JP5034308B2 - 耐遅れ破壊特性に優れた高強度厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
遅れ破壊は、静荷重下におかれた鋼材が或る時間を経過した後、突然に脆性的な破壊を呈する現象であり、高強度鋼材ほど発生しやすい。とくに、引張強さ:980MPa以上の高強度鋼や耐摩耗鋼などで問題となる。また、通常の焼入れ焼戻型の引張強さ:780MPa以上の鋼材では、焼戻処理で所望の強度に調整するため、焼戻処理前の、焼入れままの状態では、通常、非常に高い強度を保持している。このため、この焼入れ処理と焼戻処理の間に遅れ破壊が発生する場合がある。このような遅れ破壊には、鋼中に存在する水素と残留応力が関与していることが明らかとなっている。
同一組成で、旧γ粒径が異なる、焼入れままの1200MPa級高強度鋼板を作製した。これら鋼板から、図4に示す形状の遅れ破壊試験片(大きさ:15×10×150mm(角形)、切欠き先端形状:深さ1.5mm×0.2mm幅のソーノッチと1.5mm深さの疲労ノッチ)を採取し、図3に示す試験装置で、片持ち梁式定荷重型遅れ破壊試験を実施した。遅れ破壊試験は、試験片を3.5質量%のNaCl水溶液中に浸漬させ、所定の荷重を負荷し、遅れ破壊の発生の有無を調査した。試験開始後、1000時間経過しても遅れ破壊が生じない最大の応力拡大係数を遅れ破壊発生応力拡大係数として求めた。遅れ破壊発生応力拡大係数が大きいほど、耐遅れ破壊特性に優れていることになる。なお、応力拡大係数は次(1)式を用いて計算した。
(ここで、M:ノッチ部のモーメント、a:ノッチ深さ(3mm)、B:試験片幅(10mm)、W:試験片厚(15mm))
得られた結果を図1に示す。
また、0.15質量%Cを含有する鋼素材(肉厚:80 mm)に、熱間圧延を施し、板厚:20mmの厚鋼板とした。なお、熱間圧延に際しては、鋼素材の加熱温度を550〜900℃の範囲で種々変化させ、熱間圧延の圧延開始温度を変化させた。なお、圧延は12パスとし、1パスあたりの平均圧下率は10%とした。熱間圧延終了後、室温まで冷却することなく、直ちに900℃まで再加熱し、30s間保持した後、水冷した。
本発明は上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高強度厚鋼板。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度厚鋼板。
(7)質量%で、C:0.05〜0.35%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.8〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、N:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、圧延開始温度を(Ac1変態点−200℃)以上(Ac3変態点−20℃)以下の範囲の温度とし、累積圧下率を50%以上とする圧延を施し、一旦室温まで冷却したのち、または、室温まで冷却することなく圧延終了後直ちに、板厚中央部における平均加熱速度で5℃/s以上の加熱速度で、板厚中央部における温度でAc3変態点以上(Ac3変態点+100℃)未満の温度域まで加熱し、ついで、板厚中央部における平均冷却速度で10℃/s以上の冷却速度で冷却する焼入れ処理を施すことを特徴とする板厚:6mm以上の高強度厚鋼板の製造方法。
(9)(7)または(8)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0003〜0.0030%を含有する組成とすることを特徴とする高強度厚鋼板の製造方法。
(10)(7)ないし(9)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高強度厚鋼板の製造方法。
(12)(7)ないし(11)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%、のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度厚鋼板の製造方法。
C:0.05〜0.35%
Cは、鋼の強度確保、表面硬さの確保に寄与する有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.35%を超える含有は、溶接性を著しく低下させる。このため、Cは0.05〜0.35%の範囲に規定した。なお、好ましくは、0.05〜0.20%である。また、耐摩耗性が要求される場合には、0.10〜0.30%とすることが好ましい。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し固溶強化により強度増加に有効に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超える含有は、溶接性を著しく低下させる。このため、Siは0.05〜0.50%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.10〜0.45%である。
Mnは、鋼中に固溶し固溶強化により安価に強度を増加させる有効な元素であり、このような効果を得るためには、0.8%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超える含有は、溶接性を低下させる。このため、Mnは0.8〜2.0%の範囲に規定した。なお、好ましくは0.8〜1.6%である。
Pは、粒界に偏析し、粒界強度を弱め、耐遅れ破壊特性を低下させる元素であり、本発明ではできるだけ低減することが好ましいが、0.020%までは許容できる。このため、Pは0.020%以下に規定した。なお、好ましくは0.015%以下である。
