JPH0649914B2 - 圧延用焼入ロール及び圧延機 - Google Patents

圧延用焼入ロール及び圧延機

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JPH0649914B2
JPH0649914B2 JP30422788A JP30422788A JPH0649914B2 JP H0649914 B2 JPH0649914 B2 JP H0649914B2 JP 30422788 A JP30422788 A JP 30422788A JP 30422788 A JP30422788 A JP 30422788A JP H0649914 B2 JPH0649914 B2 JP H0649914B2
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roll
rolling
quenching
hardness
rolling mill
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雅之 江良
保夫 近藤
英世 児玉
哲郎 内田
正己 清水
修 下タ村
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Hitachi Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/005Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment of ferrous alloys

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高硬度、耐摩耗材料を用いる圧延用焼入ロー
ルに係り、特に冷間及び熱間圧延の両方に適用可能な太
物ロールに関する。
〔従来の技術〕
従来、冷間圧延機のワークロールはCr,Mo,W,V
及びCo等を含有した高速度工具鋼が用いられている。
例えば、JIS規格SKH59(C 1〜1.15%、Cr
3.5〜4.5%、Mo 9〜10%、W 1.2〜
1.9%、V 0.9〜1.4%、Co 7.5〜8.
5%、Si 0.5%、Mn 0.4%以下残部Fe)
はMo系ハイスであり、この組成は高硬度と研削性にす
ぐれているのが特徴である。しかし、Co量が多いため
直径40mm以上の太物なると冷却速度が遅くなり、焼
入、焼もどしにより十分な硬さを得ることができず焼入
性の点でとくに問題であった。
硬さを増すためには焼入温度を上げて強制的に冷却すれ
ば硬さをある程度上げることが可能であが、割れ発生の
原因となる。さらに、焼入温度を上げて合金元素を基地
中に溶けこませようとすると表面が溶融して割れを発生
させる原因となる。
一方、一般的にCoは焼入温度を上昇させるので結晶粒
が粗大化し、靭性を劣化させるとともに焼入性を悪るく
するので太物用のロール材として不向きな材質である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術による材料では、焼入性が劣り十分な硬度
を得ることが出来ず、特に直径が40mm以上の太物ロー
ル用としては不適であつた。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決し、焼入
性を著しく向上させた、硬度と耐摩耗性及び靭性にすぐ
れた材料とそれを用いた圧延用ロールを提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上述の焼入性ついての問点を解決する方
法としてC,Mo,Co量を従来材よりもロール材の諸
性質の悪影響を及ぼさない範囲で低下させて、新たに焼
入性を増大させるMn及びNiを添加し、Coを適当量
組合せることにより、空冷でも十分に焼きが入り、焼入
性を著しく向上させ太物用のロールにも使用が可能であ
り、なおかつ、高硬度で耐摩耗性と靭性を改善した材質
を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、重量で、C 0.8〜1%、Si
