JP2515173B2 - 高強度、高靭性鍛造用非調質鋼 - Google Patents

高強度、高靭性鍛造用非調質鋼

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JP2515173B2 JP2262589A JP26258990A JP2515173B2 JP 2515173 B2 JP2515173 B2 JP 2515173B2 JP 2262589 A JP2262589 A JP 2262589A JP 26258990 A JP26258990 A JP 26258990A JP 2515173 B2 JP2515173 B2 JP 2515173B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱間鍛造後の熱処理を必要とせず、自然空冷
によって優れた強度、靱性、疲労強度を確保でき、かつ
部品寸法および鍛造条件が変化しても性能の変化が少な
く、特に高強度を必要とする自動車の足廻り部品や建設
機械の大型部品等に用いられる鋼として有用な高強度、
高靱性鍛造用非調質鋼に関する。
(従来技術) 従来、ステアリングナックル、アッパーアーム等の自
動車の足廻り部品やロッドエンド等の建設機械の大型部
品等のうち、特に高強度、高靱性を要求される部品に
は、機械構造用合金鋼であるSCr440、SCM440などを用
い、熱間鍛造により成形後、優れた性能を得るために、
焼入焼もどし等の熱処理(以下調質と記す)が施されて
いた。
しかし、これらの熱処理は多大のエネルギーを必要と
するため、省エネルギーの社会的要請に応えるために、
熱間鍛造のままで使用することのできる非調質鋼の開発
が近年盛んに行われている。例えばCを0.20〜0.50%程
度含有する中炭素鋼に0.03〜0.20%のVを添加した非調
質鋼が提案され、前述した調質合金鋼に変わって使用さ
れてきている。この非調質鋼は熱間鍛造後の冷却過程で
析出するVの炭窒化物がフェライト生地を強化し、調質
することなく必要な強度を得るものである。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、従来から提案されている非調質鋼は粗
大なフェライト・パーライト組織を有するものであり、
強度、靱性ともにSCr440、SCM440などの合金鋼の調質材
に比べて低いという欠点を有する。また、優れた特性の
得られる鍛造条件(加熱温度、鍛造温度、冷却速度等)
の範囲が狭いため、新製品製造の立上げ時には、最適製
造条件を得るためのテストが必要となる。また、立上げ
後も安定して優れた性能を確保するためには、鍛造条件
を厳しく管理する必要があった。
そこで最近ではこれらの問題点を解決するために、低
Cベイナイト型非調質鋼の開発が進められつつある。し
かし、この低Cベイナイト型非調質鋼は前述した合金鋼
と同等以上の引張強さ、衝撃値を有するものの、降伏
比、耐久比の点で劣る。このため、降伏点、疲労強度を
要求水準に上げるためには、より高い引張強度にあげな
くてはならず、その結果鍛造性、切削性等が悪くなり、
適用の妨げとなっているのが現状である。
本発明は従来の調質合金鋼および非調質鋼の前記のご
とき問題点を考慮してなされたもので、部品寸法および
鍛造条件によって強度、靱性等の性能が変化せず、新製
品のスムーズな立上げを可能とし、かつ調質合金鋼以上
の性能を示す熱間鍛造用非調質鋼を提供することを目的
とする。
(問題を解決するための手段) 本発明者は前記目的の下に、熱間鍛造用非調質鋼、中
でも特にベイナイト型のものについて鋭意研究を重ねた
