JP3742580B2 - 自動蓄尿検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、病院などの医療機関に設けられる自動蓄尿検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄尿検査は、患者の水分の代謝の観察や尿中成分の定量を行うための手法として用いられるが、近時、大きな病院においては、入院患者の蓄尿検査を行うために、複数の病室のそれぞれに簡易便器および測定端末としての自動蓄尿検査装置を設置するとともに、ナースセンターなどの看護婦詰所にデータ管理機を設け、このデータ管理機と各病室に設けられた自動蓄尿検査装置とをLANを用いるなどしてネットワークを構成した蓄尿管理システムが導入されるようになってきている。
【0003】
上記自動蓄尿検査装置においては、患者自らが自分の排出した尿を採尿容器に採取し、この採尿容器を自動蓄尿検査装置の尿サンプリング部にセットすることにより、採尿容器内の尿の量(体積)やその比重が測定され、その測定結果は、自動蓄尿検査装置内のメモリに患者別に記録されるとともに、中央データ管理装置としてのデータ管理機に送られ、このデータ管理機のメモリ内に記録されるようになっている。また、前記採尿容器内の尿は、適宜分注されて成分検査などに供される。
【0004】
ところで、上記自動蓄尿検査装置においては、採取された尿の量を測定したりその尿の比重を測定するために、容器セット部の上方に、この容器セット部に載置される採尿容器に対して接近・離間自在にノズルを設け、このノズルによって、採尿容器内の尿の液面高さを検出するとともに前記尿の一部または全部を吸引して比重計に供給し、比重測定後の尿を採尿容器内に吐出させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記尿の液面高さの検出は、前記ノズルに電極機能をもたせ、導電率の変化または静電容量の変化に基づいて検出されるが、電極であるノズルの先端と尿の液面との間に気泡が僅かでも存在すると、液面位置を正しく検出することが困難になるとともに、気泡と尿とが電気的に同じ性質を有しているところから、気泡を液面であると誤検出するおそれがあり、そのため、液面高さの測定結果に誤差が生じ、尿量の測定値に誤差が生ずる場合がある。前記気泡の発生は、採尿後、採尿容器を持ち運びする際にも生ずるが、糖尿病などある種の病気の患者から排出される尿には、気泡が生ずることが多い。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、気泡が生じている尿における液面高さを精度よく測定することができ、所望の尿検査を確実に行うことができる自動蓄尿検査装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1発明は、容器セット部に載置された採尿容器に対して接近・離間自在に設けられ、前記採尿容器内の尿の液面高さを検出するとともに前記尿の一部または全部を吸引または吐出するためのノズルを一端に有する尿サンプリング流路を備えた自動蓄尿検査装置において、前記尿サンプリング流路に尿の比重を測定する比重計を設け、前記尿液面の高さ検出に際して、前記比重計による測定結果に基づいて前記ノズルの前記尿液面への到達の有無を判別するようにしたことを特徴としている(請求項1)。
【0008】
上記自動蓄尿検査装置においては、ノズルが尿液面に到達していないときは、比重計によって得られる比重の測定値は異常値となる。つまり、比重計は、例えばエラーを出力する。逆に、ノズルが尿液面に到達しているときは、前記測定値は正常値となる。したがって、前記比重計の測定結果に基づいてノズルの尿液面への到達の有無を確実に判別することができる。
【0009】
