JP6652019B2 - 高周波焼入用の機械構造用鋼及び高周波焼入鋼部品 - Google Patents

高周波焼入用の機械構造用鋼及び高周波焼入鋼部品 Download PDF

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Description

本発明は、高周波焼入用の機械構造用鋼及び高周波焼入鋼部品に関し、特に、自動車、建機、農機、発電用風車、その他の産業機械等に使用される動力伝達部品(例えば、歯車、軸受、CVTシーブ、シャフト等)に用いられる高周波焼入鋼部品の素形材である機械構造用鋼に関する。
従来、歯車等の動力伝達部品は、表面硬化処理を施して使用されることが多く、表面硬化法としては、浸炭、窒化および高周波焼入れが採用されている。これらの中で、「浸炭」は、マトリクスが高靱性の材料の表層を高炭素化することで表面硬化を狙ったものであり、疲労強度の向上を目的とした歯車や自動車用のCVTやCVJの部品などの材料に主に適用される。しかし、浸炭処理は、ガス雰囲気中でのバッチ処理が主流をなしており、例えば、930℃近傍で数時間以上の加熱保持を有するといったように多くのエネルギーとコストが費やされる。また、実操業においては、浸炭材の処理等のために環境の悪化を伴いがちである等の問題のほか、インライン化が困難であるといった問題もあった。
そこで、これらの問題の解決のため、高周波焼入れ処理のみで所望の強度特性を得るための研究がなされるようになった。なぜなら、高周波焼き入れは、表面硬化処理時間の短縮やエネルギーの低減、さらには環境のクリーン化に非常に有利だからである。
上記課題を解決する高周波焼入れ処理に関する発明としては、例えば、特許文献1には、高周波焼入用鋼に関する提案が掲載されている。これは、Siを0.50%以下、Alを0.10%以下に制限し、高周波焼入れ前の金属組織においてマルテンサイトの面積分率を70%以上に制御する鋼材を提供するものである。この方法によれば、確かに、強度は著しく向上するが、加工性、とりわけ被削性は低下する。これまで浸炭して部品を製造する場合の鋼材としては、JIS SCr420やSCM420などのC量が0.2%前後のいわゆる肌焼鋼が用いられているが、Cの低い鋼材を使用する最大の理由は被削性の確保である。これらの鋼材は、部品に加工された後、浸炭焼入されるため、表面硬さが高くなり部品の強度が得られる。しかし、高周波焼入れされる部品について適切な表面硬さを得るためには、鋼材自体のC量を少なくとも0.4%以上含有しなければならない。この場合、切削前の鋼材の硬さが硬くなり、切削性が劣化してしまう。C量が増えて鋼材が硬くなっても切削性が良い鋼材が必要である。つまり、これまで浸炭して製造した部品を高周波焼入れで製造するという技術分野において、最大の課題は鋼材の被削性であるといえる。
過去の発明に注目すると、特許文献2には、被削性に優れた高周波焼入れ用鋼が提案されている。これは、フェライト、パーライト及びベイナイトの面積率を適切に制御し、フェライト結晶粒の平均アスペクト比とフェライト結晶粒の粒子間距離を特定の範囲に制御し、鋼の化学組成として特定量のAlとBの含有を必須にすることで被削性を向上させるものである。しかしながら、特許文献2に記載の高周波焼入れ用鋼は、フェライトの面積率が少ないために内部硬さが高い。内部硬さは高周波焼入れ前後で変化しないため、内部硬さが高いということは切削加工前の硬さが高いことを意味する。このような硬度が硬い鋼材では、切削時に工具の欠け等の折損が発生する可能性が高くなり、適用できる切削条件が制限され、生産性が低下する場合がある。
また、特許文献3では、Al含有量を高めることで高周波焼入れ用鋼の被削性を向上させる技術が提案されている。この発明では、高周波焼入れ用鋼の被削性は向上しているものの、発明鋼と肌焼鋼の被削性の比較検討がなされていないため、この技術では肌焼鋼と同程度に良好な被削性が得られるかどうかは不明である。
特開2007−131871号公報 特開2012−219334号公報 特許第4659139号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、被削性に優れ、かつ高周波焼入れ後の面疲労強度に優れる高周波焼入用の機械構造用鋼及び面疲労強度に優れる高周波焼入鋼部品を提供することを課題とする。
(1)化学成分が、質量%で、
C:0.40〜0.70%、
Si:0.15〜3.00%、
Mn:0.30〜2.00%、
Cr:0.01〜0.50%未満、
S:0.003〜0.070%、
Bi:0.0001超〜0.0050%、
Sn:0.0001〜0.0050%を含有し、
かつ、BiとSnの合計含有量を0.0002〜0.0050%とし、
さらに、
N:0.0030〜0.0075%、
Al:0.003〜0.100%、
P:0.050%未満、
B:0〜0.0050%、
Mo:0〜0.20%、
Ni:0〜1.00%、
Cu:0〜1.00%、
Ca:0〜0.0050%、
Mg:0〜0.0050%、
Zr:0〜0.0050%、
Rem:0〜0.0050%、
Ti:0〜0.20%、
Nb:0〜0.20%、
V:0〜0.35%、
Sb:0〜0.015%、
Te:0〜0.20%、
Pb:0〜0.50%
である化学組成を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
下記式(1)及び下記式(2)を満たし、
鋼材の圧延方向と平行な断面において円相当径が2μm未満のMnSの存在密度が300個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入用の機械構造用鋼。
290C+50Si+430≧620 ・・・(1)
d+3σ<20 ・・・(2)
ただし、式(1)中のC、Siは質量%であり、式(2)中のdは円相当径1μm以上のMnSの平均円相当径であり、σは円相当径1μm以上のMnSの円相当径の標準偏差である。
(2)前記化学成分が、質量%で、
B:0.0003〜0.0050%、
Mo:0.01〜0.20%、
Ni:0.05〜1.00%及び
Cu:0.05〜1.00%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
(3)前記化学成分が、質量%で、
Ca:0.0003〜0.0050%、
Mg:0.0003〜0.0050%、
Zr:0.0003〜0.0050%及び
Rem:0.0003〜0.0050%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
(4)前記化学成分が、質量%で、
Ti:0.005〜0.20%、
