JP3740544B2 - 炭化珪素質発熱体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭化珪素質発熱体に関し、特に耐酸化性に優れ低抵抗化した非発熱部を有する炭化珪素質発熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、炭化珪素質発熱体は、発熱部が再結晶炭化珪素材からなり、非発熱部は再結晶炭化珪素材の開放気孔部にSiを含浸し低抵抗化した導電性の高い材料から構成されたものが広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の再結晶炭化珪素質発熱体においては、発熱部が多孔質であり強度的にも不十分であるため、特に小型肉薄化が要求される例えば小型点火器などの用途や更なる耐熱、耐食性、または気密性を必要とされる分野にはその使用が限定されていた。
又、各種の焼結助剤を添加し高密度化させた炭化珪素焼結体は、耐熱・耐食性に優れ高強度ではあるが、発熱体材料として用いるには、電気抵抗値の制御法の難しさの他にも、適切な非発熱部を構成する難しさがあり実用化されていない。緻密な炭化珪素質発熱部を持つ発熱体体としては、例えば特開昭55−150582号公報に発熱部材料よりも小さな電気比抵抗をもつ常圧焼結体又は反応焼結体を非発熱部材料として接合した発熱体が提案されていた。この発熱体は、非発熱部材料の電気比抵抗が十分に小さくないため、非発熱部が発熱しやすく、特に発熱体の小型化が要求される場合、発熱部から非発熱部への熱伝導も大きく、電極部温度の上昇を低く抑えることが難しい。仮に、発熱部と電極部の距離を確保するために非発熱部を長くした場合、発熱部と非発熱部との電気抵抗の差が少なくなり通電時に非発熱部も発熱してしまうため、電極部の熱履歴による劣化を抑えるのが困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発熱体を構成する発熱部が相対密度90%以上に緻密化させた炭化珪素質焼結体からなり、また非発熱部はTiまたはZrの硼化物を含む高導電性の炭化珪素質複合焼結体から構成されることを特徴とする炭化珪素質発熱体である。
本発明による発熱体を構成する非発熱部は、TiまたはZrの硼化物を含む高導電性の炭化珪素質複合焼結体で構成され、焼結助剤としてはB、B化合物、Al、Al化合物、Cのうち少なくとも1種以上を添加し焼結される。TiまたはZrの硼化物を含有する理由は、炭化珪素の焼結を損なわずに非発熱部に高い導電性を与えることができ、また十分な耐酸化性を持つ非発熱部が得られるためである。
TiまたはZrの硼化物の含有率としては、10〜30体積%であることが好ましい。TiおよびZrの硼化物は、金属硼化物の中で耐酸化性に優れる方に分類されるが、炭化珪素に比べると耐酸化性は劣るため30体積%以上含有すると非発熱部の耐久性が劣化する。炭化珪素質発熱体を通電発熱したとき、炭化珪素は熱伝導率が大きいため、非発熱部は、発熱部との境界付近で最高1000℃程度の温度まで上昇する。また、含有率が10体積%以下では高い導電性を持つ非発熱部は得られない。
本発明による発熱部および非発熱部は、使用する用途に応じ腐食性ガスに対する耐食性や更成る耐酸化性を付与するなどの目的で、周期律表VIa族の珪化物または硼化物を5体積%以下ならば含有することができる。5体積%より多いと電気抵抗値の再現性が得られにくくなったり、焼結性が劣化し緻密な焼結体が得られにくくなるなどの悪影響を生じる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を図面により説明する。図1は本発明による両端子型の板状発熱体の形状を示すもので、発熱部1が相対密度90%以上である耐熱性および化学的安定性に優れた炭化珪素質焼結体であり、非発熱部2および3はTiまたはZrの硼化物を10〜30体積%含有する高導電性の炭化珪素質焼結体で構成された耐久性に優れた炭化珪素質発熱体6である。図2は本発明による片端子型のコの字型発熱体の形状を示すものである。
すなわち、本発明による炭化珪素質発熱体は、十分な長さを持つ非発熱部を構成できるため、発熱部からの熱伝導による電極部の温度上昇を小さくでき、電極部の信頼性を確保できるものである。
【0006】
【実施例】
(実施例1,2)
粒径0.5μmのSiC粉末に焼結助剤として0.3重量%の硼素粉末と2重量%のカーボンブラックを添加しエタノール中でボールミル混合した。この混合スラリーに結合材および可塑剤を適量加え、乾燥造粒したものから発熱部を形成する。
ついで、粒径0.5μmの炭化珪素粉末と金属硼化物としてTiB2またはZrB2粉末を表1に記載の体積比になるように配合した。更にこの配合粉末に対し、0.3重量%の炭化硼素粉末と3重量%のカーボンブラックを添加し、エタノール中でボールミル混合を行った。この混合スラリーに結合材および可塑剤を適量加え、乾燥造粒したものから非発熱部を形成する。
