JP3730785B2 - フロートレス型気化器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロートレス型気化器に関し、特に、燃料ノズルの下端に燃料ジェット及びチェック弁を介して出口孔を連通する定圧燃料室と、この定圧燃料室の入口孔及び燃料タンク間を連通する燃料通路に介裝され、脈動圧力発生源の脈動圧力に応動して燃料を前記定圧燃料室に送る燃料ポンプと、前記定圧燃料室の入口孔を開閉して該室への燃料導入を制御する燃料導入制御弁とを備え、その燃料導入制御弁には、前記定圧燃料室の上壁に設けられ、前記入口孔を上端に有する円筒状の弁座部材と、この弁座部材内を昇降して入口孔を開閉する弁体とを備えたものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるフロートレス型気化器は、例えば特開平1−151758号公報に開示されているように、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かゝる気化器では、ダイヤフラムポンプの作動により定圧燃料室側へ送られる燃料は、ダイヤフラムポンプから受ける圧力脈動や、エンジンから受ける熱、振動等により多量の燃料蒸気を発生することが屡ある。そして、この多量の燃料蒸気が一挙に定圧燃料室に導入され、燃料ノズルから噴出すると、混合気の空燃比を極端に希薄にするため、エンジンの運転に不調を来すことになる。
【0004】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、ダイヤフラムポンプから吐出された燃料に燃料蒸気が発生した場合には、これを微細化して燃料と共に定圧燃料室に導入することにより、多量の燃料蒸気が一挙に燃料ノズルから噴出するのを防止して、混合気空燃比の変動を小さく抑えることができる、前記フロートレス型気化器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、燃料ノズルの下端に燃料ジェット及びチェック弁を介して上部が連通する燃料ウェルと、この燃料ウェルの下部に出口孔が連通する定圧燃料室と、この定圧燃料室の入口孔及び燃料タンク間を連通する燃料通路に介裝され、脈動圧力発生源の脈動圧力に応動して燃料を前記定圧燃料室に送る燃料ポンプと、前記定圧燃料室の入口孔を開閉して該室への燃料導入を制御する燃料導入制御弁とを備え、その燃料導入制御弁には、前記定圧燃料室の上壁に設けられ、前記入口孔を上端に有する円筒状の弁座部材と、この弁座部材内を昇降して入口孔を開閉する弁体とを備え、前記弁座部材の下端部を前記燃料ウェルに、前記定圧燃料室の上方を通るバイパス路を介して連通させ、前記燃料通路に、前記入口孔の手前で燃料蒸気を微細化する燃料蒸気処理室を設けたことを第1の特徴とする。
【0006】
而して、燃料ポンプから吐出された燃料に燃料蒸気が発生すると、この燃料蒸気は、燃料蒸気処理室で微細化されて燃料と共に弁座部材の入口孔を通過し、定圧燃料室に導入されるので、微細化された燃料蒸気は定圧燃料室に停滞することなく、燃料と共に燃料ノズルへスムーズに移行し、この場合、特に弁座部材の下端部が、定圧燃料室の上方を通るバイパス路を介して燃料ウェルに連通していることから、燃料蒸気は、弁座部材を通過すると即座にバイパス路を浮上して燃料ウェルに移行することができ、そして燃料ウェルの燃料と共に燃料ノズルから速やかに噴出することができる。したがって、単位時間当たり燃料ノズルから噴出する燃料蒸気は比較的少なくなり、混合気の空燃比の希薄化を小さく抑えて、混合気の空燃比を殆ど変動させないので、エンジンの正常な運転を確保することができる。
【0007】
また本発明は、上記特徴に加えて、前記燃料蒸気処理室に、多数の気孔を有する多孔質体を装填したことを第2の特徴とする。
【0008】
而して、燃料蒸気処理室に多孔質体を装填するという簡単な構成により、燃料蒸気を微細化することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1はフロートレス型気化器の縦断正面図、図2は図1の2−2線断面図である。
