JPH0772323B2 - 熱間鍛造用の非調質棒鋼 - Google Patents
熱間鍛造用の非調質棒鋼Info
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- JPH0772323B2 JPH0772323B2 JP60080883A JP8088385A JPH0772323B2 JP H0772323 B2 JPH0772323 B2 JP H0772323B2 JP 60080883 A JP60080883 A JP 60080883A JP 8088385 A JP8088385 A JP 8088385A JP H0772323 B2 JPH0772323 B2 JP H0772323B2
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- steel
- heat treated
- hot forging
- strength
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、鍛造後の焼入れ−焼戻し等の熱処理が不要な
熱間鍛造用の非調質棒鋼に関する。
熱間鍛造用の非調質棒鋼に関する。
〈従来の技術〉 従来、自動車や建設機械に用いられる機械構造用部品
は、機械構造用炭素鋼や合金鋼を素材鋼として、これを
熱間鍛造した後、再加熱し、焼入れ−焼戻し等の調質処
理を施して、目的、用途に応じた強度特性を付与して製
造されている。しかし、上記熱処理における多大の熱エ
ネルギーのための費用、処理工程の増加、仕掛り品の増
大等のために、上記機械構造用部品の製造費用が高くな
らざるを得ない。
は、機械構造用炭素鋼や合金鋼を素材鋼として、これを
熱間鍛造した後、再加熱し、焼入れ−焼戻し等の調質処
理を施して、目的、用途に応じた強度特性を付与して製
造されている。しかし、上記熱処理における多大の熱エ
ネルギーのための費用、処理工程の増加、仕掛り品の増
大等のために、上記機械構造用部品の製造費用が高くな
らざるを得ない。
そこで、近年、鍛鋼品の製造において、製造工程を簡略
化、特に、焼入れ−焼戻し工程省略するために、JISG40
51に規定された機械構造用炭素鋼やJSIG4106に規定され
た機械構造用マンガン鋼及びマンガンクロム鋼に微量の
V、Nb、Ti等の析出硬化型合金元素を添加したいわゆる
熱間鍛造用非調質鋼を素材とし、熱間鍛造時の加熱と鍛
造およびその後の冷却によって、調質処理がいらずその
ままで所要の特性を得ることができる非調質鍛鋼品が注
目されており、一部では既に実用化されている。
化、特に、焼入れ−焼戻し工程省略するために、JISG40
51に規定された機械構造用炭素鋼やJSIG4106に規定され
た機械構造用マンガン鋼及びマンガンクロム鋼に微量の
V、Nb、Ti等の析出硬化型合金元素を添加したいわゆる
熱間鍛造用非調質鋼を素材とし、熱間鍛造時の加熱と鍛
造およびその後の冷却によって、調質処理がいらずその
ままで所要の特性を得ることができる非調質鍛鋼品が注
目されており、一部では既に実用化されている。
通常、このような非調質鍛鋼品は、1100〜1350℃の温度
から鍛造し始め、1000〜1300℃の温度で鍛造を終了した
後、大気中放冷、衝風冷却または噴水冷却して製造され
ている。
から鍛造し始め、1000〜1300℃の温度で鍛造を終了した
後、大気中放冷、衝風冷却または噴水冷却して製造され
ている。
〈発明が解決しようとする問題点〉 ところが、既に実用化されている前述の熱間鍛造用非調
質鋼を素材として製造されている非調質鍛鋼品は、調質
鍛鋼品に比較すると同一の強度は確保されるが、靭性や
延性は劣る。これは、非調質鍛鋼品の強度が主にパーラ
イトの強度とVやNb等の炭窒化物の析出による強度によ
って確保されていることと、組織が粗いオーステナイト
粒から変態したフェライト・パーライトであることに起
因する。このため、素材鋼のC,MnおよびV等の化学成分
比率の最適化や鍛造温度の低温化等により、靭性や延性
の改善が試みられているが、調質鍛鋼品と同等の靭性や
延性を確保できるまでには至っていない。特に、従来の
熱間鍛造用非調質鋼を素材とした場合、引張強さが90kg
f/mm2以上になると室温における2mmUノッチシャルピー
衝撃試験の吸収エネルギーは3.2kgf・m以下にまで極端
