JP3961982B2 - 作業機用エンジンの非調質クランクシャフト - Google Patents

作業機用エンジンの非調質クランクシャフト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芝刈機、発電機、除雪機、ポンプ、船外機等の作業機用エンジンと称される汎用エンジン用として好適な、“熱間鍛造後の調質処理を省略した場合でも優れた強度、低温靱性、耐摩耗性を示す非調質鋼”を用いた作業機用エンジンの非調質クランクシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車や建設機械等に用いられる機械構造部品は、機械構造用鋼(例えばJIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材であるS48C等)を用い、これを熱間鍛造により所要部品形状に成形してから、必要な強度や靱性を付与するための焼入れ−焼戻し処理(いわゆる調質処理)を施して製造されるのが一般的であった。
【0003】
しかし、近年、コスト削減やリードタイム低減の要求に応えて“調質処理を省略して熱間鍛造のままで使用することが可能な非調質鋼”の開発が進められ、現在では前記自動車や建設機械等の分野を中心として非調質鋼の適用範囲が急速に拡大している。
【0004】
そして、非調質鋼の需要が拡大するにつれて非調質鋼の高性能化、コスト低減への要求も高まり、調質処理を省略しても良好な靱性が確保される高靱性型非調質鋼や、高周波焼入れ等の表面硬化処理を省略しても良好な耐摩耗性を示す耐摩耗性型非調質鋼が提案されるに至っている。
【0005】
例えば、特許文献1には、特定割合のC、Mn、P及びNに加えて更にV、Ti及びNbのうちの1種以上を含有するか、特定割合のC、Mn、Cr、V及びBに加えて更にNi、Cu及びMoのうちの1種以上を含有する鋼片を熱間圧延して、オ−ステナイト粒度番号が特定範囲に調整された鋼を製造した後、この鋼に加熱温度、昇温速度、加熱保持時間を規制した熱間鍛造を施すことによってフェライト・パーライト主体の組織とする、「非調質高強度高靱性熱間鍛造部品の製造方法」が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、炭素当量(Ceq.)が0.70〜1.30の範囲内で、特定割合のC、Si、Mn、Cr、V、Ti、N及びAlを含有する溶鋼を連続鋳造する際に、冷却条件を規制して熱鋼片とした後、この鋼片を特定の条件で加熱、圧延して棒鋼とする、「高靱性熱間鍛造用非調質棒鋼の製造方法」が開示されている。
【0007】
そして、特許文献3には、C含有量が0.40〜0.70%で(以降、成分割合を表す「%」は「質量%」とする)、Si、Mn、Cr、Al及びNを特定割合で含むか、あるいは必要に応じて更に、被削性向上元素であるPb、S、Te、Ca及びBiの1種以上をも含有するとともに、熱間鍛造後の組織がフェライト・パーライトであり、かつ初析フェライトの面積率が10%以下である、「耐摩耗性に優れた熱間鍛造非調質鋼」の提案がなされている。
【0008】
更に、特許文献4には、特定割合でC、Si及びMnを含有するか、あるいは必要に応じて更に、炭化物、窒化物形成元素であるV、Nb及びTiや、焼入れ性改善元素であるCrや、オ−ステナイト細粒化元素であるAlや、被削性向上元素であるS、Pb、Zr、Ca、Te及びBiの1種以上をも含有するとともに、特定粒径以上の酸化物系介在物の数量を規制した、「耐摩耗性に優れた熱間鍛造用非調質鋼」が開示されている。
【0009】
ところで、今日では一般家庭にまで普及しつつある芝刈機や発電機等といった作業機には“作業機用エンジン”と称される汎用エンジンが搭載されている。そして、このような作業機用エンジンでは、そのクランクシャフトに芝刈用カッターブレード等といった作業用部材が直接的に固定される構造が採られる場合が多いため、作業用部材への衝撃負荷がクランクシャフトへ直接伝達されるのを余儀なくされている。
【0010】
例えば、図1は、芝刈機におけるエンジンの内部構造例を示した縦断面概要説明図であるが、クランクシャフト1の軸端に作業用部材としての芝刈用カッターブレード2が剛体接続されており、この芝刈ブレード2への衝撃負荷がクランクシャフト1へ直接伝達される構造となっている。
