JP5472063B2 - 冷間鍛造用快削鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、快削鋼に関し、さらに詳しくは、冷間鍛造用快削鋼に関する。
機械構造用鋼は、産業用機械、建設用機械、及び、自動車に代表される輸送用機械、等の機械部品に用いられる。機械構造用鋼は一般的に、熱間鍛造により粗加工された後、切削加工されて所定の形状を有する機械部品に仕上げられる。
熱間鍛造は加熱によるエネルギーロスが大きい。また、切削加工の切削代が多ければ、歩留まりが低下する。そのため、エネルギーロスの低減及び切削代の低減が求められている。冷間鍛造により機械部品が製造される場合、熱間鍛造により機械部品が製造される場合と比較して、エネルギーロスが小さく、切削代も低減できる。
冷間鍛造に利用される鋼(冷間鍛造用鋼)には、冷間鍛造時に割れが発生しにくい特性(以下、冷間鍛造性という)が求められる。冷間鍛造用鋼はさらに、機械部品に用いられるため、優れた疲労強度も求められる。
さらに、冷間鍛造用鋼は切削代を低減できると言えども、冷間鍛造後に多少は切削加工されるため、優れた被削性も求められる。鋼に硫黄(S)を含有すれば、被削性が向上することはよく知られている。Sは鋼中のマンガン(Mn)と結合してMnSを主体とする硫化物系介在物(以下、Mn硫化物という)を形成する。Mn硫化物は、鋼の被削性を向上する。
しかしながら、Mn硫化物の高温における変形抵抗は低く、Mn硫化物は、熱間加工時に延伸されやすい。延伸されたMn硫化物は、鋼の冷間鍛造性や疲労強度を低下する。従来の冷間鍛造用鋼は、S含有量を低減することにより冷間鍛造性や疲労強度の低下を抑制していた。そのため、従来の冷間鍛造用鋼の被削性は低かった。
冷間鍛造用鋼の被削性を改善するために、鉛(Pb)やビスマス(Bi)を含有する冷間鍛造用快削鋼が提案されている。Pb及びBiは、S含有量を低減しても、冷間鍛造性や疲労強度の低下を抑制でき、かつ、優れた被削性を有する。しかしながら、PbやBiは環境に有害であり、単価も高い。そのため、これらの元素を利用せずに、冷間鍛造用鋼の被削性を高める方が好ましい。
特許文献1〜3は、PbやBiを含有せずに、優れた被削性を有する冷間鍛造用快削鋼を提案している。
特許文献1及び2に開示された冷間鍛造用鋼は、S及び0.03質量%以下のテルル(Te)を含有し、Te/Sは0.04以上である。特許文献1及び2では、冷間鍛造用鋼が上述の化学組成を有することにより、鋼中のMnSの展伸が抑制され、冷間鍛造性が高まると記載されている。
特許文献3に開示された機械構造用鋼は、0.03質量%以上のSと、Teと、カルシウム(Ca)と酸素(O)とを含有し、Ca/Oが0.8以上であり、Te/Sが0.007以上0.05未満である。このような化学組成を有することにより、冷間鍛造用快削鋼の被削性が向上すると記載されている。
特開昭55−141549号公報 特開昭55−122859号公報 特開2004−292929号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示された冷間鍛造用鋼や、特許文献3に開示された機械構造用鋼では、熱間加工性が低下する場合がある。冷間鍛造用快削鋼であっても、冷間鍛造の素材は、熱間圧延等の熱間加工によって製造される。そのため、冷間鍛造用快削鋼では、優れた被削性、冷間鍛造性、疲労強度と共に、優れた熱間加工性も求められる。
本発明の目的は、被削性、冷間鍛造性、疲労強度及び熱間加工性に優れた、冷間鍛造用快削鋼を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の実施の形態による冷間鍛造用快削鋼は、質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.40〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以上0.040%未満、Al:0.010%を超え0.035%以下、Cr:0.01〜2.0%、Ca:0.0004〜0.0035%、Te:0.0001〜0.0043%、N:0.025%以下、O:0.0005〜0.0040%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たす。
0.05<(Ca+Te)/(S+O)<0.35 (1)
Ca/Te>0.80 (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明の実施の形態による冷間鍛造用快削鋼は、優れた被削性、冷間鍛造性、疲労強度及び熱間加工性を有する。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Feの一部に代えて、Mo:1.0%以下、V:0.30%以下、B:0.02%以下及びMg:0.0035%以下からなる群から選択される1種以上を含有する。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Feの一部に代えて、Ti:0.06%以下及びNb:0.08%以下からなる群から選択される1種以上を含有する。
図1は、冷間鍛造用快削鋼において、S含有量及びCa含有量をほぼ一定とした鋼種の、Te含有量とMn硫化物の球状化率との関係を示す図である。 図2は、実施例中の丸棒のうち、疲労試験片の一部の採取箇所を示す図である。 図3は、疲労試験片の側面図である。 図4は、実施例中の浸炭処理のヒートパターンを示す図である。
本発明の実施の形態を詳しく説明する。以下、元素に関する「%」は、特に断りがない限り、「質量%」を意味する。
[本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の概要]
本発明者らは、冷間鍛造用快削鋼に関する研究及び検討の結果、以下の知見を得た。
(a)鋼中のMn硫化物は、鋼の被削性を高める。しかしながら、Mn硫化物は高温での変形抵抗が低いため、熱間加工により変形しやすく、熱間加工時に延伸されやすい。延伸されたMn硫化物は、冷間鍛造性や疲労強度を低下する。被削性を維持しつつ、冷間鍛造性及び疲労強度を高めるには、Mn硫化物の高温での変形抵抗を高め、熱間加工時にMn硫化物が延伸されにくく球状を維持する必要がある。