Nb:0.005〜0.20%及び
V:0.005〜0.35%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
(5)前記化学成分が、質量%で、
Sb:0.0003〜0.015%、
Te:0.0003〜0.20%及び
Pb:0.01〜0.50%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
(6)化学成分が、質量%で、
C:0.40〜0.70%、
Si:0.15〜3.00%、
Mn:0.30〜2.00%、
Cr:0.01〜0.50%未満、
S:0.003〜0.070%、
Bi:0.0001超〜0.0050%、
Sn:0.0001〜0.0050%を含有し、
かつ、BiとSnの合計含有量を0.0002〜0.0050%とし、
さらに、
N:0.0030〜0.0075%、
Al:0.003〜0.100%、
P:0.050%未満、
B:0〜0.0050%、
Mo:0〜0.20%、
Ni:0〜1.00%、
Cu:0〜1.00%、
Ca:0〜0.0050%、
Mg:0〜0.0050%、
Zr:0〜0.0050%、
Rem:0〜0.0050%、
Ti:0〜0.20%、
Nb:0〜0.20%、
V:0〜0.35%、
Sb:0〜0.015%、
Te:0〜0.20%、
Pb:0〜0.50%
である化学組成を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
下記式(1)及び下記式(2)を満たし、
鋼材の圧延方向と平行な断面において円相当径が2μm未満のMnSの存在密度が300個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入れ鋼部品。
290C+50Si+430≧620 ・・・(1)
d+3σ<20 ・・・(2)
ただし、式(1)中のC、Siは質量%であり、式(2)中のdは円相当径1μm以上のMnSの平均円相当径であり、σは円相当径1μm以上のMnSの円相当径の標準偏差である。
(7)前記化学成分が、質量%で、
B:0.0003〜0.0050%、
Mo:0.01〜0.20%、
Ni:0.05〜1.00%及び
Cu:0.05〜1.00%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(6)に記載の高周波焼入鋼部品。
(8)前記化学成分が、質量%で、
Ca:0.0003〜0.0050%、
Mg:0.0003〜0.0050%、
Zr:0.0003〜0.0050%及び
Rem:0.0003〜0.0050%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(6)又は(7)に記載の高周波焼入鋼部品。
(9)前記化学成分が、質量%で、
Ti:0.005〜0.20%、
Nb:0.005〜0.20%及び
V:0.005〜0.35%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(6)〜(8)のいずれか一項に記載の高周波焼入鋼部品。
(10)前記化学成分が、質量%で、
Sb:0.0003〜0.015%、
Te:0.0003〜0.20%及び
Pb:0.01〜0.50%
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする(6)〜(9)のいずれか一項に記載の高周波焼入鋼部品。
本発明によれば、被削性に優れ、かつ高周波焼入れ後の面疲労強度に優れる高周波焼入用の機械構造用鋼を提供できる。また、面疲労強度に優れる高周波焼入鋼部品を提供できる。特に、本発明の高周波焼入用の機械構造用鋼は、高周波焼入れ前の切削加工を施す際の被削性に優れている。このため、自動車、産業機械用の歯車、シャフト、プーリーなどの鋼部品の製造費用に占める切削加工コストの割合を低減でき、また部品の品質を向上することができる。
ビッカース硬度と、(290C+50Si+430)との関係を示すグラフである。 290C+50Si+430=620の関係式をプロットした線と、面疲労強度の評価との関係を示すグラフである。
浸炭を前提とした機械構造用の鋼部品において、C量の低い鋼材を素形材として使用する最大の理由は被削性の確保である。これらの鋼部品は、鋼材を部品形状に加工した後、浸炭焼入が施されることにより表面硬さが高くなり、鋼部品の強度が得られる。しかし、高周波焼入れされた鋼部品が適切な表面硬さを得るためには、鋼材自体のC量を0.4%以上としなければならない。この場合、切削前の鋼材の硬さが硬くなり、切削性が劣化してしまう。C量が増えて鋼材が硬くなっても切削性が良い鋼材が必要である。
CやSiの含有量の調整によって、浸炭後の面疲労強度に優れた鋼材が得られることが知られている。しかし、互いに相反する面疲労強度と被削性とを高いレベルで両立することはできていなかった。そこで、面疲労強度と被削性とを高いレベルで両立することのできる、高周波焼入れ用の鋼の開発を目標に調査・研究を重ね、その結果、下記の知見を得た。
(a)Si含有量が高ければ、鋼の面疲労強度が高くなる。また、後述するように、微量のBiを含有させると、面疲労強度がさらに向上する。
(b)高周波焼入れ後の鋼部品表面のビッカース硬度は、鋼中のC量及びSi量と相関があり、また、鋼部品表面のビッカース硬度が高いほど、面疲労強度が向上する。
(c)鋼中にMnSが含まれることにより被削性が向上することは知られているところ、被削性の向上要因であるMnSは、凝固時のデンドライト樹間への晶出および析出物へのMnの拡散で析出する。MnSを鋼中に微細分散させることにより被削性(切屑処理性、工具寿命)を高めることが可能である。すなわち、MnSを微細に分散させるには、デンドライトの樹間の間隔を短くする必要がある。デンドライトの1次アーム間隔に関する研究は従来から行われており、下記(A)式で表すことができる。
λ∝(D×σ×ΔT)0.25 ・・・(A)
ここで、λ:デンドライトの1次アーム間隔(μm)、D:拡散係数(m/s)、σ:固液界面エネルギー(J/m)、ΔT:凝固温度範囲(℃)である。
この(A)式から、デンドライトの1次アーム間隔λは、固液界面エネルギーσに依存し、このσを低減させることができればλが減少することがわかる。λを減少させることができれば、デンドライト樹間に晶出するMnSサイズを低減させることができる。
微量のBiに加えて微量のSnを含有することにより、固液界面エネルギーを低下することができる。そのため、デンドライト樹間間隔を低減させ、デンドライト樹間に晶出するMnSを微細化することが可能となる。また、MnSのような硫化物が微細分散することにより、高周波焼入れ後の面疲労強度が向上する。
