JPH0617122A - 耐久比に優れた非調質鋼の製造方法 - Google Patents

耐久比に優れた非調質鋼の製造方法

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JPH0617122A
JPH0617122A JP17348892A JP17348892A JPH0617122A JP H0617122 A JPH0617122 A JP H0617122A JP 17348892 A JP17348892 A JP 17348892A JP 17348892 A JP17348892 A JP 17348892A JP H0617122 A JPH0617122 A JP H0617122A
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temp
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Tomoya Kato
智也 加藤
Kazue Nomura
一衛 野村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久比に優れたフェライト・パーライト型非
調質鋼の製造方法。 【構成】 V;0.05〜0.40%を含有を有するフ
ェライト・パーライト型非調質鋼において、再結晶温度
域の低温側で合計30%以上の圧下率で第1段圧延を施
し、未再結晶温度域で合計30%以上の圧下率で第2段
圧延を施し、さらに1〜200℃/minで600℃ま
で冷却した後、400〜700℃で3〜6時間の析出安
定化処理を施す。再結晶温度域の低温側で十分な圧下率
で圧延されることによりオーステナイト結晶粒が微細化
され、続いて未再結晶温度域で所望量に圧下が与えられ
ことにより冷却時に微細なフェライト・パーライト組織
が得られる。さらに、1〜200℃/minの冷却速度
で600℃まで冷却するので、ベイナイト組織が混入せ
ず、次いで施される析出安定化処理により、過飽和バナ
ジウムが炭窒化物として析出するので、耐久比に優れた
非調質鋼を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】本発明は、圧延後焼入れ焼もどし等の熱
処理を行わずに必要な強度およ靱性を確保でき、かつ耐
久比に優れた非調質鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度および高靱性を必要とする
各種機械構造用部品は、S45C等の炭素鋼やCr、M
oを含有した低合金鋼を使用し、焼入れ焼もどし(以下
調質と称する。)処理を行って要求特性を確保してい
た。
【0003】しかしこれらの熱処理工程はかなり高価で
あり、熱処理工程を省略できれば、大幅なコスト低減が
図られ、省エネルギーの社会的要請に応えることができ
る。そこで近年この省エネルギーに対する社会的要請に
応えるために、調質処理工程を省略するための試みが盛
んに行われている。
【0004】調質処理を省略するための試みとしては、
鋼材の成分の適正化による方法と、熱間圧延時の加熱条
件、圧延条件等の製造条件の最適化による方法が行われ
ている。調質処理を省略可能とするために、提案されて
いる鋼としては、例えば、Cを0. 20〜0. 60%含
有する中炭素鋼に0. 05〜0. 20%のVを添加した
フェライト−パーライト型の非調質鋼があり、提案され
ている製造条件も、Vを含有した鋼を対象とした方法が
大部分である。
【0005】そして、Vを一度加熱により固溶させ、冷
却時にV炭窒化物をフェライト・パーライト中に十分に
析出させることにより強度を得、また各種鋼毎に最適な
組織を得るために、加熱温度、圧延仕上温度、冷却速度
等の条件を限定する制御圧延による製造方法が開発され
てきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記フェライ
ト・パーライト型非調質鋼ないしその製造方法の開発
は、一部の部品について調質処理の省略を可能とした
が、近年の自動車、建設機械などにおける小型化、軽量
化のために高強度化においては従来の調質炭素鋼や調質
合金鋼に比べ同等以上の強度を有するものの、疲労強度
とそれに関連する耐久比の点で優れているとは言えない
のが現状であった。
【0007】従来、耐久比を十分改善できる方法は開発
されておらず、ロッドピンやピストンピンなど疲労強度
を必要とする部品に対して非調質鋼の適用が困難である
のが実状であった。
【0008】本発明はフエライト・パーライト型非調質
鋼を用いて棒鋼を圧延する場合に、耐久比をさらに向上