【0011】
そのため、このような用途に供されるクランクシャフトには、一般的要求特性である強度及び耐摩耗性に加え、作業機の使用環境温度域での靱性、特に寒冷地での使用にも耐えるような極めて良好な低温靱性が必要となる。
【0012】
従って、これまで非調質鋼に関する多くの提案がなされてきたものの、強度及び耐摩耗性に加えて低温靱性にも優れることが必要とされる前記作業機用エンジンのクランクシャフト等のような機械構造部品に対しては、従来と同様に、前記S48C等の機械構造用鋼を熱間鍛造した後に焼入れ−焼戻しの調質処理を施すことにより、所定の低温靱性、耐摩耗性及び強度を付与するのが一般的であった。
【0013】
なぜなら、前記のような機械構造部品については、焼入れ−焼戻しの調質処理を省略した熱間鍛造のままで、従来の非調質鋼を用いると、十分に満足できる低温靱性と耐摩耗性を兼備させることができなかったためである。
【0014】
即ち、鋼材の低温靱性と耐摩耗性は相反する関係にあるために従来提案された非調質鋼では前記の両性質を同時に高めることは困難であった。例えば、前述した特許文献1〜4に開示されている非調質鋼では、何れも、調質処理を省略した状態で作業機用エンジンのクランクシャフトとして満足できる低温靱性と耐摩耗性とを確保することができず、調質処理の省略によるコスト削減、リードタイム低減の要求に対して十分に対処することができなかった。
【0015】
【特許文献1】
特開平8−120342号公報
【特許文献2】
特開平10−277705号公報
【特許文献3】
特開2000−265242号公報
【特許文献4】
特開2000−328193号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、熱間鍛造後の調質処理を省略しても優れた強度、耐摩耗性及び靱性を有する作業機用エンジンの非調質クランクシャフトを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示すクランクシャフトにある。
【0018】
(1)質量%で、C:0.30〜0.35%、Si:0.40〜0.80%、Mn:1.00〜2.00%、S:0.040〜0.080%、Cr:0.10〜0.30%、V:0.05〜0.20%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、組織がフェライト分率αが0.20〜0.60及び平均パーライト粒径Dpが0.08mm以下のフェライト・パーライト組織で、かつ下記(1)式で規定されるFn1の値が0.73以上、下記(2)式で規定されるFn2の値が1.20以上及び下記(3)式で規定されるFn3の値が0.64以上を満足する作業機用エンジンの非調質クランクシャフト。
Fn1=C+0.10Si+0.20Mn−0.71S+0.23Cr+1.65V・・・(1)、
Fn2=1.4−1.1(1−α)+0.16Dp-1/2 ・・・(2)、
Fn3=(1−α)+α(0.3Si+0.8V)・・・(3)。
但し、(1)式及び(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
【0019】
(2)Feの一部に代えて、Pb:0.30%以下及びCa:0.010%以下から選択される1種以上を含有する上記(1)に記載の作業機用エンジンの非調質クランクシャフト。
【0020】
(3)質量%で、C:0.30〜0.35%、Si:0.40〜0.80%、Mn:1.00〜2.00%、S:0.040〜0.080%、Cr:0.10〜0.30%、V:0.05〜0.20%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼材であって、熱間鍛造後に大気冷却した際の金属組織がフェライト・パ−ライトであるとともに、フェライト分率αが0.20〜0.60、平均パ−ライト粒径Dpが0.08mm以下であり、かつ前記(1)式で規定されるFn1の値が0.73以上、前記(2)式で規定されるFn2の値が1.20以上、そして前記(3)式で規定されるFn3の値が0.64以上の何れをも満足する鋼材にて構成された作業機用エンジンのクランクシャフト。
