
大直径が10μmを超えると疲労強度が低下してしま
う。なお、Ti炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直径は
いずれも7μm以下とすることが好ましい。Ti炭硫化
物とZr炭硫化物は、それらの最大直径が小さすぎると
被削性向上効果が小さくなってしまう。したがって、T
i炭硫化物とZr炭硫化物の最大直径の下限値は0.5
μm程度とすることが好ましい。
m以下のTi炭硫化物の量が清浄度で0.05%未満の
場合には、Ti炭硫化物による被削性向上効果が発揮で
きない。したがって、(1)の発明にあっては、Ti炭
硫化物の最大直径が10μm以下で清浄度を0.05%
以上とした。なお、前記の清浄度は0.08%以上とす
ることが好ましい。上記のTi炭硫化物の清浄度の値が
大きすぎると疲労強度が低下してしまうので、上記のT
i炭硫化物の清浄度の上限値は2.0%程度とすること
が好ましい。
m以下のTi炭硫化物及びZr炭硫化物の量の和が清浄
度で0.05%未満の場合には、Ti炭硫化物及びZr
炭硫化物による被削性向上効果が発揮できない。したが
って、(2)の発明にあっては、Ti炭硫化物及びZr
炭硫化物の最大直径が10μm以下で、且つその量の和
を清浄度で0.05%以上とした。なお、前記の清浄度
の和は0.08%以上とすることが好ましい。上記のT
i炭硫化物とZr炭硫化物の清浄度の和の値が大きすぎ
ると疲労強度が低下してしまうので、上記の清浄度の和
の上限値は2.0%程度とすることが好ましい。
物の形態は基本的にはTi、Zr、S及びNの含有量で
決定される。しかし、Ti炭硫化物やZr炭硫化物のサ
イズと清浄度(清浄度の和)を上述の値とするために
は、TiやZrの酸化物が過剰に生成することを防ぐこ
とが重要である。このためには、鋼が前記(A)項で述
べた化学組成を有しているだけでは充分でない場合があ
るので、例えば、Si及びAlで充分脱酸し、最後にT
iやZrを添加する製鋼法を採れば良い。
材から採取した試験片を鏡面研磨し、その研磨面を被検
面として倍率400倍以上で光学顕微鏡観察すれば、色
と形状から容易に他の介在物と識別できる。すなわち、
前記の条件で光学顕微鏡観察すれば、Ti炭硫化物及び
Zr炭硫化物の「色」は極めて薄い灰色で、「形状」は
JISのB系介在物やC系介在物に相当する粒状(球
状)として認められる。Ti炭硫化物及びZr炭硫化物
の詳細判定は、前記の被検面をEDX(エネルギー分散
型X線分析装置)などの分析機能を備えた電子顕微鏡で
観察することによって行うこともできる。
度は、既に述べたように、光学顕微鏡の倍率を400倍
として、JIS G 0555に規定された「鋼の非金属介在物の
顕微鏡試験方法」によって60視野測定した値をいう。
なお、Ti炭硫化物やZr炭硫化物の最大直径も、倍率
が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して調査すれば
良い。
Ti炭硫化物やZr炭硫化物は、通常の熱間加工のため
の加熱温度では基地に固溶しないし、焼入れ焼戻しの加
熱温度でも基地に固溶しない。したがって、オーステナ
イト領域において所謂「ピン止め作用」が発揮されるの
で、オーステナイト粒の粗大化防止にも有効である。 (C)鋼材の組織 上記した化学組成並びにTi炭硫化物及びZr炭硫化物
のサイズと清浄度(清浄度の和)を有する鋼を焼入れ焼
戻しすることで初めて、極めて良好な強度−靭性バラン
スを有する鋼材が得られる。すなわち、極めて良好な強
度−靭性バランスを確保させるためには「調質鋼材」と
することが重要である。
ては例えば、鋼片を1050〜1300℃に加熱してか
ら熱間鍛造などの熱間加工を行い、900℃以上の温度
で仕上げた後、60℃/分以下の冷却速度で少なくとも
300℃まで空冷あるいは放冷し、次いで、800℃〜
950℃の温度域に加熱して20〜150分保持した後
で水や油などの冷却媒体を用いて焼入れし、更に、40
0〜700℃の温度域に加熱して20〜150分保持し
てから2℃/分以上の冷却速度で空冷、放冷、場合によ
っては水冷、油冷して焼戻しするような処理がある。更
に、上記の焼入れ処理として、熱間加工後にオーステナ
イト領域又はオーステナイトとフェライトの2相領域か
らそのまま焼入れする、所謂「直接焼入れ」を用いる製
造方法もある。なお、上記の「冷却速度」とは鋼材表面
の冷却速度を指す。
が微細化し、熱間加工組織が微細であれば、焼入れのた
めの加熱で生ずるオーステナイト粒も微細になるので、
前記熱間加工に際して成形比を1.5以上とすることが
好ましい。本発明でいう「成形比」とは、A0を加工前
の断面積、Aを加工後の断面積とした場合の(A0/
A)のことを指す。既に述べたように、本発明における
「調質鋼材」とは焼入れ焼戻しを施された、組織の50