させるという前記のごとき要求を満足するためになされ
たものであって、従来方法に比べて優れた耐久比が得ら
れる非調質鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、フェライト
・パーライト型非調質鋼の耐久比を改善できる圧延方法
について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得て本発
明を完成した。一般に組織が微細であるほど、靱性およ
び耐久比は良好となる。本発明者は微細なフェライト・
パーライト組織を得るための圧延条件を求めることに着
目し、研究を進めた。
【0010】微細なフェライト・パーライト組織を得る
ためには、熱間圧延によりフェライト・パーライト変態
前のオーステナイト組織を微細化する必要がある。微細
なオーステナイト組織を得るためには、圧延前の粗大な
オーステナイト結晶粒に再結晶を起こさせ、生じた結晶
粒が細かくなるような条件で圧延すればよい。
【0011】本発明者は試作試験を繰り返し実施した結
果、再結晶温度域でかつできるだけ低い温度で圧延する
ことによって、他の圧延条件に比べ細かなオーステナイ
ト結晶粒が得られることを確認した。また、オーステナ
イト結晶粒の微細化は加工度が小さい場合には十分に進
行せず、再結晶開始温度以上100℃を越えない温度領
域で30%以上の圧下を行う必要があることが判った。
【0012】さらに、再結晶開始温度は、鋼種、成分組
成によって多少変化するが、本発明対象鋼の場合800
〜1100℃の間にほぼ含まれ、圧延後に顕微鏡観察を
行うことにより確認することができる。
【0013】冷却によってオーステナイト単相の状態か
ら初析フェライトが析出する。この初析フェライトは、
通常オーステナイト粒界から析出するが、オーステナイ
ト粒内からも析出する場合がある。従って、初析フェラ
イトをより多数の箇所から析出させ、微細な組織を得る
ためには、第1にオーステナイト粒を微細化することに
よるオーステナイト粒界の増加が必要である。そして、
第2に結晶粒内から初析フェライトを析出させる必要が
ある。
【0014】本発明者は初析フェライトの発生箇所と圧
延条件との関係について研究を重ねた結果、再結晶温度
域低温側で圧下を加えることによって、再結晶によりオ
ーステナイト組織を微細化し、ついで未再結晶温度域で
圧下を加えることによってオーステナイト粒に歪みを付
与し、その歪みによって結晶粒内での初析フェライトを
発生を促すことを組み合わせることにより単一な圧延で
は得られない微細なフェライト・パーライト組織が得ら
れることを見出した。
【0015】圧延後の冷却については、速く冷却すると
ベイナイト、マルテンサイト組織となることは既に知ら
れている通りであるが、本発明の場合、フェライト・パ
ーライトの微細組織を得るために前述したような圧延条
件を検討しているのであり、ベイナイト組織が混入する
と前記圧延による効果が無駄となる。
【0016】そこで、最適冷却温度範囲を調査した結
果、600℃までを200℃/min以下の冷却速度と
すれば、ベイナイト組織が混入せず、前記圧延による効
果を十分に生かせることを確認した。また、1℃/mi
n未満の速度にすると、生産性が悪くなるだけでなく、
未再結晶温度域で蓄積したオーステナイト結晶粒内の歪
の効果が初析フェライトの析出する前に消滅する場合が
あり、耐久比向上効果が小さくなることも突き止めた。
【0017】さらに、疲労強度の向上は、非調質鋼の硬
さが低下しない範囲のできるだけ高温域で析出安定化処
理を施し、圧延後の冷却過程における変態歪を取り除く
とともに、熱間圧延後の冷却過程時に充分に析出できな
かった過飽和の固溶Vを炭窒化物として析出せしめるこ
とによって、達成されることを見出した。
【0018】すなわち、従来提案されている方法に対す
る本発明の製造方法の特徴は、再結晶温度域と未再結晶
温度域の両方の温度域で加工を加えることの必要性を明
確に示し、かつ調整冷却して、より確実に微細なフェラ
イト・パーライト組織が得られ、さらに400〜700
℃の温度域でV炭窒化物の析出安定化処理により耐久比
の向上が得られるようにしたことにある。
【0019】以上検討し得られた方法にて製造された微
細なフェライト・パーライト組織を有する非調質鋼につ
いて、靱性および耐久比を評価した結果、著しい改善が
認められることを確認し本発明の完成に到ったものであ
る。
【0020】すなわち、本発明の第1発明の耐久比に優
れた非調質鋼の製造方法は、重量比にしてC;0.15
〜0.60%、Si;0.05〜1.00%、Mn;
0.60〜1.80%、Cr;0.10〜0.60%、
Al;0.005〜0.070%、V;0.05〜0.