得られた発熱部および非発熱部の造粒物を2つの仕切り板を挿入した金型内の中央部に発熱部混合粉末を、両端に非発熱部混合粉末を充填したのち、仕切り板を抜取り加圧成形を行った。得られた発熱部・非発熱部一体の成形体をAr雰囲気に保持された加熱炉内で1950℃の温度で加熱した。その後、窒素ガス雰囲気に保持された加熱炉内で2200℃の温度で加熱処理して、非発熱部の組成が異なる2種類の両端子型の板状発熱体素子を得た。
得られた板状発熱体素子の非発熱部に電極をろう付けし、発熱部温度が1450℃になるように電圧を印加し1000h経過するまで通電発熱した。通電発熱前の発熱体素子の発熱部と非発熱部の抵抗比(発熱部の電気抵抗Ω/非発熱部の電気抵抗Ω)を測定した結果、どちらの発熱体も発熱部と非発熱部とが十分な抵抗差を示し、通電発熱時に非発熱部が異常発熱することはなく、電極部温度を800℃以下に保持できた。また、板状発熱体の通電発熱前後での抵抗変化率を測定した結果、抵抗変化率が小さく十分な耐久性を示した。
尚、表1には、耐久性の評価として、抵抗変化率が10%以下のものを〇とし、10%以上のものを×として示してある。
(比較例1)
非発熱部を形成する金属硼化物として、ZrB2およびWB2を表1に示す比率で配合した以外は実施例1〜2と同一の方法で板状発熱体を作成し、同様の方法で評価した。通電発熱中に、非発熱部が著しい酸化膨張を起こし、抵抗変化が大きく耐久性が不十分であった。
(比較例2)
非発熱部を形成する金属硼化物として、TiB2およびCrB2を表1に示す比率で配合した以外は実施例1〜2と同一の方法で板状発熱体を作成した。発熱部と非発熱部との電気抵抗の差が小さく、電圧を印加すると非発熱部の温度上昇が大きくなり電極が溶断した。また、非発熱部を構成する焼結体中には、CrB2が溶出したと思われるマクロポアーが散在していた。
(実施例3〜5)
粒径0.7μmの炭化珪素粉末98体積%と2体積%のIVa族の珪化物粉末のうち1種を配合し、この配合粉末に対し焼結助剤として0.6重量%の硼素粉末、3重量%のカーボンブラック、及び0.3重量%のアルミナを添加し、これにアクリル系バインダー、可塑剤、および分散剤を加えトルエン等の有機溶剤中で混合し所望の粘度のスラリーに調合した。このスラリーからドクターブレード法によって成形したグリーンシートから発熱部を形成する。
ついで、粒径0.7μmの炭化珪素粉末を72体積%、TiB2粉末を25体積%、およびIVa族の硼化物粉末のうち1種を3体積%配合した。この配合粉末に対し、0.3重量%の炭化硼素粉末と3重量%のカーボンブラックを添加し、これにアクリル系バインダー、可塑剤、および分散剤を加えトルエン等の有機溶剤中で混合し所望の粘度のスラリーに調合した。このスラリーからドクターブレード法によってシート状に成形した。これを非発熱部を形成するグリーンシートとした。
得られた発熱部および非発熱部のグリーンシートを積層し型に入れ減圧中でプレスした。この積層体を加工し、図2に示すコの字形状にした。得られた発熱部・非発熱部一体型の成形体をAr雰囲気に保持された加熱炉内で1900℃の温度で保持し、その後窒素ガスを加熱炉内に注入しながら2200℃の温度まで加熱処理して片端子型の発熱体素子を得た。
得られた板状発熱体素子の非発熱部に電極をろう付けし、発熱部温度1450℃になるように電圧を印加し1000h経過するまで通電発熱した。通電発熱前の発熱体素子の発熱部と非発熱部の抵抗比(発熱部の電気抵抗Ω/非発熱部の電気抵抗Ω)を測定した結果、本実施例3〜5による発熱体はすべて、発熱部と非発熱部は十分な抵抗差を示し、通電発熱時に非発熱部が異常発熱することはなく、電極部温度を300℃以下に保持できた。また、通電発熱前後の抵抗変化率を測定した結果、いずれの片端子型発熱体も抵抗変化率が小さく優れた耐久性を示した。
【0007】
【表1】
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の再結晶炭化珪素質発熱体に対し、緻密で耐熱・耐食性に優れ耐久性の高い炭化珪素質発熱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両端子型の板状発熱体の外観図。
【図2】片端子型のコの字型発熱体の外観図。
【符号の説明】
1.発熱部
2.非発熱部
3.非発熱部
4.電極
5.電極
6.炭化珪素質発熱体
7.発熱部
8.非発熱部
9.電極
Claims (2)
- 相対密度90%以上の炭化珪素質焼結体からなる発熱部とTiまたはZrの硼化物10〜30体積%を含む炭化珪素質複合焼結体からなる非発熱部を一体成形すると共に、非発熱部に電極部を設け、該電極部から非発熱部を介して発熱部に通電するよう構成したことを特徴とする炭化珪素質発熱体。
- 発熱部および非発熱部を構成する炭化珪素質焼結体が5体積%以下の周期律表VIa族の硼化物または珪化物の1種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素質発熱体。
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