JP2017066460A - 時効硬化性鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】時効硬化処理前の被削性が優れ、時効処理後の疲労強度が高く且つ靭性に優れ、材料コスト上昇を抑えた時効硬化性鋼を提供する。【解決手段】C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜2.5%、S:0.001〜0.050%、Cr:0.20〜2.50%、Al:0.001〜0.080%、V:0.10〜0.60%、Mo:0.30〜0.90%、Ti:0.020〜0.150%を含有し、P:0.03%以下、N:0.0080%未満に制限され、残部Fe及び不純物とからなり、(1)式のF1が0.65以上、(2)式のF2が1.05以下、(3)式のF3が0.015以上である化学組成を有し、任意の断面の任意の位置の7.5mm2の領域内における、円換算直径が1.5μm以上のTi炭窒化物の個数が120個以下である、時効硬化性鋼。F1=C+0.3Mn+0.25Cr+0.6Mo・・・(1)、F2=C+0.1×Si+0.2×Mn+0.15×Cr+0.35×V+0.2×Mo・・・(2)、F3=Ti−3.4N・・・(3)【選択図】なし

Description

本発明は、時効硬化性鋼に関するものである。より詳しくは、熱間鍛造と切削加工によって所定の形状に加工された後、時効硬化処理(以下、単に「時効処理」という)が施され、当該時効処理によって所望の強度と靱性が確保される、自動車、産業機械、建設機械用の機械部品を製造するための鋼に関するものである。
例えば自動車用エンジンの高出力化、燃費向上を目指した軽量化などの観点から、自動車、産業機械、建設機械などに使用される機械部品には、高い疲労強度が要求されている。この種の機械部品に使用される鋼に高い疲労強度を具備させるだけであれば、合金元素および/または熱処理を利用して、鋼の硬さを上げることによって容易に達成できる。しかしながら、熱間鍛造により成形した後、さらに切削加工を施して所定の製品形状に仕上げ、その後、強化のために時効処理を施して製造される機械部品においては、時効処理後の状態で高い疲労強度を有すると同時に、熱間鍛造上がりの時効処理前の状態で十分な被削性を有していることが求められる。
時効処理後に高い疲労強度を有すると同時に、時効処理前の状態で優れた被削性を有する時効硬化鋼としては、既に特許文献1、2の技術が開示されている。
特許文献1には、各合金元素の含有量を、特定のパラメータ式を満たすように調整することによって、切削加工時の硬さを低く抑え、かつ、VとMoとTiを複合的に含有させることによって、時効処理後に高い疲労強度を示す時効硬化鋼が提案されている。
特許文献2には、Mo、Vを含有する鋼を熱間圧延または熱間鍛造後、鋼成分に応じた冷却を行って、硬さを400HV以下、組織をベイナイト率70%以上で、かつ旧オ−ステナイト結晶粒径80μm以下とし、その後必要に応じて切削加工ないし塑性加工を加え、さらに時効処理を施すことにより、降伏点または0.2%耐力を900MPa以上とする時効硬化型高強度ベイナイト鋼が提案されている。
特開2012−193416号公報 特開2013−253265号公報
周知のように、Vを含有する時効硬化鋼の時効硬化能を大きくするためのひとつの方法としては、Vを増量することが有効である。また、時効硬化能を大きくするための他の一つの方法としては、Mo、Ti、Nbなどの炭化物形成元素を複合的に含有させることが有効である。
ここで、既にある量のVを含有している鋼について、さらにある量のVを増量した場合と、それと同じ量のTiを複合的に含有させた場合とを比較すれば、Tiを複合的に含有させた方が、時効硬化能の増加代が大きくなることが知られている。すなわち、大きな時効硬化能が必要な場合において、材料コストの上昇を抑えるべく、高価な元素であるV量を節約するためには、Tiを複合的に含有させることが効果的である。しかしながら、鋼にTiが含有されていれば、靭性が劣化することがある。特に、V炭化物によって強化された鋼にTiが含有されていれば、靭性が著しく劣化することがある。
靱性が劣化した鋼は、切欠感受性が高まり、切欠感受性が高くなれば、鋼の疲労強度は微細な表面傷の影響を受け易くなる。また、靱性が低い鋼は、一旦疲労き裂が発生すすれば、き裂の進展が速くなり、かつ破壊も大規模なものとなる。さらに、鋼の靱性が低くなり過ぎれば、熱間鍛造で生じた歪を、熱間鍛造後に冷間で矯正することが困難になる。したがって、鋼の靭性が低下することは、極力抑制することが望まれる。
ところで特許文献1に開示されている鋼は、TiとVとMoとを複合的に含有させることによって、高価な元素であるV、Moの含有量を比較的少なくしつつ、大きな時効硬化能が得られるとされている。しかしながら、特許文献1の鋼は、Tiを複合的に含有させているため、靭性の劣化が懸念される。