【0011】
先ず図1において、フロートレス型気化器Cは、例えば刈り払い機など全方向姿勢で使用される携帯作業機に搭載されるハンドヘルド型エンジンに装着される。その気化器本体1は、エンジンの吸気ポート(図示せず)に接続される水平方向の吸気道2と、この吸気道2と直交して鉛直方向に延びる有底円筒状の弁案内孔3とを有する。弁案内孔3には、ロータリ型のスロットル弁4が回転及び摺動可能に嵌装されると共に、弁案内孔3を閉じるキャップ5が気化器本体1に固着され、これらスロットル弁4及びキャップ5間には、スロットル弁4を弁案内孔3の底部側に付勢するばね6は縮設される。スロットル弁4は、その開度増方向の回転に応じて吸気道2との連通面積を増加させる絞り孔9を有する。 スロットル弁4は、キャップ5を貫通する弁軸4aを有し、これに操作アーム7が、弁軸4aの中空部に嵌着されるスリーブ8により固着される。
【0012】
弁案内孔3の底部には、絞り孔9に突入するボス10が突設されており、このボス10に絞り孔9に起立する燃料ノズル11が取付けられ、この燃料ノズル11内に挿入されるニードル弁12が前記スリーブ8に螺着される。
【0013】
操作アーム7の下面には、キャップ5の上面に付設したボール13により支承される環状の斜面7aが形成され、操作アーム7がスロットル弁4の開き方向に回転されると、操作アーム7がボール13により押上げられ、それに伴いスロットル弁4もばね6の付勢力に抗してニードル弁12と共に上方へ変位し、燃料ノズル11の開度を増加させるようになっている。
【0014】
またキャップ5には、操作アーム7に当接してスロットル弁4のアイドル開度を規定するストッパボルト14が進退調節可能に螺着される。
【0015】
気化器本体1の下面には、押さえ板15、弾性パッキン16及び底板17が順次重ねられて接合される。底板17の一側部下面には、燃料タンクTに連なる燃料管21を接続するジョイント22が突設される。また気化器本体1及び底板17には、ジョイント22に連なる上流燃料通路23aと、この上流燃料通路23aが連通するポンプ室29を有するダイヤフラム式燃料ポンプ24とが設けられる。上記ポンプ室29に連なる下流燃料通路23bは気化器本体1に設けられ、この下流燃料通路23bに連なる定圧燃料室26は底板17に設けられる。
【0016】
ダイヤフラム式燃料ポンプ24は、前記パッキング16の一部をダイヤフラム27とするもので、このダイヤフラム27の上面及び下面がそれぞれ臨む作動室28及びポンプ室29が気化器本体1及び底板17にそれぞれ形成される。そして上流燃料通路23aには、パッキング16の一部を利用した吸入弁30と、その上流側に位置する燃料フィルタ31が設けられ、また下流燃料通路23bには、同じくパッキング16の一部を利用した吐出弁32が設けられる。作動室28は、脈動圧力発生源P、例えばエンジンのクランク室又は吸気管の内部に導管34を介して連通される。
【0017】
図1及び図2に示すように、定圧燃料室26には、下流燃料通路23bから該室25への燃料導入を制御する燃料導入制御弁35が設けられる。この燃料導入制御弁35は、定圧燃料室26の一側部において底板17に嵌着されて上端壁の入口孔36を下流燃料通路23bに望ませる円筒状の弁座部材37と、この弁座部材37内に入口孔36を開閉すべく上下動可能に嵌装される弁体38と、底板17に支持された支軸39に揺動自在に支持されて一端を弁体38の下端に係合する作動レバー40と、この作動レバー40を弁体38の閉じ方向へ付勢する弁ばね41と、定圧燃料室26の底面を形成するように底板17の下面に張設されるダイヤフラム42とから構成され、このダイヤフラム42の中心部には、前記作動レバー40の他端に離間可能に当接する押圧子42aが設けられる。ダイヤフラム42は、これを覆うカバー43と共に周縁部を底板17に締結される。カバー43には、ダイヤフラム42の下面に大気圧を作用させる通気孔44が設けられる。
【0018】