また、上記目的を達成するため、第2発明は、容器セット部に載置された採尿容器に対して接近・離間自在に設けられ、前記採尿容器内の尿の液面高さを検出するとともに前記尿の一部または全部を吸引または吐出するためのノズルを一端に有する尿サンプリング流路を備えた自動蓄尿検査装置において、前記尿サンプリング流路に尿の比重を測定する比重計を設け、前記尿液面の高さ検出制御が、前記ノズルをその先端部が気泡に接触する位置から予め設定された位置まで下降させ、ノズルによって尿を所定量吸引するステップと、比重計において比重測定するステップと、比重計による測定値が正常値であるときはノズル先端部が尿液面に到達したと判断するステップとを有し、前記測定値が異常値であるときはノズルを所定間隔ずつ降下させて前記各ステップを繰り返すものであることを特徴としている(請求項2)。
【0010】
上記自動蓄尿検査装置においては、比重計による測定結果に基づいてノズル先端部の尿液面への到達の有無を判別するようにして、尿液面を確実に検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の第1の実施の形態を示す。まず、図1および図2は、この発明の自動蓄尿検査装置の一例を示す図で、これらの図において、1は例えば病室内の適宜の箇所に設置される自動蓄尿検査装置で、この実施の形態では、測定を行う装置本体2と採尿容器洗浄装置3とからなる。すなわち、4は適宜の素材よりなるケースで、その内部は仕切り板5,6によって3つの空間4a,4b,4cに区画されており、上二つの空間4a,4bには装置本体2が設けられ、最下段の空間4cには採尿容器洗浄装置3が設けられている。
【0012】
まず、装置本体2の構成を説明すると、上方の空間4aには、前面がパネル7で覆われて防湿構造に形成されている尿測定部8が設けられ、下方の空間4bには、前面が外部に開放された尿サンプリング部9が設けられている。
【0013】
そして、尿サンプリング部9における構成を説明すると、底板を兼ねた仕切り板6には、例えば内部が筒状の採尿容器10をセットするための容器セット部11が形成され、その近傍には採尿容器10を検出するための容器検出センサ12が設けられている。また、13は採取された尿23を区分して収容するための複数の分注カセットである。そして、14は尿サンプリング部9内の上方に設けられる回転アームで、尿測定部8内に設けられたモータ15によって回転駆動され、仕切り板5に形成された小孔5aを挿通して下方に垂直方向に延びる回転軸16の下端部に固着されており、両矢印17で示す方向に回転する。前記回転軸16は、尿測定部8内に設けられた別のモータ18によって上下動する上下動駆動機構19によって両矢印20で示す上下方向に移動できるようにも構成されている。したがって、回転アーム14は、水平方向において回転しかつ上下方向に直線移動する。なお、前記モータ15,18には例えばロータリエンコーダがそれぞれ付設されており、回転アーム14の水平および上下方向の移動量を把握できるようにしてある。
【0014】
そして、27は尿サンプリング部9および尿測定部8に跨がって設けられる尿サンプリング流路であり、その一端(上流側)には、採尿容器10内の尿22の液面22a(図2参照)を検知する機能をも有するノズル23を備えている。このノズル23は、尿サンプリング部9内の容器セット部11の上方に設けられ、この実施の形態においては、導電率の変化に基づいて液面検知を行うものよりなり、図2に拡大して示すように、一方の電極としても機能するパイプ状ノズル本体23aとこれに平行な状態に設けられ、他方の電極となる棒体23bとからなる。このノズル23は、水平方向において回転しかつ上下方向において直線移動する回転アーム14の先端側(遊端側)において保持ブロック24によって保持され、回転アーム14の動きに伴って同様に回転および/または上下動する。なお、ノズル23によって得られる信号は、小孔5aを挿通する信号線(図示していない)を介してマイクロコンピュータ(後述する)に送られるようにしてある。
【0015】
また、25は容器セット部11を照明するための照明灯、26は尿サンプリング部9の上方に設けられる表示灯である。
【0016】
