JP7139692B2 - 高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ部品の素形材及び高周波焼入れ部品 - Google Patents
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Description
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
本発明者らは、面疲労強度及び曲げ疲労強度についてさらに調査した。その結果、以下の知見を得た。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
FN1=290C+50Si+430と定義する。本発明者らは、FN1の値が、高周波焼入れ後300℃で焼戻した高周波焼入れ部品の表面のビッカース硬度にほぼ相当するものになることを見出した。
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
ここで、式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
FN3=(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)と定義する。FN3は、高周波焼入れ用鋼の焼入れ性の指標である。FN3が大きいほど焼入れ性が高まる。FN3と、高周波焼入れ時に発生する不完全焼入れ組織との関係を調査したところ、FN3が3.80以上になれば、高周波焼入れ時の不完全焼入れ組織が発生しないことが分かった。つまり、FN3が3.80以上であれば、高周波焼入れ時の不完全焼入れ組織の発生を抑制できる。一方、FN3が3.80未満の場合には、焼入れ性が低下し、不完全焼入れ組織が生じるおそれがある。
高周波焼入れ前の鋼の硬さにはC、Si、Mn、Cr、V及びMoの含有量が影響する。また、鋼の硬さがある限界値を超えると、被削性が極端に低下する。したがって、良好な被削性を確保するためには、鋼の硬さを適正な範囲に制御する必要がある。そのため、本発明者らは、C、Si、Mn、Cr、V及びMoの含有量と被削性との関係について種々調査を行った。その結果、これらの元素の含有量が式(2)を満たせば、被削性を高めることができることを見出した。
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
しかしながら、上記の式(1)~式(3)を満たしても、まだ面疲労強度及び曲げ疲労強度が低い場合があった。そこで、本発明者らは、さらに面疲労強度及び曲げ疲労強度を高める方法について、種々検討を行った。
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。
[化学組成]
本実施形態の高周波焼入れ用鋼の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、鋼の曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める。Cはさらに、高周波焼入れ前の組織においてフェライト体積分率を低減し、高周波焼入れ時の硬化能を向上させて、硬化層深さを大きくする。C含有量が0.40%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、C含有量が0.70%を超えれば、被削性や鍛造性を著しく害するだけでなく、高周波焼入れ時に焼割れの発生する可能性が大きくなる。したがって、C含有量は0.40~0.70%である。C含有量の好ましい下限は0.45%であり、さらに好ましくは0.50%である。C含有量の好ましい上限は0.68%である。
シリコン(Si)は、表面硬化層の焼戻し軟化抵抗を高め、焼入れ後の面疲労強度を高める。Si含有量が0.15%未満であれば、この効果が得られない。一方、Si含有量が2.10%を超えた場合、鍛造時や高周波焼入れ時の脱炭が著しくなる。脱炭が発生した場合、面疲労強度や曲げ疲労強度が低下する。したがって、Si含有量は0.15~2.10%である。Si含有量の好ましい下限は0.50%である。Si含有量の好ましい上限は1.95%である。
マンガン(Mn)は、鋼の焼入れ性を高める。Mnはさらに、鋼中の硫黄(S)と結合してMnSを形成し、鋼中のSを無害化する。これにより、熱間延性が確保される。Mn含有量が0.30%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が1.15%を超えれば、素材が硬くなりすぎて、鋼の被削性が低下する。Mn含有量が1.15%を超えればさらに、セメンタイト中に固溶して、セメンタイトの溶体化温度を高める。これにより、過固溶の場合には高周波焼入れでセメンタイトが溶け残り、硬さばらつきが発生する。したがって、Mn含有量は0.30~1.15%である。Mn含有量の好ましい下限は0.40%であり、さらに好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.75%である。Mn含有量の好ましい上限は1.10%以下であり、さらに好ましくは1.00%以下である。
クロム(Cr)は、鋼の焼入れ性を高める。Crはさらに、鋼の熱間延性を高める。Cr含有量が0.01%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が0.50%以上であれば、セメンタイト中に固溶するCr濃度が高くなり、セメンタイトの溶体化温度を上昇する。その結果、未固溶セメンタイトを生成する。未固溶セメンタイトが存在すると、高周波焼入れ後の硬さばらつきの原因になる固溶C量不足や不完全焼入れ組織を発生する。その結果、面疲労強度が低下する。また、他の合金元素とのバランスで式(2)の範囲を超える場合には、素材硬さが高くなり、被削性が低下する。したがって、Cr含有量は、0.01~0.50%未満である。鋼の焼入れ性及び引張強度を高める場合、Cr含有量の好ましい下限は、0.03%であり、さらに好ましくは、0.10%である。面疲労強度をさらに高める場合、Cr含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましくは0.30%であり、さらに好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは、0.15%である。