(d)以上より、被削性を向上させ、かつ、高周波焼入れ後の面疲労強度を高めるためには、C及びSiの各含有量の関係を限定し、BiとSnを微量含有し、かつ、微細なMnSを多数析出させることが好ましいことを知見した。
以下、本発明の実施形態である高周波焼入用の機械構造用鋼及び高周波焼入鋼部品について説明する。
本実施形態において、高周波焼入用の機械構造用鋼は、高周波焼入鋼部品を得るために高周波焼入れに供される素材である。また、高周波焼入鋼部品とは、機械構造用鋼に高周波焼入れ(ただし、高周波焼入れ後に焼戻ししても良い)を施したものを指し、例えば、自動車用の動力伝達に使用される歯車等の高い面疲労強度が要求される部品を想定している。本実施形態に係る高周波焼入鋼部品は、本実施形態に係る機械構造用鋼に最高加熱温度が850〜1100℃である高周波焼入れを施して得られる。
本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼は、化学成分が、質量%で、C:0.40〜0.70%、Si:0.15〜3.00%、Mn:0.30〜2.00%、Cr:0.01〜0.50%未満、S:0.003〜0.070%、Bi:0.0001超〜0.0050%、Sn:0.0001〜0.0050%を含有し、BiとSnの合計:0.0002〜0.0050%、N:0.0030〜0.0075%、Al:0.003〜0.100%、P:0.050%未満、を含有する。
<C:0.40〜0.70%>
Cは、鋼の強度を得るために重要な元素である。また、Cは、高周波焼入れ前の組織においてフェライト分率を低減し、高周波焼入れ時の硬化能を向上させて、硬化層深さを大きくするために必要な元素である。C含有量が0.40%未満ではフェライト分率が高くなり、高周波焼入れ時の硬化能が不足する。よって、C含有量を0.40%以上とする。C含有量の下限は、好ましくは0.45%、より好ましくは0.50%である。一方、C含有量が多すぎると、被削性や鍛造性が著しく低下するだけでなく、高周波焼入れ時に焼割れの発生する可能性が大きくなる。そのため、C含有量を0.70%以下とする。
<Si:0.15〜3.00%>
Siは、焼入層の焼戻し軟化抵抗を向上させることにより、焼入れ後の面疲労強度を向上させる効果を有する元素である。その効果を得るために、Si含有量を0.15%以上とする。Si含有量の下限は、好ましくは0.50%である。一方、Si含有量が3.00%を超えると、鍛造時の脱炭が著しくなる。よって、Si含有量を3.00%以下とする。
<Mn:0.30〜2.00%>
Mnは、鋼に固溶して鋼の引張強度及び疲労強度を高め、鋼の焼入れ性を高める。Mnは、さらに、鋼中の硫黄(S)と結合してMnSを形成し、鋼の被削性を高める。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の被削性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.30〜2.00%である。鋼の引張強度、疲労強度及び焼入れ性を高める場合、好ましいMn含有量の下限は0.60%であり、より好ましくは0.75%である。鋼の冷間鍛造性をさらに高める場合、好ましいMn含有量の上限は1.90%であり、より好ましくは1.70%である。
<Cr:0.01〜0.50%未満>
Crは、鋼の焼入れ性及び引張強度を高める。また、Crは、鋼の焼入れ性を高め、浸炭処理や高周波焼入れ後の鋼の表面硬度を高める。一方、Cr含有量が多すぎると、鋼の被削性が低下する。したがって、Cr含有量は、0.01〜0.50%未満である。鋼の焼入れ性及び引張強度を高める場合、好ましいCr含有量の下限は、0.03%であり、より好ましくは、0.10%である。疲労強度をさらに高める場合、好ましいCr含有量の上限は0.20%であり、より好ましくは、0.10%である。
<S:0.003〜0.070%>
Sは、鋼中のMnと結合してMnSを形成し、鋼の被削性を高める。一方、Sを過剰に含有すれば、鋼の疲労強度を低下させる。さらに、高周波焼入れ後の熱間鍛造品に対して磁粉探傷試験を実施する場合、熱間鍛造品の表面に擬似模様が発生しやすくなる。したがって、S含有量は、0.003%〜0.070%である。鋼の被削性を高める場合、好ましいS含有量の下限は0.010%であり、より好ましくは、0.015%である。好ましいS含有量の上限は、0.050%であり、より好ましくは、0.030%である。
<Bi:0.0001超〜0.0050%>
Biは、本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼において重要な元素である。微量のBiを含有することによって、鋼の凝固組織の微細化に伴い、MnSが微細分散する。MnSの微細分散化効果を得るには、Bi含有量を0.0001%超にする必要がある。しかし、Bi含有量が0.0050%を超えると、熱間加工性が低下する。これらのことから、本発明では、Bi含有量を、0.0001%超〜0.0050%とする。
<Sn:0.0001〜0.0050%>
本発明では、Biに加えてSnを含有するのが特徴である。微量のBiに加えて微量のSnを含有することによって、鋼の凝固組織が微細化するに伴い、MnSが微細分散する。MnSの微細分散化効果を得るには、Snの含有量を0.0001%以上にする必要がある。しかし、Snを過剰に含有すると、熱間加工性が低下するので、Snの含有量の上限を0.0050%とする。また、MnSの微細分散化効果を得るには、BiとSnの合計含有量を0.0002%以上とする必要がある。しかし、BiとSnの合計含有量が0.0050%を超えると、デンドライト組織の微細分散化効果が飽和し、かつ鋼の熱間加工性が劣化し、熱間圧延が困難となる。これらのことから、本発明では、BiとSnの合計含有量を0.0002%以上0.0050%以下とする。さらに、被削性向上およびMnSの微細分散化効果を得るには、BiとSnの合計含有量の下限を0.0010%とすることが好ましい。
<N:0.0030〜0.0075%>
窒素(N)は、不純物として含有される。鋼中に固溶するNは、鋼の冷間鍛造時の変形抵抗を大きくし、また冷間鍛造性を低下する。また、Bを含有させる場合には、N含有量が高いとBNが生成され、Bの焼入れ性向上効果を低下させてしまう。したがって、Bを含む場合、TiやNbを含まない場合は、N含有量はなるべく少ない方が好ましい。N含有量は0.0075%以下である。一方、NをAlやTiやNbとともに含有させると、窒化物や炭窒化物を生成することにより、オーステナイト結晶粒が微細化され、鋼の冷間鍛造性や疲労強度を高める。Bを含まず、かつAlやTiやNbを含有して窒化物や炭窒化物を積極的に生成する場合には、Nを0.0030%以上含有することが好ましい。