次に、前記尿測定部8における構成を説明すると、27は前記ノズル本体23aの上端側に接続される可撓性の連結管(尿サンプリング流路21の一部を構成する)で、途中で回転軸16に係止され、その上端側は仕切り板5に形成された小孔5aを挿通して比重計28の下端に接続されている。この比重計28の上端(下流側)には、可撓性の連結管29(尿サンプリング流路21の一部を構成する)を介してシリンジポンプ30が接続されている。また、前記連結管29には、図2に示すように、三方電磁弁などの切換弁31が介装されており、この切換弁31には、比重計28、連結管27、ノズル本体23aをエアーパージするためのパージライン32が接続されている。さらに、33はエアー供給ポンプ、34はシリンジポンプ30の駆動用モータである。つまり、一端にノズル23を備えた尿サンプリング流路21には、比重計28、切換弁31がこの順で設けられるとともに、切換弁31にはシリンジポンプ30およびエアー供給ポンプ33が接続されている。
【0017】
そして、前記尿測定部8の内部には、装置本体2および採尿容器洗浄装置3の各部を制御するとともに、比重計28からの信号に基づいて演算を行う制御演算装置としてのマイクロコンピュータ(図示していない)が設けられており、このマイクロコンピュータには、所定の測定や動作を行わせるためのシーケンスプログラムが格納されている。
【0018】
また、前記尿測定部8の上方の一隅部には、開口35が形成され、この開口35の内側に内部にエアーを吸入するためのファン36が設けられている。そして、尿測定部8の前記上方の隅部側とは対角線上の下方の隅部には、例えば細かい網状または格子状の通風孔37が形成されている。
【0019】
さらに、前記尿測定部8のパネル7の表面には、タッチパネル式の例えば液晶表示装置よりなる入力・表示部38が設けられており、患者名および/またはコード番号を表示する部分(名前表示部)39が形成されるとともに、患者に対する操作内容に関する指示や前記マイクロコンピュータによる演算結果などが表示されるようにしてある。また、前記パネル7には、患者に対する操作指示用の拡声器40が設けられている。つまり、患者に対して、入力・表示部38における表示と拡声器40における音声のそれぞれによって操作内容が指令されるようにしてある。
【0020】
次に、採尿容器洗浄装置3の構成を簡単に説明すると、この採尿容器洗浄装置3は、例えば三人の患者のそれぞれ専用の採尿容器10を洗浄しこれを保管するための専用の3つの洗浄室41が隣接配置されている。各洗浄室41には、両矢印42方向に回転して室内を開閉する扉42が設けられ、この扉42は、その内面に採尿容器10を保持・固定する容器載置部43が設けられるとともに、一部に透視可能なガラス窓44が形成されている。室内の下方と上方に洗浄用シャワー栓45a,45bが設けられ、採尿に用いた採尿容器10を適宜の洗浄液で洗浄するとともに、室の側壁に送風孔46が形成してあり、送風により洗浄後の採尿容器10を乾燥させるように構成されている。なお、47は各洗浄室40の上部に設けられる表示灯である。
【0021】
上記自動蓄尿検査装置1の動作を、図3をも参照しながら説明する。この図3は、採尿容器10内の尿22の液面22aの検知動作の一例を示すものである。
【0022】
(1)ある患者Aが採尿容器保管場所から自分の採尿容器10を取り出し、これを手に持って例えば病室に設けられている簡易便器(図示していない)で用を足し、自分の尿を採尿容器10に採取して、この採尿容器10を保持して自動蓄尿検査装置1の前面まで来る。このとき、自動蓄尿検査装置1は、測定待機モード(非測定モード)であり、各部の照明灯や表示灯は消えている。
【0023】
(2)患者Aは、入力・表示部39における自分の名前表示部39aを指で押す。これによって、自動蓄尿検査装置1が測定モードとなる一方、入力・表示部39における当該患者の名前表示部39aのみが点灯するとともに、照明灯26が点灯し、容器セット部11が照明され、例えば「Aさんですね。」といった確認のメッセージが拡声器40から発せられ、次いで、「採尿容器を容器セット部に置いて下さい。」といった指示メッセージが発せられる。
【0024】
(3)患者Aは、前記メッセージおよび容器セット部11が明るく照明されることにより、手に持っている採尿容器10を容器セット部11にセットする。この採尿容器10の存在は、容器検出センサ12によって検出され、その検出出力に基づいてモータ18が動作する一方、切換弁31が動作してエアーパージライン32と連結管29が連通し、ポンプ33によってエアーが連結管29方向に供給される。
