JP3678148B2 - 圧電デバイス - Google Patents

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Description

【技術分野】
本発明は、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
近年、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話や自動車電話等の移動体通信機器において装置の小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電発振器や電圧制御発振器(VCXO)や温度補償発振器(TCXO)やSAW発振器、あるいはリアルタイムクロックモジュール等の圧電デバイスも小型薄型化が要求されている。又、それとともに、装置の回路基板に両面実装が可能な表面実装タイプの圧電デバイスが求められている。
そこで、従来の圧電デバイスの一例を、発振回路を有するワンチップの半導体集積回路と、圧電振動子にATカット水晶振動子とを用いた第16図(a)、第16図(b)の構造図で示される水晶発振器を用いて説明する。
第16図(a)、第16図(b)の従来の水晶発振器の構成において、発振回路を有するICチップ101は、セラミック絶縁基板で形成されたベース102の底面に導電性接着剤等により接着固定され、Auワイヤーボンディング線103により、ベース102の底面外周部にW(タングステン)あるいはMo(モリブデン)等の金属でメタライズされ、NiメッキとAuメッキで多層メッキされた入出力用電極104等に電気的に接続されている。具体的に説明すると、ICチップ101には複数の電極108が設けられており、これらの電極108がワイヤーボンディング線103によって上述の入出力用電極104等に電気的に接続される。
又、矩形タイプのATカット水晶振動子105が、ベース102のマウント部106に導電性接着剤等で電気的に接続され固定されている。そして、N2(窒素)雰囲気あるいは真空雰囲気に内部を保ち、ベース102の最上部のメッキ層と、金属製のリッド107とをリッド107に形成された半田等の金属クラッド材を高温にて溶融させて接合し気密に封止している。
以上に示す従来の水晶発振器は、ICチップ101の周囲にAuワイヤーボンディング線103を配線するエリアが必要であること、又、パッケージの厚み方向でも、Auワイヤーボンディング線103のループ高さの確保や、Auワイヤーボンディング線103とATカット水晶振動子105との隙間の確保が必要であること等、この構成が水晶発振器を小型薄型にするための制約となっている。本発明の目的は、上記課題を解消して、機械的な衝撃に強く、小型薄型サイズで主に厚み1mm以下の水晶発振器等の圧電デバイスを安価に提供すること及びその製造方法を提供することである。
【発明の開示】
本発明の圧電デバイスは、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと複数のバンプにより接合されてなり、
前記圧電振動子がマウントされる積層部が前記半導体集積回路の周囲を囲み、かつ少なくとも第1層と該第1層の上に配置される第2層の2層で形成されており、前記第1層の開口部が前記第2層の開口部より大きく形成されていることを特徴とする。
また、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと複数のバンプにより接合されてなり、
前記半導体集積回路の各辺に対向する少なくとも1つ以上のベースの側壁に、凸部を形成したことを特徴とする。
また、前記半導体集積回路の長手方向の2辺に対向するベースの側壁に、凸部を形成したことを特徴とする。
また、前記ベースの側壁に形成した凸部が、前記半導体集積回路と同じ高さかあるいはそれ以上であることを特徴とする。
また、前記ベースの側壁に形成した凸部と前記半導体集積回路との隙間が、0.05〜0.15mmとなるようにしたことを特徴とする。
さらに、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースに開口部が形成され、複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部に前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと前記複数のバンプにより接合されてなり、
前記圧電振動子がマウントされる積層部が前記半導体集積回路の周囲を囲み、かつ少なくとも第1層と該第1層の上に配置される第2層の2層で形成されており、前記第1層の開口部が前記第2層の開口部より大きく形成されていることを特徴とする。