(b)Mn硫化物は、Caを固溶することにより、高温での変形抵抗を高め、熱間加工後でも球状を維持しやすい。つまり、Caを固溶すると、Mn硫化物は、熱間加工後においても、アスペクト比が小さく、ほぼ球状である。したがって、冷間鍛造性及び疲労強度を高めるために、Caは必須元素として鋼に含有される必要がある。
(c)鋼中の微量なTeは、CaがMn硫化物に固溶するのを促進する。このとき、微量なTeも、CaとともにMn硫化物に固溶する。図1は、上述の化学組成を有する冷間鍛造用快削鋼において、S含有量及びCa含有量をほぼ一定とした鋼種の、Te含有量とMn硫化物の球状化率との関係を示す図である。図1は、以下の方法により得られた。上述の化学組成を有し、Te含有量が異なる複数の冷間鍛造用快削鋼からなる複数のインゴットを製造した。各冷間鍛造用快削鋼のS含有量は0.018〜0.022質量%、Ca含有量はいずれも24ppm(0.0024質量%)であった。インゴットを1250℃で2時間加熱した後に熱間鍛造(鍛錬比:35)して直径38mmの丸棒を製造した。製造された各丸棒のR/2位置(丸棒の切断面の中心点と外周との間を2等分する点)を含む10mm×10mmの表面を有する試験片を採取した。以降、10mm×10mmの表面を「被検面」という。被検面は、鍛伸軸に平行であった。
試験片を樹脂埋めした後、被検面を鏡面研磨した。次に、被検面内のMn硫化物の形態を、エネルギ分散型X線マイクロアナライザ(EDS)を敷設したSEMを用いて観察した。観察は倍率500倍で反射電子像を100視野撮影し、画像解析を行った。観察した被検面の総面積は約4.4mmであった。画像解析で検出されたMn硫化物のうち、その面積を円に換算した時の直径が1μm以上のMn硫化物を対象として、個々のMn硫化物の面積とアスペクト比を求めた。アスペクト比とは、各Mn硫化物において、その最大の長さをLとし、最大の長さ方向と直交する幅のうちの最大の幅をWとした場合の、LとWの比(L/W)とした。そして、対象としたMn硫化物の総面積に対する、アスペクト比が3未満であるMn硫化物の面積率を、Mn硫化物の球状化率と定義した。検出されたMn硫化物のうち、その面積を円換算したときの直径が1μm以上のMn硫化物を対象とした理由は、面積を円換算したときの直径が1μm未満のMn硫化物は、冷間鍛造性及び疲労強度に対してほとんど影響しないからである。
また同時にEDSを用いて、面積を円換算したときの直径が1μm以上のMn硫化物について組成分析もおこなった。その結果、Caを1at%以上固溶したMn硫化物は、その95%以上のアスペクト比が3未満であった。
図1より、Ca含有量は同じであるにもかかわらず、Te含有量が増加するにしたがい、Mn硫化物の球状化率は顕著に増大した。
以上より、Caのみを含有する場合よりも、Ca及び微量なTeを含有した方が、鋼中のMn硫化物の球状化率がさらに高まる。Mn硫化物の球状化率が高まれば、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度は高まる。したがって、Ca及びTeは必須元素として含有される必要がある。
(d)鋼中のCaは、Sや酸素(O)と結合してCaSやCaOを生成する。Caを固溶したMn硫化物は、CaSを核として晶出するので、Mn硫化物にCaを固溶させるには、より多くのCaSを生成させる必要がある。Ca含有量に対してO含有量が過剰な場合は、CaOが多量に生成しCaSの量が少なくなるので、Caを固溶したMn硫化物を増やすことができない。一方、Ca含有量に対してS含有量が過剰である場合、CaSを核として晶出しないMn硫化物が増えるため、この場合もCaを固溶したMn硫化物を増やすことができない。
したがって、Ca含有量とTe含有量とがS含有量やO含有量と比較して少なければ、Mn硫化物の球状化率を高めることができない。Mn硫化物の球状化率が低いと、冷間鍛造性及び疲労強度を高めることができない。一方、Ca含有量とTe含有量とがS含有量やO含有量と比較して過剰に多ければ、Mn硫化物の球状化率が過剰に高くなる。Mn硫化物の球状化率が過剰に高くなると、鋼の被削性が低下する。具体的には、切削抵抗が高くなり、切りくず処理性が低下する。
(e)以上より、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度を高めつつ、かつ、鋼の被削性を維持するために、鋼中のCa含有量、Te含有量、S含有量及びO含有量は以下の式(1)を満たす必要がある。この場合、Mn硫化物の球状化率を適正化できる。
0.05<(Ca+Te)/(S+O)<0.35 (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
(f)Te含有量が過剰に多ければ、Mn硫化物に固溶しなかったTeが、マトリックス中に固溶したり、FeTeを生成する。マトリックス中に固溶したTeや生成したFeTeは、鋼の熱間加工性を低下し、かつ、鋼の疲労強度を低下する。したがって、マトリックス中に固溶するTeの量やFeTeの生成量は、低減すべきである。上述のとおり、TeはCaのMn硫化物への固溶促進のために利用され、CaとともにMn硫化物に固溶する。このとき、Mn硫化物に固溶するTeの量は、鋼のCa含有量に依存する。したがって、Mn硫化物にCaとともに固溶される程度のTeが鋼に含有されるのが好ましい。
さらに、Ca含有量に対してTe含有量が過剰に多い場合には、結果的にCa含有量が不足して、CaがMn硫化物へ十分固溶されない場合が生じる。したがって、Ca含有量に対して、Te含有量は制限すべきである。
Ca含有量及びTe含有量が以下の式(2)を満たせば、TeをCaとともにMn硫化物に固溶させ、かつ、マトリックス中へのTeの固溶やFeTeの生成を抑えることができる。そのため、鋼の熱間加工性及び疲労強度を高めることができる。さらに、CaをMn硫化物へ十分固溶させることができる。そのため、鋼の冷間鍛造性も高めることができる。
Ca/Te>0.80 (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
(g)Caを含有せず、Teのみを含有した場合でも、Mn硫化物にTeが固溶することにより、球状化されたMn硫化物が多少は生成される。しかしながら、Caが含有されない場合、Mn硫化物の球状化率を高めるには、Teを多量に含有させなければならず、多くのTeは、Mn硫化物ではなくマトリックス中に固溶したり、FeTeを生成する。したがって、Caを含有せず、Teを含有する場合、鋼の熱間加工性及び疲労強度が低下する。