<Al:0.003〜0.100%>
Alは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織の細粒化に有効な元素である。また、Alは、焼入れ性を高めて硬化層深さを大きくする元素である。また、Alは、被削性向上にも有効な元素である。これらの効果を得るため、Al含有量を0.003%以上とする。Al含有量の下限は、好ましくは0.010%である。さらに、Alは、窒化時にNと化合物を形成し、表層部のN濃度を高める効果があり、面疲労強度向上にも有効な元素である。この点からも、Al含有量を0.003%以上とする。一方、Al含有量が0.100%を超えると、高周波加熱時にオーステナイトへの変態が完了し難く、焼入れ性が低下する。そのため、Al含有量を0.100%以下とする。
<P:0.050%未満>
Pは不純物として含有される。Pは、粒界に偏析して鋼の靭性を低下させるので、極力低減する必要があり、少ないほど好ましい。P含有量が0.050%以上であると靭性の低下が著しいので、P含有量を0.050%未満に制限する。P含有量を0%とすることは困難なので、P含有量の下限を、工業的限界の0.0001%としてもよい。
<290C+50Si+430≧620>
本発明者らが鋭意検討したところ、下記式(1)の左辺の値が、300℃で焼戻した鋼部品の表面のビッカース硬度にほぼ相当するものになることを見出した。また、ローラーピッチング疲労試験での鋼部品の耐久性は、300℃焼戻し硬さと正の相関があることが一般に知られていることから、ローラーピッチング疲労試験での面疲労強度と300℃焼戻し後のビッカース硬度との関係を調査したところ、ビッカース硬度が620Hv以上の場合に、面疲労強度が満足できるものになることが判明した。すなわち、290C+50Si+430の値が620以上であれば、面疲労強度が満足できるものとなる。一方、290C+50Si+430の値が620未満では、面疲労強度が低下し、ピッチングが生じるおそれがある。
290C+50Si+430≧620 ・・・(1)
ここで、上記式(1)中のC、Siは質量%である。
上記の化学成分を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを基本とする。しかしながら、本実施形態に係る高周波焼入用の機械構造用鋼は、必要に応じて、B:0〜0.0050%、Mo:0〜0.20%、Ni:0〜1.00%、Cu:0〜1.00%、Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050%、Zr:0〜0.0050%、Rem:0〜0.0050%、Ti:0〜0.20%、Nb:0〜0.20%、V:0〜0.35%、Sb:0〜0.015%、Te:0〜0.20%及びPb:0〜0.50%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。ただし、これらの元素は必ずしも含有させる必要はないので、その下限は0%である。
ここで、不可避的不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石若しくはスクラップ等のような原料、又は製造工程の種々の環境から混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
<B:0.0003〜0.0050%>
Bは、鋼中のNと結合することにより、BNとして析出して被削性向上に寄与する。また、Bは、高周波加熱時にBNが分解してBとなり、焼入れ性を大きく向上させることで、面疲労強度向上に寄与する。これらの効果を得る場合には、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0050%を超えてもその効果は飽和し、むしろ圧延や鍛造時の割れの原因ともなる。そのため、Bを含有させる場合でも、B含有量を0.0050%以下とする。
<Mo:0.01〜0.20%>
Moは、焼入層の焼戻し軟化抵抗を向上させることにより、面疲労強度を向上させる効果を有する。また、Moは、焼入層を強靭化して曲げ疲労強度を向上する効果も有する。これらの効果を得る場合、Mo含有量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が0.20%を超えると、その効果が飽和する上、経済性が損なわれる。そのため、Moを含有させる場合でも、Mo含有量を0.20%以下とする。
<Ni:0.05〜1.00%>
Niは、Cuと同様に、酸化する際に鋼材表面に濃化し、後続の酸化反応を抑制する効果を有する元素である。この効果を確実に発揮させるためには、Ni含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Ni含有量が1.00%を超えると、被削性が悪化する。そのため、Niを含有させる場合でも、Ni含有量を1.00%以下とする。
<Cu:0.05〜1.00%>
Cuは、酸化する際に鋼材表面に濃化し、後続の酸化反応を抑制する効果を有する。この効果を確実に発揮させるためには、Cu含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Cu含有量が1.00%を超えると、機械的性質の点では効果が飽和する上、熱間延性が低下するため、圧延時に疵が形成されやすくなる。そのため、Cuを含有させる場合でも、Cu含有量を1.00%以下とする。
<Ca:0.0003〜0.0050%>
<Mg:0.0003〜0.0050%>
<Te:0.0003〜0.20%>
Ca、Mg及びTeは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制し、曲げ疲労強度をさらに向上させる元素である。この効果を確実に得るためには、単独でまたは複合的に、Ca含有量を0.0003%以上、Mg含有量を0.0003%以上、Te含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、各元素の含有量が上記の上限を超えると、その効果が飽和する上、経済性が損なわれる。そのため、Ca、Mg及びTeからなる群から選択される1種又は2種以上を含有させる場合でも、Ca含有量を0.0050%以下、Mg含有量を0.0050%以下、Te含有量を0.20%以下とする。
<Zr:0.0003〜0.0050%>