一方、特許文献2に開示されている鋼は、合金元素の含有量を、特定のパラメータ式を満たすように調整することによって、高い時効硬化能を得ることができるとされている。しかしながら、時効硬化能を高めるための工夫が十分になされておらず、高価な元素であるVやMoの含有量を節約できているとは言い難い。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、基本的には、時効硬化処理前に施す切削加工における被削性が優れると同時に、時効処理後における疲労強度が高く且つ靭性に優れ、しかも材料コストの上昇を抑えた時効硬化性鋼を提供することを課題としている。
より具体的には、下記の<1>〜<3>を満たす時効硬化性鋼を提供することを課題としている。
<1>切削抵抗および工具寿命と関係する熱間鍛造後の硬さが低いこと。なお、以下の説明においては、上記の熱間鍛造後の硬さを、「時効処理前の硬さ」という。
<2>VとTiを複合的に含有させてVの含有量を比較的低く抑えながらも、時効処理によって機械部品に所望の疲労強度を具備させることができること。
<3>VとTiを複合的に含有させても、時効処理後の靱性が高いこと。
なお本発明の時効硬化性鋼の開発にあたって、鋼の具体的な性能の目標としては、望ましくは、例えば時効処理前の硬さが320HV以下であり、時効処理後の後述する疲労強度が490MPa以上であり、さらにJIS Z 2242に記載の、ノッチ深さ2mmおよびノッチ底半径1mmのUノッチ付きの標準試験片を用いて実施したシャルピー衝撃試験で評価した時効処理後の20℃での吸収エネルギーが20J以上となる時効硬化性鋼を提供することとしている。
本発明者らは、前記の課題を解決するために、VとTiを複合的に含有させるととともに、その他の合金成分量を種々に調整した鋼を用いて、鋼の時効硬化能を高めるために最適なTiの存在状態と、鋼の靭性への悪影響の低減するために最適なTiの存在状態を調査した。その結果、下記(a)〜(c)の知見を得た。
(a)鋼にTiを含有させれば、Tiが鋼中で各種のTi化合物を形成し、靭性を劣化させる場合がある。靭性への悪影響の程度は、Tiの存在形態によって変化し、どのような存在形態のTiが最も強く靭性を劣化させるかは、母材の組織、硬さによって異なる。
(b)微細なV炭窒化物で十分に析出強化される鋼に、さらにTiを含有させる場合には、Ti系介在物が粗大で、かつ、その数が多いほど、靭性は劣化する。粗大なTi系介在物の数を減らすには、C、N、およびS量を低減すればよい。
(c)一方、微細な炭化物による析出強化によって強化された鋼であって、かつその硬さが高い場合、Tiが微細な(V,Ti)(C,N)の形で鋼中に存在していれば、Tiを含有させない場合と比べて靭性は劣化するものの、その劣化代は小さい。また、Tiの存在形態が微細な(V,Ti)(C,N)である場合には、Tiによる時効硬化能向上の効果は大きくなる。
したがって、Tiによる時効硬化能向上の効果を最大限に発揮しつつ、靭性への悪影響を緩和するためには、粗大なTi系介在物を減らし、微細な(V,Ti)(C,N)を増やせばよいとの新規な認識を得た。
さらに本発明者らは、上記の新規な認識をベースとして、時効後の靭性を確保可能な条件を満たす鋼の成分を種々に調整し、鋼の組織、時効前の硬さ、時効硬化能について調べた結果、下記(d)〜(f)の知見を得た。
(d)C、Mn、Cr、およびMoの含有量が、後述する(1)式で表されるF1の値が特定の範囲となるように制御されていれば、熱間鍛造後の冷却中の初析フェライトの析出を抑制し、組織のベイナイト率を大きくすることができる。初析フェライトの析出は、V炭化物の析出を伴う。よって、初析フェライトの析出を抑制できれば、時効処理前にVが析出して硬化することを抑制することが可能となる。
(e)C、Si、Mn、Cr、VおよびMoの含有量が、後述する(2)式で表されるF2の値が特定の範囲となるように制御されておれば、時効処理前の硬さが過剰に高くなるのを抑制することができる。そのため、様々な条件で切削加工される際に、工業的大量生産が可能な被削性が実現できる。
(f)TiとNの含有量が、後述する(3)式で表されるF3の値が特定の範囲となるように制御されていれば、Tiによる時効硬化能向上の効果が十分発揮される。
本発明は、以上の知見を基にしてなされたもので、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す時効硬化性鋼にある。
(1) 質量%で、
C:0.05〜0.25%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.50〜2.5%、
S:0.001〜0.050%、
Cr:0.20〜2.50%、