以上の知見に基づいて、本発明者らは、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼を完成した。以下、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼について詳述する。
[化学組成]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼は、以下の化学組成からなる。
C:0.05〜0.30%
炭素(C)は、鋼の引張強度及び疲労強度を高める。一方、C含有量が多すぎれば、鋼の冷間鍛造性が低下し、被削性も低下する。したがって、C含有量は0.05〜0.30%である。好ましいC含有量は0.10〜0.28%であり、さらに好ましくは、0.15〜0.25%である。
Si:0.05〜1.0%
シリコン(Si)は、鋼中のフェライトに固溶して、鋼の引張強度を高める。一方、Si含有量が多すぎれば、鋼の冷間鍛造性が低下する。したがって、Si含有量は、0.05〜1.0%である。好ましいSi含有量は0.15〜0.70%であり、さらに好ましくは0.20〜0.35%である。
Mn:0.40〜2.0%
マンガン(Mn)は、鋼に固溶して鋼の引張強度及び疲労強度を高め、鋼の焼入れ性を高める。Mnはさらに、鋼中の硫黄(S)と結合してMn硫化物を形成し、鋼の被削性を高める。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の冷間鍛造性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.40〜2.0%である。鋼の引張強度、疲労強度及び焼入れ性を高める場合、好ましいMn含有量は0.60%以上であり、さらに好ましくは0.75%以上である。鋼の冷間鍛造性をさらに高める場合、好ましいMn含有量は1.50%以下であり、さらに好ましくは1.20%以下である。
P:0.05%以下
燐(P)は不純物である。Pは鋼の冷間鍛造性や熱間加工性を低下する。したがって、P含有量は少ない方が好ましい。P含有量は0.05%以下である。好ましいP含有量は0.035%以下であり、さらに好ましくは、0.020%以下である。
S:0.008%以上0.040%未満
硫黄(S)は、鋼中のMnと結合してMn硫化物を形成し、鋼の被削性を高める。一方、Sを過剰に含有すれば、鋼の冷間鍛造性や疲労強度が低下する。したがって、S含有量は、0.008%以上0.040%未満である。鋼の被削性を高める場合、好ましいS含有量は0.010%以上であり、さらに好ましくは、0.015%以上である。鋼の冷間鍛造性をさらに高める場合、好ましいS含有量は、0.030%未満であり、さらに好ましくは、0.025%未満である。
Al:0.010%を超え0.035%以下
アルミニウム(Al)は鋼を脱酸し、鋼中の溶存酸素量を調整する。鋼中のカルシウム(Ca)は、酸素と結合してCaOを生成しやすい。本実施の形態では、CaがCaOを生成せずに、CaSを生成し、生成したCaSを核としてCaを固溶したMn硫化物を晶出させる必要がある。Alは、鋼を脱酸することにより、鋼中のO(酸素)の量を低減する。そのため、CaOとなるCaの量が減り、CaSとなるCaの量が増える。したがって、Alは、CaがCaOを生成するのを抑制し、CaがCaSを生成するのを促進する。その結果、Caを固溶したMn硫化物の晶出が促進される。Al含有量が少なすぎれば、粗大なCaOが生成しやすくなる。そのため、Mn硫化物にCaが固溶しにくくなり、Mn硫化物の球状化が促進されず、鋼の冷間鍛造性や疲労強度が低下する。一方、Al含有量が多すぎれば、脱酸効果が飽和し、さらに、粗大なAl系介在物が生成しやすくなる。粗大なAl系介在物は、冷間鍛造性や疲労強度を低下する。したがって、Al含有量は、0.010%を超え、0.035%以下である。Mn硫化物にCaを固溶させ、Mn硫化物を球状化する場合、好ましいAl含有量は0.015%以上であり、さらに好ましくは0.020%以上である。好ましいAl含有量は0.030%未満であり、さらに好ましくは、0.028%以下である。なお、本明細書でいうAl含有量は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
Cr:0.01〜2.0%
クロム(Cr)は、鋼の焼入れ性及び引張強度を高める。本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼により製造される機械部品は、浸炭処理や高周波焼入れにより鋼の表面を硬化する場合がある。Crは、鋼の焼入れ性を高め、浸炭処理や高周波焼入れ後の鋼の表面硬度を高める。一方、Cr含有量が多すぎると、鋼の冷間鍛造性や疲労強度が低下する。したがって、Cr含有量は、0.01〜2.0%である。鋼の焼入れ性及び引張強度を高める場合、好ましいCr含有量は、0.03%以上であり、さらに好ましくは、0.10%以上である。冷間鍛造性及び疲労強度をさらに高める場合、好ましいCr含有量は1.50%以下であり、さらに好ましくは、1.20%以下である。
Ca:0.0004〜0.0035%
Caは、Mn硫化物に固溶してMn硫化物を球状化する。そのため、Caは、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度を高める。一方、Ca含有量が多すぎれば、粗大なCaOが生成され、鋼の被削性及び疲労強度が低下する。さらに、鋼中に球状化したMn硫化物が過剰に増え、鋼の被削性が低下する。したがって、Ca含有量は、0.0004〜0.0035%である。好ましいCa含有量は0.0007〜0.0030%であり、さらに好ましくは、0.0010〜0.0025%である。
Te:0.0001〜0.0043%
テルル(Te)は、Mn硫化物へのCaの固溶を促進してMn硫化物を球状化する。そのため、Teは、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度を高める。一方、Te含有量が多すぎれば、Teがマトリックス中に固溶したり、Feと結合してFeTeを生成する。マトリックス中に固溶したTeや、生成したFeTeは、鋼の熱間加工性を低下し、さらに、疲労強度を低下する。したがって、Te含有量は、0.0001〜0.0043%である。好ましいTe含有量は、0.0005〜0.0030%未満であり、さらに好ましくは、0.0010〜0.0025%未満である。