%以上がマルテンサイトである鋼材のことをいうが、極
めて優れた強度−靭性バランスと優れた被削性を兼備さ
せるためには、組織の80%以上をマルテンサイトとす
ることが好ましく、実質的に組織の100%がマルテン
サイトであっても良い。なお、組織におけるマルテンサ
イト以外の部分は、焼入れ処理でオーステナイトから変
態したフェライト、パーライト及びベイナイトが焼戻し
を受けた組織、オーステナイトとフェライトの2相領域
から焼入れた場合のフェライトが焼戻しを受けた組織
や、焼入れ処理しても変態せずに残ったオーステナイト
(所謂「残留オーステナイト」)が焼戻しを受けた組織
である。
真空溶解炉を用いて溶製した。なお、Ti酸化物の生成
を防ぐために、Si及びAlで充分脱酸し種々の元素を
添加した最後にTiを添加して、Ti炭硫化物のサイズ
と清浄度を調整するようにした。
が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼であり、
表3、表4における鋼25〜48はその成分のいずれか
が本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼
である。
てから1000℃で仕上げる熱間鍛造を行って直径20
mmの丸棒を作製した。なお、鋼11、鋼14、鋼16
〜18、鋼20、鋼22、鋼24、鋼27及び鋼35に
ついては、鋼塊を2分割して上記の条件で熱間鍛造して
直径20mm及び直径60mmの丸棒を作製した。
5℃/分となるように空冷又は放冷して300℃まで冷
却した。その後各鋼について表5、表6に示すような焼
入れ焼戻し処理を行った。なお、表5、6に記載の加熱
温度からの焼入れはオーステナイト領域からの焼入れで
ある。
の中心部からJIS14A号の引張試験片、小野式回転
曲げ疲労試験片(平行部の直径が8mmでその長さが1
8.4mm)、JIS3号の2mmUノッチシャルピー
衝撃試験片を採取し、室温での引張強度(TS)、疲労
強度(疲労限度、σw)、シャルピー吸収エネルギー(
UE20 )を調査した。
55の図5に則った試験片も採取し、鏡面研磨した300
mm2 の被検面を、倍率が400倍の光学顕微鏡で60
視野観察して、Ti炭硫化物を他の介在物と区分しなが
らその清浄度を測定した。又、Ti炭硫化物の最大直径
を、倍率が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して調
査した。更に、この試験片をナイタルで腐食して中心部
の組識観察を行い、マルテンサイトの割合(面積率)を
調査した。
鋼20、鋼22、鋼24、鋼27及び鋼35の直径60
mmの丸棒について、ドリル穿孔試験を行って評価し
た。すなわち、焼入れ焼戻しした直径60mmの丸棒を
25mmの長さの輪切りにしたものを用いて、R/2部
(Rは丸棒の半径)についてその長さ方向に貫通孔をあ
け、刃先摩損により穿孔不能となった時の貫通孔の個数
を数え、被削性の評価を行った。穿孔条件はJIS高速
度工具鋼SKH51のφ5mmストレートシャンクドリ
ルを使用し、水溶性の潤滑剤を用いて、送り0.15m
m/rev、回転数980rpmで行った。
は、JIS G 0555の図3に則って試験片を採取し、鏡面研
磨した幅が15mmで高さが20mmの被検面を、倍率
が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して、Ti炭硫
化物を他の介在物と区分しながらその清浄度を測定し
た。又、Ti炭硫化物の最大直径を、倍率が400倍の
光学顕微鏡で60視野観察して調査した。更に、この試
験片をナイタルで腐食してR/2部の組識観察を行い、
マルテンサイトの割合(面積率)を調査した。
各種試験結果を、表9に直径60mmの丸棒に関する各
種試験結果を示す。又、図1に各鋼の引張強度とシャル
ピー吸収エネルギーとの関係を示す。
24は高い強度(引張強度と疲労強度)と大きなシャル
ピー吸収エネルギーを有すること、つまり強度−靭性バ
ランスが極めて良好であることが明らかである。しかも
その強度レベルにおける被削性も良好である。
−靭性バランスや被削性に劣っている。
うち鋼10、鋼15、鋼17〜19、鋼23、鋼24、
鋼36、鋼38及び鋼41について、上記の実施例1で
熱間鍛造して得た直径20mmの丸棒を表10に示す条
件で焼入れ焼戻し処理した。なお、表10に記載の加熱
温度からの焼入れはオーステナイトとフェライトの2相
領域からの焼入れである。
棒の中心部からJIS14A号の引張試験片、小野式回
転曲げ疲労試験片(平行部の直径が8mmでその長さが
18.4mm)、JIS3号の2mmUノッチシャルピ
ー衝撃試験片を採取し、室温での引張強度(TS)、疲
労強度(疲労限度、σw)、シャルピー吸収エネルギー
