JP3842430B2 - 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法 - Google Patents

快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3842430B2
JP3842430B2 JP9607998A JP9607998A JP3842430B2 JP 3842430 B2 JP3842430 B2 JP 3842430B2 JP 9607998 A JP9607998 A JP 9607998A JP 9607998 A JP9607998 A JP 9607998A JP 3842430 B2 JP3842430 B2 JP 3842430B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
hot
graphite
free
cutting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9607998A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11293388A (ja
Inventor
豊明 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Bars and Shapes Corp
Original Assignee
JFE Bars and Shapes Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Bars and Shapes Corp filed Critical JFE Bars and Shapes Corp
Priority to JP9607998A priority Critical patent/JP3842430B2/ja
Publication of JPH11293388A publication Critical patent/JPH11293388A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3842430B2 publication Critical patent/JP3842430B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、クランクシャフト、デファレンシャルギア等、自動車、産業機械の部品の素材として使用される棒鋼等鋼材、及び上記部品等製品に関するものであって、Cu、Ni等の不純物の多い低級なスクラップを利用して安価に製造することができ、黒鉛を析出させるための熱処理を行わなくても、熱間加工ままで微細な黒鉛を有し、Ca添加等との複合効果により被削性がより一層良好で、且つ、従来の球状黒鉛鋳鉄より高い強度と靱性とを有する、熱間加工鋼材及び製品、並びに、それらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年市中に出回っているスクラップには、自動車、電気製品の廃材が多量に混入している。例えば、電気モーターには多量の銅が使用されているし、排ガスのマフラー、触媒等にはNiを多量に含むステンレス鋼が使用されており、これらが必然的にスクラップの中に混入する。従って、これらスクラップの品位が低下する。このスクラップ品位の低級化に伴い、これを主原料として用いる電気炉溶製鋼においては、その鋼材製品に不純物が多量混じってくるのは避けられないものである。
【0003】
このような、スクラップ品位の低級化により、低品位スクラップが利用されず、不純物の少ない高級スクラップばかり利用されると、将来的に鉄源としての鋼スクラップの循環が悪化して、低級スクラップが市場に放置される事態も招きかねない。従って、こうした低級スクラップの有効利用が強く求められている。
【0004】
ところで、スクラップを鉄源として製造された棒鋼は、自動車、建設機械、産業機械等の部品の素材として広く使われている。
例えば、建設機械のピストンロッド等においては、圧延棒鋼の外周を直接切削した後、高周波焼入れを行って使用するが、棒鋼の内部組織は圧延ままである。従って、棒鋼は優れた被削性と共に、圧延ままで所望の強度、延性を有していることが必要である。また、棒鋼から熱間鍛造により製造した部品を切削により機械加工する場合、例えば、自動車のエンジン廻り部品であるコネクチングロッド、クランクシャフト、ピニオンギアの加工においても、これら機械加工仕上げ前の鍛造品には優れた被削性が要求されると共に、鍛造まま、あるいは熱処理後に所望の強度、延性を有することが必要である。
【0005】
このように多くの部品は機械加工により部品形状に仕上げられるが、被削性の良否は、切削工具の寿命と切り屑の処理性、すなわち切り屑が適当な大きさに細かく分断するか否かによって判断される。特に最近では自動盤により無人で機械加工されることが多く、切り屑が長くつながって絡まってしまうと、機械の停止や切り屑を取り除くための余計な作業を行う必要が生じ、生産性を低下させることになる。
【0006】
またコネクチングロッド、クランクシャフトにおいては潤滑油を供給するための、径の細い穴をいくつか有しているが、この穴は深いために、穴明け加工においては、切り屑が細かく分断して、ドリル穴から支障なく排出されることが必要である。即ち、分断しにくい切粉では穴から排出されず、切粉が穴に詰まってドリル折損を引き起こすのである。
【0007】
従って、上記のような部品の機械加工に当たっては、工具寿命、切り屑処理性の改善のため、快削元素である鉛を0.05〜0.30wt.%添加した鉛快削鋼が広く用いられてきた。鉛は低融点であるため、切削加工の熱により容易に溶解して、鋼材の延性を低下させ、これによって、工具寿命を延ばし、切り屑を適度な大きさに分断する。
【0008】
しかしながら、鉛には毒性があるため、近年の地球環境保護の機運の高まりに伴って、無鉛の快削鋼が強く求められている。
切削性を向上させる元素としてはPbの他にS、Ca、Bi、Se、Te等の元素が知られているが、これら元素は、▲1▼被削性改善効果が鉛に及ばない、▲2▼高価である、▲3▼毒性がある、といった欠点を少なくとも1つ有しているために、鉛代替の元素にはなり得ない。
【0009】
一方、黒鉛は鋳鉄にみられるように、被削性を極めて向上させる元素であるが、鋼に炭素を添加するとセメンタイトを析出するので、鋼材に黒鉛を析出させるのは容易ではない。従来の発明における炭素0.10〜1.5wt.%を有する鋼の場合には、例えば特開平2−107742号公報、特開平3−140411号公報には、600〜800℃の温度で数時間〜200時間もの長い時間の焼鈍を行って黒鉛を析出させる鋼材又は方法が開示されている。
【0010】
また特開昭49−67816号公報、特開昭49−67817号公報には、750〜950℃で焼入れ、600〜750℃で焼戻して黒鉛を析出させた黒鉛快削鋼が開示されている。
【0011】
従って、従来の開示例においてはいずれも、黒鉛を得るための、黒鉛化熱処理を施す必要があり、このため極めてコスト高になってしまう。また黒鉛化熱処理により金属組織がフェライトになってしまい、このため強度の低い部品や冷間鍛造によって製造可能な小さな部品の製造に限定されてしまい、クランクシャフトやコネクチングロッドといった大型の鍛造部品の製造には適用することができなかった。
【0012】
一方、炭素量が3.8wt.%前後の鋳鉄、鋳鋼はCa、Mg等の接種により鋳造ままで容易に球状黒鉛が得られ、被削性が良好であることは良く知られている。しかしながら鋳鉄、鋳鋼は鋳込ままで使用するため、鋼材製品の形状の自由度はあるものの、伸び、絞り、衝撃値といった靱性が低いという欠点がある。
【0013】