【0025】
1. その結果、ノズル23は、図3(A)に示すように、その先端部23Aからエアー48を吹き出しながら下降する。
2. ノズル23が尿液面22a近くまで下降すると、尿液面22aのノズル23の下方に存在していた気泡49が、図3(B)に示すように、ノズル23から吹き出されるエアー48によって移動させられ、ノズル先端部23A近傍、すなわち、測定部位近傍に存在しなくなる。
3. そして、ノズル23が図3(C)に示すようにさらに降下して、その先端部23Aが尿液面22aに接触して尿液面22aを検知すると同時にポンプ33が停止するとともに、切換弁31がオフとなり、シリンジポンプ30が連結管29と連通するようになり、エアー48の供給が停止され、気泡の発生が防止される。
【0026】
上記動作説明から理解されるように、前記1.〜3.のシーケンスによって液面検知を行うため、測定部位近傍の尿液面22aに気泡49が存在したり、ノズル先端部23Aに気泡49が付着することがないので、尿液面22aの高さ位置を確実にしかも精度よく検出することができる。
【0027】
なお、前記尿液面22aの検知の際、前記1.〜3.のシーケンスで正しく検知を行うことができないと予想される場合は、この1.〜3.のシーケンスを複数回繰り返し行い、そのときに得られるデータを比較して測定精度を上げるようにしてもよい。また、尿液面22aにおける気泡49の状況を確認するため、ノズル23を水平方向において位置を少しずらし、その状態で前記1.〜3.のシーケンスを複数回繰り返して行い、そのときに得られるデータを比較するようにしてもよい。
【0028】
上述のようにして、尿液面22aの高さ位置が検出され、これに基づいて尿22の量(体積)が測定される。次いで、モータ34が動作して採尿容器10内の尿が所定量吸引されて比重計28内に導入されることにより、尿の比重が測定される。前記比重計28に導入された尿は、所定の時間経過後、ノズル23を経て採尿容器10に戻される。そして、例えば、他の尿の試験項目のための尿の分注指令がある場合には、モータ15,18が動作して、ノズル23を上下動および回転させて、採尿容器10内の尿が分注カセット13に分注される。
【0029】
そして、前記(3)で示した尿の量や比重の測定や他の試験用の分注のための尿の採取などの動作の間中、照明灯25が点滅するので、所定の測定および分注が行われていることが目視によって確認できる。前記尿の総量や比重の測定結果は、入力・表示部39に表示されるとともに、マイクロコンピュータのメモリ内に格納されたり、LANなどのネットワークを介して、看護婦詰所などに設けられるデータ管理機(図示していない)に送信され、そのメモリ内に格納される。
【0030】
(4)前記分注が行われ、採尿容器10内に尿がなくなると、切換弁31を介して、パージ用のエアーが比重計28、連結管27、ノズル本体23aに供給され、これらの各部がエアーパージされる。その後、3つの洗浄室41のうち、患者Aの採尿容器10を洗浄する洗浄室41の上部の表示灯47のみが明るく点灯するとともに、例えば「採尿容器を貴方の洗浄室に入れて下さい。」といった指示メッセージが拡声器40から発せられる。
【0031】
(5)患者Aは、前記メッセージによる指示および自分の洗浄室41の表示灯47が明るく点灯することにより、前記空の採尿容器10を自分の洗浄室41に収容する。この場合、洗浄室41の扉43を一旦開いて採尿容器10を洗浄室41内部に収容して扉43を閉めたことが適宜のセンサ(図示していない)によって検知されることにより、洗浄用シャワー栓45a,45bから適宜の洗浄液が採尿容器10に向けて噴射されて採尿容器10の洗浄が行われ、その後、送風孔46から適宜の風(例えば温風)が洗浄室41内に供給されて洗浄後の採尿容器10が乾燥される。
【0032】
そして、前記(5)における動作の間中、表示灯47が点滅する、所定の洗浄が行われていることが目視によって確認できる。また、洗浄室41の扉43の窓45を通して洗浄室41内の様子を確認することができる。
【0033】