Zrは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する効果を有する元素である。この効果を得る場合、Zr含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。一方、Zr含有量が0.0050%を超えると、析出物が粗大化して鋼が脆化する。そのため、Zrを含有させる場合でも、Zr含有量を0.0050%以下とする。
<Rem:0.0003〜0.0050%>
Remは、圧延時にMnSが延伸するのを抑制し、曲げ疲労強度をさらに向上させる元素である。この効果を確実に得るためには、Rem含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、各元素の含有量が上記の上限を超えると、その効果が飽和する上、酸化物と硫化物の複合酸化物の生成を助長し介在物サイズを粗大化する。そのため、Rem含有量を0.0050%以下とする。なお、Remとは、La、Ceなどのランタノイド系の元素を指す。これらの元素を含有するにあたっては、これらの元素が混在したミッシュメタルを用いても、何らその効果は変わるものではない。
<Ti:0.005〜0.20%>
Tiは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する効果を有する元素である。この効果を得る場合、Ti含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、Ti含有量が0.20%を超えると析出物が粗大化して鋼が脆化する。そのため、Tiを含有させる場合でも、Ti含有量を0.20%以下とする。
<Nb:0.005〜0.20%>
Nbは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する効果を有する元素である。この効果を得る場合、Nb含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が0.20%を超えるとその効果は飽和する上、経済性が損なわれる。そのため、Nbを含有させる場合でも、Nb含有量を0.20%以下とする。
<V:0.05〜0.35%>
Vは、窒化物として鋼中に析出分散することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト組織を細粒化する効果を有する元素である。この効果を得る場合、V含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、V含有量が0.35%を超えるとその効果は飽和する上、経済性が損なわれる。そのため、Vを含有させる場合でも、V含有量を0.35%以下とする。
<Sb:0.0003〜0.015%>
Sbは、表面偏析傾向の強い元素であり、外部からの酸素の吸着による酸化を防止するのに有効な元素である。この酸化防止効果を確実に発揮させるためには、Sb含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。一方、Sb含有量が0.015%を超えると、その効果は飽和する。そのため、効率性を考慮して、Sbを含有させる場合でも、Sb含有量を0.015%以下とする。
<Pb:0.01〜0.50%>
Pbは、鋼の被削性を高める。Pbを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、Pbが過剰に含有されれば、鋼の靭性及び熱間延性が低下する。したがって、Pb含有量は0.50%以下である。好ましいPb含有量の上限は0.25%である。
本実施形態に係る機械構造用鋼に高周波焼入れを行っても、化学組成は変化しない。そのため、本実施形態に係る高周波焼入鋼部品の化学組成は、本実施形態に係る機械構造用鋼の化学組成と同じである。
[デンドライト組織]
本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼の製造に用いる連続鋳造鋳片は、その凝固組織がデンドライト形態を呈する。機械構造用鋼中のMnSは、凝固前(溶鋼中)、または凝固時に晶出することが多く、デンドライト1次アーム間隔に大きく影響を受ける。すなわち、デンドライト1次アーム間隔が小さければ、樹間に晶出するMnSは小さくなる。本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼は、鋳片の段階におけるデンドライト1次アーム間隔が600μm未満であることが望ましい。
MnSを安定的にかつ効果的に微細分散させるには、微量のBiに加え、微量のSnを含有し、溶鋼中の固液界面エネルギーを低減させる。固液界面エネルギーが低減したことにより、デンドライト組織が微細となる。デンドライト組織と微細化することで、デンドライト一次アームから晶出するMnSが微細化され、MnSの最大円相当径が20μm以下となる。
[MnS]
MnSは、切削性の向上に有用であるため、その個数密度を確保することが必要である。S量を増加すると被削性は向上するが、粗大なMnSが増加する。粗大なMnSは、被削性を低下させるとともに、高周波焼入れ後の面疲労強度を低下させることから、MnSのサイズを制御することが必要である。円相当径で2μm未満のMnSが300個/mm以上の存在密度で鋼中に存在すると、工具の摩耗が抑制される。なお、介在物がMnSであることは、走査型電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)によって確認すればよい。また、MnSの円相当径はMnSの面積と等しい面積を有する円の直径であり、画像解析によって求めることができる。同様に、MnSの個数密度は、画像解析によって求められる。
[式(2)について]
上述の通り、デンドライト1次アーム間隔を低減して、デンドライト樹間から晶出した微細な硫化物の割合を増やし、最大円相当径で20μmを超えるMnSを無くせば、被削性を向上できる。観察視野9mm当りに検出される硫化物の円相当径のばらつきを標準偏差σとして算出し、この標準偏差の3σに平均円相当径dを加えた値を下記式(2)とし、F1を次のとおり定義した。
F1=d+3σ ・・・(2)
ここで、上記式(2)中のdは円相当径で1μm以上のMnSの平均円相当径であり、σは円相当径1μm以上のMnSの平均円相当径の標準偏差である。F1値は、観察視野9mmで、99.7%の確率で存在する硫化物の最大円相当径を示している。すなわち、F1値が20μm未満であれば、最大円相当径で20μm以上の硫化物はほとんど存在しないことを示しており、このような鋼は被削性が高く、高周波焼入れ後の面疲労強度が向上する。MnSの円相当径はMnSの面積と等しい面積を有する円の直径であり、画像解析によって求めることができる。なお、観察対象としたMnSの円相当径を1μm以上としたのは、現実的に汎用の機器で、粒子のサイズと成分を統計的に扱うことが可能で、かつ、これより小さな硫化物を制御しても熱間鍛造性および切りくず処理性に与える影響が少ないためである。