S:0.005%以下
Sは、鋼中ではMnSとして存在するため、遅れ破壊の起点となりやすく、耐遅れ破壊特性を低下させるため、できるだけ低減することが好ましいが、0.005%までは許容できる。このため、Sは0.005%以下に規定した。なお、好ましくは0.003%以下である。
Nは、固溶して存在する場合には、母材靭性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までは許容できる。このため、Nは0.01%以下に規定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
上記した成分が基本成分であるが、必要に応じて、B、および/または、Ti、Nb、Vのうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu、Ni、Cr、Mo、Wのうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca、REMのうちから選ばれた1種または2種、および/または、Alを選択して含有することができる。
Bは、粒界に偏析し、粒界強度を高め、母材靭性および耐遅れ破壊特性を改善するとともに、さらに、微量含有でも焼入れ性向上に顕著に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0003%以上含有することが望ましいが、0.0030%を超える含有は、硼化物として析出し、母材靭性を低下させる。このため、Bは0.0003〜0.0030%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0005〜0.0022%である。
Ti、Nb、Vはいずれも、炭窒化物として析出し、析出強化により鋼の強度を増加させる元素であり、必要に応じ選択して1種または2種以上含有できる。このような効果を得るためには、Ti:0.005%以上、Nb:0.005%以上、V:0.005%以上をそれぞれ含有することが好ましいが、Ti:0.1%、Nb:0.1%、V:0.1%をそれぞれ超える含有は、母材靭性を低下させる。このため、含有する場合には、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の範囲にそれぞれ限定することが好ましい。
Cu、Ni、Cr、Mo、Wはいずれも、鋼中に固溶し、固溶強化により鋼の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種以上含有できる。このような効果を得るためには、Cu:0.05%以上、Ni:0.05%以上、Cr:0.05%以上、Mo:0.05%以上、W:0.05%以上それぞれ含有することが好ましいが、Cu:1.0%、Ni:2.0%、Cr:1.0%、Mo:1.0%、W:2.0%をそれぞれ超える含有は、材料コストの高騰を招く。このため、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜2.0%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜2.0%の範囲にそれぞれ限定することが好ましい。
Ca、REMはいずれも、Mnに比べてSとの親和力が強く、鋼中ではCa系硫化物、REM系硫化物を形成し、遅れ破壊の起点となりやすいMnSの低減に有効に寄与する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.0005%以上、REM:0.0005%以上、それぞれ含有することが好ましいが、Ca:0.0050%、REM:0.0050%をそれぞれ超える含有は、鋼の清浄度を低下させる。このため、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%の範囲に限定することが好ましい。
Alは、脱酸剤として作用するとともに、AlNを形成しNを固定することにより、母材靭性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.0020%以上含有することが好ましいが、0.1%を超える多量の含有は、鋼の清浄度を低下させる。このため、含有する場合には、Alは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、とくに含有しない場合は、Alは不可避的不純物として、0.0020%未満が許容できる。
本発明厚鋼板は、上記した組成を有し、さらに、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下のマルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相を主体とする組織を有する。ここでいう、「マルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相を主体とする組織」とは、マルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相の体積分率が、70%以上である組織をいうものとする。マルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相を主体とする組織とすることにより、所望の強度、硬さを確保することができる。なお、所望の強度、硬さを安定して確保するためには、マルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相は、体積率で90%以上とすることが好ましい。マルテンサイト相以外の相は、ベイナイト相とすることがより好ましい。