(UE20 )を調査した。
G 0555の図5に則った試験片も採取し、鏡面研磨した3
00mm2 の被検面を、倍率が400倍の光学顕微鏡で
60視野観察して、Ti炭硫化物を他の介在物と区分し
ながらその清浄度を測定した。又、Ti炭硫化物の最大
直径を、倍率が400倍の光学顕微鏡で60視野観察し
て調査した。更に、この試験片をナイタルで腐食して中
心部の組識観察を行い、マルテンサイトの割合(面積
率)を調査した。
17〜19、鋼23及び鋼24は2相領域から焼入れし
ても高い強度(引張強度と疲労強度)と大きなシャルピ
ー吸収エネルギーを有すること、つまり強度−靭性バラ
ンスが極めて良好であることが明らかである。
鋼41の場合には、強度−靭性バランスが劣っている。
の鋼を150kg真空溶解炉を用いて溶製した。なお、
Ti酸化物及びZr酸化物の生成を防ぐために、Si及
びAlで充分脱酸し種々の元素を添加した最後にTiと
Zrを添加して、Ti炭硫化物とZr炭硫化物のサイズ
と清浄度(清浄度の和)を調整するようにした。
学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼で
あり、表14、表15における鋼73〜98はその成分
のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた
比較例の鋼である。
てから1000℃で仕上げる熱間鍛造を行って直径20
mmの丸棒を作製した。なお、鋼59、鋼62、鋼64
〜66、鋼68、鋼70、鋼72、鋼75及び鋼84に
ついては、鋼塊を2分割して上記の条件で熱間鍛造して
直径20mm及び直径60mmの丸棒を作製した。
5℃/分となるように空冷又は放冷して300℃まで冷
却した。その後各鋼について表16、表17に示すよう
な焼入れ焼戻し処理を行った。なお、表16、表17に
記載の加熱温度からの焼入れはオーステナイト領域から
の焼入れである。
の中心部からJIS14A号の引張試験片、小野式回転
曲げ疲労試験片(平行部の直径が8mmでその長さが1
8.4mm)、JIS3号の2mmUノッチシャルピー
衝撃試験片を採取し、室温での引張強度(TS)、疲労
強度(疲労限度、σw)、シャルピー吸収エネルギー(
UE20 )を調査した。
55の図5に則った試験片も採取し、鏡面研磨した300
mm2 の被検面を、倍率が400倍の光学顕微鏡で60
視野観察して、Ti炭硫化物及びZr炭硫化物を他の介
在物と区分しながらその清浄度(清浄度の和)も測定し
た。Ti炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直径も、倍率
が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して調査した。
更に、この試験片をナイタルで腐食して中心部の組識観
察を行い、マルテンサイトの割合(面積率)を調査し
た。
鋼68、鋼70、鋼72、鋼75及び鋼84の直径60
mmの丸棒について、ドリル穿孔試験を行って評価し
た。すなわち、焼入れ焼戻しした直径60mmの丸棒を
25mmの長さの輪切りにしたものを用いて、R/2部
(Rは丸棒の半径)についてその長さ方向に貫通孔をあ
け、刃先摩損により穿孔不能となった時の貫通孔の個数
を数え、被削性の評価を行った。穿孔条件はJIS高速
度工具鋼SKH51のφ5mmストレートシャンクドリ
ルを使用し、水溶性の潤滑剤を用いて、送り0.15m
m/rev、回転数980rpmで行った。
は、JIS G 0555の図3に則って試験片を採取し、鏡面研
磨した幅が15mmで高さが20mmの被検面を、倍率
が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して、Ti炭硫
化物及びZr炭硫化物を他の介在物と区分しながらその
清浄度(清浄度の和)も測定した。Ti炭硫化物及びZ
r炭硫化物の最大直径も、倍率が400倍の光学顕微鏡
で60視野観察して調査した。更に、この試験片をナイ
タルで腐食してR/2部の組識観察を行い、マルテンサ
イトの割合(面積率)を調査した。
する各種試験結果を、表20に直径60mmの丸棒に関
する各種試験結果を示す。
2は高い強度(引張強度と疲労強度)と大きなシャルピ
ー吸収エネルギーを有すること、つまり強度−靭性バラ
ンスが極めて良好であることが明らかである。しかもそ
の強度レベルにおける被削性も良好である。
−靭性バランスや被削性に劣っている。
鋼のうち鋼58、鋼63、鋼65〜67、鋼71、鋼7
2、鋼85、鋼87及び鋼91について、上記の実施例
3で熱間鍛造して得た直径20mmの丸棒を表21に示
す条件で焼入れ焼戻し処理した。なお、表21に記載の
加熱温度からの焼入れはオーステナイトとフェライトの
2相領域からの焼入れである。