さらには、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向が、前記複数のバンプが形成された前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に対し、垂直方向であることを特徴とする。
また、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
前記ベースの電極パターンの印刷方向と前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向が同一方向であることを特徴とする。
さらに、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
前記ベースの電極パターンの長手方向と、前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向とが同一方向であることを特徴とする。
また、前記半導体集積回路に形成された複数のバンプの直径が、それぞれ前記半導体集積回路の能動素子面のパッドの開口部の1辺の0.8〜0.9倍及び0.4〜0.45倍の2段形状のバンプで形成されていることを特徴とする。
また、前記半導体集積回路に形成された複数のバンプの形状が、それぞれ直径80〜90μm、高さ30〜35μm、及び直径40〜45μm、高さ30〜35μmの2段形状のバンプで形成されていることを特徴とする。
また、前記ベースがセラミックの積層基板からなることを特徴とする。
また、前記半導体集積回路に形成された複数のバンプがAuバンプであることを特徴とする。
また、前記半導体集積回路は能動素子面にダミーバンプが形成されていることを特徴とする。
また、前記半導体集積回路に形成されたダミーバンプが、前記ベースの電極パターンに接続されていることを特徴とする。
また、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記バンプと前記ベースの電極パターンと超音波接合されてなり、
前記半導体集積回路にバンプを形成する際の超音波の振動方向と、前記半導体集積回路を前記パッケージに接合する際の超音波の振動方向とが異なる方向であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の圧電デバイスの実施の一形態を、発振回路を有するワンチップの半導体集積回路と、圧電振動子にATカット水晶振動子とを用いた、水晶発振器を例として図面に基づいて説明する。
(実施例1)
第1図は、本発明の一実施例を示す表面実装タイプの水晶発振器の構造図である。
第1図(a)の平面図及び第1図(b)の正面図に示すように、少なくとも3層からなるセラミック絶縁基板と、Fe−Ni合金等で枠状に型抜きされたシールリングとで形成されたベース1の第1層に、半導体集積回路(ICチップ:以下ICチップと記す)2と接続するための電極パターン3が、W(タングステン)あるいはMo(モリブデン)等の金属配線材料で印刷等によりメタライズされている。そして、その上には、Niメッキ及びAuメッキ等が施されている。
又、ICチップ2の電極パッドにはAu等の金属のバンプ4が形成され、フリップチップボンディング工法によりベース1に形成された電極パターン3と接続されている。このフリップチップボンディング工法には、種々の加工法があるが、本実施例で用いている工法は超音波によるAu−Auの固相接合を用いた加工方法である。
又、ATカット水晶振動子6は、その支持部7をベース1の第2層5に設けられたマウント部8に導電性接着剤9で接続固定されている。
更に、金属製のリッド(蓋)11をベース1のFe−Ni合金等で枠状に型抜きされたシールリング12に位置合わせして固定し、シーム溶接により気密に封止している。
以上により、小型薄型の表面実装パッケージの水晶発振器13が完成する。
次に、ICチップ2にAu等で形成されたバンプ4を形成するバンプ形成プロセスと、ICチップ2をベース1に形成された電極パターン3に接続する、フリップチップボンディングのプロセスについて詳細に説明する。
例えば、第2図に示すように例えば4インチ〜6インチのウェハー状態のICチップ2の各パッド14に、その線径が例えばΦ25〜35μm程度のAuボンディング細線を用いて超音波バンプボンディングにより、複数のバンプ4を形成する。
ここで、バンプ4の形状は種々考えられるが、本実施例では第3図に示すように2段形状のバンプ4を形成している。
そのバンプ4の形状は、ICチップ2のパッド14のパッド開口部15の一辺をAとすると、バンプ4の直径が、それぞれ例えばΦ0.8〜0.9A及びΦ0.4〜0.45Aの2段形状となっている。