Al:0.001〜0.080%、
V:0.10〜0.60%、
Mo:0.30〜0.90%、
Ti:0.020〜0.150%
を含有し、かつ
P:0.03%以下、
N:0.0080%未満
に制限され、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
下記の(1)式で表わされるF1が0.65以上、(2)式で表されるF2が1.05以下、かつ(3)式で表わされるF3が0.015以上である化学組成を有し、
しかも断面の任意の位置での7.5mmの領域内における、円換算直径が1.5μm以上のTi炭窒化物の個数が、120個以下であることを特徴とする時効硬化性鋼。
F1=C+0.3Mn+0.25Cr+0.6Mo・・・(1)
F2=C+0.1×Si+0.2×Mn+0.15×Cr+0.35×V+0.2×Mo・・・(2)
F3=Ti−3.4N・・・(3)
なお上記の(1)〜(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を意味する。
(2)さらに、Nb:0.1%以下を含有することを特徴とする上記(1)に記載の時効硬化性鋼。
(3)さらに、Ca:0.005%以下およびBi:0.4%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)、(2)のいずれかに記載の時効硬化性鋼。
本発明の時効硬化性鋼は、時効硬化処理前における被削性が優れると同時に、時効処理後における疲労強度が高く且つ靭性に優れ、しかも材料コストも比較的安価である。
具体的な性能値としては、本発明の時効硬化性鋼においては、例えば、熱間鍛造ままの時効処理前の硬さが320HV以下であって、しかも切削加工の後に施される時効処理後の疲労強度が490MPa以上であり、さらにJIS Z 2242に記載の、ノッチ深さ2mmおよびノッチ底半径1mmのUノッチ付きの標準試験片を用いて実施したシャルピー衝撃試験で評価した時効処理後の20℃での吸収エネルギーが20J以上の靭性を確保することが可能となる。
以下に、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、以下の記載中における各元素の含有量の「%」は、全て「質量%」を意味する。
本発明の時効硬化性鋼は、必須成分として、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜2.5%、S:0.001〜0.050%、Cr:0.20〜2.50、Al:0.001〜0.080%、V:0.10〜0.60%、Mo:0.30〜0.90%、Ti:0.020〜0.150%を含有する鋼である。そこで先ずこれらの必須成分元素の限定理由について説明する。
<C:0.05〜0.25%>
Cは、V、Tiと結合して炭化物を形成し、鋼を強化する。しかしながら、Cの含有量が0.05%未満では、V、Tiの炭化物が析出し難くなるため、所望の強化効果が得られない。一方、Cの含有量が0.25%を超えれば、セメンタイト(FeC)が増えるため、靱性が劣化する。したがって、Cの含有量を0.05〜0.25%とした。なおCの含有量は、0.08%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることが一層好ましい。また、Cの含有量は0.22%以下とすることが好ましく、0.20%以下とすることが一層好ましい。
<Si:0.01〜0.50%>
Siは、鋼を固溶強化する。固溶強化の効果を十分に得るためには、Siは0.01%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、Mn、Crを多量に含む鋼において、Siの含有量が過剰になれば、熱間鍛造後の組織の残留オーステナイト量が多くなりすぎ、時効処理中の変形が大きくなる場合がある。そこでSiの含有量を0.01〜0.50%とした。なおSiの含有量は、0.05%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがいっそう好ましい。また、Siの含有量は、0.40%以下とすることが好ましく、0.35%以下とすることが一層好ましい。
<Mn:0.5〜2.5%>
Mnは、焼入れ性を向上させ、熱間鍛造後の組織をベイナイトにする効果を示す。さらに、ベイナイト変態温度を低下させることにより、ベイナイト組織を微細化させて、マトリックスの靱性を高める効果も示す。また、Mnは、鋼中でMnSを形成して、切削時の切り屑処理性を向上させる作用を有する。これらの効果を十分に得るためには、Mnは0.5%以上を含有量する必要がある。しかしながら、Mnは鋼の凝固時に偏析しやすい元素であるため、2.5%を超えれば、熱間鍛造後の部品内の硬さのバラツキが大きくなることを避けられない。したがって、Mnの含有量を0.5〜2.5%とした。なおMnの含有量は、0.7%以上とすることが好ましく、0.8%以上とすることが一層好ましい。また、Mnの含有量は、2.3%以下とすることが好ましく、2.1%以下とすることが一層好ましい。
