JP5556778B2 - 冷間鍛造用快削鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、快削鋼に関し、さらに詳しくは、冷間鍛造用快削鋼に関する。
機械構造用鋼は機械部品の製造に利用される。機械部品は、産業用機械、建設用機械、及び、自動車に代表される輸送用機械、等に用いられる。機械構造用鋼は一般的に、熱間鍛造により粗加工される。粗加工された機械構造用鋼は切削加工されて、所定の形状を有する機械部品に仕上げられる。
熱間鍛造は加熱によるエネルギーロスが大きい。また、切削加工の切削代が多ければ、歩留まりが低下する。そのため、エネルギーロスの低減及び切削代の低減が求められている。冷間鍛造により機械部品が製造される場合、熱間鍛造により機械部品が製造される場合と比較して、エネルギーロスが小さく、切削代も低減できる。
冷間鍛造に利用される鋼(冷間鍛造用鋼)には、冷間鍛造時に割れが発生しにくい特性(以下、冷間鍛造性という)が求められる。
冷間鍛造用鋼にはさらに、被削性も求められる。上述のとおり、冷間鍛造は熱間鍛造と比較して、鋼の切削代を低減できるものの、冷間鍛造後の鋼は多少切削加工されるからである。鋼が硫黄(S)を含有すれば、鋼の被削性が高められることはよく知られている。Sは硫化物系介在物を形成する。硫化物系介在物はたとえば、MnS、CaS等である。硫化物系介在物は、鋼の被削性を高める。
しかしながら、硫化物系介在物の高温における変形抵抗は低く、硫化物系介在物は、熱間加工時に延伸されやすい。延伸された硫化物系介在物は、鋼の冷間鍛造性を低下する。従来の冷間鍛造用鋼は、S含有量を低減することにより冷間鍛造性の低下を抑制していた。そのため、従来の冷間鍛造用鋼の被削性は低かった。
冷間鍛造用鋼の被削性を高めるために、鉛(Pb)又はビスマス(Bi)を含有する冷間鍛造用快削鋼が提案されている。Pb及びBiは、S含有量を低減しても、冷間鍛造性や疲労強度の低下を抑制でき、かつ、優れた被削性を有する。しかしながら、PbやBiは環境に対して好ましいものではなく、単価も高い。そのため、これらの元素を利用せずに、冷間鍛造用鋼の被削性を高める方が好ましい。
特開昭55−141549号公報(特許文献1)、特開昭55−122859号公報(特許文献2)及び特開2004−292929号公報(特許文献3)は、Pb及びBiを含有せずに、優れた被削性を有する冷間鍛造用快削鋼を提案している。
特許文献1及び2に開示された冷間鍛造用鋼は、S及び0.03質量%以下のテルル(Te)を含有し、Te/Sが0.04以上である。特許文献1及び2では、冷間鍛造用鋼が上述の化学組成を有することにより、鋼中のMnSの展伸が抑制され、冷間鍛造性が高まると記載されている。
特許文献3に開示された機械構造用鋼は、0.03質量%以上のSと、Teと、カルシウム(Ca)と酸素(O)とを含有し、Ca/Oが0.8以上であり、Te/Sが0.007以上0.05未満である。このような化学組成を有することにより、冷間鍛造用快削鋼の被削性が向上すると記載されている。
特開昭55−141549号公報 特開昭55−122859号公報 特開2004−292929号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示された冷間鍛造用鋼及び特許文献3に開示された機械構造用鋼では、熱間加工性が低下する場合がある。冷間鍛造用快削鋼は、熱間圧延等の熱間加工によって製造される。そのため、冷間鍛造用快削鋼では、優れた被削性及び冷間鍛造性と共に、優れた熱間加工性も求められる。
本発明の目的は、被削性、冷間鍛造性及び熱間加工性に優れた、冷間鍛造用快削鋼を提供することである。
本発明による冷間鍛造用快削鋼は、質量%で、C:0.10〜0.60%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.35〜1.30%、P:0.03%以下、S:0.005%以上0.030%未満、Cr:0.01〜2.0%、Al:0.010%よりも高く0.070%以下、Ti:0.001〜0.028%、N:0.0080%未満、O:0.0040%以下、Ca:0.0003〜0.0035%、Te:0.0001%以上0.0040%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)〜式(3)を満たす。
SA/SB>0.50・・・(1)
0.030<Te/S<0.15・・・(2)
Ti−3.5N≦0・・・(3)
ここで、式(1)中のSAは、4mm以上の総面積の観察領域における、1mol%以上のCaを含有し、かつ、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。SBは、上記観察領域における、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記冷間鍛造用快削鋼は、Feの一部に代えて、Mo:1.0%以下、V:0.30%以下、B:0.02%以下からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
上記冷間鍛造用快削鋼は、Feの一部に代えて、Mg:0.0035%以下及びNb:0.08%以下の1種以上を含有してもよい。
本発明による冷間鍛造用快削鋼は、優れた被削性、冷間鍛造性及び熱間加工性を有する。
図1Aは、冷間鍛造用快削鋼における、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物のアスペクト比と面積割合との関係を示す図である。 図1Bは、冷間鍛造用快削鋼における、1mol%未満のCaを含有する硫化物系介在物のアスペクト比と面積割合との関係を示す図である。 図2は、硫化物系介在物の反射電子像と、EPMAを用いて硫化物系介在物中に含まれるMn、S、Ca及びTeをマッピング分析した結果とを示す図である。 図3は、冷間鍛造用快削鋼中の任意の領域のSEM像におけるコントラストの明度を複数階調で示した場合の、領域の明度と、対応する明度を有する領域の面積割合との関係を示す図である。 図4は、冷間鍛造用快削鋼中の任意の領域のSEM像の一例を示す模式図である。 図5は、冷間鍛造用快削鋼中のTe含有量と、鋼中の硫化物系介在物に対する1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物の面積割合(F1値)との関係を示す図である。 図6は、冷間鍛造用快削鋼中のF1値と限界圧縮率(%)との関係を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下、元素の含有量の「%」は、断りのない限り、質量%を意味する。
