JP2617029B2 - 耐食合金、熱間圧延用ロール及びその製造方法、並びに熱間圧延機 - Google Patents

耐食合金、熱間圧延用ロール及びその製造方法、並びに熱間圧延機

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JP2617029B2
JP2617029B2 JP2332175A JP33217590A JP2617029B2 JP 2617029 B2 JP2617029 B2 JP 2617029B2 JP 2332175 A JP2332175 A JP 2332175A JP 33217590 A JP33217590 A JP 33217590A JP 2617029 B2 JP2617029 B2 JP 2617029B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐食合金、熱間圧延用ロール及びその製造
方法、並びに熱間圧延機に関するものである。
〔従来の技術〕
熱間圧延用補強ロールに要求される性質としては主に
耐摩耗性及び対スポーリング性があげられる。耐摩耗性
の向上対策としては鋼系のロール材料で硬さ及び炭化物
の分散が考えられる。多量の炭化物の分散による耐摩耗
性の向上にはC量を多くすればよいが、ロール製造問題
を生じ靱性の低下にもつながり採用は難しい。
次に、補強ロールは作業ロールと接触するため、スリ
ップが生じ、転動疲労による肌荒れが激しくなって、ロ
ール寿命を低下させる。また、ロール表面が腐食により
肌荒れを起し凹凸が激しくなり問題となっている。
従来、熱間圧延機の補強ロール材には粗圧延の2重圧
延機用の作業ロールとして複合鋳鋼(熱間金型用)、粗
圧延、前段、後段仕上げ用の補強ロールには熱間ダイス
鋼系SKD-61相当(C0.3〜0.6%、Si0.4〜0.9%、Mn1%以
下、Ni0〜0.5%、Cr2〜5%、Mo0.5〜0.9%、V0.3%以
下)が使用されている。
第2図は熱間圧延機のロール配置を示す構成図であ
る。4重圧延粗スタンドロールは作業ロール1〜4およ
び補強ロール17〜20で構成されている。粗圧延スタンド
を通過した鋼材34は次の仕上前段および仕上後段の圧延
スタンド工程に入る。仕上スタンド圧延機のロールは作
業ロール5〜16、補強ロール21〜32で構成されている。
なお、圧延された鋼材はコイル33としてまきとられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
最近、製鉄所では省エネ及び圧延材の精度に一層高度
なものが要求されてきた。しかも、従来、熱間圧延機用
補強ロールに要求される性質は靱性と耐スポーリング性
及び耐摩耗性であったが、最近は腐食により肌荒れを起
し、摩耗が激しくなり、ロールの寿命を著しく損なうの
で問題となっている。こうした点について満足し得る熱
間圧延用補強ロールの開発が要望されている。
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決するため、
オーステナイト量を60%以上残留させて、高硬度と耐摩
耗性、特に、耐食性にすぐれた熱間圧延用補強ロールと
その製造法を提供することを主なる目的とするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上述の課題を解決するためにとられた本発明の構成は
次の如くである。
熱間圧延用ロールは、 (1)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、V0.48〜2.
0%、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留
オーステナイト量60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなるこ
とを特徴とし、 (2)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、W0.55〜2.
0%、V0.48〜2%、残部がFe及び不可避的な不純物とか
らなり、胴部の残留オーステナイト量が60%以上、マル
テンサイト、ベイナイト及び炭化物の各々が15%以下で
ある合金鋼からなることを特徴とし、 (3)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、V0.48〜
2.0%、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種を含み、残
部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オーステ
ナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイト及び
炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなることを特
徴とし、 (4)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、W、V2
%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以上を含
み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オ
ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下でである合金からなる熱
間圧延用ロールであって、一体型又はスリーブ組立式補
強ロールからなることを特徴とし、 (5)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、W、V2
%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以上を含
み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オ
ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下であることを特徴とし、 耐食合金は、 (6)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、W、V2
%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以上を含
み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オ
ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下であることを特徴とし、 (7)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、V0.48〜2.
0%、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留
オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナ
イト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなる
ことを特徴とし、 (9)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、W0.55〜2.
0%、V0.48〜2.0%以上を含み、残部がFe及び不可避的
な不純物とからなり、残留オーステナイト量が60%以上
である合金鋼よりなり、衝撃摩耗をうける建設機械用部
材に用いることを特徴とし、 熱間圧延機は、 (8)粗圧延及び仕上げ前段、後段圧延用の作業ロール
及び補強ロールを有する圧延機において、粗ロール、仕
上げ前段、後段ロールに少なくとも一体及び組立式補強
ロールが、重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.