<S:0.001〜0.050%>
Sは、鋼中でMnと結合してMnSを形成し、切削時の切り屑処理性を向上させる効果を有するから、0.001%以上含有させる必要がある。しかしながら、Sの含有量が多くなれば、Ti硫化物が析出して靭性を劣化させる。特に、Sの含有量が0.050%を超えれば、靱性と疲労強度の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.001〜0.050%とした。なおSの含有量は、0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることが一層好ましい。また、Sの含有量は、0.040%以下とすることが好ましく、0.030%以下とすることが一層好ましい。
<Cr:0.20〜2.50%>
Crは、Mnと同様に焼入れ性を高め、組織をベイナイトにする効果を示す。さらに、ベイナイト変態温度を低下させる効果と、熱間鍛造時のオーステナイト粒径を微細化させる効果とによって、変態後のベイナイト組織を微細化させ、靭性を向上させる。これらの効果を十分に得るためには、0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、Crの含有量が2.5%を超えれば、焼入れ性が過剰になって、時効処理前の硬さが大きくなり、被削性が劣化する。したがって、0の含有量をCr0.2〜2.50%とした。なおCrの含有量は、0.30%以上とすることが好ましく、0.40%以上とすることが一層好ましい。また、Crの含有量は、2.00%以下とすることが好ましく、1.60%以下とすることが一層好ましい。
<Al:0.001〜0.080%>
Alは、脱酸作用を有する元素であり、この効果を得るために0.001%以上含有させる必要がある。しかし、0.080%を超えるAlを含有させれば、粗大なAl酸化物が生成されるようになり、靱性が低下する。したがって、Alの含有量を0.001〜0.080%とした。なおAlの含有量は、0.050%以下とすることが好ましく、0.040%以下とすることが一層好ましい。
<V:0.10〜0.60%>
Vは、本発明の鋼における最も重要な元素である。Vは、時効処理の際にCと結合して微細な炭化物を形成することによって、疲労強度を高める作用がある。また、鋼中にTi、Moを含有した場合、Vには、時効処理によって、Ti、Moと複合して析出し、時効硬化能を一層高める効果も示す。これらの効果を十分に得るためには、Vは0.10%以上含有する必要がある。しかしながら、Vの含有量が0.60%を超えれば、熱間鍛造時の加熱によっても未固溶の炭窒化物が残りやすくなって、靱性の低下を招く。しかも、Vの含有量が過剰になれば、時効処理前の硬さが高くなってしまう場合がある。したがって、Vの含有量を0.10〜0.60%とした。なおVの含有量は、0.15%以上とすることが好ましく、0.20%以上とすることが一層好ましい。また、Vの含有量は、0.55%以下とすることが好ましく、0.50%以下とすることが一層好ましい。
<Ti:0.020〜0.150%>
Tiは、時効処理によりVと複合的に炭化物を形成して、時効硬化能を上昇させる効果が示す。この効果を顕著に得るためには、Ti量を0.020%含有させる必要がある。しかしながら、Tiの含有量が0.150%よりも多くなれば、熱間鍛造時にTi化合物を溶体化させることが困難になり、時効硬化能の向上代が飽和するだけで無く、粗大なTi炭窒化物が増加して、靱性を低下させる。したがって、Tiの含有量を0.020〜0.150%とした。なおTiの含有量は、0.025%以上とすることが好ましく、0.030%以上とすることが一層好ましい。また、Tiの含有量は、0.120%以下とすることが好ましく、0.100%以下とすることが一層好ましい。
<Mo:0.30〜0.90%>
Moは、V、Tiを含有する鋼において、VとTiと複合的に炭化物を形成して、時効硬化能を大きくする作用を有する。この効果を顕著に得るためには、Moの含有量を0.3%以上とする必要がある。一方、Moの含有量が多くなれば鋼材が高価となり、さらには靱性も低下する。したがって、Moの含有量を0.30〜0.90%とした。なおMoの含有量は、0.35%以上とすることが好ましく、0.40%以上とすることが一層好ましい。また、Moの含有量は、0.70%以下とすることが好ましく、0.60%以下とすることが一層好ましい。