(a)硫化物系介在物は、鋼の被削性を高める。しかしながら、硫化物系介在物の高温での変形抵抗は低い。そのため、硫化物系介在物は、熱間加工により変形しやすく、熱間加工時に延伸されやすい。延伸された硫化物系介在物は、冷間鍛造性を低下する。延伸された硫化物系介在物を含有する鋼を加熱することなく塑性変形させる場合、延伸された硫化物系介在物とマトリクス(母材)との境界にボイドが形成される。複数のボイドが連なれば、き裂が形成される。き裂は、塑性変形が進むにしたがい成長する。そして、き裂同士が連結することにより、割れが発生する。したがって、延伸された硫化物系介在物を多く含む鋼の冷間鍛造性は低い。被削性を維持しつつ、冷間鍛造性を高めるには、硫化物系介在物の高温での変形抵抗を高め、熱間加工時に硫化物系介在物が延伸されにくく、球状を維持できる方が好ましい。なお、本明細書において、硫化物系介在物はたとえば、MnS、CaS等である。
(b)硫化物系介在物は、Caを固溶することにより、高温での変形抵抗を高める。そのため、Caを含有する硫化物系介在物は、熱間加工後でも球状を維持しやすく、アスペクト比(硫化物系介在物の長径L/幅W)が小さい。したがって、冷間鍛造性を高めるために、Caは鋼に含有される。
(c)Ca含有量が1mol%以上である硫化物系介在物のアスペクト比は、Ca含有量が1mol%未満の硫化物系介在物のアスペクト比よりも小さい。
図1A及び図1Bは、本発明の化学組成を有し、かつ、Ca含有量が0.0024%、Te含有量が0.0009%である冷間鍛造用快削鋼における、硫化物系介在物のアスペクト比(L/W)と、各アスペクト比の硫化物系介在物の面積割合(%)との関係を示す。図1Aは、Ca含有量が1mol%以上の硫化物系介在物を対象とした図であり、図1Bは、Ca含有量が1mol%未満の硫化物系介在物を対象とした図である。図1A及び図1Bは次の方法で得られた。
上述の化学組成を有する冷間鍛造用快削鋼を熱間圧延して、丸棒を製造した。丸棒から観察用試料を採取した。採取された試料の表面を鏡面研磨し、被検面を作製した。被検面は、丸棒の長手方向と平行であった。被検面内の硫化物系介在物をSEM(走査型電子顕微鏡)により特定した。より具体的には、500倍の倍率で被検面内の任意の観察領域を100箇所選択した。各観察領域の面積は、254μm×190μmであり、観察領域の総面積は4.8mmであった。各観察領域の反射電子像によって判別されるコントラストに基づいて、硫化物系介在物を特定した。そして、特定された各硫化物系介在物の面積及びアスペクト比を測定した。さらに、特定された各硫化物系介在物の成分の定量分析をEDS(エネルギ分散法)により実施し、硫化物系介在物中のCa含有量を測定した。SEMによる硫化物系介在物の特定方法及びEDSによる硫化物系介在物成分の定量分析方法の詳細は後述する。以上の測定結果に基づいて、図1A及び図1Bを作成した。
図1Aを参照して、Ca含有量が1mol%以上の硫化物系介在物のほとんどは、アスペクト比が3.0未満であった。つまり、Ca含有量が1%以上の硫化物系介在物は、ほぼ球状であった。一方、図3Bを参照して、Ca含有量が1mol%未満の硫化物系介在物のほとんどは、アスペクト比が3.0以上であり、圧延により延伸されていた。
以上より、鋼中の硫化物系介在物のうち、Ca含有量が1mol%以上の硫化物系介在物の割合を増やせば、冷間鍛造性が高まる。
(d)鋼中の微量なTeは、Caが硫化物系介在物に固溶するのを促進する。微量なTe自身も、Caとともに硫化物系介在物に固溶する。Ca及びTeを鋼に含有することにより、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物を増やすことができる。そのため、鋼の冷間鍛造性が高まる。
図2は、Ca及びTeを含有する冷間鍛造用快削鋼に含まれる硫化物系介在物の反射電子像と、EPMAを用いて硫化物系介在物中に含まれるMn、S、Ca及びTeをマッピング分析した結果とを示す図である。図2は次の方法により得られた。本発明の化学組成を満たす冷間鍛造用快削鋼から、観察用試料を採取した。採取された試料の表面を鏡面研磨した。EPMA(電子線マイクロアナライザ)装置を用いて、試料表面内の硫化物系介在物の組成を分析し、図2に示すマッピング分析結果を得た。
図2を参照して、Ca及びTeが含有された場合、Teは硫化物系介在物内にほぼ均一に固溶した。本例では、硫化物系介在物中におけるTe含有量は0.3mol%であった。1mol%以上のCaを含有した硫化物系介在物の組成を分析した結果、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物において、Te含有量は0.1〜1mol%であった。このように、Ca及びTeを含有する硫化物系介在物は球状化しやすいと考えられる。
(e)上述のとおり、Ca及びTeを含有して、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物の割合を増やせば、鋼の冷間鍛造性が高まる。より具体的には、次の式(1)を満たせば、鋼の冷間鍛造性が高まる。
SA/SB>0.50・・・(1)
ここで、式(1)中のSAは、4mm以上の総面積の観察領域における、1mol%以上のCaを含有し、かつ、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。SBは、SAを求めた上記観察領域における、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。
SA及びSBは次の方法で求められる。冷間鍛造用快削鋼(たとえば、棒鋼等の長手方向を有する鋼材)から10mm×10mmの表面を有する試験片を採取する。10mm×10mmの表面を「被検面」とする。試験片を樹脂埋めした後、被検面を鏡面研磨する。被検面は冷間鍛造用鋼の長手方向と平行である。
被検面内の硫化物系介在物をSEM(走査型電子顕微鏡)により特定する。具体的には、500倍の倍率で被検面内の任意の観察領域を100箇所選択する。観察領域の総面積は4mm以上とする。観察領域の総面積はたとえば、4.8mmである。各観察領域において、SEMで観察される反射電子像のコントラストに基づいて、硫化物系介在物を特定する。反射電子像では、観察領域をグレースケール画像で表示する。反射電子像内におけるマトリクス(母材)、硫化物系介在物、酸化物系介在物のコントラストはそれぞれ異なる。
硫化物系介在物を示す明度(複数階調)の数値範囲をSEM及びEDS(エネルギ分散型X線マイクロアナライザ)により予め決定しておく。以下、予め決定された数値範囲を、基準範囲という。次に、観察領域において、明度が基準範囲内の領域を特定する。以下、明度が基準範囲内の領域を硫化物領域という。
図3は、観察領域内のSEM像の明度分布の一例である。図3中の横軸は明度を示し、縦軸は観察領域中の面積割合(%)を示す。図3中の領域A1は酸化物系介在物のコントラストであり、領域A2は硫化物系介在物のコントラストであり、領域A3はマトリクスのコントラストである。