6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、W、
V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以上を
含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留
オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナ
イト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなる
ことを特徴とし、熱間圧延用ロールの製造方法は、 (10)重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜
5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、W、V2
%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以上を含
み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オ
ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下の合金鋼からなる熱間圧
延用ロールの製造方法であって、鋼塊を製造する工程、
750〜900℃で焼鈍する工程、1100〜1250℃で拡散焼鈍後
1050〜1200℃で熱間拘束鍛造を行なう工程、1000〜1200
℃で焼入後、100〜650℃の焼戻しを行なう工程を順次行
うことを特徴とする。
ものである。
すなわち、熱間圧延用補強ロールによる耐食性につい
て検討した結果、金属組織中にオーステナイトの特定量
残留させても、硬さと耐食性の向上がはかれる点に着目
してなされたもので、要約すると下記の通りである。
本発明は、重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%残部が
Fe及び不可避的な不純物からなり、残留オーステナイト
量が60%以上である合金鋼からなるか、または、重量で
比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn0.6〜5%、Ni0.6
〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%とW、V2%以下、Ti,Nb,
Zr1%の少なくとも1種以上を含み、残部がFe及び不可
避的な不純物からなり、残留オーステナイト量が60%以
上である合金鋼からなる熱間圧延用ロールおよびその製
造法である。
熱間圧延機用補強ロールの耐食性は、C、Si、Mn、Ni
の組合せにより、基地組織中のオーステナイト量を60%
以上残留させることにより得られる。
特に、オーステナイトを安定化させる、好ましい組成
はC1.0%、Si2.4%、Mn2.3%、Ni2.9%、Mo2.9%で熱間
圧延用補強ロールの耐食性を向上することができる。さ
らに、上記の組成の合金を一体とした鍛鋼または鋳造材
からなるものの他、芯材(例えば合金鋼)の外側に溶着
一体化して複合ロールとすることができる。溶着後は溶
着のまま及び溶着後鍛造することができる。
上記ロールを製造するには、鋼芯材の外側に本発明の
組成からなる消耗電極を配置し、エレクトロスラグ再溶
解法により、芯材の外周部と上記消耗電極を溶融しなが
ら、順次凝固させて外層部を形成させる方法により、境
界部に不溶着部やミクロギャビティ等の欠陥のない健全
な接合部を有する複合ロールが得られる。
また、本発明では上記複合ロールに熱処理を施すこと
ができる。1000〜1200℃で焼入後、100〜650の焼戻しに
よって、オーステナイトの分解と炭化物の折出により、
Hs50(HV360)以上の硬さをもつロールが得られ、耐摩
耗性、耐肌荒れ性、特に、耐食性のすぐれたものが得ら
れる。更に、また、プラズマ溶射法及び溶接法で溶射複
合化し熱処理を施すことによって上記と同様にすぐれた
ロールを得ることができる。
本発明のロールは熱間圧延機の粗圧延ロール及び補強
ロール並びに前段、後段仕上げロールの補強ロールとし
て組入れ用いられる。
本発明における組織はオーステナイト相の他、マルテ
ンサイト相とベイナイト相と炭化物とよりなり、残留オ
ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
ト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなる。
本発明において、Cは焼入状態で一部基地に溶解し、
他はMo、W、Cr、Vなどと結合して複合炭化物を作る。
Cが少ないと二次硬化が少なく、反面、Cが高すぎると
溶融点が下がり、焼入温度を下げないと共晶組織を生じ
脆くなる。本発明者らの検討では0.5%未満では炭化物
を作るためのC量としては少なく、1.2%を超えると炭
化物量が増へ靱性及び耐食性が低下する。
Siは鋼中にある程度不可避的に含まれている成分であ
り、通常は脱酸を目的として添加されるがその量は0.4
%以下である。しかし、耐食性、耐孔食性の改善には0.
