JP2004028242A - 内燃機関用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】内燃機関のクランク軸3と該クランク軸3を支持する軸受5,6とからなる内燃機関用軸受装置において、クランク軸3は、表面硬化処理が施されていない初析フェライト分率が3%以下のパーライト主体の組織の鋼からなり、且つその表面粗さRzが0.8μm以下となるように加工され、軸受5,6は、裏金にアルミニウム軸受合金が接合され、且つその合金成分として少なくとも4質量%未満のシリコン粒子を含有していることにより、クランク軸3の早期摩耗やキズつきが従来のDCI軸の摩耗量やキズつきと同等又はそれ以下に抑制される。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関のクランク軸と該クランク軸を支持する軸受とからなる内燃機関用軸受装置に関し、特に、クランク軸に高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていないクランク軸と軸受とを組み合わせた内燃機関用軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の内燃機関におけるクランク軸と軸受(主軸受とコンロッド軸受を含む)との組合せにおいて、クランク軸を構成する素材として、スチール製(鋼製)のクランク軸に高周波焼入れ等の表面硬化処理を施したもの(以下、「スチール焼入れ軸」という。)や、球状黒鉛鋳鉄製のもの(以下、「DCI軸」という。)が使用され、それぞれの軸に対する軸受も提案され、実用に供されている。
【0003】
ところで、スチール焼入れ軸は、高価であると共に切削加工においてその切粉が連続した渦巻き状となる等の欠点がある。一方、DCI軸は、安価で切削加工性が良いというメリットはあるがヤング率が低いため、スチール焼入れ軸と同じ負荷が掛けられた場合に振動や音が大きくなり、必然的にスチール焼入れ軸と同等の性能を維持しようとする場合には、軸径が大きくなるという欠点がある。
【0004】
このため、最近、ヤング率がスチール焼入軸と同等で切削加工性の優れたスチール製の非調質快削鋼をクランク軸として使用しようとする開発がなされているが、従来の非調質快削鋼においては、潤滑油に含まれる異物によりクランク軸の表面に掻きキズが発生し易いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施さないスチール製の非調質快削鋼をクランク軸として使用する場合のクランク軸と軸受の最適な組合せを提案するために、本発明がなされたものである。即ち、本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、表面硬化処理を省略したクランク軸と軸受との組合せであって、信頼性および生産性が確保できる軸受装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、内燃機関のクランク軸と該クランク軸を支持する軸受とからなる内燃機関用軸受装置において、前記クランク軸は、表面硬化処理が施されていない初析フェライト分率が3%以下のパーライト主体の組織の鋼からなり、且つその表面粗さRzが0.8μm以下となるように加工され、前記軸受は、裏金にアルミニウム軸受合金が接合され、且つその合金成分として少なくとも4質量%未満のシリコン粒子を含有していることを特徴とする(請求項1に係る発明)。
【0007】
クランク軸を高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていない初析フェライト分率が3%以下のパーライト主体の組織の鋼によって作製することにより、硬度の低いフェライト組織の析出を抑制し、もって潤滑油に含まれる異物や軸受合金中の硬質粒子によるフェライト組織への微細なキズ付きから巨大なキズへ発展して摩耗量が増大することを防止するものである。このフェライト分率とキズつきの関係について図1を参照してより詳細に説明する。図1は、表1の試験条件で混入異物量が10mgとした場合のフェライト分率と軸のキズ評価点比率との関係を示すグラフである。なお、キズ評価点は、テスト後の軸の表面凹凸形状測定データを用い、表2に示す評価点数に基づいて[キズ評価点=Σ(点数×キズ個数)]の数式より算出した値により、キズ深さに応じ重み付けした。また、キズ評価点比率の比率は、内燃機関用のクランク軸として十分な実績のあるDCI軸とアルミニウム軸受合金との組合せにおけるキズ評価点を分母とした場合の比率である。したがって、キズ評価点比率が1を超える場合には、従来の実績のあるDCI軸に比してキズ評価点が高くDCI軸に劣ることを意味し、逆にキズ評価点比率が1以下の場合には、キズ評価点が低くDCI軸と同等以上であることを意味する。なお、軸受としては、Al−2.3Si−12Sn−1Cu(質量%)のアルミニウム軸受合金を用いた。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】