に低下し、構造用材料として十分な靭性を発揮し得な
い。
質鋼を素材として製造されている非調質鍛鋼品は、調質
鍛鋼品に比較すると同一の強度は確保されるが、靭性や
延性は劣る。これは、非調質鍛鋼品の強度が主にパーラ
イトの強度とVやNb等の炭窒化物の析出による強度によ
って確保されていることと、組織が粗いオーステナイト
粒から変態したフェライト・パーライトであることに起
因する。このため、素材鋼のC,MnおよびV等の化学成分
比率の最適化や鍛造温度の低温化等により、靭性や延性
の改善が試みられているが、調質鍛鋼品と同等の靭性や
延性を確保できるまでには至っていない。特に、従来の
熱間鍛造用非調質鋼を素材とした場合、引張強さが90kg
f/mm2以上になると室温における2mmUノッチシャルピー
衝撃試験の吸収エネルギーは3.2kgf・m以下にまで極端
に低下し、構造用材料として十分な靭性を発揮し得な
い。
そこで、本発明の目的は、添加元素を有効に含み、鍛造
後の調質熱処理が不要で、高強度でしかも優れた靭性と
延性を有し、さらに焼入性や切削性の良い熱間鍛造用非
調質棒鋼を提供することである。
後の調質熱処理が不要で、高強度でしかも優れた靭性と
延性を有し、さらに焼入性や切削性の良い熱間鍛造用非
調質棒鋼を提供することである。
〈問題点を解決するための手段〉 発明者らは、従来の非調質鋼に高強度と優れた靭性およ
び延性を付与する元素を種々の成分比率で添加して供試
鋼とし、これらの供試鋼について引張試験やシャルピー
衝撃試験等を行ない、研究を重ねた結果、熱間鍛造後冷
却された状態で供試鋼の組織がマンテンサイト、ベイナ
イトあるいはマルテンサイト・ベイナイトを呈するよう
な最適の化学成分比率を見出し、本発明を構成するに至
った。この第1の発明の熱間鍛造用非調質棒鋼は、C:0.
05〜0.15重量%(以下重量%)、Si:0.05〜1.00%、Mn:
1.30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸可溶Al:0.015〜0.0
60%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003〜0.0050%を含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する。
び延性を付与する元素を種々の成分比率で添加して供試
鋼とし、これらの供試鋼について引張試験やシャルピー
衝撃試験等を行ない、研究を重ねた結果、熱間鍛造後冷
却された状態で供試鋼の組織がマンテンサイト、ベイナ
イトあるいはマルテンサイト・ベイナイトを呈するよう
な最適の化学成分比率を見出し、本発明を構成するに至
った。この第1の発明の熱間鍛造用非調質棒鋼は、C:0.
05〜0.15重量%(以下重量%)、Si:0.05〜1.00%、Mn:
1.30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸可溶Al:0.015〜0.0
60%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003〜0.0050%を含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する。
また、この第2の発明の焼入性向上を図った熱間鍛造用
非調質棒鋼は、上記第1の発明のCからBまでの各元素
を同一比率範囲で含み、さらにNb:≦0.20%,Mo:≦0.50
%,V:≦0.30%の少なくとも一種を含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする。
非調質棒鋼は、上記第1の発明のCからBまでの各元素
を同一比率範囲で含み、さらにNb:≦0.20%,Mo:≦0.50
%,V:≦0.30%の少なくとも一種を含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする。
また、この第3の発明の切削性改善を図った熱間鍛造用
非調質棒鋼は、上記第1の発明のCからBまでの各元素
を同一比率範囲で含み、さらにS:≦0.12%,Pb:≦0.30
%,Ca:≦0.01%,T:≦0.10%の少なくとも一種を含み、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る。