7〜3%がよい。
Mnも必らず含んでいる元素であるが、通常の含有量は
0.4%以下である。本発明はMn量を0.6〜5%とした。Mn
は焼入性の向上に寄与する元素で0.6%未満では効果は
少なく、5%を超えると残留オーステナイト量が増加
し、安定化してロール仕様硬さに達しない。また、鋳物
に毛割れが生じ易くなる。
Niは金属組織を微細にしオーステナイトおよびフェラ
イトに固溶して基地を強化する。また、Cr、Moと共存し
て焼入性を増し、耐摩耗性と靱性を向上させる。その含
有量は0.6〜5%の範囲でオーステナイト量が60%以上
残留するので耐食性を改善する。0.6%未満では上記の
靱性が十分発揮されず、5%を超えるとオーステナイト
の安定化により、ロール仕様硬さに達しない。
CrはCと結合してCr炭化物を晶出し耐摩耗性及び耐食
性向上に寄与する。その含有量は3〜10%特に、4.8%
がよい。
本発明において、Moは一部Cと結合してMoC炭化物を
形成し、残部は基地に固溶して二次硬化現象(焼戻し二
次硬化)により硬さを増加させる。その含有量は1〜5
%がよい。1%未満では硬さ、耐摩耗性が向上せず、5
%を超えると網状に晶出して靱性を低下させる恐れがあ
る。
WはMoと同様に一部Cと結合してMoC炭化物を形成し
二次硬化現象により硬さと耐摩耗性を向上させ、残部は
基地に固溶して基地を緻密なマルテンサイト組織とす
る。その含有量は1%以下が好ましい。なお、WはMoと
同様な効果があり、Moの1/2程度でよく、二次硬化以後
の焼戻し軟化抵抗がある。
VはCと結合して極めて硬いMC炭化物を作り、耐摩耗
性の向上に寄与する。しかし、V炭化物は固溶しにく
く、結晶粒の成長を妨げる。また、Cとの結びつきが強
いので焼入加熱の際基地に固溶するC量に強く影響す
る。適当な焼入、焼もどし硬さを得るにはCとVは一定
量的関係が必要とされる。更にまた、粒界腐食を防止
し、耐孔食性を改善する効果がある。Vは2%以上では
研削性及び溶解作業性に影響を及ぼすので2%以下がよ
い。
Zrは炭化物及びフェライトの生成元素であり、強力な
清浄作用や結晶粒の微細化をもたらし、安定なZr炭化物
を形成する。但し、該炭化物は角状となり、機械的性質
を低下させるので1%以下がよい。
Tiは一部炭素と結合してTiCを形成し、V、Crと併用
して用いると耐摩耗性及び靱性がさらに向上する。1%
以上ではTiCは角状となり、靱性が低下する。
NbはMC型の炭化物を形成し、耐摩耗性を著しく向上さ
せる元素である。また、結晶粒の微細化に寄与する元素
でもあり、1%以上の添加はTiCと同様に角状となって
靱性を低下する。
その他、不可避的に含有されるP、S、Cu、Pb、N等
の不純物について説明する。
Pは微量でも偏析する元素であり、焼割れ、歪みなど
の原因となる。また、脆性が著しく増加するので、0.1
%以下ならば特に問題はない。
SはPと同様に有害元素であるがMnSなど比較的無害
のものにできるので、0.1%以下であれば問題ない。
Cuは組織の微細化に寄与するが、鋳造の際に割れの原
因ともなる。0.1%以下であれば特に害はない。
PbはMnSやその他の介在物とともに凝集し、樹枝状間
に集まる傾向がある。添加量が多くなると熱間作業性を
悪くするが、0.1%以下であれば問題はない。
Nはオーステナイト組織を安定化するなどCと類似し
ているが、0.1%以下とするのが好ましい。
さらに、本発明はオーステナイト量を60%以上残留す
るため、過酷な衝撃摩耗をうける建設機械用部材にも使
用することが可能である。
〔作用〕
Cr量を極力抑えた組成にC、Si、Mn及びNi量を増加さ
せた。そのために、残留オーステナイトは安定化するに
もかかわらず高硬度が得られるとともに、なおかつ、耐
食性を改善することができた。
また、変態点温度が低いので高温度に上げやすくな
り、オーステナイト量を多量に残留することが可能であ
る。
その上、高硬度と耐摩耗性、特に、耐食性の改善によ
り、ロール表面の肌荒れ性が向上した。
さらに、スリーブ組立式ロールはアーバ嵌めして製造
する。アーバはCr-Mo鋼およびNi-Cr-Mo鋼が用いられ
る。第1図はスリーブ組立式ロールの概略図である。ス
リーブ外層35、35のなかにアーバ36を焼ばめして作製
し、高周波焼入装置37、37′を用い回転しながら焼入を
行ない、その後、低温および高温の焼もどしの熱処理を
行なってロールを製造する。これらは熱間圧延機に組入
れられて長時間使用されても、補強ロール用合金として
極めて好ましい作用と効果がある。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
〔実施例1〕 熱間圧延用補強ロール材の組成を第1表に示す。
第1表において、11は従来の熱間ダイス鋼系のSKD61
に相当する鋼である。本発明の組成に比べてC、Si、M
n、Mo量が低く、Ni及びWは添加されていない。なお、C
rは同等の組成となっている。
また、8、9および10は比較材であり、8はSi、Niが
低い組成、9はCが低く、Wは8、9とも添加されてい
ない。10はMn、NiおよびWが低い組成である。
本発明材1〜7の組成はC、Si、Mn、Cr、Mo、Vおよ
びWを含有した試料であるが、Wは1、5、6、7には
含まれていない。5にはTi、6にはNb、7にはZrを添加
した。1〜7のMn及びNiは0.6〜5%添加させた組成で
ある。
試料は高周波溶解炉で溶解し、金型に鋳込み鋼塊を製
造した。鋳込み後の鋼塊は880℃×10時間→700℃×5時
間→炉冷の焼なましを行なった。
第2表は残留オーステナイト量、熱処理硬さの測定結
果を示す。熱処理硬さは15mm角の試験片を用いてロック
ウエル硬度計(HRC)で測定した。熱処理は従来材7は9
80℃から焼入後、500℃で焼もどした。比較材8〜10、
本発明材1〜7の焼入温度は1125℃に1時間保持後空冷