0.6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni
0.5〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜
8.5%、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、
Co 6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物
からなることを特徴とする高硬度、耐摩耗材料であり、
また、該材料を用いた圧延用焼入ロールである。
さらに、上記の組成を芯材の外側に溶着一体化し複合ロ
ールとすることができ、熱処理も可能である。また、1
075〜1220℃から焼入後、500〜650℃の高
温焼もどしを行なうと、硬いMC型及びMC型と残留
オーステナイトの金属組織になるためHRC65.3以
上の高硬度が得られ、しかも、耐摩耗性及び高靭性のも
のが得られる。
本発明のロールは一対の作業ロールと中間ロール及び補
強ロールからなる4重式圧延機、6重式圧延機、及び多
段式圧延機に組入れられた直径40mm以上の圧延用焼入
ロールとして供せられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高硬度、耐摩耗材料において、重量%で、C
0.8〜1%、Si 0.6〜1.5%、Mn 0.6
〜1.5%、Ni 0.5〜3%、Cr 3〜4.5
%、Mo 7.5〜8.5%、W 1〜1.5%、V
0.8〜1.5%、Co 6〜7.5%残部がFe及び
不可避的な不純物から成る組成では、公知のものに比べ
C及びMo量をC約0.2%、Mo約1.5%減少させ
た。とくに、Coは焼入性に悪影響を及ぼすことが確実
であり1〜1.5%減少させた。このことは焼入の際に
パーライトが晶出しないように冷却速度を早くさせる効
果をねらつた。さらに、焼入性を増大させるためにMn
とNi量を0.5〜3%の範囲で添加し、なおかつ、C
o量を6〜7.5%の範囲で組合せた。すなわち、M
n,Ni,Coの関係が3.510(Mn+Ni)−
Co39の範囲で恒温変態によるパーライトの開始時
間が約20倍長時間側に延長され、空冷でも十分な硬さ
が得られ、焼入性を大巾に向上させ効果的に作用する。
また、焼入、焼もどしによる焼入性の試験においても約
2倍の焼入性が向上する作用を示した。
次に、熱処理によりMoとWの炭化物が析出して硬度を
上昇させる。そのMoとWの好ましい組成は162M
o+W19の範囲にありHRC65.3以上の高硬度
が得られる。また、基地中にはマルテンサイトと残留オ
ーステナイトの金属組織により靭性が向上した。とく
に、MnとNiを添加し、Coの組合せにより、焼もど
し時の残留オーステナイト量が5〜20%残留するため
靭性を上昇させる。さらに、Mn,NiとCoの組合せ
により硬さが低下せずに高硬度で耐摩耗性及び高靭性が
得られるのでその作用はさらに効果的となる。
次に、高速度工具鋼の各成分の限定理由は次の通りであ
る。
Cは焼入状態で一部基地に溶解し、他はMo,W,C
r,Vなどと結合して複炭化物を作る。高速度工具鋼の
性質には最も敏感な影響を及ぼす元素である。Cが少く
ないと二次硬化が少なく、反面、高すぎると溶融点が下
がり、焼入温度を下げないと共晶組織を生じ、もろくな
る。今回の詳しい検討から、C量が0.8以下では炭化
物を作るためのC量が少なく、1%以上になると靭性が
劣化するので、最適範囲は0.8〜1%であり十分な働
きをすることが明らかになつた。
Mnは必らず含んでいる元素で特に規定する必要はない
が通常添加される量は0.4%以下である。今回の検討
においてMn量を0.6〜1.5%とした。その根拠は
Mnは焼入性の向上に寄与する元素で0.6%以下では
効果が少なく、1.5%以上では残留オーステナイト量
が増加し、安定化して硬さの大巾な上昇はみられない。
また、鋳物の割れが生じ易くなるので0.6〜1.5%
で十分である。NiとCoの組合せにより効果を増す。
Niは金属組織を微細にし、オーステナイトにもフエラ
イトにも固溶して基地を強化する。また、Cr及びMo