40%を含有し、残部がFeおよび不純物元素からなる
鋼に対し、800〜1100℃でかつ再結晶開始温度以
上100℃を越えない温度域で合計30%以上の圧下率
で第1段圧延を施し、その後650〜900℃の温度域
でかつ未再結晶温度域に冷却し、該温度範囲内で合計3
0%以上の圧下率で第2段圧延を施し、さらに1〜20
0℃/minで600℃まで冷却し、一旦、常温まで冷
却した後、400〜700℃で3〜6時間の析出安定化
処理を施すことを要旨とする。また、第2発明は、圧延
後所定形状に切削により加工する際の生産性を向上させ
るため、第1発明対象鋼に被削性向上元素として、さら
にS;0.020〜0.100%、Pb;0.03〜
0.40%、Ca;0.0005〜0.0100%のう
ち1種または2種以上を含有させたものである。
【0021】
【作用】800〜1100℃でかつ再結晶開始温度以上
100℃を越えない温度域で合計30%以上の圧下率で
第1段圧延を施すので、再結晶温度域の低温側で十分な
圧下率で圧延されるため、他の圧延条件に比べて微細な
オーステナイト結晶粒が得られる。次いで、650〜9
00℃の温度域でかつ未再結晶温度域に冷却し、該温度
範囲内で合計30%以上の圧下率で第2段圧延を施すの
で、未再結晶温度域で所望量に圧下が与えられことによ
りオーステナイト粒に歪が付与され、その歪みによって
結晶粒内での初析フェライトを発生を促し、冷却時に微
細なフェライト・パーライト組織が得られる。上記の、
2つの組み合わせによって、単一な圧延では得られない
微細なフェライト・パーライト組織が得られるものであ
る。
【0022】また、1〜200℃/minの冷却速度で
600℃まで冷却するので、ベイナイト組織が混入せ
ず、かつオーステナイト結晶粒内の歪の効果を消滅させ
ることなく、第1段圧延および第2段圧延による効果を
十分に発揮させることができる。
【0023】さらに、400〜700℃で3〜6時間の
析出安定化処理を施すことにより、熱間圧延後の冷却過
程時に十分に析出できなかった過飽和バナジウムが炭窒
化物として析出するので、マトリックスが強化され耐久
比が向上する。
【0024】次に、本発明の製造方法における対象鋼の
成分組成限定理由を説明する。 C;0.15〜0.60% Cは、必要な強度を得るための基本元素であり、0.1
5%以上の含有が必要である。しかし、多量に含有させ
ると本発明で特徴としている高靱性を得ることが困難と
なるので、上限を0.60%とした。
【0025】Si;0.05〜1.00% Siは強力な脱酸剤としての効果のある元素であり、
0.05%以上の含有が必要である。しかし、多量に含
有させると、被削性が低下するので、上限を1.00%
とした。
【0026】Mn;0.60〜1.80% Mnは、鋼の強度を確保するのに有効な元素であり、
0.60%以上の含有が必要である。しかし、多量に含
有させると冷却時にベイナイトが生成して前述した圧延
条件の適正化による効果が無駄となるので、上限を1.