しかして、図1に示すように、キズ評価点比率が1以下となるフェライト分率は、ほぼ3%以下である。したがって、クランク軸のフェライト分率は、3%以下が望ましいものである。また、初析フェライト分率が3%を超えると、フェライト組織が多くなって異物によるキズつきが多くなり、最終的に軸受が焼付きに至る。また、軸表面粗さRzが0.8μmを超えると早期摩耗が多くなり、最終的に軸受が焼付きに至る場合がある。
【0011】
一方、軸受のアルミニウム軸受合金におけるシリコン(以下、「Si」と表記する。)量が4質量%未満の場合には、Si粒子によるクランク軸への攻撃性が抑制されてクランク軸の早期摩耗やキズつきが従来のDCI軸の摩耗量やキズつきと同等又はそれ以下に抑制される。Si量は、4質量%未満で、望ましくは、Si量は、0.5〜3.5質量%が好適である。Si量がこの範囲内であれば、従来のDCI軸と軸受の組合せの摩耗量よりも優れたものになる。
【0012】
また、アルミニウム軸受合金に4質量%未満含有されるSi粒子は、摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し、4μm以下の粒子径の面積率が60%以上であることを特徴とする(請求項2の発明)。アルミニウム軸受合金中のSi粒子の大きさとその面積率との関係において、Si粒子の粒子径が大きく且つ面積率が多い場合には、従来のDCI軸に比べて軸摩耗量が増大しキズつきも増大する。したがって、Si粒子は、摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し、4μm以下の粒子径の面積率が60%以上と設定されることにより、従来のDCI軸の摩耗量やキズつきと同等又はそれ以下に抑制される。なお、Si粒子の面積率は、摺動表面の顕微鏡写真を画像解析装置により解析し、0.0125平方mmに存在するすべてのSi粒子径を測定し、その測定結果を基にして比率を算出する。Si粒子径は、粒子一つ一つについて面積を測定し、その面積と同一面積の円の径に換算したものをいう。
【0013】
アルミニウム軸受合金は、硬度がビッカース70以下であることを特徴とする(請求項3の発明)。軸受合金の硬度がビッカース70を超えると、クランク軸への攻撃力が急激に増すので、ビッカース70以下に設定する必要がある。なお、以下ビッカース硬度をHv硬度と表現する場合がある。
【0014】
また、前記アルミニウム軸受合金は、式[B≦(S/2−70)(B;アルミニウム軸受合金のHv硬度、S;クランク軸のHv硬度)]を充足するビッカース硬度(Hv硬度)を有するものであることを特徴とする(請求項4の発明)。図2に示すように、本発明に係る種々の硬度を有したクランク軸と本発明に係る種々の硬度を有したアルミニウム軸受における軸摩耗量との関係を従来のDCI軸と軸受における軸摩耗量と比較してすぐれた性能を発揮した組合せを「●」で示し、同等の性能を発揮した組合せを「○」で示し、同等未満の性能しか発揮しない組合せを「▲」で示す。「●」、「○」、「▲」の領域は、ほぼ明確に区別できる領域にわかれる。その区別できる領域を仕切る線(図2中の破線で示すA−A線)を式で表現するとB=(S/2−70)となり、その線より上方の領域が従来のDCI軸に比べてすぐれた領域であり、その線より下方の領域が軸摩耗が従来と同等の領域である。したがって、B≦(S/2−70)が望ましい領域である。ただし、クランク軸の軸硬度Sの値がビッカース280を超えると軸加工性が悪くなるので、軸硬度Sの上限は、ビッカース280以下に設定されることが望ましい。
【0015】
更に、前記アルミニウム軸受合金の表面に、該合金よりも軟質のめっき又は樹脂コーティングにより形成されているなじみ層を被覆したことを特徴とする(請求項5及び請求項6の発明)。めっきとしては、PbやSn合金が使用され、また、樹脂コーティングとしては、ベース樹脂に固体潤滑剤と硬質粒子を配合した樹脂液をコーティング剤として使用する。例えば、図3に示すように、なじみ層を形成しない本発明に係るクランク軸と軸受との組合せにおける軸摩耗を1とした場合(図3の下段の「表面層無し」と表記された棒グラフ)に、5μmの樹脂(ベース樹脂としてポリアミドイミド、固体潤滑剤としてMoS2を用いた)をアルミニウム軸受合金の表面にコーティングした場合(図3の中段の「5μm樹脂コーティング」と表記された棒グラフ)には、その軸摩耗比率が0.53に減少し、20μmのPb−Sn合金をアルミニウム軸受合金の表面にめっきした場合(図3の上段の「20μm電気めっき付」と表記された棒グラフ)には、その軸摩耗比率が0.27に減少した。つまり、軸受のアルミニウム合金層の表面にさらに軟質のめっき又は樹脂コーティングにより形成されるなじみ層を形成することにより、軸摩耗やキズつきを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図6は、実施形態に係る内燃機関のクランク軸と軸受との関係を示す斜視図である。