【0021】
(4)質量%で、更にPb:0.30%以下及びCa:0.010%以下の1種以上を含有する鋼材にて構成された、上記(3)に記載の作業機用エンジンのクランシャフト。
【0022】
こで、「フェライト・パーライト組織」とは、フェライト相とパーライト相の混合組織を意味する。
【0023】
また、「フェライト分率α」とは、光学顕微鏡観察にて確認されたフェライト・パーライト組織に占めるフェライト相の面積割合を意味し、「フェライト分率αが0.20〜0.60」とは、観察視野に占めるフェライト相の割合が20〜60%であることをいう。
【0024】
「平均パーライト粒径Dp」とは、光学顕微鏡観察にて確認されたパーライト相の結晶粒の大きさの算術平均値をいう。なお、本発明でいう「パーライト相の結晶粒」とは、いわゆる「パーライトコロニー」を指す。
【0025】
本発明者らは、非調質鋼の強度、耐摩耗性及び靱性に及ぼす鋼の化学組成と組織の影響に関して種々検討を行った。その結果、下記(a)〜(d)の知見が得られた。
【0026】
(a)フェライト・パーライト型非調質鋼、つまり、その組織がフェライト・パーライト組織である非調質鋼の靱性、なかでも低温靱性を改善するためには、C量を低減して組織に占めるフェライトの割合を高めるとともに、Sの作用を活用してパーライト組織(パーライト粒径)の微細化を図る方法が有効である。即ち、フェライト・パーライト型非調質鋼に適量のSを確保すると、鋼中に分散したMnSが熱間加工後の冷却過程でフェライトの析出サイトとなってパーライト組織が微細化し、C量低減によるフェライト割合の増加と相俟って低温靱性が改善される。
【0027】
(b)特定の化学組成を有するフェライト・パーライト型非調質鋼の引張強さは、前記(1)式で表されるFn1と相関があり、Fn1の値を0.73以上に調整すると、所望の靱性を確保するためにCを低減した場合でも750MPa以上の引張強さが安定して得られる。
【0028】
(c)フェライト・パーライト型非調質鋼の耐摩耗性を向上させるためには、所定のC量を確保して組織に占めるパーライトの割合をある程度大きくするとともに、Si、V等のフェライトの硬さを高める作用を有する元素の添加が有効である。
【0029】
(d)しかし、フェライト・パーライト型非調質鋼の構成成分を単に調整するだけでは耐摩耗性と低温靱性の両者を十分に高いレベルに安定させることはできない。
【0030】
組織におけるフェライト分率αとパーライト粒径Dpとの関係を、前記(2)式で表されるFn2の値が1.20以上となるように調整した場合に、−40℃において50J/cm2以上という良好な衝撃値が安定して得られるようになる。前記(2)式で表されるFn2の値を1.20以上とした上で、更に、フェライト分率αと質量%でのSi及びVの含有量との関係を前記(3)式で表されるFn3の値が0.64以上となるように調整すれば、十分に優れた耐摩耗性が同時に確保されるようになって、耐摩耗性と低温靱性の両者が十分に高いレベルに安定する。
【0031】
即ち、特定の範囲の化学組成と組織を有するフェライト・パーライト型非調質鋼では、フェライト分率αを大きくすると延性が改善されて衝撃吸収エネルギーが大きくなって靱性が向上し、パーライト粒径Dpを小さくすると延性−脆性遷移温度が低下して靱性が向上する。そして、これらフェライト分率αとパーライト粒径Dpを前記Fn2式の値が1.20以上となるように調整することにより低温靱性が極めて良好になる。更に、このようなフェライト・パーライト型非調質鋼では、パーライト分率が大きくなるほど耐摩耗性が改善され、パーライトに比べて耐摩耗性に劣るフェライトについてはSi及びVによって強化がなされて耐摩耗性が改善されるので、フェライト分率αと質量%でのSi及びVの含有量を前記Fn3式の値が0.64以上となるように調整すると、十分に優れた耐摩耗性も同時に確保されるようになって高い耐摩耗性と低温靱性が付与される。
【0032】
本発明は上記の知見事項等に基づいて完成されたものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の要件について詳しく説明する。なお、先に述べたとおり、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