80%とした。
【0027】Cr;0.10〜0.60% CrはMnと同様に鋼の強度を確保するために必要な元
素であり、0.10%以上含有させることが必要であ
る。しかし、多量に含有させるとMnと同様にベイナイ
トが生成し易くなり、高靱性が得られなくなるので、上
限を0.60%とした。
【0028】Al;0.005〜0.070% Alは強力な脱酸効果を持つ元素であり、0.005%
以上の含有が必要である。しかし、多量に含有させると
前記効果が飽和するとともに被削性を低下させるので、
上限を0.070%とした。
【0029】V;0.05〜0.40% Vはフェライト・パーライト型非調質鋼にとって最も重
要な元素であり、炭窒化物として微細に析出しフェライ
ト生地を強化して調質することなしに優れた強度を付与
する効果を有する。前記効果を得るには、0.05%以
上の含有が必要である。しかし、多量に含有させても効
果が飽和するとともに、コスト高となるので、上限を
0.40%とした。
【0030】S;0.020〜0.100%、Pb;
0.03〜0.40%、Ca;0.0005〜0.01
00%のうち1種または2種以上 S、Pb、Caは被削性の改善に有効な元素であり、必
要に応じて添加されるものである。前記効果を得るため
には、それぞれ0.020%、0.03%、0.000
5%以上の含有が必要である。しかし、多量に含有させ
てもその効果が飽和するとともに、靱性を低下するの
で、上限をそれぞれ0.0100%、0.4%、0.0
100%とした。
【0031】本発明の製造方法の製造条件限定理由を説
明する。800〜1100℃でかつ再結晶開始温度以上
100℃を越えない温度域で第1段圧延を行うのは、再
結晶温度内のできるだけ低い温度で圧延することによっ
て、圧延後に再結晶させて微細な結晶粒を得るためであ
り、加工度を30%以上と限定したのは、30%未満の
加工度ではその目的が完全に達成されないためである。
【0032】650〜900℃の温度域でかつ未再結晶
温度域に冷却し、該温度範囲内で合計30%以上の圧下
率で第2段圧延を施すのは、第1段圧延で得られた微細
なオーステナイト結晶粒に歪を蓄積させて初析フェライ
トの発生箇所を増加させ、微細なフェライト・パーライ
ト組織を得るためであり、圧下率を30%以上とするこ
とによってその目的が達成されるからである。
【0033】第2段圧延後の冷却速度の上限を200℃
/minとしたのは、ベイナイトやマルテンサイトを発
生させないためであり、下限を1℃/minとしたの
は、オーステナイト粒に蓄積した歪が初析フェライトの
析出する前に消滅してしまうことを避けるためである。
また、冷却速度の限定を600℃までとしたのは、フェ
ライト・パーライト変態が600℃までに完了するた
め、600℃より低い温度で調整冷却するかしないかに
関係なく組織が決定されるからである。
【0034】400〜700℃の温度範囲で3〜6時間
の析出安定化処理を行うのは、400℃未満の温度で3
時間未満の析出安定化処理では、熱間圧延後の冷却時に
析出されなかった過飽和のバナジウムを十分に炭窒化物
として析出できないからであり、700℃を越えて6時
間を越える析出安定化処理では、非調質鋼の硬さが低下
し耐久比が却って低下するからである。
【0035】
【実施例】次に本発明の特徴を従来例、比較例と対比し
て実施例でもって明らかにする。表1に実施例で使用し
た供試材の化学成分を示す。表1に示す化学成分を有す
る鋼を電気炉にて溶製し、鋼塊を製造して本発明の効果
を評価するための供試材とした。なお、6鋼は従来鋼で
あるS45Cであり、従来の調質材と比較するために同
時に評価した。
【0036】
【表1】
【0037】各供試鋼についての再結晶開始温度は、あ
らかじめ実験により求めておき、その結果に基づいて第
1段および第2段圧延温度を決定し、それぞれの温度域
で合計30%以上の圧下率になるように圧延を行い、次
いで600℃まで1〜200℃/minの冷却速度の範
囲で冷却した。次いで、表2に示す析出安定化処理温度
および時間で処理し、疲労強度、引張強さを測定すると
共に耐久比を求め、さらに被削性についても測定した。
【0038】表2において、試験番号1〜6は第1発明
の実施例、試験番号7〜10は第2発明の実施例、試験
番号11〜15は比較例として本発明の条件を部分的に
満足しない析出安定化処理を行ったものである。そし
て、試験番号11は析出安定化処理を行わなかった比較
例、試験番号12は析出安定化処理温度が高い比較例、
試験番号13は析出安定化処理温度が低い比較例、試験
番号14は析出安定化処理時間が長い比較例、試験番号
15は析出安定化処理時間が短い比較例である。
【0039】試験番号16は従来鋼6を用い、通常の圧
延を想定して加熱温度1130℃、圧延温度1050〜
1000℃、冷却速度20℃/minにてφ100mm
に圧延した後、880℃から水冷する焼入れを施し、5
70℃で焼もどし処理を行った。
【0040】このようにして圧延した供試鋼について、
疲労強度、引張試験および被削試験を行った。疲労試験
は、小野式回転曲げ疲労試験機を用いて、平行部φ8m
mの平滑試験片にて、疲労強度を求めた。