【0017】
図6において、コンロッド本体1とピストン2とは、図示しないピストンピンによって連結されており、コンロッド本体1の下部がクランク軸3に連結されている。コンロッド本体1のクランク軸3への連結は、コンロッド本体1の下部円弧状部とキャップ4とでクランク軸3を挟み込むようにして連結される。そして、コンロッド本体1の下部円弧状部とキャップ4の円弧状部の内側に本発明を構成するコンロッド用の軸受5が嵌着される。また、クランク軸3は、図示しないシリンダに主軸受6を介して軸支されている。軸受5,6は、クランク軸3が回転しているときに、油膜圧力によってクランク軸3を支持するものであるが、特にクランク軸3の回転始動時や回転終了時にクランク軸3と軸受5,6とが接触して軸受5,6を摩耗させるものである。
【0018】
クランク軸3は、初期フェライト率が3%以下のパーライト主体の組織を有する鋼材を表面粗さRzが0.8μm以下となるように加工される。
【0019】
一方、クランク軸3と摺動する軸受5,6の製造方法は、鋼製の裏金にAl−Sn−Si合金からなるアルミニウム軸受合金層を接合した帯状のバイメタルを所定寸法に切断し、半円筒形に湾曲した後、機械加工を施し、その後、必要に応じて、Pb−Sn合金めっきや樹脂コーティングによりなじみ層がアルミニウム軸受合金層上に被覆される。裏金は、用途によって0.5mm〜2mm程度の厚さの鋼が使用され、また、アルミニウム軸受合金層は、用途によって0.3〜0.5mm程度の厚さで接合され、なじみ層は、5〜20μm前後の厚みを有している。
【0020】
ところで、本実施形態における軸受5,6においては、アルミニウム軸受合金層は、その合金成分として少なくとも4質量%未満のSi粒子を含み、そのSi粒子が摺動表面に存在するシリコン粒子の総面積に対し、4μm以下の粒子径の面積率が60%であり、しかも、アルミニウム軸受合金の硬度がビッカース70以下で且つB≦(S/2−70)(B;アルミニウム軸受合金のHv硬度、S;クランク軸のHv硬度)を満たすように製造されるものである。
【0021】
【実施例】
以下、上記の条件にしたがって製造されたクランク軸とアルミニウム軸受の実施例について説明する。表5においては、初析フェライト分率が3%以下で表面粗さRzが0.8μm以下の実施例1〜6のクランク軸と、上記のいずれか一方又は両方の条件を充足しない比較例11〜21を示し、実施例1〜6のクランク軸と比較例11〜21のクランク軸とをアルミニウム軸受(次の表6に示す実施例3の軸受)と組み合わせて表3に示す試験条件で摩耗量について調査した。そして、その摩耗量と従来のDCI軸と軸受との組合せによって生じる摩耗量と比べて同等か否かを算出し、その算出結果を示したものが図4のグラフとして示されている。
【0022】
【表3】
【0023】
【表5】
【0024】
しかして、図4のグラフにおいて、実施例1〜6のフェライト分率と軸表面粗さRzを横軸と縦軸の対応する位置にプロットしたときに、上記した算出結果はすべてDCI軸の摩耗量と同等以上の性能(摩耗量が少ない)を有することが分かった(「○」でプロット)。しかし、初析フェライト分率が3%以下で表面粗さが0.8μm以下という2つの条件のうち、いずれか一方又は両方を充足することのない比較例11〜21のフェライト分率と軸表面粗さRzを横軸と縦軸の対応する位置にプロットしたときに、上記した算出結果はすべてDCI軸の摩耗量より劣る性能(摩耗量が多い)を有することが分かった(「●」でプロット)。したがって、従来のDCI軸と同等以上の性能を有するようなクランク軸の条件は、初析フェライト分率が3%以下で表面粗さRzが0.8μm以下という2つの条件を満たすことが必要である。
【0025】
一方、表6においては、Si量が4質量%未満でその粒子径が摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し、4μm以下の粒子の面積比率が60%以上且つアルミニウム軸受合金層の硬さがビッカース70以下の実施例1〜7のアルミニウム軸受と、上記3つの条件のうちいずれか1つ又は2つ又はすべての条件を充足しない比較例11〜19を示し、実施例1〜7のアルミニウム軸受と比較例11〜19のアルミニウム軸受とをクランク軸(前述した表5に示す実施例2のクランク軸)と組み合わせて表4に示す試験条件で軸粗さ変化量について調査した。そして、その軸粗さ変化量と従来のDCI軸と軸受との組合せによって生じる軸粗さ変化量と比べて同等か否かを算出し、その算出結果を示したものが図5のグラフとして示されている。
【0026】
【表4】
【0027】
【表6】
【0028】