図3中のX1〜X2を基準範囲として決定する。次に、基準範囲X1〜X2の明度の領域を、観察領域から選択する。図4は、観察領域のSEM像の模式図である。図4中、硫化物領域S1〜Sn(nは自然数)は、基準範囲X1〜X2の明度を有する領域であり、この領域は硫化物系介在物に相当する。なお、介在物中I1〜I3中の領域O1〜O3は、酸化物系介在物に相当する領域である。要するに、介在物I1〜I3は、硫化物系介在物及び酸化物系介在物からなる複合介在物である。
次に、特定された各硫化物領域S1〜Snの円相当径を算出する。円相当径とは、各硫化物領域S1〜Snの面積を、同じ面積を有する円に換算した場合の円の直径を意味する。100箇所の観察領域(総面積4mm以上)において、算出された円相当径が1μm以上となる硫化物領域の総面積(μm)を「SB」と定義する。
一方、総面積SAは、以下の方法で算出される。上述の100箇所の観察領域(総面積4mm以上)において、円相当径が1μm以上となる各硫化物領域の成分の定量分析をEDSにより実施する。円相当径が1μm以上の硫化物系介在物を総面積SA及びSBの対象とする理由は、円相当径が1μm未満の硫化物系介在物は、冷間鍛造性に影響しないためである。
EDSによる定量分析では、次の方法により硫化物系介在物の成分を特定する。図4に示すとおり、観察領域中には、単独の硫化物系介在物が存在するだけでなく、硫化物系介在物と酸化物系介在物とを含む複合介在物も存在する。SEM像により特定された硫化物領域が複合介在物中の硫化物系介在物である場合を想定する。この場合、硫化物系介在物を狙ってEDS装置の入射電子を入射しても、硫化物系介在物だけでなく、硫化物系介在物に隣接する酸化物系介在物にも入射電子が当たる場合がある。このような場合、分析結果には硫化物系介在物だけでなく酸化物系介在物の分析値も含まれる。したがって、硫化物系介在物の成分分析結果として多少の誤差が含まれ得る。そこで、EDSにより得られた結果に基づいて、次の方法により、半定量的に硫化物系介在物中のCa量(mol%)を算出する。
本発明の化学組成を有する冷間鍛造用快削鋼の硫化物系介在物は、実質的にCa、Mn、S及びFeを含む可能性がある。実際にはTeも硫化物系介在物に含まれる。しかしながら、硫化物系介在物中のTe含有量は1mol%以下である。そのため、Te含有量はEDSでは特定できない(ただし、上述のとおり、Te含有量はEPMAを用いて特定可能である。)。したがって、EDSにより成分分析を実施する場合、硫化物系介在物に含まれる可能性のある元素は実質的にCa、Mn、S、Feである。
EDSにより、硫化物系介在物の特性X線スペクトルを得る。得られた特性X線スペクトルのピークエネルギから元素を特定し、ピークの高さからその元素の含有量(mol%)を定量する。
定量結果のうち、S含有量(mol%)は全て硫化物系介在物に含まれる。そこで、S含有量に基づいて、硫化物系介在物のS以外の他の成分を特定する。ここで、特性X線スペクトルでは、Ca、Mn、S及びFeのピークエネルギが検出されている可能性がある。
Ca、Mn、S、Feは、化学量論組成ではCaS、MnS、FeSの化合物を形成する。すなわち、CaSは、CaとSとが1:1の化合物である。MnSは、MnとSとが1:1の化合物である。FeSは、FeとSとが1:1の化合物である。特性X線スペクトルで得られたS含有量(mol%)とMn含有量(mol%)とを比較する。S含有量がMn含有量よりも少ない場合、分析された硫化物領域には、Caが含まれないと判断する。この場合、Mn含有量からS含有量を差し引いた差分値(mol%)のMnは、酸化物系介在物に含まれていると考えられる。
一方、S含有量がMn含有量よりも多い場合、S含有量からMn含有量を差し引いた差分値(mol%)に相当するCaが、硫化物領域に含まれると判断する。Ca含有量が差分値(mol%)よりも多い場合、その余剰分のCaは酸化物系介在物に含まれると判断する。
測定されたCa含有量が差分値よりも少ない場合、硫化物領域にはさらにFeが含まれると判断する。
以上の半定量的な測定方法により、1μm以上の円相当径を有する各硫化物領域中のCa含有量(mol%)を特定する。そして、1μm以上の円相当径を有し、かつ、1mol%以上のCaを含有する硫化物領域の総面積(μm)を求め、求めた総面積をSAと定義する。
以上の方法により定義された総面積SB及びSAを利用して、次に示すF1を求める。
F1=SA/SB
図5は、Te含有量とF1値との関係を示す図である。図6は、F1値と限界圧縮率(%)との関係を示す図である。図5及び図6は後述の実施例に記載の方法より得られた。図5は、ほぼ同じCa含有量及びS含有量を有する冷間鍛造用快削鋼におけるTeとF1値との関係を示し、より具体的には、0.0024〜0.0026%のCaと、0.016〜0.017%のSとを含有する冷間鍛造用快削鋼におけるTeとF1値との関係を示す。
図5を参照して、Ca含有量及びS含有量がほぼ同じである場合、Te含有量が増加するほど、F1値が顕著に増加する。つまり、Te含有量が増加するほど、鋼中の硫化物系介在物のうち、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物の割合が増加する。
さらに、図6を参照して、F1値が0.50以下の場合、F1値の増大にともない、限界圧縮率は顕著に増大する。そして、F1値が0.50よりも高い場合、F1値が増大しても、限界圧縮率はそれほど変化しない。
以上より、Teを含有することにより、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物の割合は増える。さらに、F1値が0.50よりも高い場合、つまり、F1値が式(1)を満たす場合、冷間鍛造用快削鋼の冷間鍛造性が高まる。
(f)S含有量に対するTe含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。S含有量に対してTe含有量が高すぎる場合、Teの一部が硫化物系介在物に固溶せず、マトリクス中に固溶したり、FeTeを形成したりする。マトリクス中に固溶したTe及びFeTeは、鋼の熱間加工性を低下する。したがって、マトリクス中に固溶するTe量及びFeTeの生成量は抑制される方が好ましい。上述のとおり、TeはCaの硫化物系介在物への固溶を促進し、Te自身も硫化物系介在物に固溶する。したがって、Te含有量は、Mn硫化物に固溶される程度に抑制されるのが好ましい。冷間鍛造用快削鋼が、式(2)を満たせば、Caの硫化物系介在物への固溶が促進され、かつ、熱間加工性の低下が抑制される。
0.030<Te/S<0.15・・・(2)
式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