近年はオーステンパー処理により基地組織をベイナイトにすることにより、その靱性が改善されてきてはいる。例えば、特開昭61−243121号公報には、球状黒鉛鋳鉄にオーステンパー処理を施すクランクシャフトの製造方法が、特開昭61−174332号公報には同じく、球状黒鉛鋳鉄にオーステンパー処理を施すコネクチングロッドの製造方法が開示されている。しかしながら、これら鋳造品は、S48Cを基本成分にして0.10wt.%程度のVを添加した非調質鋼の鍛造品に較べるとヤング率が低く、疲労強度に劣る。また、靱性もなお鍛造品には及ばない。また、これら鋳造品には0.1mm程度の鋳造巣を発生することがあり、これは疲労破壊の起点となるので材料の信頼性に劣るのが欠点であり、鋳造方法及びに製品の超音波検査に厳重な注意を払う必要があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各種先行技術においては、下記問題点のいずれかが未解決となっている。
【0015】
問題点1:使用されている快削元素には毒性があり、環境対策上問題がある。
問題点2:毒性のない快削元素として炭素を利用し、黒鉛の形態に析出させて快削効果を発揮させ得るが、黒鉛化熱処理を施さなければならないので、コストが嵩む。
問題点3:炭素含有率の高い鋳鉄や鋳鋼であれば接種による球状黒鉛の析出により快削性が確保されるが、靱性が劣っている。
【0016】
問題点4:快削鋳鉄や快削鋳鋼の熱処理により靱性改善を図っても、十分な靱性が得られず、また、鋳造巣欠陥により製品の信頼性に問題がある。
問題点5:将来、CuやNi等がトランプエレメントとして高濃度に混入した低品位スクラップを相当量、鉄源として使用した場合には、鋼材の延性低下が懸念されるが、これに対する有効な技術が見当たらない。この発明においては、この問題の解決が極めて重要であると位置づけしている。
【0017】
この発明では、上記諸問題点を解決して、自動車や産業機械の部品類の素材として用いられる熱間加工状態の棒鋼、及び、その棒鋼を熱間加工し、切削加工仕上げをして製品とし、熱処理を施さないで上記部品類を製造するために、▲1▼被削性が良好であり、▲2▼トランプエレメントを高濃度に含むスクラップを使用しても、強度及び靱性に優れており、表面疵発生が抑制され、しかも、▲3▼安価で且つ環境保護上問題なく製造し得る技術を開発することを目的とする。本発明者等は、上記目的を達成するために、特に、熱処理を行なわず熱間加工ままで微細で適切な黒鉛を析出させ、且つ、トランプエレメントのCu及びNi混入の製造上及び品質上の悪影響を回避することを主な課題とした。
【0018】
【課題を解決するための手段】
以上の従来技術を背景にして、本発明者等は、低級なスクラップを利用し、且つ鋳物に匹敵する被削性を有する無鉛の快削鋼製品の開発を目的として、鋭意研究を重ねた結果、化学成分を適正に組み合わせることによって、良好な熱間延性を有し、熱間での棒圧延が可能で、焼鈍を行なわず熱間加工ままで直接微細な黒鉛を有する快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品を得ることができるとの知見を得た。
【0019】
請求項1記載の発明は、C:0.80〜1.70wt.%、Si:0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01〜0.50wt.%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0030wt.%以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、下記(1)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(1)
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
で算出される黒鉛化指数CEが、下記(2)式:
CE≧1.30 ----------------------------------------(2)
を満たす化学成分組成を有し、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が100個/mm2 以上析出し、且つ金属組織がパーライトであることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(3)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B --------------------------------(3)
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、Mn:0.01〜1.0wt.%、Cr:0.01〜1.0wt.%、Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、B:0.0005〜0.010wt.%の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
--------------------------------(4)
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、Al:0.01〜0.50wt.%、Ti:0.01〜0.50wt.%、Zr:0.01〜0.50wt.%、V:0.01〜0.30wt.%、及び、Nb:0.01〜0.30wt.%の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
--------------------------------(4)
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、Ca:0.0010〜0.0100wt.%、Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、REM:0.0010〜0.10wt.%の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明の熱間加工鋼材を素材としたことに特徴を有するものである。
【0024】
請求項6記載の発明は、C:0.80〜1.70wt.%、Si:0.70〜2.50wt.%、Cu:0.01〜0.50wt.%、Ni:0.01〜2.0wt.%、P:0.050wt.%以下、S:0.050wt.%以下、O:0.0030wt.%以下、及び、N:0.015wt.%以下を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、下記(1)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(1)
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
で算出される黒鉛化指数CEが、下記(2)式:
CE≧1.30 ----------------------------------------(2)
を満たす化学成分組成を有する鋼片を、前記鋼片の固相線温度より50℃低い温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却して、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、金属組織をパーライトとすることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(3)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B -------------------------------- (3)
但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
を用い、そして、前記鋼片として、Mn:0.01〜1.0 wt.% 、Cr:0.01〜1.0 wt.% 、Mo:0.01〜0.50 wt.% 、及び、B:0.0005〜0.010 wt.% の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることに特徴を有するものであり、請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の発明において、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