更に、具体的な数値で示すと、バンプ4は、例えば一般的なパッド14のパッド開口部15の一辺の長さを100μmとすると、直径Φ80〜90μm、高さ30〜35μm、及び直径Φ40〜45μm、高さ30〜35μmの2段形状であることが望ましい。
又、ウェハー状態で複数個(数千個程度)のICチップ2にバンプ形成加工を行うため、このバンプ形成加工の温度は低いことが望ましく、本実施例では180℃前後の温度でバンプ加工を行っている。この温度については、接合強度及び共晶の程度の評価実験により例えば180℃〜230℃程度の範囲が適当である。
又、バンプ4の2段目の先端部についてはその平坦度を良くするために、第4図に示すようにバンプ4の先端部を潰してレベリングを施した形状を用いてもよい。
次に、以上の形状でバンプ4が形成されたICチップ2を、ベース1にフリップチップボンディングするプロセスについて詳細に説明する。
第5図は、フリップチップボンディングの加工工程図を示す。
ウェハー上のICチップ2は、角錐コレット等のノズルによりピックアップされ、反転されて、超音波ホーンの先端ノズルに受け渡しされる。そして、フリップチップボンディング装置に設けられた画像認識等のシステムにより、ICチップ2がアライメントされて精度良くベース1のマウントエリアにチップマウントされる。
更に、ICチップ2がベース1の電極パターン3上に接しフリップチップボンディング装置がその負荷を検出すると、1バンプ当たり100gr前後の荷重を印加し、そして同時に超音波を印加してバンプ4と電極パターン3のAu同士を固相接合する。超音波の条件は、超音波のパワーと超音波を加える時間により設定される。又、この接合には適度の熱も必要であり、ベース1にはあらかじめ例えば150℃〜200℃前後の熱が加えられている。又、超音波加工中にもベース1には同様な熱が加えられている。
又、フリップチップボンディング装置には、ICチップ2の高さ方向を検出するセンサーが設けられており、その高さ方向のデータを管理しながらバンプ4の高さを均一な状態で加工することが可能である。
ここで、本実施例で用いている加工条件は、1バンプ当たり百グラム前後の荷重を印加し、超音波の条件については、ICチップ2のサイズや、バンプ4の数により設定された条件値を用いている。
第6図は、FEM(Finite Element Method)解析を用いたリフロー時や温度サイクル試験等の熱応力が水晶発振器13に加わった時のICチップ2及びバンプ4周辺の応力分布図を示す。
この応力分布図よりバンプ4の配置位置により応力値が異なり、特にICチップ2のコーナー部のバンプ4周辺、又バンプ4が少ない箇所等に強い応力集中が働いていることが確認できる。
このように、バンプ4周辺に応力が発生するとバンプ4と電極パターン3とがオープンになるという不良が発生しやすい。このような不良は、特にリフロー時等の高温が急激に水晶発振器13に加わる場合や、長期のエージング等、あるいは水晶発振器13を内蔵した携帯機器等の製品の落下、振動等の機械的ショックにより発生しやすい。
この熟応力又は落下、振動等の機械的な応力はベース1の構造全体が関係しており、バンプ4周辺に応力が集中しないような水晶発振器13の構造を提供することも本発明の目的である。以下にその構造のポイントについて説明する。
第1図に示すように、ベース1のセンターに開口部16が形成され、開口部16のセンターにICチップ2が搭載された構造を用いている。従って、水晶発振器13が何らかの応力を受けた時、この構造により応力はICチップ2に均一に加わり、特定の部位に応力が集中するということがない。
次に、ダミーバンプ17が形成されている構造について説明する。このダミーバンプ17は、ベース1にレイアウトされた電極パターン18と接合している。本実施例においては、この電極パターン18は入出力用の端子には接続されておらず、電気的には浮いた状態で構成されている。
このように、ダミーバンプ17が形成される構造により、バンプ4の配列が対向する2辺において均一となりバンプ4周辺に発生する応力値も等分化される。従って、特定の部位に応力が集中するということがなく、熱応力や機械的な応力に対しバランスの良い接合特性が得られる構造となっている。
次に、超音波の印加方向とバンプ4の変形について説明する。
超音波を印加してバンプ4と電極パターン3のAu同士を固相接合するプロセスにおいて、第3図に示すバンプ4の2段形状のイニシャル形状を変形させて接合する。この時に隣接するバンプ4同士がショートしないように、また全てのバンプ4と電極パターン3との接合が均一に行われるように、超音波の印加方向に対するバンプ4の配列の仕方や、ベース1に印刷する電極パターン3の印刷方向及び超音波の印加方向を規定している。