非調質棒鋼は、上記第1の発明のCからBまでの各元素
を同一比率範囲で含み、さらにS:≦0.12%,Pb:≦0.30
%,Ca:≦0.01%,T:≦0.10%の少なくとも一種を含み、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る。
また、この第4の発明の焼入性向上と切削性改善を図っ
た熱間鍛造用非調質棒鋼は、上記第2の発明のCからV
までの各元素を同一比率範囲で含むとともに、上記第3
の発明のSからTeまでの各元素を同一比率範囲で含み、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る。
た熱間鍛造用非調質棒鋼は、上記第2の発明のCからV
までの各元素を同一比率範囲で含むとともに、上記第3
の発明のSからTeまでの各元素を同一比率範囲で含み、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る。
以下、本発明の化学成分限定理由について述べる。
Cは、V,Nbなどの炭窒化物の析出強化を利用する従来の
熱間鍛造用非調質鋼においては、鍛造のままで所要の強
度を確保するために0.25〜0.60%程度含有させる必要が
あった。これは強度の確保を主としてパーライトの強度
と炭窒化物の析出による強度に依存しているためであ
る。しかし、本発明鋼においては、主としてマルテンサ
イトベイナイト析出により強化で鍛造後の強度を確保し
ているため低炭素化が可能である。靭性の向上に対して
はC含有量を少なくする程効果があるが、0.05%よりも
少ないと、マルテンサイトやベイナイトを析出させるた
めにMnやCrなどの焼入性向上元素を多く添加する必要が
あり、不経済なので、下限を0.05%とする。一方、0.15
%を越えて含有させると、所要の強度は得やすいが、靭
性の劣化が増大するので、上限を0.15%とする。
熱間鍛造用非調質鋼においては、鍛造のままで所要の強
度を確保するために0.25〜0.60%程度含有させる必要が
あった。これは強度の確保を主としてパーライトの強度
と炭窒化物の析出による強度に依存しているためであ
る。しかし、本発明鋼においては、主としてマルテンサ
イトベイナイト析出により強化で鍛造後の強度を確保し
ているため低炭素化が可能である。靭性の向上に対して
はC含有量を少なくする程効果があるが、0.05%よりも
少ないと、マルテンサイトやベイナイトを析出させるた
めにMnやCrなどの焼入性向上元素を多く添加する必要が
あり、不経済なので、下限を0.05%とする。一方、0.15
%を越えて含有させると、所要の強度は得やすいが、靭
性の劣化が増大するので、上限を0.15%とする。
Siは、脱酸とフェライト地の強化のため0.05%以上含有
させる必要があるが、1.00%を越えて多量に含有させる
と靭性と切削性が低下するので、上限を1.00%とする。
させる必要があるが、1.00%を越えて多量に含有させる
と靭性と切削性が低下するので、上限を1.00%とする。
Mnは、焼入性向上に大きく寄与する元素で、本発明鋼に
は必須の元素である。鍛造後冷却された状態で組織の主
体を低炭素のマルテンサイトやベイナイトにするために
は、他の元素の添加量にもよるが少なくとも1.30%の含
有量は必要である。しかし、2.50%を越えて含有させて
も、組織変化は生せず上限を2.50%とした。
は必須の元素である。鍛造後冷却された状態で組織の主
体を低炭素のマルテンサイトやベイナイトにするために
は、他の元素の添加量にもよるが少なくとも1.30%の含
有量は必要である。しかし、2.50%を越えて含有させて
も、組織変化は生せず上限を2.50%とした。
Crも、Mnと同様に焼入性向上元素であり、同様にマルテ
ンサイトやベイナイト組織を適切に得るために、含有量
を0.30〜2.00%の範囲に限定した。
ンサイトやベイナイト組織を適切に得るために、含有量
を0.30〜2.00%の範囲に限定した。
酸可溶Alは、脱酸効果と結晶粒度の微細化に有効である
が、この効果を有効に発揮させるためには少なくとこ0.
015%を含有させる必要がある。しかし、0.060%を越え
て多量に含有させてもその効果が飽和し、また被削性に
関しても有害な影響を与えるので、含有量を0.015〜0.0
60%の範囲に限定した。
が、この効果を有効に発揮させるためには少なくとこ0.