結果、以下の知見をなし本発明を得た。
すなわち、ベイナイト鋼の降伏比および耐久比が低い
原因は、ベイナイト鋼のミクロ組織中に存在する高炭素
島状マルテンサイトおよび残留オーステナイト(以下M
−A constituentまたはM−Aと記す)と、変態温度が
低いために生じる変態歪によるものであることを発見し
た。そこでミクロ組織中のM−A量と変態歪を低減する
ための方法を検討した結果、C量と合金元素量の関係を
適当な範囲に規制し、さらにトータル化学成分の調整に
よって変態温度の下限を550℃に規制することにより、
M−A量、変態歪の生成を少なく抑えることができ、降
伏比および耐久比が向上することを見出したものであ
る。
また、Nbは変態温度を低下させることなく組織をベイ
ナイト化させるので、他のベイナイト生成元素であるM
n、Crの添加量を低減でき、Mn、CrによるM−A生成を
抑えるのに有効な元素であることを確認した。
さらに、Cuを添加すると鍛造後の空冷時にCu元素が単
独析出し、その析出強化によって従来の非調質鋼に比べ
著しく強度が向上し、かつMo、Nbの複合添加によるベイ
ナイトラス微細化効果を加えることによって、高い強度
を有しながら調質合金鋼と同等以上の靱性を確保するこ
とに成功したものである。
以上記載した考えのもとに設計した鋼が、鍛造条件の
変化によって性能が殆ど変わらず優れた特性を示すこと
を実験により確認し、本発明の完成に到ったものであ
る。
すなわち、本発明の第1発明は重量比にしてC:0.10〜
0.30%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.20
〜3.00%、Cr:0.20〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.0
10〜0.060%、Nb:0.05〜0.50%、N:0.008〜0.020%を含
有し、かつMo(%)+Nb(%)≧0.20(%)、1.8Mn
(%)+Cr(%)+0.5Mo(%)≦20C(%)、Bs≧550
(℃)(Bs=830−270C(%)−90Mn(%)−70Cr
(%)−83Mo(%))であり、残部Feならびに不純物元
素からなる鋼であって、M−A constituent(島状マル
テンサイト[M]+残留オーステナイト[A])量が1.
0%以下であることを特徴とする高強度、高靱性鍛造用
非調質鋼であり、第2発明は、第1発明鋼に比べさらに
結晶粒を微細化し靱性を向上させるため、Ti:0.01〜0.2
0%を含有させたものであり、第3、4発明は被削性を
改善するために、第1、2発明鋼にさらにS:0.04〜0.12
%、Pb:0.05〜0.30%、Ca:0.0005〜0.01%のうち1種ま
たは2種以上を含有させたものである。
次に本発明の高強度、高靱性鍛造用非調質鋼における
成分組成限定理由について以下に説明する。
C;0.10〜0.30% Cは強度を確保するために必要な元素であり、0.10%
以上の含有が必要である。しかし、0.30%を越えて含有
させると靱性が低下するので上限を0.30%とした。
Si;0.50〜0.50% Siは製鋼時の脱酸材として添加されるものであり、0.
05%以上含有させることが必要である。しかし0.50%を
越えると靱性が低下するので上限を0.50%とした。
Mn;0.50〜2.00% Mnは焼入性を向上させて組織をベイナイト化するのに
必要な元素である。Mnの含有が0.50%未満であると焼入
性が不足し、ベイナイトの生成量が少なくなり、強化お
よび靱性が不足するので下限を0.50%とした。しかし2.