と共存して焼入性を増し、基地を強化し靭性と耐摩耗性
を向上させる。0.5%以下では上記の特性が発揮され
ず、3%を越えるとオーステナイトが残留して硬さがで
なくなる。MnとCoの組合せで焼入性、靭性において
なお一層の効果を挙げることができる。0.5〜3%で
十分である。
Coは炭化物を形成せず、ほとんど基地に固溶する。C
oはCのFeへの溶解度を高め、炭化物の基地に固溶す
る量を増大するので、焼もどし硬さ、高硬度さを増す。
しかし、炭化物の偏析を助長し、もくする傾向がある。
また、脱炭性を増し、溶融点を上げ、残留オーステナイ
ト量を増す傾向がある。MnとNiの共存より焼入性を
向上させるとともに、硬さを低下させず靭性を上げる元
素である。その量は6〜7.5%で十分な働きをする
が、少なくとも、多くても上記の特性を発揮しない。
Moは一部Cと結合してMC型炭化物を形成し、残部
は基地に固溶して二次硬化現象(焼もどし硬化)により
硬さを増加させる。また、高温焼もどしにより、M
型炭化物を析出させて硬度、耐摩耗性を向上させる。
7.5%以下では硬度及び耐摩耗性におとり、8.5%
以上ではMo炭化物が網状に晶して靭性が低下する。そ
の量は7.5〜8.5%で効果を発揮する。
WなMoと同様に一部Cと結合してMC型の炭化物を
形成し、残部は基地中に固溶して基地を緻密なマルテン
サイト組織とし、二次硬化現象によりMC炭化物を析
出させて高硬度と耐摩耗性を向上させる。1〜1.5%
で十分な働きをする。MoとWの間には162Mo+
W19の関係があり、この範囲で高硬度と耐摩耗性の
効果を発揮する。
CrはCと結合してCr炭化物を晶出して耐摩耗性に寄
与する元素である。3〜4.5%で十分である。
VはCと結合してきわめて硬いMC型炭化物を作り、耐
摩耗性を上昇させる。一方、研削性を困難にする。V炭
化物は高温で固溶しにくく、結晶粒の成長を妨げる。ま
た、Cとの結びつきが強いので焼入加熱の際基地に固溶
するC量はVによつて強く影響される。適当な焼入、焼
もどし硬さを得るにはCとVは一定の量的関係が必要と
される。
今回の検討において0.8〜1.5%で十分であり、
0.8%以下では熱処理効果の安定性を欠き、多くなる
と研削性及び溶解作業が困難となる。1.5%までは問
題がないことが明らかである。
Siは製鋼精錬においても普通元素として分類され、鋼
中にある程度不可避的に含まれている成分である。通常
は脱酸の目的で添加される程度であり、含有量も0.4
%以下となつている。しかし、高速度工具鋼ではSi添
加は焼もどしによる二次硬化を促進させ、硬度及び耐摩
耗性、靭性を向上させる。従つて、含有量として0.6
〜1.5%が望ましい範囲である。
その他、不可避的に含有される不純物である、P,S,
Cu,Pb,Nについて説明する。
Pは微量でもCuの中に偏析する元素であり、焼割れ、
ひずみなどの主原因となる。また、脆性を著しく増加す
るので、普通は0.1%以下であればとくに問題はな
い。
SはPと同様に有害元素であるがMnS,TiS,などなるべ
く害の少ない形にするため、0.1%以下であればよ
い。
Cuは組の微細化に寄与する元素であるが、鍛造の際に
割れの原因ともなる。0.1%以下であれば特に害はな
い。
PbはMnSやその他の介在物とともに凝集する。樹枝状
の間に集まる傾向を持ち、添加量が多くなると熱間作業
性を悪るくする。0.1%以下であれば問題はない。
Nはオーステナイト組織を強く安定化するなどCと類似
している。その量は0.1%であれば害は少ない。
次に、本発明の圧延用焼入ロールの製造法では十分な強
度と靭性を有する鋼を芯材とし、その芯材の外側に、本
発明の組成からなる消耗電極を配置し、エレクトロスラ
グ再溶解法により、芯材の外周部と消耗電極を溶融しな
がら、順次凝固させて外層部材を形成させるので、その
境界部に不溶着部やミクロキヤビテイ等の欠陥のない健
全な接合部が得られる。従つて、本発明では鋼芯材と外
層部材の一体化した複合ロールに熱処理を施すことが可
能となり、高硬度と耐摩耗性と適当な残留オーステナイ
トが存在しても硬さを低下せず、高い靭性を持つた複合
ロールの製造が可能である。