(6)前記採尿容器10の洗浄が完了すると、点滅していた表示灯47が点灯するとともに、例えば「採尿容器の洗浄が完了したので、これを取り出し、採尿容器保管場所に保管して下さい。」といったメッセージが拡声器40から発せられる。
【0034】
前記表示灯47の点灯およびメッセージにしたがって、患者Aは洗浄室41から採尿容器10を取り出し、これを採尿容器保管場所の所定の位置に戻すが、前記点灯が終わって所定の時間が経過すると、入力・表示部39における照明が終わり、自動蓄尿検査装置1は元の測定待機モードに復する。
【0035】
なお、分注指令がない場合は、前記比重の測定が終了すると、入力・表示部39における表示や音声により、例えば「採尿容器内の尿を廃棄して洗浄室内に収容して下さい。」といった指令が出力される。
【0036】
上述のように、上記第1の実施の形態における自動蓄尿検査装置1においては、尿液面22aの高さを測定するに際して、尿液面22aの測定に用いるノズル23の先端部23Aからエアー48を吹き出す(吐出する)ことにより、前記測定の妨げとなる気泡49を測定部位に存在させないようにしているので、気泡49の多い尿22であっても、その液面22aを確実に検出することができる。
【0037】
上記第1の実施の形態においては、尿液面22aの高さを測定するに際して、尿液面22aの測定に用いるノズル23の先端部23Aからエアー48を吹き出すことにより、前記測定の妨げとなる気泡49を測定部位に存在させないようにしていたが、尿液面22aの高さの検出に際して、比重計28による測定結果に基づいてノズル先端部23Aが尿液面22aに到達したか否かを判断するようにしてもよい。以下、これを第2の実施の形態として、図4および図5を参照しながら、説明する。
【0038】
すなわち、前記(3)に示したように、採尿容器10を容器セット部11にセットすると、採尿容器10の存在が容器検出センサ12によって検出される。そして、この検出出力に基づいてモータ18が動作してノズル23が、図4(A)に示すように、下降する(ステップS11)。このときのノズル23の移動量は、モータ18に付設されているロータリエンコーダで把握される。
【0039】
そして、下降したノズル23の先端部23Aが、図4(B)に示すように、採尿容器10内の尿液面22aに存在する気泡49に接すると、導電率に変化が生じ、自動蓄尿検査装置1は、ノズル先端部23Aが尿液面22aに到達したと判断(誤検出)してしまう。
【0040】
そこで、ノズル23を前記誤検出した位置から予め設定された位置まで下降させ、図4(C)に示すように、ノズル23によって尿22を所定量吸引して(ステップS12)、比重計28において比重測定を行う(ステップS13)。
【0041】
このとき、ノズル先端部23Aが図4(D)に示すように、気泡49中にあるときは、比重計28にはほとんど尿22が入らないため、比重計28による測定値は、異常値となる。すなわち、比重計28はエラーを出力したり、測定値が例えば1.000未満の数値となる。そして、ノズル先端部23Aが尿液面22aより下方に位置しているときは、比重計28に尿22が入ることにより、比重計28による測定値は、正常値(例えば1.000以上の数値)となる。
【0042】
したがって、前記比重計28によって得られる測定値が正常値であるときは、ノズル先端部23Aが尿液面22aに到達したと判断することができ(ステップS15)、前記測定値が異常値であるときは、ノズル先端部23Aは尿液面22aに未だ到達してないと判断される。このときは、ノズル23を所定間隔ずつ少しずつ降下させて(ステップS16)、前記ステップS12以下の動作を繰り返す。
【0043】
上述のように、上記第2の実施の形態における自動蓄尿検査装置1においては、尿液面22aの高さを測定するに際して、比重計28による測定結果に基づいてノズル先端部23Aの尿液面22aへの到達の有無を判別するようにしているので、尿液面22aを確実に検出することができる。
【0044】
なお、前記判別の基準になる数値(1.000)は、比重計28によって機差があるので、この数値に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0045】