N:0.025%以下
窒素(N)は、不純物として含有される。鋼中に固溶するNは、鋼の冷間鍛造時の変形抵抗を大きくし、また冷間鍛造性を低下する。また、Bを含有させる場合には、Nの含有量が高いとBNが生成され、Bの焼入れ性向上効果を低下させてしまう。したがって、Bを含む場合、TiやNbを含まない場合は、N含有量はなるべく少ない方が好ましい。N含有量は0.025%以下である。好ましいN含有量は、0.018%以下であり、さらに好ましくは、0.015%以下である。一方、NをTiやNbとともに含有させると、窒化物や炭窒化物を生成することにより、オーステナイト結晶粒が微細化され、鋼の冷間鍛造性や疲労強度を高める。Bを含まず、かつTiやNbを含有して窒化物や炭窒化物を積極的に生成する場合には、0.0060%以上含有することが好ましい。
O(酸素):0.0005〜0.0040%
酸素(O)は、Mn硫化物の球状化に影響を与える。O含有量が少なすぎれば、Ca及びTeにより球状化されたMn硫化物の割合が増えすぎ、被削性が低下する。一方、O含有量が多すぎれば、粗大なCaOが生成され、Mn硫化物に固溶するCaの量が低減する。そのため、Mn硫化物が熱間圧延時に延伸され、冷間鍛造性及び疲労強度が低下する。したがって、O含有量は、0.0005〜0.0040%である。好ましいO含有量は、0.0010〜0.0035%であり、さらに好ましくは、0.0012〜0.0030%である。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここでいう不純物は、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップ、あるいは製造過程の環境等から混入する元素をいう。本実施の形態において、不純物はたとえば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等である。不純物であるCu及びNi含有量は、JIS G4053機械構造用合金鋼鋼材に規定されたSCr鋼及びSCM鋼中のCu及びNi含有量と同程度であり、Cu含有量は0.30%以下であり、Ni含有量は0.25%以下である。
[Ca、Te、S及びO含有量の関係]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、以下、式(1)及び式(2)を満たす。
0.05<(Ca+Te)/(S+O)<0.35 (1)
Ca/Te>0.80 (2)
ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
[式(1)について]
式(1)を満たすことにより、鋼中において、球状化したMn硫化物の割合を適度に高めることができる。具体的には、式(1)を満たせば、上述したMn硫化物の球状化率が適正な範囲となる。より具体的には、球状化率が60〜95%になる。そのため、鋼の被削性を維持しつつ、冷間鍛造性及び疲労強度を向上できる。
F1=(Ca+Te)/(S+O)と定義する。F1の値が0.05以下となる場合、Caを固溶したMn硫化物の生成量が少なく、球状化率が過剰に低くなる。そのため、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度が低下する。
一方、F1の値が0.35以上となる場合、Caを固溶したMn硫化物が過剰に生成され、球状化率が過剰に高くなる。この場合、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度は高い。しかしながら、鋼の被削性が低下する。さらに、鋼の熱間加工性が低下する場合がある。好ましいF1の値は、0.08〜0.30である。さらに好ましいF1の値は0.10〜0.25である。
[式(2)について]
上述のとおり、過剰なTeの含有により、マトリックス中に固溶するTeの量や、FeTeの生成量が増えれば、鋼の熱間加工性及び疲労強度が低下する。したがって、マトリックス中に固溶するTeの量やFeTeの生成量は低く抑えるのが好ましい。さらに、式(1)を満たしても、Te含有量が過剰であれば、Ca含有量が不足し、Caを固溶したMn硫化物が生成されない。TeはCaのMn硫化物への固溶を促進させるために使用され、Te自身もMn硫化物に固溶する。Mn硫化物に固溶するTeの量は、Ca量に依存する。したがって、Te含有量は、Ca含有量に応じて制限されるべきである。
式(2)を満たせば、適正量のCa含有量が確保され、Caを固溶したMn硫化物が生成される。さらに、鋼中に含有されたTeの多くがMn硫化物に固溶される。そのため、マトリックス中に固溶するTeの量や、FeTeの生成量を低減できる。
F2=Ca/Teと定義する。F2の値が式(2)を満たさない場合、Mn硫化物に固溶しなかったTeが、マトリックス中に固溶したり、FeTeを生成する。そのため、鋼の熱間加工性及び疲労強度が低下する。
さらに、F1の値が式(1)を満たし、F2の値が式(2)を満たさない場合、生成されるMn硫化物に固溶するCaが不足する。そのため、球状化率が低くなり、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度が低下する。要するに、F1の値が式(1)を満たしても、F2の値が式(2)を満たさなければ、マトリックス中へのTeの固溶や、FeTeの生成、球状化率の低減に起因して、鋼の冷間鍛造性、疲労強度及び熱間加工性が低下する。
好ましいF2の値は0.90よりも大きく、さらに好ましくは1.00よりも大きい。F2の値が8.0を超えると、その効果は飽和する。
[選択元素について]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Mo、V、B及びMgからなる群から選択された1種以上を含有してもよい。Mo、V、B及びMgはいずれも、鋼の疲労強度を高める。
Mo:1.0%以下