を行なった。焼もどしは500℃×1h→空冷1回とした。
本発明材1〜7はMnおよびNiが添加され、オーステナ
イト量が多いにもかかわらずHRC51.5〜62.8(Hs69〜8
7)の高い値が得られた。
残留オーステナイト量は直径5mm×長さ70mmの試験片
を熱処理したのち、弾導検流計による磁気分析法で測定
した。熱処理は従来材、比較材、本発明材ともに1125℃
に1時間保持後、500℃に保持して空冷した。
従来材11は焼入、焼もどしによりほとんど残留オース
テナイトが分解している。比較材8〜10は焼入、焼もど
しで15〜55%に分解し、硬さもHRC52.1〜56.2(Hs70〜7
9)が得られる。一方、本発明材1〜7は焼もどし後の
残留オーステナイト量に68〜97.9%オーステナイトが残
留するにもかかわらずHRC51.5〜62.8(Hs69〜87)の高
硬度が得られた。
第3図は残留オーステナイト量と腐食量との関係を示
すグラフである。
浸漬実験用の試験片は10mm角×25mmlに機械加を行な
った。表面粗らさを一定にするため#500のエメリーペ
ーパで研磨した。試験片の熱処理は従来材11は980℃か
ら焼入したのち500℃で焼もどしを行なった。また、比
較材8〜10は1125℃→空冷後、500℃の焼もどしを行な
った。
次に、本発明材1〜7は1125℃から焼入し、500℃→
空冷の焼戻しを行なった。
含浸実験は150l×80l×30lの容量に試料を挿入し、10
ppmの塩素イオンを含む水溶液中に3週間含浸した。含
浸後は3%塩酸水溶液でサビを除去し腐食量を測定し
た。
第3図から明らかなように、残留オーステナイト量が
60%より少ない従来材11および比較材8〜10は腐食量が
増加する傾向を示している。一方、本発明材1〜7はオ
ーステナイト量が60%以上残留する場合で腐食量が非常
に僅少となることが明白となった。
第4図は残留オーステナイト量と粗らさとの関係を示
すグラフである。表面粗らさの測定は小坂式SE-3C型を
用いて行なった。図から明らかなように、従来材11およ
び比較材8〜10に比べて本発明材1〜7は非常に滑らか
な面を持つことが明らかである。
〔実施例2〕 第1表に示す、本発明材3の組成材料を用いて、熱間
連続圧延機の仕上げ前段に組入れる一体式補強ロールを
作製した。熱間連続圧延機のロール構成は第2図に示す
如くであり、上、下、一対の作業ロール2〜17は補強ロ
ール18〜33によって支持されている。2〜5および18〜
21は粗圧延スタンド用ロール、6〜11および22〜27は仕
上げ前段ロール、12〜17および28〜33は仕上げ後段用ロ
ールである。
鍛鋼製一体補強ロールは塩素性電気炉で溶製して、鋼
度は880℃→725℃→炉冷の二段焼なましを行なった。拡
散焼鈍は1150で行ない、1050〜1150℃で鍛造を行ない、
1500φ×1800lの鍛鋼製一体補強ロールを作製した。機
械加工後は磁気探傷及び染色試験により、検査を行なっ
たが無欠陥であった。
鍛鋼製一体補強ロールの熱処理は、第5図に示すよう
に、高周波焼入装置により、誘導加熱によりロール表面
を空冷加熱しながら噴霧冷却により空冷焼入を行なっ
た。その後、高温焼戻しを行ない、ロール表面の硬さが
HRC45.3(Hs60)を示し、ロール仕様硬さが得られた。
鍛鋼製一体補強ロールは熱間連続圧延機に組入られて
使用した結果、従来ロール11は耐摩耗性および腐食によ
る肌荒れに劣ったが、本発明材3の組成材料は非常によ
い成績を示し、ロール寿命を大幅に延長することができ
た。
〔発明の効果〕
オーステナイト量を60%以上残留させた本発明の熱間
圧延用補強ロールは従来材のロールに比べて高硬度で耐
食性による肌荒れ性にもすぐれ、ロール寿命を2倍程度
に向上することがで、産業上の効果の大なるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の熱間圧延補強ロールの一実施例のスリ
ーブ組立式ロールと高周波焼入装置との関係を示す説明
図、第2図は熱間圧延機のロール配置を示す構成図、第
3図は残留オーステナイト量を腐食量との関係を示すグ
ラフ、第4図は残留オーステナイト量と粗らさとの関係
を示すグラフ、第5図は本発明の熱間圧延補強ロールの
一実施例の鍛鋼製一体補強ロールと高周波焼入装置との
関係を示す説明図である。 35……スリーブ外層、36……アーバ、37……高周波焼入
れ装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 8/00 9270−4K C21D 8/00 A C22C 38/00 301 C22C 38/00 301L 38/58 38/58 (72)発明者 内田 哲郎 茨城県日立市久慈町2046番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 下タ村 修 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会 社日立製作所勝田工場内 (56)参考文献 特開 平2−153045(JP,A) 特開 平2−205656(JP,A) 特開 昭60−110841(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、V0.4
    8〜2.0%、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量60%以上、マルテンサイト、ベイ
    ナイト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からな
    ることを特徴とする熱間圧延用ロール。
  2. 【請求項2】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、W0.5
    5〜2.0%、V0.48〜2%、残部がFe及び不可避的な不純