旧γ粒径は、耐遅れ破壊特性に大きく影響する因子であり、本発明ではできるだけ小さくすることが望ましい。旧γ粒径が7μmを超えて大きくなると、図1にも示すように、耐遅れ破壊特性が著しく低下する。このため、本発明では旧γ粒径を7μm以下に規定した。
本発明では、上記した組成を有する鋼素材に、圧延開始温度を温間又は二相域の温度とする圧延を施して厚鋼板とし、該厚鋼板にさらに加熱温度をAc3変態点以上とする加熱と、それに続く急冷からなる焼入れ処理を施す。
本発明では、鋼素材に施す圧延は、圧延開始温度を、(Ac1変態点−200℃)以上(Ac3変態点−20℃)以下の温間又は二相域の温度範囲にて行うものとし、累積圧下率を50%以上とする。
圧延開始温度:(Ac1変態点−200℃)以上(Ac3変態点−20℃)以下
圧延開始温度が(Ac1変態点−200℃)未満では、被圧延材の変形抵抗が大きくなり、圧延機にかかる負荷が大きくなりすぎ、圧延が困難となる。一方、圧延開始温度が(Ac3変態点−20℃)を超えて高くなると、組織が粗大化し、旧γ粒径が7μm以下の微細組織を得ることが困難となる。このため、圧延開始温度を(Ac1変態点−200℃)以上(Ac3変態点−20℃)以下の、温間または二相域の温度に限定した。
Ac1変態点(℃)=751−26.6C+17.6Si−11.6Mn−22.9Cu−23.0Ni+24.1Cr+22.5Mo+233Nb−39.7V−57Ti−895B−169Al ……(1)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B、Al:各合金元素の含有量(質量%))
を用い、Ac3変態点は次(2)式
Ac3変態点(℃)=937−476.5C+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo+124.8V−136.3Ti−19Nb+198Al+3315B ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Nb、Al、B:各合金元素の含有量(質量%))
を用いて、算出した値を使用するものとする。
累積圧下率が50%未満では、組織の微細化が難しく、旧γ粒径を7μm以下とすることが困難となる。このため、累積圧下率は50%以上に限定した。なお、本発明における圧延では、圧延パス数を限定する必要はないが、板厚中央部付近まで十分に圧下を加えるために、圧延パス数は少ないほど、すなわち、1パス毎の圧下率が大きいほうが好ましい。なお、好ましくは累積圧下率は60%以上である。
圧延後の加熱における、加熱温度がAc3変態点未満では、その後の焼入れ処理でマルテンサイト相を主体とする組織が得られず、所望の強度、硬さを確保できなくなる。一方、加熱温度が(Ac3変態点+100℃)以上の高温となると、粒の粗大化が起こり、微細なオーステナイト粒とすることができず、その後の焼入れ処理で平均粒径で7μm以下の微細な旧オーステナイト粒とすることが困難となる。このため、加熱温度はAc3変態点以上(Ac3変態点+100℃)未満の温度に限定した。なお、好ましくは(Ac3変態点+50℃)以下である。加熱温度は、板厚中央部における温度でいうものとする。
加熱速度が5℃/s未満では、圧延で微細化した組織が粗大化してしまうため、微細なγ粒を確保することが難しく、その後の焼入れ処理にて平均粒径で7μm以下の微細な旧γ粒とすることが困難となる。このため、加熱速度は、板厚中心部における平均加熱速度で5℃/s以上に限定した。なお、加熱速度の上限は、加熱装置の能力に依存して決まるため、とくに限定しない。なお、平均加熱速度とは、加熱開始温度から到達温度までの平均の加熱速度をいうものとする。
平均冷却速度:10℃/s以上
焼入れの冷却速度が、板厚中央部における平均冷却速度で10℃/s未満では、マルテンサイト相を主体とする組織を確保できにくくなり、所望の強度、靭性を確保できなくなる。このため、焼入れ処理における冷却速度は平均冷却速度で10℃/s以上に限定した。なお、平均冷却速度は、冷却開始から300℃までの平均の冷却速度とする。
焼戻温度:300℃以上Ac1変態点以下
焼戻温度を300℃以上とすることにより、焼入れ時に発生した鋼板内の残留応力を軽減することが可能となる。一方、焼戻温度をAc1変態点を超える温度にすると、一部逆変態が起こり、所望の強度、硬さを確保できなくなる。このため、焼戻温度は300℃以上Ac1変態点以下に限定した。なお、好ましくは300〜700℃である。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(150kg)(鋼素材)とした。これら鋼素材を、表2に示す条件で圧延し、厚鋼板(板厚:12〜32mm)としたのち、室温まで空冷し(空冷有り)、あるいは空冷することなく(空冷無し)圧延後直ちに、表2に示す条件で加熱、焼入れ処理、および焼戻処理を施した。得られた厚鋼板について、組織観察、引張特性、靭性、耐遅れ破壊特性を調査した。試験方法は次のとおりである。
得られた厚鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面を研磨し、ナイタールで腐食したのち、電子顕微鏡で組織を観察し、1/4t位置でマルテンサイト相の体積分率を求めた。また、組織観察用試験片を研磨し、ピクリン酸水溶液により腐食して、光学顕微鏡を用いて、板厚1/4t部の組織について撮像し、旧γ粒径を測定した。詳しくは、旧γ粒界を特定したのち、画像解析装置を用いて、旧γ粒の面積を測定し、該面積から円相当径を算出し、得られた各旧γ粒径を算術平均し、旧γ粒の平均粒径とした。なお、旧γ粒粒の測定は、各200個以上とした。
得られた厚鋼板から、JIS Z 2201の規定に準拠して、5号試験片(全厚引張試験片)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。