モリブデン(Mo)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の疲労強度を高める。また、Moは、浸炭処理において、不完全焼入れ層を抑制する。Moを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、Mo含有量が多すぎれば、鋼の被削性が低下する。さらに、鋼の製造コストも高くなる。したがって、Mo含有量は、1.0%以下である。Mo含有量が0.02%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいMo含有量は0.05〜0.50%であり、さらに好ましくは、0.10〜0.30%である。
V:0.30%以下
バナジウム(V)は、鋼中で炭化物を形成し、鋼の疲労強度を高める。バナジウム炭化物は、フェライト中に析出して鋼の芯部(表層以外の部分)の強度を高める。Vを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、V含有量が多すぎれば、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度が低下する。したがって、V含有量は0.30%以下である。V含有量が0.03%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいV含有量は0.04〜0.20%であり、さらに好ましくは、0.05〜0.10%である。
B:0.02%以下
ボロン(B)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の疲労強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。B含有量が0.02%を超えると、その効果は飽和する。したがって、B含有量は0.02%以下である。B含有量が0.0005%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいB含有量は、0.001〜0.012%であり、さらに好ましくは、0.0020〜0.010%である。
Mg:0.0035%以下
マグネシウム(Mg)は、Alと同様に、鋼を脱酸し、鋼中の酸化物を微細化する。鋼中の酸化物が微細化することにより、粗大酸化物を破壊起点とする確率が低下し、鋼の疲労強度が高まる。Mgを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、Mg含有量が多すぎれば、上記効果は飽和し、かつ、鋼の被削性が低下する。したがって、Mg含有量は0.0035%以下である。Mg含有量が0.0001%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいMg含有量は0.0003〜0.0030%であり、さらに好ましくは、0.0005〜0.0025%である。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Ti及びNbからなる群から選択された1種以上を含有してもよい。Ti及びNbはいずれも、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度を高める。
Ti:0.06%以下
チタン(Ti)は、微細な炭化物や窒化物、炭窒化物を生成し、ピン止め効果によりオーステナイト結晶粒を微細化する。オーステナイト結晶粒が微細化されることにより、鋼の冷間鍛造性や疲労強度が高まる。Tiが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Ti含有量が多すぎれば、鋼の被削性及び冷間鍛造性が低下する。したがって、Ti含有量は0.06%以下である。Ti含有量が0.002%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいTi含有量は0.005〜0.04%であり、さらに好ましくは、0.010〜0.03%である。
Nb:0.08%以下
ニオブ(Nb)は、Tiと同様に、微細な炭化物や窒化物、炭窒化物を生成してオーステナイト結晶粒を微細化し、鋼の冷間鍛造性及び疲労強度を高める。Nbが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Nb含有量が多すぎれば、上記効果は飽和し、かつ、鋼の被削性が低下する。したがって、Nb含有量は0.08%以下である。Nb含有量が0.01%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいNb含有量は0.015〜0.050%であり、さらに好ましくは、0.020〜0.040%である。
[製造方法]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の製造方法を説明する。本実施の形態では、一例として、冷間鍛造用快削鋼からなる機械部品を製造する工程を説明する。
上記化学組成及び式(1)、式(2)を満たす鋼を連続鋳造法により鋳片にする。造塊法によりインゴット(鋼塊)にしてもよい。鋳片又はインゴットを熱間加工して、ビレット(鋼片)を製造する。ビレットを熱間圧延して、棒鋼や線材を製造する。以降、棒鋼や線材を条鋼という。
製造された条鋼に対して、冷間鍛造前に、球状化焼鈍処理を実施する。球状化焼鈍処理により、条鋼の冷間鍛造性が高まる。球状化焼鈍処理を実施された条鋼を冷間鍛造して、粗形状の中間品を製造する。次に、製造された中間品に対して、必要に応じて機械加工によって所定の形状に切削し、さらに周知の条件で、表面硬化処理を実施する。表面硬化処理はたとえば、浸炭処理や窒化処理、高周波焼入れである。表面硬化処理を実施しなくてもよい。
表面硬化処理後の中間品を機械加工により所定の形状に切削し、冷間鍛造用快削鋼からなる機械部品を製造する。
種々の化学組成を有する鋼を製造し、熱間加工性、冷間鍛造性、被削性及び疲労強度について調査した。
[試験方法]
31種類の鋼を真空誘導加熱炉で溶解し、溶鋼にした。溶鋼を造塊して、表1に示す化学組成のマーク1〜31の柱状のインゴットを製造した。
Figure 0005472063
表1中の「F1」欄には、以下の式に示すF1の値を示す。また、「F2」欄には、以下の式に示すF2の値を示す。
F1=(Ca+Te)/(S+O)
F2=Ca/Te
ここで、上記の式中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
表1を参照して、マーク1〜マーク16の鋼の化学組成は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であり、F1の値が式(1)の範囲内であり、F2の値が式(2)の範囲内であった。