(g)Caが含有されず、Teのみが含有される場合であっても、硫化物系介在物にTeが固溶することにより、硫化物系介在物は球状化される。しかしながら、Teのみを含有する場合、Teを多量に含有しなければ、硫化物系介在物は球状化しない。そのため、Caが含有されず、Teを含有して硫化物系介在物を球状化する場合、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、硫化物系介在物を球状化するためには、Ca及びTeを含有するのが好ましい。
(h)TiはNと結合してTi窒化物及び/又はTi炭窒化物を形成する。Ti窒化物及び/又はTi炭窒化物は、オーステナイト結晶粒を微細化して鋼の冷間鍛造性を高める。一方、N含有量に対してTi含有量が高すぎる場合、Nと結合しないTiがTi炭化物を形成する。Ti炭化物は、鋼の冷間鍛造性を低下する。冷間鍛造用快削鋼が式(3)を満たせば、過剰なTiによるTi炭化物の生成が抑制される。さらに、Ti窒化物及び/又はTi炭窒化物の形成により、オーステナイト結晶粒が微細化され、冷間鍛造性が高まる。
Ti−3.5N≦0・・・(3)
ここで、式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
以上の知見に基づいて、本発明者らは、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼を完成した。以下、本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼について詳述する。
[化学組成]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼は、以下の化学組成を有する。
C:0.10〜0.60%
炭素(C)は、鋼の引張強度及び疲労強度を高める。使用される部品に必要な強度レベルに応じて、C含有量が決定される。一方、C含有量が高すぎれば、鋼の冷間鍛造性及び被削性が低下する。したがって、C含有量は0.10〜0.60%である。好ましいC含有量の下限は、0.10%よりも高く、さらに好ましくは、0.15%以上であり、さらに好ましくは、0.18%以上である。好ましいC含有量の上限は、0.60%未満であり、さらに好ましくは0.55%以下であり、さらに好ましくは0.50%以下である。
Si:0.05〜0.5%
シリコン(Si)は、鋼中のフェライトに固溶して、鋼の引張強度を高める。一方、Si含有量が高すぎれば、鋼の冷間鍛造性が低下する。したがって、Si含有量は、0.05〜0.5%である。上記のとおりSiは冷間鍛造性に影響を与える。そのため、必要な強度が得られれば、Si含有量はなるべく低い方が好ましい。Si含有量の好ましい上限は0.5%未満であり、さらに好ましくは0.4%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。
Mn:0.35〜1.30%
マンガン(Mn)は、鋼に固溶して鋼の引張強度及び疲労強度を高める。Mnはさらに、鋼の焼入れ性を高める。Mnはさらに、Sと結合して硫化物系介在物を形成し、鋼の被削性を高める。一方、Mn含有量が高すぎれば、鋼の冷間鍛造性が低下する。また、Mn含有量が低すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.35〜1.30%である。好ましいMn含有量の下限は0.35%よりも高く、さらに好ましくは0.40%以上であり、さらに好ましくは0.60%以上である。好ましいMn含有量の上限は1.30%未満であり、さらに好ましくは1.20%未満であり、さらに好ましくは1.00%未満である。
P:0.03%以下
燐(P)は不純物である。Pは鋼の冷間鍛造性及び熱間加工性を低下する。したがって、P含有量はなるべく低い方が好ましい。P含有量は0.03%以下である。好ましいP含有量は0.03%未満であり、さらに好ましくは0.02%以下であり、さらに好ましくは0.015%以下である。
S:0.005%以上0.030%未満
硫黄(S)は、MnSに代表される硫化物系介在物を形成し、鋼の被削性を高める。一方、S含有量が高すぎれば、Caを固溶しない硫化物系介在物が増加し、鋼の冷間鍛造性が低下する。したがって、S含有量は0.005%以上0.030%未満である。鋼の被削性をさらに高める場合、好ましいS含有量の下限は0.005%よりも高く、さらに好ましくは0.008%以上であり、さらに好ましくは0.010%以上である。鋼の冷間鍛造性をさらに高める場合、好ましいS含有量の上限は0.025%未満であり、さらに好ましくは0.020%未満である。
Cr:0.01〜2.0%
クロム(Cr)は鋼の引張強度を高める。したがって、機械部品の強度を高める目的で、Crは含有される。Crはさらに、鋼の焼入れ性を高める。機械部品の表面は、浸炭処理又は高周波焼入れにより硬化される場合がある。Crは鋼の焼入れ性を高めるため、浸炭処理又は高周波焼入れ後の機械部品の表面硬度を高める。一方、Cr含有量が高すぎれば、鋼の被削性が低下する。したがって、Cr含有量は0.01〜2.0%である。好ましいCr含有量の下限は0.01%よりも高く、さらに好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.10%以上である。好ましいCr含有量の上限は2.0%未満であり、さらに好ましくは1.50%以下であり、さらに好ましくは1.20%以下である。
Al:0.010%よりも高く0.070%以下
アルミニウム(Al)は鋼を脱酸する。鋼中のカルシウム(Ca)は、酸素(O)と結合してCaOを形成しやすい。本実施の形態では、CaOの生成が抑制され、CaSが生成される方が好ましい。なぜなら、1mol%以上のCaを含有した硫化物系介在物は、CaSを核として晶出するからである。Alは上述のとおり鋼を脱酸し、鋼中の溶存酸素量を低減する。そのため、CaOの生成が抑えられ、CaSの生成が促進される。CaSの生成を促進するために、製造工程において、AlはCaよりも先に鋼中に含有されるのが好ましい。Alはさらに、Nと結合して窒化物を形成し、鋼中のN含有量を低減する。一方、Al含有量が高すぎれば、脱酸効果が飽和する。さらに、Alが鋼に固溶して冷間鍛造性が低下する。したがって、Al含有量は、0.010%よりも高く0.070%以下である。好ましいAl含有量の下限は0.020%よりも高く、さらに好ましくは0.040%よりも高い。好ましいAl含有量の上限は、0.070%未満であり、さらに好ましくは0.060%未満であり、さらに好ましくは、0.050%未満である。なお、本明細書でいうAl含有量は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
Ti:0.001〜0.028%
