JP3651843B2 - フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得るための製造方法に関するものである。本発明で得られるノボラック型フェノール樹脂は、例えば、成形材料、摩擦材、砥石、封止材等のバインダーとして好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸といった無機、有機酸を触媒として反応させることで得られる。ノボラック型フェノール樹脂の分子量は、フェノール類とアルデヒド類との仕込比率等で調整するのが一般的であるが、分子量の低いノボラック型フェノール樹脂は、分子量分布が広くなりやすい。分子量分布を狭くする一般的手段としては、有機溶媒中で反応させる方法、水蒸気蒸留あるいは溶剤洗浄により低分子量成分を除去する方法があるが、前者の場合は低分子量のノボラック型フェノール樹脂は得られず、後者の場合は収率が大きく低下してしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造する事にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、完成されたものであり、第一の発明は、フェノール類とアルデヒド類とを、水溶性を有する有機ホスホン酸を触媒として反応することを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法である。第二の発明は、フェノール類とアルデヒド類とを水溶性を有する有機ホスホン酸を触媒として反応するノボラック型フェノール樹脂の製造方法において、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応することを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法である。第三の発明は、上記有機ホスホン酸が、一般式(1)で示されるものである第一の発明又は第二の発明に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法である。
R−PO(OH)2 (1)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である)
【0005】
本発明に用いられるフェノール類は、特に限定されるものではないが、好ましくは、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシンなどから選ばれた少なくとも1種以上のフェノール類である。
【0006】
本発明に用いられるアルデヒド類は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン等あるいはこれらの混合物であり、これらのアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することも可能である。
フェノール類とアルデヒド類との反応モル比は、フェノール類1.0モルに対して、アルデヒド類0.1〜3.0モル、好ましく0.5〜1.0モルである。反応の開始時において、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み触媒を添加し反応させてもよく、また、反応初期の発熱を押さえるため、フェノール類と触媒を添加してからアルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。
【0007】
本発明において触媒として使用する水溶性を有する有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH)2 を含む有機化合物であり、水溶性を有するものであればいかなるものも使用可能であるが、一般式(1)で示されるホスホン酸が、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好ましい。R−PO(OH)2 (1)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である)
一般式(1)で示される有機ホスホン酸としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。本発明の目的からみて工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
【0008】
有機ホスホン酸の添加量としては、フェノール類1モルに対して0.001〜4.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという本発明の効果は大きいが、触媒添加量が4.0モルを越えるとその効果が変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒としての効果が実質的になくなる。シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの通常ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸の併用も可能である。これらの酸の併用は特に4核対以上の高分子領域での反応促進に有効であり、分子量分布を制御する方法として有効な手段と言える。
【0009】
本発明ノボラック型フェノール樹脂の製造方法において、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃とする反応条件は、未反応フェノール類のみならず、2核体や3核体といった低分子領域のノボラック型フェノール樹脂が選択的に反応するのに有効で、分子量分布を効果的に狭くすることができる条件である。言い換えれば、未反応フェノール類の反応は、上記反応条件から外れた条件、即ち、水分が多く、低温下でも十分に行いうるが、2核体、3核体等の低分子領域の選択的な反応は不十分で分子量分布が広くなる傾向がある。
【0010】
本発明において、反応系中の水分量とは、系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、ノボラック型フェノール樹脂、有機ホスホン酸等全体に対する水分量である。水分には、仕込み時に添加した水分、添加するアルデヒド類に含まれる水分、添加する有機ホスホン酸に含まれる水分、有機ホスホン酸の結晶水等、仕込み原料に由来する水分、反応時に発生する縮合水などがある。これらの反応系中の水分量が30重量%以下、好ましくは1〜20重量%である。反応系中の水分量の計算方法は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量を反応系中の水分量とし、仕込み全量で除した値である。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量から溜去した水分量を減じた水分量が反応系中の水分量である。この水分量は少ない程、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得る効果が高くなるので20重量%以下が好ましい。しかし、水分が少ないと有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結し、触媒作用が低下するため、結晶水を含む程度の水分量である1重量%以上が好ましい。水分量が30重量%を越えるとその効果がほとんど変わらなくなる。
【0011】
本発明における反応温度は、110〜200℃が好ましい。110℃より低いと、上記のような水分の少ない条件下では、触媒である有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結し、触媒作用が低下する。200℃を越えると有機ホスホン酸の分解及びノボラック型フェノール樹脂の分解が起こる。有機ホスホン酸、ノボラック型フェノール樹脂の分解は低温ではより起こりずらく好ましいが、水分量1〜20重量%で有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結しなく触媒作用を十分に有した状態となるための温度範囲としては、130〜160℃である。
【0012】
常圧下の反応であれば、水分量が30重量%以下の範囲で還流温度はほぼ110〜200℃にあたり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。
また、アルデヒド類を添加しながら、生成する縮合水を蒸留等で取り除く反応は、反応系中の水分量が一定となり好ましい条件である。しかし、この時、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる欠点があるので、注意を要する。
この欠点を克服するため、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されないようにして反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後あるいは取り除きながら、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応を続けることができる。
【0013】
反応終了後、触媒除去のために、中和や水洗を行ってもよい。また、必要により、水や有機溶剤、さらには未反応のフェノール類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことも可能である。
【0014】