-------------------------------- (4)
但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
を用い、そして、前記鋼片として、Al:0.01〜0.50 wt.% 、Ti:0.01〜0.50 wt.% 、Zr:0.01〜0.50 wt.% 、V:0.01〜0.30 wt.% 、及び、Nb:0.01〜0.30 wt.% の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることに特徴を有するものであり、請求項9記載の発明は、請求項6から8の何れか1つに記載のはにおいて、黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
−Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
-------------------------------- (4)
但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
を用い、そして、前記鋼片として、Ca:0.0010〜0.0100 wt.% 、Mg:0.0010〜0.10 wt.% 、及び、REM:0.0010〜0.10 wt.% の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることに特徴を有するものであり、そして、請求項10記載の発明は、請求項6から9の何れか1つに記載の鋼片を鋼材として、熱間加工製品を製造することに特徴を有するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、この発明における鋼片、鋼材及びこの鋼材から製造された部品類等製品の、化学成分組成、黒鉛の析出状態及び金属組織、並びに、鋼片及び鋼材の加熱条件を上記の通り限定した理由について説明する。
【0027】
(1)炭素(C)
炭素は、黒鉛を析出させ、強度を確保するのに重要な元素である。熱間加工ままで黒鉛を析出させるためには0.80wt.%以上を必要とする。しかしながら炭素含有量が1.70wt.%を超えると熱間延性の低下が大きく、棒圧延に際して表面疵の発生が増大する。また熱間加工後に析出する黒鉛粒が粗大になり、靱性を低下させる。従って、炭素含有率は0.80〜1.70wt.%の間とする。
【0028】
(2)シリコン(Si)
Siは本発明において重要な役目を果たす元素である。即ちSiはセメンタイトの黒鉛化を促進する元素であり、0.70wt.%未満ではその効果は小さい。しかし、Siが2.50wt.%を超えると非金属介在物が増大して靱性の低下を招くのみならず、熱間加工時の加熱において脱炭を大きくする。従って、Si含有率は、0.70〜2.50wt.%の間とする。
【0029】
(3)銅(Cu)
Cuの含有量は今日、スクラップ中に徐々に増加しつつある。一方、鋼材の高温加熱に際して、はじめにFeが選択的に酸化され、鋼中Cuは材料表面に濃化する。Cuは融点が低いので溶融して、Cuの融体が隙間の多い結晶粒界に侵入する。これが熱間延性を低下させ、表面疵、割れ発生の原因となるため、自動車や産業機械用部品等には、Cuが積極的に利用されることは少なかった。しかし、Cuは0.50wt.%添加までは表面疵の発生も少なくなる。また、CuにNiを併用することにより、Niは鋼材加熱時の表面に濃化したCuを全率固溶体合金をつくり、生成したCu−Ni合金の固相線温度はCu単味の融点よりも高くなる。こうして、CuはNiにより溶融しにくくなり、結晶粒界に侵入しにくくなり、表面疵や割れが減少する。
【0030】
さて、他方でCuはCu2 S、CuSを形成してSの悪影響を無害化するため、Mnの代替になる有用な元素であるとともに、黒鉛の析出を促進し、且つ焼入れ性を向上させる元素である。従って、この目的でCuを利用するするときには0.01wt.%以上の添加を必要とする。しかし、Cuは0.50wt.%を超えると、表面疵の発生が多くなるとともに、高価なNiを多量添加して、Cuを合金化し、その固相線温度を高めて融体化しにくくすることが必要となる。
従って、Cu含有率は、0.01〜0.50wt.%%の間とする。
(4)ニッケル(Ni)
Niもスクラップ中に少なからず混入しているが、NiはCuと全率固溶体をつくるため、よく混じり合う。Niの融点は約1453℃であり、Cu(融点:1083℃)に混じることによって、その溶けはじめる温度(固相線温度)を上昇させる。即ち、Cu中のNi濃度が高くなるにつれてCuとNiとの合金(Cu−Ni合金)の固相線温度TS は高くなる。従って、Ni添加により鋼材表層部のCuはCuとNiとの合金になり、溶融しにくくなるので、結晶粒界への侵入が抑止され、表面疵の発生が抑制される。
【0031】
更にまた、NiもCuと同様に黒鉛の析出を促進させるとともに、焼入れ性を向上させる有用な元素である。これらの目的で添加するときにはNiは0.01wt.%以上の添加を必要とする。しかし、Niを2.0wt.%を超えて添加してもその効果は飽和するのみならず、変形抵抗を増大させることになる。
従って、Ni含有率は0.01〜2.0wt.%の間とする。
【0032】
(5)燐(P)
Pは黒鉛化を促進する元素であるが、粒界に偏析して熱間延性を低下させ、表面疵の発生を助長する。従って、P含有率は0.050wt.%以下に限定する。
【0033】
(6)硫黄(S)
Sは黒鉛化を大きく阻害する元素であり、Sの含有率が0.050wt.%を超えると、Si等の黒鉛化促進元素を多量に添加する必要があり、熱間延性の低下を招く。従って、S含有率は上記弊害を抑えるために0.050wt.%以下に限定する。望ましくは0.030wt.%以下とする。
【0034】
(7)酸素(O)
Oは鋼材の清浄性を低下させると共に、黒鉛化を阻害する元素であるので、できる限り低く抑えるべきである。しかし、この観点から0.0030wt.%までは許容されるので上限を0.0030wt.%とする。
【0035】
(8)窒素(N)
Nは単独で鋼中に存在すると黒鉛化を阻害する。N含有率が0.015wt.%を超えると、黒鉛の析出が困難になる他、窒素ガスによるブローホ─ルが多数形成されて、圧延後の表面疵の原因になる。従って、N含有率は0.015wt.%以下とする。
【0036】
(9)マンガン(Mn)
Mnは、焼入れ性を高め、パーライトを微細にして、鋼を強靱化する元素である。この目的で用いる場合には0.01wt.%以上の添加を必要とするが、Mnは黒鉛の析出を大きく阻害化する元素でもある。従って、Mnを1.0wt.%以下の範囲内で添加することが望ましい。
【0037】
(10)クロム(Cr)
Crは、Mnと同様に焼入れ性を大きく向上させ、パーライトを微細にする元素である。Crをこの目的で用いる場合には0.01wt.%以上の添加を必要とする。しかしCrもMnと同様に黒鉛化を阻害する作用が強いので、1.0wt.%を超えると、黒鉛化促進元素を多量に必要とし、コスト高になる。従って、Crを0.01〜1.0wt.%の間で添加することが望ましい。
【0038】
(11)モリブデン(Mo)
Moも鋼の焼入れ性を高め、パーライトを微細にする元素である。この目的で用いる場合には0.01wt.%以上の添加を必要とする。しかしMoもMn、Crと同様に黒鉛化を阻害する元素であり、0.50wt.%を超えると、黒鉛化促進元素を多量に必要とする。従って、Moを0.01〜0.50wt.%の間で添加することが望ましい。
【0039】
(12)ボロン(B)
Bは微量で焼入れ性を高める元素である。また鋼中のNをBNとして固定し、Nの黒鉛化阻害作用を軽減する。Bをこの目的で用いる場合には0.0005wt.%以上の添加を必要とする。しかし、Bを0.010wt.%を超えて添加してもその効果は飽和するのみならず、熱間延性を低下させる。従って、Bを0.0005〜0.010wt.%の間で添加することが望ましい。