チタン(Ti)は微細な窒化物及び/又は炭窒化物を形成し、ピン止め効果によりオーステナイト結晶粒を微細化する。Tiはさらに、窒化物及び/又は炭窒化物を形成することにより、鋼中のN固溶量を低減する。そのため、Tiは鋼の冷間鍛造性を高める。一方、Ti含有量が高すぎれば、Tiは炭化物を形成し、鋼の冷間鍛造性を低下する。したがって、Ti含有量は0.001〜0.028%である。好ましいTi含有量の下限は0.001%よりも高く、さらに好ましくは0.002%以上であり、さらに好ましくは、0.003%以上である。好ましいTi含有量の上限は0.028%未満であり、さらに好ましくは0.02%以下であり、さらに好ましくは0.015%以下である。
N:0.0080%未満
窒素(N)は、不純物である。鋼中に固溶するNは、鋼の冷間鍛造時の変形抵抗を大きくし、また冷間鍛造性を低下する。したがって、N含有量は0.0080%未満である。好ましいN含有量は、0.0060%未満であり、さらに好ましくは、0.0050%未満である。一方、NとともにTi、又はTi及びNbが含有されることにより、窒化物や炭窒化物が生成される。そのため、オーステナイト結晶粒が微細化され、鋼の冷間鍛造性が高まる。
O:0.0040%以下
酸素(O)は不純物である。Oは粗大な酸化物を形成し、鋼の冷間鍛造性及び被削性を低下する。したがって、O含有量は低い方が好ましい。O含有量は0.0040%以下である。好ましいO含有量は0.0040%未満であり、さらに好ましくは0.0030%未満であり、さらに好ましくは、0.0025%未満である。
Ca:0.0003〜0.0035%
カルシウム(Ca)は、硫化物系介在物に固溶して、硫化物系介在物を球状化する。そのため、Caは鋼の冷間鍛造性を高める。一方、Ca含有量が高すぎる場合、粗大な酸化物が形成される。粗大な酸化物は鋼の被削性及び冷間鍛造性を低下する。したがって、Ca含有量は0.0003〜0.0035%である。好ましいCa含有量の下限は、0.0003%よりも高く、さらに好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.0007%以上である。好ましいCa含有量の上限は0.0035%未満であり、さらに好ましくは0.0030%以下であり、さらに好ましくは0.0025%以下である。
Te:0.0001%以上0.0040%未満
テルル(Te)は硫化物系介在物へのCaの固溶を促進する。したがって、Teは硫化物系介在物を球状化し、鋼の冷間鍛造性を高める。一方、Te含有量が高すぎれば、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Te含有量は0.0001%以上0.0040%未満である。好ましいTe含有量の下限は0.0001%よりも高く、さらに好ましくは0.0005%以上であり、さらに好ましくは0.0008%以上である。好ましいTe含有量の上限は0.0030%未満であり、さらに好ましくは0.0020%未満である。
本実施の形態による冷間鍛造用鋼の残部は鉄(Fe)及び不純物からなる。ここでいう不純物は、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップ、又は製造過程の環境等から混入される元素をいう。本実施の形態において、不純物はたとえば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等である。Cu含有量及びNi含有量は、JIS G4053に規定された機械構造用合金鋼鋼材のうち、クロム鋼(SCr鋼)及びクロムモリブデン鋼(SCM鋼)中のCu含有量及びNi含有量と同程度である。より具体的には、Cu含有量は0.30%以下であり、Ni含有量は0.25%以下である。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、式(1)〜式(3)を満たす。
SA/SB>0.50・・・(1)
0.030<Te/S<0.15・・・(2)
Ti−3.5N≦0・・・(3)
ここで、式(1)中のSAは、4mm以上の総面積の観察領域における、1mol%以上のCaを含有し、かつ、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。SBは、前記観察領域における、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
[式(1)について]
上述のとおり、Ca及びTeを含有して、1mol%以上のCaを含有する硫化物系介在物の割合を増やせば、鋼の冷間鍛造性が高まる。式(1)を満たせば、図6に示すとおり、限界圧縮率が顕著に高くなり、冷間鍛造性が高まる。
[式(2)について]
上述のとおり、Teは、硫化物系介在物の球状化を促進する。したがって、TeとSは密接な関係を有する。F2を次のとおり定義する。
F2=Te/S
ここで、F2中のTe及びSにはそれぞれ、Te含有量(質量%)及びS含有量(質量%)が代入される。F2が小さすぎる場合、S含有量に対するTe含有量が低すぎる。この場合、Caが硫化物系介在物に固溶しにくく、硫化物系介在物が球状化しにくい。そのため、冷間鍛造性が低下する。
一方、F2が大きすぎる場合、S含有量に対するTe含有量が高すぎる。この場合、硫化物系介在物に固溶しなかったTeが、マトリクス中に固溶したり、FeTeを形成したりする。固溶Te量及びFeTe生成量が増加すれば、鋼の熱間加工性が低下する。
F2が式(2)を満たせば、硫化物系介在物が球状化して冷間鍛造性が高まる。さらに、マトリックスへの固溶Fe量及びFeTe生成量が抑えられ、熱間加工性が高まる。好ましいF2値の下限は0.040以上である。好ましいF2値の上限は0.12以下であり、さらに好ましくは0.10以下である。
[式(3)について]
TiはNと結合して微細なTi窒化物及び/又はTi炭窒化物を形成する。微細なTi窒化物及び/又はTi炭窒化物は、オーステナイト結晶粒を微細化して鋼の冷間鍛造性を高める。したがって、Ti含有量とN含有量とは密接な関係を有する。F3を次のとおり定義する。
F3=Ti−3.5N
ここで、F3中の「Ti」及び「N」には、Ti含有量及びN含有量が代入される。
F3が0よりも大きければ、Ti含有量が高すぎる。そのため、Ti炭化物が生成され、鋼の冷間鍛造性が低下する。F3が式(3)を満たせば、つまり、F3が0以下であれば、優れた冷間鍛造性が得られる。好ましいF3値は−0.005以下である。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Feの一部に代えて、Mo、V及びBからなる群から選択された1種以上を含有してもよい。これらの元素はいずれも、鋼の強度を高める。
Mo:1.0%以下
モリブデン(Mo)は、鋼の焼入れ性を高めて鋼の強度を高める。Moはさらに、浸炭処理における不完全焼入れ層の生成を抑制する。Moが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Mo含有量が高すぎれば、鋼の被削性が低下する。さらに、鋼の製造コストも高くなる。したがって、Mo含有量は1.0%以下である。好ましいMo含有量の下限は0.02%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.10%以上である。好ましいMo含有量の上限は1.0%未満であり、さらに好ましくは0.50%以下であり、さらに好ましくは0.30%以下である。