即ち、具体的には、ICチップ2に印加される超音波の振動方向が、複数のバンプ4が形成されたICチップ2の能動素子面の対向する2辺に対し、おおむね垂直方向であるようにして接合加工が行われる。
第13図は、電極パターン3とバンプ4の接合部の断面図を示している。電極パターン3は、電極材料を厚膜印刷するためにその両端はダレており、このような部分ではバンプ4と電極パターン3とは接合されない。
従って、電極パターン3の長手方向と直角の方向に超音波の振動方向を合わせて加工すると、接合が均一には行われず十分な接合力が得られないという課題がある。そのため、本実施例においては、ベース1の電極パターン3の長手方向及び電極パターン3の印刷方向と、ICチップ2に印加される超音波の振動方向が同一方向であるようにして接合加工を行っている。
次に、ATカット水晶振動子6をベース1にマウントするプロセスについて説明する。
第1図に示すように、ATカット水晶振動子6は、ベース1の第2層5に設けられたマウント部8のマウント用電極21、22に導電性接着剤9により接続固定される。
そして、導電性接着剤9の硬化を含めてICチップ2及びATカット水晶振動子6を内蔵したパッケージ全体は、高温でアニール処理される。これは、導電性接着剤9やベース1等からのアウトガスを除去する効果もあり、一般的には例えば200℃〜300℃の高温下で1〜2時間の処理が行われる。
この熱処理により、バンプ4部のAl−Au共晶反応や、Au−Au固相接合の反応や、接合部の応力緩和等が進み、バンプ4の接合強度等の接合特性が変化する。本実施例では、このようなフリップチップボンディング以降の熱履歴を踏まえて、バンプ4の形成条件やフリップチップボンディング条件等を決定している。
更に、金属製のリッド11は、ベース1のFe−Ni合金等で枠状に型抜きされたシールリング12に位置合わせして固定され、シーム溶接により気密に封止している。
(実施例2)
第7図は、本発明の他の実施例の水晶発振器の構造を示す平面図である。
この水晶発振器は、複数のバンプ4がICチップ2の能動素子面のセンター周辺に半導体集積回路の対向する2つの辺を結ぶ垂線に線対称に形成されている構成である。
このような構成にすることにより、バンプ4に加わる応力を均一化することができ、バンプ4と電極パターン3とのオープン不良の発生がない。また、このような構成にすることにより、超音波による接合加工がバランス良く行え、ICチップ2が傾いて実装されるというような不良も発生しない。
(実施例3)
第8図は、本発明のさらに他の実施例の水晶発振器の構造を示す平面図である。
この水晶発振器は、ICチップ2に形成された複数のバンプ4がICチップ2の能動素子面のセンターを中心として、同心円上に形成されている構成である。実施例2と同様に、バンプ4に加わる応力を均一化することができ、バンプ4と電極パターン3とのオープン不良の発生がない。また超音波による接合加工がバランス良く行え、ICチップ2が傾いて実装されるというような不良も発生しない。
(実施例4)
第9図は、本発明のさらに他の実施例の水晶発振器の構造を示す構造図である。
この水晶発振器では、ICチップ2の裏面を覆うようにしてアンダーフィル材23が塗布されている。このアンダーフィル材23は、接合の信頼性を高めるとともに、熱伝導性を良くしてICチップ2の発熱を外部に逃がす役目も兼ねている。
更に、アンダーフィル材23がバンプ4の接合部に十分に浸透するように、ATカット水晶振動子6がマウントされる第2層5が、a層24(第1層)、b層25(第2層)の2層で形成されており、a層24の開口部が、b層25の開口部より大きく形成されている。このように第2層5を形成することにより、アンダーフィル材23がバンプ4の接合部まで十分に浸透して、信頼性の高い接合構造となる。
(実施例5)
第10図(a)、第10図(b)は、本発明のさらに他の実施例の水晶発振器の構造を示す構造図である。
第10図(a)に示すように、この水晶発振器では、例えばICチップ2の長手方向の2辺に対向するベース1の側壁に、凸部31が形成されている。そして、ICチップ2と凸部31の隙間32が、例えば0.05〜0.15mmとなるように設定されている。本実施例では、隙間32は例えば0.15mmとなるように設定している。
実施例1と同様にICチップ2の電極パッドにはAu等の金属のバンプ4が形成され、フリップチップボンディング工法によりベース1に形成された電極パターン3と接続されている。
次に、第11図(a)、第11図(b)に示すようにICチップ2の裏面にアンダーフィル材23を塗布して、ICチップ2のバンプ4側にこのアンダーフィル材23を隙間なく完全に浸透させる方法について詳細に説明する。