【0040】
(13)アルミニウム(Al)
AlはAlNを析出させて結晶粒を微細にする元素である。またSiと同様に黒鉛化を促進する元素である。これらの目的のためにはAlは少なくとも0.01wt.%以上添加する必要がある。しかし0.50wt.%を超えて添加すると、酸化物系介在物の量が多くなって、鋼の清浄性を低下させ、熱間加工時の割れの発生原因となる。従って、Alを0.01〜0.50wt.%の間で添加することが望ましい。
【0041】
(14)チタン(Ti)
TiはTiN、TiCを析出させ、結晶粒を微細化する。またこれら析出物は黒鉛析出の核として作用し、黒鉛の析出を促進する。Ti添加量が0.01wt.%未満ではその効果は小さく、一方、0.50wt.%を超えて添加すると、多量のTiN、TiCによって工具の摩耗が著しくなる。また、清浄性が低下して、熱間延性を低下させる。従って、Tiを0.01〜0.50wt.%の間で添加することが望ましい。
【0042】
(15)ジルコニウム(Zr)
ZrもTiと同様に窒化物、炭化物を析出させ、結晶粒を微細化すると共に、黒鉛の析出を促進させる。Zr添加量が0.01wt.%未満ではその効果は小さく、一方0.50wt.%を超えて添加すると、多量のTiN、TiCによって工具の摩耗が著しくなる。また、清浄性が低下して、熱間延性を低下させる。従って、Zrを0.01〜0.50%の間で添加することが望ましい。
【0043】
(16)バナジウム(V)
Vも窒化物、炭化物を析出させ、結晶粒を微細化すると共に、黒鉛の析出を促進させる。また、Vの析出物は微細であるので鋼の降伏応力を高め、疲労限応力を向上させる。しかし、V添加量が0.01wt.%未満ではその効果は小さい。一方、0.30wt.%を超えて添加すると、逆に黒鉛の析出を阻害するのみならず、熱間延性を低下させる。従って、Vを0.01〜0.30wt.%の間で添加することが望ましい。
【0044】
(17)ニオブ(Nb)
Nbも窒化物、炭化物を析出させ、結晶粒を微細化すると共に、黒鉛の析出を促進させる。Nbの炭窒化物は1150℃の高温でも鋼中に固溶せず、オーステナイト粒の粗大化を阻止し、鍛造後の粒を微細にして、靱性を向上させる。Nb添加量が0.01wt.%未満ではその効果は小さく、一方、0.30wt.%を超えて添加すると、逆に黒鉛の析出を阻害するのみならず、熱間延性を低下させる。従って、Nbを0.01〜0.30wt.%の間で添加することが望ましい。
【0045】
(18)カルシウム(Ca)
Caは鋳鉄において接種材として使用され黒鉛化を促進させるために用いられる。Caによる黒鉛化促進機構は、Caの蒸気圧が高く、鋳造中にCaの蒸気が鉄内に微小な空洞を形成し、これが黒鉛析出の核となって、球状黒鉛を析出させると考えられるが、鋳鉄と同様に鋼においても熱間加工後の黒鉛析出を容易にする。またCaは酸化物系介在物として存在すると、超硬工具切削においてベラーグを形成し、工具寿命を延長する高価が大きいので、快削鋼には望ましい元素である。こうした目的のためにはCaは0.0010wt.%以上添加する必要があるが、0.010wt.%を超えて添加しても効果は飽和する。従って、Ca含有率は0.0010〜0.010wt.%の間とすることが望ましい。
【0046】
(19)マグネシウム(Mg)
MgもCaと同じく鋳鉄において接種材として使用され黒鉛化を促進させ、鋼においても加工後の黒鉛析出を容易にする。その添加量が0.0010wt.%未満では効果は小さく、一方、0.10wt.%を超えて添加しても効果は飽和する。従って、Mgを0.0010〜0.10wt.%の間で添加することが望ましい。
【0047】
(20)REM(希土類元素)
Ce、La等のREMも鍛造後の黒鉛析出を促進する。その添加量が0.0010wt.%未満では効果は小さく、一方、0.10wt.%を超えて添加しても効果は飽和する。従って、REMを0.0010〜0.10wt.%の間で添加することが望ましい。
【0048】
鋼材には通常以上の他に、Sn、As等の不可避的に混入する元素を含む。
【0049】
(21)黒鉛化指数
黒鉛の析出を促進するには黒鉛化指数CEが重要である。このCEは主要元素については下記(4)式で表わされる。即ち、
Figure 0003842430
但し、各元素記号は各元素の含有率(wt.%)を表わす。そして、他の条件が一定の場合には、黒鉛化指数CEが大きいほど黒鉛の析出は促進される。
【0050】
黒鉛の析出は加熱温度、加工度、冷却速度により左右されるので、CEによって一義的に決定されるものではないが、CEは1.30以上でないと、焼鈍等の黒鉛を析出させる熱処理を行なわない限り、実用的な条件で黒鉛を析出させることが困難になる。従って、CEは1.30以上とする。
【0051】
(22)加熱温度
熱間加工温度は、黒鉛の析出を促進するための重要な因子である。これは加工時の加熱温度が適正ならば、鋼材の加熱保持中に微細な黒鉛を析出する。また加工によって導入された格子欠陥を多量残存させることによって、その後の冷却中における黒鉛の析出を容易ならしめる。但し、過度の高温に長時間保持すると、昇温中に一旦析出した黒鉛は再固溶して、加工後に得られる黒鉛粒の数が少なくなる。
【0052】
加熱温度が、鋼材の固相線温度TS より50℃だけ低い温度、即ち、(TS −50)℃よりも高くなる、鋼材の熱間延性が急激に低下する。そのため、熱間圧延棒鋼には表面疵が発生したり、また、熱間鍛造品には割れが発生したりする。
【0053】
一方、加工時の加熱温度は、鋼の共析温度(約780℃)より高い800℃以上でないと変形抵抗が増大し、加工工具の寿命が短くなる。また、変形能が不足して鍛造割れの原因となる。
従って、熱間加工前の鋼材加熱温度は、800℃〜(固相線温度TS −50)℃の範囲内とする。なお、黒鉛の析出が促進され、しかも鍛造を円滑に行なうことができる適正な温度は、TS −200℃付近である。
【0054】
例えば1.2wt.%C−1.5wt.%Si鋼について、加熱温度の上限値について考えると、次の通りである。
まず、固相線温度(加熱したときに液相が出始める温度)TS は、鋼材の成分組成に依存し、例えば下記近似式:
S (℃) =1420−250(C−0.5)−20Si
但し、
C、Si:炭素、シリコン含有率(wt.%)表示
により、1215℃と算出される。よって、加熱上限温度は、(固相線温度TS −50)℃=1215−50=1165℃となる。
なお、この鋼材の共晶温度は約1140℃であり、固相線温度TS が共晶温度を下回ることはない。一般に、固相線温度TS が共晶温度を下回ることはないので、上記式での算出値が1140℃を下回った場合でも、現実の固相線温度は1140℃となる。
【0055】
ここで、本発明にかかる鋼材の成分例として、例えば上記1.2wt.%C−1.5wt.%Si鋼についてみると、固相線温度TS は1215℃であるから、従来の通常の機械構造用鋼である0.5wt.%Cの中炭素鋼の固相線温度(TS =1420℃程度)よりも、約200℃低いことになる。このことは、本発明鋼材を用いれば、従来鋼材よりも200℃程度低い加熱温度で熱間加工を行なっても、従来鋼材と同等の変形抵抗と変形能を有することが示唆され、省エネルギーの面からも好ましい鋼材ということができる。
【0056】
なお、図1に、2wt.%Siを含有する場合のFe−C系状態図を示す。同図中、S点の温度はA1 温度、E点の温度は共晶温度、HE線は固相線温度を示す。これにより、鋼材の固相線温度の低下に及ぼすC含有率の影響を推定することができる。但し、同図はFe−C二元系状態図であるため、本発明鋼の、Si含有率2.0wt.%のときの固相線温度を厳密に推定することはできない。従って、本発明における鋼片又は鋼材の加熱温度の上限値を正確に求めることはできないが、実用的に推定するために十分役立つ。同図中に斜線部で、本発明におけるC含有率に対する加熱温度領域を示した。
【0057】
次に、熱間加工ままでの棒鋼や製品における黒鉛の析出状態を含む金属組織の限定理由を説明する。
(23)黒鉛の粒径