V:0.30%以下
バナジウム(V)は、炭化物を形成し、鋼の引張強度及び疲労強度を高める。V炭化物は、フェライト中に析出して鋼の芯部(表層以外の部分)の強度を高める。Vが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、V含有量が高すぎれば、鋼の冷間鍛造性及び被削性が低下する。したがって、V含有量は0.30%以下である。好ましいV含有量の下限は、0.02%以上であり、さらに好ましくは0.04%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上である。好ましいV含有量の上限は、0.30%未満であり、さらに好ましくは0.20%以下であり、さらに好ましくは、0.10%以下である。
B:0.02%以下
ボロン(B)は鋼の焼入れ性を高め、鋼の引張強度及び疲労強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、B含有量が高すぎれば、その効果は飽和する。したがって、B含有量は0.02%以下である。好ましいB含有量の下限は、0.0005%以上であり、さらに好ましくは、0.001%以上であり、さらに好ましくは、0.002%以上である。好ましいB含有量の上限は、0.02%未満であり、さらに好ましくは0.015%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼はさらに、Feの一部に代えて、Mg及びNbの1種以上を含有する。これらの元素はいずれも、鋼の冷間鍛造性を高める。
Mg:0.0035%以下
マグネシウム(Mg)は、Alと同様に、鋼を脱酸して鋼中の酸化物を微細化する。鋼中の酸化物が微細化されれば、破壊の起点となる粗大酸化物が減少する。そのため、鋼の冷間鍛造性が高まる。Mgが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Mg含有量が高すぎれば、上記効果は飽和し、かつ、鋼の被削性が低下する。したがって、Mg含有量は0.0035%以下である。好ましいMg含有量の下限は0.0001%以上であり、さらに好ましくは0.0003%以上であり、さらに好ましくは0.0005%以上である。好ましいMg含有量の上限は、0.0035%未満であり、さらに好ましくは0.0030%以下であり、さらに好ましくは0.0025%以下である。
Nb:0.08%以下
ニオブ(Nb)は、Tiと同様に、微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を生成してオーステナイト結晶粒を微細化し、鋼の冷間鍛造性を高める。Nbが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。一方、Nb含有量が高すぎれば、上記効果は飽和し、かつ、鋼の被削性が低下する。したがって、Nb含有量は0.08%以下である。好ましいNb含有量の下限は0.01%以上であり、さらに好ましくは0.015%以上であり、さらに好ましくは0.02%以上である。好ましいNb含有量の上限は、0.08%未満であり、さらに好ましくは0.05%未満であり、さらに好ましくは0.04%未満である。
[製造方法]
本実施の形態による冷間鍛造用快削鋼の製造方法を説明する。本実施の形態では、一例として、冷間鍛造用快削鋼からなる機械部品を製造する工程を説明する。
はじめに、上記化学組成を有する溶鋼を製造する。溶鋼の製造方法の一例は次のとおりである。炉内で純鉄とCとを溶融する。さらに、炉内に不活性ガスを導入して復圧する。その後、上記化学組成のうちTi、Al、Ca、Teを除く原料(元素)を溶鋼に添加する。溶鋼から分析用サンプルを採取して成分分析を実施し、Ti、Al、Ca、Te以外の化学組成を調整する。
次に、溶鋼中の溶存酸素量を下げるために、目標とするAl含有量よりも多い量の金属Alを溶鋼に添加する。好ましくは、Alの添加歩留まりを85%として、目標とするAl含有量に応じた金属Alを溶鋼に添加する。金属Alを添加した後、溶鋼温度を保持しながら溶鋼を攪拌し、溶存酸素量を低減する。その後、Tiを溶鋼に添加する。添加するTi量は、目標とする窒素含有量[N]に対して、Ti≦3.5[N]を満たすように決定される。Ti含有量が高すぎれば、冷間鍛造性が低下するためである。Tiを添加した後、Ca及びTeを添加する。Caよりも先にAlを添加するため、溶鋼中の溶存酸素量が低下する。そのため、鋳造前に添加されるCaが酸化物を形成しにくくなり、CaSが生成しやすくなる。
以上のとおり、Al及びTiを溶鋼に添加して、溶鋼を十分に攪拌し、脱酸反応を促進する。その後、溶鋼中にCaを添加する。たとえば、CaSi合金ワイヤを溶鋼中に添加する。その後、Teを溶鋼に添加する。Teよりも前にCaを添加することにより、Caによる溶鋼中の脱硫反応が促進する。
以上の工程により製造された溶鋼は、式(2)及び式(3)を満たす。この溶鋼を造塊法によりインゴット(鋼塊)にする。連続鋳造法により鋳片にしてもよい。インゴット又は鋳片を熱間加工して、ビレット(鋼片)を製造する。ビレットを熱間圧延して、棒鋼又は線材(以下、冷間鍛造用鋼快削鋼材という)を製造する。
製造された冷間鍛造用快削鋼材に対して、球状化焼鈍処理を実施する。球状化焼鈍処理により、鋼の冷間鍛造性が高まる。以上の工程により製造された冷間鍛造用鋼材は式(1)を満たす。
球状化焼鈍処理後、冷間鍛造用快削鋼材に対して冷間鍛造を実施し、粗形状の中間品を製造する。製造された中間品に対して、必要に応じて機械加工によって所定の形状に切削し、さらに周知の条件で、表面硬化処理を実施する。表面硬化処理はたとえば、浸炭処理や窒化処理、高周波焼入れである。表面硬化処理を実施しなくてもよい。
表面硬化処理後の中間品を機械加工により所定の形状に切削し、冷間鍛造用快削鋼からなる機械部品を製造する。
種々の化学組成を有する鋼を製造し、熱間加工性、冷間鍛造性、被削性を調査した。
[試験方法]
表1に示す化学組成を有する鋼番号A1〜A13、B1〜B17、C1及びD1〜D3の溶鋼を真空誘導加熱炉で製造した。
表1中の「F1」欄は、各鋼のF1値を示す。「F2」欄は、各鋼のF2値を示す。「F3」欄は、各鋼のF3値を示す。
表1を参照して、鋼番号A1〜A13、B1〜B17の化学組成は、JIS G4051に記載されたS25C、S43C、S53Cをベースとした。鋼番号C1及びD1〜D3の化学組成は、JIS G4053に記載されたSCM420をベースとした。なお、表1の結果を踏まえて、図5のグラフを作成した。