棒の中心部からJIS14A号の引張試験片、小野式回
転曲げ疲労試験片(平行部の直径が8mmでその長さが
18.4mm)、JIS3号の2mmUノッチシャルピ
ー衝撃試験片を採取し、室温での引張強度(TS)、疲
労強度(疲労限度、σw)、シャルピー吸収エネルギー
(UE20 )を調査した。
G 0555の図5に則った試験片も採取し、鏡面研磨した3
00mm2 の被検面を、倍率が400倍の光学顕微鏡で
60視野観察して、Ti炭硫化物及びZr炭硫化物を他
の介在物と区分しながらその清浄度(清浄度の和)も測
定した。Ti炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直径も、
倍率が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して調査し
た。更に、この試験片をナイタルで腐食して中心部の組
識観察を行い、マルテンサイトの割合(面積率)を調査
した。
65〜67、鋼71及び鋼72は2相領域から焼入れし
ても高い強度(引張強度と疲労強度)と大きなシャルピ
ー吸収エネルギーを有すること、つまり強度−靭性バラ
ンスが極めて良好であることが明らかである。
鋼91の場合には、強度−靭性バランスが劣っている。
質鋼材は極めて優れた強度−靭性バランスを有するとと
もに被削性にも優れているので、機械構造部品などの素
材として利用することができる。この高強度高靭性調質
鋼材は比較的容易に製造することができる。
ルピー吸収エネルギーの関係を示した図である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:
0.05〜1.5%、Mn:0.4〜2.0%、S:
0.002〜0.2%、Ti:0.04〜1.0%、A
l:0.005〜0.05%、N:0.008%以下、
Cr:0〜2.0%、V:0〜0.3%、Nb:0〜
0.05%、Mo:0〜0.5%、Cu:0〜1.0
%、Ni:0〜2.0%、B:0〜0.02%、Nd:
0〜0.1%、Pb:0〜0.50%、Ca:0〜0.
01%、Se:0〜0.5%、Te:0〜0.05%及
びBi:0〜0.4%を含み、下記(1) 式で表されるf
n1が0%を超え、残部はFe及び不可避不純物の化学
組成で、更に鋼中のTi炭硫化物の最大直径が10μm
以下で、且つ、その量が清浄度で0.05%以上である
ことを特徴とする被削性に優れた高強度高靭性調質鋼
材。 fn1=Ti(%)−1.2×S(%)・・・・(1) - 【請求項2】重量%で、C:0.1〜0.6%、Si:
0.05〜1.5%、Mn:0.4〜2.0%、S:
0.002〜0.2%、Ti:0〜1.0%、Zr:
1.0%以下で、且つ、Ti(%)+Zr(%):0.
04〜1.0%、Al:0.005〜0.05%、N:
0.008%以下、Cr:0〜2.0%、V:0〜0.
3%、Nb:0〜0.05%、Mo:0〜0.5%、
W:0〜0.8%、Cu:0〜1.0%、Ni:0〜
2.0%、B:0〜0.02%、Nd:0〜0.1%、
Pb:0〜0.50%、Ca:0〜0.01%、Se:
0〜0.5%、Te:0〜0.05%及びBi:0〜
0.4%を含み、下記(2) 式で表されるfn2が0%を
超え、残部はFe及び不可避不純物の化学組成で、更に
鋼中のTi炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直径が10
μm以下で、且つ、その量の和が清浄度で0.05%以
上であることを特徴とする被削性に優れた高強度高靭性
調質鋼材。 fn2=Ti(%)+Zr(%)−1.2×S(%)・
・・・(2)
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JP9-94190 | 1997-04-11 | ||
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- 1998-03-04 JP JP05210398A patent/JP3489656B2/ja not_active Expired - Fee Related
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「材料とプロセス」vol.7(1994)No.3 日本鉄鋼協会 P.819 |
「材料とプロセス」vol.7(1994)No.6 日本鉄鋼協会 P.1839 |
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「鉄と鋼」日本鉄鋼協会第82回講演大会、No.11−142、1971、田阪ら"脱酸調整快削鋼の諸性質におよぼすTi脱酸の影響" |
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