00%を越えて含有させると焼入性が向上し過ぎるととも
にM−Aの生成を促進し、降伏比および耐久比が低下す
るので上限を2.00%とした。
Cu;0.20〜3.00% Cuは本発明鋼にとって最重要元素であり、鍛造後の空
冷時に単独で析出し、析出強化によって著しく強度を向
上させる効果のある元素である。前記効果を十分に得る
ためには、0.20%以上含有させる必要がある。しかし、
過剰に含有させると靱性が悪化するので上限を3.00%と
した。
Cr;0.20〜1.50% CrはMnと同様に組織をベイナイト化するのに必要が元
素である。0.20%未満の含有では前記効果が不十分であ
るので下限を0.20%とした。しかし1.50%を越えて含有
させるとM−Aの生成を促進し、降伏比および耐久比が
低下するので上限を1.50%とした。
Mo;0.05〜0.50% Moは組織をベイナイト化するとともに、ベイナイトラ
スを微細化させて靱性を向上させるために必要な元素で
ある。0.05%未満の含有では前記効果が不十分なので下
限を0.05%とした。しかし0.50%を越えて含有させても
その効果が飽和するとともにコスト高となる。またMn、
Crと同様に過剰添加はM−A生成を促進し、降伏比およ
び耐久比が低下するので上限を0.05%とした。
Al;0.010〜0.060% Alは強力な脱酸効果を持つ元素であるが、0.01%未満
の含有では脱酸効果が認められなくなるので下限を0.01
0%とした。しかし0.060%を越えて含有させると前記効
果が飽和するとともに、被削性を低下させるので上限を
0.060%とした。
Nb;0.05〜0.50% NbはC、Nと親和力が強く、鋼中においてNb(CN)と
して析出し、ピン止め効果によりオーステナイト結晶粒
を微細化させる効果がある。また、変態温度を低下させ
ずに組織をベイナイト化させるので、他のベイナイト化
元素であるMn、Cr添加量を低減でき、M−Aの生成を抑
えるとともに、ベイナイトラスを微細化させて靱性を向
上させる効果のある元素である。前記効果を得るために
は0.05%以上の含有が必要であるため、下限を0.05%と
した。しかし、0.50%を越えて含有させてもその効果が
飽和するとともにコスト高となるため上限を0.50%とし
た。
N;0.008〜0.020% NはAl、Nb、Tiと親和力が強く、鋼中においてAl、N
b、Tiの炭窒化物として析出し、ピン止め効果によりオ
ーステナイト結晶粒を微細化させて靱性を向上させる効
果がある。前記効果を得るためには少なくとも0.008%
の含有が必要である。しかし0.020%を越えて含有させ
ると逆に靱性を低下させるので上限を0.020%とした。
Ti;0.01〜0.20% Tiは鋼中において炭窒化物として析出し、ピン止め効
果によりオーステナイト結晶粒を微細化する効果があ
り、AlNに比べその効果が大きい。従って靱性をさらに
向上させるために有効な元素である。前記効果を得るた
めには少なくとも0.01%以上の含有が必要である。しか
し、0.20%を越えて含有させても前記効果が飽和すると
ともにコスト高となるので上限を0.20%とした。
S;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.01% S、Pb、Caは被削性の改善に有効な元素であり、必要
に応じて添加されるものである。前記効果を得るために
はそれぞれ0.04%、0.05%、0.0005%の含有が必要であ
る。しかし多量に含有させてもその効果が飽和するとと
もに、靱性を低下させるので上限をそれぞれ0.12%、0.
30%、0.01%とした。
Mo(%)+Nb(%)≧0.20(%) Mo、Nbの複合添加はCの拡散を遅滞させてベイナイト
ラスの成長を妨げるので、ベイナイトラスを特に微細に
する効果がある。前記効果を得るためにはMo、Nbの合計
含有率を0.20%以上にする必要がある。
1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%)≦20C(%) 1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%)≦20C(%)は
ベイナイトのミクロ組織中に存在するM−A量を1%以
下にし、微細なセメンタイトを析出させるための必要条
件である。Mn、Cr、Moを過剰に添加し、1.8Mn(%)+C