本発明の時効硬化性鋼は、基本的には、上述のCからMoまでの各元素を必須成分とし、その残部はFeおよび不純物からなるものであるが、不純物中のPおよびNについては、P:0.05%以下、N:0.0080%未満に制限する。これらP、Nの規制理由について次に説明する。なおここで不純物とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップまたは製造環境などから混入するものを指す。
<P:0.05%以下>
Pは、不純物として含有され、本発明において好ましくない元素である。Pは、粒界に偏析するため、靱性を低下させる。したがって、Pの含有量を0.04%以下とした。なおPの含有量は、0.03%以下とすることが好ましい。
<N:0.0080%未満>
Nは、Vと結合することで微細な炭窒化物の形成に寄与する元素である。但し、VとTiを複合的に含有した鋼においては、Nは、Cと共にTiと結合し、粗大なTi炭窒化物を形成し、靭性を劣化させる。Nの含有量が0.0080%以上になれば、靱性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量は0.0080%未満とした。なおNの含有量は、0.0050%未満とすることが好ましく、0.0040%未満とすることが一層好ましく、0.0035%未満とすることがより一層好ましい。
さらに本発明の時効硬化性鋼は、前述のようなCからMoまでの元素を含有すると同時に、P,Nを前述のように制限するばかりでなく、さらにNb:0.1%以下を含有していてもよく、また、Ca:0.005%以下およびBi:0.4%以下から選択される1種以上を含有していてもよい。そこでこれらの選択的添加元素について次に説明する。
<Nb:0.1%以下>
NbはV、Ti、Moと複合的に炭化物を形成し時効硬化能を大きくする作用を有する。このため、必要に応じてNbを含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が0.1%を超えると、靭性が劣化する。したがって、含有させる場合のNbの量を0.1%以下とした。含有させる場合のNbの量は、0.06%以下とすることが好ましく、0.04%以下とすれば一層好ましい。
一方、前記したNbの効果を安定して得るためには、含有させる場合のNbの量は、0.01%以上とすることが望ましく、0.02%以上とすることが一層望ましい。
さらにCaおよびBiは、いずれも、工具寿命を長寿命化する作用を有する。このため、工具寿命を一層長くさせたい場合には、これらの元素を以下に述べる範囲で含有させてもよい。
<Ca:0.005%以下>
Caは、工具寿命を長寿命化する作用を有する。このため、必要に応じてCaを含有させてもよい。しかしながら、Caの含有量が多くなれば、粗大な酸化物を形成し、靱性を劣化させる。したがって、含有させる場合のCaの量を0.005%以下とした。含有させる場合のCaの量は、0.0035%以下とすることが好ましい。
一方、前記したCa添加による工具寿命を長寿命化する効果を安定して得るためには、Caを含有させる場合のCaの量は、0.0005%以上とすることが望ましい。
<Bi:0.4%以下>
Biは、切削抵抗を低下させて工具寿命を長寿命化させる作用を有する。このため、必要に応じてBiを含有させてもよい。しかしながら、Biの含有量が多くなれば、熱間加工性の低下をきたす。したがって、含有させる場合のBiの量を0.4%以下とした。含有させる場合のBiの量は、0.3%以下とすることが好ましい。
一方、前記したBiの添加による工具寿命を長寿命化する効果を安定して得るためには、Biを含有させる場合のBi量は、0.03%以上とすることが望ましい。
上記のCaおよびBiは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。2種を含有させる場合のこれらの元素の合計含有量は、CaおよびBiの含有量がそれぞれの上限値に相当する0.405%であっても構わないが、0.3%以下とすることが好ましい。
なお、上記のNbと、CaおよびBiのいずれか1種以上とは、同時に含有しても、あるいは一方のみを含有していてもよいことはもちろんである。
さらに、鋼中の不純物としては、CuやNiが含有されることが多いが、本発明の時効硬化性鋼では、不純物としてCu:0.3%以下、Ni:0.3%以下は許容される。その理由は次の通りである。
<Cu:0.3%以下>
Cuは、0.3%以下であれば、靭性および時効硬化能に影響を及ぼさないため、本発明の時効硬化性鋼に含有されていても良い。
<Ni:0.3%以下>
Niは、0.3%以下であれば、靭性および時効硬化能に影響を及ぼさないため本発明の時効硬化性鋼に含有されていても良い。
さらに本発明の時効硬化性鋼においては、各元素の個別の含有量を上記のように調整するばかりでなく、各元素量の相互の関係を、下記の(1)式のF1の値、(2)式のF2の値、(3)式のF3の値がそれぞれ所定の範囲内とするように調整することが重要である。