また、本実施形態に係る高周波焼入鋼部品は、本実施形態に係る高周波焼入用の機械構造用鋼に高周波焼入れを行って得られる。したがって、本実施形態に係る高周波焼入鋼部品は、残留γや窒化物、及び粒界酸化を含む不均質な表層異常層を有していない、または、表層異常層の生成が最小限に抑制されたものとなる。また、本実施形態に係る高周波焼入鋼部品は、300℃焼戻しを行った後でも表面から50μm深さにおいて、ビッカース硬度で720Hv以上の硬さを有するものとなる。
[製造方法]
次に、本実施形態による高周波焼入用の機械構造用鋼の製造方法を説明する。
本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼の製造方法は、上記の化学成分を有し、かつ表層から15mmの範囲内におけるデンドライト1次アーム間隔が600μm未満である鋳片を連続鋳造し、この鋳片を熱間加工することによって製造される。熱間加工は、熱間圧延を含んでもよい。
[連続鋳造工程]
上記化学組成及び上記式(1)を満たす鋼の鋳片を連続鋳造法により製造する。造塊法によりインゴット(鋼塊)にしてもよい。鋳造条件は、例えば、220mm×220mm角の鋳型を用いて、タンディッシュ内の溶鋼のスーパーヒートを10〜50℃とし、鋳込み速度を1.0〜1.5m/分とする条件を例示できる。
さらに、上述したデンドライト一次アーム間隔を600μm未満にするために、上記化学組成を有する溶鋼を鋳造する際に、鋳片表面から15mmの深さにおける液相線温度から固相線温度までの温度域内の平均冷却速度を100℃/min以上500℃/min以下とすることが望ましい。平均冷却速度が100℃/min未満では、鋳片表面から15mmの深さ位置におけるデンドライト一次アーム間隔を600μm未満とすることが困難となり、MnSを微細分散できないおそれがある。一方、平均冷却速度が500℃/min超では、デンドライト樹間から晶出するMnSが微細になり過ぎ、切削性が低下してしまうことがある。
液相線温度から固相線温度までの温度域とは、凝固開始から凝固終了までの温度域のことである。したがって、この温度域での平均冷却温度とは、鋳片の平均凝固速度を意味する。上記の平均冷却速度は、例えば、鋳型断面の大きさ、鋳込み速度等は適正な値に制御すること、または鋳込み直後において、水冷に用いる冷却水量を増大させるなどの手段により達成できる。これは、連続鋳造法および造塊法共に適用可能である。
上記の15mm深さの冷却速度は、得られた鋳片の断面をピクリン酸にてエッチングし、鋳片表面から15mmの深さの位置のそれぞれについて鋳込み方向に5mmピッチでデンドライト2次アーム間隔λ(μm)を100点測定し、下記式(B)に基づいて、その値からスラブの液相線温度から固相線温度までの温度域内の冷却速度A(℃/秒)を算出し、算術平均した平均である。
λ=710×A−0.39 ・・・(B)
例えば、鋳造条件を変更した複数の鋳片を製造し、各鋳片における冷却速度を上記式(B)により求め、得られた冷却速度から最適な鋳造条件を決定すればよい。
[熱間加工]
次いで、鋳片又はインゴットを分塊圧延等の熱間加工して、ビレット(鋼片)を製造する。さらに、ビレットを熱間圧延することにより、本実施形態の機械構造用鋼である棒鋼や線材とする。熱間加工における圧下比に特に制限はない。
熱間圧延は、例えば、ビレットを1250〜1300℃の加熱温度で1.5時間以上加熱した後、仕上げ温度を900〜1100℃として熱間圧延する。仕上げ圧延を行った後は、大気中で、冷却速度が放冷以下となる条件で冷却する。仕上げ圧延を行った後は、冷却速度が上記の放冷以下となる条件で、室温に至るまで冷却しても構わないが、生産性を高めるためには、600℃に至った時点で、空冷、ミスト冷却及び水冷など、適宜の手段で冷却することが好ましい。なお、上記の加熱温度及び加熱時間はそれぞれ、炉内の平均温度及び在炉時間を意味する。また、熱間圧延の仕上げ温度は、複数のスタンドを備える圧延機の最終スタンド出口での棒線材の表面温度を意味する。仕上げ圧延を行った後の冷却速度は、棒線材の表面での冷却速度を指す。
以上により、本実施形態の高周波焼入鋼部品が得られる。
さらに、製造された棒鋼や線材(機械構造用鋼)を熱間鍛造して、粗形状の中間品を製造する。中間品に対して調質処理を実施してもよい。さらに、中間品を機械加工し、中間品を所定の形状にする。機械加工は、例えば、切削や穿孔である。
次に、中間品に対して高周波焼入れを実施し、中間品の表面を硬化する。これにより、中間品の表面に表面硬化層が形成される。そして、高周波焼入れされた中間品に対して仕上げ加工を実施する。仕上げ加工は、研削や研磨である。
高周波焼入れを行う工程では、焼入れ温度(最高加熱温度)を850〜1100℃とし、この温度域から冷却を行う。焼入れ温度が850℃未満であると、高周波焼入れにより素形材に十分な焼入れを施すことができず、初析フェライトが出現し、表面硬化層の硬さが不均一になり、面疲労強度は向上しない。また、表層部が十分にオーステナイト化せず、所望の焼入れ層深さを得ることができない。一方、焼入れ温度が1100℃を超えた場合には、表層部の酸化が著しくなり、表面性状の円滑さは充分に確保されない。この場合、面疲労強度が低下する。また、十分に表層をオーステナイト化するためには、850℃以上となる時間が、0.5秒以上1分以内であることが好ましい。
以上の工程により、本実施形態の高周波焼入鋼部品が製造される。本実施形態の高周波焼入鋼部品は、機械構造用鋼と同じ化学成分を有し、円相当径が2μm未満のMnSの存在密度が300個/mm以上であり、d+3σ<20μmを満足するものとなる。また、表面硬化層を有するものとなる。
上述のとおり、高周波焼入鋼部品の素材となる機械構造用鋼(上記例では棒鋼)において、MnSの最大円相当径が20μm以下となる必要がある。素材(棒鋼)を鍛造すれば、鍛錬成形比に応じて鋼中のMnSが微細化される。しかしながら、高周波焼入鋼部品は複雑な形状を有するものが多く、鍛錬成形比が素材全体に対して一様にならない。したがって、鍛造された素材内において、ほとんど鍛錬されない部分、つまり、鍛錬成形比が非常に小さい部分が生じる。このような部分においても、被削性を高めるためには、素材となる機械構造用鋼中のMnSの最大円相当径が20μm以下になる必要がある。本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼は、熱間加工の加工量によらず、被削性向上と面疲労強度の向上が可能になる。