r(%)+0.5Mo(%)>20C(%)となると、セメンタ
イトの析出量が減少し、これに代わってM−Aが多量に
生成し、降伏比および耐久比を低下させるため、1.8Mn
(%)+Cr(%)+0.5Mo(%)≦20C(%)とする必要
がある。
Bs≧550(℃)(Bs=830−270C(%)−90Mn(%)−70
Cr(%)−83Mo(%)) 上式で示されるBsはベイナイト変態開始温度を示し、
Bsが高いと変態歪は小さく、Bsが低いと変態歪が大きく
なる。変態歪は降伏比および耐久比を低下させるが、特
にBs<550(℃)では変態歪が急増し、降伏比、耐久比
を著しく低下させるためBs≧550(℃)とする必要があ
る。
(実施例) 以下に本発明の特徴を比較鋼および従来鋼と比較し、
実施例でもって明らかにする。
第1表は実施例に用いた供試材の化学成分を示すもの
である。
第1表において1〜18鋼は本発明鋼であり、1〜4鋼
は第1発明鋼、5〜7鋼は第2発明鋼、8〜12鋼は第3
発明鋼、13〜18鋼は第4発明鋼である。また、19〜25鋼
は比較鋼であり、26鋼はフェライト・パーライト型の従
来の非調質鋼、27鋼は従来鋼であるSCM440である。
第1表に示した供試材のうち1〜26鋼については、熱
間圧延にて製造した直径60mmの丸棒を1250℃に加熱後、
1150℃にて直径30mmの丸棒に鍛造し、室温まで自然空冷
し試験材とした。また、SCM440である27鋼については熱
間圧延にて製造した直径30mmの丸棒を880℃にて加熱後
油浴中にて焼入を行い、続いて580℃にて焼もどしを行
い試験材とした。
各供試材の試験材を用いて、ミクロ組織、ベイナイト
ラス寸法、M−A量、0.2%耐力、引張強さ、降伏比、
耐久比、衝撃値、被削性について後述する方法にて測定
した。
ベイナイトラス寸法は長手方向の寸法を光学顕微鏡に
て倍率1000倍で100視野の測定を行い、その平均値をも
って測定値とした。
M−A量は倍率5000倍の走査型電子顕微鏡により各試
料100視野をポイントカウンティング法で測定し、その
平均値をもって測定値とした。
引張試験の結果はJIS4号引張試験片を作製し、引張速
度1mm/secで測定したものであり、衝撃値はJIS3号Uノ
ッチシャルピー試験片を作製し、測定したものである。
耐久比は小野式回転曲げ疲労試験により107回転での
耐久限を求め、引張強度との比率をとったものである。
被削性はドリル穿孔試験により評価した。なお試験は
ドリルは5mmφのストレートシャンク、ドリルの材質はS
KH9、ドリル回転数は1710r.p.m.、切削油なし、荷重75K
gの条件で行った。測定した結果は、従来鋼である27鋼
の穿孔距離を100とし、それぞれの穿孔距離を整数比で
整理した。
各供試材の性能評価結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように比較鋼、従来鋼である19〜
27鋼を本発明鋼と比較すると、19鋼はC含有率が高いた
め、衝撃値が劣るものであり、20、21鋼はMnあるいはCr
含有率が高いため焼入性が向上し過ぎるとともに、M−
A量が非常に多く、また式(1)(第2表参照)および
Bs≧550(℃)を満足しないため、降伏比および耐久比
が劣るものであり、22鋼はMoの含有率及びMo、Nbの合計
含有率が低いため、ベイナイト化が不十分となり一部パ
ーライトが生成するとともに、ベイナイトラス寸法が大
きいことと、式(1)を満足していないため、M−A量
が多く、引張強さ、降伏比、耐久比、衝撃値がともに劣
るものであり、24鋼はNbの含有率が低いため、ベイナイ
トラス寸法が大きくなり、衝撃値が劣るものであり、24
鋼は本発明鋼において強度向上のため最も重要な元素で
あるCuの含有率が低いとともに、(1)式を満足しない
ためM−A量が多く、降伏比、耐久比が劣るものであ
り、25鋼は化学成分は本発明鋼の範囲に入っているが、
変態温度が低いために変態歪が生成し、降伏比、耐久比
が劣るものである。また、従来のフェライト・パーライ
ト型非調質鋼である26鋼は、強度、降伏比および耐久比
が低く、SCM440である27鋼は、降伏比、耐久比、衝撃値
は本発明鋼と同等であるが、強度が劣るものである。
これに対して本発明鋼である1〜18鋼はMoとNbを複合
添加したこと、Cuの析出強化を利用して強度を大幅に向
上させたこと、C量と合金元素量の関係を適切な範囲内
に規制した(式(1))こと、およびBs≧550(℃)と
