JP3658464B2 - 2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相での2−ヒドロキシベンズアミドの脱水による2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造法に関する。
【0002】
2−ヒドロキシベンゾニトリルは、生物活性物質製造用の重要な中間体である。
【0003】
【従来の技術】
2−ヒドロキシベンズアミドからの2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造は、基本的には公知である。しかしながら、脱水剤として、高価な上に化学量論的量又は化学量論的過剰量で使用されるべき試薬のみが記載されている。
【0004】
特公昭41−12301号明細書中には、例えば窒化塩化リンを用いての100〜600℃での2−ヒドロキシベンズアミドの転換が記載されている。
【0005】
ドイツ特許公開(DE−OS)第2533245号明細書は、ホスゲンを用いて非極性溶媒中でアミドを変換することにより2−ヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法を記載している。その際、このニトリルは収率>90%で得られる。ここでホスゲンを化学量論的過剰量で使用しなければならないことは別として、工業的方法でのホスゲンの使用は、その極度の毒性により著しい困難と結びついている。
【0006】
2−ヒドロキシベンズアミドからの2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造のために、脱水剤としてのチオリン酸ジアミド(Bull. Soc. Chim. Belg. 86, 4(1977))、チオニルジイミダゾール(Heterocycles 12, 1285(1979))及びクロルギ酸トリクロロメチル(Tetrahedron Lett. 2203 (1986))を使用することも公知である。
【0007】
必要とされるこれらの試薬は高価である上に化学量論的量又は化学量論的過剰量で使用されなければならないので、これらの全ての方法は実験室規模での製造のためにのみ好適である。
【0008】
更に、アンモニアを用いての、2−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルから2−ヒドロキシベンゾニトリルへの触媒作用による転換は公知である(Izv. Akad. Nauk. Kaz. SSR, Ser. Khim. 1987 (2), 62)。そこでは触媒として、リン酸ホウ素が使用された。問題なのは、この方法の場合には、アンモニア及び、メチルエステルに由来するメタノールからのメチルアミンの形成である。更に、2−ヒドロキシベンゾニトリルは温度>100℃で液相で不可逆的に、高温で融解するトリアジンに移行する傾向を有する。即ち、形成された2−ヒドロキシベンゾニトリルが、高温の反応器中で更に反応して大部分がトリアジンになる。従って、生成物収率は悪い。更に、反応器が短い時間内に目詰まりするので、この操作方法は工業的方法には適さない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、容易にかつ可能な限り経済的に2−ヒドロキシベンズアミドから良好な収率で2−ヒドロキシベンゾニトリルを製造することを可能にする方法を提供するという課題に基づいている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
意外にも、気相での2−ヒドロキシベンズアミドから2−ヒドロキシベンゾニトリルへの脱水を特に良好な結果を伴って不均一系触媒作用により実施できることを見出した。殊にこのために、リン酸で浸漬されたシリカゲルを触媒として使用することができる。好適にはリン酸で浸漬されたシリカゲルを、使用前に乾燥させる。シリカゲルとして、ここでは例えばカリ−ヒェミー(Kali-Chemie)のAF125が好適であるが、仕様から相応する他のシリカゲル品質のものも使用してよい。脱水反応を200〜400℃の温度で実施するのが有利である。好適には、この反応を減圧下で行う。この反応を有利に圧力5〜100ミリバール、特に有利に20〜40ミリバールで実施する場合には、高温で融解するトリアジンへの2−ヒドロキシベンゾニトリルの二次反応は起こらないことも特に意外であった。この反応を、LHSV(Liquid hourly space velocity;液空間速度)0.05〜1h-1で、特に0.1〜0.5h-1で実施するのが有利である。脱水反応からの粗製流出物は、一般に、反応水と共に90重量%を超える2−ヒドロキシベンゾニトリルから成り、純粋な2−ヒドロキシベンゾニトリルは、蒸留による後処理により得るのが好適であり、ここでは真空蒸留が有利である。
【0011】
従って本発明の課題は、気相での2−ヒドロキシベンズアミドの脱水により2−ヒドロキシベンゾニトリルを製造する方法において、その反応を不均一系触媒作用により実施することを特徴とする2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造法である。
【0012】