硫黄(S)は鋼中のMnと結合してMnSを形成し、鋼の被削性を高める。S含有量が0.005%以下であれば、この効果が得られない。一方、S含有量が0.070%を超えれば、鋼の曲げ疲労強度が低下する。S含有量が0.070%を超えればさらに、高周波焼入れ後の熱間鍛造品に対して磁粉探傷試験を実施する場合、熱間鍛造品の表面に擬似模様が発生しやすくなる。したがって、S含有量は、0.005%~0.070%である。鋼の被削性を高める場合、S含有量の好ましい下限は0.010%であり、さらに好ましくは、0.015%である。S含有量の好ましい上限は、0.050%であり、さらに好ましくは、0.030%である。
窒素(N)は、鋼中のAl等の窒化物生成元素と結合して窒化物を形成する。これにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する。その結果、曲げ疲労強度を高める。N含有量が0.0020%未満であれば、この効果が得られない。一方、N含有量が0.0200%を超えれば、鋼の熱間延性を著しく低下させる。したがって、N含有量は、0.0020~0.0200%である。鋼の結晶粒粗大化抑制による整粒を得る場合、N含有量の好ましい下限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0060であり、さらに好ましくは0.0080%である。N含有量の好ましい上限は、0.010%である。
アルミニウム(Al)は、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織の細粒化する。Alはさらに、焼入れ性を高めて、硬化層深さを大きくする。Alはさらに、被削性を高める。Alはさらに、窒化時にNと化合物を形成し、表層部のN濃度を高める。これにより、面疲労強度を高める。Al含有量が0.005%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Al含有量が0.100%を超えれば、高周波加熱時にオーステナイトへの変態が完了しにくく、焼入れ性が低下する。したがって、Al含有量は0.005~0.100%である。Al含有量の好ましい下限は、0.010%である。Al含有量の好ましい上限は、0.010%である。
燐(P)は不可避に含有される不純物である。つまり、P含有量は0%超である。P含有量が0.050%以上であれば、靭性が低下する。P含有量が0.050%以上であればさらに、き裂伝播が促進し、曲げ疲労強度が低下する。したがって、P含有量は0.050%未満である。P含有量の好ましい上限は0.040%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、脱燐処理は時間とコストが掛かるため、工業生産性を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.0001%である。
本実施形態の高周波焼入れ用鋼はさらに、Feの一部に代えて、Mo、Ni、及び、Cuからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは、焼入れ層の焼戻し軟化抵抗を高める。その結果、面疲労強度が高まる。Moはさらに、焼入れ層を強靭化する。その結果、曲げ疲労強度が高まる。しかしながら、Mo含有量が1.00%を超えれば、上記の効果が飽和し、経済性が損なわれる。したがって、Mo含有量は、0~1.00%である。Mo含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%である。Mo含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.25%である。
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ni含有量は0%であってもよい。含有される場合、Niは、酸化する際に高周波焼入れ用鋼の表面に濃化し、後続の酸化反応を抑制する。しかしながら、Ni含有量が1.00%を超えれば、被削性が低下する。したがって、Ni含有量は、0~1.00%である。Ni含有量の好ましい下限は0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Ni含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは、酸化する際に高周波焼入れ用鋼の表面に濃化し、後続の酸化反応を抑制する。しかしながら、Cu含有量が1.00%を超えれば、機械的性質の点では効果が飽和する。Cu含有量が1.00%を超えればさらに、熱間延性が低下するため、圧延時に疵が形成されやすくなる。したがって、Cu含有量は、0~1.00%である。Cu含有量の好ましい下限は0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Cu含有量の好ましい上限は0.80%であり、さらに好ましくは0.60%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、Caは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制する。その結果、曲げ疲労強度が高まる。しかしながら、Ca含有量が0.005%を超えれば、その効果が飽和する。Ca含有量が0.005%を超えればさらに、熱間延性が低下する。したがって、Ca含有量は、0~0.005%である。Ca含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0030%であり、さらに好ましくは0.0025%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、Mgは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制する。その結果、曲げ疲労強度が高まる。しかしながら、Mg含有量が0.005%を超えれば、その効果が飽和する。Mg含有量が0.005%を超えればさらに、熱間延性が低下する。したがって、Mg含有量は、0~0.005%である。Mg含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Mg含有量の好ましい上限は0.0030%であり、さらに好ましくは0.0025%である。
