JP4232242B2 - 高強度高靱性非調質鋼材 - Google Patents

高強度高靱性非調質鋼材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車部品、機械構造部品等に好適な機械構造用合金鋼材に係り、とくに焼入れ焼戻しの調質処理を必要としない、非調質機械構造用合金鋼材に関する。本発明における鋼材は、棒鋼、線材を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
従来から、とくに高強度、高靱性が要求される部位に使用される機械構造部品や自動車部品には、JIS G 4105に規定されるSCM 435 、SCM 440 鋼材が適用されている。これら鋼材は、通常、圧延および必要に応じ鍛造等の熱間加工を施されて所定の形状に成形されたのち、焼入れ焼戻しの調質処理を施され、ついで切削加工により所定の寸法形状の部品とされる。しかし、調質処理は、製造工程を複雑にし長時間の製造期間を必要としさらに熱処理費用が高価であるなど、生産能率の向上やコスト低減に対し不利な要因となっていた。このような問題に対し、調質処理を必要としない種々の非調質鋼材が提案されている。
【0003】
例えば、特公昭58-9813 号公報には、非調質の鍛鋼品の製造方法が提案されている。この製造方法は、0.3 〜0.6wt %Cの中炭素Mn鋼にV:0.03〜0.20wt%を添加し、熱間鍛造後、調整冷却を施してオーステナイト粒の成長を阻止し、変態時に炭窒化物を析出させて、組織の微細化と高強度化を図ろうとするものである。しかしながら、特公昭58-9813 号公報に記載された製造方法で得られる非調質鍛鋼品は、衝撃値が最大で60J/cm2程度と低靱性であり、さらにS、Pb、Bi、Te、Se、Ce、Ca等の快削元素を多量に添加しないと被削性に劣るという問題があった。
【0004】
また、特開昭61-177318 号公報には、V含有鋼素材を900 ℃以上の温度で加熱し、熱間加工を施したのち、Ar3変態点とAr1変態点の間の温度域を調整冷却して室温まで冷却し、微細なV炭窒化物を均一に析出させ、ついで切削等の加工を施し、加工後時効処理を施して、製品強度の高い非調質鋼製品を得る方法が開示されている。
【0005】
また、特公平6-63025 号公報には、時効処理を実施する高強度高靱性の熱間鍛造用鋼の製造方法が記載されている。この製造方法では、ベイナイトを主体とし少量のマルテンサイト、残留オーステナイトを混在させた組織とし、時効処理でマルテンサイト中の転位の易動度を低減し、高降伏強さを得ようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭61-177318 号公報に記載された方法、あるいは特公平6-63025 号公報に記載された方法で製造された製品は、高強度は得られるものの、靱性は低く、調質処理材並の靱性も得られておらず、高強度高靱性を要求される部品への適用は困難であった。また、調質処理は省略されるが時効処理を必要とするため、熱処理省略とはならず、コストの低減は少ない。
【0007】
本発明は、調質処理を必要とせずに、製品の寸法によらず圧延のままで850MPa以上の引張強さの高強度と高靱性を有し、しかも被削性や耐疲労特性にも優れた非調質鋼材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、大物部品においても、圧延のままで高強度、高靱性を確保でき、しかも被削性に優れた製品を得ることができる鋼組成、組織について鋭意研究した。
まず、本発明者らは、大物部品のような肉厚が厚く、熱間加工後の冷却速度が遅い製品までを対象とする場合には、フェライト+パーライト組織を基本組織とするのが好適であると判断し、フェライト+パーライト組織において、高強度高靱性および優れた被削性を得るための方法について検討した。
【0009】
その結果、炭窒化物を用いたフェライト地の析出強化に加えて、Cuの析出強化を利用することにより、フェライトおよびパーライト両方の強化が可能となり、炭窒化物のみによる強化より、靱性が劣化することなくさらに強度増加が可能となることを見いだした。Cuは、熱間加工後の冷却過程で、オーステナイトがフェライト、パーライトに変態する際に、フェライトおよびパーライト中に析出する。このため、析出のための特別な処理、たとえば時効処理などの熱処理は必要がない。また、Cu析出物は、切削時の発熱により溶融し潤滑剤として作用する。とくにパーライト中に析出した場合には硬質なセメンタイトを切削する際の潤滑剤として作用するため、従来のフェライト+パーライト組織にくらべ大幅な被削性の改善が可能となるという知見を得た。また、Cuを添加することにより鋼中に形成されるCu硫化物、Cu酸化物は、適度に分散させることにより疲労強度を低下させることなく、切削時の亀裂発生源となり切削抵抗が低減するという知見も得た。
