JP3261552B2 - 疲労特性に優れる非調質鋼の製造方法 - Google Patents

疲労特性に優れる非調質鋼の製造方法

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JP3261552B2 JP27120193A JP27120193A JP3261552B2 JP 3261552 B2 JP3261552 B2 JP 3261552B2 JP 27120193 A JP27120193 A JP 27120193A JP 27120193 A JP27120193 A JP 27120193A JP 3261552 B2 JP3261552 B2 JP 3261552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間鍛造による自動車
用を始めとする機械構造用部品の製造方法に関し、さら
に詳しくは、特定の鋼材に熱間鍛造後に時効処理を施す
ことにより、優れた疲労強度,切削性および降伏強度を
同時に持たせることができる非調質鋼の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】工程の簡略化,製造コストの低減の観点
から、自動車を始めとする機械構造用部品に対して非調
質鋼の適用が普及している。これらの非調質鋼は、主に
高い引張強度(あるいは硬さ)と降伏強度および靱性を
有することを主眼に開発が行われてきた。
【0003】そこで例えば特開昭62−205245号
公報などに見られるように、析出強化の代表的元素であ
るVを使った非調質鋼が提案されてきた。ところがこの
様な高強度,高靱性の非調質鋼の機械部品への適用に際
して、強度の増加に伴う切削性の劣化が大きな障害にな
っている。
【0004】機械部品として最も重要な特性は疲労強度
である。疲労強度は、一般に引張強度に依存するとさ
れ、引張強度を高くすれば高くなる。しかし引張強度を
上げることによって切削性は極端に劣化し、引張強度が
120kgf/mm2 を超えると、もはや通常の生産能
率では生産ができなくなってしまう。そこで切削性を劣
化させずに疲労強度を向上させる非調質鋼の具現化が切
望された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これには、疲労強度と
引張強度の比,すなわち耐久比を向上させることが有効
な手段である。そこで例えば特開平4−176842号
公報などに見られるように、ベイナイト主体の金属組織
とし、組織中の高炭素島状マルテンサイトおよび残留オ
ーステナイトを低減する方法などが提案されてきた。
【0006】しかしこのような開発努力にもかかわら
ず、耐久比はせいぜい0.55程度であり、切削性も極
めて不良であった従来型のベイナイト非調質鋼の、高々
2倍程度にしか改善されない。
【0007】本発明者らは先に切削性の良好なパーライ
ト含有組織に着目し、これに以下のような2段の析出を
活用する。
【0008】 先ずMnS上にTiNおよびVNを複
合析出させ、これによって鍛造加熱時のオーステナイト
結晶粒を微細化するとともに、この複合析出物を核発生
サイトとしてフェライトを微細析出させる。 次いでパーライトが析出するに当たって、析出した
パーライト中のフェライトマトリックス地に、さらにV
炭化物,またはV炭窒化物を極めて微細に析出させる。
【0009】このような2段の析出を活用した手法によ
り、組織全体が微細で、かつ析出強化されたパーライト
を有する金属組織を得ることを組み合わすことによっ
て、疲労強度および切削性の優れる熱間鍛造用非調質鋼
を発明した。
【0010】しかしこの型の非調質鋼では、降伏強度が
低いことが問題となり、局所的に大きな応力がかかる部
品では塑性変形をきたして使用ができなかった。
【0011】本発明は、従来の熱間鍛造型非調質鋼すな
わち熱間鍛造後自然放冷の製造方法では実現が困難であ
った高い耐久比と切削性に加え、さらに降伏比を同時に
有する非調質鋼の製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】一般に降伏強度を向上さ
せる方法として、 結晶粒を微細化させる、 マルテンサイト(焼き入れ)組織のような過飽和の
固溶元素を多く含んだ低温変態組織を時効してその固溶
元素を微細析出させ転位を固着させる、 といった二つの方法がある。
【0013】一方本発明者らが先に発明したフェライト
−パーライト組織型非調質鋼においては、 複合析出物を析出させることにより、既に結晶粒は
微細化されている、 高温変態組織であるフェライト−パーライト組織鋼
を時効処理しても過飽和固溶元素が少なくその効果は小
さい、 と考えられ、降伏強度を向上させることは困難と考えら
れた。
【0014】ところがCおよびV添加量を調整した材料
に時効処理を施すと、かなり降伏強度が改善され、しか
も先の発明の特徴である疲労強度および切削性も向上す
ることを見出した。
【0015】本発明者らはこのような知見に基づいて、
パーライトを含有する熱間鍛造用鋼の化学成分および金
属組織の設計を行い、さらにこの材料を時効処理する条
件を検討して本発明を完成するに至った。
【0016】(1) すなわち第1の本発明は、重量比
にして、C:0.15〜0.50%,Si:0.005
〜2.00%, Mn:0.40〜2.00%, S:0.