015%を含有させる必要がある。しかし、0.060%を越え
て多量に含有させてもその効果が飽和し、また被削性に
関しても有害な影響を与えるので、含有量を0.015〜0.0
60%の範囲に限定した。
Tiは、強力な炭窒化物形成元素であり、遊離Nの固定に
有効である。本発明鋼はBの含有を必須としており、B
の焼入性向上効果を十分に発揮させるには、鋼中のNを
固定し、遊離Nができる限り存在しないようにしなけれ
ばならない。また、Tiの酸窒化物は鍛造時のオーステナ
ト結晶粒の粗大化を抑制するので、製造後主として析出
したマルテンサイト、ベイナイトまたはマルテンサイト
・ベイナイト組織も微細化され、靭性が向上する。この
ような効果を発揮させるためには、0.01%以上含有させ
る必要があるが、0.100%の越えて含有されると被削性
を低下させるので、上限を0.100%とする。
有効である。本発明鋼はBの含有を必須としており、B
の焼入性向上効果を十分に発揮させるには、鋼中のNを
固定し、遊離Nができる限り存在しないようにしなけれ
ばならない。また、Tiの酸窒化物は鍛造時のオーステナ
ト結晶粒の粗大化を抑制するので、製造後主として析出
したマルテンサイト、ベイナイトまたはマルテンサイト
・ベイナイト組織も微細化され、靭性が向上する。この
ような効果を発揮させるためには、0.01%以上含有させ
る必要があるが、0.100%の越えて含有されると被削性
を低下させるので、上限を0.100%とする。
Bは、周知の如く微量添加で亜共析鋼の焼入性を大幅に
向上させるため、低炭素のマルテンサイト,ベイナイト
またはマルテンサイト・ベイナイト組織を得るのに特に
有効な元素である。焼入性の向上は、Mo,Mn,Cr,Ni,Cu等
の焼入性向上元素を多量に含有させることによっても可
能であるが、その場合、これらの合金元素添加によって
鋼材費が、通常の焼入れ・焼戻し処理を施した調質の機
械構造用鋼や低合金鋼の価格を上廻り、非調質化のメリ
ットが失われてしまう。そのため、Bの添加は必須であ
り、安定した焼入性向上効果を得るために、その含有量
を0.0003〜0.0050%の範囲に限定した。
向上させるため、低炭素のマルテンサイト,ベイナイト
またはマルテンサイト・ベイナイト組織を得るのに特に
有効な元素である。焼入性の向上は、Mo,Mn,Cr,Ni,Cu等
の焼入性向上元素を多量に含有させることによっても可
能であるが、その場合、これらの合金元素添加によって
鋼材費が、通常の焼入れ・焼戻し処理を施した調質の機
械構造用鋼や低合金鋼の価格を上廻り、非調質化のメリ
ットが失われてしまう。そのため、Bの添加は必須であ
り、安定した焼入性向上効果を得るために、その含有量
を0.0003〜0.0050%の範囲に限定した。
Nb,Mo,Vは、いずれも鍛造前の加熱でオーステナイト組
織中に固溶し、少量の含有量では焼入性向上に有効なの
で、必要に応じて添加するものとし、夫々の含有量の上
限を0.20%,0.50%,0.30%とした。
織中に固溶し、少量の含有量では焼入性向上に有効なの
で、必要に応じて添加するものとし、夫々の含有量の上
限を0.20%,0.50%,0.30%とした。
S,Pb,Ca,Teは、いずれも鋼の被削性(切削性)を改善す
るため、鍛造後の製品を機械加工する場合、必要に応じ
て添加するものとし、夫々の含有量の上限を、0.12%,
0.30%,0.01%,0.10%とした。
るため、鍛造後の製品を機械加工する場合、必要に応じ
て添加するものとし、夫々の含有量の上限を、0.12%,
0.30%,0.01%,0.10%とした。
〈発明の効果〉 本発明の熱間鍛造用非調質棒鋼は、熱間鍛造後冷却され
た状態でその組織がマルテンサイト、ベイナイトあるい
はマルテンサト・ベイナイトを呈すべく添加元素を最適
に含有するとともに、焼入性向上元素や切削性改善元素
を必要に応じて添加するようにしているので、鍛造後の
調質熱処理が不要で従来の調質鋼より安価に製造でき、
しかも鍛造後冷却のままで、従来の調質鋼に劣らぬ高強
度と優れた靭性および延性を具備し、さらに良好な焼入
性や切削性を有する。
た状態でその組織がマルテンサイト、ベイナイトあるい
はマルテンサト・ベイナイトを呈すべく添加元素を最適
に含有するとともに、焼入性向上元素や切削性改善元素
を必要に応じて添加するようにしているので、鍛造後の
調質熱処理が不要で従来の調質鋼より安価に製造でき、
しかも鍛造後冷却のままで、従来の調質鋼に劣らぬ高強
度と優れた靭性および延性を具備し、さらに良好な焼入
性や切削性を有する。
〈実施例1〉 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