【0010】
本発明は、上記した知見に基づき、構成されたものである。
すなわち、本発明は、量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.01〜1.0 %、Mn:0.1 〜2.0 %、S:0.005 %以上0.050 %未満、Ni:0.5 〜5.0 %、Cu:1.0 超〜3.0 %、N:0.0010〜0.020 %、O:0.0010〜0.0050% Al 0.041 %以下を含み、さらにV:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.50%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である組成を有し、かつ組織がフェライトの体積率を20〜80%とするフェライト+パーライト組織であり、引張強さが850 MPa 以上を有することを特徴とする被削性および耐疲労特性に優れた高強度高靱性非調質鋼材である。
【0011】
また、本発明では、前記組成に加え、さらに、量%で、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.03%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成とするのが好ましく、また、本発明では、前記各組成に加え、さらに、量%で、P:0.10%以下、Pb:0.30%以下、Co:0.10%以下、Ca:0.02%以下、Te:0.05%以下、Se:0.10%以下、Sb:0.05%以下、Bi:0.30%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成とするのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の非調質鋼材は、引張強さが850 MPa 以上を有する被削性および耐疲労特性に優れた高強度高靱性非調質鋼材である。まず、化学組成についてその限定理由を説明する。
C:0.30〜0.60%
Cは、鋼を強化する元素であり、所望の強度に応じ含有する。また、V、Ti、Nb等の炭化物形成元素と結合し炭化物あるいは炭窒化物を形成し基地組織を強化する。基地組織の強化のためには、0.30%以上の含有を必要とするが、0.60%を超える含有は、炭化物の過剰な析出を招くとともに、フェライト分率を低下させ靱性を劣化させる。このようなことから、Cは0.30〜0.60%の範囲に限定した。
【0013】
Si:0.01〜1.0 %
Siは、脱酸剤として作用するとともに、基地組織に固溶し鋼を強化する。このような作用は、0.01%以上の含有で認められるが、一方、1.0 %を超える含有は靱性を低下させる。このため、Siは0.01〜1.0 %の範囲に限定した。
Mn:0.1 〜2.0 %
Mnは、鋼を強化する元素であり、本発明では強度確保の観点から0.1 %以上の含有を必要とする。一方、2.0 %を超える含有は靱性、被削性を劣化させる。このため、Mnは0.1 〜2.0 %の範囲に限定した。
【0014】
S:0.005 %以上0.050 %未満
Sは、Cu等と硫化物を形成し被削性を向上させる元素であり、本発明では0.005 %以上含有させる。しかし、0.050 %以上含有すると、靱性、耐疲労特性が大幅に劣化する。このため、Sは0.005 %以上0.050 %未満に限定した。
Ni:0.5 〜5.0 %
Niは、強度と靱性をともに向上させる有効な元素であり、さらにCuと共存する場合にはCuによる熱間脆性を防止するのに有効に作用する。このような効果は含有量が0.5 %以上で認められる。一方、5.0 %を超える含有は、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できない。このため、Niは0.5 〜5.0 %の範囲に限定した。
【0015】
Cu:1.0 超〜3.0 %