テルル(Te)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Te含有量は0%であってもよい。含有される場合、Teは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制する。その結果、曲げ疲労強度が高まる。しかしながら、Te含有量が0.2000%を超えれば、その効果が飽和する。Te含有量が0.2000%を超えればさらに、熱間延性が低下する。したがって、Te含有量は、0~0.2000%である。Te含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.05%である。Te含有量の好ましい上限は0.15%であり、さらに好ましくは0.10%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Te含有量は0%であってもよい。含有される場合、Zrは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する。しかしながら、Zr含有量が0.0050%を超えれば、析出物が粗大化して疲労強度を大きく低下する。Zr含有量が0.0050%を超えればさらに、鋼が脆化する。したがって、Zr含有量は、0~0.0050%である。Zr含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Zr含有量の好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%である。
希土類元素(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。含有される場合、REMは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制する。その結果、曲げ疲労強度が高まる。しかしながら、REM含有量が0.0050%を超えれば、その効果が飽和する。REM含有量が0.0050%を超えればさらに、酸化物と硫化物の複合酸化物の生成を助長し、介在物サイズを粗大化する。その結果、疲労強度が大きく低下する。したがって、REM含有量は、0~0.0050%である。REM含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%である。REM含有量の好ましい上限は0.0045%であり、さらに好ましくは0.0040%である。
チタン(Ti)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、Tiは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する。しかしながら、Ti含有量が0.200%を超えれば、析出物が粗大化して疲労強度が低下する。Ti含有量が0.200%を超えればさらに、鋼が脆化する。したがって、Ti含有量は、0~0.200%である。Ti含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Ti含有量の好ましい上限は0.150%であり、さらに好ましくは0.100%である。
ニオブ(Nb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Nbは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する。しかしながら、Nb含有量が0.200%を超えれば、その効果は飽和し、経済性が損なわれる。したがって、Nb含有量は、0~0.200%である。Nb含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Nb含有量の好ましい上限は0.100%であり、さらに好ましくは0.050%である。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、V含有量は0%であってもよい。含有される場合、Vは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する。しかしながら、V含有量が0.35%を超えれば、その効果は飽和し、経済性が損なわれる。したがって、V含有量は、0~0.35%である。V含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。V含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.25%である。
アンチモン(Sb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Sb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Sbは、表面偏析傾向が強く、外部からの酸素の吸着による酸化を抑制する。しかしながら、Sb含有量が0.0150%を超えると鋼の靭性及び熱間延性が低下する。したがって、Sb含有量は、0~0.0150%である。Sb含有量の好ましい下限は0.0003%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Sb含有量の好ましい上限は0.0100%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