すなわち(1)式で表わされるF1が0.65以上、(2)式で表されるF2が1.05以下、かつ(3)式で表わされるF3が0.015以上となるような化学組成を有することが、時効処理前の硬さを抑えて被削性を向上させると同時に、時効硬化能を高めて時効処理後の耐疲労特性の向上、靭性の向上を図るために有効である。
F1=C+0.3Mn+0.25Cr+0.6Mo・・・・・(1)
F2=C+0.1×Si+0.2×Mn+0.15×Cr+0.35×V+0.2×Mo・・・(2)
F3=Ti−3.4N・・・(3)
なお上記の(1)〜(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を意味する。
次にこれらのF1〜F3の値の限定理由を説明する。
<F1:0.65以上>
本発明の時効硬化性鋼の微細組織は、熱間鍛造後の冷却中に決定される。熱間鍛造後の室温までの冷却の間の初析フェライトの生成を抑制し、ベイナイト主体の組織を得るためには、(1)式で表されるF1が制御されていなければならない。F1が0.65以上であれば、800℃から500℃の間の平均冷却速度が0.15〜3.0℃/秒となるような通常の熱間鍛造工程で鍛造成形することにより、ベイナイト主体の組織を得ることが出来る。なおF1は、0.68以上であることが好ましく、さらに0.73以上であることが一層好ましい。
<F2:1.05以下>
本発明の時効硬化性鋼における時効処理前の硬さが高くなり過ぎないようにするためには、(2)式で表されるF2が制御されていなければならない。F2が1.05以下であれば、800℃から500℃の間の平均冷却速度が0.15〜3.0℃/秒となるような通常の熱間鍛造工程で鍛造成形することにより、時効処理前の硬さを320HV以下とすることができる。なおF2は、1.00以下であることが好ましく、さらに0.95以下であることが一層好ましい。
<F3:0.015以上>
本発明の時効硬化性鋼は、Ti添加による時効硬化能向上の効果を得るためには、(3)式で表されるF3が、0.015以上でなければならない。F3は、0.020以上であることが好ましく、0.025以上であることが一層好ましい。
さらに本発明の時効硬化性鋼においては、金属組織条件として、断面の任意の位置での7.5mmの領域内における円換算直径が1.5μm以上の断面の任意の位置での7.5mmの領域内における円換算直径が1.5μm以上のTi炭窒化物の個数が120個以下であることが必要である。このようなTi炭窒化物の分散密度条件について次に説明する。
<Ti炭窒化物の分散密度条件>
粗大なTi炭窒化物は、いわゆる粗大介在物として、脆性破壊の起点となる。特に、延性の低い鋼中に存在する場合は、靭性を大きく劣化させるため、できるだけ少なくする必要がある。ここで、Ti炭窒化物とは、TiN、Ti(C,N),およびこれらの相の内、Tiの一部がFe、V、Mo等で置換された相である。靭性に及ぼすTi炭窒化物の悪影響を小さくするためには、鋼の任意の断面における、任意の位置の面積7.5mmの観察領域に現れる、断面上の面積を円に換算した際の直径が1.5μm以上の粗大なTi炭窒化物の個数を120個以下とすればよい。なお断面上の粗大Ti炭窒化物の個数は100個以下とするのが好ましく、さらに90個以下とするのが一層好ましい。
なおまた、上記の「鋼の任意の断面における、任意の位置の面積7.5mmの観察領域」において円換算直径が1.5μm以上の粗大Ti炭窒化物の個数が120個以下とは、鋼のどの方向の断面でも、また各断面におけるどの位置でも、面積7.5mmの観察領域で、円換算直径が1.5μm以上の粗大Ti炭窒化物の個数が120個以下であることを意味する。但し、粗大Ti炭窒化物は、圧延や鍛造工程でその形態をほとんど変えないから、ある任意の一つの断面位置の、任意の一か所で観察すればよいが、なお、鋼材の表層では、熱間圧延条件によっては脱炭や脱窒が生じるため、実際上は、鋼材の表層を除いた位置で観察することが好ましい。
<製造方法>
本発明の時効硬化性鋼の製造方法は特に限定するものではなく、断面上の粗大なTi炭窒化物の個数が上記の条件を超えなければ、どのような方法によってもよく、常法に従って製造すればよいが、以下に、自動車、産業機械、建設機械などの機械部品を製造する方法の好ましい一例を示す。
まず、化学組成を前述の範囲に調整した鋼から、熱間鍛造に供する材料(以下、「熱間鍛造用素材」という)を作製する。
上記の熱間鍛造用素材としては、インゴットを分塊圧延したビレット、連続鋳造材を分塊圧延したビレット、あるいはこれらのビレットを熱間圧延または熱間鍛造した棒鋼などが適用できる。
次いで、上記の熱間鍛造用素材を熱間鍛造し、さらに切削加工して所定の部品形状に仕上げる。