【0034】
(A)鋼の化学成分
C:
Cは、鋼の引張強さを高めるとともに、パーライトを形成して耐摩耗性を高める作用を有している。鋼に十分な耐摩耗性を付与するためには0.30%以上のC含有量を必要とする。一方、0.35%を超えてCを含有させると組織に占めるフェライトの割合が減少して靱性が低下する場合がある。従って、Cの含有量を0.30〜0.35%と定めた。
【0035】
Si:
Siは、溶鋼の脱酸を促進する作用の他に、フェライト中に固溶して硬さを高め、鋼の引張強さと耐摩耗性を向上させる作用を有する。この作用による効果を確実に得るためには、Siの含有量を0.40%以上とすることが必要である。しかし、Siを0.80%を超えて過剰に含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。従って、Siの含有量を0.40〜0.80%と定めた。
【0036】
Mn:
Mnには、溶鋼の脱酸作用に加え、焼入れ性を高めて鋼の引張強さを向上させる作用がある。この作用による効果を確実に得るためには、Mnの含有量を1.00%以上とする必要がある。しかし、2.00%を超えてMnを含有させると焼入れ性が上がりすぎてベイナイトが生成し、耐摩耗性の向上効果が飽和する場合がある。従って、Mnの含有量を1.00〜2.00%と定めた。
【0037】
S:
Sは、Mnと結合してMnSを形成し鋼の被削性を高める作用を有しているほか、特に注目すべきは、熱間鍛造後の冷却過程でフェライトの析出サイトとして作用し、パーライトの微細化に寄与する。そして、このパーライトの微細化を通じて鋼の靱性を高める。これらの作用による効果を得るためには、Sの含有量を 0.040%以上とする必要がある。しかし、Sを過剰に添加すると熱間鍛造性が劣化し、特に、Sの含有量が0.080%を超えると熱間鍛造性の低下が著しくなる場合がある。従って、Sの含有量を0.040〜0.080%と定めた。
【0038】
Cr:
Crは、鋼の焼入れ性を高めるのに有効な元素である。この効果を確実に得るためには、Crを0.10%以上含有させる必要がある。しかし、Crを過剰に添加すると、コストが嵩むばかりか、焼入れ性が高くなりすぎてベイナイトが生成し、耐摩耗性向上の効果が飽和する場合がある。従って、Crの含有量を0.10〜0.30%と定めた。
【0039】
V:
Vは、鋼を熱間鍛造した後の冷却過程でV炭窒化物としてフェライト中に析出し、フェライトの硬さを高めて引張強さとともに耐摩耗性を向上させる元素である。これらの効果を確実に得るにはVを0.05%以上含有させる必要がある。一方、Vを0.20%を超えて過剰に含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。従って、Vの含有量を0.05〜0.20%と定めた。
【0040】
Pb及びCa:
Pb及びCaは添加しなくてもよい。添加すれば、何れも鋼の被削性を向上させる効果を有している。このため、本発明においては必要に応じてPb及びCaの1種あるいは2種を含有させる。しかし、Pbを過剰に含有させると鋼の熱間鍛造性が劣化する場合があり、またCaを過剰に含有させると介在物が増加して逆に鋼の被削性が低下する場合がある。従って、Pb含有量の上限を0.30%に、そしてCa含有量の上限を0.010%とそれぞれ定めた。
【0041】
(B)鋼の組織
(B−1)フェライト分率α
フェライトに比べて衝撃特性に劣るパーライトの割合が増加するとフェライト・パーライト組織を有する鋼の靱性は低下する。一方、パーライトに比べて耐摩耗性に劣るフェライトの割合が増加するとフェライト・パーライト組織を有する鋼の耐摩耗性は低下する。
【0042】
即ち、本発明に係る化学組成のフェライト・パーライト型非調質鋼のフェライト分率αが0.20を下回ると十分な靱性が確保されず、なかでも試験温度が−40℃での靱性として、50J/cm2以上という良好なシャルピー衝撃値を確保することが難しくなる。そして、上記フェライト分率αが0.60を上回ると良好な耐摩耗性を付与することができなくなる。