Cuは、熱間加工後の冷却過程で析出し、炭窒化物とともにフェライト組織を強化する効果がある。炭窒化物はフェライトのみを強化するのに対し、Cuはフェライトおよびパーライトを強化する。また、Cuは、S、Oと硫化物、酸化物を形成し、切削時の応力集中源として作用し、切削応力を低下させる効果がある。さらに、フェライトおよびパーライト中に析出したCuは、切削時の発熱で溶融し、潤滑剤として作用するため、被削性が向上するとともに、切削工具の寿命を延長するという効果も有している。これらの効果は1.0 %超えの含有で認められるが、3.0 %を超える含有は耐疲労特性、靱性を劣化させる。このため、Cuは1.0 超〜3.0 %の範囲に限定した。
【0016】
N:0.0010〜0.020 %
Nは、V、Ti、Nb等と窒化物あるいは炭窒化物を形成しフェライトの強化に寄与する。このためには、Nは0.0010%以上の含有が必要であるが、0.020 %を超える含有は、フェライトを強化する効果は飽和し、含有量に見合う効果が期待できないうえ、固溶Nが増加し靱性が劣化する。このようなことから、Nは0.0010〜0.020 %の範囲に限定した。
【0017】
O:0.0010〜0.0050%
Oは、Cu等の元素と結合し酸化物を生成し、被削性を向上させる。このためには、Oは0.0010%以上の含有が必要となる。一方、0.0050%を超える含有は、靱性と耐疲労特性が劣化する。このため、Oは0.0010〜0.0050%の範囲に限定した。
【0018】
V:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.50%のうちから選ばれた1種または2種以上
V、Nb、Tiは、いずれもオーステナイトから変態したフェライト中に炭窒化物として析出しフェライトを強化する効果を有する。本発明では、V、Nb、Tiのうちの1種または2種以上を含有できる。このような効果は、いずれも0.01%以上の含有で認められるが、0.50%を超える含有はいずれも靱性を低下させる。このため、V、Nb、Tiは、いずれも0.01〜0.50%の範囲に限定した。
【0019】
Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.03%以下のうちの1種または2種以上
Cr、Mo、Bは、いずれも強度増加に有効な元素であり、高靱性を保ったまま強度を向上させる目的で必要に応じ添加する。
Crは、強度増加に有効に作用するが、1.0 %を超えて含有すると靱性が低下する。このため、Crは1.0 %以下に限定するのが望ましい。
【0020】
Moは、常温および高温の強度を増加させる作用を有しているが、高価であるため1.0 %以下に限定するのが望ましい。
Bは、焼入れ性を向上させて強度を増加させる元素であるが、0.03%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できない。そのため、Bは0.03%以下に限定するのが望ましい。
【0021】
P:0.10%以下、Pb:0.30%以下、Co:0.10%以下、Ca:0.02%以下、Te:0.05%以下、Se:0.10%以下、Sb:0.05%以下、Bi:0.30%以下のうちの1種または2種以上
本発明では、Cu、O、Sを適正範囲に調整することにより良好な被削性が得られるが、さらなる被削性の向上のために、P、Pb、Co、Ca、Te、Se、Sb、Bi等の元素を添加してもよい。
【0022】
P、Pb、Co、Ca、Te、Se、Sb、Biは、いずれも被削性を向上させる元素であり、必要に応じこれらのうちから1種または2種以上を添加できる。
Pは、被削性を向上させる元素であるが、多量に添加すると靱性が劣化するため、0.10%以下に限定するのが好ましい。
Pbは、融点が低く切削時の鋼材の発熱で溶融し液体潤滑作用により被削性を向上させる。しかし、0.30%を超えるPbの添加は靱性を劣化させるため、0.30%以下に限定するのが好ましい。
【0023】
Coは、被削性を向上させるが、多量のCoの添加は靱性を劣化させるため、0.10%以下に限定するのが好ましい。
Caは、非金属介在物を生成し被削性を向上させるが、多量のCaの添加は靱性を劣化させるため、0.02%以下に限定するのが好ましい。
Teは、被削性を向上させるが、多量のTeの添加は靱性を劣化させるため、0.05%以下に限定するのが好ましい。
【0024】