ディスペンサー等の塗布装置からICチップ2に塗布されたアンダーフィル材23は、第11図(b)に示すように表面張力が働きICチップ2の裏面内に広がるだけで、ICチップ2の側面からバンプ4側に流れていくことはない。
そこで、第11図(a)に示すように、ICチップ2の長手方向の2辺に対向するベース1の側壁には、凸部31が形成されている。これにより、ディスペンサー等の塗布装置から塗布されたアンダーフィル材23は、その周辺部が凸部31に接触して広がり、更にICチップ2と凸部31の隙間32を浸透してICチップ2のバンプ4側にこのアンダーフィル材23が隙間なく完全に浸透する。
ここで、凸部31の幅Lは、ICチップ2の幅L0の1/3〜1/2の寸法に設定している。凸部31の形状をこのような幅寸法に設定することにより、アンダーフィル材23がマウント部8等へ回り込むことを防止している。更にアンダーフィル材23が、早くICチップ2のバンプ4側に回り込む役目も果たしている。
また、第10図(b)に示すように、凸部31はICチップ2の裏面Rより高く、更にバンプ4が接続するベース1の接合面Sまで形成されている。このように凸部31を形成することにより、ベース1の側壁をアンダーフィル材23が這い上がることや、ATカット水晶振動子6のマウント部8への回り込み等を防止できる。また、凸部31を形成することにより、ベース1の接合面にアンダーフィル材23が早く浸透する役目も兼ねている。
隙間32は、少なくともアンダーフィル材23の粒子以上の間隔があればよく、種々のアンダーフィル材23の浸透特性実験から理想的には0.05mm程度が適している。
凸部31の形状は、第12図に示すように溝部33が形成されているような形状でもよい。
以上により、第10図(b)に示すように、アンダーフィル材23がICチップ2のバンプ4側の隙間に完全に浸透して、バンプ4の周囲を被覆する。
このアンダーフィル材23は、接合の信頼性を高めるとともに、熱伝導性を良くしてICチップ2の発熱を外部に逃がす役目も兼ねている。
以上、セラミック及び金属といった信頼性が高く、かつ安価な構成部品を用いることにより、例えば横2〜3.2mm、幅2〜2.5mm、厚さ0.7〜1.0mmという小型薄型の高信頼性の圧電発振器が安価に提供できる。
(実施例6)
第14図は、本発明のさらに他の実施例の水晶発振器の構造を示す構造図であり、第15図は、第14図の部分ARの構成例を示す拡大平面図である。
バンプ形成工程は、第2図に示すように例えば4インチ〜6インチのウェハー状態のICチップ2の各パッド14に、その線径が例えばΦ25〜35μm程度のAuボンディング細線を用いて超音波バンプボンディングにより、複数のバンプ4を形成する。
また、FCB工程は、第5図のフリップチップボンディングの加工工程図に示すように、ウェハー上のICチップ2が角錐コレット等のノズルによりピックアップされ、反転して超音波ホーンの先端ノズルに受け渡しされる。そして、フリップチップボンディング装置に設けられた画像認識等のシステムにより、ICチップ2がアライメントされて精度良くベース1のマウントエリアにチップマウントされる。
このようにバンプ4を形成したパッド14には、荷重と超音波による負荷が繰り返し加えられパッド14に、ダメージが発生する可能性が一見ありそうであるが、本実施形態では以下のようにしてこれを防止している。
本実施例では、第15図に示すようなICチップ2にバンプを形成する超音波接合の超音波の振動方向US2と、第14図に示すようなICチップ2をベース1に超音波接合する超音波の振動方向US1とが異なる方向、好ましくは例えば90°異なる方向となるように設定されている。
このように振動方向US1と振動方向US2を異なる方向にすることにより、超音波による負荷が繰り返し加えられパッド14にダメージが発生するのを防止することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、発振回路を有するワンチップの半導体集積回路と、圧電振動子にATカット水晶振動子とを用いた水晶発振器を例に述べてきたが、本発明はそれに限定されることなく、例えば電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、SAW発振器あるいはリアルタイムクロックモジュール等の半導体集積回路を内蔵した圧電デバイス全てに適用できる。更に、本発明は、水晶振動子チップやSAWチップをパッケージにフリップチップボンディングにより実装する圧電デバイスにも同様に適用できる。
以上説明したように本発明によれば、入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、開口部のセンターに半導体集積回路が搭載され、半導体集積回路はベースの電極パターンと複数のバンプにより接合されている構造により、応力は半導体集積回路に均一に加わることになり特定のバンプへ応力が集中することがなくなる。これにより、バンプと電極パターンとの接合不良のない構造的に優れた圧電発振器を提供できる。