なお、上記の熱間鍛造は、例えば、熱間鍛造用素材を1100〜1350℃で0.1〜300分加熱した後、仕上げ鍛造後の表面温度が900℃以上となるようにして鍛造を行い、その後、800〜400℃までの温度領域の平均冷却速度を10〜90℃/分として室温まで冷却する。このようにして冷却した後、さらに切削加工して、所定の部品形状に仕上げる。
最後に、時効処理を施して、所望の特性を具備する自動車、産業機械、建設機械などの機械部品を得る。
時効処理は、例えば、540〜700℃の温度域、好ましくは560〜680℃の温度域で行う。この時効処理の保持時間は、均熱のため機械部品のサイズ(質量)によって調整するが、例えば、30〜1000分が好ましい。
以下に本発明の実施例を示す。
<実施例1>
表1に示す化学組成の鋼A〜Xを50kg真空溶解炉によって溶製した。
表1における鋼A〜Lは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、表1における鋼M〜Xは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼である。
各鋼のインゴットは、1250℃で加熱した後、直径60mmの棒鋼に熱間鍛造した。熱間鍛造した各棒鋼は、一旦大気中で放冷して室温まで冷却した。その後、さらに、1250℃に30分加熱し、部品形状への鍛造を想定し、仕上げ時の鍛造材の表面温度を950〜1100℃として、直径35mmの棒鋼に熱間鍛造した。熱間鍛造後は、いずれも大気中で放冷して室温まで冷却した。
各試験番号について、熱間鍛造で上記の直径35mmに仕上げた後に室温まで冷却した棒鋼のうちの一部は、時効処理を施さない状態(すなわち、冷却ままの状態)で、棒鋼の両端部を100mmずつ切り落とした後、残る中央部から試験片を切り出し、時効処理前の硬さの調査を行った。
一方、各試験番号について、熱間鍛造した棒鋼の残りは、600〜630℃で60〜180分保持する時効処理を施し、棒鋼の両端部を100mmずつ切り落とした後、残る中央部から試験片を切り出し、時効処理後の硬さの調査を行った。また、各試験番号について、棒鋼から試験片を切り出し、時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーと疲労強度の調査を行った。
硬さ測定は、次のようにして実施した。まず、棒鋼を横断し、切断面が被検面となるように樹脂埋めして鏡面研磨して試験片を準備した。次いで、JIS Z 2244(2009)における「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠して、被検面のR/2部(「R」は半径を表す。)付近10点について、試験力を9.8Nとして硬さ測定を実施した。上記10点の値を算術平均してビッカース硬さとした。時効処理前の硬さは320HV以下の場合に、様々な条件で切削加工される部品でも工業的に大量生産が可能と判断し、これを目標とした。時効処理による硬さの増分であるΔHVが40ポイント以上である場合に、高い時効硬化能が発揮されていると判断し、これを目標とした。
単位断面積上の粗大Ti炭窒化物の数の計測は、次のようにして実施した。硬さ測定後の試験片の7.5mmの観察領域をSEMで観察し、観察された介在物の内、断面上の面積を円に換算した際の直径が1.5μm以上で、かつ、EDS測定により介在物を構成する金属元素の中でTiの原子分率が0.2以上である炭窒化物の個数をカウントした。
時効処理後の靱性は、ノッチ深さ2mmおよびノッチ底半径1mmのUノッチ付きの標準試験片を用いて実施したシャルピー衝撃試験で評価し、試験温度20℃での吸収エネルギーが20J以上の場合に、十分に高いと判断し、これを目標とした。
疲労強度は、平行部の直径が8mm、長さが106mmの小野式回転曲げ疲労試験片を作製して調査した。すなわち、疲労試験片の中心が棒鋼のR/2部となるように上記の試験片を採取し、試験数を8として、室温、大気中で、応力比が−1となる条件で小野式回転曲げ疲労試験を実施した。繰り返し数が1.0×10回まで破断しなかったうちでの応力振幅の最大値を疲労強度とした。疲労強度が490MPa以上の場合に、疲労強度が十分高いと判断し、これを目標とした。
これらの測定結果を、表2に示す。
Figure 2017066460
Figure 2017066460
表2から明らかなように、本発明で規定する化学組成を有する試験番号A1〜A12の「本発明例」の場合、時効処理前の硬さが299HV以下、時効処理によって硬さがHVで51ポイント以上硬化し、時効後の疲労強度が500MPa以上、シャルピー衝撃試験における吸収エネルギーが23J以上になって目標を達成しており、時効処理後の強度と靱性が両立できており、さらに時効処理前の硬さが低いことから、切削抵抗の低下および工具寿命の長寿命化が期待できることがわかる。
