JP3716073B2 - 被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高強度且つ高靱性の熱間鍛造非調質鋼部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車に使用される熱間鍛造部品には、従来、機械構造用炭素鋼や合金鋼を熱間鍛造した後に焼入れ・焼戻しを施したものが使用されてきた。しかし、コスト低減のために近年では、熱間鍛造後の冷却ままで使用する非調質鋼が広く採用されてきた。しかし、VやNbを微量添加した従来のフェライト・パーライト系の非調質鋼は、衝撃値等の靱性が低いのが欠点であった。上記欠点を改善するために、低炭素鋼を熱間鍛造後の直接焼入れ等の方法で冷却して、高強度・高靱性としたマルテンサイト系又は/及びベイナイト系非調質鋼が提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63−312949号公報には、C:0.04〜0.20wt.%、Si:0.05〜1.0wt.%、Mn:0.8〜2.0wt.%、Nb:0.01〜0.15wt.%、Ti:0.01〜0.05wt.%、B:0.0003〜0.005wt.%、及びAl:0.005〜0.10wt.%を含む鋼を熱間鍛造後直接水冷する非調質鋼が開示されている。しかしながら、NbやTiは硬い窒化物や炭窒化物を形成し、切削工具に機械的摩耗を生じさせるため工具寿命が短く、被削性に劣る。また、硬い窒化物や炭窒化物は疲労破壊の起点にもなるので、疲労特性が良好でない等の欠点を有する。
【0004】
また、特開平3−36233号公報には、C:0.10〜0.30wt.%、Si:0.05〜1.0wt.%、Mn:2.2〜3.8wt.%、Cr:1.50〜3.00wt.%、Mo:0.05〜0.50wt.%、Al:0.010〜0.060wt.%、V:0.01〜0.30wt.%、Ti:0.01〜0.05wt.%、及びB:0.0005〜0.0040wt.%を含む非調質鋼が開示されている。この発明もTiを含有する点で前記のような欠点を有する。
【0005】
また、特開昭63−190142号公報には、C:0.04〜0.15wt.%、Si:1.05wt.%以下、Mn:0.3〜3.0wt.%、Cr:0.7〜3.0wt.%、及びAl:0.01〜0.06wt.%を含む非調質鋼が開示されている。しかしながら、Alは鋼中の酸素と結合して硬いAl2 O3 を形成するので、切削工具の摩耗の原因となる。また、Alの存在は熱間鍛造後の結晶粒を微細にするので、Bやその他の焼入れ性向上元素によって焼入れ性を補わねばならず、コスト高の要因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、熱間鍛造部品の性能を維持しつつコストの低減を図るために、先行技術は、低炭素鋼を熱間鍛造後直接焼入れ等をして、高強度・高靱性を備えた非調質鋼を提案している。しかしながら、先行技術では、NbやTiの添加に伴う炭化物や炭窒化物形成により切削工具の摩耗や疲労破壊の起点の問題があり、Al添加によるAl2 O3 介在物による切削工具の摩耗や熱間鍛造後の結晶粒微細化の問題、更にこの微細化に対する焼入れ性向上元素の添加によるコスト上昇等の問題がある。
【0007】
従って、この発明の課題は、Nb、Ti及びB等の元素を添加せず、且つ、Alを鋼中に残留させずに、高強度・高靱性で且つ切削工具の摩耗問題を解消し、また疲労破壊特性に優れた非調質の熱間鍛造部品を製造技術を開発することにある。こうして、この発明の目的は、高価な合金元素を使用せず、焼戻しを施さず、コストを上昇させずに高強度・高靱性で且つ被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品を製造することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から鋭意研究を重ねた結果、鋼片又は鋼塊の化学成分組成についてC含有率を0.02〜0.15wt.%と低くして、熱間鍛造部品の焼入れままの最高硬さをHRC=25〜35となるように調節し、Mn及びCr含有率を鍛造部品の大きさに合わせて芯部がHRC=20〜30になるように調節し、そして、Ti、Al及びBを用いずに鍛造時の加熱により粗大な結晶粒となるようにして焼入れ性を高める。こうすれば、焼戻しをしなくても高強度、高靱性で、被削性及び疲労特性に優れた鍛造部品の製造が可能となるという知見を得た。この発明は、上述した知見に基づきなされたものであり、下記特徴を有するものである。