一方、マーク17〜31の鋼は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の範囲外であった。表1中の数値の下線は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の範囲外であることを示す。具体的には、マーク17、19及び20の鋼は、Teを含有しなかった。マーク18及び21の鋼は、Caを含有しておらず、F2の値が式(2)の下限未満であった。マーク22の鋼のTe含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のTe含有量の上限を超え、F2の値が式(2)の下限未満であった。
マーク23及び24の化学組成は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であった。しかしながら、マーク23のF1の値は式(1)の上限を超え、マーク24のF1の値は式(1)の下限未満であった。マーク25のC含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のC含有量の上限を超えた。マーク26の鋼のAl含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のAl含有量の下限未満であった。マーク27の鋼のAl含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のAl含有量の上限を超えた。マーク28の鋼のS含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のS含有量の上限を超えた。マーク29の鋼のS含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のS含有量の下限未満であった。マーク30の鋼のCa含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のCa含有量の上限を超えた。マーク31の鋼の化学組成は本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であったものの、F2の値が式(2)の下限未満であった。
各マークのインゴットを1250℃で2時間加熱した。加熱後のインゴットを熱間鍛造して、二種類の外径を有する複数の丸棒を製造した。具体的には、各マークのインゴットを熱間鍛造して、直径60mmの複数の丸棒と、直径38mmの複数の丸棒を製造した。直径60mmの丸棒の鍛錬比は14.1であり、直径38mmの丸棒の鍛錬比は35であった。熱間鍛造後、丸棒を大気中で放冷した。
[熱間加工性試験]
放冷後の各マークの丸棒を用いて、以下の方法により熱間加工性試験を実施した。各マークの直径60mmの丸棒から棒状の引張試験片を、機械加工により作製した。引張試験片は、丸棒のR/2位置(丸棒切断面(円形状)の中心点と外周との間を2等分する点)に中心を有し、直径10mm、長さ130mmであった。熱間加工性試験には、熱間加工再現装置を用いた。熱間加工性試験では、初めに、引張試験片を真空中で高周波加熱し、1250℃で5分間保持した。次に、引張試験片を、10℃/分の冷却速度で900℃まで冷却し、900℃で10秒間保持した。次に、900℃にて高温引張試験を実施し、絞り値(%)を求めた。このときの歪み速度は10秒−1であった。熱間加工性試験では、引張試験片の長さ方向の中央点±10mmの領域(合計20mm)を加熱した。引張試験後、引張試験片を急冷した。引張試験温度を900℃に設定した理由は、Teを含有した鋼は800〜900℃において、絞り値が低くなると推定されるからである。
[Mn硫化物の球状化率]
各マークの直径38mmの丸棒に対して、球状化焼鈍処理を実施した。具体的には、上述の丸棒を、加熱炉を用いて925℃で1時間均熱した。次に、丸棒を別の加熱炉に移し、600℃で1時間均熱し、均熱後に丸棒を放冷した。次に、丸棒を再び加熱し、765℃で5時間均熱した。均熱後、15℃/hの冷却速度で丸棒を660℃まで冷却した。その後、丸棒を放冷した。
球状化焼鈍処理後の丸棒のミクロ組織を観察した。丸棒のR/2位置を軸方向に対して垂直に切断し、ミクロ組織観察用の試験片を採取した。試験片の切断面を研磨し、ナイタル腐食液で腐食した。腐食後、400倍の光学顕微鏡で、切断面の中央部のミクロ組織を観察した。各マークの丸棒のミクロ組織はいずれも、フェライトに球状セメンタイトが分散した組織であった。
さらに、ミクロ組織観察用試験片を用いて、JIS Z2244に規定されたビッカース硬さ試験を実施した。4箇所の硬さを測定した結果、各マークの丸棒のビッカース硬さはいずれもHv100〜130の範囲内であり、各マークの丸棒は、同程度の硬度を有した。
球状化焼鈍処理を実施された各マークの丸棒から、Mn硫化物の球状化率を測定するための試験片を採取した。具体的には、各丸棒のR/2位置から10mm×10mmの表面を有する試験片を採取した。10mm×10mmの表面を「被検面」とした。被検面は、熱間鍛造時の鍛伸軸と平行であった。試験片を樹脂埋めした後、被検面を鏡面研磨した。次に、被検面内のMn硫化物の形態を、エネルギ分散型X線マイクロアナライザ(EDS)を敷設したSEMを用いて観察した。観察は倍率500倍で反射電子像を100視野撮影し、画像解析を行った。画像解析で検出されたMn硫化物のうち、その面積を円に換算した時の直径が1μm以上のMn硫化物を対象として、個々のMn硫化物の面積とアスペクト比を求めた。そして、対象としたMn硫化物の総面積に対する、アスペクト比が3未満であるMn硫化物の面積率を、Mn硫化物の球状化率とした。
測定された全Mn硫化物の総面積に対するアスペクト比が3未満のMn硫化物の総面積の比(%)を求め、各マークのMn硫化物の球状化率(%)と定義した。
[被削性試験]
球状化焼鈍処理が実施された各マークの直径38mmの丸棒を直径36mmまでピーリング加工して被削性試験片を作製した。被削性試験は、旋削加工時の切削抵抗(N)と、切りくず処理性とを調査した。旋削加工では、JIS規格に準拠したP種の超硬工具(ノーズR=0.8mm)を使用した。超硬工具はコーティング処理されていなかった。切削速度を150m/min、送り速度を0.25mm/rev、切り込みを0.40mmとし、潤滑油を使用せずに旋削加工を実施した。旋削加工を開始してから30秒間連続して行い、30秒後に旋削加工をいったん停止した。停止後、再び旋削加工を開始して、切削抵抗を10秒間測定した。具体的には、工具ホルダーを歪みゲージ式3分力動力計に固定し、主分力、送り分力、背分力を測定した。測定された3分力の合力を求め、求めた値(N)を切削抵抗と定義した。
切りくず処理性は、以下の方法で評価した。切削抵抗を測定中の10秒間で排出された切りくずを回収した。回収された各切りくずの長さを調べ、長いものから順に10個の切りくずを選択した。選択された10個の切りくずの総重量を「切りくず重量」と定義した。切りくずが長くつながった結果、切りくずの総数が10個未満である場合、回収された切りくずの総重量を測定し、10個の個数に換算した値を「切りくず重量」と定義した。たとえば、切りくずの総数が7個であって、その総重量が12gである場合、切りくず重量は、12g×10個/7個、と計算した。
各マークの切りくず重量が15g以下であれば、切りくず処理性が高いと評価した。切りくず重量が15gを超える場合、切りくず処理性が低いと評価した。
[冷間鍛造性試験]
各マークの直径38mmの丸棒のR/2位置から、丸棒試験片を作製した。丸棒試験片は、直径38mmの丸棒のR/2位置を中心とした直径14mm、長さ21mmの試験片であり、丸棒試験片の長手方向は、直径38mmの丸棒の鍛伸軸と平行であった。
各マークごとに8個の丸棒試験片を作製した。冷間圧縮試験には、500ton油圧プレスを使用した。8個の丸棒試験片を使用して圧縮率を段階的に引き上げて冷間圧縮を実施した。具体的には、初期圧縮率で8個の丸棒試験片を冷間圧縮した。冷間圧縮後、各丸棒試験片に割れが発生したか否かを目視により確認した。割れが確認された丸棒試験片を排除した後、残った丸棒試験片(つまり、割れが観察されなかった丸棒試験片)に対して、圧縮率を引き上げて冷間圧縮を再度実施した。実施後、割れの有無を確認した。割れが確認された丸棒試験片を排除した後、残った丸棒試験片に対して、圧縮率を引き上げて冷間圧縮を再度実施した。8個の試験片のうち、割れが確認された丸棒試験片が4個になるまで、上述の工程を繰り返した。8個の試験片のうち、4個の丸棒試験片に割れが確認されたときの圧縮率を「限界圧縮率」と定義した。なお、80%の圧縮率で冷間圧縮を実施した後、割れが確認された丸棒試験片が4個以下である場合、そのマークの鋼の限界圧縮率は「80%」とした。
[疲労試験]
直径60mmの丸棒から、疲労試験片を作製した。初めに、直径60mmの丸棒を焼きならし、組織を均一にした。具体的には、丸棒を加熱炉にて925℃で1時間均熱した。その後、別の加熱炉に移して600℃で1時間均熱した。均熱後、丸棒を放冷した。
熱処理後、図2に示すとおり、丸棒100の鍛錬軸に垂直な方向に沿って、小野式回転曲げ疲労試験片の平行部を含む部分1(以下、試験片部分1という)を作製した。その後、図3に示すように、試験片部分1の両端に、JIS G3101に規定されたSS400に相当する素材からなる掴み部2をレーザ溶接により溶接して、小野式回転曲げ疲労試験片(以下、単に疲労試験片という)を完成した。図3中の各寸法の数値の単位はmmである。図3に示すとおり、疲労試験片の平行部の直径は8mmであり、平行部の長さは20mmであった。丸棒の鍛伸軸に対して垂直方向に延びる疲労試験片を作製した理由は、Mn硫化物が熱間鍛造で延伸された場合には、鍛錬軸に対して垂直な方向に応力が付与されたとき、鋼の疲労強度が最も低くなるからである。
作製された疲労試験片に対して、図4に示すヒートパターンの浸炭処理を実施した。図4中の「Cp」はカーボンポテンシャルを示す。「OQ」は油焼入れを意味する。「AC」は空冷(大気放冷)を意味する。具体的には、疲労試験片に対して、まず930℃でカーボンポテンシャルCpが1.1%の雰囲気で240分浸炭処理し、その後炉内のカーボンポテンシャルCpを0.8に変更して300分浸炭処理を継続した後に、さらに炉温を850℃に下げてカーボンポテンシャルCp0.8のまま20分保持した後、油焼入れが実施された。次に、疲労試験片を180℃で120分均熱して焼戻しを実施した。焼戻し後、疲労試験片を空冷した。
浸炭処理が実施された疲労試験片を用いて、小野式回転曲げ疲労試験を実施した。具体的には、JIS Z2274に準拠した回転曲げ疲労試験を室温(25℃)の大気雰囲気中で実施し、繰り返し数N=10回の疲労限度(MPa)を求めた。以下、繰り返し数N=10回の疲労強度を疲労限度(MPa)という。
[試験結果]
表2に各マークにおける切削抵抗(N)、切りくず処理性、限界圧縮率(%)、絞り(%)、疲労限度(MPa)及びMn硫化物の球状化率(%)を示す。
Figure 0005472063
表2中の「切りくず処理性」欄の「≦15g」は、切りくず重量が15g以下であり、切りくず処理性が高いことを示す。「>15g」は、切りくず重量が15gを超え、切りくず処理性が低いことを示す。
表1及び表2を参照して、マーク1〜16の鋼の化学組成は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であり、かつ、式(1)及び式(2)を満たした。そのため、マーク1〜16のMn硫化物の球状化率は60〜95%の範囲内であった。その結果、マーク1〜16の鋼は、優れた被削性、冷間鍛造性、熱間加工性及び疲労強度を有した。具体的には、マーク1〜16の鋼の切削抵抗は440N未満であり、かつ、マーク1〜16の鋼は優れた切りくず処理性を示した。さらに、マーク1〜16の鋼の限界圧縮率は70%を超えた。さらに、マーク1〜16の鋼の絞りは40%を超えた。さらに、マーク1〜16の鋼の疲労限度は1000MPa以上であり、S含有量が極めて低い、いわゆる清浄度鋼と同等以上の疲労強度を示した。
一方、マーク17、19及び20の鋼はTeを含有しなかった。そのため、球状化率が60%未満であり、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。
マーク18及び21の鋼はCaを含有しなかった。そのため、球状化率が60%未満であり、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。