そして、一対の作業ロールと補強ロールに支持された4
重式圧延機及び上、下一対の作業ロールと補強ロールの
間に中間ロールを設け、中間ロールが移動を行ない得る
ような6重式圧延機、さらに一対の作業ロールと中間ロ
ールと補強ロールを持つ多転式圧延機等のそれぞれのロ
ールとして本発明の圧延用焼入ロールを組入れて使用で
きる。
〔実施例〕 以下に本発明の実施例を第1図〜第11図を用いて説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1 C,Mo,Co,Mn,Ni添加を具体的に示すための
実施例の化学組成を第1表に示す。第1表において15
は従来の高速度工具鋼で本発明の組成よりもC,Mo及
びCoが高くなつている。8〜14は比較材である。8
はMoとW量が半々に添加されており、Niが含有され
ていない組成である。9は高Mo,高Mn,高Co系で
Niを含んでいない組成である。10及び11はMn,
Ni量が特許請求の範囲よりはずれた組成である。12
はNi,Co量が高く、Mnが添加されていない組成で
ある。13はMnとCoがともに低い場合でNiが添加
されていない組成である。14はMnとCoが高い組成
である。1〜7は本発明の組成を示し、Mo,Wが16
2Mo+W19の範囲でなおかつ、Mn,Ni及び
Coの関係が3.510(Mn+Ni)−Co39
の式を満足した組成である。
試料は高周波溶解炉で溶解し、金型に鋳込み鋼塊を製造
した。鋳込み後の鋼塊は880℃×10h→700℃×
5h→炉冷の焼なましを行ない、熱処理硬さ、摩耗試
験、曲げ試験及び焼入性試験を行なつた。
第2表に試験結果を示す。熱処理硬さは15mm角の試験
片を用いてロツクウエル硬度計(HRC)で測定した。
熱処理は各試料とも1150℃×1h→空冷後、500
℃×1h→空冷のサイクルを5回繰返し、硬さを測定し
た。従来材15はHRC67の値を示している。比較材
8〜14はいずれも63〜64.5しか得られず、M
n,Ni及びCo量とのバランスが悪いため硬さが低く
なつている。本発明材の1〜7はいずれも68〜69と
高い硬度が得られた。本発明の組成はC,Mo,Co量
を減少させ、その反面、Mn,Niを添加した。第1図
はMn,Ni,Co量と硬さの関係を示すグラフであ
る。
第2表の第2欄は研摩式摩耗試験による摩耗減量を示
す。試験方法は回転数600rpmで回転する直径20cm
のターンテーブルにエメリーペーパを張り、その上に直
径1.8cmの試験片を荷重800gで押付け、2分20秒
間摩耗させる試験方法である。
試験前後の重量差をもつて摩耗量とし、耐摩耗性を比較
した。従来材15の摩耗減量は76.9mgの値をし、本
発明材と比較材の中間へ摩耗減量を示している。比較材
8〜14は82.1〜83.3mgと摩耗減量が多くなつ
ている。本発明材の1〜7は摩耗減量が僅少であり、す
ぐれた耐摩耗性を示すことが明らかである。第2図はM
n,Ni,Co量と摩耗減量の関係を示すグラフであ
る。
第2表の第3及び第4欄は靭性の評価のための静的曲げ
試験結果を示す。試験片寸法は厚さ4mm、巾5mm、長さ
55mmであり、支点間距離40mm、中央一点荷重曲げ治
具を用いて試験した。目標値となる従来材15は抗析力
105kg/mm2、撓み量0.5mであつた。第3図はM
n,Ni,Co量と抗析力の関係を示すグラフである。
本発明材1〜7はいずれも高い靭性値を示し、従来材の
約1.5倍の靭性値を示すことが明白となつた。第4図
は本発明材(1150℃×1h→A、C,500℃×1
h→A、C5回)、比較材(1150℃×1h→A、
C,500℃→×1h→AC5回)、従来材(1150
℃×1h→A、C,500℃×1h→A、C5回)の残
留オーステナイト量を示すグラフである。この図からも
明らかなように比較材及び従来材は残留オーステナイト
量がほとんど残留てしいないが、本発明材は5〜20%
残留しており、高硬度でありながら高い靭性を維持して
いることが明らかである。
第2表第5欄は焼入性試験結果を示す。試験方法は直径
65mmの試験片を1150℃×1h→空冷後、500℃
×1h→空冷のサイクルを5回繰返した。熱処理後の表
面からの硬さを測定し、硬さが低下し始める距離から焼
