JP5310095B2 - 黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法 - Google Patents

黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ねじり疲労強度の優れた機械構造用部品に適した鋼材、特に切削加工を施す際の黒皮外周旋削性が良好な鋼材を製造するための方法に関する。
従来、自動車用ドライブシャフトや等速ジョイント等の機械構造用部品は、熱間圧延棒鋼に、熱間鍛造あるいは、切削や冷間鍛造等を施して所定の形状に加工した後、高周波焼入れ−炉加熱焼戻しを行い、機械構造用部品としての重要な特性であるねじり強度あるいはねじり疲労強度を確保しているのが一般的である。すなわち、高周波焼入れ前に良好な切削性及び冷間鍛造性を確保しつつ、高周波焼入れ−焼戻し後には高いねじり強度あるいはねじり疲労強度を有する種々の鋼材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、シャフト部品の製造においては、熱処理あるいは鍛造加工等を行うことなく圧延ままの棒鋼材(以降、黒皮材と呼ぶ)から直接、外周旋削加工により所定の形状に仕上げる場合がある。この黒皮材の外周旋削加工は、鋼材表面のスケール層(黒皮)が鋼材に比べて高硬度であるため、外周旋削工具の損耗が激しく、工具寿命の低下を招いていた。これに伴い、工具の交換頻度が増加して生産性が低下すること、そして工具コストが上昇すること、が問題になっていた。
従来、より高硬度の工具の使用あるいは、表面に硬質の皮膜をコーティングした工具を使用するといった、工具側からの対策は講じられているが、工具コストが上昇するという問題は依然として解消されていない。なお、外周旋削前に酸洗あるいはショットブラスト等によりスケールを除去し、その後外周旋削加工を施すといった対策も考えられるが、新たな工程を付加しなくてはならないことや、新たな設備導入が必要となることから、やはり製造コストの増加につながる。
特開平9−111401号公報
一方、機械構造用部品の素材となる鋼材側からは、上記の問題に対する対策は積極的になされていなかったのが実情である。かような背景から、従来技術の上記した問題を鋼材側において解決する手段が希求されていたのである。
また、上記用途の機械構造用部品では、静的な破断強度である上記ねじり強度以外に、ねじり疲労強度が要求される場合があり、この点の改善も求められている。
そこで、本発明は、黒皮外周旋削性に優れ、かつシャフト部品等に要求されることの多い、ねじり疲労強度に優れ機械構造用部品に適した、鋼材を製造するための方途について提供することを目的とする。
発明者らは、黒皮外周旋削性に優れる鋼材において、特にねじり疲労強度向上の観点から鋭意検討を行った結果、鋼材の製造方法を工夫することにより優れたねじり疲労強度と黒皮外周旋削性が両立できることを新規に知見した。
以下、この知見について、詳しく説明する。
さて、本発明の用途においては、まず、黒皮外周旋削性や穴あけ加工性等の被削性を確保することが重要であり、そのためには、Sを添加することにより鋼中にMnSを生成させ被削性を向上させている。この鋼組成の下、ねじり疲労強度の向上を鋭意検討したところ、MnSの形態がねじり疲労強度に非常に大きな影響を与えることを知見した。疲労強度に及ぼすMnSの影響については、回転曲げ試験等による曲げ疲労強度あるいは転動疲労強度等に関しては過去に検討がなされているが、本発明が課題とする、ねじり疲労強度に及ぼす影響については従来、詳細に検討されていなかった。
そこで、発明者らは、製造条件を変えてMnSの形態を変化させた鋼材について、ねじり疲労試験後に試験片の破面観察を行った。その結果、鋼中のMnSは高周波焼入後のねじり疲労試験の際に発生した亀裂の伝播経路となって亀裂伝播速度を速めるため、疲労強度を低下させることが判明した。その影響度合いは、MnSの延伸度が小さければ少ないが、延伸度が大きい場合は、ねじり疲労強度を顕著に低下させる。
したがって、ねじり疲労強度の向上には、MnSの延伸を抑制することが非常に重要である。この点に関して、鋼材の製造条件の観点からさらに詳細な検討を行った結果、次に示す知見を得た。
すなわち、MnSを生成させた鋼素材、例えば鋳片を熱間圧延する際に、加熱温度を上昇するに従って、MnSが一部溶解しMnSの粒径が減少する。これを熱間圧延すると、MnSはより低温加熱の場合より延伸度は小さくなる。また、一度溶解したMnSは圧延途中で比較的微細に再析出するため、鋼中での平均的なMnSの延伸度合いは、低温加熱と比較して小さくなる。
さらに、圧延条件の影響についても検討した結果、MnSが最も延伸する温度域は900℃超1000℃未満の範囲であり、この温度よりも高温領域および低温領域においてはその延伸度合いは小さいことが判明した。すなわち、加熱温度を高温化し、圧延温度域として900℃超1000℃未満の範囲を回避することにより、MnSの延伸を顕著に抑制することができる。
以上のように、加熱温度を1100〜1250℃とし、圧延を1000℃以上で終了することにより、MnSの延伸が抑制される結果、かくして得られた鋼材は高周波焼入後にねじり疲労試験を行った場合の強度が顕著に向上するのである。
さらに、本発明のもう一方の課題である黒皮外周旋削性に対する影響についても、製造条件に関して鋭意検討を行ったところ、以下の知見が得られた。
すなわち、熱間圧延において、まず、加熱温度を1100〜1250℃の範囲とすることにより、この温度域より低温で加熱した場合に比較して、スケール下へのCuの濃化度合いが高まる結果、黒皮外周旋削性がより向上する。この加熱温度を1250℃より高温とした場合は、鋳片の表面疵が増加し、圧延後の棒鋼材の表面性状が劣化することになる。
本発明は、以上の知見を基になされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)C:0.35質量%以上0.46質量%以下、
Si:0.16質量%以上0.24質量%以下、
Mn:1.0質量%超1.4質量%以下、
P:0.025質量%以下、
S:0.015質量%超0.04質量%以下、
Cu:0.21質量%以上0.35質量%以下、
Al:0.03質量%超0.1%質量%以下、
Cr:0.5質量%未満、
Ti:0.005質量%以上0.04%質量%未満、
B:0.0003質量%以上0.0070質量%以下、
N:0.002質量%以上0.02質量%以下及び
O:0.0030質量%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の成分組成を有する素材に、熱間圧延を施すに際し、当該素材を1100℃以上1250℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で圧延を終了することを特徴とする黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
(2)前記(1)において、前記素材は、さらに
Ni:0.05〜3.5質量%
を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
(3)前記(1)または(2)において、前記素材は、さらに
Nb:0.005質量%以上0.1質量%以下及び
V:0.01質量%以上0.5質量%以下
から選ばれる1種または2種を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
(4)C:0.35質量%以上0.46質量%以下、
Si:0.16質量%以上0.24質量%以下、
Mn:1.0質量%超1.4質量%以下、
P:0.025質量%以下、
S:0.015質量%超0.04質量%以下、
Cu:0.21質量%以上0.35質量%以下、
Al:0.03質量%超0.1%質量%以下、
Cr:0.5質量%未満、
Ti:0.005質量%以上0.04%質量%未満、
B:0.0003質量%以上0.0070質量%以下、
N:0.002質量%以上0.02質量%以下及び
O:0.0030質量%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の成分組成を有する素材に、熱間圧延を施すに際し、当該素材を1100℃以上1250℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で第1段の圧延を終了し、さらに1050℃以上1150℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で第2段の圧延を終了することを特徴とする黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
(5)前記(4)において、前記素材は、さらに
Ni:0.05〜3.5質量%
を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
(6)前記(4)または(5)において、前記素材は、さらに
Nb:0.005質量%以上0.1質量%以下及び
V:0.01質量%以上0.5質量%以下
から選ばれる1種または2種を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
本発明によれば、黒皮外周旋削性に優れかつねじり疲労強度の高い、機械構造用部品に適した鋼材を提供することができる。特に、シャフト部品等に要求されることの多い、黒皮外周旋削性の改善を、当該部品の出発材である鋼材によって図ることができるから、本発明による産業上の効果は極めて顕著である。
以下、本発明の限定理由について、まず、素材の成分組成から順に詳しく説明する。なお、以下の「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
C:0.35%以上0.46%以下
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入硬化層の硬さおよび深さを高めて、ねじり疲労強度を向上させる上で有用である。含有量が0.35%に満たないと、必要とされるねじり疲労強度を確保するために、焼入硬化深さを飛躍的に高めねばならず、その際、焼割れの発生が顕著となることから、C含有量は0.35%以上とする。一方、0.46%を超えて含有させると、ねじり試験時に脆性破壊を起こし、かえってねじり疲労強度が低下する他、焼入れ時に焼割れが発生しやすくなる。従って、C含有量は0.35%以上0.46%以下とする。好ましくは、0.38%以上0.42%以下である。
Si:0.16%以上0.24%以下
Siは、炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制する。また、フェライト中に固溶し強化するほか、焼入れ後の焼戻し時の焼戻し軟化抵抗を向上させる元素であり、このことによりねじり疲労強度を向上させる。さらに、脱酸元素としても有用であるため、0.16%以上で含有させるが、0.24%を超えて含有させると、フェライトの固溶硬化により硬さが上昇し切削性および冷間鍛造性の低下を招く。従って、Si含有量は、0.16%以上0.24%以下とする。好ましくは、0.22%以下である。
Mn:1.0%超1.4%以下
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化深さを確保する上で必須の成分であり、そのためには1.0%を超える含有が必要である。一方、1.4%を超えて含有させると、焼入れ後の残留オーステナイトが増加して、かえって表面硬度および表面圧縮残留応力を低下させ、ねじり疲労強度を低下させるため、1.4%以下の含有とする。好ましくは、1.3%以下、さらに好ましくは1.2%以下である。
P:0.025%以下
Pは、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることによりねじり疲労強度を低下させ、また焼入れ時に焼割れを助長する。従って、その含有量は極力低下させることが望ましいが、0.025%までは許容される。好ましくは、0.020%以下とする。
S:0.015%超0.04%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し切削性を向上させるために含有させる。この効果は、0.015%以下で乏しく、一方0.04%を超えて添加すると、粒界強度を低下させてねじり疲労強度が低下するため、0.04%以下の添加とする。
Cu:0.21%以上0.35%以下
Cuは、本発明において最も重要な元素であり、本発明に従う鋼において0.21%以上添加することによって、鋼材の黒皮下にCuが濃化し、これにより黒皮外周旋削時に工具表面にCuが付着して工具摩耗を抑制する効果を発揮する。しかし、0.35%を超えて添加すると、熱間加工性を阻害するため0.35%以下の添加とする。好ましくは0.30%以下とする。
Al:0.03%超0.1%以下
Alは、脱酸による低酸素化のために有用な元素であるとともに、Nと結合してAlNを形成し、これが焼入れ加熱時のオーステナイト粒の成長を抑制する。また、炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制する。これらのことにより、ねじり疲労強度を向上させる元素である。これらの効果は、0.03%以下の含有では小さく、一方0.1%を超えて添加してもその効果が飽和し、成分コストの上昇を招くため、0.03%超0.1%以下の添加とする。好ましくは、0.07%以下とする。
Cr:0.5%未満
Crは、焼入れ性に有用な元素であり、焼入れ時の硬化深さを確保するために、好ましく
は0.06%以上で添加するが、0.5%以上になると、炭化物を安定化させて残留炭化物の生
成を促進し、粒界強度を低下してねじり疲労強度を劣化させる。従って、Crの含有量は、
0.5%未満とする。好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下とする。
Ti:0.005%以上0.04%未満
Tiは、Nと結合することによって、BがBNとなりBの焼入れ性の向上効果が消失するのを防止し、Bの焼入れ性の向上効果を十分に発揮させるために添加する。そのためには、0.005%以上で含有させる必要がある。一方、含有量が0.04%以上になると、TiNが多量に形成されてねじり疲労強度を低下するため、0.04%未満の添加とする。好ましくは、0.01%以上0.03%以下とする。
B:0.0003%以上0.0070%以下
Bは、微量の添加により焼入れ性を向上させ、焼入れ時の焼入れ深さを高めることによりねじり疲労強度を向上させる。また、Bは粒界に優先的に偏析し、粒界に偏析するPの濃度を低減し、粒界強度を向上してねじり疲労強度を向上させる元素であり、積極的に添加する。この含有量が0.0003%未満ではその効果が小さく、一方0.0070%を超えて添加すると、その効果が飽和し成分コストの上昇を招くため、0.0070%以下で含有する。好ましくは、0.0005%以上0.0040%以下である。
N:0.002%以上0.02%以下
Nは、Al、Ti又はNbと窒化物を形成しあるいは、Al、Ti又はNbとCとともに結合して炭窒化物を形成し、これが焼入れ加熱時のオーステナイトの成長を抑制することにより、粒界強度、強いてはねじり疲労強度を向上させる。そのためには、0.002%以上で含有させる必要があり、一方0.02%を超えて含有させると、熱間変形能を低下させて連続鋳造時に鋳片の表面欠陥を著しく増加させるため、Nの含有量は0.002%以上0.02%以下とする。好ましくは、0.003%以上0.01%以下である。
O:0.0030%以下
Oは、硬質の酸化物系非金属介在物として存在するとともに、粒界に偏析し粒界強度を低下させる原因になる。また、O量の増大は酸化物系非金属介在物のサイズを極めて粗大化させる。これらは、特に疲労強度に有害であるため、極力低減することが望ましく、0.0030%以下に低減する必要がある。好ましくは、0.0020%以下まで抑制する。
本発明においては、上記の化学組成の他にも、次の成分を適宜添加することが可能である。
Ni:0.05%以上3.5%以下
Niは、炭化物生成を抑制し、この炭化物による粒界強度の低下を抑えてねじり疲労強度を向上させる元素である。また、焼入れ性を向上させる元素であり、焼入れ性を調整する場合に用いることができる。そのためには、0.05%以上で添加することが好ましい。一方、Niは、極めて高価な元素であり、3.5%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するため、3.5%未満の添加とする。より好ましくは、1.0%以下とする。
さらに、本発明においては、Nb:0.005%以上0.1%以下及びV:0.01%以上0.5%以下から選ばれる1種または2種を添加することができる。これら成分の作用は、以下の通りである。
Nb:0.005%以上0.1%以下
Nbは、鋼中でC、Nと結合し微細球状の炭化物あるいは炭窒化物を形成し、これが焼戻し後の粒界炭化物を球状化することによって、粒界強度の低下を抑制する。また、析出強
化作用の極めて強い元素であり、焼戻し軟化抵抗を向上させる元素である。これらのこと
によりねじり疲労強度を向上させる。そのためには、0.005%以上で添加することが好ま
しく、一方0.1%を超えて添加してもその効果が飽和するため、0.005%以上0.1%以下の
添加とする。より好ましくは、0.01%以上0.05%以下とする。
V:0.01%以上0.5%以下
Vは、鋼中でC、Nと結合し微細球状の炭化物あるいは炭窒化物を形成し、これが焼戻し後の粒界炭化物形状を球状化することによって粒界強度の低下を抑制する。また、Vは析出強化作用の極めて強い元素であることと、焼戻し軟化抵抗を向上させる元素である。これらのことによりねじり疲労強度を向上させる。そのためには、0.01%以上で添加することが好ましく、一方0.5%を超えて添加してもその効果が飽和するため、0.01%以上0.5%以下の添加とする。より好ましくは、0.03%以上0.3%以下である。
なお、本発明の鋼材では、その組織を特に限定する必要はなく、フェライト、パーライト又はベイナイト等のいずれでも良い。中でも、フェライト−パーライト主体組織が好適である。
以上の成分組成の下に溶製された鋼は、鋳造によってスラブ、ブルームおよびビレットなどの素材(鋳片)に製造され、以下に示す熱間圧延に供される。
この熱間圧延においては、上記素材を、まず、加熱温度を1100〜1250℃の温度域に加熱する。ここで、加熱温度を1100〜1250℃の範囲にするのは、1100℃未満になると、MnSが全く固溶せず鋳造時の粗大なMnSのまま圧延されることになり、MnSが著しく延伸するためである。一方、加熱温度を1250℃以下とするのは、この温度を超えると部分的に粒界が溶融し、熱間変形能が低下するため熱間圧延が困難になるからである。
次いで、1000℃以上の温度域で熱間圧延を行う。ここで、圧延温度を1000℃以上とするのは、これを下回る温度域においてはMnSの延伸が顕著になるためである。
なお、本発明の製造方法においては、素材(鋳片)に施す熱間圧延は、1回に限らず、2回の圧延により最終形状に成形してもよい。その場合の熱間圧延温度についても規定するが、第1段の圧延温度については上記と同一である。次の第2段の圧延温度については、第1段の圧延よりMnSが微細化されているため、加熱温度はMnSが固溶しない温度まで低下させてもよい。しかし、熱間圧延温度が1000℃を下回ると、MnSの延伸が生じることから、1000℃以上の温度で圧延する必要がある。すなわち、第2段の加熱温度が1050℃を下回ると、熱間圧延温度を1000℃以上に維持することが困難になるため、第2段の圧延温度は1050℃以上とする。一方、上限を1250℃とするのは、これを超える温度では熱間変形能が低下し熱間圧延が困難となるためである。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に示す化学組成の鋼を、転炉−連続鋳造プロセスにより溶製して鋳片とした。鋳造時の鋳片サイズは400×560mmであった。この鋳片をブレークダウン工程にて、直径90mmの棒鋼に熱間圧延した。この熱間圧延条件を、表2に示す。
この棒鋼を、200mm長に切断後、NC旋盤にてJIS B4053に規定のP10(コーナーR0.8mm)の超硬工具を用い、切り込み1mm、切削速度200m/minおよび送り0.2mm/rev.の条件で乾式にて黒皮外周旋削試験を行った。工具寿命は、工具逃げ面摩耗(VB)が0.2mmとなるまでの切削時間で評価した。
次に、棒鋼の圧延方向より、平行部20mmφのねじり試験片を採取し、周波数15kHzの高周波焼入れ装置を用いて焼入れた後、加熱炉にて170℃で30分の焼戻し処理を行った後、ねじり疲労試験を行った。ねじり疲労試験は、最大トルク5kN・mのねじり試験機を用いて、両振りでトルク条件を変えて行い、5×10回で寿命となるトルクを疲労強度とした。
また、ねじり試験片の硬化層深さについて、表面から硬さがビッカース硬さで450ポイントとなるまでの距離を測定した。
以上の測定並びに評価の結果を、表2に併記する。表2に示すように、特に本発明の圧延条件を満足することによって、優れた黒皮外周旋削性に加えて、優れたねじり疲労強度が得られる。
Figure 0005310095
Figure 0005310095
表1に示した化学組成の鋼を、転炉−連続鋳造プロセスにより溶製して鋳片とした。鋳造時の鋳片サイズは400×560mmであった。この鋳片をブレークダウン工程にて、150mm角ビレットに熱間圧延(第1段熱間圧延)し、さらに熱間圧延(第2段熱間圧延)により直径30mmの棒鋼に成形した。これら熱間圧延条件を、表3に示す。
この棒鋼を、200mm長に切断後、NC旋盤にてJIS B4053に規定のP10(コーナーR0.8mm)の超硬工具を用い、切り込み1mm、切削速度200m/minおよび送り0.2mm/rev.の条件で乾式にて黒皮外周旋削試験を行った。工具寿命は、工具逃げ面摩耗(VB)が0.2mmとなるまでの切削時間で評価した。
次に、棒鋼の圧延方向より、平行部20mmφのねじり試験片を採取し、周波数15kHzの高周波焼入れ装置を用いて焼入れた後、加熱炉にて170℃で30分の焼戻し処理を行った後、ねじり疲労試験を行った。ねじり疲労試験は、最大トルク5kN・mのねじり試験機を用いて、両振りでトルク条件を変えて行い、5×10回で寿命となるトルクを疲労強度とした。
また、ねじり試験片の硬化層深さについて、表面から硬さがビッカース硬さで450ポイントとなるまでの距離を測定した。
以上の測定並びに評価の結果を、表3に併記する。表3に示すように、特に本発明の圧延条件を満足することによって、優れた黒皮外周旋削性に加えて、優れたねじり疲労強度が得られる。
Figure 0005310095

Claims (6)

  1. C:0.35質量%以上0.46質量%以下、
    Si:0.16質量%以上0.24質量%以下、
    Mn:1.0質量%超1.4質量%以下、
    P:0.025質量%以下、
    S:0.015質量%超0.04質量%以下、
    Cu:0.21質量%以上0.35質量%以下、
    Al:0.03質量%超0.1%質量%以下、
    Cr:0.5質量%未満、
    Ti:0.005質量%以上0.04%質量%未満、
    B:0.0003質量%以上0.0070質量%以下、
    N:0.002質量%以上0.02質量%以下及び
    O:0.0030質量%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の成分組成を有する素材に、熱間圧延を施すに際し、当該素材を1100℃以上1250℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で圧延を終了することを特徴とする黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
  2. 請求項1において、前記素材は、さらに
    Ni:0.05〜3.5質量%
    を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記素材は、さらに
    Nb:0.005質量%以上0.1質量%以下及び
    V:0.01質量%以上0.5質量%以下
    から選ばれる1種または2種を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
  4. C:0.35質量%以上0.46質量%以下、
    Si:0.16質量%以上0.24質量%以下、
    Mn:1.0質量%超1.4質量%以下、
    P:0.025質量%以下、
    S:0.015質量%超0.04質量%以下、
    Cu:0.21質量%以上0.35質量%以下、
    Al:0.03質量%超0.1%質量%以下、
    Cr:0.5質量%未満、
    Ti:0.005質量%以上0.04%質量%未満、
    B:0.0003質量%以上0.0070質量%以下、
    N:0.002質量%以上0.02質量%以下及び
    O:0.0030質量%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の成分組成を有する素材に、熱間圧延を施すに際し、当該素材を1100℃以上1250℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で第1段の圧延を終了し、さらに1050℃以上1150℃以下の温度域に加熱し、1000℃以上の温度域で第2段の圧延を終了することを特徴とする黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
  5. 請求項4において、前記素材は、さらに
    Ni:0.05〜3.5質量%
    を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
  6. 請求項4または5において、前記素材は、さらに
    Nb:0.005質量%以上0.1質量%以下及び
    V:0.01質量%以上0.5質量%以下
    から選ばれる1種または2種を含有する黒皮外周旋削性とねじり疲労強度に優れた鋼材の製造方法。
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