表1を参照して、鋼番号A1〜A13及びC1の化学組成は、本発明の化学組成の範囲内であった。さらに、F1値が式(1)の範囲内であり、F2値が式(2)の範囲内であり、F3値が式(3)の範囲内であった。
一方、鋼番号B1〜B17及びD1〜D3では、化学組成及びF1値〜F3値のいずれかが、本発明の範囲から外れた。
鋼番号B1、B2及びD1を除く他の鋼番号の溶鋼は、次の方法により製造された。所定量の純鉄とCとを炉内で溶融した。炉内に不活性ガスを導入して復圧した。その後、Ti、Al、Ca、Teを除く原料(元素)を溶鋼に添加した。溶鋼から分析用サンプルを採取して成分分析を実施し、Ti、Al、Ca、Te以外の化学組成を調整した。
次に、Alの添加歩留まりを85%として、目標とするAl含有量に応じたAlを炉内に溶鋼に添加し、溶鋼中の溶存酸素量を下げた。溶鋼を攪拌し、脱酸反応を進めた後、Tiを溶鋼に添加した。Tiを添加した後、CaSi合金ワイヤを溶鋼中に添加した。その後、Teを溶鋼に添加し、溶鋼を製造した。製造された溶鋼を造塊法によりインゴットにした。
鋼番号B1、B2及びD1の溶鋼は、次の方法により製造された。所定量の純鉄とCとを炉内で溶融した。炉内に不活性ガスを導入して復圧した。その後、Ti、Al、Ca、Teを除く原料(元素)を溶鋼に添加した。溶鋼から分析用サンプルを採取して成分分析を実施し、Ti、Al、Ca、Te以外の化学組成を調整した。次に、CaSi合金ワイヤを溶鋼中に添加した。溶鋼を攪拌して脱酸反応を進めた後、Al及びTi、Teを同時に溶鋼に添加し、溶鋼を製造した。製造された溶鋼を造塊法によりインゴットにした。要するに、鋼番号B1、B2及びD1の溶鋼の製造では、他の鋼番号と比較して、Ti、Al、Ca及びTeの添加順序が異なった。
各鋼番号のインゴットを1250℃で2時間加熱した。加熱後のインゴットを熱間鍛造して、二種類の外径を有する複数の丸棒を製造した。具体的には、各マークのインゴットを熱間鍛造して、直径60mmの複数の丸棒と、直径38mmの複数の丸棒を製造した。直径60mmの丸棒の鍛錬比は14.1であり、直径38mmの丸棒の鍛錬比は35であった。熱間鍛造の仕上げ温度は1000℃以上とし、熱間鍛造後、丸棒を大気中で放冷した。
[硫化物系介在物の組成分析]
放冷後の各マークの直径38mmの各マークの丸棒から、F1を求めるための試験片を採取した。具体的には、各丸棒のR/2位置から10mm×10mmの表面を有する試験片を採取した。10mm×10mmの表面を「被検面」とした。被検面は、熱間鍛造時の鍛伸軸(つまり、丸棒の長手方向)と平行であった。この試験片を用いて、上述の方法により、面積率SA及びSBを求めた。得られた面積率SA及びSBを用いて、F1値を求めた。
[熱間加工性試験]
放冷後の各マークの丸棒を用いて、以下の方法により熱間加工性試験を実施した。各マークの直径60mmの丸棒から棒状の引張試験片を、機械加工により作製した。引張試験片は、丸棒のR/2位置(丸棒切断面(円形状)の中心点と外周との間を2等分する点)に中心を有し、直径10mm、長さ130mmであった。熱間加工性試験には、熱間加工再現装置を用いた。熱間加工性試験では、初めに、引張試験片を真空中で高周波加熱し、1250℃で5分間保持した。次に、引張試験片を、10℃/分の冷却速度で900℃まで冷却し、900℃で10秒間保持した。次に、900℃にて高温引張試験を実施し、絞り値(%)を求めた。このときの歪み速度は10秒−1であった。熱間加工性試験では、引張試験片の長さ方向の中央点±10mmの領域(合計20mm)を加熱した。引張試験後、引張試験片を急冷した。引張試験温度を900℃に設定した理由は、Teを含有した鋼は800〜900℃において、絞り値が低くなると推定されるからである。
[球状化焼鈍処理]
各マークの直径38mmの丸棒に対して、球状化焼鈍処理を実施した。具体的には、上述の丸棒を、加熱炉を用いて925℃で1時間均熱した。次に、丸棒を別の加熱炉に移し、600℃で1時間均熱し、均熱後に丸棒を放冷した。次に、丸棒を再び加熱し、765℃で5時間均熱した。均熱後、15℃/hの冷却速度で丸棒を660℃まで冷却した。その後、丸棒を放冷した。
[被削性試験]
球状化焼鈍処理が実施された各鋼番号の直径38mmの丸棒を直径36mmまでピーリング加工した。ピーリング加工された丸棒に対して冷間引抜を実施して、直径31mmの被削性試験片を作製した。冷間引抜での減面率は25.8%であった。
被削性試験は、旋削加工時の超硬工具の逃げ面に現れる工具摩耗量を調査した。旋削加工では、JIS規格に準拠したP種の超硬工具(ノーズR=0.8mm)を使用した。超硬工具はコーティング処理されていなかった。切削速度を150m/min、送り速度を0.20mm/rev、切り込みを0.40mmとした。潤滑油としてエマルジョン型の切削油を使用した。合計7分間の旋削加工を行った後、旋削加工を停止した。そして、工具逃げ面の摩耗量をマイクロスコープを用いて測定した。
[冷間鍛造性試験]
球状化焼鈍処理が実施された各鋼番号の直径38mmの丸棒のR/2位置から、丸棒試験片を作製した。丸棒試験片は、直径38mmの丸棒のR/2位置を中心とした直径14mm、長さ21mmの試験片であり、丸棒試験片の長手方向は、直径38mmの丸棒の鍛伸軸(長手方向)と平行であった。
各鋼番号ごとに8個の丸棒試験片を作製した。冷間圧縮試験には、500ton油圧プレスを使用した。8個の丸棒試験片を使用して圧縮率を段階的に引き上げて冷間圧縮を実施した。具体的には、初期圧縮率で8個の丸棒試験片を冷間圧縮した。冷間圧縮後、各丸棒試験片に割れが発生したか否かを目視により確認した。割れが確認された丸棒試験片を排除した後、残った丸棒試験片(つまり、割れが観察されなかった丸棒試験片)に対して、圧縮率を引き上げて冷間圧縮を再度実施した。実施後、割れの有無を確認した。割れが確認された丸棒試験片を排除した後、残った丸棒試験片に対して、圧縮率を引き上げて冷間圧縮を再度実施した。8個の試験片のうち、割れが確認された丸棒試験片が4個になるまで、上述の工程を繰り返した。8個の試験片のうち、4個の丸棒試験片に割れが確認されたときの圧縮率を「限界圧縮率」と定義した。なお、80%の圧縮率で冷間圧縮を実施した後、割れが確認された丸棒試験片が4個以下である場合、そのマークの鋼の限界圧縮率は「80%」とした。なお、本試験結果を利用して、図6を作成した。
[試験結果]
表2に各鋼番号における逃げ面工具摩耗量(単位はμm、以下、単に摩耗量という)、限界圧縮率(%)及び絞り(%)を示す。
表1及び表2を参照して、鋼番号A1〜A13及びC1の鋼の化学組成は、本発明の化学組成の範囲内であり、かつ、式(1)〜式(3)を満たした。したがって、鋼番号A1〜A13及びC1の鋼は、優れた被削性、冷間鍛造性及び熱間加工性を示した。具体的には、鋼番号A1〜A13及びC1の摩耗量は100μm未満であった。さらに、限界圧縮率は70%以上であり、絞りは40%を超えた。