触媒は、本発明による方法での使用は、球形又は小球形、砕石形、棒状、管状又はモノリス状、例えば蜂巣状でも実施されうる。しかしながら、この触媒を粉末状で使用することも可能である。一般的に、ここで使用される触媒は、酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素及び/又は酸化チタン及び/又は酸化ジルコニウム及び/又はケイ酸塩を含有してよい。このような酸化物原料は、その場合に、一般に無機酸、特にリン酸で処理され、熱により後処理される(例1も参照)。
【0013】
本発明による方法では、反応を管状反応器中で実施するのが有利である。ここで脱水反応を、触媒、即ちリン酸、有利に5〜85重量%リン酸水溶液で浸漬されたシリカゲルを、温度200〜500℃、有利に300〜400℃、特に有利に380〜390℃に差し当たり加熱するように実施するのが好適である。次いで2−ヒドロキシベンズアミドを融解された状態で触媒上に添加することができ、その際にLHSVは0.05〜1h-1、有利に0.1〜0.5h-1であるべきである。
【0014】
脱水反応は、本発明による方法では、好適には減圧下で、有利に圧力5〜100ミリバールで、特に有利に圧力20〜40ミリバールで実施する。この様にして得られる粗生成物(粗製流出物とも称される)は、一般に、蒸留により有利に真空下で精製され、その際に、この生成物は高温で融解するトリアジンを形成する傾向を有するので、この蒸留は2−ヒドロキシベンゾニトリルに大きな熱的負荷をかけずに行うべきである。
【0015】
本発明による方法は、今や2−ヒドロキシベンゾニトリルを容易でかつ経済的な方法で製造する可能性を提供する。
【0016】
本発明を下記の例により詳述する。
【0017】
【実施例】
例1:
脱水触媒の製造:
シリカゲル200g(Kali-Chemie、HannoverのAF125)を30重量%リン酸500gと共に室温で2時間撹拌する。固体を濾別し、次いで110℃で30時間かけて乾燥させる。
【0018】
脱水反応の実施:
実験装置の一つの構成を図1に示す。2−ヒドロキシベンズアミド80g(0.58モル)を加熱可能な出発物質受器中で融解させる(初流分温度:150℃)。圧力30ミリバール及び触媒温度380〜390℃で、この液状アミドを触媒(触媒量:100ml)上に配量する(約15ml/時間)。LHSVは0.15h-1である。実験装置からの粗製流出物として76gが得られる。
【0019】
粗製流出物の蒸留による後処理は、慣用の蒸留装置中で行なう:
【0020】
【表1】
Figure 0003658464
【0021】
留分2は97重量%で2−ヒドロキシベンゾニトリルから成る。従って、2−ヒドロキシベンゾニトリルの収率は87%である。
【0022】
例2:
2−ヒドロキシベンズアミド210g(1.53モル)を加熱可能な受器中で融解させる(初流分温度:150℃)。圧力20ミリバール及び触媒温度380〜400℃で、この液状アミドを触媒(触媒量:100ml、触媒製造は例1を参照)上に配量する(約20ml/時間)。LHSVは0.2h-1である。触媒炉の粗製流出物として202gが得られる。
【0023】
蒸留は、単純な蒸留装置中で行なう:
【0024】
【表2】
Figure 0003658464
【0025】
留分2は97重量%で2−ヒドロキシベンゾニトリルから成る。従って、2−ヒドロキシベンゾニトリルの収率は87%である。
【0026】
例3:
2−ヒドロキシベンズアミド150g(1.09モル)を加熱可能な受器中で融解させる(初流分温度:150℃)。圧力30ミリバール及び触媒温度380〜390℃でこの液状アミドを触媒(触媒量:100ml、触媒製造は例1を参照)上に配量する(約10ml/時間)。LHSVは0.1h-1である。粗製流出物として145gが得られる。
【0027】
蒸留は、単純な蒸留装置中で行われる:
【0028】
【表3】
Figure 0003658464
【0029】
留分2は97重量%で2−ヒドロキシベンゾニトリルから成る。従って、2−ヒドロキシベンゾニトリルの収率は85%である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の一つの構成を示す図。
【符号の説明】
1 出発物質受器
2 管状反応器
3 触媒
4 加熱ジャケット
5 生成物収集器
6 真空ポンプ

Claims (8)

  1. 気相での2−ヒドロキシベンズアミドの脱水による2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造法において、この反応を不均一系触媒としてリン酸処理されたシリカゲルを使用し、かつ減圧下で実施することを特徴とする、2−ヒドロキシベンゾニトリルの製造法。
  2. リン酸で浸漬されたシリカゲルを使用前に乾燥させる、請求項1に記載の方法。
  3. 反応を温度200〜400℃で実施する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 反応を圧力5〜100ミリバールで実施する、請求項に記載の方法。
  5. 反応を圧力20〜40ミリバールで実施する、請求項に記載の方法。
  6. 反応を液空間速度0.05〜1h−1で実施する、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  7. 反応を液空間速度0.1〜0.5h−1で実施する、請求項に記載の方法。
  8. 脱水の粗製流出物から蒸留による後処理により純粋な2−ヒドロキシベンゾニトリルを得る、請求項1からのいずれかに記載の方法。
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