    物とからなり、胴部の残留オーステナイト量が60%以
    上、マルテンサイト、ベイナイト及び炭化物の各々が15
    %以下である合金鋼からなることを特徴とする熱間圧延
    用ロール。
  3. 【請求項3】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、V
    0.48〜2.0%、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種を含
    み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、残留オ
    ーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベイナイ
    ト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼からなるこ
    とを特徴とする熱間圧延用ロール。
  4. 【請求項4】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、
    W、V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以
    上を含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベ
    イナイト及び炭化物の各々が15%以下でである合金から
    なる熱間圧延用ロールであって、一体型又はスリーブ組
    立式補強ロールからなることを特徴とする熱間圧延用ロ
    ール。
  5. 【請求項5】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、
    W、V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以
    上を含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベ
    イナイト及び炭化物の各々が15%以下であることを特徴
    とする熱間圧延用ロール。
  6. 【請求項6】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、
    W、V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以
    上を含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベ
    イナイト及び炭化物の各々が15%以下であることを特徴
    とする耐食合金。
  7. 【請求項7】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、V0.4
    8〜2.0%、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベ
    イナイト及び炭化物の各々が15%以下である合金鋼から
    なることを特徴とする耐食合金。
  8. 【請求項8】粗圧延及び仕上げ前段、後段圧延用の作業
    ロール及び補強ロールを有する圧延機において、粗ロー
    ル、仕上げ前段、後段ロールに少なくとも一体及び組立
    式補強ロールが、重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3
    %、Mn0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%
    と、W、V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1
    種以上を含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからな
    り、残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイ
    ト、ベイナイト及び炭化物の各々が15%以下である合金
    鋼からなることを特徴とする熱間圧延機。
  9. 【請求項9】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、Mn
    0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%、W0.5
    5〜2.0%、V0.48〜2.0%以上を含み、残部がFe及び不可
    避的な不純物とからなり、残留オーステナイト量が60%
    以上である合金鋼よりなり、衝撃摩耗をうける建設機械
    用部材に用いることを特徴とする耐食合金。
  10. 【請求項10】重量比で、C0.5〜1.2%、Si0.7〜3%、
    Mn0.6〜5%、Ni0.6〜5%、Cr3〜10%、Mo1〜5%と、
    W、V2%以下、Ti、Nb、Zr1%以下の少なくとも1種以
    上を含み、残部がFe及び不可避的な不純物とからなり、
    残留オーステナイト量が60%以上、マルテンサイト、ベ
    イナイト及び炭化物の各々が15%以下の合金鋼からなる
    熱間圧延用ロールの製造方法であって、鋼塊を製造する
    工程、750〜900℃で焼鈍する工程、1100〜1250℃で拡散
    焼鈍後1050〜1200℃で熱間拘束鍛造を行なう工程、1000
    〜1200℃で焼入後、100〜650℃の焼戻しを行なう工程を
    順次行うことを特徴とする熱間圧延用ロールの製造方
    法。
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