鉛(Pb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Pb含有量は0%であってもよい。含有される場合、Pbは鋼の被削性を高める。しかしながら、Pb含有量が0.5000%を超えれば、鋼の靭性及び熱間延性が低下する。したがって、Pb含有量は0~0.5000%である。Pb含有量の好ましい下限は0.0100%であり、さらに好ましくは0.0400%である。Pb含有量の好ましい上限は0.4000%であり、さらに好ましくは0.3500%である。
上記化学組成はさらに、式(1)を満たす。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成はさらに、式(2)を満たす。
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成はさらに、式(3)を満たす。
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
ここで、式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本実施形態の高周波焼入れ用鋼は、式(4)を満たす。
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(4)中のMnθは、セメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入される。式(4)中のCrθは、セメンタイト中の濃度(質量%)が代入される。
セメンタイト中のMn濃度(質量%)及びCr濃度(質量%)は電解抽出残渣により測定する。具体的には、次のとおりである。高周波焼入れ用鋼の任意の位置から、測定用の試験片を採取する。試験片に対して、10%AA系電解液(10%アセチルアセトン、1%テトラアンモニウムクロライド-メタノール)を用いて電解する。電解後、0.2μmのフィルターで残渣を採取する。採取された残渣の質量を測定する。さらに、採取された残渣に対して、酸分解処理を実施する。酸分解処理後、ICP-AES(高周波誘導結合プラズマ原子分光分析)を行って、残渣中のFe、Cr、Mnの質量を測定する。残渣がすべてM3C型の炭化物、つまり、セメンタイトであると仮定して、セメンタイト中のMn及びCrの質量を算出する。得られた結果から、セメンタイト中に固溶しているCr濃度及びMn濃度を算出する。
本実施形態による高周波焼入れ用鋼ではさらに、フェライト体積分率が40%以下である。高周波焼入れでは、熱処理時間が短いため、Cの拡散時間も短くなる。そのため、炭化物が溶ける時間も短くなる。その結果、フェライト体積分率が高くなりやすい。しかしながら、フェライト体積分率が40%を超えると、高周波焼入れ後の組織へのフェライトが残存する。フェライト体積分率が40%を超えるとさらに、低炭素マルテンサイトの生成が発生する。これらにより、極端な硬さばらつきが発生する。その結果、面疲労強度が低下する。したがって、フェライト体積分率は40%以下である。フェライト体積分率の好ましい上限は35%であり、さらに好ましくは30%である。フェライト体積分率の好ましい下限は5%である。
高周波焼入れ用鋼からミクロ組織観察用の試験片を採取する。試験片の表面のうち、高周波焼入れ用鋼の軸方向に垂直な断面(以下、観察面という)を研磨する。ナイタール腐食液を用いて、研磨後の観察面をエッチングする。エッチングされた観察面において、フェライトを特定する。特定されたフェライトの面積率を、JIS G 0555(2003)に準拠した点算法で測定する。測定された面積率は、体積分率に等しいと考えられるため、これをフェライト体積分率(vol%)と定義する。ベイナイトの体積分率についても同様に測定できる。
高周波焼入れ部品の素形材とは、高周波焼入れ用鋼を熱間鍛造して、高周波焼入れ部品の粗形状に加工したものである。したがって、本実施形態による高周波焼入れ部品の素形材の化学組成は、本実施形態による高周波焼入れ用鋼の化学組成と同じである。したがって、高周波焼入れ部品の素形材の化学組成は、式(1)~式(3)を満たす。本実施形態の高周波焼入れ部品の素形材はさらに、式(4)を満たす。本実施形態の高周波焼入れ部品の素形材においてさらに、フェライト体積分率は40%以下である。
[高周波焼入れ用鋼の製造方法]
本実施形態の高周波焼入れ用鋼の製造方法の一例は次のとおりである。なお、本実施形態の高周波焼入れ用鋼の製造方法はこれに限定されない。しかしながら、下記に説明する製造方法は、本実施形態の高周波焼入れ用鋼の製造方法の好適な例である。
鋳造工程では、溶鋼を用いて、周知の鋳造方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法はたとえば、連続鋳造法や造塊法である。鋳造条件はたとえば、次のとおりである。220×220mm角の鋳型を用いる。タンディッシュ内の溶鋼のスーパーヒート(溶鋼温度と溶鋼の凝固温度との差)を10~50℃とする。鋳込み速度を1.0~1.5m/分とする。鋳片又は鋼塊は、上記化学組成及び式(1)~式(3)を満たす。
熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、本実施形態の高周波焼入れ用鋼を製造する。本実施形態の高周波焼入れ用鋼はたとえば、棒鋼及び線材である。以下に、高周波焼入れ用鋼が棒鋼及び線材である場合の製造方法の一例を示す。
上記の高周波焼入れ用鋼(棒鋼又は線材)を熱間鍛造して、高周波焼入れ部品(たとえばディファレンシャルギア)の粗形状の素形材を製造する。製造された素形材を大気中で放冷する。
本実施形態の高周波焼入れ用鋼を用いた高周波焼入れ部品の製造方法の一例は次のとおりである。