析出した鋼材中の黒鉛は、その切削加工時の快削性を著しく向上させる。しかしながら、その黒鉛の平均粒径が0.5μm未満では、切削時に切り屑を小さく破砕する効果が小さく、切削性向上への寄与は小さい。従って、黒鉛の平均粒径は0.5μm以上とする。上限は特に制限しないが、粒径が30μmを超える黒鉛が多数析出すると靱性低下の原因となるので、黒鉛は30μm以下であることが望ましい。
なお、本発明における黒鉛の形状は、一般的に塊状と表現されるものであるが、厚さ/長さ比が5以下ならば、球状でも粒状でもよく、特に限定する必要はない。
【0058】
(24)黒鉛の数
単位面積当たりに存在する黒鉛の数は、切り屑を小さく分断させるのに重要である。そして、黒鉛の数が100個/mm2 未満では切り屑処理性の改善効果が小さいので、黒鉛の数は100個/mm2 以上とする。一般に、成分組成一定の鋼材中に析出する黒鉛の数は、黒鉛の大きさに左右され、粒径が大きくなれば少なくなり、逆に粒径が小さくなれば多くなる。因みに、本発明では、径10〜25μmの黒鉛が析出する場合、その数はおおよそ100〜1000個の間であるが、径0.5〜5μmの黒鉛の場合には、おおよそ3000〜50000個に達する。
【0059】
(25)熱間加工ままでの棒鋼や製品の金属組織
熱間圧延された棒鋼や熱間鍛造されたクランクシャフト等製品の、熱間加工ままでの棒鋼や製品には微細な黒鉛を含み、且つ、金属組織の主体は、靱性を確保するためパーライトであることが必要である。パーライトの他には一部、粒界フェライト、黒鉛粒のまわりに発生するフェライト、ベイナイトが単独で、又は複合で存在していても差し支えない。
【0060】
【実施例】
次に、この発明を、実施例によって更に詳細に説明する。ここでは、試験1から試験3を行なった。
【0061】
〔試験1〕
表1及び表2に、試験に用いた供試材の化学成分組成、並びに、後述する黒鉛化指数CE、及び固相線温度TS を示す。また表3及び表4には、主な製造条件及びその試験結果を示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003842430
【0063】
【表2】
Figure 0003842430
【0064】
【表3】
Figure 0003842430
【0065】
【表4】
Figure 0003842430
【0066】
鋼種No.1〜23は、化学成分組成に関しては本発明の範囲にあり、対応する請求項の番号を併記した。この内、鋼種No.1〜20を用いた試験は、製造条件も本発明の範囲内にあるから、本発明の範囲内の試験例である実施例に該当する。そこで、これらをそれぞれ実施例No.1〜20とした。しかし、鋼種No.21〜23を用いた試験は、製造条件の内、後述する鋼片の加熱温度が本発明の範囲外にあるので、本発明の範囲外の試験例である比較例に該当する。そこで、それぞれ比較例No.21〜23とした。
【0067】
鋼種No.24〜49は、化学成分組成が本発明の範囲外にあり、この内、No.24〜45は比較成分例、No.46は従来の球状黒鉛鋳鉄、No.47はS48CにV:0.11wt.%、Pb:0.20wt.%を添加した従来の非調質鋼、No.48は従来のS50C、そしてNo.49は従来のSCM822である従来成分例である。そして、鋼種No.24〜49を用いた試験の製造条件は、本発明の範囲内・外の各種のものを含むが、いずれも試験としては本発明の範囲外の試験例である比較例に該当する。そこで、これらをそれぞれ比較例No.24〜49とした。
「黒鉛の析出を促進するには、黒鉛化指数CEが重要であり、他の条件が同じ場合には、CEが大きい方が黒鉛の析出が促進される。このCEは主要元素については下記の式で表わされる。即ち、
Figure 0003842430
但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
また黒鉛の析出は加熱温度、加工度、冷却速度により左右されるので、CEによって一義的に決定されるものではない。実施例においては、CEを1.30以上となるように成分を調整した。」
これらの化学成分組成の供試材を130トン電気炉により溶製後、連続鋳造又は造塊法により鋳片とした。鋳片は160mm角の鋼片に分塊圧延後、鋼片加熱炉にて810〜1150℃の間の温度に加熱して、22mm又は100mmの直径の棒鋼に熱間圧延した。
【0068】
熱間圧延後棒鋼は放冷、又はカバー徐冷して黒鉛を析出させた。24mmφ棒鋼の放冷ままの800℃〜600℃までの平均冷却速度は、約1.7℃/sec、カバー徐冷におけるそれは、0.6℃/sec、100mmφ棒鋼の放冷時の冷却速度は、0.2℃/sec、カバー徐冷のそれは0.06℃/secであった。
【0069】
棒鋼の表面は目視で疵を判定し、黒鉛の状態、金属組織を光学顕微鏡により調査した。更に、22mmφの棒鋼はショックアブソーバ─のピストンロッドに、100mmφの棒鋼は建設機械のピストンロッドに切削により機械加工して、切り屑処理性を判定した。
【0070】
切り屑処理性の判定は、図2に示すように、切り屑が巻き以下で分断しているものを良好としてランク1、3〜6巻で分断しているものを普通としてランク2、8巻以上につながっているものを劣るとしてランク3と位置づけた。なお、切削は超硬P20の切削工具を用い、切削速度200m/minで20min切削した。
【0071】
また棒鋼からJIS4号引張試験片を採取して、引張試験を行ない、引張強さ、及び伸びを求めた。なお、比較例No.46の球状黒鉛鋳鉄のみは、100mmφの砂型に直接鋳造したインゴットを比較材として用いた。
【0072】
本発明の実施例である実施例No.1〜20は、化学成分組成、圧延加熱温度とも適正であり、圧延品に割れの発生はない。また、黒鉛粒の大きさは0.5〜25μmの間となっており、黒鉛粒の数は100個/mm2 以上で十分に多い。このため切り屑は、全て2巻以下に小さく分断した良好な形状を呈していた。また金属組織はパーライト単相ないしパーライト主体のフェライト+パーライトの組織になっていた。
【0073】
図3には、実施例No.1の腐食なしでの検鏡面での顕微鏡による金属組織を示す。その組織はパーライトであり、黒鉛の析出も見られる。
図4には、実施例No.5の腐食なしでの検鏡面での黒鉛の析出状態を示す。黒鉛は粒界のみに存在する。図5には、同じく実施例No.5の腐食された検鏡面での顕微鏡による金属組織を示す。その組織は、パーライト主体の粒界フェライト+パーライトである。
【0074】
また引張強さも実施例No.1〜20はすべて、800N/mm2 以上と高く、伸びも15%以上とピストンロッドとして十分な強度、延性を有していた。
以上の実施例に対して比較例No.21及び22は、加熱温度がTS −50℃より高かったために、熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
【0075】
また比較例No.23は、加熱温度が800℃未満であったため、やはり熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
比較例No.24は、C量が本発明を外れて低く、CEも低かったので、黒鉛の析出は見られなかった。このため切削試験において切り屑が長くつながってしまい、機械を停止して切り屑を除去する必要があった。
【0076】
比較例No.25は、逆にCが本発明を外れて高く、熱間延性が不足して、棒鋼に大きな割れが発生した。
比較例No.26は、Siが本発明を外れて低く、このため炭素当量CEが小さくなり、黒鉛の析出は見られなかった。
【0077】
比較例No.27は、Siが本発明を外れて高く、このため熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
比較例No.28は、Cuが本発明より高く、加熱温度もCuの融点の1083℃より高かったため、Cu融体が粒界の侵入して、熱間延性が低下し、割れを発生した。
【0078】
比較例No.29は、Niが本発明より高く、延性不足で、棒鋼に割れを発生した。
比較例No.30は、Mnが本発明より高いため、CEが低くなって、黒鉛の析出はみられなかった。
【0079】
