JP5688742B2 - 靭性、耐磨耗性に優れる鋼の製造方法 - Google Patents
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Cは、必要な強度および焼入れ硬さを確保するために必要な元素である。したがって、耐磨耗性の支配因子である硬さを確保するために0.30%以上が必要である。一方、0.65%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇するため加工性、被削性の劣化は避けられない。そこで、Cは0.30〜0.65% とし、望ましくは0.35〜0.50%とする。
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であり、鋼に必要な焼入性を付与し強度を高めるために添加する。さらに、Siは焼戻し軟化抵抗を向上させる。すなわち焼戻し処理および使用時の摩擦熱による耐軟化性を向上させる元素である。したがって、0.20%以上が必要である。一方、1.00%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇して加工性が劣化する。そこで、Siは0.20〜1.00%とし、望ましくは0.40〜0.80%とする。
Mnは、鋼の脱酸に有効な元素である。さらに、鋼に必要な焼入性を付与し強度を高めるために添加する。しかし、多量に添加すると靭性を低下させ、さらに、Sと結合してMnSの介在物を形成するため割れの起点となる。そこで、Mnは0.20〜0.60%とし、望ましくは0.30〜0.50%とする。
Pは、不可避不純物として粒界に偏析し、0.030%を超えると靭性を低下させる。そこで、Pは0.030%以下とする。
Sは、不可避不純物としてMnSの介在物を形成して靭性を低下させる。そこで、Sは0.030%以下とする。
Crは、鋼に必要な焼入性を付与し強度を高めるために添加する。さらに、Crは焼戻し軟化抵抗を向上させるため、焼戻し処理および使用時の摩擦熱による耐軟化性を向上させる元素である。したがって、1.00%以上が必要である。一方、3.00%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇して加工性が劣化する。そこで、Crは1.00〜3.00%とし、望ましくは1.20〜2.20%とする。
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であり、さらにNと結合しAlNを生成するため、結晶粒粗大化の抑制に有効である。したがって、0.005%以上が必要である。しかし、Alは多量に添加すると非金属介在物を生成して割れの起点となる。そこで、Alは0.005〜0.200%とし、望ましくは0.015%〜0.150%とする。
Nは、Alと結合してAlNを生成するため結晶粒粗大化の抑制に有効である。しかし、Nは多すぎても、その効果が飽和するため、Nは0.0200%以下とする。
Oは、0.0030%を超えて含有すると、割れの起点となる酸化物系介在物を生成する。そこで、酸化物系介在物の生成を抑制するために、Oは0.0030%以下とする。
Niは、焼入性と靭性を向上させるために有効な元素である。その効果を発揮するため0.50%以上が必要であるが、Niはコストを上昇させる元素であるため、Niは0.50〜2.00%とする。
Moは、焼入性と靭性を向上させるために有効な元素である。その効果を発揮するため0.05%以上が必要であるが、Moはコストを上昇させる元素であるため、Moは0.05〜1.00%とする。
Bは、微量の添加で焼入性を向上させ、さらに、粒界を強化し靭性向上に有効な元素である。したがって、0.0005%以上が必要であるが、0.0050%を超えるとその効果は飽和するため、Bは0.0005〜0.0050%とする。
Tiは、Nと結合しTiNを生成するため、Nを固定して、焼入性向上に寄与する有効Bを確保する。さらに、Cと結合しTiCを生成するため、ピンニング効果による結晶粒粗大化の抑制および耐磨耗性の向上に有効である。したがって、0.010%以上を添加する。一方、0.200%を越えると靭性および加工性が低下する。そこで、Tiは0.010〜0.200%とする。
Nbは、Nb炭窒化物を生成するため、ピンニング効果による結晶粒粗大化の抑制に有効である。したがって、0.010%以上を添加する。一方、0.100%を超えると粗大なNb析出物が生じ靭性が低下する。そこで、Nbは0.010〜0.100%とする。
1a ノッチ部
2 ローラーピッチング試験片
Claims (2)
- 質量%で、C:0.30〜0.65%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.00〜3.00%、Al:0.005〜0.200%、N:0.0200%以下、O:0.0030%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼の上記組成のSi、Mn、Crの含有量から算出される4Si+3Cr−Mnの値が6.00%以上を満足する鋼を800〜900℃の範囲に加熱して焼入れた後400〜650℃での焼戻し処理を1回または2回以上行い、さらに800〜900℃の範囲に加熱して焼入れた後100〜250℃の焼戻し処理を行うことを特徴とする靭性および耐磨耗性に優れた鋼の製造方法。
- 質量%で、C:0.30〜0.65%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.00〜3.00%、Al:0.005〜0.200%、N:0.0200%以下、O:0.0030%以下を含有し、さらにNi:0.50〜2.00%、Mo:0.05〜1.00%、B:0.0005〜0.0050%、Ti:0.010〜0.200%、Nb:0.010〜0.100%のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼の上記組成のSi、Mn、Crの含有量から算出される4Si+3Cr−Mnの値が6.00%以上を満足する鋼を800〜900℃の範囲に加熱して焼入れた後400〜650℃での焼戻し処理を1回または2回以上行い、さらに800〜900℃の範囲に加熱して焼入れた後100〜250℃の焼戻し処理を行うことを特徴とする靭性および耐磨耗性に優れた鋼の製造方法。
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