マーク22の鋼のTe含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のTe含有量の上限を超えた。その結果、熱間加工性が低く、疲労強度も低かった。具体的には、絞りが40%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。
マーク23の化学組成は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であった。しかしながら、マーク23のF1の値は式(1)の上限を超えた。そのため、球状化率が95%を超えた。その結果、マーク23の鋼の被削性が低かった。具体的には、切削抵抗が440N以上であり、切りくず重量が15gを超えた。さらに、熱間加工性も低く、絞り値が40%以下であった。S含有量に対してTe含有量が過剰に多かったため、マトリックス中にTeが固溶したり、FeTeが生成されたものと推定される。
マーク24の化学組成は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であった。しかしながら、マーク24のF1の値は式(1)の下限未満であった。そのため、球状化率が60%未満であり、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。
マーク25のC含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のC含有量の上限を超えた。そのため、マーク25の鋼の被削性が低く、切削抵抗が440N以上であった。さらに、冷間鍛造性も低く、限界圧縮率は70%以下であった。
マーク26の鋼のAl含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のAl含有量の下限未満であった。そのため、球状化率が60%未満であり、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。Al含有量が少なすぎるため、脱酸が不足し、鋼中のCaが酸素と結合してCaOを生成し、Mn硫化物に固溶するCaの量が少なかったためと推定される。
マーク27の鋼のAl含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のAl含有量の上限を超えた。そのため、マーク27の鋼の冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。Al含有量が多すぎるために粗大なAlが生成され、冷間鍛造性及び疲労強度が低下したと推定される。
マーク28の鋼のS含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のS含有量の上限を超えた。そのため、球状化率が60%未満であり、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。
マーク29の鋼のS含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のS含有量の下限未満であった。そのため、マーク29の鋼の被削性が低かった。具体的には、マーク29の鋼の切削抵抗は440N以上であった。また、切りくず重量も15gを超えた。S含有量が少なすぎたため、鋼中のMn硫化物の個数が少なかったと推定される。また、球状化率が95%以上であることも影響したと推定される。
マーク30の鋼のCa含有量は、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼のCa含有量の上限を超えた。そのため、球状化率が95%を超えた。そのため、切削抵抗が440N以上であり、切りくず重量も15gを超えた。さらに、疲労限度も1000MPa未満であった。Ca含有量が多すぎたため、球状化したMn硫化物が増えすぎて被削性が低下し、さらに、CaOが生成されて疲労強度が低下したと推定される。
マーク31の鋼の化学組成は本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の化学組成の範囲内であったものの、F2の値が式(2)の下限未満であった。そのため、球状化率が60%未満となった。そのため、マーク31の熱間加工性は低く、絞り値が40%以下であった。さらに、冷間鍛造性及び疲労強度が低かった。具体的には、限界圧縮率が70%以下であり、疲労限度が1000MPa未満であった。式(1)を満たすものの、式(2)を満たさなかったため、Ca含有量が不足し、Caを固溶したMn硫化物が生成されなかったものと推定される。さらに、Ca含有量に対してTe含有量が多すぎたために、鋼中にTeが固溶したり、FeTeが生成されたものと推定される。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 試験片部分
2 掴み部

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.40〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.008%以上0.040%未満、Al:0.010%を超え0.035%以下、Cr:0.01〜2.0%、Ca:0.0004〜0.0035%、Te:0.0001〜0.0043%、N:0.025%以下、O:0.0005〜0.0040%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たす、冷間鍛造用快削鋼。
    0.05<(Ca+Te)/(S+O)<0.35 (1)
    Ca/Te>0.80 (2)
    ここで、式(1)及び式(2)中の各元素記号には、各元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. Feの一部に代えて、Mo:1.0%以下、V:0.30%以下、B:0.02%以下及びMg:0.0035%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の冷間鍛造用快削鋼。
  3. Feの一部に代えて、Ti:0.06%以下及びNb:0.08%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1又は請求項2に記載の冷間鍛造用快削鋼。



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