【0043】
従って、フェライト・パーライト組織におけるフェライト分率αを0.20〜0.60と定めた。
【0044】
なお、フェライト分率αはC、Si、Mn、Cr及びVの含有量の調整等によって制御することができる。
【0045】
(B−2)平均パーライト粒径Dp
本発明に係る化学組成のフェライト・パーライト型非調質鋼では、フェライト・パーライト組織の微細化、とりわけパーライトの微細化によって、その靱性、なかでも低温靱性を向上させることができる。しかし、平均パーライト粒径Dpが0.08mmを上回ると十分な靱性を確保することができず、−40℃で50J/cm2以上という良好なシャルピー衝撃値を確保することが困難となる。このため平均パーライト粒径Dpを0.08mm以下と規定した。
【0046】
なお、パーライト粒径は、熱間鍛造時のオ−ステナイト粒の調整や、前述したS添加の作用等を活用することにより制御することができる。
【0047】
(C)Fn1、Fn2及びFn3の値
前記の(1)式、(2)式及び(3)式で表されるFn1、Fn2及びFn3はフェライト・パーライト型非調質鋼の強度、靱性(衝撃値)及び耐摩耗性と密接に関係している。
【0048】
即ち、Fn1の値を0.73以上とすることによって、引張強さが750MPa以上の高強度が確保される。これに加えてFn2の値を1.20以上とすることによって、−40℃でのシャルピー衝撃値が50J/cm2以上という優れた靱性も同時に確保され、更に、Fn3の値を0.64以上とすることによって、作業機用エンジンクランクシャフトとして十分に満足できる耐摩耗性も確保することができる。
【0049】
以下、上記の事項について更に具体的に説明する。
【0050】
表1に示す化学組成を有する各種の鋼を後述する実施例と同様にして溶製し、鍛伸及び焼ならしした後、組織観察、硬さ調査、引張試験、試験温度が常温と−40℃でのシャルピー衝撃試験、及び摩耗試験を行った。
【0051】
なお、摩耗試験は、後述する実施例と同様のピン−ディスク式摩耗試験によって行った。
【0052】
表1には、化学組成に加えて、組織観察結果、及び化学組成と組織観察結果から計算されるFn1、Fn2、Fn3の値も併記した。なお、表1の「相」欄における「F」、「P」及び「B」はそれぞれフェライト、パーライト及びベイナイトを指し、「F+P」はフェライト・パーライト組織、つまり、フェライトとパーライトの混合組織を意味する。また、「F+P+B」はフェライト、パーライト及びベイナイトの混合組織を意味する。
【0053】
【表1】
Figure 0003961982
【0054】
表2に、硬さ調査の結果、引張試験の結果、試験温度が常温と−40℃でのシャルピー衝撃試験の結果、及び摩耗試験の結果を示す。
【0055】
【表2】
Figure 0003961982
【0056】
図2は、前記表2の引張試験結果(引張強さ)とFn1の値との関係を整理したものである。図中の○印は、表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定範囲内にある 鋼A、鋼B及び鋼Cである。一方、図中の●印は、表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定から外れた鋼D〜Oである。
【0057】
この図2からも確認できるように、鋼のFn1の値を0.73以上とすることによって、750MPa以上の引張強さが安定して確保されている。
【0058】
図3は、前記表2の−40℃におけるシャルピー衝撃試験結果としての衝撃値(UE-40 )とFn2の値との関係を整理したものである。図2の場合と同様に、図3中の○印は表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定範囲内にある鋼A〜Cである。また、図3中の●印は表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定から外れた鋼D〜Oである。
【0059】
この図3から確認できるように、鋼のFn2の値を1.20以上とすることによって、−40℃でのシャルピー衝撃値として50J/cm2以上という大きな値が安定して確保されている。
【0060】