【0041】引張試験は衝撃試験片と同一の部分から材
料を切り出し、JIS4号引張試験片を作製し、引張速
度1mm/minの条件で引張強さを測定するという方
法で実施した。
【0042】また、被削性については、上記方法により
作成したそれぞれの供試材に、SKH51製φ5mmス
トレートドリル、深さ15mmの条件で穴明けを連続し
て行い、ドリル寿命までの穴明け個数にて被削性を評価
した。これらの評価結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2から知られるように、試験番号11は
析出安定化処理を行わなかったので、疲労強度が低く耐
久比も0.53と低かった。試験番号12は析出安定化
温度が高かったため、試験番号14は析出安定化処理時
間が長かったため、硬さの低下に伴って疲労強度が著し
く低下し耐久比も0.50および0.49と低かった。
また、試験番号13の析出安定化処理温度が低い比較例
および試験番号15の析出安定化処理時間が短い比較例
は、バナジウム炭窒化物が十分に析出せず、耐久比の向
上が見られず、耐久比はそれぞれ0.53および0.5
2であった。なお、試験番号16の従来鋼の耐久比は
0.47であった。
【0045】これに対して、本発明の実施例である試験
番号1〜10は、400〜700℃で3〜6時間の析出
安定化処理を施すことにより、熱間圧延後の冷却過程時
に析出できなかった過飽和バナジウムが炭窒化物として
析出するので、マトリックスが強化され耐久比が0.5
6〜0.60に向上し、本発明の効果を確認することが
できた。
【0046】なお、試験番号7〜10の第2発明におい
ては、被削性改善元素が添加されたので、被削性が著し
く改善され、穴明け個数は第1発明の56〜70個に対
して、82〜163個であって、第2発明においては被
削性も併せて向上したことが判明した。
【0047】
【発明の効果】本発明の耐久比に優れた非調質棒鋼の製
造方法は、V;0.05〜0.40%を含有を有するフ
ェライト・パーライト型非調質鋼において、再結晶温度
域の低温側で合計30%以上の圧下率で第1段圧延を施
し、未再結晶温度域で合計30%以上の圧下率で第2段
圧延を施し、さらに1〜200℃/minで600℃ま
で冷却した後、400〜700℃で3〜6時間の析出安
定化処理を施すものであって、再結晶温度域の低温側で
十分な圧下率で圧延されることによりオーステナイト結
晶粒が微細化され、続いて未再結晶温度域で所望量に圧
下が与えられことにより冷却時に微細なフェライト・パ
ーライト組織が得られる。さらに、1〜200℃/mi
nの冷却速度で600℃まで冷却するので、ベイナイト
組織が混入せず、次いで施される析出安定化処理によ
り、過飽和バナジウムが炭窒化物として析出するので、
耐久比に優れた非調質鋼を製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC;0.15〜0.60
    %、Si;0.05〜1.00%、Mn;0.60〜
    1.80%、Cr;0.10〜0.60%、Al;0.
    005〜0.070%、V;0.05〜0.40%を含
    有し、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼に対し、
    800〜1100℃でかつ再結晶開始温度以上100℃
    を越えない温度域で合計30%以上の圧下率で第1段圧
    延を施し、その後650〜900℃の温度域でかつ未再
    結晶温度域に冷却し、該温度範囲内で合計30%以上の
    圧下率で第2段圧延を施し、さらに1〜200℃/mi
    nで600℃まで冷却し、一旦、常温まで冷却した後、
    400〜700℃で3〜6時間の析出安定化処理を施す
    ことを特徴とする耐久比に優れた非調質鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量比にしてC;0.15〜0.60
    %、Si;0.05〜1.00%、Mn;0.60〜
    1.80%、Cr;0.10〜0.60%、Al;0.
    005〜0.070%、V;0.05〜0.40%と、
    さらにS;0.020〜0.100%、Pb;0.03
    〜0.40%、Ca;0.0005〜0.0100%の
    うち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不
    純物元素からなる鋼に対し、800〜1100℃でかつ
    再結晶開始温度以上100℃を越えない温度域で合計3
    0%以上の圧下率で第1段圧延を施し、その後650〜
    900℃の温度域でかつ未再結晶温度域に冷却し、該温
    度範囲内で合計30%以上の圧下率で第2段圧延を施
    し、さらに1〜200℃/minで600℃まで冷却
    し、一旦、常温まで冷却した後、400〜700℃で3
    〜6時間の析出安定化処理を施すことを特徴とする耐久
    比に優れた非調質鋼の製造方法。
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