入性を評価した。従来材は15mmの位置から硬さが低下
する。比較材はいずれも10〜16mmの位置から硬さが
低下する。本発明材1〜7は28〜30mmの位置まで硬
さが低下せず、焼入性にすぐれていることが明らかであ
る。第5図はMn,Ni,Co量と焼入性の関係につい
て図示したグラフである。本発明材は従来材よりも約2
倍焼入性が向上することが明白となつた。
実施例2 第3表に示す、本発明材の6の組成を用いて、4重式圧
延機の作業ロールを作製した。4重式圧延機のロール構
成を第6図に示す。圧延材21を直接圧延する上、下一
対の作業ロール22,23は補強ロール24,25で支
持されている。26,26′は圧延荷重27,27′は
ロールベンデイング力を示してある。
作業ロールの作製は第7図に示す、エレクトロスラグ再
溶解装置を用いて、直径320mm、高さ730mmの水冷
鋳型の内部に直径200mm、高さ1300mmの鋼製芯材
42(軸受鋼)をスタート盤45上に設置し、本発明材
のMn及びNiを含有させた外層材41を内径235m
m、外径280mmの円筒状消耗電極43に用い、フラツ
クスを挿入して溶解し鋼塊を作製した。溶製した鋼塊の
溶着性について調べるため、超音波探傷試験により、接
合塊界部の健全性についてチエツクした。その結果、外
層部は完全に溶着一体化されていることが確認された。
また、溶製後の鋼塊を横断面状に切断しマクロ組による
外観を観察した。マクロ組織からは接合部にミクロキヤ
ビテイ等の内部欠陥は発生していなかつた。したがつ
て、高速圧延、高圧下、高荷重圧延を行なつても接合境
界部からのはく離現象は生じないことが予想される。
溶製後の鋼塊は1175℃×15時間の拡散焼鈍を行な
い、直径300mm×長さ700mmに機械加工を行なつ
た。
次に、熱処理は本発明材及び従来材とも1150℃から
焼入後、500℃×1h→空冷の操作を5回繰返しを行
なつた。従来材はロール表面の硬さがHs 91(HRC
66)であつた。本発明材は熱処理時の割れ発生もな
く、ロール表面の硬さはHs 98(HRC68.5)を
示し、4重式圧延機の作業ロールとしてすぐれた材質で
あることが明白である。
実施例3 第4表に示す、本発明材の5の組成を用いて6重式圧延
機の作業ロールを作製した。6重式圧延機のロール構成
は第8図に示す。圧延機21を直接圧延する上、下一対
の作業ロール22,23はロールハウジング30,3
0′内に保持されたメタルチヨツク28,28′及び2
9,29′に支持されている。作業ロールのベンデイン
グを容易になし得る構造となつている。作業ロール2
2,23に接触する上、下一対の中間ロール31,32
は上、下作業ロール22,23とほぼ同一中心線上に位
置するように配置されている。この中間ロール31,3
2は上、下各2本の補強ロール24,25によつて支持
されている。
作業ロールの作製は高周波溶解炉で溶製した鋼塊を88
0℃×10h→700℃×5h→炉冷の二段焼なまし
後、1175℃×15時間保持後炉冷の拡散焼鈍を行な
つた。拡散焼鈍後は熱間拘速鍛造により、鍛造温度を1
050〜1150℃の温度範囲で直径170mm×長さ1
000mm鍛造した。鍛断温度が1150℃以上になると
脱炭及び酸化が激しくなり、割れ発生の原因となる。10
50℃以下では鍛造による変形が小さいために鍛造は困難
となる。鍛造後は焼なましを行ない、直径155mm×長
さ950mmに機械加工を施し、磁気探傷及び染色試験に
より検査を行なつた結果、無欠陥であつた。
熱処理は1150℃から焼入後、500℃×1h→空冷
の操作を5回繰り返した。その結果、ロール表面の硬さ
がロツクウエル硬度計(HRC)でHS 98(HRC6
8.5)の硬さが得られた。第9図は焼入性を示してい
るが図から明らかなように従来材は約15mmから硬さが
低下し始めるが、本発明材は約30mmから硬さが低下す
るようになり、本発明材は約2倍の焼入性を向上させる
ことが明白となり、6重式圧延機の作業ロールとしてす
ぐれた性能を示すことが明らかである。
実施例4 第5表に示す、本発明材の2の組成を用いて多段式冷間
圧延機の作業ロールを作製した。多段圧延機のロール構