また、本発明によれば、半導体集積回路は半導体集積回路の能動素子面にダミーバンプが形成されており、そのダミーバンプが、ベースの電極パターンに接続されている構造により、バンプに加わる応力を均一化することができる。また、超音波による接合加工がバランス良く行え、半導体集積回路が傾いて実装されることもなく、高品質の圧電発振器を提供できる。
また、本発明によれば、アンダーフィル材を半導体集積回路の裏面を含み、半導体集積回路全体を覆うようにして半導体集積回路の周囲に形成することにより、半導体集積回路とベースの接合の信頼性を高めるとともに、半導体集積回路の発熱をアンダーフィル材を伝導させてパッケージ外部に逃がすことができる。
また、本発明によれば、半導体集積回路に印加される超音波の振動方向を規定することにより、隣接するバンプ同士のショートを防止し、あるいは、全てのバンプと電極パターンとの接合が均一に行われる等の安定した超音波接合を行うことができ、高品質で歩留まりの良い圧電発振器を提供できる。
また、本発明によれば、半導体集積回路に形成された複数のバンプの形状を、それぞれ例えば直径Φ80〜90μm、高さ30〜35μm、及び直径Φ40〜45μm、高さ30〜35μmの2段形状のバンプに形成することにより、半導体集積回路とベースのギャップを数十μm(約30μm前後)に保つことができ、ショートや接合ズレ等の発生しない安定した超音波接合を行うことができる。また、本発明によれば、半導体集積回路の各辺に対向する少なくとも1つ以上のベースの側壁に凸部を形成したことにより、ディスペンサー等の塗布装置から塗布されたアンダーフィル材を、完全に半導体集積回路のバンプ部の隙間に浸透させることができ、アンダーフィル材でバンプ部を確実に被覆することが可能となる。また、この構造により、必要なだけの少量のアンダーフィル材を塗布することが可能となり、アンダーフィル材がATカット水晶振動子等に付着して、発振停止や発振周波数のバラツキ等の不具合を発生させることを防止することができる。
また、本発明によれば、半導体集積回路にバンプを形成する超音波接合の超音波の振動方向と、半導体集積回路をパッケージに超音波接合する超音波の振動方向とを異なる方向とすることにより、超音波による負荷が繰り返し加えられてパッドにダメージが発生するのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
このように、本発明は、半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイス及びその製造方法として用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの構造図。
【図2】本発明の圧電デバイスのウェハーへのバンプ形成図。
【図3】本発明の圧電デバイスのバンプ形状図。
【図4】本発明の圧電デバイスの他のバンプ形状図。
【図5】本発明のフリップチップボンディングプロセスを示す工程図。
【図6】FEM解析による応力分布図。
【図7】本発明の他の実施例を示す構造図。
【図8】本発明の他の実施例を示す構造図。
【図9】本発明の他の実施例を示す構造図。
【図10】本発明の他の実施例を示す平面図及び正面図。
【図11】本発明の他の実施例を示す平面図及び正面図。
【図12】本発明の他の実施例を示す構造図。
【図13】本発明の接合部の断面を示す構造図。
【図14】本発明のさらに他の実施例の水晶発振器の構造を示す構造図。
【図15】第14図の部分ARの構成例を示す拡大平面図。
【図16】従来の圧電デバイスの構造図。

Claims (16)

  1. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと複数のバンプにより接合されてなり、
    前記圧電振動子がマウントされる積層部が前記半導体集積回路の周囲を囲み、かつ少なくとも第1層と該第1層の上に配置される第2層の2層で形成されており、前記第1層の開口部が前記第2層の開口部より大きく形成されていることを特徴とする圧電デバイス。
  2. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと複数のバンプにより接合されてなり、
    前記半導体集積回路の各辺に対向する少なくとも1つ以上のベースの側壁に、凸部を形成したことを特徴とする圧電デバイス。
  3. 前記半導体集積回路の長手方向の2辺に対向するベースの側壁に、凸部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の圧電デバイス。