【0009】
請求項1記載の発明は、C:0.02〜0.15wt.%、Si:0.01〜0.50wt.%、Mn:0.5〜2.5wt.%、S:0.010〜0.070wt.%、及びCr:1.12〜2.5wt.%を含み、Al:0.010wt.%未満、Ti:0.005wt.%未満、及びO:0.0020wt.%未満に制限し、残部がFe及び不可避不純物からなる化学成分組成を有する鋼片又は鋼塊を調製する。次いで、これを1200〜1350℃の範囲内の温度に加熱し、熱間鍛造した後、直接急冷して、得られた鍛造材のJIS G 0551(鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法)による粒度番号が5番以下の粗粒であって、マルテンサイト又は/及びベイナイトを主体とするミクロ組織にする。このようにして、高強度と高靱性とを備え、且つ被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品を製造する方法である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、鋼片又は鋼塊として、Ca:0.0010〜0.0100wt.%、Pb:0.01〜0.30wt.%、Se:0.01〜0.30wt.%、Te:0.01〜0.30wt.%、及びBi:0.01〜0.30wt.%からなる群から選ばれた少なくとも1種が、更に付加して含まれた化学成分組成を有するものを用いることに特徴を有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明を実施する際に用いる鋼片又は鋼塊は、転炉や電気炉等常用の製鋼炉で溶製され、連続鋳造機等の常用の鋳造設備等で調製されたものであればよい。上記鋼片又は鋼塊の化学成分組成を上述したように限定した理由を説明する。
【0012】
(1)C:0.02〜0.15wt.%
この発明により得ようとする、熱間鍛造部品の急冷ままでの目標硬さは、ロックウェルCスケール(以下、HRCという)で、表面部において25〜35、中心部において20〜30の間である。この目標値に対して、C含有率が0.02wt.%未満では十分な硬さを得ることができない。また、製鋼段階での脱炭工程で長時間を要し、コスト高になる。一方、C含有率が0.15wt.%を超えると、熱間鍛造後の急冷後の硬さが高くなり過ぎて被削性が低下する。
従って、C含有率は、0.02〜0.15wt.%の範囲内とする。
【0013】
(2)Si:0.01〜0.50wt.%
Siは脱酸剤として重要な元素であり、0.01wt.%未満では鋼が脱酸不足になり、鋼中の酸化物系介在物が多くなり清浄性が低下して望ましい機械的性質が得られなくなる。しかし、0.50wt.%を超えてSiを添加すると、非金属介在物が増えて鋼の靱性及び疲労特性が低下する。
従って、Si含有率は、0.01〜0.50wt.%の範囲内とする。
【0014】
(3)Mn:0.5〜2.5wt.%
Mnは焼入れ性を高めて鋼を強化すると共に、Sと結合してMnSを形成し、鋼の靱性を高める。この効果を発揮させるためには0.5wt.%以上のMn添加を要する。しかし、Mn含有率が、2.5wt.%を超えると鋼の中心部まで硬化して穴明け時等の被削性の低下が起こる。
従って、Mn含有率は、0.5〜2.5wt.%の範囲内とする。
【0015】
(4)S:0.010〜0.070wt.%
Sは鋼中のMnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる。この効果を発揮させるためには0.010wt.%以上のSを添加する必要がある。しかし、Sを0.070wt.%を超えて添加すると靱性が低下して望ましくない。