これに対して、本発明の規定から外れた試験番号B1〜B12の「比較例」の場合には、目標とする性能が得られていない。
試験番号B1〜B3は、用いた鋼M〜OのN濃度が0.0088%以上と高く、粗大なTi炭窒化物の個数が多いため、時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーが7〜11Jと低く、靱性に劣る。鋼A、B、Cは、粗大なTi炭窒化物の数が少ない鋼種であり、N濃度以外の化学成分、時効後の硬さ、疲労強度は、それぞれ鋼M、N、Oと近い。粗大なTi炭窒化物の数が少ない鋼A、B、Cの時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーは35〜50Jであり、粗大なTi炭窒化物の数が少なくなることで靭性が大きく向上していることが分かる。
試験番号B4〜B6は、用いた鋼P〜RのTi濃度が0.002%以下と低いため、時効硬化能の指標であるΔHVは36ポイントと低く、時効後の疲労強度も485MPa以下と低い。鋼P、Q、Rの化学成分は、それぞれ鋼A、B、Cの化学成分とTi濃度以外が近い。十分な量のTiを含有する鋼A、B、CのΔHVは51〜77ポイントで、疲労強度も500〜525MPaであり、TiをVと複合的に含有させることで、時効硬化能と時効後の疲労強度が増大していることが分かる。
試験番号B7は、用いた鋼SのF2の値が1.10と高いため、時効処理前の硬さが368HVと高く被削性が劣る。
試験番号B8は、用いた鋼TのF1の値が0.64と低いため、熱間鍛造後の冷却中に、初析フェライトとともにV炭化物が析出してしまい、ΔHVが21と低く、時効後の疲労強度も460MPaと低い。
試験番号B9は、用いた鋼UのTi含有量が0.210%と高いため、時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーが8Jと低く、靱性に劣る。
試験番号B10は、用いた鋼VのC含有量が0.35%と高いため、時効処理前の硬さが325HVと高く被削性に劣る。さらに、粗大なTiCが増加したため、時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーも9Jと低く、靱性に劣る。
試験番号B11は、用いた鋼WのS含有量が0.101%と高いため、時効処理後のシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーが13Jと低く、靱性に劣る。
試験番号B12は、用いた鋼XのF3の値が0.013と低いため、Tiによる時効硬化能増大の効果が十分に発揮されず、ΔHVが38と低く、時効後の疲労強度も480MPaと低い。
以上、本発明の好ましい実施形態および実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.25%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.50〜2.5%、
    S:0.001〜0.050%、
    Cr:0.20〜2.50%、
    Al:0.001〜0.080%、
    V:0.10〜0.60%、
    Mo:0.30〜0.90%、
    Ti:0.020〜0.150%
    を含有し、かつ
    P:0.03%以下、
    N:0.0080%未満
    に制限され、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    下記の(1)式で表わされるF1が0.65以上、(2)式で表されるF2が1.05以下、かつ(3)式で表わされるF3が0.015以上である化学組成を有し、
    しかも断面の任意の位置での7.5mmの領域内における、円換算直径が1.5μm以上のTi炭窒化物の個数が、120個以下であることを特徴とする時効硬化性鋼。
    F1=C+0.3Mn+0.25Cr+0.6Mo・・・(1)
    F2=C+0.1×Si+0.2×Mn+0.15×Cr+0.35×V+0.2×Mo・・・(2)
    F3=Ti−3.4N・・・(3)
    なお上記の(1)〜(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を意味する。
  2. さらに、Nb:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の時効硬化性鋼。
  3. さらに、Ca:0.005%以下およびBi:0.4%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の時効硬化性鋼。

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