成は第10図に示す。21は圧延材、22,22′は作
業ロール、31,31′は作業ロールと直接接する第一
中間ロール、32,32′は第一中間ロール31,3
1′と接する第二中間ロール、35,35′は第二中間
ロール32,32′と接するバツクアツプベアリングロ
ール、30,30′はロールハウジングである。
作業ロールの作製方法は高周波溶解炉で溶製した鋼塊を
880℃×10h→700℃×5h→炉冷の二段焼なま
し後、1175℃×15時間保持して炉冷の拡散焼鈍を
行なつた。拡散焼鈍後は熱間拘速鍛造により、鍛造温度
を1050〜1150℃の温度範囲で直径80mm×長さ
1200mmに鍛造した。鍛断温度が1175℃以上にな
ると脱炭及び酸化が激しくなり、割れ発生の原因とな
る。1050℃以下では鍛造による変形が小さいために
鍛造は困難となる。鍛造後は焼なましを行ない、直径7
0mm×長さ1000mmに機械加工を施し、磁気探傷及び
染色試験により検査を行なつた結果無欠陥であつた。
熱処理は1150℃から焼入後500℃×1h→空冷の
操作を5回繰返した。その結果、ロール表面の硬さHs
99(HRC69)の高硬度が得られた。
第11図は本発明材及び従来材の焼入性結果を示す。従
来材は15mmから硬さが低下し始めるのに対して、本発
明材はほとんど中心部まで硬さの低下はなく焼入性にす
ぐれており、多段式圧延機の作業ロールとして好適な材
質であることが明白である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、得られた高硬度、耐摩耗性材料は、従
来材よりも焼入性が2倍以上向上し、しかも高硬度であ
りながら靭性の低下もなく、かえつて、1.5倍以上も
改善されている。そして、これから作製した圧延用焼入
ロールは、4重式、6重式及び多段式圧延機の作業ロー
ル等に適している。
次に、エレクトロスラグ再溶解法で溶製した鋼塊は芯材
と外層材が溶着一体化したため、境界部の接合部にはミ
クロキヤビテイが発生しないため、熱処理が可能とな
り、Hs 97(HRC68)以上の硬さが得られた。し
たがつて、作業ロールの寿命を大巾に延長することがで
き、その効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図はMn,Ni,Co量と硬さの関係を示すグラ
フ、 第2図はMn,Ni,Co量と摩耗減量の関係を示すグ
ラフ、 第3図はMn,Ni,Co量と抗折力の関係を示すグラ
フ、 第4図は残留オーステナイト量を示すグラフ、 第5図はMn,Ni,Co量と焼入性の関係を示すグラ
フ、 第6図は4重式圧延機のロール構成を示す概略断面図、 第7図はエレクトロスラグ再溶解装置の概略断面図、 第8図は6重式圧延機のロール構成を示す概略断面図、 第9図は焼入性と硬さの関係を示すグラフ、 第10図は多段式圧延機のロール構成を示す概略断面
図、 第11図は焼入性と硬さの関係を示すグラフである。 1〜15……第1表に1〜15に対応する材料、21…
…圧延材、22、23……作業ロール、24、25……
補強ロール、31、32……中間ロール、33……上の
中間ロール移動、34……下の中間ロール移動、41…
…外層、42……芯材、43……外層用電極パイプ、4
4……溶融スラグ、45……スタート盤、46……水冷
鋳型、47……回転定盤、48……カーボンブラシ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 9/38 A C22C 38/52 (72)発明者 内田 哲郎 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 清水 正己 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会社 日立製作所勝田工場内 (72)発明者 下タ村 修 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会社 日立製作所勝田工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C 0.8〜1%、Si 0.