図4は、前記表2の摩耗試験結果(摩耗量)とFn3の値との関係を整理したものである。この図4においても、図中の○印は表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定範囲内にある鋼A〜Cであり、●印は表1に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定から外れた鋼D〜Oである。
【0061】
この図4から、鋼のFn3の値を0.64以上とすることによって十分な耐摩耗性が確保され、摩耗量を200mg以下にできることが確認できる。
【0062】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0063】
【実施例】
表3に示す化学組成を有する鋼を180kg真空溶解炉を用いて溶製し、これらの鋼を鋼片とした後、鋼1、鋼2及び8については、前記鋼片を1200℃以上に加熱してから、直径が20mmと直径が100mmの丸棒に熱間鍛造した。また、鋼6、鋼7、鋼9及び鋼10については、前記鋼片を1200℃以上に加熱してから、直径が20mm、60mm及び100mmの各丸棒、並びに、長さが200mm、幅が100mmで厚さが25mmの板に熱間鍛造した。
【0064】
鋼1、鋼2及び鋼6〜9の直径が20mmの丸棒については、更に1150℃で1時間加熱保持した後、大気中で放冷した。
【0065】
この直径が20mmの丸棒の中心部から、JIS14A号引張試験片及びJIS Z 2202(1998)に記載の幅10mmのUノッチ試験片(JIS Z 2202(1980)に記載の3号シャルピー衝撃試験片)を採取し、室温での引張試験と、室温及び−40℃での衝撃試験を実施した。
【0066】
硬さについては、前記の直径が20mmの丸棒の鍛伸方向と直角な面をロックウェル硬度計にて測定した。
【0067】
組織観察は次のようにして行った。即ち、前記の直径が20mmの丸棒の鍛伸方向と直角な面を研磨した後5%ナイタールで腐食し、その直径をDとしてD/4の部位(表面と中心との中間部分)を倍率を200倍として光学顕微鏡で観察し、観察した視野面積に占めるフェライトの割合(フェライト分率α)とパーライトの平均粒径(平均パーライト粒径Dp)とを測定した。
【0068】
鋼1、鋼2及び鋼6〜9の直径が100mmの丸棒から、直径が100mmで厚さが20mmの試料を採取し、1200℃に1時間加熱保持した後、大気中で放冷した。次いで、この試料を直径が85mmで厚さが13mmに仕上げ加工し、図5(a)に示すピン−ディスク式摩耗試験の“ディスク状試験片”とした。また、相手材として、JIS G 4805で規定される高炭素クロム軸受鋼鋼材のSUJ2に相当する鋼を焼入れ−焼戻ししたものから、図5(b)に示す直径が10mmで長さが35mmの“ピン状試験片”を採取した。そして、図6に示したように、室温にて、無潤滑状態でピン−ディスク式摩耗試験を行った。
【0069】
なお、上記摩耗試験の試験条件は、ピン状試験片の押付け荷重を49N(5kgf)、ディスク状試験片の回転数を500rpmとし、10000m摺動後のディスク状試験片の摩耗質量を測定した。
【0070】
従来から使用されてきた機械構造用炭素鋼鋼材であるJISのS48Cに相当する表3に記載の鋼10に付いては、直径が20mmと100mmの各丸棒を、850℃に1時間加熱保持した後に水冷し、更に、550℃に1.5時間加熱保持して水冷してから、前記の鋼1、鋼2及び鋼6〜9と同様の試験片を採取し、引張試験、シャルピー衝撃試験、硬さ調査、組織観察及び摩耗試験を行った。
【0071】
鋼6、鋼7、鋼9及び鋼10については、前記の直径が60mmの丸棒及び、長さが200mm、幅が100mmで厚さが25mmの板を用いて、被削性評価のためのドリル穿孔試験及び旋削試験も行った。
【0072】
ドリル穿孔試験及び旋削試験は次の要領で実施した。
【0073】
即ち、鋼6、鋼7及び鋼9の前記直径が60mmの丸棒及び、長さが200mm、幅が100mmで厚さが25mmの板には、1200℃に1時間加熱保持してから大気中で放冷する処理を施した。また、JISのS48Cに相当する鋼10の前記直径が60mmの丸棒及び、長さが200mm、幅が100mmで厚さが25mmの板には、850℃で1時間加熱保持してから水冷し、更に550℃に2時間加熱保持した後に水冷する処理を施した。