しかして、図5のグラフにおいて、実施例1〜7のSi量と軸粗さ変化量を横軸と縦軸の対応する位置にプロットしたときに、上記した算出結果はすべてDCI軸の軸粗さ変化量と同等以上の性能(変化量が少ない)を有することが分かった(「○」でプロット)。しかし、Si量が4質量%未満でその粒子径が摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し4μm以下の粒子の面積比率が60%以上且つアルミニウム軸受合金層の硬さがビッカース70以下という3つの条件のうち、いずれか1つ又は2つ又はすべての条件を充足することのない比較例11〜19のSi量と軸粗さ変化量を横軸と縦軸の対応する位置にプロットしたときに、上記した算出結果はすべてDCI軸の軸粗さ変化量より性能が劣る(変化量が多い)ことが分かった(「●」でプロット)。したがって、従来のDCI軸と同等以上の性能を有するようなアルミニウム軸受の条件は、Si量が4質量%未満でその粒子径が摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し4μm以下の粒子の面積比率が60%以上且つアルミニウム軸受合金層の硬さがビッカース70以下という3つの条件を満たすことが必要である。
【0029】
なお、表6に示す軸受合金成分としてSi以外にSn,Cu等があるが、Si以外の成分が軸粗さ変化率に与える影響はほとんどないことが実験の結果わかった。
【0030】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、本発明においては、表面硬化処理が施されていない初析フェライト分率が3%以下のパーライト主体の組織の鋼からなり、且つその表面粗さRzが0.8μm以下となるように加工されたクランク軸と、裏金にアルミニウム軸受合金が接合され、且つその合金成分として少なくとも4質量%未満のシリコン粒子を含有し且つ摺動表面に存在するSi粒子の総面積に対し4μm以下の粒子径の面積率が60%以上で硬度がビッカース70以下の式[B≦(S/2−70)(B;アルミニウム軸受合金のビッカース硬度、S;クランク軸のビッカース硬度)]を充足するビッカース硬度を有する軸受とを組み合わせることにより、従来の軸受装置と同等以上の信頼性および生産性が確保できる軸受装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るクランク軸におけるフェライト分率とキズ評価点比率との関係を示すグラフである。
【図2】軸硬度と軸受合金硬度との関係を示すグラフである。
【図3】軸受の軸受合金の表面になじみ層を形成した場合と形成しない場合との軸摩耗比率を示すグラフである。
【図4】実施例と比較例のクランク軸におけるフェライト分率と軸粗さとの相互の関係で従来のDCI軸の軸摩耗量と比較して同等か否かを示すグラフである。
【図5】実施例と比較例の軸受合金におけるシリコン量と軸粗さ変化量との相互の関係で従来のDCI軸の軸粗さ変化量と比較して同等か否かを示すグラフである。
【図6】内燃機関のクランク軸と軸受との関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンロッド
2 ピストン
3 クランク軸
4 キャップ
5 軸受
6 軸受
Claims (6)
- 内燃機関のクランク軸と該クランク軸を支持する軸受とからなる内燃機関用軸受装置において、
前記クランク軸は、表面硬化処理が施されていない初析フェライト分率が3%以下のパーライト主体の組織の鋼からなり、且つその表面粗さがRz0.8μm以下となるように加工され、
前記軸受は、裏金にアルミニウム軸受合金が接合され、且つその合金成分として少なくとも4質量%未満のシリコン粒子を含有していることを特徴とする内燃機関用軸受装置。 - 前記アルミニウム軸受合金は、前記シリコン粒子が摺動表面に存在するシリコン粒子の総面積に対し、4μm以下の粒子径の面積率が60%以上であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用軸受装置。
- 前記アルミニウム軸受合金は、硬度がビッカース70以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内燃機関用軸受装置。
- 前記アルミニウム軸受合金は、下記の式1を充足するビッカース硬度を有するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の内燃機関用軸受装置。
式1;B≦(S/2−70)(B;アルミニウム軸受合金のビッカース硬度、S;クランク軸のビッカース硬度) - 前記アルミニウム軸受合金の表面に、該合金よりも軟質のなじみ層を被覆したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の内燃機関用軸受装置。
- 前記なじみ層は、めっき又は樹脂コーティングにより形成されていることを特徴とする請求項5記載の内燃機関用軸受装置。
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