従って、S含有率は、0.010〜0.070wt.%の範囲内とする。
【0016】
(5)Cr:1.12〜2.5wt.%
CrもMnと同様に焼入れ性を高めて鋼を強化する。この効果を発揮させるためにはCrを1.12wt.%以上添加する必要がある。しかし、2.5wt.%を超えてCrを添加すると、鋼の中心部まで硬化して被削性が低下する。従って、Cr含有率は、1.12〜2.5wt.%の範囲内とする。
【0017】
(6)Al:0.010wt.%未満
Alは鋼の結晶粒を微細にして焼入れ性を低下させると共に、鋼中にAl2 O3 の形態として残留すると、疲労特性を低下させる。即ち、AlはSiと同様脱酸剤として重要な元素であり、製鋼段階での脱酸工程では溶鋼を十分に脱酸して凝固過程で鋼中にAl2 O3 が析出しないようにし、また、脱酸生成物であるAl2 O3 を溶鋼から十分に分離除去して、清浄性の良い鋼を溶製する必要がある。しかし、凝固後鋼中にAlの一部が残留する場合は、硬いAl2 O3 介在物として混入しており、切削工具の摩耗を大きくするのみならず、疲労破壊の起点として作用し、疲労特性を低下させる。Alによる焼入れ性の低下及び疲労特性の低下を防止するため、Al含有率は0.010wt.%未満に制限しなければならない。
【0018】
(7)Ti:0.005wt.%未満
TiはNと結合して角形の硬いTiNを形成し、切削工具の摩耗を促進すると共に、疲労破壊の起点として作用する。Tiは上記作用をするので、この発明においては有害元素である。このような弊害を防ぐため混入するTi含有率は0.005wt.%未満に制限しなければならない。
【0019】
(8)O:0.0020wt.%未満
Oは鋼中のAlと結合してAl2 O3 を形成し、被削性及び疲労特性を低下させる。これを防ぐため、O含有率は0.0020wt.%未満に制限しなければならない。
【0020】
次に、Ca、Pb、Se、Te及びBiはいずれも熱間鍛造部品の被削性の改善に有効な元素として添加するものである。従って、これら元素の内少なくとも1種を含有することによりその被削性が一層向上する。
【0021】
(9)Ca:0.0010〜0.0100wt.%
Caは紡錘形のCaSを形成し、被削性を向上させる作用をする。この作用を発揮させるためには0.0010wt.%以上のCa添加を必要とする。しかし、0.0100wt.%を超えてCaを添加しても被削性向上硬化は飽和する。
従って、Caの含有率は、0.0010〜0.0100wt.%の範囲内とする。
【0022】
(10)Pb:0.01〜0.30wt.%、Bi:0.01〜0.30wt.%
Pb及びBiはいずれも低融点金属であり、鋼中に微細に分散したPb及びBiの金属相が切削中に溶融して鋼を脆化させ、切り屑処理性を改善したり、仕上げ面粗さを良好にする等の被削性改善に効果を発揮する元素である。しかし、いずれの元素においても0.01wt.%未満の添加ではこのような被削性改善効果は小さい。一方、0.30wt.%を超えて添加すると、鋼中には、微細に分散しない未固溶のPb及びBiの相が混在して出現し、鍛造時の割れの原因になる。
従って、Pb及びBiの含有率はいずれにおいても、0.01〜0.30wt.%の範囲内とする。
【0023】
(11)Se:0.01〜0.30wt.%、Te:0.01〜0.30wt.%
Se及びTeはいずれもMnSの中に溶け込んで、MnSの変形抵抗を高め、熱間圧延後、あるいは熱間鍛造後のMnSの形状を紡錘状に保ち、被削性を改善する効果を有する。この効果を発揮させるためには、いずれの元素においても0.01wt.%以上添加する必要がある。しかし、いずれの元素でも0.30wt.%を超える添加により、熱間延性が不足して圧延後の棒鋼に表面疵が多発したり、鍛造時の割れ発生の原因になったりする等の弊害を招く。
従って、Se及びTeの含有率はいずれにおいても0.01〜0.30wt.%の範囲内とする。