以上説明したように、本実施形態の高周波焼入用の機械構造用鋼は、高周波焼入鋼部品となった場合に、被削性に優れ、かつ面疲労強度に優れたものとなる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した1条件例であり、本発明は、この1条件例のみに限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得る。
表1に示す化学組成を有する鋼a〜acを270ton転炉で溶製し、連続鋳造機を用いて連続鋳造を実施して、220mm×220mm角の鋳片を製造した。鋳造条件は、220mm×220mm角の鋳型を用いて、タンディッシュ内の溶鋼のスーパーヒートを10〜50℃とし、鋳込み速度を1.0〜1.5m/分とする条件で行った。なお、連続鋳造の凝固途中の段階で圧下を加えた。鋳片の連続鋳造において、鋳片の表面から15mmの深さの位置における液相線温度から固相線温度までの温度域内の平均冷却速度の変更は、鋳型の冷却水量を変更することによって行った。
次いで、製造した鋳片を加熱炉に装入し、1250〜1300℃の加熱温度で10時間以上加熱した後、分塊圧延してビレットとした。
次いで、ビレットを1250〜1300℃の加熱温度で1.5時間以上加熱した後、仕上げ温度を900〜1100℃として熱間圧延して、直径40mmの丸棒とした。その後、850℃で1時間の加熱を行い、650℃で2時間保持し、その後、空冷を行う焼ならしを行った。このようにして、試験番号1〜29の機械構造用鋼を製造した。
[凝固組織観察方法]
機械構造用鋼の製造に用いた鋳片の凝固組織は、鋳片断面をピクリン酸にてエッチングし、鋳片表面から深さ方向に15mm位置を鋳込み方向に5mmピッチでデンドライト1次アーム間隔を100点測定し、平均値を求めた。
[ミクロ組織試験]
各鋼番号の丸棒(機械構造用鋼)のミクロ組織を観察した。丸棒のD/4位置を軸方向に対して垂直に切断し、ミクロ組織観察用の試験片を採取した。試験片の切断面を研磨し、光学顕微鏡によって鋼の金属組織を観察し、組織中のコントラストから析出物を判別した。被検面は、熱間鍛造用鋼の長手方向と平行な断面である。なお、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)とを用いて析出物を同定した。後述の試験片の長手方向を含む断面から、縦10mm×横10mmの研磨試験片を10個作製し、これらの研磨試験片の所定位置を光学顕微鏡にて100倍で写真撮影して、0.9mmの検査基準面積(領域)の画像を10視野分準備した。その観察視野(画像)中のMnSの中から大きい順に10個選定する。選定された各MnSの円相当径を算出する。これらの寸法(直径)は、析出物の面積と同一の面積を有する円の直径を示す円相当径に換算した。検出したMnSの粒径分布から、硫化物の平均円相当径および標準偏差を算出した。
次に、各鋼番号の丸棒(機械構造用鋼)を用いて、被削性を調査した。まず、ドリル被削性評価のためのφ40mmの中心から直径38mm、高さ21mmの被削性評価用試験片に切削加工した。また、面疲労強度評価のためのローラーピッチング疲労試験用には、上記の熱処理後のφ40mmの中心から直径26mm、幅28mmの円筒部を有する小ローラー試験片に切削加工した。
<ドリル寿命試験>
各鋼材から被削性評価用試験片を切出しドリル試験に供試した。工具は株式会社不二越製 型番SD3.0のドリルを使用し、1回転当たりの送り量を0.25mm、1穴の穿孔深さ9mm、潤滑は水溶性の切削油を用いてドリル穿孔試験を行い、各鋼材の被削性を評価した。評価指標には、累積穴深さ1000mmまで切削可能な最大切削速度VL1000を採用し、最大切削速度VL1000で40m/min以上を良好、40m/min未満を不良として評価した。結果を表2に示す。
<ローラーピッチング疲労試験>
小ローラー試験片は、表2に示す条件で高周波焼入れを行った後、150℃で1時間の焼戻しを行い、ローラーピッチング試験で面疲労強度を評価した。
具体的には、上記で作製した小ローラー試験片と別途作製した大ローラー試験片(SCM722の浸炭後表面研削)とを用いて標準的な面疲労強度試験であるローラーピッチング疲労試験を行った。ローラーピッチング疲労試験は、小ローラー試験片に種々のヘルツ応力の面圧で大ローラー試験片を押し付けて、接触部での両ローラー試験片の周速方向を同一方向とし、滑り率を−40%(小ローラー試験片よりも大ローラー試験片の方が接触部の周速が40%大きい)として回転させて試験を行った。上記接触部に潤滑油として供給するATF(AT用潤滑油)の油温を80℃とし、大ローラー試験片と小ローラー試験片との接触応力を3000MPaとした。試験打ち切り回数を1000万回(10回)とし、小ローラー試験片においてピッチングが発生せずに1000万回の回転数に達した場合、面疲労強度が十分高く、小ローラー試験片の耐久性(ローラーピッチング疲労耐久性)が十分確保されたと判断した。ピッチング発生の検出は試験機に備え付けてある振動計によって行い、振動検出後に両ローラーの回転を停止させてピッチングの発生と回転数を確認した。結果を表2に示す。
表2に示すように、発明例は、被削性及び面疲労強度の両方に優れていることが分かる。一方、比較例は、本発明の化学成分を満たさないため、被削性または面疲労強度の少なくともいずれか一方が満足できない結果となった。
試験番号27は、BiとSnの合計含有量が請求項1の範囲を満たさないため、熱間加工性が悪く熱間圧延後の鋼材に大きな割れがみられたため、その後の評価を行わなかった。
試験番号28は、Bi含有量およびBiとSnの合計含有量が請求項1の範囲を満たさないため、熱間加工性が悪く熱間圧延後の鋼材に大きな割れがみられたため、その後の評価を行わなかった。
試験番号29は、Sn含有量およびBiとSnの合計含有量が請求項1の範囲を満たさないため、熱間加工性が悪く熱間圧延後の鋼材に大きな割れがみられたため、その後の評価を行わなかった。
また、各試験例について、高周波焼入れ鋼部品の300℃焼戻し後の表面から50μm深さのビッカース硬度(HV)と、C含有量及びSi含有量との関係を調べたところ、図1に示すように、290C+50Si+430で整理できることが判明した。また、図2には、290C+50Si+430=620の関係式をプロットした線と、面疲労強度の評価との関係を示す。関係線を挟んで、面疲労強度の良品と不良品に区分できることがわかる。従って、290C+50Si+430≧620の関係を満たす鋼は、被削性及び高周波焼入れ後の面疲労強度に優れることが分かる。
Figure 0006652019
Figure 0006652019

Claims (10)

  1. 化学成分が、質量%で、