Seは、Mnと結合しMnSeを形成し、チップブレーカとして作用することにより被削性を向上させるが、多量のSeの添加は靱性を劣化させるため、0.10%以下に限定するのが好ましい。
Sbは、被削性を向上させるが、多量のSbの添加は靱性を劣化させるため、0.05%以下に限定するのが好ましい。
【0025】
Biは、被削性を向上させるが、多量のBiの添加は靱性を劣化させるため、0.30%以下に限定するのが好ましい。
Al は、鋼の脱酸剤として作用し、本発明では 0.041 %以下含有させる
なお、本発明の非調質鋼材は、上記した化学成分以外は残部Feおよび不可避的不純物である。
また、本発明の非調質鋼材は、フェライト+パーライト組織を有する。
【0026】
組織が、フェライト+パーライト以外のマルテンサイト、ベイナイトあるいはそれらの混合組織などの低温変態組織では、圧延のままで、炭窒化物の析出強化を効果的に利用することはできない。またさらに、直径100mm φ以上のような大径棒鋼における場合では、基地組織として低温変態組織を利用すると、断面内の組織を均一な組織とすることが困難となるうえ、冷却中に発生する熱応力と変態に伴い発生する変態応力の影響で、内部割れが発生しやすくなる。このようなことから、本発明では、基地組織をフェライト+パーライト組織とした。
【0027】
また、本発明では、組織のフェライト体積率を20〜80%とする。
フェライト体積率が20%未満では、調質処理を施した合金鋼材と同等以上の靱性を確保することができない。また、フェライト体積率が80%を超えると、強度が低下し目標の引張強さ850MPa以上を満足しなくなる。このようなことから、フェライト体積率を20〜80%の範囲に限定した。
【0028】
本発明の非調質鋼材の製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、通常公知の転炉、電気炉等の溶製炉で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法で所定の寸法形状のブルーム等の圧延素材とする。ついで、好ましくは1000〜1300℃に再加熱し、あるいは加熱することなく、熱間圧延により所定の寸法形状の鋼材とする。熱間圧延条件についてはとくに限定する必要はないが、圧延終了温度は 750℃以上とするのが、組織をフェライト+パーライトとする観点から望ましい。圧延終了後、750 〜 400℃の温度域を冷却速度0.01〜0.5 ℃/sで冷却するのが望ましい。0.5 ℃/sを超える冷却速度では、基地組織をフェライト+パーライト組織とすることが困難となる。また、冷却速度が0.01℃/s未満では、フェライト体積率が大きくなりすぎ強度が低下し、また結晶粒が粗大化し、靱性が低下する。
【0029】
【実施例】
表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でブルーム(寸法:420 ×600mm )とした。これらブルームを1000〜1150℃に加熱し、熱間圧延により50mmφ、150mm φ、350mm φの棒鋼とした。なお、圧延終了温度は750 〜 850℃であった。圧延終了後、室温まで冷却した。なお750 〜400 ℃の温度域の冷却速度を0.008 〜0.9 ℃/sの範囲に調整した。
【0030】
なお、従来例として、棒鋼 No.32〜No.37 については、圧延後室温まで冷却したのち、880 ℃に再加熱後、60℃の油中に焼入れし、ついで580 ℃で焼戻処理を行った。
得られた棒鋼について、引張特性、衝撃特性、耐疲労特性、被削性について調査した。
【0031】
引張特性は、棒鋼径の1/4 深さ位置から採取したJIS 4 号引張試験片を用いて、引張試験を実施し、降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、伸び(El)、絞り(RA)を求めた。
衝撃特性は、棒鋼径の1/4 深さ位置から採取したJIS 3 号シャルピー衝撃試験片を用いて、+20℃で衝撃試験を実施し、衝撃値( uE20)を求めた。
【0032】
耐疲労特性は、棒鋼から採取したJIS 1 号平滑試験片を用いて回転曲げ疲労試験(回転数3500rpm )を実施し、疲労強度(107 強度)を求めた。疲労限度比は疲労強度/引張強さで求めた。
被削性は、各棒鋼について、超硬工具を用いた外周旋削を実施し、工具寿命を求めた。外周旋削は、旋削速度250m/min、切込み2mm 、送り量0.30mm/revの条件で無潤滑で実施し、工具の逃げ面摩耗量が0.2mm となるまでの累積旋削時間(s) を工具寿命とした。