01〜0.10%, Al:0.0005〜0.05%,
Ti:0.003〜0.05%, N:0.0020〜
0.0200%, V:0.20〜0.70%を含有し、
残部はFeならびに不純物元素からなる組成の鋼材を、
Ac3点以上の温度に加熱して熱間鍛造を施し、冷却させ
て変態が終了した後の金属組織の90%以上がフェライ
ト+パーライト組織であるようにし、これにさらに20
0〜700℃の温度で時効処理を行うことを特徴とする
耐久比が0.56以上である疲労特性に優れる非調質鋼
の製造方法である。
【0017】(2) またフェライト+パーライト組織
率の調整のため、前記(1)項の鋼材成分に、さらにC
r:0.02〜1.50%,Mo:0.02〜1.00
%の内の1種または2種を含有させたものである。
【0018】(3) また結晶粒微細化のため、前記
(1)項および(2)項の鋼材成分に、さらにNb:
0.001〜0.20%を含有させたものである。
【0019】(4) また切削性のさらなる向上のた
め、前記(1)項〜(3)項の鋼材成分に、さらにP
b:0.05〜0.30%,Ca:0.0005〜0.
010%の内の1種または2種を含有させたものであ
る。
【0020】
【作用】次に本発明の疲労特性に優れる非調質鋼の製造
方法における、鋼材化学成分,熱間鍛造を施し冷却して
変態した後の金属組織,およびこの材料を時効処理する
条件の限定理由について、以下に説明する。
【0021】C:フェライト+パーライト組織率を制御
し、ひいては最終製品の引張強度を増加させると共に、
時効処理中にVとの炭化物あるいは炭窒化物を形成する
重要な元素で、0.15%未満ではその効果が小さく、
逆に0.50%超過では硬さが高くなりすぎて切削性を
阻害するので、0.15〜0.50%とする。
【0022】Si:脱酸およびベイナイトの析出を抑
え、フェライト+パーライト組織率を調整する元素で、
0.005%未満ではその効果は小さく、2.00%超
過では耐久比,切削性のいずれも低下するので、0.0
05〜2.00%とする。
【0023】Mn:パーライト量の増加と変態温度の低
下をもたらすとともに、MnSとなることによりフェラ
イトの析出サイトである複合析出物の基盤となる元素
で、0.40%未満ではその効果が小さく、2.00%
超過ではベイナイトが発生して耐久比,切削性のいずれ
も低下するので、0.40〜2.00%とする。
【0024】S:MnSとなることによりフェライトの
析出サイトである複合析出物の基盤となり、かつ被削性
を向上させる元素で、0.01%未満ではその効果が小
さく、0.10%超過では耐久比が低下するので、0.
01〜0.10%とする。
【0025】Al:脱酸効果をもつ元素で、0.000
5%未満ではその効果が小さく、0.050%超過では
硬質介在物を形成し、耐久比,切削性のいずれも低下す
るので、0.0005〜0.050%とする。
【0026】Ti:MnS上に窒化物となって析出し、
フェライトの析出サイトとなる複合析出物を形成する元
素で、0.003%未満ではその効果が小さく、0.0
50%超過では粗大硬質介在物の形成を促し、耐久比,
切削性のいずれも低下するので、0.003〜0.05
0%とする。
【0027】N:TiおよびVと窒化物あるいは炭窒化
物を形成する元素で、0.0020%未満ではその効果
が小さく、0.0200%超過では耐久比,切削性のい
ずれも低下するので、0.0020〜0.0200%と
するが、N過多では粗大窒化物の形成,マトリックス硬
化等の悪影響が大きく、0.0070%以下が望まし
い。
【0028】V:MnSおよびTiNと複合析出物を形
成するとともに、パーライト中のフェライトを析出強化
し、さらに時効処理により炭化物あるいは炭窒化物を形
成する重要な元素で、0.20%未満ではその効果が小
さく、0.70%超過では耐久比,切削性および降伏比
のいずれも低下するので、0.20〜0.70%とす
る。
【0029】以上が本願第1発明の鋼の化学成分の限定
理由である。
【0030】次に前記(2)項の発明においては、フェ
ライト+パーライト組織率の調整のため、(1)項の鋼
材成分にさらにCr,Moの1種または2種を含有させ
るもので、これらの化学成分の限定理由について以下に
述べる。
【0031】Cr:Mnとほぼ同様にパーライト量の増
加と変態温度の低下をもたらす元素で、0.02%未満
ではその効果が小さく、1.50%超過ではベイナイト
が発生して耐久比,切削性のいずれも低下するので、
0.02〜1.50%とする。
【0032】Mo:Mn,Crとほぼ同様の効果をもつ
元素で、0.02%未満ではその効果が小さく、1.0
0%超過ではベイナイトが発生して耐久比,切削性のい