鋼番号B1及びB2の化学組成は、本発明の範囲内であり、F2値及びF3値は、式(2)及び式(3)を満たした。しかしながら、F1値が式(1)の下限未満となった。溶鋼の製造方法が他の鋼番号の鋼と異なっていたため、F1値が式(1)を満たさなかったと考えられる。そのため、鋼番号B1及びB2では、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B3の化学組成は本発明の範囲内であった。しかしながら、F2値が式(2)の下限未満であった。そのため、F1値も式(1)を満たさなかった。そのため、鋼番号B3では、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B4の化学組成は本発明の範囲内であった。しかしながら、F2値が式(2)の上限を超えた。そのため、鋼番号B4では、絞りが40%以下となり、熱間加工性が低かった。
鋼番号B5の鋼は、Teを含有しなかった。そのため、F2値が式(2)の下限未満となり、F1値が式(1)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B6の鋼は、Caを含有しなかった。そのため、F1値が式(1)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B7の鋼は、Ca及びTeを含有しなかった。そのため、F1値が式(1)を満たさず、F2値が式(2)の下限未満であった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B8のTe含有量は、本発明のTe含有量の上限を超えた。そのため、F2値が式(2)の上限を超えた。そのため、絞りが40%以下となり、熱間加工性が低かった。
鋼番号B9のAl含有量は、本発明のAl含有量の下限未満であった。そのため、Ca含有量及びTe含有量は本発明の範囲内であったにも関わらず、F1値が式(1)の下限未満であった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。Al含有量が少なかったため、CaSが生成されにくく、その結果、硫化物系介在物に固溶するCa量が少なかったためと考えられる。
鋼番号B10のAl含有量は、本発明のAl含有量の上限を超えた。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。Al含有量が高すぎ、粗大な酸化物系介在物が生成されたためと考えられる。
鋼番号B11のS含有量は、本発明のS含有量の上限を超えた。そのため、F1値が式(1)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B12のS含有量は、本発明のS含有量の下限未満であった。そのため、摩耗量が100μm以上であり、被削性が低かった。
鋼番号B13のTi含有量は本発明のTi含有量の上限を超えた。そのため、F3が式(3)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B14の化学組成は本発明の範囲内であった。そして、F1値は式(1)を満たし、F2値は式(2)を満たした。しかしながら、F3値は式(3)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B15のN含有量は本発明のN含有量の上限を超えた。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B16のMn含有量は本発明のMn含有量の上限を超えた。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号B17のS含有量は、本発明のS含有量の下限未満であった。摩耗量が100μm以上であり、被削性が低かった。なお、鋼番号B17はCa及びTeを含有しなかっため、F1値が式(1)の下限未満となり、かつ、F2値が式(2)の下限未満となった。しかしながら、S含有量が低かったため、限界圧縮率は70%以上であった。
鋼番号D1の化学組成は、本発明の範囲内であり、F2値及びF3値は、式(2)及び式(3)を満たした。しかしながら、F1値が式(1)の下限未満となった。溶鋼の製造方法が他の鋼番号の鋼と異なっていたため、F1値が式(1)を満たさなかったと考えられる。そのため、鋼番号D1では、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号D2の鋼は、Ca及びTeを含有しなかった。そのため、F2値は式(2)の下限未満となり、F1値は式(1)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
鋼番号D3の鋼は、Teを含有しなかった。そのため、F2値が式(2)の下限未満となり、F1値が式(1)を満たさなかった。そのため、限界圧縮率が70%未満となり、冷間鍛造性が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.10〜0.60%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.35〜1.30%、P:0.03%以下、S:0.005%以上0.030%未満、Cr:0.01〜2.0%、Al:0.010%よりも高く0.070%以下、Ti:0.001〜0.028%、N:0.0080%未満、O:0.0040%以下、Ca:0.0003〜0.0035%及びTe:0.0001%以上0.0040%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、式(1)〜式(3)を満たす、冷間鍛造用快削鋼。
    SA/SB>0.50・・・(1)
    0.030<Te/S<0.15・・・(2)
    Ti−3.5N≦0・・・(3)
    ここで、式(1)中のSAは、4mm以上の総面積の観察領域における、1mol%以上のCaを含有し、かつ、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。SBは、前記観察領域における、1μm以上の円相当径を有する硫化物系介在物の総面積(μm)である。式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. Feの一部に代えて、Mo:1.0%以下、V:0.30%以下及びB:0.02%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の冷間鍛造用快削鋼。
  3. Feの一部に代えて、Mg:0.0035%以下及びNb:0.08%以下の1種以上を含有する、請求項1又は請求項2に記載の冷間鍛造用快削鋼。
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