比較例No.31は、Pが本発明より高く、熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
比較例No.32は、Sが本発明より高く、このため黒鉛の析出が起こらなかった。
【0080】
比較例No.33は、Crが本発明より高く、このため熱間延性が不足して、棒鋼に割れを生じた。
比較例No.34は、Moが本発明より高く、やはり棒鋼に割れを生じた。
【0081】
比較例No.35は、B、Nが本発明より高く、多量のBNが析出して延性不足のために割れを生じた。
比較例No.36はTiが、比較例No.37はZrが、比較例No.38はVが、比較例No.39は、Alが、比較例No.40はNbが、いずれも本発明の範囲より高く、このため延性不足のため棒鋼に割れが発生した。
【0082】
また、比較例No.41はCaが、比較例No.42はMgが、比較例No.43はREMが、本発明より高く、このため酸化物系介在物を多量に巻き込み、これが圧延疵の原因となり、棒鋼に割れが発生した。
【0083】
比較例No.44、比較例No.45は、化学成分は本発明の範囲内であるが、CEが本発明の範囲を外れて低かったため、黒鉛の析出がみられなかった。そのため、切り屑処理性のランクは3で悪かった。
【0084】
比較例No.46は、従来の球状黒鉛鋳鉄の例であり、接種材としてのMgを含んでいる。本鋳造品の表面には0.10mm程度の小穴がいくつか存在し、機械部品としては好ましい状態ではなかった。また引張強さは適当であるが、伸びが5%と延性に劣るものであった。
【0085】
比較例No.47は、従来の非調質鋼の例であるが、これは諸特性は特に問題なく、またPbを含有しているため、切り屑処理性も良好であった。しかし環境保護の観点からこのPbは使用しない方向で部品を製造することが今後求められる。
【0086】
比較例No.48は、従来のS50Cの例であり、Pbを含まないため、切り屑処理性は劣る。また引張強さが700N/mm2 程度とやや不足しており、焼入れ焼戻しを施して、引張強さを高める必要があった。
【0087】
比較例No.49は、歯車用のSCM822の例であり、これについては後述する試験3における比較例No.49Dで説明する。
以上述べたように、本発明によれば、従来の非調質棒鋼に匹敵する強度、延性を有する無鉛の非調質快削棒鋼を製造することができる。
【0088】
〔試験2〕
表1に示した成分が本発明の範囲内にある鋼種No.3及び17のAグループ、並びに、表2に示した成分が本発明の範囲外にある鋼種No.47、48及び46のBグループの鋼について下記の通り試験を行なった。Aグループの試験は本発明の範囲内のものであり、それぞれを実施例No.3A、17Aとよび、またBグループの試験は本発明の範囲外のものであり、それぞれを比較例No.47B、48B、46Bとよぶ。
【0089】
実施例No.3A及び17Aの100mmφ棒鋼を用いて、1000℃に加熱後、クランクシャフトに熱間鍛造し、扇風機により空冷した。また、比較例No.47Bでは従来の非調質鋼の、そして比較例No.48Bでは従来のSC材のそれぞれ100mmφ棒鋼を変形抵抗が大きいので1250℃に加熱して同一形状のクランクシャフトに熱間鍛造し、やはり扇風機により空冷した。また更に、比較のために比較例No.46Bでは、従来の球状黒鉛鋳鉄を同じ形状のクランクシャフトに直接鋳造して、凝固させた。
【0090】
被削性試験として、これらの鍛造品及び鋳造品を外周切削したのち、油穴を小径深穴ドリルにより、3mm径の穴を明けた。その時の切り屑の形態は実施例No.3A及び17A、並びに、比較例No.46B及び47Bは、2巻き以下の細かく分断した良好な切り屑であったが、Pbを含有しない比較例No.48Bのみは切り屑が10巻き以上に長くつながり、ドリル折損が多発した。
【0091】
疲労試験として、製造されたクランクシャフトを曲げ疲労試験にかけて試験した。実施例No.3Aの疲労強度は500N/mm2 、実施例No.17Aの疲労強度は530N/mm2 、比較例No.47Bの疲労強度は500N/mm2 と良好な強度を有していた。
【0092】
これに対して比較例No.46Bの球状黒鉛鋳鉄では420N/mm2 の疲労強度しかなかった。これは、鋳鉄はヤング率が低いこと、及び小さい気泡が疲労の起点となり、疲労限を低下させたためと考えられる。
また比較例No.48BのS50Cの疲労強度も430N/mm2 程度しかなかった。そこでこれに対しては870℃焼入れ後580℃焼戻しを施したところ、疲労強度は520N/mm2 まで向上させることができた。
【0093】
また、実施例No.3A及び17Aの上記クランクシャフトについて、黒鉛の平均粒径及び黒鉛粒の数を測定した。いずれの実施例においても、この発明の要件を満たすものであった。
【0094】
以上示したように、本発明によれば、無鉛で被削性に優れた非調質の快削鋼部品の製造が可能であり、被削性は鉛快削鋼や球状黒鉛鋳鉄と同等であり、またその特性は、従来の球状黒鉛鋳鉄を上回り、焼入れ焼戻し材相当の高い疲労強度を有している。
【0095】
〔試験3〕
表1に示した成分が本発明の範囲内にある鋼種No.1及び5のCグループ、並びに、表2に示した成分が本発明の範囲外にある鋼種No.49及び46のDグループの鋼について下記の通りの試験を行なった。Cグループの試験は本発明の範囲内のものであり、それぞれ実施例No.1C、5Cとよび、Dグループの試験は本発明の範囲外のものであり、それぞれ比較例No.49D、46Dとよぶ。
【0096】
実施例No.1C及び5C、並びに、従来のSCM822による比較例49Dでは、鋼片を100mm棒鋼に圧延し、外径220mmφのデファレンシャルドライブギアに熱間鍛造し、そのまま放冷した。また従来の球状黒鉛鋳鉄による比較例No.46Dでは、同一形状のギア砂型に直接鋳込んだ。
【0097】
実施例No.1C、5Cのギア素材はそのままホブ盤にて歯車に切削加工し、その後570℃、5時間のガス軟窒化を施して表面を硬化させた。
SCM822による比較例No.49Dでは、鍛造ままの組織がベイナイトであり、硬いのでそのまま切削加工することは困難であった。そこで920℃×2.5時間→650℃×1時間のサイクル焼鈍をして軟化させた後、切削加工した。その後表面を硬化せさるため、920℃×5時間→840℃×40分の浸炭焼入れ処理を行って表面を硬化させた。
また、比較例No.46Dでは、球状黒鉛鋳鉄を型から取り出して、直接切削加工したのち、900℃×1時間→240℃×2時間ソルト浴浸漬のオーステンパー処理を施した。
【0098】
ホブ切り加工においてはいずれも良好な切り屑処理性を示し、また工具の摩耗も少なく、切削面のむしれもなく、良好な切削状態であった。
また、各熱処理を施したギアを疲労試験に供した。本発明鋼を使用した実施例No.1C及び5Cのガス軟窒化ギアの歯元曲げ疲労強度は、440N/mm2 であり、比較例No.49DのSCM822の浸炭焼入れギアの疲労強度も440N/mm2 であった。しかしながら、比較例No.46Dの球状黒鉛鋳鉄のオーステンパー処理材の疲労強度は320N/mm2 と低いものであった。
【0099】
熱処理後のギアの変形は歯車かみ合い時の騒音の原因となるため、各ギアのドライヴ側のプレッシャ−アングルの変形量を測定した。浸炭焼入れ材のアングルのずれは13分(1分は1°の60分の1)であったが、軟窒化材は1分と殆ど変形のないものであった。またオーステンパー材は熱処理直後の変形は3分と比較的変形の小さいものであったが、1000回の疲労回数を超えると19分と変形の大きいものであった。これはオーステンパー処理によって、組織内に留められた残留オーステナイトがマルテンサイトに変態したために、変形量が大きくなったものと考えられる。
【0100】
なお、実施例No.1C及び5Cの上記ギア素材について、黒鉛の平均粒径及び黒鉛粒の数を測定した結果、いずれも、本発明の要件を満たしていた。
以上の通り、実施例1C及び実施例5Cによれば、ギアに軟化焼鈍を施さなくても、被削性は良好であり、疲労強度も球状黒鉛鋳鉄より高く、従来のSCM鋼の浸炭焼入れギアに匹敵する高い強度を有し、且つ歪みが小さく、騒音の発生の小さいものであることが確認された。