ずれも低下するので、0.02〜1.00%とする。
【0033】前記(3)項の発明においては、結晶粒微
細化のため、(1)項または(2)項の鋼材成分にさら
にNbを含有させる。Nbの限定理由は次の通りであ
る。
【0034】Nb:TiおよびVとほぼ同様の効果をも
つ元素で、0.001%未満ではその効果が小さく、
0.20%超過では耐久比,切削性のいずれも低下する
ので、0.001〜0.20%とする。
【0035】前記(4)項の発明においては、切削性の
さらなる向上のため、(1)項〜(3)項の鋼材成分に
さらにPb,Caの1種または2種を含有させる。これ
らの化学成分の限定理由について以下に述べる。
【0036】Pb:切削性を向上せしめる元素で、0.
05%未満ではその効果が小さく、0.30%超過では
その効果は飽和し耐久比が低下するので、0.05〜
0.30%とする。
【0037】Ca:Pbとほぼ同様な効果をもつ元素
で、0.0005%未満ではその効果が小さく、0.0
10%超過ではその効果は飽和し耐久比が低下するの
で、0.0005〜0.010%とする。
【0038】これらの化学成分を有する鋼材を熱間鍛造
するに当って、その加熱温度はAC3点以上の温度とし、
オーステナイト単相領域で熱間加工を行うものとする。
これはオーステナイト単相領域以外では鋼材の変形抵抗
が高くなり、鍛造加工に用いる工具の寿命が極端に低下
すると共に、変形能も低く鍛造割れ等の問題が生じるた
めである。
【0039】ただし高温になるほど加工時の変形抵抗が
下がるので、望ましくは1100℃以上で行うべきであ
り、オーステナイト結晶粒の粗大化を考慮すれば130
0℃以下とすべきである。
【0040】次に本願発明の鋼において、熱間鍛造後冷
却し変態が終了した際の金属組織であるが、切削性の向
上および疲労強度の向上を達成するため、金属組織の9
0%以上がフェライト+パーライト組織であることが必
要である。組織率で10%未満のベイナイト等の低温変
態組織,あるいは残留オーステナイトがあっても本効果
を妨げない。
【0041】このようなフェライト−パーライト2相組
織を得ることができれば、熱間鍛造後の冷却方法は特に
指定しないが、設備や製造コストの点からは自然放冷が
当然望ましい。なお金属組織は、腐食した試験片を光学
顕微鏡等で観察すること,およびマイクロビッカース硬
度測定機でその組織の微小硬度を測定する等の方法で確
認する。
【0042】最後にこのような材料を時効処理する条件
の限定理由について述べる。
【0043】時効処理の加熱温度が200℃未満では、
Cの拡散が困難で効果が不十分となる。一方700℃を
超えると析出した炭化物が粗大化し、引張強度が下がる
だけでなく疲労強度も低下する。そこで時効処理の加熱
温度は200〜700℃とする。
【0044】加熱時間はこの温度範囲であれば特に限定
する必要はないが、望ましくは10分〜2時間程度とす
べきである。さらに時効処理後の冷却方法も空冷,水
冷,油冷などのような方法でも本発明の性能は得ること
ができる。
【0045】
【実施例】以下に、本発明の効果を実施例により、さら
に具体的に示す。なお以下に挙げる各表において、区分
の欄の括弧を付したNo.は本発明の条件を満足する実
施例であり、それ以外は比較例である。
【0046】a.鋼材化学成分の影響について、表1〜
表4に示す化学成分の鋼を高周波炉にて溶解して150
kgの鋼塊とし、これから鍛造用材料を切り出し、一旦
950℃加熱放冷で焼準した後、1100〜1250℃
に加熱して1050〜1200℃の温度で熱間鍛造を行
い、その後放冷した。
【0047】さらにこの材料を温度400℃の加熱炉に
1時間装入して時効処理を行ない、この材料の中央部よ
りJIS4号引張試験片,JIS1号回転曲げ試験片を
採取し、引張試験および回転曲げ疲労試験を行った。
【0048】さらにこの材料より切削試験片を採取し、
SKH9製10mmφストレートシャンクドリルを用い
て30mm深さのブラインドホールを穿孔し、ドリルが
寿命破壊するまでの総穿孔距離により切削性を評価し
た。なお切削速度は50m/min,送り速度は0.3
5mm/rev.切削油7L/minの条件とした。ま
た時効処理前の材料から光学顕微鏡観察試験片を採取
し、5%ナイタールで腐食して200倍で観察した。表
5〜表8に各供試材のフェライト+パーライト組織率お
よび性能評価結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】まず比較例として挙げた現行調質鋼である
No.41の耐久比0.47,切削性1.00に対し、本
発明例であるNo.(1) 〜(19)はいずれも耐久比は0.