なお、この発明で使用する鋼片又は鋼塊には、上記元素の他にP、Cu、Ni、Mo及びSn等の不可避的に混入する元素が含まれる。
【0024】
次に、この発明における熱間鍛造以降における製造条件の限定理由を説明する。
(12)鍛造前の加熱温度:1200〜1350℃
鍛造前の加熱温度が1200℃未満では、鍛造後の再結晶粒が小さくなって焼入れ性が低下する。また、鋼の変形抵抗が大きくなって、鍛造工具の寿命が短くなる。一方、加熱温度が1350℃を超えると、加熱中のスケール発生が多くなって、酸化ロスが大きくなったり、鍛造時にスケールを巻き込んだりして作業上や品質上のトラブル原因となる。
従って、加熱温度は、1200〜1350℃の範囲内とする。
【0025】
(13)結晶粒度:5番以下の粗粒
JISによるオーステナイトの結晶粒度が5番を超える細粒の場合は、鋼の焼入れ性が低下するので、焼入れ性向上のための合金元素を多量に添加しなければならなくなる。このようにB並びにMn及びCr等の焼入れ性向上元素を削減するためには、熱間鍛造後の結晶粒を5番以下の粗粒とする必要がある。
【0026】
(14)焼入れ後のミクロ組織:マルテンサイト又は/及びベイナイト主体
上述したような、コスト上昇を招かない化学成分組成の鋼の場合に、焼入れ後のミクロ組織をマルテンサイト又は/及びベイナイト主体のミクロ組織にすることは、焼戻しを施さなくても、高強度且つ高靱性を備えた熱間鍛造部品を得るために必須の条件である。
【0027】
(15)焼入れ方法:熱間鍛造後の直接急冷
熱間鍛造部品の焼入れは、熱間鍛造後冷却し、所定温度に再加熱して焼入れ処理を施す方法が一般的に行なわれている。この場合には熱間鍛造のオフラインで焼入れが行なわれることになる。しかし、この発明による鋼は、上述した化学成分組成を有するので、熱間鍛造終了時の高温状態において十分な粗粒となっていることもあり、熱間鍛造後、直接急冷して焼入れしても、上述した目標の結晶粒度とミクロ組織とが容易に得られる。従って、製造工程の省略や省エネルギーがなされ、生産性の向上やコスト低減に寄与する。こうした理由により、この発明では、熱間鍛造後に直接急冷して焼入れすることが望ましい。
【0028】
【実施例】
次に、この発明の熱間鍛造部品の製造方法を、実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0029】
150kg/ヒートの真空溶解炉を用いて、表1に示す化学成分組成の鋼を溶製し、鋼塊に鋳造した。No.1、2、4、6、7は本発明の範囲内の化学成分組成を有する実施例用の鋼であり、No.9〜17は本発明の範囲外の化学成分組成を有する比較例用の鋼である。
【0030】
【表1】
鋼塊を熱間鍛造により直径60mmの丸棒に加工した後、フロントハブに熱間鍛造した。図1に、熱間鍛造したままのフロントハブの形状を示す斜視図を示す。熱間鍛造後の冷却は、水冷、油冷、水スプレーによる冷却、又は水溶性焼入れ剤による冷却で行なった。熱間鍛造後の部品について、割れの有無、及びミクロ組織を観察し、結晶粒度、表面硬さ、軸部の芯部硬さを測定した。また、靱性、被削性及び疲労特性について次の試験をした。
・靱性の評価は、軸部からJIS3号衝撃試験片を採取し、室温での衝撃値を求めた。
・被削性の評価は、軸部外周を2mm、超硬工具で200mm/minの速度で10個削った時に発生する逃げ面摩耗の幅を測定して行なった。
・疲労試験は、60mmφの丸棒を同一条件で、フロントハブの軸部と同じ径の45mmφに熱間鍛造して製作した棒より、小野式回転曲げ疲労試験片を採取し、疲労限応力を求めた。製造条件及び上記試験結果を、表2に示す。これらの結果から下記事項が明らかである。
【0031】
【表2】
(1)本発明の方法であるNo. 1、2、4、6、7(実施例)においては、
・鍛造時の割れは発生せず、
・熱間鍛造部品の結晶粒度は5番以下の粗粒であり、
・硬さも表面HRC=26〜35、芯部HRC=22〜29であっていずれも目標範囲内にある。
・衝撃値はいずれも100J/cm2 を上回り良好である。
・逃げ面摩耗幅は50μm以下と小さく良好である。