下流燃料通路23bには、弁座部材37の入口孔36の手前に燃料蒸気処理室51が設けられ、該室52に、多数の気孔を有する多孔質体52が装填される。多孔質体52は、例えば耐ガソリン性の、連続気孔を持つ発泡樹脂や焼結体で構成される。
【0019】
また底板17には、定圧燃料室26の他端部上方に位置する燃料ウェル45が形成され、この燃料ウェル45の下部は出口孔47を介して定圧燃料室26に連通し、その上部は、チェック弁48及び燃料ジェット49を介して燃料ノズル11の下端に連通する。
【0020】
さらに底板17には、定圧燃料室26の上方を通って前記弁座部材37の下端部を燃料ウェル45に連通するバイパス路50が設けられる。
【0021】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0022】
エンジンが運転されると、脈動圧力発生源Pの脈動圧力が燃料ポンプ24の作動室28に作用してダイヤフラム27を振動させるもので、このダイヤフラム27が作動室28側に撓むとき、ポンプ室29は、その容積を拡大させることにより吸入弁30及び上流燃料通路23aを介して燃料タンクTの燃料を吸い上げ、ダイヤフラム27がポンプ室29側に撓むとき、ポンプ室29は、その容積を縮小さることにより、該室29の燃料を吐出弁32を介して下流燃料通路23bへ送り出す。
【0023】
その際、定圧燃料室26の燃料が規定量に達していなければ、ダイヤフラム42が大気圧により上方に変位して、弁ばね41の付勢力に抗して作動レバー40を図1で時計方向に揺動し、これにより弁体38を引き下げて入口孔36を開くので、下流燃料通路23bの燃料は定圧燃料室26に導入される。そして、定圧燃料室26の導入燃料が規定量に達すると、ダイヤフラム42は下降して押圧子42aを作動レバー40から引き離す。すると、作動レバー40は弁ばね41の付勢力をもって弁体38を押し上げ、入口孔36を閉じるので、定圧燃料室26への燃料導入は止められる。こうして、定圧燃料室26には、エンジンの運転中、常に規定量の燃料が貯留されると共に、出口孔47を通して燃料ウェル45を満たすことになる。
【0024】
一方、吸気道2及び絞り孔9では、エンジンに吸入される空気が通過することにより、燃料ノズル11周りに負圧が生じ、この負圧の作用により、燃料ウェル45の燃料がチェック弁48、燃料ジェット49及び燃料ノズル11を順次上昇し、絞り孔9に噴出する。この噴出燃料は、吸気道2及び絞り孔9を通過する空気と混合して混合気を生成しながらエンジンに吸入される。この混合気のエンジンへの供給量は、スロットル弁4の開度の増減により調節される。
【0025】
ところで、燃料ポンプ24から下流燃料通路23bに送り出された燃料が、ダイヤフラム42の振動による圧力脈動や、エンジンからの熱、振動等を受けることにより燃料蒸気を発生すると、その燃料蒸気は、燃料蒸気処理室51において多孔質体52の多数の気孔により燃料と共に微細化されてから、燃料と共に弁座部材37の入口孔36を通過し、定圧燃料室26に導入されるので、微細化された燃料蒸気は定圧燃料室に停滞することなく、燃料と共に出口孔47から燃料ウェル45にスムーズに移行する。
【0026】
特に、図示例では、弁座部材37の下端部は、定圧燃料室26の上方を通るバイパス路50を介して燃料ウェル45に連通しているから、燃料蒸気は、弁座部材37を通過すると、即座にバイパス路50を浮上して燃料ウェル45に移行することができる。そして燃料ウェル45の燃料と共に燃料ノズル11から速やかに噴出していく。したがって、燃料ノズル11から噴出する単位時間当たりの燃料蒸気は微量となり、混合気の空燃比を殆ど変動させないので、エンジンの正常な運転を確保することができる。
【0027】
また弁座部材37の入口孔36の手前で燃料蒸気を微細化する構成は、燃料蒸気処理室51に多孔質体52を装填するという簡単なものであるから、これによるコスト増は僅かで済む。
