JP3019240B2 - 遠心鋳造製複合ロール - Google Patents
遠心鋳造製複合ロールInfo
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Description
性を兼備した遠心鋳造製複合ロールに関する。
ロールは、外層と内層からなる複合ロールとされ、外層
材をセメンタイト系の炭化物が晶出した高Cr鋳鉄、又
はNiグレン鋳鉄、内層材を靱性の良いねずみ鋳鉄、又
はダクタイル鋳鉄として、遠心力鋳造法によって製造さ
れている。
る生産性向上の要求等から、より一層の耐摩耗性と耐ク
ラック性を備えた圧延用ロールの提供が要求されてい
る。
407 号、特開昭61-177355 号には、従来の遠心力鋳造ロ
ールの外層材として高V鋳鉄を用いることが提案されて
いる。
造ロールの外層材として高V鋳鉄を用いる圧延用ロール
では、比重の小さいV炭化物が遠心分離により偏析し、
ロール外層内の特性が肉厚方向で不均一になる。この傾
向は大型ロールで外層肉厚が大なるほど著しく、実用ロ
ールとしての使用に耐えることができないという問題点
がある。
公報には、高速度鋼なみに高合金化した鋳鋼、鋳鉄を適
用したロール材が提案されている。然しながら、特開昭
58-87249号公報には焼嵌め又は組立ロールを対象とした
ものであり、圧延中に生ずる外層と軸材間の滑りが問題
となる。また、特開平1-96355 号公報は特殊な鋳かけ肉
盛法等、遠心力鋳造法以外の特殊な製造手法しか適用で
きず、生産性、経済性の面で問題がある。
外層にVを多量に含有させることにより、耐摩耗性を著
しく向上させることは可能であるが、複合ロール製造時
に生産性、経済性が最も優れているとして一般に実施さ
れている遠心力鋳造法を採用した場合には、遠心分離に
よる炭化物の偏析を生じ所定の特性を均一に得られない
という問題点がある。
化し、炭化物組成を限定することにより、生産性、経済
性の優れた遠心力鋳造法を適用しても、外層と内層(軸
材)又は外層と中間層との境界部での気孔状欠陥の発生
を抑え、偏析等の生じない耐摩耗性と耐クラック性の均
一な遠心鋳造製複合ロールを提供することを目的とす
る。
は、外層材と、該外層材と溶着一体化した普通鋳鉄又は
ダクタイル鋳鉄の軸材とからなるロール材を遠心鋳造し
てなる遠心鋳造製複合ロールであって、該外層材が、
C:1.5 〜 3.5%,Si:1.5 %以下,Mn:1.2 %以
下,Cr:5.5 〜12.0%,Mo:2.0 〜8.0 %,V:3.
0 〜10.0%,Nb:0.6 〜7.0 %,N:0.08%以下を含
有し、且つ下記(1) 式と(2) 式を満足し、 V+ 1.8Nb ≦ 7.5 C−6.0(%) …(1) 0.2 ≦ Nb/V ≦ 0.8 …(2) 残部Fe及び不可避的不純物よりなり、遠心鋳造後のロ
ール材を1000〜1150℃でオーステナイト化した後、冷却
後の組織がベイナイトになるように制御冷却してなるよ
うにしたものである。
外層材と溶着一体化した普通鋳鉄又はダクタイル鋳鉄の
軸材とからなるロール材を遠心鋳造してなる遠心鋳造製
複合ロールであって、該外層材が、C:1.5 〜 3.5%,
Si:1.5 %以下,Mn:1.2 %以下,Cr:5.5 〜1
2.0%,Mo:2.0 〜8.0 %,V:3.0 〜10.0%,N
b:0.6 〜7.0 %,Ni:5.5 %以下,N:0.08%以下
を含有し、且つ下記(1) 式と(2) 式を満足し、 V+ 1.8Nb ≦ 7.5 C−6.0(%) …(1) 0.2 ≦ Nb/V ≦ 0.8 …(2) 残部Fe及び不可避的不純物よりなり、遠心鋳造後のロ
ール材を1000〜1150℃でオーステナイト化した後、冷却