【0033】
調査結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004232242
【0035】
【表2】
Figure 0004232242
【0036】
【表3】
Figure 0004232242
【0037】
【表4】
Figure 0004232242
【0038】
本発明例は、50mmφから350mm φという製品サイズの相違にもかかわらず、いずれも引張強さ850MPa以上の高強度と、衝撃値 uE20 120J/cm2 以上の高靱性、疲労限度比0.53以上の高耐疲労特性を有し、さらに工具寿命が調質鋼材(棒鋼No.32 〜37)の5倍以上の高被削性を有することがわかる。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、強度、靱性、耐疲労特性、被削性のいずれかが低下している。
【0039】
フェライト体積率が20%未満の棒鋼No. 4 は、衝撃値が低下し、フェライト体積率が80%超えの棒鋼No. 5 は、強度が低下している。また、S含有量が本発明の範囲を低く外れる棒鋼No. 23は、被削性が低下し、S含有量が本発明の範囲を高く外れる棒鋼No. 24は、延性、靱性および耐疲労特性が劣化している。また、Cu含有量が本発明の範囲を低く外れる棒鋼No. 25は、強度、耐疲労特性、被削性が低下し、Cu含有量が本発明の範囲を高く外れる棒鋼No. 26は、靱性および耐疲労特性が劣化している。V含有量が本発明の範囲を低く外れる棒鋼No. 27は、強度が低下している。また、O含有量が本発明の範囲を低く外れる棒鋼No. 28は、被削性が低下し、O含有量が本発明の範囲を高く外れる棒鋼No. 29は、靱性および耐疲労特性が低下している。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、熱間加工後の調質処理を施すことなく、圧延のままで、引張強さ850MPa以上の高強度と、衝撃値 uE20 120J/cm2 以上の高靱性と、疲労限度比0.53以上の高耐疲労特性とを有し、さらに工具寿命が調質処理鋼材の5倍以上の高被削性を有し、JIS 規格合金鋼調質処理材の特性と同等以上の特性を有する非調質鋼材を得ることができる。本発明の非調質鋼材は、大物部品に適用される場合にも優れた強度と靱性バランスを有し、高強度高靱性を要求される自動車用重要部品、シャフト類、バネ類などの各種機械部品に適用でき、産業上格段の効果を奏する。

Claims (3)

  1. 量%で、
    C:0.30〜0.60%、 Si:0.01〜1.0 %、
    Mn:0.1 〜2.0 %、 S:0.005 %以上0.050 %未満、
    Ni:0.5 〜5.0 %、 Cu:1.0 超〜3.0 %、
    N:0.0010〜0.020 %、 O:0.0010〜0.0050%
    Al 0.041 %以下
    を含み、さらにV:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.50%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部 Fe および不可避的不純物である組成を有し、かつ組織がフェライトの体積率を20〜80%とするフェライト+パーライト組織であり、引張強さが850 MPa 以上を有することを特徴とする被削性および耐疲労特性に優れた高強度高靱性非調質鋼材。
  2. 前記組成に加え、さらに、量%で、Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.03%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高強度高靱性非調質鋼材。
  3. 前記組成に加え、さらに、量%で、P:0.10%以下、Pb:0.30%以下、Co:0.10%以下、Ca:0.02%以下、Te:0.05%以下、Se:0.10%以下、Sb:0.05%以下、Bi:0.30%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度高靱性非調質鋼材。
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