JP2021155808A - 鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被削性に優れ、熱間鍛造時の割れ及び高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制でき、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する鋼材を提供する。【解決手段】鋼材は、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.80〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.010〜0.095%、Cr:0.10超〜0.30%、V:0.050〜0.200%、Bi:0.0020〜0.1000%、N:0.0040〜0.0200%、O:0.0024%以下、を含有する。鋼材中のBi粒子のうち、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm2以下であり、鋼材中のBi粒子のうち、円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mm2である。【選択図】図3

Description

本発明は、鋼材に関し、さらに詳しくは、高周波焼入れの素材となる鋼材に関する。
自動車及び建設車両のクランクシャフト等に利用される機械構造用部品には、疲労強度及び耐摩耗性等の向上のために表面硬化処理が施される場合がある。
種々の表面硬化処理のうち、高周波焼入れは、必要な部位のみ硬化させることができる。さらに、高周波焼入れは高温で加熱した後に冷却するため、軟窒化処理等の他の表面硬化処理と比較して、深い硬化層深さ及び高い疲労強度を得ることができる。そのため、機械構造用部品には、高周波焼入れが施される場合が多い。たとえば、機械構造用部品の1種であるクランクシャフトの疲労強度を向上させるために、図1に示すフィレットのR部1を高周波焼入れする技術が実用化されている。
近年、産業界から、機械構造用部品のさらなる疲労強度の向上が求められている。高周波焼入れを利用して硬化層深さを大きくするためには、高周波焼入れにおいて、高周波電力の出力を増加して加熱温度を高めればよい。しかしながら、高温で高周波焼入れ処理を実施する場合、機械構造用部品のエッジ部(たとえば、図1のクランクシャフトの場合は符号2で示される部分)で、加熱温度が過剰に高くなりやすい。特に、高周波焼入れ時の昇温速度が速い場合、加熱温度が過剰に高くなりやすい。たとえば、高周波焼入れにおける加熱温度が1350℃を超えた場合、鋼材の表層又は内部の一部が溶融して割れが発生する場合がある。以下、このような割れを、本明細書では、「溶融割れ」という。溶融割れは、高周波焼入れにおいて発生する特有の現象である。溶融割れが生じた鋼材は実用に適さない。そのため、高周波焼入れが施される鋼材では、溶融割れの抑制が求められる。
機械構造用部品の素材となる鋼材ではさらに、製造工程中において、切削加工が実施される場合がある。そのため、鋼材の被削性が高い方が好ましい。
機械構造用部品の素材となる鋼材は、たとえば、特開昭57−19366号公報(特許文献1)、特開2004−18879号公報(特許文献2)及び特開2008−169411号公報(特許文献3)に開示されている。
特許文献1に開示された機械構造用鋼は、Caを0.001〜0.05%、Pb及びBiを単独又は複合して0.02〜0.15%含有し、Bを0.005%以下に規制し、介在物をCaS−CaO、Pb、Bi系介在物とし、かつAl介在物を0.001%未満に抑えることにより、被削性を向上させる。この文献では、溶鋼中にCaを多量に連続的に添加し、溶存しているSをCaSに変化させる。また、Caによる還元反応により、Alをなくすか、又は、極めて少なくする。そのため、介在物はCaS−CaO系となり、かつ、微細に均一に分散する。その後、Pb、Biの1種又は2種を少量添加し、Pb又はBiの単独介在物を生成させたり、CaS−CaOの周辺に微細に析出させたりすることにより、被削性を向上させる。
特許文献2に開示された冷間鍛造用鋼は、質量%でB:0.001〜0.010%、N:0.002〜0.010%及びBi:0.005〜0.10%を含む鋼からなる。この冷間鍛造用鋼は、横断面0.5mm×0.5mmの視野面積当たりに、直径0.7μm以上のBNと、Bを含むBi析出物とが総計で15個以上存在する。この文献では、冷間加工時の加工硬化を低減させるため、加工硬化を助長する固溶NをB添加によりBNとして固定する。さらに、適量のBiを含有させて、Bを含むBi析出物を鋼母材中に析出させることにより、加工硬化を抑制しつつ切屑処理性を向上させる。
特許文献3に開示された型材用鋼は、質量%で、C:0.15〜0.55%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.01〜2.5%、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%、Cr:0.01〜2.5%、Mo:0.01〜3.0%、及び、V及びWからなる群から選ばれる少なくとも1種の総量:0.01〜1.0%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。この型材用鋼は、1010℃〜1050℃で均熱した後、200℃/分以上の冷却速度で500℃〜550℃まで冷却し、引き続き、100℃/分以上の冷却速度で150℃以下まで冷却し、次いで、550℃〜700℃の温度域で加熱した後の、室温におけるHRC硬さの最大値を与えるLMPが17.66以上である。この文献では、上記条件で熱処理を行った後の室温におけるHRC硬さの最大値を与えるLMPを17.66以上とし、軟化抵抗を高めることで、熱疲労特性を向上させる。
特開昭57−19366号公報 特開2004−18879号公報 特開2008−169411号公報
しかしながら、上述の特許文献1〜3では、少なくとも、高周波焼入れ時の溶融割れの抑制については検討されていない。
本発明の目的は、被削性に優れ、熱間鍛造時の割れ及び高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制でき、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する鋼材を提供することである。
本発明による鋼材は、
化学組成が、質量%で、
C:0.35〜0.45%、
Si:0.01〜0.70%、
Mn:0.80〜1.50%、
P:0.030%以下、
S:0.010〜0.095%、
Cr:0.10超〜0.30%、
V:0.050〜0.200%、
Bi:0.0020〜0.1000%、
N:0.0040〜0.0200%、
O:0.0024%以下、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たし、
前記鋼材中において、
円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm以下であり、
円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmである。
80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr≦50.0 (1)
0.70≦C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.00 (2)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明の鋼材は、被削性に優れ、熱間鍛造時の割れ及び高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制でき、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する。
図1は、機械構造用部品であるクランクシャフトの一部を示す正面図である。 図2は、実施例において、比較例である高周波焼入れ後の試験片を、100℃/秒の昇温速度で1390℃まで加熱し、10秒間保持した後、水冷した場合のミクロ組織写真画像である。 図3は、実施例において、本発明例である高周波焼入れ後の試験片を、100℃/秒の昇温速度で1390℃まで加熱し、10秒間保持した後、水冷した場合のミクロ組織写真画像である。 図4は、各棒鋼から採取した回転曲げ疲労試験片の模式図である。
本発明者らは、初めに、被削性に優れ、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する、鋼材の化学組成について検討を行った。その結果、本発明者らは、化学組成が、質量%で、C:0.35〜0.45%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.80〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.010〜0.095%、Cr:0.10超〜0.30%、V:0.050〜0.200%、N:0.0040〜0.0200%、O:0.0024%以下、Al:0〜0.040%、Mg:0〜0.0100%、Ti:0〜0.0200%、Nb:0〜0.0200%、W:0〜0.4000%、Zr:0〜0.2000%、Ca:0〜0.0100%、Te:0〜0.0100%、B:0〜0.0050%、Sn:0〜0.0100%、希土類元素:0〜0.0100%、Co:0〜0.0100%、Se:0〜0.0100%、Sb:0〜0.0100%、In:0〜0.0100%、Mo:0〜0.20%、Cu:0〜0.05%、及び、Ni:0〜0.05%、及び、残部がFe及び不純物からなる鋼材であれば、被削性に優れ、機械構造用部品とした場合に優れた疲労強度を有する可能性があると考えた。
そこで、本発明者らは、上述の化学組成の鋼材において、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を抑制できる手段を検討した。そこで、本発明者らは初めに、高周波焼入れ時に、鋼材に溶融割れが発生する原因を調査した。その結果、鋼材において、溶融割れが発生した部位には、脱炭が生じていなかった。一方、脱炭している部位では、溶融割れが発生しなかった。
以上の結果から、本発明者らは、高周波焼入れ時の鋼材に発生する溶融割れには、C含有量が影響すると考えた。本発明者らはさらに、C含有量が高い場合、鋼材の融点が低下するため、溶融割れが発生しやすくなると考えた。そこで、本発明者らは、上述の化学組成において、鋼材の融点を下げる元素に注目した。
上述の化学組成のうち、C、Si、Mn、Cr及びVは、焼入れ性を高め、疲労強度を高める。Sは、被削性を改善する。しかしながら、C、Si、Mn、Cr、P及びSは、鋼の融点を低下する。鋼の融点が低下すれば、高周波焼入れの加熱時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、疲労強度を高めるためにC、Si、Mn及びCrは必須元素として含有し、被削性を高めるためにSを必須元素として含有するものの、溶融割れを考慮した場合、C、Si、Mn、Cr、P及びSの総含有量を規制する方が好ましい。
上記検討結果に基づいて、本発明者らはC、Si、Mn、Cr、P及びSの総含有量と溶融割れとの関係についてさらに検討を行った。その結果、式(1)を満たすことにより、鋼の融点の低下が抑制され、後述のBi含有量を満たすことを前提として、高周波加熱時において溶融割れの発生を抑制できることを見出した。
80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr≦50.0 (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
式(1)を満たすことを前提として、鋼材の疲労強度及び被削性について、本発明者らはさらに検討した。機械構造用部品の硬さが高ければ疲労強度は高くなるものの、被削性が低下する。したがって、機械構造用部品において、疲労強度及び被削性を両立するためには、鋼材の硬さを適切な範囲とするのが有効である。
以上の観点から、本発明者らは鋼材の硬さに影響する元素の総含有量を検討した。上述のとおり、C、Si、Mn、Cr及びVは、熱間鍛造後の鋼材の内部硬さを高める。一方、Sは内部硬さを低下する。したがって、これらの元素の総含有量を適切な範囲とすることにより、熱間鍛造後の疲労強度及び被削性を両立できると考え、さらに検討を行った。その結果、本発明者らは、式(1)を満たすことを前提として、式(2)を満たせば、熱間鍛造後の鋼材において、優れた疲労強度及び被削性が得られることを見出した。
0.70≦C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.00 (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明者らは、上述の化学組成にさらに、Biを0.0020〜0.1000%含有することにより、高周波焼入れ時の鋼材の溶融割れがさらに抑制されることを見出した。上述の化学組成にBiを0.0020〜0.1000%含有した鋼材において、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制できる理由は、次のとおりである。発明者らはBiを適量含有することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト(γ)粒の粗大化が抑制されることを見出した。Biは微細な介在物として、γ粒界をピンニングする。Biの介在物が微細であれば、γ粒界のピンニング効果は高まる。高周波焼入れ時において、γ粒が微細に維持されれば、γ粒の粒界面積が増大する。粒界面積が増大すれば、単位面積当たりの粒界に偏析するCの濃度が減少する。その結果、溶融割れの発生が抑制される。
しかしながら、本発明者らは、さらなる調査の結果、Biを含有すれば高周波焼入れ時の溶融割れの発生は抑制されるものの、熱間鍛造時に上述の溶融割れとは異なる割れが発生することを見出した。そこで、本発明者らがその原因について調査した結果、次の新たな知見を得た。上述の溶融割れの抑制を目的に含有したBiは、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子を形成する場合がある。粗大Bi粒子は、熱間鍛造時の割れの起点となりやすい。そのため、粗大Bi粒子の個数密度が高すぎれば、熱間鍛造時に割れ(熱間鍛造割れ)が発生しやすい。
すなわち、本発明者らは、Biを含有する鋼材では、粒界に偏析したCによる高周波焼入れ時の溶融割れを抑制しやすいものの、粗大Bi粒子による熱間鍛造割れが発生しやすいことを見出した。つまり、含有したBi粒子が微細であれば、高周波焼入れ時の溶融割れの抑制効果は高まる。一方で、含有したBiが粗大Bi粒子として存在すれば、熱間鍛造割れが発生しやすくなる。
以上の検討結果に基づいて、本発明者らはさらなる検討を行い、鋼中の粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度を制御することで、高周波焼入れ時の溶融割れ及び熱間鍛造割れを共に抑制することができることを見出した。具体的には、上述の化学組成の鋼材において、上述の式(1)及び式(2)を満たし、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度は10個/mm以下であり、かつ、鋼中のBi粒子において、円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmであれば、高周波焼入れ時の溶融割れを抑制でき、かつ、熱間鍛造割れも共に抑制できる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態による鋼材は、次の構成を有する。
[1]
鋼材であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.35〜0.45%、
Si:0.01〜0.70%、
Mn:0.80〜1.50%、
P:0.030%以下、
S:0.010〜0.095%、
Cr:0.10超〜0.30%、
V:0.050〜0.200%、
Bi:0.0020〜0.1000%、
N:0.0040〜0.0200%、
O:0.0024%以下、を含有し、
残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たし、
前記鋼材中において、
円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm以下であり、
円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmである、
鋼材。
80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr≦50.0 (1)
0.70≦C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.00 (2)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
[2]
[1]に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Al:0.040%以下、及び、
Mg:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
[3]
[1]又は[2]に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Ti:0.0200%以下、
Nb:0.0200%以下、
W:0.4000%以下、及び、
Zr:0.2000%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
[4]
[1]〜[3]のいずれか1項に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Ca:0.0100%以下、
Te:0.0100%以下、
B:0.0050%以下、
Sn:0.0100%以下、及び、
希土類元素:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
[5]
[1]〜[4]のいずれか1項に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Co:0.0100%以下、
Se:0.0100%以下、
Sb:0.0100%以下、及び、
In:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
[6]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Mo:0.20%以下を含有する、
鋼材。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の鋼材であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Cu:0.05%以下、及び、
Ni:0.05%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
鋼材。
以下、本実施形態の鋼材について詳述する。元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
[化学組成]
本実施形態の鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.35〜0.45%
炭素(C)は、高周波焼入れして製造される機械構造用部品の焼入れ硬化層及び芯部(内部)の硬さを高め、機械構造用部品の疲労強度を高める。C含有量が0.35%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Cは鋼材の融点を低下させる。そのため、C含有量が0.45%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、C含有量は0.35〜0.45%である。C含有量の好ましい下限は0.36%であり、さらに好ましくは0.37%であり、さらに好ましくは0.38%である。C含有量の好ましい上限は0.44%であり、さらに好ましくは0.43%であり、さらに好ましくは0.42%である。
Si:0.01〜0.70%
シリコン(Si)は、製鋼工程において鋼を脱酸する。Siはさらに、高周波焼入れして製造される機械構造用部品の焼入れ硬化層及び芯部(内部)の硬さを高め、機械構造用部品の疲労強度を高める。Si含有量が0.01%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、SiはCとの親和力が弱い。そのため、Si含有量が0.70%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、加熱時において、Cは、Siが固溶している粒内よりも、粒界に偏析しやすくなる。その結果、鋼材の融点が低くなりすぎて高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、Si含有量は0.01〜0.70%である。Si含有量の好ましい下限は0.02%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.08%である。Si含有量の好ましい上限は0.65%であり、さらに好ましくは0.60%であり、さらに好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.50%である。
Mn:0.80〜1.50%
マンガン(Mn)は、製鋼工程において鋼を脱酸する。Mnはさらに、鋼の焼入れ性を高める。その結果、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の内部硬さが高まり、機械構造用部品の疲労強度が高まる。さらに、MnはCとの親和力が強い。そのため、加熱時において、CはMnが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制できる。さらに、Mnは、Sと結合してMn硫化物を形成する。そのため、Mnは、粗大なFeSの形成を抑制することができる。その結果、熱間鍛造時の延性が向上し、熱間鍛造割れを抑制することができる。Mn含有量が0.80%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Mnは鋼材の融点を低下させる。そのため、Mn含有量が1.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。さらに、Mn含有量が1.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の硬さが高まり、被削性が低下する。したがって、Mn含有量は0.80〜1.50%である。Mn含有量の好ましい下限は0.82%であり、さらに好ましくは0.85%であり、さらに好ましくは0.87%であり、さらに好ましくは0.90%である。Mn含有量の好ましい上限は1.48%であり、さらに好ましくは1.45%であり、さらに好ましくは1.43%であり、さらに好ましくは1.40%である。
P:0.030%以下
燐(P)は不可避に含有される不純物である。つまり、Pは0%超である。Pは粒界に偏析する。そのため、Pは鋼材の融点を低下させる。そのため、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量の好ましい上限は0.028%であり、さらに好ましくは0.026%であり、さらに好ましくは0.023%であり、さらに好ましくは0.020%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
S:0.010〜0.095%
硫黄(S)は硫化物系介在物を生成し、鋼材の被削性を高める。S含有量が0.010%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Sは鋼材の融点を低下させる。そのため、S含有量が0.095%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、S含有量は0.010〜0.095%である。S含有量の好ましい下限は0.012%であり、さらに好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.018%であり、さらに好ましくは0.020%である。S含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.075%であり、さらに好ましくは0.070%である。
Cr:0.10超〜0.30%
クロム(Cr)は、鋼の焼入れ性を高める。そのため、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の内部硬さが高まり、疲労強度が高まる。さらに、Mnと同様に、CrはCとの親和力が強い。そのため、加熱時において、CはCrが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制できる。さらに、Crは、Mnと同様に、Sと結合してCr硫化物を形成する。そのため、Crは粗大なFeSの形成を抑制することができる。その結果、熱間鍛造時の延性が向上し、熱間鍛造割れを抑制することができる。Cr含有量が0.10%以下であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Crは鋼材の融点を低下させる。そのため、Cr含有量が0.30%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。さらに、Cr含有量が0.30%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の硬さが高くなりすぎ、被削性が低下する。したがって、Cr含有量は0.10超〜0.30%である。Cr含有量の好ましい下限は0.12%であり、さらに好ましくは0.14%であり、さらに好ましくは0.16%であり、さらに好ましくは0.18%である。Cr含有量の好ましい上限は0.28%であり、さらに好ましくは0.26%であり、さらに好ましくは0.24%である。
V:0.050〜0.200%
バナジウム(V)は、本実施形態の鋼材を素材として機械構造用部品の製造工程において、熱間鍛造後の冷却過程でV析出物として鋼材中のフェライト中に析出する。これにより、鋼材中のフェライトの硬さが高まり、機械構造用部品の内部硬さが高まる。その結果、機械構造用部品の疲労強度が高まる。さらに、VはCと結合してγ粒内にCを固定する。そのため、Vは、高周波焼入れ時において、溶融割れの発生を抑制する。V含有量が0.050%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、V含有量が0.200%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の硬さが高くなりすぎ、被削性が低下する。さらに、V含有量が0.200%を超えれば、上記効果が飽和し、さらに、製造コストが高くなる。したがって、V含有量は、0.050〜0.200%である。V含有量の好ましい下限は0.055%であり、さら好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.065%であり、さらに好ましくは0.070%である。V含有量の好ましい上限は0.195%であり、さらに好ましくは0.190%であり、さらに好ましくは0.185%である。
Bi:0.0020〜0.1000%
ビスマス(Bi)は、凝固時において、結晶粒を微細化する。結晶粒が微細であれば、粒界面積が増大する。そのため、粒界に偏析するC濃度を低減できる。その結果、単位粒界面積当たりのC濃度が低減し、高周波焼入れ時の溶融割れが抑制される。Biはさらに、鋼材の被削性を高める。Bi含有量が0.0020%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、Bi含有量が0.1000%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、粗大なBi粒子が生成する。粗大なBi粒子は、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造時において、割れの起点となりやすい。そのため、熱間鍛造割れが発生しやすくなる。したがって、Bi含有量は0.0020〜0.1000%である。Bi含有量の好ましい下限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0070%であり、さらに好ましくは0.0100%であり、さらに好ましくは0.0120%であり、さらに好ましくは0.0140%である。Bi含有量の好ましい上限は0.0900%であり、さらに好ましくは0.0850%であり、さらに好ましくは0.0800%である。
N:0.0040〜0.0200%
窒素(N)は、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造後の冷却時において、窒化物及び/又は炭窒化物を形成して鋼材を析出強化する。その結果、機械構造用部品の疲労強度が高まる。N含有量が0.0040%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、N含有量が0.0200%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材の熱間鍛造性が低下する。したがって、N含有量は0.0040〜0.0200%である。N含有量の好ましい下限は0.0042%であり、さらに好ましくは0.0044%であり、さらに好ましくは0.0046%である。N含有量の好ましい上限は0.0190%であり、さらに好ましくは0.0170%であり、さらに好ましくは0.0150%であり、さらに好ましくは0.0130%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
O:0.0024%以下
酸素(O)は不可避に含有される不純物である。つまり、O含有量は0%超である。Oは鋼中で酸化物を形成する。Oはたとえば、Mn及びCrと結合してMn酸化物及びCr酸化物を形成する。上述のとおり、Mn及びCrはCの粒界への偏析を抑制する。Mn酸化物及びCr酸化物が形成されると、粒内の固溶Mn量及び固溶Cr量が減少する。そのため、Cが粒界に偏析しやすい。その結果、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。さらに、Oは鋼中で酸化物を形成し、機械構造用部品の疲労強度を低下する。したがって、O含有量は0.0024%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0022%であり、さらに好ましくは0.0020%であり、さらに好ましくは0.0018%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、O含有量の過剰な低減は製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、O含有量の好ましい下限は、0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%である。
本実施の形態による鋼材の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は、製造環境などから混入されるものであって、本実施形態による鋼材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
[任意元素について]
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Al及びMgからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、鋼を脱酸する。
Al:0.040%以下
アルミニウム(Al)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Al含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Alが0%超である場合、Alは鋼を脱酸する。Alが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Al含有量が0.040%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Alは粗大な酸化物を形成する。粗大な酸化物は、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の疲労強度を低下する。したがって、Al含有量は0〜0.040%であり、含有される場合、0.040%以下、つまり、0超〜0.040%である。上記効果をさらに有効に得るためのAl含有量の好ましい下限は0.001%であり、さらに好ましくは0.005%である。Al含有量の好ましい上限は0.035%であり、さらに好ましくは0.030%であり、さらに好ましくは0.025%である。
Mg:0.0100%以下
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mg含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Mgが0%超である場合、Mgは鋼を脱酸する。Mgが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mg含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、Mgは粗大な酸化物を形成する。粗大な酸化物は、鋼材を素材として製造された機械構造用部品の疲労強度を低下する。したがって、Mg含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのMg含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%である。Mg含有量の好ましい上限は0.0050%であり、さらに好ましくは0.0040%である。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Ti、Nb、W及びZrからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも、析出物を形成して、鋼材の靱性を高める。
Ti:0.0200%以下
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Tiが0%超である場合、Tiは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ti含有量が0.0200%を超えれば、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。したがって、Ti含有量は0〜0.0200%であり、含有される場合、0.0200%以下、つまり、0超〜0.0200%である。上記効果をさらに有効に得るためのTi含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0080%である。Ti含有量の好ましい上限は0.0180%であり、さらに好ましくは0.0150%である。
Nb:0.0200%以下
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Nbが0%超である場合、Nbは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Nbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Nb含有量が0.0200%を超えれば、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。したがって、Nb含有量は0〜0.0200%であり、含有される場合、0.0200%以下、つまり、0超〜0.0200%である。上記効果をさらに有効に得るためのNb含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0080%である。Nb含有量の好ましい上限は0.0180%であり、さらに好ましくは0.0150%である。
W:0.4000%以下
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、W含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、W含有量が0%超である場合、Wは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、W含有量が0.4000%を超えれば、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。したがって、W含有量は0〜0.4000%であり、含有される場合、0.4000%以下、つまり、0超〜0.4000%である。上記効果をさらに有効に得るためのW含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0500%である。W含有量の好ましい上限は0.3500%であり、さらに好ましくは0.3000%であり、さらに好ましくは0.2000%である。
Zr:0.2000%以下
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Zr含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Zr含有量が0%超である場合、Zrは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、機械構造用部品の靱性が高まる。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Zr含有量が0.2000%を超えれば、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。したがって、Zr含有量は0〜0.2000%であり、含有される場合、0.2000%以下、つまり、0超〜0.2000%である。上記効果をさらに有効に得るためのZr含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0020%であり、さらに好ましくは0.0050%である。Zr含有量の好ましい上限は0.1500%であり、さらに好ましくは0.1000%であり、さらに好ましくは0.0500%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Ca、Te、B、Sn及び希土類元素からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも鋼の被削性を高める。
Ca:0.0100%以下
カルシウム(Ca)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ca含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Ca含有量が0%超である場合、Caは、被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施の範囲内であっても、粗大酸化物を形成し、鋼の疲労強度が低下する。したがって、Ca含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのCa含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0085%であり、さらに好ましくは0.0070%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
Te:0.0100%以下
テルル(Te)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Te含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Te含有量が0%超である場合、Teは、被削性を高める。Teが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Te含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、Te含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのTe含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Te含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
B:0.0050%以下
ボロン(B)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、B含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、B含有量が0%超である場合、Bは、被削性を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、B含有量は0〜0.0050%であり、含有される場合、0.0050%以下、つまり、0超〜0.0050%である。上記効果をさらに有効に得るためのB含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0030%である。
Sn:0.0100%以下
スズ(Sn)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Sn含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Sn含有量が0%超である場合、Snは、被削性を高める。Snが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Sn含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、Sn含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのSn含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0095%であり、さらに好ましくは0.0090%であり、さらに好ましくは0.0085%であり、さらに好ましくは0.0080%である。
希土類元素:0.0100%以下
希土類元素(REM)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、REM含有量は0%であってもよい。REMは、ミッシュメタルとも呼ばれる。REMが含有される場合、つまりREM含有量が0%超である場合、REMは被削性を高める。REMが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、REM含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、REM含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのREM含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。REM含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
本明細書におけるREMとは、原子番号39番のイットリウム(Y)、ランタノイドである原子番号57番のランタン(La)〜原子番号71番のルテチウム(Lu)、及び、アクチノイドである原子番号89番のアクチニウム(Ac)〜原子番号103番のローレンシウム(Lr)からなる群から選択される1種又は2種以上の元素である。また、本明細書におけるREM含有量とは、これらの元素の合計含有量である。これらの元素の添加にあたっては、これらの元素が混在したミッシュメタルを用いても、何らその効果は変わるものでない。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Co、Se、Sb及びInからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、いずれも鋼材の脱炭を抑制する。
Co:0.0100%以下
コバルト(Co)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Co含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Coが0%超である場合、Coは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造時に機械構造用部品の脱炭を抑制する。Coが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Co含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、Co含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのCo含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Co含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
Se:0.0100%以下
セレン(Se)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Se含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Seが0%超である場合、Seは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造時に機械構造用部品の脱炭を抑制する。Seが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Se含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、Se含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのSe含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Se含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
Sb:0.0100%以下
アンチモン(Sb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Sb含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Sbが0%超である場合、Sbは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造時に機械構造用部品の脱炭を抑制する。Sbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Sb含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、Sb含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのSb含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。Sb含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
In:0.0100%以下
インジウム(In)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、In含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Inが0%超である場合、Inは、鋼材を素材とした機械構造用部品の製造工程中の熱間鍛造時に機械構造用部品の脱炭を抑制する。Inが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、In含有量が0.0100%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、熱間鍛造割れを発生させる。したがって、In含有量は0〜0.0100%であり、含有される場合、0.0100%以下、つまり、0超〜0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのIn含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。In含有量の好ましい上限は0.0090%であり、さらに好ましくは0.0080%であり、さらに好ましくは0.0070%である。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、Moを含有してもよい。
Mo:0.20%以下
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、つまり、Mo含有量が0%超である場合、Moは鋼の疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が0.20%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼材が硬くなりすぎて、熱間鍛造性が低下する。したがって、Mo含有量は0〜0.20%であり、含有される場合、0.20%以下、つまり、0超〜0.20%である。上記効果をさらに有効に得るためのMo含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%であり、さらに好ましくは0.10%である。Mo含有量の好ましい上限は0.19%であり、さらに好ましくは0.17%であり、さらに好ましくは0.15%である。
本実施形態による鋼材の化学組成はさらに、不純物として、Feの一部に代えて、Cu:0.05%以下、及び、Ni:0.05%以下からなる群から選択される1種以上を含有していてもよい。これらの元素含有量が上述の範囲内であれば、本実施形態による鋼材の効果は得られる。
Cu:0.05%以下
銅(Cu)は不純物であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。Cuは、Siと同様に、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。Cu含有量が0.05%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、Cu含有量は0.05%以下である。Cu含有量は0%でもよいため、Cu含有量は0〜0.05%であり、含有される場合、0.05%以下、つまり、0超〜0.05%である。Cu含有量の好ましい上限は0.04%であり、さらに好ましくは0.03%である。上述のとおり、Cu含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、Cu含有量の過剰な低減は製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、Cu含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。
Ni:0.05%以下
ニッケル(Ni)は不純物であり、含有されなくてもよい。つまり、Ni含有量は0%であってもよい。Niは、Si及びCuと同様に、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。Ni含有量が0.05%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。したがって、Ni含有量は0.05%以下である。Ni含有量は0%でもよいため、Ni含有量は0〜0.05%であり、含有される場合、0.05%以下、つまり、0超〜0.05%である。Ni含有量の好ましい上限は0.04%であり、さらに好ましくは0.03%である。上述のとおり、Ni含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、Ni含有量の過剰な低減は製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、Ni含有量の好ましい下限は0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。
[式(1)について]
上記化学組成ではさらに、式(1)を満たす。
80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr≦50.0 (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
fn1=80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Crと定義する。fn1は、鋼の融点に起因する溶融割れの指標である。C、Si、Mn、Cr、P及びSはいずれも、鋼の融点を低下する。鋼の融点が低下すれば、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる。fn1が50.0以下であれば、鋼の融点の低下が抑制され、溶融割れの発生が抑制される。fn1の好ましい上限は49.7であり、さらに好ましくは49.4であり、さらに好ましくは48.0である。
一方、fn1中のC、Si、Mn及びCrは、鋼の焼入れ性を高める。そのため、鋼の焼入れ性を高めるための好ましいfn1の下限は37.0であり、さらに好ましくは38.0であり、さらに好ましくは38.5である。
[式(2)について]
上記化学組成ではさらに、式(2)を満たす。
0.70≦C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.00 (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
fn2=C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65Vと定義する。fn2は、鋼の内部硬さの指標である。C、Si、Mn、Cr及びVは、熱間鍛造後の鋼材の内部硬さを高める。一方、Sは、内部硬さを低下する。fn2が0.70未満であれば、鋼材の内部硬さが低すぎ、疲労強度が低下する。一方、fn2が1.00を超えれば、内部硬さが高すぎ、被削性が低下する。したがって、fn2は0.70〜1.00である。fn2の好ましい下限は0.75であり、さらに好ましくは0.80であり、さらに好ましくは0.84である。fn2の好ましい上限は0.98であり、さらに好ましくは0.95であり、さらに好ましくは0.93である。
[微細Bi粒子について]
本実施形態の鋼材において、円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子(以下、単に微細Bi粒子ともいう)の個数密度は80〜8000個/mmである。円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmであれば、高周波焼入れ時の溶融割れの発生が抑制される。詳細を以下に説明する。
本明細書において、微細Bi粒子とは、円相当径が0.1〜1.0μmのBi粒子が単体で存在している微細Bi単体粒子を意味する。後述する微細Bi粒子の個数密度測定方法において、円相当径が0.1〜1.0μmであり、エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X−ray spectrometry:EDX)によりBiが検出されれば、微細Bi単体粒子と判断する。微細Bi単体粒子は、他の析出物及び/又は介在物に接触していてもよい。
上述のとおり、Biを適量含有することにより、高周波焼入れ時のオーステナイト(γ)粒の粗大化が抑制される。Biは微細な介在物として、γ粒界をピンニングする。Biの介在物が微細であれば、γ粒界のピンニング効果は高まる。そのため、高周波焼入れ時において、γ粒が微細に維持されれば、γ粒の粒界面積が増大する。粒界面積が増大すれば、粒界に偏析するCの濃度が減少する。その結果、溶融割れの発生が抑制される。円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子が80個/mm未満であれば、元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が8000個/mmを超えれば、上記効果が飽和し、さらに、製造コストが高くなる。したがって、円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度は80〜8000個/mmである。円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度の好ましい下限は90個/mmであり、さらに好ましい下限は100個/mmである。円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度の好ましい上限は7900個/mmであり、さらに好ましくは6000個/mmであり、さらに好ましくは3000個/mmであり、さらに好ましくは1000個/mmであり、さらに好ましくは900個/mmであり、さらに好ましくは800個/mmである。
[粗大Bi粒子について]
本実施形態の鋼材において、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子(以下、単に粗大Bi粒子ともいう)の個数密度は10個/mm以下である。円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm以下であれば、熱間鍛造時の割れを抑制することができる。詳細を以下に説明する。
本明細書において、粗大Bi粒子とは、円相当径が10μm以上のBi粒子が単体で存在している粗大Bi単体粒子を意味する。後述する粗大Bi粒子の個数密度測定方法において、円相当径が10μm以上であり、EDXによりBiが検出されれば、粗大Bi単体粒子と判断する。粗大Bi単体粒子は、他の析出物及び/又は介在物に接触していてもよい。
上述のとおり、Biを含有すれば、高周波焼入れ時の溶融割れが抑制される。しかしながら、高周波焼入れ時の溶融割れを抑制するために含有したBiは、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子を形成する場合がある。粗大Bi粒子は、熱間鍛造時の割れの起点となりやすい。そのため、粗大Bi粒子の個数密度が高すぎれば、熱間鍛造時に割れ(熱間鍛造割れ)が発生しやすい。したがって、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度は10個/mm以下である。円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度の好ましい上限は8個/mmであり、さらに好ましくは7個/mmであり、さらに好ましくは6個/mmであり、さらに好ましくは5個/mmである。円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度はなるべく低いほうが好ましい。すなわち、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度は0個/mmであることが好ましい。しかしながら、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度の過剰な低減は製造コストを引き上げる。したがって、通常の工業生産性を考慮すれば、円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度の好ましい下限は1個/mmであり、さらに好ましくは2個/mmである。
[粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度測定]
粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度は、次の方法で測定できる。鋼材の長手方向に対して垂直な断面のR/2位置(棒鋼の長手方向に垂直な断面における、棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)を再研磨して鏡面とする。鏡面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、1000倍の倍率でランダムに20視野(観察面)観察する。観察面は、100μm×120μmとする。
SEM観察により得られた反射電子像に基づいて、周知の画像解析式の粒子解析方法を用いて、粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度を調べる。具体的には、鋼材の母相と介在物及び/又は析出物との界面に基づいて、画像解析を行い、介在物及び/又は析出物の円相当径を算出する。ここで、円相当径とは、各介在物及び/又は析出物の面積を、同じ面積を有する円に換算した場合の円の直径を意味する。
得られた円相当径が0.1〜1.0μm又は10μm以上の介在物及び/又は析出物に対して、SEMに備えられたEDXを用いて、成分を分析する。本実施形態において、成分分析に用いるEDXのビーム径は1μmとする。EDXによりBiが検出された介在物は、Bi粒子であると判断する。
円相当径が0.1〜1.0μmであり、EDXによりBiが検出された介在物は、微細Bi粒子であると判断する。円相当径が10μm以上であり、EDXによりBiが検出された介在物は、粗大Bi粒子であると判断する。なお、Bi粒子において、最近接距離が100nm以下の2つ以上のBi粒子は、1つのBi粒子であると判断する。
上記の方法で微細Bi粒子及び粗大Bi粒子を特定する。各視野で特定された微細Bi粒子の総個数と、20視野の総面積(0.24mm)とに基づいて、微細Bi粒子の単位面積当たりの個数(個/mm)を求める。また、各視野で特定された粗大Bi粒子の総個数と、20視野の総面積(0.24mm)とに基づいて、粗大Bi粒子の単位面積当たりの個数(個/mm)を求める。
[製造方法]
本実施形態の鋼材の製造方法の一例は次のとおりである。本実施形態の鋼材の製造方法は、精錬工程と、鋳造工程と、熱間加工工程とを備える。
[精錬工程]
精錬工程では、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。精錬工程は、一次精錬工程と二次精錬工程とを含む。具体的には、一次精錬工程では、転炉を用いて溶銑に酸素を吹き付けて精錬を行う。二次精錬工程では、溶鋼の化学組成が、本実施形態の鋼材の化学組成の範囲内となるように、成分調整を行う。二次精錬工程では、最後にワイヤーにてBiを添加し、Biの成分調整を行う。
Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間は、15分超〜60分未満である。Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が60分以上の場合、Biが蒸発しやすくなる。そのため、溶鋼中のBi含有量が少なくなる。一方、Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間が15分以下の場合、溶鋼中でBiが十分に拡散しない。そのため、粗大Bi粒子が多くなりすぎる。したがって、二次精錬工程で、Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間は、15分超〜60分未満である。Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間の好ましい上限は50分であり、さらに好ましくは40分である。Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間の好ましい下限は20分であり、さらに好ましくは30分である。なお、Biを添加した後、二次精錬工程での攪拌終了までの溶鋼の温度は1510〜1560℃である。
[鋳造工程]
鋳造工程では、溶鋼を用いて、周知の鋳造方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法はたとえば、連続鋳造法や造塊法である。
[熱間加工工程]
熱間加工工程は、任意の工程である。つまり、熱間加工工程は実施してもよいし、実施しなくてもよい。熱間加工工程を実施する場合、熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、本実施形態の鋼材を製造する。本実施形態の鋼材はたとえば、棒鋼である。熱間加工工程はたとえば、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含む。粗圧延工程はたとえば、分塊圧延である。仕上げ圧延工程はたとえば、連続圧延機を用いた仕上げ圧延である。連続圧延機ではたとえば、一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。粗圧延工程及び仕上げ圧延工程での加熱温度はたとえば、1000〜1300℃である。
以上の製造工程により、上述の鋼材が製造される。なお、上述のとおり、本製造方法は熱間加工工程を省略してもよい。つまり、本実施形態の鋼材は、鋳造品(鋳片又はインゴット)であってもよい。
[機械構造用部品の製造方法]
本実施形態の鋼材を用いた機械構造用部品の製造方法の一例は次のとおりである。上述の鋼材(鋳片、インゴット、鋼片又は棒鋼)を熱間鍛造して、機械構造用部品(たとえばクランクシャフト)の粗形状の中間品を製造する。製造された中間品を大気中で放冷する。中間品を機械加工により所定の形状に切削する。切削後の中間品に対して、高周波焼入れを実施する。以上の工程により、機械構造用部品が製造される。
本実施形態の鋼材を用いて、機械構造用部品を製造する場合、熱間鍛造時の割れの発生が抑制される。さらに、高周波焼入れでは、求める硬化層深さに応じて加熱温度を調整する。硬化層深さを大きくする場合、加熱温度は高温になり、1350℃を超える場合もあり得る。本実施形態の鋼材を用いてクランクシャフトに代表される機械構造用部品を製造する場合、仮に、1350℃を超えるような高温で高周波焼入れを実施しても、溶融割れの発生が抑制される。さらに、本実施形態の鋼材を用いれば、熱間鍛造後の機械構造用部品において、硬さを調整でき、優れた疲労強度及び被削性が得られる。
実施例により本実施形態の鋼材の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態の鋼材の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。したがって、本実施形態の鋼材はこの一条件例に限定されない。
表1及び表2の化学組成を有する溶鋼を製造した。
Figure 2021155808
Figure 2021155808
表1及び表2中の「−」部分は、対応する元素含有量が検出限界未満であったことを意味する。上記溶鋼を用いて、70トン転炉を用いて、精錬工程(一次精錬工程、及び、二次精錬工程)を実施した。二次精錬工程でのBi添加後、二次精錬工程での攪拌終了までの時間(T(分))は、表1及び表2に示すとおりであった。連続鋳造法により300mm×400mmの横断面を有する鋳片(ブルーム)を製造した。この鋳片を加熱した後、鋳片を分塊圧延して、横断面が180mm×180mmのビレットを製造した。ビレットを1250℃に加熱した後、熱間鍛造して、直径80mmの棒鋼を製造した。
[粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度測定]
製造された棒鋼に対して、熱間鍛造後の冷却を模擬する熱処理を実施した。具体的には、棒鋼を1100℃に加熱して30分保持した。その後、棒鋼を大気中で放冷した。熱処理後の棒鋼の長手方向に対して垂直な断面のR/2位置(棒鋼の長手方向に垂直な断面における、棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)を再研磨して鏡面とした。鏡面をSEMを用いて、1000倍の倍率でランダムに20視野観察した。観察面は、100μm×120μmとした。
SEM観察により得られた反射電子像に基づいて、周知の画像解析式の粒子解析方法を用いて、粗大Bi粒子及び微細Bi粒子の個数密度を調べた。具体的には、鋼材の母相と介在物及び/又は析出物との界面に基づいて、画像解析を行い、介在物及び/又は析出物の円相当径を算出した。
得られた円相当径が0.1〜1.0μm又は10μm以上の介在物及び/又は析出物に対して、EDXを用いて、成分を分析した。本実施形態において、成分分析に用いるEDXのビーム径は1μmとした。EDXによりBiが検出された介在物は、Bi粒子であると判断した。
円相当径が0.1〜1.0μmであり、EDXによりBiが検出された介在物は、微細Bi粒子であると判断した。円相当径が10μm以上であり、EDXによりBiが検出された介在物は、粗大Bi粒子であると判断した。なお、Bi粒子において、最近接距離が100nm以下の2つ以上のBi粒子は、1つのBi粒子であると判断した。
上記の方法で微細Bi粒子及び粗大Bi粒子を特定した。各視野で特定された微細Bi粒子の総個数と、20視野の総面積(0.24mm)とに基づいて、微細Bi粒子の単位面積当たりの個数(個/mm)を求めた。また、各視野で特定された粗大Bi粒子の総個数と、20視野の総面積(0.24mm)とに基づいて、粗大Bi粒子の単位面積当たりの個数(個/mm)を求めた。粗大Bi粒子の個数密度の結果を表1及び表2の「粗大Bi粒子個数密度(個/mm)」欄に示す。微細Bi粒子の個数密度の結果を表1及び表2の「微細Bi粒子個数密度(個/mm)」欄に示す。
[溶融割れ評価試験]
製造された棒鋼の長手方向に対して垂直な断面のR/2位置(棒鋼の長手方向に垂直な断面における、棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)から、幅10mm、厚さ3mm、長さ10mmの試験片を機械加工により作製した。試験片の長さ方向は、棒鋼の長手方向と平行であった。また、試験片の長手方向に平行な中心軸が、R/2位置と一致した。
富士電波工機株式会社製の試験装置(商品名「熱サイクル試験装置」)を用いて、上記試験片に対して、高周波焼入れの模擬試験を実施した。具体的には、高周波コイルを用いて試験片を100℃/秒の昇温速度で1390℃まで加熱した。そして、試験片を1390℃で15秒間保持した。その後、試験片を水冷した。
水冷後の試験片の長手方向に対して垂直な断面(観察面)を機械研磨した。機械研磨後の観察面をピクラール試薬にて腐食した。腐食された観察面を400倍の光学顕微鏡で観察し、溶融割れの有無を目視で確認した。観察面は、250μm×400μmであった。
図2は、溶融割れが発生したミクロ組織写真画像(試験番号51)であり、図3は溶融割れが発生しなかったミクロ組織写真画像(正常組織:試験番号26)である。
観察面の組織において、粒界において5μm以上の幅で明瞭に腐食されている領域が観察される場合、溶融割れが発生したと判断した。粒界において5μm以上の幅で明瞭に腐食されている領域とは、たとえば、図2中の溶融割れ10のような領域を意味する。一方、図3のように、粒界に腐食領域が観察されない場合、溶融割れが発生しなかったと判断した。溶融割れの評価結果を表1及び表2の「溶融割れ」欄に示す。溶融割れが発生した場合を「×」とし、溶融割れが発生しなかった場合を「〇」とした。表1及び表2の「溶融割れ」欄の「−」部分は、溶融割れ評価試験を実施していないことを意味する。
[熱間鍛造割れ評価試験]
製造された棒鋼の表面を目視で観察した。目視での観察の結果、棒鋼の表面において棒鋼の長手方向1m当たり3箇所以上の明確な割れが観察される場合、熱間鍛造割れが発生したと判断した。目視での観察の結果、棒鋼の表面において棒鋼の長手方向1m当たり3箇所以上の明確な割れが観察されない場合、熱間鍛造割れが発生しなかったと判断した。熱間鍛造割れの評価結果を表1及び表2の「熱間鍛造割れ」欄に示す。熱間鍛造割れが発生した場合を「×」とし、熱間鍛造割れが発生しなかった場合を「〇」とした。
[被削性評価試験(ドリル寿命試験)]
各棒鋼から被削性評価用試験片を切り出した。具体的には、直径80mmの棒鋼の長手方向に対して垂直な断面の外表面から21mmの位置にドリル穿孔した。工具は株式会社不二越製 型番SD3.0のドリルを使用し、1回転当たりの送り量を0.25mm/rev、1穴の穿孔深さを9mmとした。潤滑剤は水溶性の切削油であった。上述の条件でドリル穿孔を行い、各棒鋼の被削性を評価した。評価指標は、最大切削速度VL1000(m/分)を用いた。最大切削速度VL1000とは、1000mm長の穴開けが可能なドリルの切削速度である。最大切削速度VL1000が15m/分以上の場合、被削性が高いと判断した。最大切削速度VL1000が15m/分未満の場合、被削性が低いと判断した。被削性評価の結果を表1及び表2の「被削性」欄に示す。被削性が高い場合を「〇」とし、被削性が低い場合を「×」とした。表1及び表2の「被削性」欄の「−」部分は、被削性評価試験を実施していないことを意味する。
[疲労強度評価試験(回転曲げ疲労試験)]
製造された棒鋼から、回転曲げ疲労試験片を採取した。図4は各棒鋼から採取した回転曲げ疲労試験片の模式図である。回転曲げ疲労試験片は、平行部の直径が8mm、掴み部の直径が12mmであった。回転曲げ疲労試験片の中心軸が棒鋼の中心軸と一致するように、回転曲げ疲労試験片を作成した。具体的には、旋盤加工により、棒鋼の表面から3.5mmの深さまで切削して、平行部を作成した。したがって、平行部の表面は、少なくとも、棒鋼の表面から深さ5mmの範囲内に相当した。つまり、回転曲げ疲労試験片は、中間品を切削した後のクランクシャフトを想定した。
回転曲げ疲労試験片の平行部には仕上げ研磨を実施し、表面粗さを調整した。具体的には、表面の中心線平均粗さ(Ra)を3.0μm以内とし、最大高さ(Rmax)を9.0μm以内にした。
仕上げ研磨を実施した回転曲げ疲労試験片を用いて、室温(23℃)、大気雰囲気にて、回転数3600rpmの両振りの条件で小野式回転曲げ疲労試験を行った。複数の試験片に対して加える応力を変えて疲労試験を実施し、10サイクル後に破断しなかった最も高い応力を疲労強度(MPa)とした。
得られた疲労強度が580MPa以上であれば、十分な疲労強度が得られると判断した。疲労強度評価の結果を表1及び表2の「疲労強度」欄に示す。疲労強度が580MPa以上の場合を「〇」とし、疲労強度が580MPa未満の場合を「×」とした。表1及び表2の「疲労強度」欄の「−」部分は、疲労強度評価試験を実施していないことを意味する。
[試験結果]
表1及び表2に試験結果を示す。表1及び表2を参照して、試験番号1〜45の鋼材は、化学組成が適切であり、かつ、式(1)及び式(2)を満たし、Bi添加後から攪拌終了までの時間も適切であった。そのため、各試験番号の鋼材は、粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm以下であり、微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmであった。そのため、溶融割れ及び熱間鍛造割れが発生しなかった。さらに、鋼材の最大切削速度VL1000は15m/分以上であり、鋼材の被削性は高かった。さらに、鋼材の疲労強度は580MPa以上であり、鋼材の疲労強度は高かった。
一方、試験番号46では、C含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号47では、C含有量が低すぎた。そのため、鋼材の疲労強度が低かった。
試験番号48では、Si含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号49では、Si含有量が低すぎた。そのため、鋼材の疲労強度が低かった。
試験番号50では、Mn含有量が高すぎた。そのため、鋼材の最大切削速度VL1000は15m/分未満であり、被削性が低かった。
試験番号51では、Mn含有量が低すぎた。そのため、熱間鍛造割れが発生した。
試験番号52では、P含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号53では、S含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号54では、S含有量が低すぎた。そのため、鋼材の最大切削速度VL1000は15m/分未満であり、被削性が低かった。
試験番号55では、Cr含有量が高すぎた。そのため、鋼材の最大切削速度VL1000は15m/分未満であり、被削性が低かった。
試験番号56では、Cr含有量が低すぎた。そのため、熱間鍛造割れが発生した。
試験番号57では、V含有量が低すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号58では、Bi含有量が高すぎた。そのため、粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm超であり、熱間鍛造割れが発生した。
試験番号59では、Bi含有量が低すぎた。そのため、微細Bi粒子の個数密度が80個/mm未満であり、溶融割れが発生した。
試験番号60では、N含有量が高すぎた。そのため、熱間鍛造割れが発生した。
試験番号61では、O含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。さらに、疲労強度が低かった。
試験番号62では、Cu含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号63では、Ni含有量が高すぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号64では、fn1が50.0超であった。すなわち、式(1)を満たさなかった。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号65では、fn2が1.00超であった。すなわち、式(2)を満たさなかった。そのため、鋼材の最大切削速度VL1000は15m/分未満であり、被削性が低かった。
試験番号66では、fn2が0.70未満であった。すなわち、式(2)を満たさなかった。そのため、鋼材の疲労強度が低かった。
試験番号67及び68では、Bi添加後から攪拌終了までの時間が15分以下であった。そのため、粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm超であり、熱間鍛造割れが発生した。
試験番号69では、Bi添加後から攪拌終了までの時間が15分以下であった。そのため、粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm超であり、さらに、微細Bi粒子の個数密度が80個/mm未満であった。その結果、熱間鍛造割れ及び溶融割れが発生した。
試験番号70及び71では、Bi添加後から攪拌終了までの時間が60分以上であった。そのため、Biが蒸発してしまい、Bi含有量が低すぎた。そのため、微細Bi粒子の個数密度が80個/mm未満であり、溶融割れが発生した。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を
実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
本実施形態の鋼材は、高周波焼入れされて製造される機械構造用部品用途に広く適用可能である。特に、熱間鍛造後に高周波焼入れされる機械構造用部品用途に好適である。
1 フィレットR部
2 クランクシャフトのエッジ部
10 溶融割れ

Claims (7)

  1. 鋼材であって、
    化学組成が、質量%で、
    C:0.35〜0.45%、
    Si:0.01〜0.70%、
    Mn:0.80〜1.50%、
    P:0.030%以下、
    S:0.010〜0.095%、
    Cr:0.10超〜0.30%、
    V:0.050〜0.200%、
    Bi:0.0020〜0.1000%、
    N:0.0040〜0.0200%、
    O:0.0024%以下、を含有し、
    残部はFe及び不純物からなり、式(1)及び式(2)を満たし、
    前記鋼材中において、
    円相当径が10μm以上の粗大Bi粒子の個数密度が10個/mm以下であり、
    円相当径が0.1〜1.0μmの微細Bi粒子の個数密度が80〜8000個/mmである、
    鋼材。
    80C+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr≦50.0 (1)
    0.70≦C+(Si/10)+(Mn/5)−(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V≦1.00 (2)
    ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 請求項1に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Al:0.040%以下、及び、
    Mg:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Ti:0.0200%以下、
    Nb:0.0200%以下、
    W:0.4000%以下、及び、
    Zr:0.2000%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Ca:0.0100%以下、
    Te:0.0100%以下、
    B:0.0050%以下、
    Sn:0.0100%以下、及び、
    希土類元素:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Co:0.0100%以下、
    Se:0.0100%以下、
    Sb:0.0100%以下、及び、
    In:0.0100%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Mo:0.20%以下を含有する、
    鋼材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼材であって、
    前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Cu:0.05%以下、及び、
    Ni:0.05%以下からなる群から選択される1種以上を含有する、
    鋼材。
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