後の組織がベイナイトになるように制御冷却してなるよ
うにしたものである。
2に記載の本発明において更に、前記外層材と軸材の間
に中間層を有し、該中間層を介して外層材と軸材とを溶
着一体化してなるようにしたものである。
含有量の限定理由及びV,Nb,C量の限定式について
説明する。
成するための必須元素で1.5 %以上必要であるが、3.5
%を越えると耐クラック性が著しく低下するため上限を
3.5 %とする。
が、1.5 %を越えると耐クラック性を低下するため上限
を1.5 %とする。
2 %を越えると耐クラック性が低下するため好ましくな
く上限を1.2 %とする。
な元素で5.5 %以上添加するが、12.0%を越えると本発
明が対象とするV,Nbを添加した場合には耐摩耗性が
劣化するため上限を12.0%とする。
有効であるとともに、基地の焼入性、焼もどし軟化抵抗
を向上し、基地組織の強化に有効であるため2.0 %以上
必要であるが、8.0 %を越えると耐クラック性が低下す
るため、上限を8.0 %をする。
合ロールとした場合、外層と内層(軸材)又は外層と中
間層との境界部に気孔状欠陥が発生し易くなるため上限
を0.08%とする。
加するが、5.5 %を越えると残留γの存在など不安定な
組織を形成するため好ましくなく、上限を 5.5%とす
る。
これらの複合添加と含有量制限条件が本発明の最大の特
徴である。
又はM4 C3 炭化物を形成するための必須元素で、その
効果を発揮するためには3.0 %以上必要であるが、10.0
%を越えると耐クラック性の低下、製造上の問題を生じ
るため上限を10.0%とする。
炭化物を形成するが、単独添加では粗大な塊状炭化物と
なりその効果が得られないだけでなく耐クラック性が問
題となる。
材硬さに及ぼすC量との関係、及び遠心力鋳造したリン
グ材の炭化物分布に起因する外層、内層間の熱間摩耗
比、熱衝撃試験におけるクラックの最大深さとNb,V
の含有量比Nb/Vとの関係を調べた結果をそれぞれ図
1、図2及び図3、図4に示す。
して必要な硬さHs 75以上を得るためには V+1.8 Nb≦7.5 C−6.0 (%) を満足する必要があることが明らかとなった。
0.5 %, Cr:6.2 %,Mo:3.0%,N:0.05%を含
有し、C,V,Nbを変化させた溶湯を鋳造した25mmY
/ブロックについて1000℃焼ならし処理、550 ℃焼もど
し処理を施した試料を用い、図2の実験はSi:0.4
%,Mn:0.5 %,Ni: 1.5%,Cr:7.2 %,M
o:3.5 %,N:0.06%を含有し、C,V,Nbを変化
させた溶湯を鋳造した25mmY−ブロックについて1000℃
焼ならし処理、 550℃焼もどし処理を施した試料を用い
た。
した場合にも均一な外層材を得ることができ、且つ耐ク
ラック性を損なわないためには 0.2 ≦ Nb/V ≦ 0.8 を満足する必要があることが明らかとなった。
/外層)」は、リング材の内層側から採取した試験片の
摩耗量(Iw)と外層側から採取した試験片の摩耗量
(Ow)との比(Iw/Ow)であり、「熱衝撃クラッ
ク最大深さ」は、熱衝撃試験で発生したクラックの最大
深さである。
0.4 %,Mn:0.4 %,Cr:6.5%,Mo:2.7 %,
V: 5.4%,Nb:0 〜8.0 %,N:0.06%を含有する
溶湯を遠心力鋳造(140 G)して得た肉厚100mm のリン
グサンプルについて1000℃焼ならし処理、550 ℃焼もど
し処理を施した試料を用い、図4の実験は、C:2.7
%,Si:0.4 %,Mn:0.5 %,Ni:2.1 %,C
r:7.4 %,Mo:3.2 %,V: 5.8%,Nb:0 〜7.