(3)シャルピー衝撃試験
得られた厚鋼板の板厚1/2t位置から、JIS Z 2202 の規定に準拠して、Vノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、延性−脆性破面遷移温度(vTrs)を求めた。
焼戻処理前の焼入れままの厚鋼板から、図4に示す形状の遅れ破壊試験片(大きさ:15×10×150mm(角形)、切欠き先端形状:深さ1.5mm×0.2mm幅のソーノッチと1.5mm深さの疲労ノッチ)を採取し、図3に示す試験装置で、片持ち梁式定荷重型遅れ破壊試験を実施し、耐遅れ破壊特性を評価した。
応力拡大係数KI(N/mm3/2)=6M(a)1/2/BW2×{1.99−2.47(a/W)+12.97(a/W)2−23.17(a/W)3+24.8(a/W)4} ……(1)
(ここで、M:ノッチ部のモーメント、a:ノッチ深さ(3mm)、B:試験片幅(10mm)、W:試験片厚(15mm))
得られた結果を表4に示す。
表5に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(150kg)(鋼素材)とした。
これら鋼素材を、表6に示す条件で圧延し、厚鋼板(板厚:12〜38mm)としたのち、室温まで空冷し(空冷有り)、あるいは空冷することなく(空冷無し)圧延後直ちに、表6に示す条件で加熱、焼入れ処理を施した。得られた厚鋼板について、組織観察、表面硬さ、引張特性、靭性、耐遅れ破壊特性を調査した。試験方法は実施例1と同様とした。なお、表面硬さ測定は次のとおりとした。
得られた厚鋼板について、JIS Z 2243の規定に準拠し、ブリネル硬さ試験機(試験力:29.42kN)を用いて、鋼板表面の硬さHB10/3000を測定した。なお、測定位置は、ランダムに選んだ5点とし、5点の平均値を求め、その鋼板の表面硬さとした。
得られた結果を表8に示す。
Claims (13)
- 質量%で、
C:0.05〜0.35%、 Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.8〜2.0%、 P:0.020%以下、
S:0.005%以下、 N:0.01%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、旧オーステナイト平均粒径が7μm以下のマルテンサイト相または焼戻しマルテンサイト相の体積分率が90%以上である組織を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた板厚:6mm以上の高強度厚鋼板。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0003〜0.0030%を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の高強度厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜2.0%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度厚鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.1%以下を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高強度厚鋼板。
- 質量%で、
C:0.05〜0.35%、 Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.8〜2.0%、 P:0.020%以下、
S:0.005%以下、 N:0.01%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、圧延開始温度を(Ac1変態点−200℃)以上(Ac3変態点−20℃)以下の範囲の温度とし、累積圧下率を50%以上とする圧延を施し、一旦室温まで冷却したのち、または、室温まで冷却することなく圧延終了後直ちに、板厚中央部における平均加熱速度で5℃/s以上の加熱速度で、板厚中央部における温度でAc3変態点以上(Ac3変態点+100℃)未満の温度域まで加熱し、ついで、板厚中央部における平均冷却速度で10℃/s以上の冷却速度で冷却する焼入れ処理を施すことを特徴とする板厚:6mm以上の高強度厚鋼板の製造方法。 - 前記焼入れ処理に加えて、さらに、焼戻温度:300℃以上Ac1変態点以下とする焼戻処理を施すことを特徴とする請求項7に記載の高強度厚鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、B:0.0003〜0.0030%を含有する組成とすることを特徴とする請求項7または8に記載の高強度厚鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の高強度厚鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜2.0%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、W:0.05〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の高強度厚鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載の高強度厚鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Al:0.1%以下を含有する組成とすることを特徴とする請求項7ないし12のいずれかに記載の高強度厚鋼板の製造方法。
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