【0101】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、原料として、Cu、Ni等の不純物の多い低級なスクラップを使用し、且つ、有毒なPbを用いることなく、被削性に優れ、また疲労強度、伸び特性に優れた熱間加工製品の製造が可能であり、非調質の快削鋼部品や低歪みで高い疲労強度を有する歯車を製造することが可能となる。このような、快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2.0wt.%Siを含有する時のFe−C系状態図である。
【図2】切削加工における切り屑の形態分類を示す図である。
【図3】実施例No.1の腐食なしでの検鏡面での顕微鏡による金属組織を示す図である。
【図4】実施例No.5の腐食なしでの検鏡面での黒鉛の析出状態を示す図である。
【図5】実施例No.5の腐食された検鏡面での顕微鏡による金属組織を示す図である。
【図6】歯車の歪みを説明する概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 プレッシャーアングルの角度変位
2 歯車

Claims (10)

  1. C :0.80〜1.70wt.%、
    Si:0.70〜2.50wt.%、
    Cu:0.01〜0.50wt.%、
    Ni:0.01〜2.0wt.%、
    P :0.050wt.%以下、
    S :0.050wt.%以下、
    O :0.0030wt.%以下、及び、
    N :0.015wt.%以下
    を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、下記(1)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(1)
    但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
    で算出される黒鉛化指数CEが、下記(2)式:
    CE≧1.30 ----------------------------------------(2)
    を満たす化学成分組成を有し、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛が100個/mm2 以上析出し、且つ金属組織がパーライトであることを特徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材。
  2. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(3)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B --------------------------------(3)
    但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
    を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、下記4種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、請求項1記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材。
    Mn:0.01〜1.0wt.%、
    Cr:0.01〜1.0wt.%、
    Mo:0.01〜0.50wt.%、及び、
    B :0.0005〜0.010wt.%。
  3. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
    --------------------------------(4)
    但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
    を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、下記5種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、請求項1または2記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材。
    Al:0.01〜0.50wt.%、
    Ti:0.01〜0.50wt.%、
    Zr:0.01〜0.50wt.%、
    V :0.01〜0.30wt.%、及び、
    Nb:0.01〜0.30wt.%。
  4. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
    --------------------------------(4)
    但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
    を用い、そして、前記鋼材の化学成分組成に、下記3種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加されて含まれていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材。
    Ca:0.0010〜0.0100wt.%、
    Mg:0.0010〜0.10wt.%、及び、
    REM:0.0010〜0.10wt.%。
  5. 請求項1から4の何れか1つに記載の発明の熱間加工鋼材を素材としたことを特徴とする、快削性に優れた熱間加工製品。
  6. C :0.80〜1.70wt.%、
    Si:0.70〜2.50wt.%、
    Cu:0.01〜0.50wt.%、
    Ni:0.01〜2.0wt.%、
    P :0.050wt.%以下、
    S :0.050wt.%以下、
    O :0.0030wt.%以下、及び、
    N :0.015wt.%以下
    を含有し、残部鉄(Fe)および不可避的不純物からなり、下記(1)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9 ----------------(1)
    但し、各元素記号:各元素の含有率(wt.%)
    で算出される黒鉛化指数CEが、下記(2)式:
    CE≧1.30 ----------------------------------------(2)
    を満たす化学成分組成を有する鋼片を、前記鋼片の固相線温度より50℃低い温度を上限とし、800℃を下限とする温度範囲内に加熱した後、熱間加工し、そして室温まで冷却して、平均粒径が0.5μm以上の黒鉛を100個/mm2 以上析出させ、且つ、金属組織をパーライトとすることを特徴とする、快削性に優れた熱間加工鋼材の製造方法。
  7. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(3)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B -------------------------------- (3)
    但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
    を用い、そして、前記鋼片として、下記4種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることを特徴とする、請求項6記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材の製造方法。
    Mn:0.01〜1.0 wt.%
    Cr:0.01〜1.0 wt.%
    Mo:0.01〜0.50 wt.% 、及び、
    B :0.0005〜0.010 wt.%