5 %,N:0.04%を含有する溶湯を遠心力鋳造(140
G)して得た肉厚100mm のリングサンプルについて1000
℃焼ならし処理、550℃焼もどし処理を施した試料を用
いた。
とφ50×10の試験材の2円盤のすべり摩耗方式で相手材
を800 ℃に加熱し、荷重100kgfで圧接した状態で試験材
を800rpmで回転させ、すべり率3.9 %として120 分後の
摩耗減量を測定して行なった。
いるローラーに55×40×15の板状試験片を圧接する方式
で、荷重150kgf、接触時間15sの条件で行ない、試験片
に発生したクラック長さを測定した。
としては、1000〜1150℃でオーステナイト化した後、冷
却後の組織がベイナイトになるように制御冷却する。従
って、対象とするロール材の組成、形状、サイズにより
冷却条件は異なるものとなる。上述の図1〜図4の実験
では、被熱処理材のサイズが小さいので、焼きならし
(オーステナイト化後空冷)、焼入れ(オーステナイト
化後急冷)の両処理とも可能となっている。尚、焼もど
しは 500〜 600℃の範囲で最適条件を選んで実施する。
ては、上述のNiを必ずしも含有することを要しない。
〜F、R、S、比較材:A、G〜Q)を遠心力鋳造法
(140G)により鋳造し、肉厚100mm のリングサンプルを
試作し、ショアー硬さ、熱間摩耗及び熱衝撃試験を行な
った。
側からそれぞれφ50×10の試験片を採取し、前記条件と
同一の方法で行なった。
り前記した板状試験片を採取し、同一の条件で行なっ
た。
に示す。表2によれば、本発明材は従来のNi−グレン
材(A材)と比べ、硬さは同程度であるが、耐摩耗性、
耐クラック性ともに著しく向上していることが認められ
る。
ずれているため、G材は炭化物の偏析で外層の耐摩耗性
が低下し、H材については硬さが不足しているとともに
耐クラック性が低下し、I材については硬さの不足とと
もに炭化物の偏析で外層の耐摩耗性が低下し、J材につ
いては硬さが不足している。また、K材はC量が過多で
あるため耐クラック性が低下し、L材はSi量が過多で
あるため耐クラック性が低下し、M材はMn量が過多で
あるため耐クラック性が低下し、N材はCr量が過多で
あるため耐摩耗性、耐クラック性が低下し、O材はMo
量が過多であるため耐クラック性が低下し、P材はV量
が不足しているため耐摩耗性、耐クラック性が低下し、
Q材はV量が過多であるため耐クラック性が低下してい
る。
径670mm 、胴長1450mmの複合ロールを以下に示す手順で
製造した。低周波溶解炉にて外層材の溶湯を溶解し、こ
の外層材溶湯を遠心力 140Gで回転する遠心鋳造用鋳型
内に1490℃で厚さ75mmになるように鋳込んだ。外層材の
鋳込み後20分後に鋳型の回転を停止し、鋳型を直立さ
せ、外層鋳込み後35分後に内層材溶湯を1420℃で鋳込ん
だ。室温まで冷却後、鋳型を解体し、粗加工を行なった
後、1050℃から焼入れし、その後550 ℃にて焼き戻しを
行なう熱処理を行なった。熱処理後超音波探傷等の検査
を行なった結果を表4に示す。
層とも欠陥のない健全なロールであったが、N含有量の
多い比較例の複合ロールBでは外層と内層との境界部に
UT欠陥が認められた。
(本発明材:B〜F、S、T、U、V、比較材:A、G
〜R)を遠心力鋳造法(140G)により鋳造し、肉厚100m
m のリングサンプルを試作し、ショアー硬さ、熱間摩耗
及び熱衝撃試験を行なった。
側からそれぞれφ50×10の試験片を採取し、前記条件と
同一の方法で行なった。
り前記した板状試験片を採取し、同一の条件で行なっ
た。
に示す。表6によれば、本発明材は従来のNi−グレン
材(A材)と比べ、硬さは同程度であるが、耐摩耗性、
耐クラック性ともに著しく向上していることが認められ
る。
ずれているため、G、J材については硬さが不足し、H
材については炭化物の偏析で外層の耐摩耗性が低下し、
I材については耐クラック性が低下している。また、比
較材K〜R材についてみれば、K材はC量が過多である
ため耐クラック性が低下し、L材はSi量が過多である
ため耐クラック性が低下し、M材はMn量が過多である
ため耐クラック性が低下し、N材はNi量が過多である
ため硬さ、耐摩耗性、耐クラック性ともに低下し、O材
はCr量が過多であるため耐摩耗性、耐クラック性が低
下し、P材はMo量が過多であるため耐クラック性が低
下し、Q材はV量が不足しているため耐摩耗性、耐クラ
ック性が低下し、R材はV量が過多であるため耐クラッ
ク性が低下している。
を有し、図5に示す胴径670 mm、胴長1450mmの複合ロー
ルを以下に示す手順で製造した。低周波溶解炉にて外層
材の溶湯を溶解し、この外層材溶湯を遠心力 140Gで回
転する遠心鋳造用鋳型内に1490℃で厚さ75mmになるよう
に鋳込んだ。外層材が凝固した直後に中間層の溶湯を15
40℃で厚さ40mmになるように鋳込んだ。この中間層が完
全凝固した後に鋳型の回転を停止し、鋳型を直立させ、