【0074】
前記の長さが200mm、幅が100mmで厚さが25mmの板から、長さが180mm、幅が90mmで厚さが20mmの板状試験片を採取し、JIS G 4403に規定されている高速度工具鋼鋼材のSKH51からなる直径が6mmのドリルを用いて、次の条件でドリル穿孔試験を行い、板と直角方向に20mmの貫通孔を200個開けたときの工具の逃げ面摩耗量を測定した。
切削速度:20m/分、
送り量:0.10mm/rev、
潤滑:湿式。
【0075】
また、前述した直径が60mmの丸棒から直径が58mmの丸棒状試験片を採取し、TiNコ−ティングを施した超硬工具P20のチップを用いて、次の条件で旋削試験を行い、試験片の長手方向に外周を20分旋削した時の工具の逃げ面摩耗量を測定した。
切削速度:160m/分、
送り量:0.25mm/rev、
切り込み:2.0mm、
潤滑:乾式。
【0076】
表3には、化学組成に加えて、組織観察結果、及び化学組成と組織観察結果から計算されるFn1、Fn2、Fn3の値も併記した。なお、表3の「相」欄における「F」、「P」及び「M」はそれぞれフェライト、パーライト及びマルテンサイトを指し、「F+P」はフェライトとパーライトの混合組織を意味する。
【0077】
なお、表3における鋼8及び鋼9はFn1、Fn2、Fn3の値の1つ以上が本発明の規定から外れた比較例である。また、既に述べたように鋼10はJIS G 4051で規定された機械構造用炭素鋼鋼材であるS48Cに相当する鋼である。
【0078】
【表3】
Figure 0003961982
【0079】
表4に、引張試験、シャルピー衝撃試験、硬さ調査、組織観察、摩耗試験、ドリル穿孔試験及び旋削試験の結果を示す。
【0080】
【表4】
Figure 0003961982
【0081】
図7、図8及び図9は、鋼1、鋼2及び鋼6〜9について、それぞれ、前記表4の引張試験結果(引張強さ)とFn1の値との関係、−40℃におけるシャルピー衝撃試験結果としての衝撃値(UE-40 )とFn2の値との関係、及び摩耗試験結果(摩耗量)とFn3の値との関係、を整理したものである。これらの図における○印は、表3に示した鋼のうち化学組成が本発明の規定範囲内にある鋼1、鋼2、鋼6及び鋼7である。一方、図中の●印は、表3に示した鋼のうちFn1、Fn2、Fn3の値の1つ以上が本発明の規定から外れた鋼8及び鋼9である。
【0082】
表3、表4、図7、図8及び図9に示される結果から、次のことが確認できる。
【0083】
即ち、鋼の化学組成、組織観察の結果、更にFn1、Fn2、Fn3の値が本発明で規定する範囲内にある鋼1、鋼2、鋼6及び鋼7は、従来から使用されてきた機械構造用炭素鋼材のS48C相当材である鋼10の調質材と比較して、引張強さ、衝撃値、耐摩耗性が同等以上であることが分かる。
【0084】
一方、比較例の鋼8は、本発明で規定する化学組成とフェライト分率α、平均パーライト粒径Dpを満足するものではあるが、Fn1及びFn3の値が本発明の規定値に達しておらず、強度が低く、耐摩耗性に劣っている。
【0085】
また、比較例の鋼9は、本発明で規定する化学組成とフェライト分率α及び、平均パーライト粒径Dpを満足してはいるが、Fn2の値が本発明の規定値に達しておらず、衝撃値が低くなっている。
【0086】
更に、本発明例に係る鋼6及び鋼7では、工具摩耗量が比較例に係る鋼9及び、従来例であるS48Cに相当する鋼10の調質材と比べて小さくなっていることが分かる。
【0087】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、750MPa以上の引張強さを有し、かつ従来材であるJISに規定された機械構造用炭素鋼鋼材S48Cに相当する鋼を焼入れ−焼戻ししたものと同等の低温靱性(シャルピー衝撃値)及び耐摩耗性を有する作業機用エンジンの非調質クランクシャフトが実現される。このように、本発明に係る作業機用エンジンの非調質クランクシャフトは、調質処理しなくても優れた強度、低温靱性及び耐摩耗性を示すため、芝刈機、発電機、除雪機、ポンプ、船外機等の作業機用エンジンに適用することによって、寒冷地等での過酷な使用にも十分に耐えうる高性能が発揮されるなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 芝刈機におけるエンジンの内部構造の例を示す縦断面概要説明図である。