【0028】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、スロットル弁4をバタフライ型に構成することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば、燃料ノズルの下端に燃料ジェット及びチェック弁を介して上部が連通する燃料ウェルと、この燃料ウェルの下部に出口孔が連通する定圧燃料室と、この定圧燃料室の入口孔及び燃料タンク間を連通する燃料通路に介裝され、脈動圧力発生源の脈動圧力に応動して燃料を前記定圧燃料室に送る燃料ポンプと、前記定圧燃料室の入口孔を開閉して該室への燃料導入を制御する燃料導入制御弁とを備え、その燃料導入制御弁には、前記定圧燃料室の上壁に設けられ、前記入口孔を上端に有する円筒状の弁座部材と、この弁座部材内を昇降して入口孔を開閉する弁体とを備え、前記弁座部材の下端部を前記燃料ウェルに、定圧燃料室の上方を通るバイパス路を介して連通させ、前記燃料通路に、前記入口孔の手前で燃料蒸気を微細化する燃料蒸気処理室を設けたので、燃料ポンプから吐出された燃料に燃料蒸気が発生しても、この燃料蒸気を燃料蒸気処理室で微細化して定圧燃料室に導入し、定圧燃料室に停滞させることなく、燃料と共に燃料ノズルへスムーズに移行させることができ、この場合、特に弁座部材の下端部が、定圧燃料室の上方を通るバイパス路を介して燃料ウェルに連通していることから、燃料蒸気は、弁座部材を通過すると即座にバイパス路を浮上して燃料ウェルに移行することができ、そして燃料ウェルの燃料と共に燃料ノズルから速やかに噴出することができるため、単位時間当たり燃料ノズルから噴出する燃料蒸気は微量となり、混合気の空燃比の希薄化を小さく抑えて、混合気の空燃比を殆ど変動させないので、エンジンの正常な運転を確保することができる。
【0030】
また本発明の第2の特徴によれば、前記燃料蒸気処理室に、多数の気孔を有する多孔質体を装填したので、簡単な構成により、燃料蒸気を微細化することができ、これを安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るフロートレス型気化器の縦断正面図。
【図2】 図1の2−2線断面図。
【符号の説明】
C・・・・フロートレス型気化器
P・・・・脈動圧力発生源
T・・・・燃料タンク
11・・・燃料ノズル
23a,23b・・・燃料通路
24・・・燃料ポンプ
26・・・定圧燃料室
35・・・燃料導入制御弁
36・・・入口孔
37・・・弁座部材
38・・・弁体
45・・・燃料ウェル
47・・・出口孔
48・・・チェック弁
49・・・燃料ジェット
50・・・バイパス路
51・・・燃料蒸気処理室
52・・・多孔質体
Claims (2)
- 燃料ノズル(11)の下端に燃料ジェット(49)及びチェック弁(48)を介して上部が連通する燃料ウェル(45)と、この燃料ウェル(45)の下部に出口孔(47)が連通する定圧燃料室(26)と、この定圧燃料室(26)の入口孔(36)及び燃料タンク(T)間を連通する燃料通路(23a,23b)に介裝され、脈動圧力発生源(P)の脈動圧力に応動して燃料を前記定圧燃料室(26)に送る燃料ポンプ(24)と、前記定圧燃料室(26)の入口孔(36)を開閉して該室(26)への燃料導入を制御する燃料導入制御弁(35)とを備え、
その燃料導入制御弁(35)には、前記定圧燃料室(26)の上壁に設けられ、前記入口孔(36)を上端に有する円筒状の弁座部材(37)と、この弁座部材(37)内を昇降して入口孔(36)を開閉する弁体(36)とを備え、
前記弁座部材(37)の下端部を前記燃料ウェル(45)に、前記定圧燃料室(26)の上方を通るバイパス路(50)を介して連通させ、
前記燃料通路(23a,23b)に、前記入口孔(36)の手前で燃料蒸気を微細化する燃料蒸気処理室(51)を設けたことを特徴とする、フロートレス型気化器。 - 請求項1記載のフロートレス型気化器において、
前記燃料蒸気処理室(51)に、多数の気孔を有する多孔質体(52)を装填したことを特徴とする、フロートレス型気化器。
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