外層材鋳込み後40分後に内層材溶湯を1450℃で鋳込ん
だ。室温まで冷却後、鋳型を解体し、粗加工を行なった
後、1050℃から焼入れし、その後550 ℃にて焼き戻しを
行なう熱処理を行なった。熱処理後超音波探傷等の検査
を行なった結果を表8に示す。
部、中間層、内層とも欠陥のない健全なロールであった
が、N含有量の多い比較例の複合ロールDでは外層と中
間層との境界部にUT欠陥が認められた。
トストリップミル仕上げスタンドに使用した結果、図6
に示すように、従来のニッケルグレン鋳鉄ロールの使用
成績を大きく上回るものであった。また、ロール表面の
肌荒れ等も問題なく、良好な結果が得られた。
経済性の優れた遠心力鋳造法を適用しても、外層と内層
(軸材)又は外層と中間層との境界部での気孔状欠陥の
発生を抑え、偏析等の生じない耐摩耗性と耐クラック性
に優れた圧延用複合ロールを得ることができる。
さに及ぼす影響を示す線図である。
さに及ぼす影響を示す線図である。
起因する外層と内層間の熱間摩耗比と、熱衝撃試験にお
けるクラック最大深さに及ぼすNbとVの含有量比Nb
/Vの影響を示す線図である。
起因する外層と内層間の熱間摩耗比と、熱衝撃試験にお
けるクラック最大深さに及ぼすNbとVの含有量比Nb
/Vの影響を示す線図である。
ある。
機ミルでの圧延成績を従来ロールのそれと比較して示す
線図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 外層材と、該外層材と溶着一体化した普
通鋳鉄又はダクタイル鋳鉄の軸材とからなるロール材を
遠心鋳造してなる遠心鋳造製複合ロールであって、 該外層材が、 C:1.5 〜 3.5%,Si:1.5 %以下,Mn:1.2 %以
下, Cr:5.5 〜12.0%,Mo:2.0 〜8.0 %,V:3.0 〜
10.0%, Nb:0.6 〜7.0 %,N:0.08%以下 を含有し、且つ下記(1) 式と(2) 式を満足し、 V+ 1.8Nb ≦ 7.5 C−6.0(%) …(1) 0.2 ≦ Nb/V ≦ 0.8 …(2) 残部Fe及び不可避的不純物よりなり、 遠心鋳造後のロール材を1000〜1150℃でオーステナイト
化した後、冷却後の組織がベイナイトになるように制御
冷却して なることを特徴とする遠心鋳造製複合ロール。 - 【請求項2】 外層材と、該外層材と溶着一体化した普
通鋳鉄又はダクタイル鋳鉄の軸材とからなるロール材を
遠心鋳造してなる遠心鋳造製複合ロールであって、 該外層材が、 C:1.5 〜 3.5%,Si:1.5 %以下,Mn:1.2 %以
下, Cr:5.5 〜12.0%,Mo:2.0 〜8.0 %,V:3.0 〜
10.0%, Nb:0.6 〜7.0 %,Ni:5.5 %以下,N:0.08%以
下 を含有し、且つ下記(1) 式と(2) 式を満足し、 V+ 1.8Nb ≦ 7.5 C−6.0(%) …(1) 0.2 ≦ Nb/V ≦ 0.8 …(2) 残部Fe及び不可避的不純物よりなり、 遠心鋳造後のロール材を1000〜1150℃でオーステナイト
化した後、冷却後の組織がベイナイトになるように制御
冷却して なることを特徴とする遠心鋳造製複合ロール。 - 【請求項3】 前記外層材と軸材の間に中間層を有し、
該中間層を介して外層材と軸材とを溶着一体化してなる
請求項1又は2に記載の遠心鋳造製複合ロール。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4326176A JP3019240B2 (ja) | 1992-11-11 | 1992-11-11 | 遠心鋳造製複合ロール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4326176A JP3019240B2 (ja) | 1992-11-11 | 1992-11-11 | 遠心鋳造製複合ロール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06145902A JPH06145902A (ja) | 1994-05-27 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4326176A Expired - Fee Related JP3019240B2 (ja) | 1992-11-11 | 1992-11-11 | 遠心鋳造製複合ロール |
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
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-
1992
- 1992-11-11 JP JP4326176A patent/JP3019240B2/ja not_active Expired - Fee Related
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