末尾に掲げた第1表は、引張り試験とシャルピー衝撃試
験に供した供試鋼の化学組成,熱処理条件および上記試
験の結果を示している。これらの供試鋼は、成分を調整
して溶製され、72mmφに圧延された。そして、上記供試
鋼は、まず長さ250mmに切断し、その後1250℃に加熱し
て、ハンマーで直径50mmの丸棒に鍛伸した。仕上成形時
の終了温度は1150℃で、その後、大気中で放冷した。供
試鋼No.13は、調質鋼の一例としてのS53C鋼で、熱間鍛
造後、従来どおり再加熱して、焼入れ焼戻し処理を施し
ている。鍛伸された丸棒の中央部より長手方向にJIS4号
(平行部径14mmφ)引張試験片TSおよびJIS3号(2mmUノ
ッチ)衝撃試験片CHを採取し、鍛伸材の機械的性質を調
査した。第1表中、供試鋼No.1〜7は本特許請求の範囲
内の発明鋼、供試鋼No.8〜13は上記発明鋼に対する比較
鋼である。表から明らかなように、本発明鋼は、比較鋼
に比べて、概してCの含有量が少ない一方、Mnの含有量
が多く、比較鋼にないNbを含有している。
験に供した供試鋼の化学組成,熱処理条件および上記試
験の結果を示している。これらの供試鋼は、成分を調整
して溶製され、72mmφに圧延された。そして、上記供試
鋼は、まず長さ250mmに切断し、その後1250℃に加熱し
て、ハンマーで直径50mmの丸棒に鍛伸した。仕上成形時
の終了温度は1150℃で、その後、大気中で放冷した。供
試鋼No.13は、調質鋼の一例としてのS53C鋼で、熱間鍛
造後、従来どおり再加熱して、焼入れ焼戻し処理を施し
ている。鍛伸された丸棒の中央部より長手方向にJIS4号
(平行部径14mmφ)引張試験片TSおよびJIS3号(2mmUノ
ッチ)衝撃試験片CHを採取し、鍛伸材の機械的性質を調
査した。第1表中、供試鋼No.1〜7は本特許請求の範囲
内の発明鋼、供試鋼No.8〜13は上記発明鋼に対する比較
鋼である。表から明らかなように、本発明鋼は、比較鋼
に比べて、概してCの含有量が少ない一方、Mnの含有量
が多く、比較鋼にないNbを含有している。
表中の引張試験と衝撃試験結果について述べれば、本発
明鋼(No.1〜7)は、従来の調質鋼(No.13)と比較し
て何ら劣らぬ強度と靭性を具備している。これに対し
て、本特許請求の範囲外にある比較鋼のうち、供試鋼N
o.8〜10は高炭素化によって所要の強度は確保できる
が、靭性値が低い。また、供試鋼No.11は低炭素化によ
って所要の靭性値は得られるが、強度に不足している。
本発明鋼の中でも、供試鋼No.5,7は、ベイナイト1相の
組織を呈し、引張強さが97,3kgf/mm2,102.0kgf/mm2と高
いばかりでなく、靭性にも優れている。
明鋼(No.1〜7)は、従来の調質鋼(No.13)と比較し
て何ら劣らぬ強度と靭性を具備している。これに対し
て、本特許請求の範囲外にある比較鋼のうち、供試鋼N
o.8〜10は高炭素化によって所要の強度は確保できる
が、靭性値が低い。また、供試鋼No.11は低炭素化によ
って所要の靭性値は得られるが、強度に不足している。
本発明鋼の中でも、供試鋼No.5,7は、ベイナイト1相の
組織を呈し、引張強さが97,3kgf/mm2,102.0kgf/mm2と高
いばかりでなく、靭性にも優れている。
〈実施例2〉 実施例1に比べより高強度品の例を示す。
第2表に示した化学組織の鋼を生産炉または実験炉にて
溶製後、50mmφの丸棒に圧延した。そして75mmに切断
し、1250℃に加熱して25mmφの丸棒に熱間鍛造し、その
後水冷した。供試鋼31は調質鋼の一例としてCr鋼につい
て熱間鍛造後再加熱焼入れ・焼戻し処理したものであ
る。鍛造された丸棒より引張試験片、衝撃試験片を採取
し、強度・靭性を調査した。試験結果を第2表に示す。
表中、供試鋼14〜25は本願特許請求の範囲内の発明鋼で
あり、供試鋼26〜31は比較鋼である。
溶製後、50mmφの丸棒に圧延した。そして75mmに切断
し、1250℃に加熱して25mmφの丸棒に熱間鍛造し、その
後水冷した。供試鋼31は調質鋼の一例としてCr鋼につい
て熱間鍛造後再加熱焼入れ・焼戻し処理したものであ
る。鍛造された丸棒より引張試験片、衝撃試験片を採取
し、強度・靭性を調査した。試験結果を第2表に示す。
表中、供試鋼14〜25は本願特許請求の範囲内の発明鋼で
あり、供試鋼26〜31は比較鋼である。
第2表から明らかなように、本発明鋼を用いて熱間鍛造
後水冷することにより引張強さが100kgf/mm2以上で衝撃
値が10kgf・m/cm2以上の高強度・高靭性が得られる。こ
