JP3492550B2 - 耐食高周波焼入れ用鋼 - Google Patents
耐食高周波焼入れ用鋼Info
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Description
焼入れにより耐摩耗性や転動疲労寿命が要求される分野
に適用する耐食マルテンサイト鋼に関する。
れ、あるいは転がり軸受、直動軸受、ボールネジ、シャ
フト、金型などに使用する鋼としては、JIS SUS
440Cや、13%Cr系マルテンサイト形鋼が適用さ
れている。従来、これらの鋼材に通常焼入れ焼戻し(通
称、「ズブ焼入れ」という。)により硬化して使用して
いる。しかし、熱処理コストを低減し、さらに熱処理工
程の簡略化の目的において、高周波焼入れを適用するこ
とが望まれている。
状態の炭化物がCr系炭化物であって、低合金構造用鋼
一般のセメンタイトと異なり炭化物固溶の点で高周波焼
入性が困難であるので、必要な表面硬さや有効硬化層深
さを得ることが難しい問題があった。これらの問題に対
処するものとして、特開平10−25550号公報に開
示されている鋼がある。この鋼は、Cr/C比を25以
下にすることにより耐食性をSUS440Cと同等と
し、かつ高周波焼入性を向上させた鋼であるが、必ずし
もその高周波焼入性は十分でなく、改善が求められてい
る。
0Cや、13%Cr系マルテンサイト鋼では得ることが
できにくい高周波焼入による表面硬さや有効硬化層深さ
を得ることができるものとし、耐食性を満足し、かつ従
来鋼より高周波焼入性に優れ、耐摩耗性や転動疲労寿命
に優れたマルテンサイト鋼を提供することである。
めの本発明の手段は、耐食性のためにNは不純物レベル
の含有である従来型の13%Cr系鋼以上を必須とし、
さらに従来鋼より、高周波焼入性に優れるものとするこ
とであり、請求項1の発明では、質量%で、C:0.3
5〜0.65%、Si:0.27〜2.0%、Mn:
1.5%以下、Cr:7.0〜15.0%、N:0.0
50〜0.20%を含有し、かつCr/(C+N)≦2
4を満足し、残部Fe及び不可避不純物からなることを
特徴とする高周波焼入れ用鋼である。
35〜0.65%、Si:0.27〜2.0%、Mn:
1.5%以下、Cr:7.0〜15.0%、N:0.0
50〜0.20%を含有し、かつCr/(C+N)≦2
4を満足し、さらにMo≦3%、V≦3%、Nb≦1
%、Ni≦1%から選択した1種又は2種以上を含有
し、残部Fe及び不可避不純物からなることを特徴とす
る高周波焼入れ用鋼である。
る。以下、%は質量%で示す。Cは、焼入性を確保する
ために少なくとも0.35%必要であるが、0.65%
を超えて存在すると加工性を低下するので、0.35〜
0.65%とする。
して添加される元素であり、また焼入性を向上させる元
素であるが、しかし、Siの過度の含有は加工性および
靱性を劣化するので、0.27〜2.0%とする。
必然的に含有するが、過度の含有は加工性を劣化するの
で、1.5%以下とする。
耐摩耗性を向上させるとともに耐食性を向上させる元素
である。耐食性のためには7.0%以上必要であるが、
Crが多すぎると共晶炭化物が粗大化し、転動疲労寿命
を低下させるので上限を15.0%とする。
添加されるが、焼きなまし状態においてCr炭化物に固
溶して炭窒化物の状態になり、従来鋼のCr炭化物より
微細化し固溶し易くなる。したがって、N添加は高周波
焼入性を有利にする効果を有する。そして従来の13%
Cr鋼に勝る耐食性を得るために、0.05%以上添加
するが、多すぎると高周波焼入後の残留オーステナイト
量が過剰になり硬さ低下を招くので0.20%以下とす
る。
は、炭窒化物中のCr含有量を抑えることでその安定性
を減じて固溶促進により高周波焼入性を向上させるため
に上限を24とする。
入後はマルテンサイト中に固溶し、このマルテンサイト
中の固溶Nは耐食性を向上させる効果を発揮する。した
がって、Cr/(C+N)≦24とすることによりCr
添加量を抑えることができるが、その分、耐食性は減少
する。そこで上記のとおりNを添加して耐食性を補って
いる。
し耐摩耗性の向上のためにさらに添加するが、3.0%
を超えて添加しても効果が飽和し、熱間加工性を低下す
るので3.0%以下とする。
び耐摩耗性に寄与する。またN含有による結晶粒を微細
化する助長し転動疲労寿命を高める元素として添加する
が、Vは3%を超えて、Nbは1%を超えて添加すると
加工性を阻害するので、Vは3%以下とし、Nbは1%
以下とする。
り、Ac3変態点を低くする効果により炭化物固溶を促
進するので添加するが、1%を超えて添加すると加工性
を阻害するので1%以下とする。
記載の基本組成において、0.050%以上のNを含有
させ、Cr/(C+N)≦24とすることで、焼きなま
し状態でのCr系炭化物を改質し、炭化物を固溶させ易
くして高周波焼入性を改善することである。
す。C:0.35〜0.65%、Si:0.27〜2.