56以上であり、また切削性もNo.41の2.5倍から
4倍近く良好である。
【0058】比較例のNo.20は、C量が低いため引張
強度が低く、かつ耐久比も低いので疲労特性は不良であ
る。比較例のNo.21は、C量が高すぎるためベイナイ
トが発生し、本発明のフェライト+パーライト組織率の
条件が満足できず、引張強度は高くなるが、本発明例に
比べ耐久比が低く切削性も不良である。
【0059】比較例のNo.22は、Si量が低いため脱
酸程度が低く、耐久比は本発明例に比べ低い。比較例の
No.23は、Si量が高いためベイナイトが発生し、本
発明のフェライト+パーライト組織率の条件が満足でき
ず、耐久比は本発明例に比べ低く切削性も不良である。
【0060】比較例のNo.24は、Mn量が低いため複
合析出物の析出が少なく、耐久比が本発明例に比べ低
い。比較例のNo.25は、Mn量が高いためベイナイト
が発生し、本発明のフェライト+パーライト組織率の条
件が満足できず、耐久比は本発明例に比べ低く切削性も
不良である。
【0061】比較例のNo.26は、S量が低いため複合
析出物の析出が少なく、耐久比が本発明例に比べ低く、
またMnSの切削性向上効果を得られないので切削性も
不良である。比較例のNo.27は、S量が高いためMn
Sの析出が過多となり、耐久比が本発明例に比べ低い。
【0062】比較例のNo.28は、Al量が低いため脱
酸程度および結晶粒微細化効果が小さく、耐久比が本発
明例に比べ低い。比較例のNo.29は、Al量が高いた
め硬質介在物が形成され、耐久比は本発明例に比べ低く
切削性も不良である。
【0063】比較例のNo.30は、Ti量が低いため複
合析出物の析出が少なく、耐久比が本発明例に比べ低
い。比較例のNo.31は、Ti量が高いため硬質介在物
が形成され、耐久比は本発明例に比べ低く切削性も不良
である。
【0064】比較例のNo.32は、N量が低いため複合
析出物の析出が少なく、耐久比が本発明例に比べ低い。
比較例のNo.33は、N量が高いためマトリックスが硬
化し、耐久比は本発明例に比べ低く切削性も不良であ
る。
【0065】比較例のNo.34は、V量が低いため複合
析出物の析出が少なく、かつマトリックスフェライトを
析出強化する効果が小さいので、耐久比が本発明例に比
べ低い。比較例のNo.35は、V量が高いため耐久比は
本発明例に比べ低く、切削性も不良である。
【0066】比較例のNo.36は、Cr量が高いためベ
イナイトが発生し、本発明のフェライト+パーライト組
織率の条件が満足できず、耐久比は本発明例に比べ低く
切削性も不良である。
【0067】比較例のNo.37は、Mo量が高いためベ
イナイトが発生し、本発明のフェライト+パーライト組
織率の条件が満足できず、耐久比は本発明例に比べ低く
切削性も不良である。
【0068】比較例のNo.38は、Nb量が高いため、
耐久比は本発明例に比べ低く切削性も不良である。
【0069】比較例のNo.39は、Pb量が高いため、
切削性は良好なるも耐久比が不良である。
【0070】比較例のNo.40は、Ca量が高いため、
切削性は良好なるも耐久比が不良である。
【0071】b.熱鍛後の冷却方法による金属組織の変
化の影響について、表2のNo.(19)に示す化学成分の
鋼を高周波炉にて溶解して150kgの鋼塊とし、これ
から鍛造用材料を切り出し、一旦950℃加熱放冷で焼
準した後、1100〜1250℃に加熱して1050〜
1200℃の温度で熱間鍛造を行い、その後同じく表9
に示す方法で冷却した。
【0072】さらにこの材料を温度400℃のの加熱炉
に1時間装入して時効処理を行ない、これらの材料につ
いて実施例aと同様の方法で、引張試験,疲労試験,切
削試験および金属組織観察を行った。表10に各供試材
の性能評価結果を示す。
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】No.42,43 および44は、フェライト+パ
ーライト組織率が0.9以上と本発明の条件を満足して
おり、いずれも耐久比は0.56以上を確保し、また切
削性も比較例として挙げた現行調質鋼であるNo.47の
ほぼ4倍と良好である。
【0076】No.45および46は、冷却速度を高めるこ
とによりベイナイトまたはマルテンサイト等を主とする
低温変態組織としたものであり、引張強度は高くなるも
のの耐久比は極めて低く、また切削性も不良で工具寿命
は極めて小さい。
【0077】c.時効処理温度の変化の影響について、