  8. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
    -------------------------------- (4)
    但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
    を用い、そして、前記鋼片として、下記5種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることを特徴とする、請求項6または7記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材の製造方法。
    Al:0.01〜0.50 wt.%
    Ti:0.01〜0.50 wt.%
    Zr:0.01〜0.50 wt.%
    V :0.01〜0.30 wt.% 、及び、
    Nb:0.01〜0.30 wt.%
  9. 前記黒鉛化指数CEの算出式として、下記(4)式:
    CE=C+Si/3+Cu/9+Ni/9−Mn/12−Cr/9
    −Mo/9−B+Al/6+Ti/3+Zr/3−V/3−Nb/3
    -------------------------------- (4)
    但し、各元素記号:各元素の含有率( wt.%
    を用い、そして、前記鋼片として、下記3種の化学成分組成からなる群から選ばれた少なくとも1種を、更に付加されて含まれているものを用いることを特徴とする、請求項6から8の何れか1つに記載の、快削性に優れた熱間加工鋼材の製造方法。
    Ca:0.0010〜0.0100 wt.%
    Mg:0.0010〜0.10 wt.% 、及び、
    REM:0.0010〜0.10 wt.%
  10. 請求項6から9の何れか1つに記載の鋼片を鋼材として、熱間加工製品を製造することを特徴とする、快削性に優れた熱間加工製品の製造方法。
JP9607998A 1998-04-08 1998-04-08 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法 Expired - Fee Related JP3842430B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9607998A JP3842430B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9607998A JP3842430B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11293388A JPH11293388A (ja) 1999-10-26
JP3842430B2 true JP3842430B2 (ja) 2006-11-08

Family

ID=14155400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9607998A Expired - Fee Related JP3842430B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3842430B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3255612B2 (ja) * 1998-08-19 2002-02-12 エヌケーケー条鋼株式会社 超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材
JP3255611B2 (ja) * 1998-08-19 2002-02-12 エヌケーケー条鋼株式会社 穴明け加工性に優れた快削鋼棒線材及びその製造方法
JP3256184B2 (ja) * 1998-08-19 2002-02-12 エヌケーケー条鋼株式会社 超快削鋼棒線材及び部品の製造方法並びにそれらによる超快削鋼棒線材及び部品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11293388A (ja) 1999-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2009057731A1 (ja) マルテンサイト型熱間鍛造用非調質鋼及び熱間鍛造非調質鋼部品
JP3764273B2 (ja) 被削性に優れた熱間鍛造鋼部品の製造方法、その部品、それに用いる熱間圧延鋼材及び鋼材の製造方法
CN108291285B (zh) 钢、渗碳钢部件及渗碳钢部件的制造方法
JP5260460B2 (ja) 肌焼鋼部品およびその製造方法
JP6427272B2 (ja) ボルト
JP4084462B2 (ja) 快削熱間加工鋼材およびその製造方法
JP6601284B2 (ja) 高強度ボルト
JP4938475B2 (ja) 耐衝撃疲労特性に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車
JPH08127845A (ja) 黒鉛鋼及びその製品と製造方法
JP3874532B2 (ja) 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法
JP4938474B2 (ja) 耐衝撃疲労特性、面疲労強度に優れた歯車用鋼及びそれを用いた歯車
JP3764274B2 (ja) 快削熱間加工鋼材及び粗形材、これらの製造方法並びに快削熱間加工製品及びその製造方法
JP3842430B2 (ja) 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法
JP3874533B2 (ja) 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法
JP3716073B2 (ja) 被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品の製造方法
JP5443277B2 (ja) 被削性に優れた高強度鋼、およびその製造方法
JP3255612B2 (ja) 超快削鋼棒線材の製造方法及びそれによる超快削鋼棒線材
JP2008223083A (ja) クランクシャフト及びその製造方法
JP7139692B2 (ja) 高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ部品の素形材及び高周波焼入れ部品
JP6825605B2 (ja) 浸炭部材
JP3842429B2 (ja) 快削性に優れた熱間加工鋼材及び製品並びにそれらの製造方法
JP3256184B2 (ja) 超快削鋼棒線材及び部品の製造方法並びにそれらによる超快削鋼棒線材及び部品
WO2023248556A1 (ja) 高周波焼入れ用鋼
JP2000063988A (ja) 穴明け加工性に優れた快削鋼棒線材及びその製造方法
WO2004035848A1 (ja) 転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材およびドライブシャフト

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090818

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100818

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110818

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120818

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130818

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140818

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees