JP4280923B2 - 浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材 - Google Patents

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本発明は、浸炭部品又は浸炭窒化部品の素材として好適な鋼材に関する。より詳しくは、大きい面疲労強度を有する歯車、プーリー、シャフトなどの浸炭部品又は浸炭窒化部品の素材として好適な鋼材に関する。
従来、自動車や各種産業機械の歯車、プーリー、シャフトなどの部品は、JIS規格のSCr420、SCM420及びSNCM420などの機械構造用合金鋼を素材として成形し、これに浸炭処理又は浸炭窒化処理を施した後焼入れし、次いで、200℃以下の温度で焼戻しを行い、更に、必要に応じてショットピーニング処理を施すことによって、それぞれの部品に応じた面疲労強度、曲げ疲労強度及び耐摩耗性など所要の特性が確保されていた。
近年、上記の各種浸炭部品や浸炭窒化部品には、例えば自動車の燃費向上やエンジンの高出力化が求められるに伴って、これに対応するための軽量化、小型化及び高応力負荷化の要望が極めて大きくなっている。
なお、部品の軽量化及び小型化、また、エンジンの高出力化が進むと、部品表面に繰り返しかかる応力が飛躍的に大きくなる。このため、上記の各種浸炭部品や浸炭窒化部品は、特に、大きな面疲労強度を有することが必要になる。更に、自動車や産業機械の歯車、プーリー、シャフトなどの部品が破損すると大事故につながるので、上記の各種部品は、安定して優れた特性を有することが強く望まれている。
従来、浸炭焼入れ材又は浸炭窒化焼入れ材の表層部に、マルテンサイト組織に比べて軟質なパーライト組織やベイナイト組織が生成すると、面疲労強度が大きく低下することが知られている。そして、上記のパーライト組織やベイナイト組織は、表層部に生成した粒界酸化層の近傍に生成することが多く、この原因は焼入れ性を高めるSi、MnやCrといった元素がFeよりも酸化されやすいために、浸炭処理又は浸炭窒化処理中に優先的に酸化されて、粒界酸化層の近傍にSi、Mn及びCrの欠乏層ができるためと考えられている。
そこで、特許文献1に、SiとVを複合添加することにより、曲げ疲労強度に加えて、耐摩耗性と面疲労強度に優れた歯車を得るのに好適な浸炭歯車用鋼が提案されている。
また、特許文献2に、熱間圧延後のNb(CN)とAlNの析出量、ベイナイトの組織分率及び熱間圧延方向に平行な断面の組織のフェライトバンドなどを規定した、「高温浸炭特性に優れた高温浸炭用鋼ならびに高温浸炭用熱間鍛造部材」が提案されている。この特許文献2で提案された技術は、浸炭部品の最表層領域における硬度低下が面疲労強度の低下を招くため、フェライトバンドの評点を指標としたミクロ偏析の低減並びに窒化物及び炭窒化物の析出量を規定することなどによって最表層領域における硬度低下を抑止し、これによって良好な面疲労強度を確保しようとするものである。
特開平7−126803号公報 特開2001−279383号公報
本発明の目的は、量産において安定して優れた面疲労強度を有する歯車、プーリー、シャフトなどの浸炭部品又は浸炭窒化部品の素材として好適な鋼材を提供することである。
前述の特許文献1及び特許文献2で開示された技術によれば、優れた曲げ疲労強度と耐摩耗性は得られるが、大きな面疲労強度は必ずしもを確保できるというわけではない。
すなわち、特許文献1で提案された技術は、偏析に対する考慮がなされていないので、大規模な量産の場合、面疲労強度が不安定になってしまう。また、酸素の含有量を0.0015%以下にして非金属系介在物を低減する配慮がなされているものの、介在物の大きさと形態については考慮されておらず、このため、量産品の面疲労強度は不安定である。
特許文献2で提案された技術は、微小な領域であっても最表層部に硬度の低い部分があると面疲労強度が低下するということについて十分に考慮されたものではないため、大規模な量産の場合、面疲労強度が不安定になってしまう。また、酸素とTiの含有量をそれぞれ、0.0025%以下及び0.01%以下にすることなど、非金属系介在物を低減する配慮がなされているものの、介在物の大きさと形態については考慮されておらず、このため、前記特許文献1の場合と同様に、量産品の面疲労強度は不安定である。
本発明者らは、上述のような問題点を解決するために、表層部におけるパーライト組織及びベイナイト組織の生成を安定して抑制することが可能な条件について、なかでも化学成分と偏析状況に関する条件について、種々調査・研究を重ねた。その結果、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)マルテンサイト組織中に存在するパーライト組織やベイナイト組織の大きさが、たとえ直径10μm程度な微小なものであっても、面疲労強度は大きく低下する。
(b)粒界酸化層を低減するにはSi、Mn及びCrの含有量を低減すればよい。しかしながら、Si、Mn及びCrの含有量を低減しても、粒界酸化層を完全になくすことはできず、また、Si、Mn及びCr含有量の低減による焼入れ性の低下とも相俟って、パーライト組織及びベイナイト組織が生成することも完全には抑制することはできない。
(c)パーライト組織及びベイナイト組織は粒界酸化層近傍の全ての部分に生じているのではなく、その一部分に生成している。そして、粒界酸化層の近傍でパーライト組織及びベイナイト組織が生成した部分は、粒界酸化層の近傍でマルテンサイト組織が生成した部分に比べて、Mn、Cr及びMoの濃度が低い。
(d)したがって、表層部におけるパーライト組織及びベイナイト組織の生成を安定且つ確実に抑制するためには、焼入れ性向上元素であるSi、Mn、Cr及びMoの素材における平均含有量を管理するだけでは不十分で、負偏析部で、且つ粒界酸化層によってSi、Mn及びCrの含有量が減少している領域においてもマルテンサイトが生成するために十分な量のSi、Mn、Cr及びMoを含有している必要がある。
また、本発明者らは表層部のパーライト組織及びベイナイト組織の生成を抑制した場合においても、面疲労強度が低い場合があったため、破壊した試験片を用いて調査・研究を重ねた。その結果、更に、下記(e)及び(f)の知見を得た。
(e)硬質の介在物である酸化物系介在物及びTiNは破壊の起点となる。このため、破壊の起点部には硬質の介在物である酸化物系介在物及びTiNが存在している場合が多い。一方、介在物としては硫化物も存在するが、これは軟質であるために破壊の起点とはならない。
(f)破壊の起点部で観察される介在物は、その長径が5〜30μmと様々な大きさのものである。しかし、破壊の起点部で観察される介在物の近傍には別の介在物が存在している場合が多く、たとえ個々の介在物が微細であっても、それらが群集することで破壊の起点になり得る。このため、個々の介在物を微細化するだけでは不十分で、介在物を群集させないことも必要である。
発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
本発明の要旨は、下記(1)及び(2)に示す鋼材にある。
(1)浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材であって、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.01〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Mo:0.1〜0.8%、Al:0.01〜0.05%及びN:0.008〜0.025%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、O(酸素)は0.002%以下、Pは0.025%以下で、且つ、鋼材断面において、下記(1)式で表されるAの値の最小値が13以上で、しかも、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さが30μm以下であることを特徴とする鋼材。
A=(1+0.681Si)(1+3.066Mn+0.329Mn2)(1+2.007Cr)(1+3.14Mo)・・・・・・・(1)、
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。また、介在物群とは、介在物同士の間隔が5μm以下である介在物を1つの群とみなしたものをいう。
(2)浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材であって、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.01〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Mo:0.1〜0.8%、Al:0.01〜0.05%及びN:0.008〜0.025%に加えて、更に、Nb:0.01〜0.08%及びV:0.02〜0.15%の1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、O(酸素)は0.002%以下、Pは0.025%以下で、且つ、鋼材断面において、下記(1)式で表されるAの値の最小値が15以上で、しかも、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さが30μm以下であることを特徴とする鋼材。
A=(1+0.681Si)(1+3.066Mn+0.329Mn2)(1+2.007Cr)(1+3.14Mo)・・・・・・・(1)、
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。また、介在物群とは、介在物同士の間隔が5μm以下である介在物を1つの群とみなしたものをいう。
た、鋼材とは棒鋼・線材等の素材、更には、必要に応じ鍛造・切削等を施して部品形状に加工されたものを指す。
以下、上記 (1)及び(2)の鋼材に係る発明を、それぞれ、「本発明(1)」及び「本発明(2)」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明(1)及び(2)の鋼材に浸炭処理又は浸炭窒化処理を施した後急冷した部品、或いは前記急冷後更に必要に応じて焼戻しを施した部品は、安定且つ良好な面疲労強度(以下、ピッチング強度という。)を有するので、自動車や産業機械の部品である歯車、プーリー、シャフトなどに用いることができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)鋼材の化学組成
C:0.1〜0.3%
Cは、浸炭処理又は浸炭窒化処理後に急冷を行った部品の芯部強度を確保するために必須の元素である。しかし、Cの含有量が0.1%未満では前記の効果が不十分である。一方、Cの含有量が0.3%を超えると、鋼材の切削加工性が大きく低下する。したがって、Cの含有量を0.1〜0.3%とした。
Si:0.3〜1.5%
Siは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果が、粒界酸化層の増加に及ぼす悪影響よりも大きいため、ピッチング強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.3%未満では前記の効果が不十分である。一方、Siの含有量が1.5%を超えると、ピッチング強度を高める効果が飽和するだけでなく、鋼材の切削加工性が大きく低下する。したがって、Siの含有量を0.3〜1.5%とした。なお、Siの含有量が0.5%以上になると、ピッチング強度の向上が顕著になる。このため、Siの含有量は、0.5〜1.5%とすることが望ましい。
Mn:0.2〜1.5%
Mnは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果が、粒界酸化層の増加に及ぼす悪影響よりも大きいため、ピッチング強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.2%未満では前記の効果が不十分である。一方、Mnの含有量が1.5%を超えると、ピッチング強度を高める効果が飽和するだけでなく、鋼材の切削加工性が大きく低下する。したがって、Mnの含有量を0.2〜1.5%とした。なお、Mnの含有量が0.4%以上になると、ピッチング強度の向上が顕著になる。このため、Mnの含有量は、0.4〜1.5%とすることが望ましい。
S:0.01〜0.05%
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、切削加工性を高める作用を有する。しかし、その含有量が0.01%未満では、前記の効果が得難い。一方、Sの含有量が多くなると、粗大なMnSを生成しやすくなってピッチング強度を低下させる傾向があり、特に、その含有量が0.05%を超えると、他の要件を満たしていても所望のピッチング強度(後述の実施例における2730MPa以上のピッチング強度)が得られない。したがって、Sの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Sの含有量は0.01〜0.03%とすることが好ましい。
Cr:0.5〜2.0%
Crは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果が、粒界酸化層の増加に及ぼす悪影響よりも大きいため、ピッチング強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.5%未満では前記の効果が不十分である。一方、Crの含有量が2.0%を超えると、ピッチング強度を高める効果が飽和するだけでなく、鋼材の切削加工性が著しく低下する。したがって、Crの含有量を0.5〜2.0%とした。なお、Crの含有量が1.2%以上になると、ピッチング強度の向上が顕著になる。このため、Crの含有量は、1.2〜2.0%とすることが望ましい。
Mo:0.1〜0.8%
Moは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果を有し、ピッチング強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.1%未満では前記の効果が不十分である。一方、Moの含有量が0.8%を超えると、ピッチング強度を高める効果が飽和するだけでなく、鋼材の切削加工性が著しく低下する。したがって、Moの含有量を0.1〜0.8%とした。なお、Moの含有量は0.1〜0.4%とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.05%
Alは、脱酸作用を有する元素である。また、Alは、Nと結合してAlNを形成しやすい元素である。そして、AlNは結晶粒微細化に有効で、ピッチング強度を高める効果がある。しかし、Alの含有量が0.01%未満では前記した効果は得難い。一方、Alは硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、Al含有量が0.05%を超えると、後述する介在物群の最大長さを観察面積1500mm2中で30μm以下にすることが困難になって、ピッチング強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望のピッチング強度(後述の実施例における2730MPa以上のピッチング強度)が得られなくなる。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Alの含有量は0.02〜0.04%とすることが好ましい。
N:0.008〜0.025%
Nは、Al、Nb、V及びTiと結合してAlN、NbN、VN及びTiNを形成しやすく、このなかで、AlN、NbN及びVNは結晶粒微細化に有効で、ピッチング強度を高める効果がある。しかし、Nの含有量が0.008%未満では前記の効果は得難い。一方、Nの含有量が0.025%を超えると、後述する介在物群の最大長さを観察面積1500mm2中で30μm以下にすることが困難になって、ピッチング強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望のピッチング強度(後述の実施例における2730MPa以上のピッチング強度)が得られなくなる。したがって、Nの含有量を0.008〜0.025%とした。なお、Nの含有量は0.011〜0.018%とすることが好ましい。
本発明においては、不純物元素としてのTi、O(酸素)及びPの含有量を下記のとおりに制限する。
Ti:0.005%以下
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、ピッチング強度を低下させてしまう。特に、Tiの含有量が0.005%を超えると、後述する介在物群の最大長さを観察面積1500mm2中で30μm以下にすることが困難になって、ピッチング強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望のピッチング強度(後述の実施例における2730MPa以上のピッチング強度)が得られなくなる。したがって、Tiの含有量を0.005%以下とした。なお、不純物元素としてのTiの含有量はできるだけ少なくすることが望ましく、原料および製鋼でのコストを考慮すると0.002%以下にすることが一層好ましい。
O(酸素):0.002%以下
Oは、Alと結合して硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、ピッチング強度を低下させてしまう。特に、Oの含有量が0.002%を超えると、後述する介在物群の最大長さを観察面積1500mm2中で30μm以下にすることが困難になって、ピッチング強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望のピッチング強度(後述の実施例における2730MPa以上のピッチング強度)が得られなくなる。なお、不純物元素としてのOの含有量はできる限り少なくすることが望ましく、製鋼でのコストを考慮すると、0.001%以下にすることが一層好ましい。
P:0.025%以下
Pは粒界に偏析して粒界を脆化させやすく、特に、その含有量が0.025%を超えると、粒界脆化が著しくなってピッチング強度の低下を招く。したがって、Pの含有量を0.025%以下とした。なお、Pの含有量は0.020%以下とすることが好ましい。
したがって、本発明(1)に係る鋼材の化学組成について、上述した範囲のCからNまでの元素を含み、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、Oは0.002%以下でPは0.025%以下であることと規定した。
なお、本発明に係る鋼材には、上記の成分に加え、必要に応じて、Nb:0.01〜0.08%及びV:0.02〜0.15%の1種以上を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
以下、上記任意添加元素としてのNb及びVに関して説明する。
Nb:0.01〜0.08%
Nbは、C又は/及びNと結合してNbC、NbN及びNb(C、N)を形成しやすい元素である。そして、NbC、NbN及びNb(C、N)は、前述したAlNによる結晶粒微細化を補完するのに有効で、ピッチング強度を高める効果がある。この効果を確実に得るには、Nbは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nbの含有量が0.08%を超えると、中心偏析部に粗大なNb(C、N)が生成しやすくなり、却ってピッチング強度が低下する。したがって、添加する場合のNbの含有量を0.01〜0.08%とした。なお、添加する場合の一層好ましいNbの含有量の範囲は0.02〜0.05%である。
V:0.02〜0.15%
Vは、C及びNと結合してVC及びVNを形成しやすい元素である。上記のうちで、VNは、前述したAlNによる結晶粒微細化を補完するのに有効で、ピッチング強度を高める効果がある。また、浸炭窒化時にVNが析出すると、ピッチング強度をより高める効果がある。これらの効果を確実に得るには、Vは0.02%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Vの含有量が0.15%を超えると、鋼材の切削加工性が大きく低下する。したがって、添加する場合のVの含有量を0.02〜0.15%とした。なお、添加する場合の一層好ましいVの含有量の範囲は0.04〜0.10%である。
上記の理由から、本発明(2)に係る鋼材の化学組成について、本発明(1)における鋼材の化学組成に、更に、Nb:0.01〜0.08%及びV:0.02〜0.15%の1種以上を含有することと規定した。
(B)断面における合金元素
本発明(1)及び本発明(2)に係る鋼材は、鋼材断面において、前記(1)式で表されるAの値の最小値をそれぞれ、13以上及び15以上とする必要がある。
上記の規定は、本発明者らが行った次の実験結果に基づくものである。
すなわち、本発明者らは、表1に示す鋼A〜Dを150kg真空溶解炉で溶解した後、鋳型に鋳鉄を用いてインゴットに鋳造した。なお、溶解の際、不純物元素が十分低減するように原料の選定に十分注意を払った。
次いで、上記の各インゴットを1150℃で30分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように熱間鍛造して、直径35mmの棒鋼を作製した。
このようにして得た各棒鋼を、5個ずつに分割し、表2に示す条件で熱処理を行って室温まで放冷した。その後更に、925℃×1時間の加熱保持を行い、次いで、室温まで放冷した。
上記の熱処理を行った直径35mmの各供試材から切り出した試験片について、鍛錬軸に平行に中心線をとおって切断した断面を鏡面研磨し、図1に示す位置で、鍛錬軸に垂直な方向に、Si、Mn、Cr及びMoの各元素についてEPMAを用いて線分析を行った。なお、Cも偏析しやすい元素として知られているが、オーステナイト域に加熱すると容易且つ均一に拡散するため、Cの測定は行わなかった。なお、EPMAによる線分析は、ビーム直径を1μm、走査速度を200μm/分とした。
EPMAでの測定結果から、Si、Mn、Cr及びMoのそれぞれの含有量が最も低かった位置について、Si、Mn、Cr及びMoの含有量を数値化した。ここで、Si、Mn、Cr及びMoの偏析傾向は同じであるため、Si、Mn、Cr及びMoのそれぞれの含有量が最も低かった位置についてSi、Mn、Cr及びMoの含有量を数値化しておけば、前記(1)式で表されるAの最小値として評価することができる。
なお、焼入れ性は、例えば、井上毅の第131・132回西山記念講座「鉄鋼材料の材質予測・制御技術の現状と将来」、第215〜217ページ(日本鉄鋼協会編、平成元年9月25日発行)に示されるように、C及びその他の合金元素の含有量並びにオーステナイト結晶粒度から見積もることができる。なお、本発明の目指すピッチング強度の向上のためには、浸炭処理又は浸炭窒化処理した表層部の焼入れ性が重要な意味を持つ。そして、浸炭処理又は浸炭窒化処理した場合、表層部の一般的なC含有量は0.8%程度であることが多く、また、そのオーステナイト結晶粒度は、NbとVのいずれをも含有しない場合には粒度番号9程度、Nb及びVの1種以上を含有する場合には粒度番号11程度であることが多いので、Nb及びVを含まない鋼と、NbとVの1種以上を含む鋼とを区別すれば、Si、Mn、Cr及びMoの含有量から焼入れ性を評価することができる。そこで、前記井上の「鉄鋼材料の材質予測・制御技術の現状と将来」に基づいて、焼入れ性の評価基準として、本発明者らは、前記(1)式の値、つまりAの値を採用した。
表3に、各試験片について、前記(1)式で表されるAの最小値並びに、その値に対応するSi、Mn、Cr及びMoの含有量を示す。
また、表2に示す条件で熱処理した直径35mmの各供試材から、図2に示すようにして直径が26mmで厚さが15mmの試験片を採取し、図3(a)に示す条件でガス浸炭処理することも行った。なお、図3(a)における「CP」はカーボンポテンシャルを意味する。
上記のガス浸炭処理を行った各試験片について、鍛錬軸に平行な中心線をとおって切断した断面を鏡面研磨した後ナイタールで腐食し、次いで、図4に示すように、表層から200μmの領域をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、ベイナイト組織とパーライト組織の存在の有無を調査した。
表3に、上記のベイナイト組織とパーライト組織の存在に関する調査結果を示す。また、図5に、上記の調査結果を前記(1)式で表されるAの最小値で整理して示す。ここで、表3の「熱処理の条件No.」欄における数字は表2に対応するものである。また、「パーライト組織、ベイナイト組織」欄における「無し」及び「有り」は、それぞれ、「ベイナイト組織とパーライト組織の双方が存在しないこと」及び「ベイナイト組織とパーライト組織のいずれか一方または双方が存在すること」を意味する。更に、図5における「○:パーライト、ベイナイト無し」及び「×:パーライト、ベイナイト有り」も、それぞれ、「ベイナイト組織とパーライト組織の双方が存在しないこと」及び「ベイナイト組織とパーライト組織のいずれか一方または双方が存在すること」を意味する。なお、図5においては、Nb及びVを含まない場合を「Nb、V無し」と表記し、また、NbとVの1種以上を含む場合を「Nb、V有り」と表記した。なお、前記(1)式で表されるAの最小値は、表3においては、「(1)式で表されるAの値」と表記し、また、図5においては単に「A値」と表記した。
上記の表3及び図5から、Nb及びVを含まない場合、前記(1)式で表されるAの値の最小値が13以上であればベイナイト組織とパーライト組織の双方が存在せず、一方、Nb及びVの1種以上を含む場合、前記(1)式で表されるAの値の最小値が15以上であればベイナイト組織とパーライト組織の双方が存在しないことが明らかである。
したがって、本発明(1)及び本発明(2)に係る鋼材は、鋼材断面において、前記(1)式で表されるAの値の最小値をそれぞれ、13以上及び15以上と規定した。
ここで、鋼材断面とは、棒鋼、線材の場合、望ましくは圧延方向又は鍛錬軸に平行に中心線をとおって切断した断面であり、鋼材が部品形状の場合は、表層部分〜表層から15mmの範囲の断面が望ましい。
なお、鋼材断面における前記(1)式で表されるAの値には、鋼の平均組成、凝固速度及び凝固形態などが影響する。また、製鋼の設備によっても影響を受ける。
このため、鋼材断面における前記(1)式で表されるAの値の最小値を13以上又は15以上にするためには、次のような方法を採用すればよい。
すなわち、鋼材断面におけるA値の最小値を13以上にするためには、例えば、連続鋳造で400mm×300mm角という大断面のブルームを製造する場合、先ず、鋼の平均組成を前記(1)式で表されるAの値が20以上となるように溶製する。そして、溶鋼の電磁攪拌を十分に行ってから連続鋳造し、更に、ブルームに1200〜1280℃で8時間以上の均質化熱処理を行い、そのブルームを一辺が200mm以下のビレットにした後、ビレットを1200〜1280℃で2時間以上加熱してから圧延仕上げ温度が850〜1000℃になるように熱間圧延すればよい。
また、鋼材断面におけるA値の最小値を15以上にするためには、例えば、連続鋳造で400mm×300mm角という大断面のブルームを製造する場合、先ず、鋼の平均組成を前記(1)式で表されるAの値が23以上となるように溶製する。そして、溶鋼の電磁攪拌を十分に行ってから連続鋳造し、更に、ブルームに1200〜1280℃で8時間以上の均質化熱処理を行い、そのブルームを一辺が200mm以下のビレットにした後、ビレットを1200〜1280℃で2時間以上加熱してから圧延仕上げ温度が850〜1000℃になるように熱間圧延すればよい。
(C)介在物群の最大長さ
本発明(1)及び本発明(2)に係る鋼材は、鋼材断面において、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さを30μm以下とする必要がある。
上記の規定は、本発明者らが行った次の実験結果に基づくものである。
すなわち、本発明者らは、表4に示す鋼E〜Hを150kg真空溶解炉にて溶製し、インゴットに鋳造した。なお、鋼E〜Gについては、鋳型に鋳鉄を用い(以後、鋳鉄の鋳型を「通常鋳型」という。)、鋼Hについては、凝固速度を遅くするために、シリカ鋳型を用いた。
また、表4に示す鋼I〜Lを30kg真空溶解炉にて溶製し、通常鋳型を用いてインゴットに鋳造した。このうち鋼Lについては、鋳型に耐火物が損傷しているものを用い、意図的に耐火物が混入するようにした。
更に、表4に示す鋼M及び鋼Nを、70t(トン)転炉で溶解し、連続鋳造によって400mm×300mm角のブルームを製造した。鋼Mについては、二次精錬でRH真空脱ガス処理を長時間実施し、更に、溶鋼の電磁攪拌を十分に行った。一方、鋼Nは二次精錬でVAD処理(真空アーク脱ガス処理)を実施し、更に、溶鋼の電磁攪拌を弱めて行った。
鋼E〜Lについては、インゴットを1150℃で30分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように熱間鍛造して、直径35mmの棒鋼を作製した。これらの各棒鋼を1250℃で12時間保持してから室温まで放冷し、その後更に、925℃×1時間の加熱保持を行い、次いで、室温まで放冷した。
鋼M及び鋼Nについては、400mm×300mm角のブルームを1250℃で12時間均質化熱処理を行った後、分塊圧延して180mm×180mmの角ビレットにし、このビレットを1250℃で2時間加熱した後、900〜950℃の圧延仕上げ温度で、直径が35mmの棒鋼に熱間圧延した。
このようにして得た鋼E〜Nの直径35mmの各棒鋼から切り出した試験片について、圧延方向又は鍛錬軸に平行に中心線をとおって切断した断面を鏡面研磨し、光学顕微鏡を用いて介在物の測定を行った。
なお、上記の光学顕微鏡による観察は、10mm×10mmの範囲毎に行い、介在物群の最大長さ及び個々の介在物の最大長さを測定した。各試料についてこの測定を15視野ずつ実施し、測定面積1500mm2中での介在物群の最大長さ及び個々の介在物の最大長さを決定した。なお、介在物群とは、介在物同士の間隔が5μm以下である介在物を1つの群とみなしたものを指す。
上記の調査において、硫化物は測定の対象から除外した。その理由は、これまでの調査から、破壊の起点には硫化物が検出されていないためである。また、光学顕微鏡による観察では、介在物の最大長さが2μm以下のものは判別が難しいため、これも測定の対象から除外した。なお、硫化物は光学顕微鏡観察で灰色を呈するため、容易に他の介在物と区別することができる。
また、ローラーピッチング試験も行った。
すなわち、上述の方法で作製した鋼E〜Nの直径35mmの各棒鋼から、直径が26mmのローラーピッチング試験で用いる小ローラーを採取し、前記図3(a)に示す条件で浸炭焼入れを行い、次いで図3(b)に示す条件で焼戻しを行った。
ローラーピッチング試験に用いる大ローラーは、JIS規格のSUJ2鋼を用い、一般的な工程、すなわち通常の「球状化焼鈍→試験片加工→焼入れ→焼戻し→研磨」の工程で作製した。ここで、上記大ローラーは、直径が130mmで、クラウニングを100mmRのものとした。
上記のようにして作製した小ローラーと大ローラーを用い、表5に示す条件でローラーピッチング試験を行った。
試験数は各7個とし、縦軸に面圧を、横軸に破壊までの繰り返し数をとったS−N線図を作成し、繰り返し数1.0×107回での面圧をピッチング強度とした。
なお、鋼Eの化学成分は、一般的に用いられるJIS規格のSCr420鋼に相当するため、鋼Eのピッチング強度である1950MPaを基準とし、これを40%以上上回ることを目標とした。
表6に、鋼E〜Nについての前記各調査の結果、すなわち、介在物群の最大長さ、個々の介在物の最大長さ及びピッチング強度を示す。なお、表6おいては、個々の介在物の最大長さを「介在物最大長さ」と表記し、介在物群の最大長さを「介在物群最大長さ」と表記した。
図6に介在物群の最大長さ(図6中では「介在物群最大長さ」と表記)とローラーピッチング試験でのピッチング強度との関係を示す。また、図7に個々の介在物の最大長さ(図7中では「介在物最大長さ」と表記)とローラーピッチング試験でのピッチング強度との関係を示す。
図6及び図7からわかるように、個々の介在物の最大長さよりも、介在物群の最大長さの方がピッチング強度との相関が強く、介在物群の最大長さが30μm以下であれば、ピッチング強度が大きく向上し、前記の目標値を満足する。
したがって、本発明(1)及び本発明(2)に係る鋼材は、鋼材断面において、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さを30μm以下と規定した。
ここで、鋼材断面とは、棒鋼、線材の場合、望ましくは圧延方向又は鍛錬軸に平行に中心線をとおって切断した断面であり、鋼材が部品形状の場合は、表層部分〜表層から15mmの範囲の断面が望ましい。
なお、介在物の大きさ及び分布には、介在物の組成、凝固速度及び凝固偏析などが影響する。また、製鋼設備によっても影響を受ける。
このため、鋼材断面において、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さを30μm以下とするためには、次のような方法を採用すればよい。例えば、
(a)鋼中の含有量を、Alは0.05%以下、Oは0.002%以下、Tiは0.003%以下及びNは0.025%以下にすること。
(b)取鍋、タンディッシュ等の耐火物の溶損や鋳造時のスラグ及びパウダーの巻き込みを防止すること。
(c)鋳造をインゴットで行う場合には、小型の鋳型を用い、鋳型の材質に熱伝導のよいものを用いること。なお、実施例などに用いた30kgインゴットの場合には、上記の(a)及び(b)を満たし、且つ鋳型の材質に熱伝導のよいものを用いれば、目標とする介在物群の最大長さが得られる。
(d)一方、例えば、連続鋳造で400mm×300mm角という大断面のブルームを製造し、それから棒鋼又は線材を製造する場合、先ず、鋼中の含有量をAlは0.04%以下、Oは0.001%以下、Tiは0.002%以下及びNは0.018%以下にしてから、二次精錬でRH真空脱ガス処理を長時間実施し、また、溶鋼の電磁攪拌を十分に行い、更に、総鍛錬比、つまり「ブルームの断面積/棒鋼又は線材の断面積」が40以上となるように加工すればよい。
表7に示す化学組成を有する鋼a〜pを溶解した。
上記の鋼のうち、鋼a〜cは150kg真空溶解炉にて溶製し、通常鋳型を用いてインゴットに鋳造した。なお、鋼cについては、鋳型に耐火物が損傷しているものを用い、意図的に耐火物が混入するようにした。
また、鋼d〜nは30kg真空溶解炉にて溶製し、インゴットに鋳造した。なお、鋼d〜mについては通常鋳型を用い、鋼nについては、凝固速度を遅くするために、シリカ鋳型を用いた。
更に、鋼o及び鋼pは、70t(トン)転炉で溶解し、連続鋳造によって400mm×300mm角のブルームを製造した。鋼oについては、二次精錬でRH真空脱ガス処理を長時間実施し、更に、溶鋼の電磁攪拌を十分に行った。一方、鋼pは二次精錬でVAD処理(真空アーク脱ガス処理)を実施し、更に、溶鋼の電磁攪拌を弱めて行った。
上記のようにして得たインゴットとブルームについて次に示す処理を行った。
先ず、鋼a〜cのインゴットは、1150℃で30分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように熱間鍛造して、直径35mmの棒鋼を作製した。これらの各棒鋼を、5個ずつに分割し、前記表2に示す条件(No.1〜5)で熱処理を行って室温まで放冷した。その後更に、925℃×1時間の加熱保持を行い、次いで、室温まで放冷した。
また、鋼d〜nのインゴットは、1150℃で30分加熱した後、仕上げ温度が950℃以上となるように熱間鍛造して、直径35mmの棒鋼を作製した。これらの各棒鋼に表2の条件No.2の熱処理を行って室温まで放冷した。その後更に、925℃×1時間の加熱保持を行い、次いで、室温まで放冷した。
鋼oのブルームは、表2の条件No.2の熱処理を行って室温まで放冷した後、分塊圧延して180mm×180mmの角のビレットにした。次いで、このビレットを1250℃で2時間加熱した後、900〜950℃の圧延仕上げ温度で、直径が35mmの棒鋼に熱間圧延した。
更に、鋼pのブルームは、表2の条件No.4の熱処理を行って室温まで放冷した後、分塊圧延して180mm×180mmの角のビレットにした。次いで、このビレットを1150℃で1時間加熱した後、900〜950℃の圧延仕上げ温度で、直径が35mmの棒鋼に熱間圧延した。
このようにして得た鋼a〜pの直径35mmの各棒鋼から切り出した試験片について、圧延方向又は鍛錬軸に平行に中心線をとおって切断した断面を鏡面研磨し、光学顕微鏡を用いて介在物の測定を行った。
なお、上記の光学顕微鏡による観察は、10mm×10mmの範囲毎に行い、その範囲内の介在物群の最大長さを測定した。各試料についてこの測定を15視野ずつ実施し、測定面積1500mm2中での介在物群の最大長さを決定した。なお、上記の調査において、硫化物は測定の対象から除外した。
また、上記の鏡面研磨した面で、Si、Mn、Cr及びMoの各元素についてEPMAを用いた線分析を行った。このEPMAによる線分析は、ビーム直径を1μm、走査速度を200μm/分として実施した。
更に、ローラーピッチング試験も行った。
すなわち、上述の方法で作製した鋼a〜pの直径35mmの各棒鋼から、直径が26mmのローラーピッチング試験で用いる小ローラーを採取し、記表8、及び図8に示す条件で浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後急冷し、160℃で2時間保持後、放冷する条件で焼戻しを行った。
ローラーピッチング試験に用いる大ローラーは、JIS規格のSUJ2鋼を用い、一般的な工程、すなわち通常の「球状化焼鈍→試験片加工→焼入れ→焼戻し→研磨」の工程で作製した。ここで、上記大ローラーは、直径が130mmで、クラウニングを100mmRのものとした。
上記のようにして作製した小ローラーと大ローラーを用い、前記表5に示した条件でローラーピッチング試験を行った。
なお、試験数は各7個とし、縦軸に面圧を、横軸に破壊までの繰り返し数をとったS−N線図を作成し、繰り返し数1.0×107回での面圧をピッチング強度とした。
なお、ピッチング強度の目標は、JIS規格のSCr420鋼に相当する前述の鋼Eのピッチング強度である1950MPaを40%以上上回ること、つまり、2730MPaを上回ること、とした。
表9及び表10に、上記の各試験結果を示す。なお、表9及び表10の「均質化処理条件」欄における番号は表2の処理条件No.に対応するものである。また、「浸炭(窒化)処理条件」欄の番号は表の処理番号に対応するものである。なお、前記(1)式で表されるAの最小値は、表9及び表10においては、「(1)式で表されるAの値」と表記した。
表9及び表10から、本発明で規定する条件から外れた試験番号の場合には、ローラーピッチング試験におけるピッチング強度は2730MPaに達しない低いものであることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件を満たす試験番号の場合には、ローラーピッチング試験におけるピッチング強度は目標とする2730MPaを超える大きな値であることが明らかである。
本発明(1)及び(2)の鋼材に浸炭処理又は浸炭窒化処理を施した後急冷した部品、或いは前記急冷後更に必要に応じて焼戻しを施した部品は、安定且つ良好なピッチング強度を有するので、自動車や産業機械の部品である歯車、プーリー、シャフトなどに用いることができる。
Si、Mn、Cr及びMoの各元素についてEPMAを用いて線分析を行った位置を示す図である。 直径35mmの供試材から、直径が26mmで厚さが15mmの試験片を採取する状況を説明する図である。 (a)はガス浸炭処理とその後の冷却の条件を説明する図、また、(b)は焼戻しの条件を説明する図である。 SEMを用いた表層から200μmの領域の組織調査を説明する図である。 前記(1)式で表されるAの最小値(図では「A値」と表記)とNb及びVの含有とが、表層から200μmの領域をSEM観察した場合のベイナイト組織とパーライト組織の存在の有無に及ぼす影響について示す図である。 介在物群の最大長さ(図では「介在物群最大長さ」と表記)とローラーピッチング試験でのピッチング強度との関係を示す図である。 個々の介在物の最大長さ(図では「介在物最大長さ」と表記)とローラーピッチング試験でのピッチング強度との関係を示す図である。 浸炭処理又は浸炭窒化処理とその後の急冷を2回行う方法を説明する図である。

Claims (2)

  1. 浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材であって、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.01〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Mo:0.1〜0.8%、Al:0.01〜0.05%及びN:0.008〜0.025%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、O(酸素)は0.002%以下、Pは0.025%以下で、且つ、鋼材断面において、下記(1)式で表されるAの値の最小値が13以上で、しかも、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さが30μm以下であることを特徴とする鋼材。
    A=(1+0.681Si)(1+3.066Mn+0.329Mn2)(1+2.007Cr)(1+3.14Mo)・・・・・・・(1)
    ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。また、介在物群とは、介在物同士の間隔が5μm以下である介在物を1つの群とみなしたものをいう。
  2. 浸炭部品又は浸炭窒化部品用の鋼材であって、質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:0.3〜1.5%、Mn:0.2〜1.5%、S:0.01〜0.05%、Cr:0.5〜2.0%、Mo:0.1〜0.8%、Al:0.01〜0.05%及びN:0.008〜0.025%に加えて、更に、Nb:0.01〜0.08%及びV:0.02〜0.15%の1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、O(酸素)は0.002%以下、Pは0.025%以下で、且つ、鋼材断面において、下記(1)式で表されるAの値の最小値が15以上で、しかも、断面積1500mm2中での硫化物を除く介在物群の最大長さが30μm以下であることを特徴とする鋼材。
    A=(1+0.681Si)(1+3.066Mn+0.329Mn2)(1+2.007Cr)(1+3.14Mo)・・・・・・・(1)
    ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。また、介在物群とは、介在物同士の間隔が5μm以下である介在物を1つの群とみなしたものをいう。
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