表2のNo.(19)に示す化学成分の鋼を高周波炉にて溶
解して150kgの鋼塊とし、これから鍛造用材料を切
り出し、一旦950℃加熱放冷で焼準した後、1100
〜1250℃に加熱して1050〜1200℃の温度で
熱間鍛造を行い、その後放冷した。
【0078】さらにこの材料を、表11に示す温度の加
熱炉に15分〜1時間装入して時効処理を行った。これ
らの材料について実施例aと同様の方法で引張試験,疲
労試験,切削試験および金属組織観察を行った。表12
に各供試材の性能評価結果を示す。
【0079】
【表11】
【0080】
【表12】
【0081】No.49,50および51は、本発明の時効温
度範囲である200〜700℃を満足しており、いずれ
も耐久比は0.56以上を確保し、また切削性も現行調
質鋼であるNo.53のほぼ4倍と良好である。
【0082】No.48は、時効温度が本発明の範囲を下
回った場合であり、耐久比が劣る。またNo.52は時効
温度が本発明の範囲を上回った場合であり、耐久比が劣
っている。
【0083】
【発明の効果】以上述べた如く本発明の製造方法による
非調質鋼は、フェライト+パーライト2相組織とするこ
とにより切削性を確保し、これにMnS,Ti窒化物お
よびV窒化物から形成される複合析出物を使って、金属
組織の微細化とV炭化物(または炭窒化物)によるパー
ライト中のフェライトマトリックスの強化を同時に行う
ことにより、切削性を損なわずに耐久比すなわち疲労特
性を向上させ、さらにCおよびV量を調整した上で時効
処理を施すことにより、V炭化物析出によって降伏比も
上げることが可能となり、従来から切望されていた疲労
特性,切削性および降伏特性の向上を同時に満足する非
調質鋼を製造することが可能となり、産業上極めて効果
の大きいものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−219044(JP,A) 特開 昭63−199848(JP,A) 特開 平3−211227(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 6/00 C21D 8/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にして、 C :0.15〜0.50%、 Si:0.005〜2.00%、 Mn:0.40〜2.00%、 S :0.01〜0.10%、 Al:0.0005〜0.05%、 Ti:0.003〜0.05%、 N :0.0020〜0.0200%、 V :0.20〜0.70%を含有し、残部はFeなら
    びに不純物元素からなる組成の鋼材を、Ac3点以上の温
    度に加熱して熱間鍛造を施し、冷却させて変態が終了し
    た後の金属組織の90%以上がフェライト+パーライト
    組織であるようにし、これにさらに200〜700℃の
    温度で時効処理を行うことを特徴とする耐久比が0.5
    6以上である疲労特性に優れる非調質鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼材の成分が、さらに Cr:0.02〜1.50%, Mo:0.02〜1.00%, の内の1種または2種を含有する鋼を用いることを特徴
    とする請求項1記載の疲労特性に優れる非調質鋼の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 鋼材の成分が、さらにNb:0.001
    〜0.20%を含有する鋼を用いることを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の疲労特性に優れる非調質鋼の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼材の成分が、さらに Pb:0.05〜0.30%, Ca:0.0005〜0.010% の内の1種または2種を含有する鋼を用いることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか記載の疲労特性に優れる
    非調質鋼の製造方法。
JP27120193A 1993-10-05 1993-10-05 疲労特性に優れる非調質鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3261552B2 (ja)

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