そして、この発明は、上述の各実施の形態に限られるものではなく、例えば、尿液面22aを検出する機構として静電容量に基づくものを用いてもよく、その場合、ノズル23は、筒状のノズル本体23aのみでよい。
【0046】
また、前記第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせてよい。すなわち、尿液面22aの高さ検出に際して、先端部23Aからエアーを吹き出しながらノズル23を下降させた後、比重計28による測定結果に基づいてノズル先端部23Aの尿液面22aへの到達の有無を判別するようにしてもよい。この場合、例えば、尿液面22aを検出するに際して、測定部位における尿液面22aに気泡49が存在していて、この気泡49を比重計28によって尿液面22aとして誤検知した場合には、ノズル23の先端部23Aからエアー48を吹き出して、尿液面22aの検知に妨げにならないように、測定部位から気泡49を遠ざけるようにするのである。
【0047】
さらに、測定を行う装置本体2と採尿容器洗浄装置3とを別体構成として、自動蓄尿検査装置1を装置本体2のみで構成してあってもよい。
【0048】
そして、採尿容器保管場所を設けるのに代えて、採尿容器洗浄装置3の各洗浄室41内に、複数の採尿容器10をそれぞれ保管収容するようにしてもよい。そしてさらに、採尿容器洗浄装置3には必ずしも複数の洗浄室41を設ける必要はなく、複数の患者が共用するようにしてもよい。そして、複数の患者が一つの採尿容器10を共用するようにしてもよい。
【0049】
また、自動蓄尿検査装置1としては、病室に設けられるものに限られるものではなく、集合トイレに設けた自動蓄尿検査装置においても同様に実施することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、気泡が多数発生しているような尿であっても、その液面を精度よくしかも確実に検出することができ、尿の液面高さを精度よく得ることができ、尿量の測定精度が向上する。したがって、所望の検査を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の自動蓄尿検査装置の一例を示す部分的に透視して示す斜視図である。
【図2】 前記自動蓄尿検査装置の設置状態を示す説明図である。
【図3】 第1の実施の形態の動作説明図である。
【図4】 第2の実施の形態の動作説明図である。
【図5】 第2の実施の形態の動作説明のためのフローチャートである。
【符号の説明】
1…自動蓄尿検査装置、10…採尿容器、11…容器セット部、21…尿サンプリング流路、22…尿、22a…尿液面、23…ノズル、28…比重計、48…エアー、49…気泡。
Claims (2)
- 容器セット部に載置された採尿容器に対して接近・離間自在に設けられ、前記採尿容器内の尿の液面高さを検出するとともに前記尿の一部または全部を吸引または吐出するためのノズルを一端に有する尿サンプリング流路を備えた自動蓄尿検査装置において、前記尿サンプリング流路に尿の比重を測定する比重計を設け、前記尿液面の高さ検出に際して、前記比重計による測定結果に基づいて前記ノズルの前記尿液面への到達の有無を判別するようにしたことを特徴とする自動蓄尿検査装置。
- 容器セット部に載置された採尿容器に対して接近・離間自在に設けられ、前記採尿容器内の尿の液面高さを検出するとともに前記尿の一部または全部を吸引または吐出するためのノズルを一端に有する尿サンプリング流路を備えた自動蓄尿検査装置において、前記尿サンプリング流路に尿の比重を測定する比重計を設け、前記尿液面の高さ検出制御が、前記ノズルをその先端部が気泡に接触する位置から予め設定された位置まで下降させ、ノズルによって尿を所定量吸引するステップと、比重計において比重測定するステップと、比重計による測定値が正常値であるときはノズル先端部が尿液面に到達したと判断するステップとを有し、前記測定値が異常値であるときはノズルを所定間隔ずつ降下させて前記各ステップを繰り返すものであることを特徴とする自動蓄尿検査装置。
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