れらの値は、合金鋼であるCr鋼を焼入れ・焼戻しして造
った供試鋼31と同等またはそれ以上の強度・靭性を有す
るものである。なおC量が低い供試鋼26は引張強さが低
く、C量が高い供試鋼27は引張強さは高いものの衝撃値
が低い。また供試鋼28、29は焼入性向上元素であるMn、
Cr量が少なく、また供試鋼30は焼入性向上元素であるB
が添加されていない。これらの鋼はいずれも焼入性が不
足して十分な引張強さが得られない。
後水冷することにより引張強さが100kgf/mm2以上で衝撃
値が10kgf・m/cm2以上の高強度・高靭性が得られる。こ
れらの値は、合金鋼であるCr鋼を焼入れ・焼戻しして造
った供試鋼31と同等またはそれ以上の強度・靭性を有す
るものである。なおC量が低い供試鋼26は引張強さが低
く、C量が高い供試鋼27は引張強さは高いものの衝撃値
が低い。また供試鋼28、29は焼入性向上元素であるMn、
Cr量が少なく、また供試鋼30は焼入性向上元素であるB
が添加されていない。これらの鋼はいずれも焼入性が不
足して十分な引張強さが得られない。
このことから、本発明の非調質棒鋼を素材鋼とすること
により、従来熱間鍛造後再加熱,焼入れ焼戻しなどの費
用のかかる調質処理を経て製造されていた例えばステア
リングナックル,フロントアクスル等の部品を、熱間鍛
造後冷却するだけで安価に製造することができる。
により、従来熱間鍛造後再加熱,焼入れ焼戻しなどの費
用のかかる調質処理を経て製造されていた例えばステア
リングナックル,フロントアクスル等の部品を、熱間鍛
造後冷却するだけで安価に製造することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】C:0.05〜0.15重量%(以下重量%)、Si:
0.05〜1.00%、Mn:1.30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸
可溶Al:0.015〜0.060%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003
〜0.0050%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からな
る熱間鍛造用の非調質棒鋼。 - 【請求項2】C:0.05〜0.15%、Si:0.05〜1.00%、Mn:1.
30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸可溶Al:0.015〜0.060
%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003〜0.0050%を含み、
さらにNb:≦0.20%,Mo:≦0.50%,V:≦0.30%の少なくと
も一種を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる焼
入性向上を図った熱間鍛造用の非調質棒鋼。 - 【請求項3】C:0.05〜0.15%、Si:0.05〜1.00%、Mn:1.
30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸可溶Al:0.015〜0.060
%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003〜0.0050%を含み、
さらにS:≦0.12%,Pb:≦0.30%,Ca:≦0.01%,Te:≦0.10
%の少なくとも一種を含み、残部Feおよび不可避的不純
物からなる切削性改善を図った熱間鍛造用の非調質棒
鋼。 - 【請求項4】C:0.05〜0.15%、Si:0.05〜1.00%、Mn:1.
30〜2.50%、Cr:0.30〜2.00%、酸可溶Al:0.015〜0.060
%、Ti:0.010〜0.100%、B:0.0003〜0.0050%を含み、
さらにNb:≦0.20%,Mo:≦0.50%,V:≦0.30%の少なくと
も一種を含むとともに、S:≦0.12%,Pb:≦0.30%,Ca:≦
0.01%,Te≦0.10%の少なくとも一種を含み、残部Feお
よび不可避的不純物からなる焼入性向上と切削性改善を
図った熱間鍛造用の非調質棒鋼。
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JP60080883A JPH0772323B2 (ja) | 1985-04-15 | 1985-04-15 | 熱間鍛造用の非調質棒鋼 |
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