    6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni 0.5
    〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜8.5
    %、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、Co
    6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物からな
    ることを特徴とする高硬度、耐摩耗材料。
  2. 【請求項2】請求項1記載の高硬度、耐摩耗材料におい
    て、MoとWの間には162Mo+W19の関係を
    有することを特徴とする高硬度、耐摩耗材料。
  3. 【請求項3】請求項1記載の高硬度、耐摩耗材料におい
    て、Mn、Ni、Coの間には3.510(Mn+N
    i)−Co39の関係を有することを特徴とする高硬
    度、耐摩耗材料。
  4. 【請求項4】重量%で、C 0.8〜1%、Si 0.
    6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni 0.5
    〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜8.5
    %、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、Co
    6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物からな
    り、基地組織がマルテンサイト中にMC型、MC型、
    型、M23型の炭化物と残留オーステナイ
    トをもつた金属組織からなることを特徴とする高硬度、
    耐摩耗材料。
  5. 【請求項5】重量%で、C 0.8〜1%、Si 0.
    6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni 0.5
    〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜8.5
    %、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、Co
    6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物からな
    り、熱処理が施されたことを特徴とする圧延用焼入ロー
    ル。
  6. 【請求項6】重量%で、C 0.8〜1%、Si 0.
    6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni 0.5
    〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜8.5
    %、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、Co
    6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物からな
    り、熱処理が施された一体品であることを特徴とする圧
    延用焼入ロール。
  7. 【請求項7】重量%で、C 0.8〜1%、Si 0.
    6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni 0.5
    〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜8.5
    %、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、Co
    6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物からな
    る高硬度、耐摩耗材料を、強靭な鋼芯材の表面層に用
    い、熱処理が施された複合品であることを特徴とする圧
    延用焼入ロール。
  8. 【請求項8】請求項7記載の圧延用焼入ロールにおい
    て、表面硬さHRC65.3以上、芯材の強さが80kg
    /mm2以上であることを特徴とする圧延用焼入ロール。
  9. 【請求項9】請求項5〜8のいずれか1項に記載の圧延
    用焼入ロールを、4重式圧延機における上、下一対の作
    業ロールと補強ロールのうちの一本以上に用いたことを
    特徴とする4重式圧延機。
  10. 【請求項10】請求項5〜8のいずれか1項に記載の圧
    延用焼入ロールを、一対の作業ロールと中間ロール及び
    補強ロールのうちの1本以上に用いたことを特徴とする
    多段式圧延機。
  11. 【請求項11】請求項5〜8のいずれか1項に記載の圧
    延用焼入ロールを、6重式圧延機における上、下一対の
    作業ロールと補強ロール及び両者の間の中間ロールのう
    ちの一体以上に用い、該中間ロールを軸方向に移動可能
    としたことを特徴とする6重式圧延機。
  12. 【請求項12】請求項5〜8のいずれか1項に記載の圧
    延用焼入ロールを、6重式圧延機における上、下一対の
    作業ロールと補強ロール及び両者の間の中間ロールのう
    ちの1本以上に用い、該中間ロールを軸方向に移動及び
    ロールベンデイング作用が行なえるようにしたことを特
    徴とする6重式圧延機。
  13. 【請求項13】請求項6記載の圧延用焼入ロールの製造
    法において、鋼塊を製造する工程、1150〜1230
    ℃で拡散焼純後、1050〜1150℃で熱間拘束鍛造
    を行なう工程、更に1075〜1220℃で焼入後、5
    00〜650℃の高温焼もどしを行なう工程からなる一
    体品としての圧延用焼入ロールの製造法。
  14. 【請求項14】請求項7又は8記載の圧延用焼入ロール
    の製造法において、重量%で、C 0.8〜1%、Si
    0.6〜1.5%、Mn 0.6〜1.5%、Ni
    0.5〜3%、Cr 3〜4.5%、Mo 7.5〜
    8.5%、W 1〜1.5%、V 0.8〜1.5%、
    Co 6〜7.5%、残部がFe及び不可避的な不純物
    からなる高硬度、耐摩耗材料を消耗電極としてエレクト
    ロスラグ再溶解法により溶融させて、鋼芯材の外層部を
    肉盛して表面層を製造する工程、拡散焼純後機械加工を
    行なつた後、熱処理を施す工程からなる複合品としての
    圧延用焼入ロールの製造法。
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