表1及び表2に示す化学組成を有する鋼を150kgインゴットで溶製した。インゴットを、1200~1250℃の加熱温度で1.5時間以上加熱した。加熱したインゴットに対して熱間鍛伸を実施し、直径30~100mmの棒鋼を製造した。
各試験番号の高周波焼入れ用鋼を用いて、被削性を評価した。まず、ドリル被削性評価のために、直径30~100mmの棒鋼の中心から試験片を採取し、円筒断面で高さ21mmの被削性評価用試験片に切削加工した。
セメンタイト中のMn濃度(質量%)及びCr濃度(質量%)は電解抽出残渣により測定した。具体的には、次のとおりであった。ドリル試験片の残材の任意の位置から、測定用の試験片を採取した。試験片に対して、10%AA系電解液(10%アセチルアセトン、1%テトラアンモニウムクロライド-メタノール)を用いて電解した。電解後、0.2μmのフィルターで残渣を採取した。採取された残渣の質量を測定した。さらに、採取された残渣に対して、酸分解処理を実施した。酸分解処理後、ICP-AES(高周波誘導結合プラズマ原子分光分析)を行って、残渣中のFe、Cr、Mnの質量を測定した。残渣がすべてM3C型の炭化物、つまり、セメンタイトであると仮定して、セメンタイト中のCr及びMnの質量を算出した。得られた結果から、セメンタイト中に固溶しているCr濃度及びMn濃度を算出した。
各試験番号のドリル試験片の残材からミクロ組織観察用の試験片を採取した。試験片の表面のうち、残材の軸方向に垂直な断面(以下、観察面という)を研磨した。ナイタール腐食液を用いて、研磨後の観察面をエッチングした。エッチングされた観察面において、フェライトを特定した。特定されたフェライトの面積率を、JIS G 0555(2003)に準拠した点算法で測定した。測定された面積率は、体積分率に等しいと考え、これをフェライト体積分率(vol%)と定義した。
各試験番号の高周波焼入れ用鋼から、面疲労強度評価のためのローラーピッチング疲労試験用試験片を加工した。試験片は、直径80mm未満の場合は中心から採取し、加工した。直径80mm以上の場合は、直径の1/4が中心になるよう加工した。
各試験番号の高周波焼入れ用鋼から、図3に示す、曲げ疲労強度評価のための小野式回転曲げ試験片を加工した。試験片は、切り欠き底での試験片横断面の直径は9mmであった。小野式回転曲げ試験片に対して、1000℃で5秒の高周波焼入れを行った後、150℃で1時間の焼戻しを行った。
試験結果を表3及び表4に示す。
200 小ローラー試験片
Claims (15)
- 質量%で、
C:0.40~0.70%、
Si:0.15~1.95%、
Mn:0.30~1.15%、
Cr:0.01~0.50%未満、
S:0.005~0.070%、
N:0.0020~0.0200%、
Al:0.005~0.100%、
P:0.050%未満、
Mo:0~1.00%、
Ni:0~1.00%、
Cu:0~1.00%、
Ca:0~0.005%、
Mg:0~0.005%、
Te:0~0.2000%、
Zr:0~0.0050%、
希土類元素:0~0.0050%、
Ti:0~0.0400%、
Nb:0~0.0300%、
V:0~0.10%、
Sb:0~0.0150%、
Pb:0~0.5000%、及び、
残部:Fe及び不純物、からなり、式(1)~式(4)を満たす化学組成を有し、
組織において、フェライト体積分率が40%以下であり、残部はベイナイト及び/又はパーライトからなる、高周波焼入れ用鋼。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入され、式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成は、
Mo:0.01~1.00%、
Ni:0.05~1.00%、及び、
Cu:0.05~1.00%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、高周波焼入れ用鋼。 - 請求項1又は請求項2に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成は、
Ca:0.0003~0.005%、
Mg:0.0003~0.005%、
Te:0.0003~0.2000%、
Zr:0.0003~0.0050%、及び、
希土類元素:0.0003~0.0050%からなる群から選択される1種又は2種以
上を含有する、高周波焼入れ用鋼。 - 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成は、
Ti:0.005~0.0400%、
Nb:0.005~0.0300%、及び、
V:0.005~0.10%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ用鋼。 - 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成は、
Sb:0.0003~0.0150%、及び、
Pb:0.0100~0.5000%からなる群から選択される1種以上を含有する、
高周波焼入れ用鋼。 - 質量%で、
C:0.40~0.70%、
Si:0.15~1.95%、
Mn:0.30~1.15%、
Cr:0.01~0.50%未満、
S:0.005~0.070%、
N:0.0020~0.0200%、
Al:0.005~0.100%、
P:0.050%未満、
Mo:0~1.00%、
Ni:0~1.00%、
Cu:0~1.00%、
Ca:0~0.005%、
Mg:0~0.005%、
Te:0~0.2000%、
Zr:0~0.0050%、
希土類元素:0~0.0050%、
Ti:0~0.0400%、
Nb:0~0.0300%、
V:0~0.10%、
Sb:0~0.0150%、
Pb:0~0.5000%、及び、
残部:Fe及び不純物、からなり、式(1)~式(4)を満たす化学組成を有し、
組織において、フェライト体積分率が40%以下であり、残部はベイナイト及び/又はパーライトからなる、高周波焼入れ部品の素形材。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.