・回転曲げ疲労限はすべて500N/mm2 を上回り良好な値となっている。
【0032】
▲2▼これに対して、本発明の範囲外の方法であるNo.9〜17(比較例)においては、下記の通りである。
・No.9は、C含有率が0.17wt.%と本発明の範囲より高いため、表面及び芯部の硬さが高く、逃げ面摩耗幅が78μmと大きい。また、Bi含有率が高いため、鍛造時に割れが発生している。C及びBi含有率が高いことにより衝撃値も60J/cm2 と低い。
・No.10は、Si含有率が本発明の範囲より高いため、衝撃値が低い。Ti含有率が高いため、結晶粒が7番と細粒であり、逃げ面摩耗幅が大きい。また、Pb含有率が高いため鍛造時に割れが発生している。
・No.11は、Mn及びCrが本発明の範囲よりも低いため、芯部の硬さがHRC=13と低く、疲労限が低い。また、O含有率が高いため逃げ面摩耗が大きい。
・No.12は、S含有率が本発明の範囲よりも高く、衝撃値が低い。
・No.13は、S含有率が本発明の範囲よりも低く、逃げ面摩耗が大きい。また、鍛造加熱温度が1370℃と高いことにより、スケールを巻き込んで割れが発生している。
・No.14は、Al含有率が本発明の範囲よりも高いことにより結晶粒が細粒で、逃げ面摩耗が大きい。また、Se含有率が高いことにより鍛造割れが発生している。
・No.15は、Cr含有率が本発明の範囲よりも高く、芯部の硬さが高過ぎ、このため衝撃値が低い。また、Te含有率が高く、鍛造割れが発生している。
・No.16は、Mn含有率が本発明の範囲よりも高く、芯部の硬さが高過ぎ、このため衝撃値が低い。
・No.17は、B添加鋼であるが、Tiを含有し、また鍛造加熱温度も1140℃と低いため、結晶粒が細粒で、逃げ面摩耗が大きい。粗大なTiNが混在して疲労限も低い。
【0033】
以上、詳細に説明したように、本発明により被削性及び疲労特性に優れた、高強度且つ高靱性の非調質鋼を製造することが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、Nb、Ti及びB等の高価な合金元素を添加せずに、被削性及び疲労特性に優れた、高強度且つ高靱性の非調質鋼を安価に製造することができる。従って、このように優れた品質特性を有する熱間鍛造部品を安価に製造する方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における熱間鍛造ままのフロントハブの形状を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 軸部
2 つば部
Claims (2)
- C :0.02〜0.15wt.%、
Si:0.01〜0.50wt.%、
Mn:0.5〜2.5wt.%、
S :0.010〜0.070wt.%、及び
Cr:1.12〜2.5wt.%
を含み、
Al:0.010wt.%未満、
Ti:0.005wt.%未満、及び
O :0.0020wt.%未満
に制限し、残部がFe及び不可避不純物からなる化学成分組成を有する鋼片又は鋼塊を、1200〜1350℃の範囲内の温度に加熱し、熱間鍛造した後、直接急冷し、得られた鍛造材のJISによる結晶粒度が5番以下の粗粒で、マルテンサイト又は/及びベイナイトを主体とするミクロ組織にすることにより、高強度及び高靱性を付与することを特徴とする、被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品の製造方法。 - 前記鋼片又は鋼塊は、前記化学成分組成に、更に、
Ca:0.0010〜0.0100wt.%、
Pb:0.01〜0.30wt.%、
Se:0.01〜0.30wt.%、
Te:0.01〜0.30wt.%、及び
Bi:0.01〜0.30wt.%
からなる群から選ばれた少なくとも1種を付加して含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の被削性及び疲労特性に優れた熱間鍛造部品の製造方法。
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