0%、Mn:1.5%以下、Cr:7.0〜15.0
%、N:0.050〜0.20%を含有し、かつCr/
(C+N)≦24を満足し、必要に応じて、さらに、M
o≦3.0%、V≦3.0%、Nb≦1%、Ni≦1%
の4種から選択した1種又は2種以上を含有し、残部F
e及び不可避不純物からなる鋼を溶製する。この鋼を所
定形状に熱間鍛造して棒材を得て焼きなまし材とする。
これを高周波焼入れ装置を用いて、表面を1100℃に
加熱、水冷して160℃に60分間焼戻して耐食性及び
耐摩耗性に優れた高周波焼入れ用鋼を得る。
鋼のNo.1〜6は本発明の発明鋼で、No7〜13は
比較鋼であり、特にNo.12は13%Cr系鋼でNが
0.05%以下であり、また、Cが0.65%より多
く、C+Nも本発明鋼に比して多い。No.7はCrが
少なく、No.8はNが少なく、No.9および10
は、Cr/(C+N)が多く、No.11はNが少ない
ものである。
造で鍛伸してなる焼きなまし材からφ25mmの丸棒を
得た。高周波焼入れ装置によりこの丸棒の表面温度を1
100℃に加熱後に水冷して焼入し、さらに160℃×
60分の焼戻しを行った。この表面焼入焼戻し材につい
て、表面から0.05mm深さ位置の高周波焼入れ表面
硬さ(HV)と、硬さ600HVの高周波焼入れ深さ
と、この表面焼入焼戻し材を6%NaCl+0.5%H
2O2の溶液に6時間浸漬したときの重量減少量の孔食減
量で評価し、その結果を表1に示す。
720HV以上でかつ高周波焼入れ深さも600HV相
当深さで2.2mm以上と優れた高周波焼入性を有し、
かついずれも孔食減量が5.5g/mm2・h以下と耐
食性にも優れている。これに対し比較鋼のNo.7はC
rが少なく、高周波焼入性は満足できるが耐食性が劣っ
ている。比較鋼のNo.8はNが少なく、高周波焼入れ
深さおよび耐食性が劣っている。比較鋼のNo.9およ
びNo.10は共にCr/(C+N)が25より大であ
り、耐食性は満足できるが高周波焼入れ深さが劣ってい
る。比較鋼のNo.11はNが少なく、耐食性に劣る。
比較鋼のNo.12は13%Cr系鋼で、Nが少なく、
C+Nは多く、本発明鋼に比し高周波焼入性および耐食
性の両方で劣っている。比較鋼のNo.13はSUS4
40Cで本発明鋼に比し高周波焼入性および耐食性の両
方で劣っている。
の添加量を不純物レベルより多くし、かつCr/(C+
N)を24以下とすることで、焼きなまし状態でのCr
系炭化物を改質し、炭化物を固溶させ易くしてSUS4
40Cや13%Cr系マルテンサイト鋼では得られない
高周波焼入性を高めて表面硬さを720HV以上で有効
硬化層深さにも優れたものとし、耐摩耗性や転動疲労寿
命に優れ、さらに耐食性に優れたマルテンサイト鋼であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.35〜0.65%、
Si:0.27〜2.0%、Mn:1.5%以下、C
r:7.0〜15.0%、N:0.050〜0.20%
を含有し、かつCr/(C+N)≦24を満足し、残部
Fe及び不可避不純物からなることを特徴とする高周波
焼入れ用鋼。 - 【請求項2】 質量%で、C:0.35〜0.65%、
Si:0.27〜2.0%、Mn:1.5%以下、C
r:7.0〜15.0%、N:0.050〜0.20%
を含有し、かつCr/(C+N)≦24を満足し、さら
にMo≦3%、V≦3%、Nb≦1%、Ni≦1%から
選択した1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不可
避不純物からなることを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14091199A JP3492550B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | 耐食高周波焼入れ用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14091199A JP3492550B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | 耐食高周波焼入れ用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000328204A JP2000328204A (ja) | 2000-11-28 |
JP3492550B2 true JP3492550B2 (ja) | 2004-02-03 |
Family
ID=15279695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14091199A Expired - Lifetime JP3492550B2 (ja) | 1999-05-21 | 1999-05-21 | 耐食高周波焼入れ用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3492550B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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DE102017121942A1 (de) | 2017-09-21 | 2019-03-21 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Kugelgewindetrieb |
DE102020131031A1 (de) | 2020-11-24 | 2022-05-25 | Otto-Von-Guericke-Universität Magdeburg | Martensitische Stahllegierung mit optimierter Härte und Korrosionsbeständigkeit |
-
1999
- 1999-05-21 JP JP14091199A patent/JP3492550B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP2000328204A (ja) | 2000-11-28 |
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