【図2】 表2の引張試験結果(引張強さ)をFn1の値との関係で整理して示した図である。
【図3】 表2の−40℃でのシャルピー衝撃試験の結果(衝撃値)をFn2の値との関係で整理して示した図である。
【図4】 表2の摩耗試験の結果(摩耗量)をFn3の値との関係で整理して示した図である。
【図5】 摩耗試験に供した試験片の形状を示す図で、(a)はディスク状試験片、(b)は、ピン状試験片である。
【図6】 ピン−ディスク式摩耗試験の要領を説明する概略図である。
【図7】 表4の引張試験結果(引張強さ)をFn1の値との関係で整理して示した図である。
【図8】 表4の−40℃でのシャルピー衝撃試験の結果(衝撃値)をFn2の値との関係で整理して示した図である。
【図9】 表4の摩耗試験の結果(摩耗量)をFn3の値との関係で整理して示した図である。
【符号の説明】
1:クランクシャフト、
2:ブレード

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.30〜0.35%、Si:0.40〜0.80%、Mn:1.00〜2.00%、S:0.040〜0.080%、Cr:0.10〜0.30%、V:0.05〜0.20%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、組織がフェライト分率αが0.20〜0.60及び平均パーライト粒径Dpが0.08mm以下のフェライト・パーライト組織で、かつ下記(1)式で規定されるFn1の値が0.73以上、下記(2)式で規定されるFn2の値が1.20以上及び下記(3)式で規定されるFn3の値が0.64以上を満足する作業機用エンジンの非調質クランクシャフト。
    Fn1=C+0.10Si+0.20Mn−0.71S+0.23Cr+1.65V・・・(1)
    Fn2=1.4−1.1(1−α)+0.16Dp-1/2 ・・・(2)
    Fn3=(1−α)+α(0.3Si+0.8V)・・・(3)
    但し、(1)式及び(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  2. Feの一部に代えて、Pb:0.30%以下及びCa:0.010%以下から選択される1種以上を含有する請求項1に記載の作業機用エンジンの非調質クランクシャフト。
  3. 質量%で、C:0.30〜0.35%、Si:0.40〜0.80%、Mn:1.00〜2.00%、S:0.040〜0.080%、Cr:0.10〜0.30%、V:0.05〜0.20%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼材であって、熱間鍛造後に大気冷却した際の金属組織がフェライト・パ−ライトであるとともに、フェライト分率αが0.20〜0.60、平均パ−ライト粒径Dpが0.08mm以下であり、かつ下記(1)式で規定されるFn1の値が0.73以上、下記(2)式で規定されるFn2の値が1.20以上、そして下記(3)式で規定されるFn3の値が0.64以上の何れをも満足する鋼材にて構成された作業機用エンジンのクランクシャフト。
    Fn1=C+0.10Si+0.20Mn−0.71S+0.23Cr+1.65V・・・(1)
    Fn2=1.4−1.1(1−α)+0.16Dp-1/2 ・・・(2)
    Fn3=(1−α)+α(0.3Si+0.8V)・・・(3)
    但し、(1)式及び(3)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  4. 質量%で、更にPb:0.30%以下及びCa:0.010%以下の1種以上を含有する鋼材にて構成された、請求項3に記載の作業機用エンジンのクランシャフト。
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