    C:0.40〜0.70%、
    Si:0.15〜3.00%、
    Mn:0.30〜2.00%、
    Cr:0.01〜0.50%未満、
    S:0.003〜0.070%、
    Bi:0.0001超〜0.0050%、
    Sn:0.0001〜0.0050%を含有し、
    かつ、BiとSnの合計含有量を0.0002〜0.0050%とし、
    さらに、
    N:0.0030〜0.0075%、
    Al:0.003〜0.100%、
    P:0.050%未満、
    B:0〜0.0050%、
    Mo:0〜0.20%、
    Ni:0〜1.00%、
    Cu:0〜1.00%、
    Ca:0〜0.0050%、
    Mg:0〜0.0050%、
    Zr:0〜0.0050%、
    Rem:0〜0.0050%、
    Ti:0〜0.20%、
    Nb:0〜0.20%、
    V:0〜0.35%、
    Sb:0〜0.015%、
    Te:0〜0.20%、
    Pb:0〜0.50%
    である化学組成を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    下記式(1)及び下記式(2)を満たし、
    鋼材の圧延方向と平行な断面において円相当径が2μm未満のMnSの存在密度が300個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入用の機械構造用鋼。
    290C+50Si+430≧620 ・・・(1)
    d+3σ<20 ・・・(2)
    ただし、式(1)中のC、Siは質量%であり、式(2)中のdは円相当径1μm以上のMnSの平均円相当径であり、σは円相当径1μm以上のMnSの円相当径の標準偏差である。
  2. 前記化学成分が、質量%で、
    B:0.0003〜0.0050%、
    Mo:0.01〜0.20%、
    Ni:0.05〜1.00%及び
    Cu:0.05〜1.00%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
  3. 前記化学成分が、質量%で、
    Ca:0.0003〜0.0050%、
    Mg:0.0003〜0.0050%、
    Zr:0.0003〜0.0050%及び
    Rem:0.0003〜0.0050%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
  4. 前記化学成分が、質量%で、
    Ti:0.005〜0.20%、
    Nb:0.005〜0.20%及び
    V:0.005〜0.35%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
  5. 前記化学成分が、質量%で、
    Sb:0.0003〜0.015%、
    Te:0.0003〜0.20%及び
    Pb:0.01〜0.50%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高周波焼入用の機械構造用鋼。
  6. 化学成分が、質量%で、
    C:0.40〜0.70%、
    Si:0.15〜3.00%、
    Mn:0.30〜2.00%、
    Cr:0.01〜0.50%未満、
    S:0.003〜0.070%、
    Bi:0.0001超〜0.0050%、
    Sn:0.0001〜0.0050%を含有し、
    かつ、BiとSnの合計含有量を0.0002〜0.0050%とし、
    さらに、
    N:0.0030〜0.0075%、
    Al:0.003〜0.100%、
    P:0.050%未満、
    B:0〜0.0050%、
    Mo:0〜0.20%、
    Ni:0〜1.00%、
    Cu:0〜1.00%、
    Ca:0〜0.0050%、
    Mg:0〜0.0050%、
    Zr:0〜0.0050%、
    Rem:0〜0.0050%、
    Ti:0〜0.20%、
    Nb:0〜0.20%、
    V:0〜0.35%、
    Sb:0〜0.015%、
    Te:0〜0.20%、
    Pb:0〜0.50%
    である化学組成を有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    下記式(1)及び下記式(2)を満たし、
    鋼材の圧延方向と平行な断面において円相当径が2μm未満のMnSの存在密度が300個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入鋼部品。
    290C+50Si+430≧620 ・・・(1)
    d+3σ<20 ・・・(2)
    ただし、式(1)中のC、Siは質量%であり、式(2)中のdは円相当径1μm以上のMnSの平均円相当径であり、σは円相当径1μm以上のMnSの円相当径の標準偏差である。
  7. 前記化学成分が、質量%で、
    B:0.0003〜0.0050%、
    Mo:0.01〜0.20%、
    Ni:0.05〜1.00%及び
    Cu:0.05〜1.00%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項6に記載の高周波焼入鋼部品。
  8. 前記化学成分が、質量%で、
    Ca:0.0003〜0.0050%、
    Mg:0.0003〜0.0050%、
    Zr:0.0003〜0.0050%及び
    Rem:0.0003〜0.0050%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項6又は7に記載の高周波焼入鋼部品。
  9. 前記化学成分が、質量%で、
    Ti:0.005〜0.20%、
    Nb:0.005〜0.20%及び
    V:0.005〜0.35%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の高周波焼入鋼部品。
  10. 前記化学成分が、質量%で、
    Sb:0.0003〜0.015%、
    Te:0.0003〜0.20%及び
    Pb:0.01〜0.50%
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の高周波焼入鋼部品。
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