したことによりベイナイトラス寸法が微細化されM−A
量も1%以下と少なく抑えられた結果、0.2%耐力87kgf
/mm2以上、引張強さ105kgf/mm2以上、降伏比0.82以上、
耐久比0.51以上、衝撃値kgfm/cm2以上という優れた性能
を有するものである。これは調質合金鋼に比べると、強
度が優れており、かつ同等以上の靱性を有するものであ
る。
また、被削性についても被削性元素を添加した第3及
び第4発明鋼である8〜18鋼は第1、第2発明鋼に比べ
て強度、靱性、疲労強度などの性能を損なうことなく第
1、第2発明鋼、比較鋼、従来鋼に比べ優れた被削性を
示すことが確認できた。
次に、鍛造条件の変化による性能への影響に関する本
発明鋼の特徴を別の実施例により明らかにする。
第1表に示す鋼のうち、本発明鋼の3、6、9、13鋼
と、従来の非調質鋼である26鋼を、各種条件にて鍛造
し、引張強さ、0.2%耐力、降伏比および衝撃値を評価
した。
第3表は鍛造加熱温度と引張強さ、0.2%耐力、降伏
比および衝撃値の関係を示したものである。試験データ
は前記3、6、9、13、26鋼の直径60mmの丸棒を1350
℃、1250℃および1150℃に加熱し、各々1250℃、1150℃
および1050℃にて直径30mmの丸棒に鍛造後、室温まで自
然空冷したものを供試材として、その中心部よりJIS4号
引張試験片およびJIS3号Uノッチシャルピー試験片を採
取し、試験を実施して得られたものである。
第3表から明らかなように、従来のフェライト・パー
ライト型の非調質鋼である26鋼は、加熱温度の上昇に伴
い、引張強さ、0.2%耐力が増加し、衝撃値が低下する
のに対し、ベイナイト組織を有する本発明鋼3、6、
9、13鋼は、加熱温度、加工温度によって性能が殆ど変
化せず、かつ従来の非調質鋼に比べ著しく高い強度、降
伏比が得られることがわかる。
また、第4表は鍛造後の冷却速度と引張強さ、0.2%
耐力、降伏比および衝撃値の関係を示したものである。
なお鍛造後の冷却速度は鍛造後の丸棒サイズをφ30、φ
60、φ100と変化させることにより振り分けてある。す
なわちφ30は比較的早い冷却速度(800〜650℃の平均冷
却速度40℃/min.)、φ100は遅い冷却速度(800〜650℃
の平均冷却速度10℃/min.)に対応し、φ60は中間の冷
却速度に対応している。前記した鋼3、6、9、13およ
び26鋼の直径200mm、120mm、60mmの各サイズの丸棒を12
50℃に加熱し、各々直径100mm、60mm、30mmの丸棒に鍛
造後室温まで自然空冷したものを供試材として、その中
心部よりJIS4号引張試験片、およびJIS3号Uノッチシャ
ルピー試験片を採取し試験を実施した。
第4表から明らかなように、本発明鋼の3、6、9、
13鋼は冷却速度(鍛造後の丸棒サイズ)が変化しても、
引張強さ、0.2%耐力および衝撃値は殆ど変化せず、安
定した性能が得られるのに対し、フェライト・パーライ
ト型の従来の非調質鋼である26鋼は、冷却速度が遅くな
るにつれて0.2%耐力、引張強さおよび衝撃値が徐々に
低下することがわかる。このように、本発明鋼は今回試
験したあらゆる鍛造条件において安定して優れた性能を
示し、かつ従来鋼に比べ高い強度を有することがわか
る。
(発明の効果) 本発明の熱間鍛造用非調質鋼は従来のフェライト・パ
ーライト型非調質鋼が有していた靱性が劣ることおよび
鍛造時の条件を厳しく管理しないと優れた性能が得られ
ないという問題点を解決し、広い範囲の鍛造条件にて従
来の非調質鋼に比べ優れた強度、靱性、疲労強度が得ら
れるものであり、かつ調質合金鋼に比べても高い強度を
有するものである。
従って、本発明鋼は自動車の足廻り部品や建設機械の
大型部品の非調質化を達成し、省エネルギーの社会的要
請への対応を可能にするものであり、産業上寄与すると
ころは極めて大きいものである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比にしてC:0.10〜0.30%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.20〜3.00%、Cr:0.20
    〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.010〜0.060%、Nb:
    0.05〜0.50%、N:0.008〜0.020%を含有し、かつMo
    (%)+Nb(%)≧0.20(%)、1.8Mn(%)+Cr
    (%)+0.5Mo(%)≦20C(%)、Bs≧550(℃)(Bs
    =830−270C(%)−90Mn(%)−70Cr(%)−83Mo
    (%))であり、残部Feならびに不純物元素からなる鋼
    であって、M-A constituent(島状マルテンサイト
    [M]+残留オーステナイト[A])量が1.0%以下で
    あることを特徴とする高強度、高靱性鍛造用非調質鋼。
  2. 【請求項2】重量比にしてC:0.10〜0.30%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.20〜3.00%、Cr:0.20
    〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.010〜0.060%、Nb:
    0.05〜0.50%、N:0.008〜0.020%を含有し、さらにTi:
    0.01〜0.20%を含有し、かつMo(%)+Nb(%)≧0.20
    (%)、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%)≦20C
    (%)、Bs≧550(℃)(Bs=830−270C(%)−90Mn
    (%)−70Cr(%)−83Mo(%))であり、残部Feなら
    びに不純物元素からなる鋼であって、M-A constituent
    (島状マルテンサイト[M]+残留オーステナイト
    [A])量が1.0%以下であることを特徴とする高強
    度、高靱性鍛造用非調質鋼。
  3. 【請求項3】重量比にしてC:0.10〜0.30%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.20〜3.00%、Cr:0.20
    〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.010〜0.060%、Nb:
    0.05〜0.50%、N:0.008〜0.020%を含有し、さらにS:0.
    04〜0.12%、Pb:0.05〜0.30%、Ca:0.0005〜0.01%のう
    ち1種または2種以上を含有し、かつMo(%)+Nb
    (%)≧0.20(%)、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo
    (%)≦20C(%)、Bs≧550(℃)(Bs=830−270C
    (%)−90Mn(%)−70Cr(%)−83Mo(%))であ
    り、残部Feならびに不純物元素からなる鋼であって、M-
    A constituent(島状マルテンサイト[M]+残留オー
    ステナイト[A])量が1.0%以下であることを特徴と
    する高強度、高靱性鍛造用非調質鋼。
  4. 【請求項4】重量比にしてC:0.10〜0.30%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:0.50〜2.00%、Cu:0.20〜3.00%、Cr:0.20
    〜1.50%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.010〜0.060%、Nb:
    0.05〜0.50%、N:0.008〜0.020%を含有し、さらにTi:
    0.01〜0.20%と、S:0.04〜0.12%、Pb:0.05〜0.30%、C
    a:0.0005〜0.01%のうち1種または2種以上を含有し、
    かつMo(%)+Nb(%)≧0.20(%)、1.8Mn(%)+C
    r(%)+0.5Mo(%)≦20C(%)、Bs≧550(℃)(Bs
    =830−270C(%)−90Mn(%)−70Cr(%)−83Mo
    (%))であり、残部Feならびに不純物元素からなる鋼
    であって、M-A constituent(島状マルテンサイト
    [M]+残留オーステナイト[A])量が1.0%以下で
    あることを特徴とする高強度、高靱性鍛造用非調質鋼。
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