900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.
00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧
3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が
代入され、式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、
式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。 - 請求項6に記載の高周波焼入れ部品の素形材であって、
前記化学組成は、
Mo:0.01~1.00%、
Ni:0.05~1.00%、及び、
Cu:0.05~1.00%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ部品の素形材。 - 請求項6又は請求項7に記載の高周波焼入れ部品の素形材であって、
前記化学組成は、
Ca:0.0003~0.005%、
Mg:0.0003~0.005%、
Te:0.0003~0.2000%、
Zr:0.0003~0.0050%、及び、
希土類元素:0.0003~0.0050%からなる群から選択される1種又は2種以
上を含有する、高周波焼入れ部品の素形材。 - 請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の高周波焼入れ部品の素形材であって、
前記化学組成は、
Ti:0.005~0.0400%、
Nb:0.005~0.0300%、及び、
V:0.005~0.10%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ部品の素形材。 - 請求項6~請求項9のいずれか1項に記載の高周波焼入れ部品の素形材であって、
前記化学組成は、
Sb:0.0003~0.0150%、及び、
Pb:0.0100~0.5000%からなる群から選択される1種以上を含有する、
高周波焼入れ部品の素形材。 - 高周波焼入れが実施された部分である焼入れ部と、
高周波焼入れが実施されていない部分である未焼入れ部と、を含み、
前記焼入れ部において、マルテンサイト体積分率が90%以上であり、
前記未焼入れ部は、
質量%で、
C:0.40~0.70%、
Si:0.15~1.95%、
Mn:0.30~1.15%、
Cr:0.01~0.50%未満、
S:0.005~0.070%、
N:0.0020~0.0200%、
Al:0.005~0.100%、
P:0.050%未満、
Mo:0~1.00%、
Ni:0~1.00%、
Cu:0~1.00%、
Ca:0~0.005%、
Mg:0~0.005%、
Te:0~0.2000%、
Zr:0~0.0050%、
希土類元素:0~0.0050%、
Ti:0~0.0400%、
Nb:0~0.0300%、
V:0~0.10%、
Sb:0~0.0150%、
Pb:0~0.5000%、及び、
残部:Fe及び不純物、からなり、式(1)~式(4)を満たす化学組成を有し、
組織において、フェライト体積分率が40%以下であり、残部はベイナイト及び/又はパーライトからなる、高周波焼入れ部品。
290C+50Si+430≧631.0 (1)
C+(1/7)Si+(1/5)Mn+(1/9)Cr+V+(1/25)Mo≦0.
900 (2)
(1+0.7Si)×(1+3.3333Mn)×(1+2.16Cr)×(1+3.
00Mo)×(1+1.73V)×(1+0.365Cu)×(1+0.363Ni)≧
3.80 (3)
9.7Mnθ+32.4Crθ≦25.9 (4)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が
代入され、式(4)中のMnθにはセメンタイト中のMnの濃度(質量%)が代入され、
式(4)中のCrθにはセメンタイト中のCrの濃度(質量%)が代入される。 - 請求項11に記載の高周波焼入れ部品であって、
前記化学組成は、
Mo:0.01~1.00%、
Ni:0.05~1.00%、及び、
Cu:0.05~1.00%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ部品。 - 請求項11又は請求項12に記載の高周波焼入れ部品であって、
前記化学組成は、
Ca:0.0003~0.005%、
Mg:0.0003~0.005%、
Te:0.0003~0.2000%、
Zr:0.0003~0.0050%、及び、
希土類元素:0.0003~0.0050%からなる群から選択される1種又は2種以
上を含有する、高周波焼入れ部品。 - 請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の高周波焼入れ部品であって、
前記化学組成は、
Ti:0.005~0.0400%、
Nb:0.005~0.0300%、及び、
V:0.005~0.10%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ部品。 - 請求項11~請求項14のいずれか1項に記載の高周波焼入れ部品であって、
前記化学組成は、
Sb:0.0003~0.0150%、及び、
Pb:0.0100~0.5000%からなる群から選択される1種以上を含有する、
高周波焼入れ部品。
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