本発明において、有機ホスホン酸を触媒として用い、ノボラック型フェノール樹脂を高収率で分子量分布を狭くすることができる理由は、以下のように考えられる。本発明に用いる有機ホスホン酸は、非常に水溶性が高い。しかし、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂には分子量増大ととも溶解性が更に小さくなる性質を有している。このため反応時には、触媒である有機ホスホン酸を多量に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノール樹脂からなる、触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態となる。フェノール類及び2核体等の低分子成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分はアルデヒド類と反応する。しかし、高分子領域では溶出がほとんどなく反応が進まない。また、水相に溶出し反応したノボラック型フェノール樹脂は速やかに有機相に抽出され、その以上反応は進まない。この様にして、低分子領域と高分子領域の反応速度差が生じるため、結果的に未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型樹脂を高収率に製造する事が可能となる。本発明は、触媒として有機ホスホン酸を用い、好ましくは、反応条件として、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃とすることを特徴とする。本発明の製造方法によるノボラック型フェノール樹脂の分子量が狭く、かつ高収率で樹脂を得ることができる理由は、以下のように考えられる。反応系中の水分が30重量%以下と少なく、反応温度が110℃以上の高温であることにより、以下のような効果を得ることができる。まず、高温であることから、2核体、3核体等の低分子領域も水相へ溶出されやすく、水相での反応が容易に進む。そして、水分が少なく水相中のイオン濃度が高い状態で維持される。水相と有機相の界面がよりしっかりと分離するので、有機相側の反応を防止できる。また、有機ホスホン酸は高濃度であると粘度を高めたり固結したりする性質があるが、高温であるため溶融した状態となり触媒機能を失うことが防止できる。これらの効果から、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得る効果が高まる事による。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重量%」を示す。
【0016】
(実施例1)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)を200部添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液700部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Aを1192部得た。
【0017】
(実施例2)3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、アミノトリスメチレンホスホン酸50%水溶液(ディクエスト2000、ソルーシア・ジャパン(株)製)を240部添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液700部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Bを1178部得た。
【0018】
(比較例1)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸を10部添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液700部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、フェノール樹脂Iを957部得た。
【0019】
(実施例3)3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)を200部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、純水500部を添加し混合した後、樹脂と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Cを1056部得た。
【0020】
(実施例4)3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、アミノトリスメチレンホスホン酸50%水溶液(ディクエスト2000、ソルーシア・ジャパン(株)製)を240部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Dを1052部得た。
【0021】
(実施例5)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸50%水溶液(PBTC、城北化学(株)製)を240部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Eを1047部得た。
【0022】
(実施例6)
3Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)1000部とフェノール1000部を添加して100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を1時間かけて逐次添加した。その後、100℃で1時間還流させながら反応を行った。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Fを1065部得た。
【0023】
(実施例7)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学(株)製)を600部添加し、140℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド277.5部を30分間かけて逐次添加し、126℃で1時間還流させながら反応させた。この反応時の系中水分は反応初期は2%であり、反応終了時は12%であった。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Gを1076部得た。
【0024】
(実施例8)
3Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)1000部を添加し常圧蒸留を行い80%の濃度とし、フェノール1000部を添加して100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液550部を30分間かけて逐次添加し、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温させ反応系中の水分量を6%とした。その後、130℃に温度を維持し、水分量を約6%で一定として、常圧蒸留を行いながら37%ホルムアルデヒド水溶液140部を30分かけて添加した。この間蒸留により失われたフェノール量は仕込んだフェノールに対して0.3%であった。その後、140℃で1時間還流させながら反応を行った。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Hを1074部得た。
【0025】
(比較例2)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸を10部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、フェノール樹脂Jを957部得た。
【0026】
(比較例3)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸を10部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、実施例3と同様に、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Kを972部得た。
【0027】
実施例1〜2と比較例1で得られたフェノール樹脂について、特性について表1に示し、液体クロマトグラフィーチャートを図1〜3に示す。
【表1】
【0028】
実施例3〜8と比較例2〜3で得られたフェノール樹脂について、特性について表2に示す。
【表2】
(測定方法)
1.樹脂収得量:フェノール1000部に対する収得したフェノール樹脂の量
2.数平均分子量、及び重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定
・液体クロマトグラフィー:
東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定した。分子量は、実施例2の液体クロマトグラフィーチャート(図2)で7核体のピーク位置である図3中のピークを分子量730、3核体のピーク位置である図中7のピークを分子量306、フェノールのピーク位置である図3中10のピークを分子量94として近似直線を引いて換算した。
3.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準じ、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
【0029】
【0030】
(測定方法)
4.軟化点:JIS K−2531にて測定した。
5.50%エタノール溶液の動粘度:50重量%のエタノール溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
6.2核体量:液体クロマトグラフィーで測定したチャートの面積比から求めた。
・液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
【0031】
表1、表2の結果から明らかなように、実施例で得られたノボラック型フェノール樹脂は比較例によるフェノール樹脂に比べて分子量分布が狭く、未反応フェノールが少なく反応収量も高い。また、表2の結果から明らかなように実施例7、8で得られたフェノール樹脂は、実施例6で得られたフェノール樹脂に比べては、分子量分布が狭く、未反応フェノールが少なく反応収量も高い。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明の製造方法により、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたノボラック樹脂の液体クロマトグラフィーチャート。
【図2】 実施例2で得られたノボラック樹脂の液体クロマトグラフィーチャート。
【図3】 比較例1で得られたノボラック樹脂の液体クロマトグラフィーチャート。
Claims (3)
- フェノール類とアルデヒド類とを、水溶性を有する有機ホスホン酸を触媒として反応することを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- フェノール類とアルデヒド類とを、水溶性を有する有機ホスホン酸を触媒として反応するノボラック型フェノール樹脂の製造方法において、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応することを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記有機ホスホン酸が、一般式(1)で示されるものである請求項1又は2記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
R−PO(OH)2 (1)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である)
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