  4. 前記ベースの側壁に形成した凸部が、前記半導体集積回路と同じ高さかあるいはそれ以上であることを特徴とする請求項2に記載の圧電デバイス。
  5. 前記ベースの側壁に形成した凸部と前記半導体集積回路との隙間が、0.05〜0.15mmとなるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の圧電デバイス。
  6. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースに開口部が形成され、複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部に前記半導体集積回路が搭載され、前記半導体集積回路は前記ベースの電極パターンと前記複数のバンプにより接合されてなり、
    前記圧電振動子がマウントされる積層部が前記半導体集積回路の周囲を囲み、かつ少なくとも第1層と該第1層の上に配置される第2層の2層で形成されており、前記第1層の開口部が前記第2層の開口部より大きく形成されていることを特徴とする圧電デバイス。
  7. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
    前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向が、前記複数のバンプが形成された前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に対し、垂直方向であることを特徴とする圧電デバイス。
  8. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
    前記ベースの電極パターンの印刷方向と前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向が同一方向であることを特徴とする圧電デバイス。
  9. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面の対向する2辺に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、該半導体集積回路に形成された複数のバンプと前記電極パターンとが前記半導体集積回路を通じて印加される荷重と超音波によって固相接合されてなり、
    前記ベースの電極パターンの長手方向と、前記半導体集積回路に印加される超音波の振動方向とが同一方向であることを特徴とする圧電デバイス。
  10. 前記半導体集積回路に形成された複数のバンプの直径が、それぞれ前記半導体集積回路の能動素子面のパッドの開口部の1辺の0.8〜0.9倍及び0.4〜0.45倍の2段形状のバンプで形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  11. 前記半導体集積回路に形成された複数のバンプの形状が、それぞれ直径80〜90μm、高さ30〜35μm、及び直径40〜45μm、高さ30〜35μmの2段形状のバンプで形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  12. 前記ベースがセラミックの積層基板からなることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  13. 前記半導体集積回路に形成された複数のバンプがAuバンプであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  14. 前記半導体集積回路は能動素子面にダミーバンプが形成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の圧電デバイス。
  15. 前記半導体集積回路に形成されたダミーバンプが、前記ベースの電極パターンに接続されていることを特徴とする請求項14に記載の圧電デバイス。
  16. 半導体集積回路と圧電振動子とをパッケージに内蔵した圧電デバイスにおいて、
    入出力用の電極パターンが形成されたベースのセンターに開口部が形成され、
    複数のバンプが前記半導体集積回路の能動素子面に形成され、前記開口部のセンターに前記半導体集積回路が搭載され、前記バンプと前記ベースの電極パターンと超音波接合されてなり、
    前記半導体集積回路にバンプを形成する際の超音波の振動方向と、前記半導体集積回路を前記パッケージに接合する際の超音波の振動方向とが異なる方向であることを特徴とする圧電デバイス。
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