JP2002179751A - 芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents
芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法Info
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- JP2002179751A JP2002179751A JP2000383657A JP2000383657A JP2002179751A JP 2002179751 A JP2002179751 A JP 2002179751A JP 2000383657 A JP2000383657 A JP 2000383657A JP 2000383657 A JP2000383657 A JP 2000383657A JP 2002179751 A JP2002179751 A JP 2002179751A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 分子量が低く、かつ分子量分布が狭いる芳香
族炭化水素変性ノボラック型フェノール樹脂を高収率で
得ること。 【解決手段】 フェノール類と芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂とを、有機ホスホン酸を触媒として反応すること
を特徴とする芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方
法。
族炭化水素変性ノボラック型フェノール樹脂を高収率で
得ること。 【解決手段】 フェノール類と芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂とを、有機ホスホン酸を触媒として反応すること
を特徴とする芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方
法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、未反応フェノール
類が少なくかつ分子量分布が狭い芳香族炭化水素フェノ
ール樹脂を高収率に得るための製造方法に関するもので
ある。本発明で得られた芳香族炭化水素フェノール樹脂
は、例えば、摩擦材、砥石、積層板、成形材料、接着剤
用のバインダーや、エポキシ樹脂の硬化剤、エポキシ樹
脂の原料等に好適に使用されるものである。
類が少なくかつ分子量分布が狭い芳香族炭化水素フェノ
ール樹脂を高収率に得るための製造方法に関するもので
ある。本発明で得られた芳香族炭化水素フェノール樹脂
は、例えば、摩擦材、砥石、積層板、成形材料、接着剤
用のバインダーや、エポキシ樹脂の硬化剤、エポキシ樹
脂の原料等に好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族炭化水素フェノール樹脂は、通常
のノボラック型フェノール樹脂に比べ、耐熱性、耐水
性、寸法安定性等が優れ、摩擦材、砥石接着剤などの各
種バインダー広く用いられている。その芳香族炭化水素
フェノール樹脂は、フェノールと芳香族炭化水素がメチ
レン橋で結合した分子構造であり、芳香族炭化水素とし
ては、単環芳香族炭化水素化合物あるいは多環芳香族炭
化水素化合物が挙げられる。芳香族炭化水素フェノール
樹脂は、フェノール性水酸基が少なく耐熱性、耐水性、
寸法安定性等の特性が得られる。
のノボラック型フェノール樹脂に比べ、耐熱性、耐水
性、寸法安定性等が優れ、摩擦材、砥石接着剤などの各
種バインダー広く用いられている。その芳香族炭化水素
フェノール樹脂は、フェノールと芳香族炭化水素がメチ
レン橋で結合した分子構造であり、芳香族炭化水素とし
ては、単環芳香族炭化水素化合物あるいは多環芳香族炭
化水素化合物が挙げられる。芳香族炭化水素フェノール
樹脂は、フェノール性水酸基が少なく耐熱性、耐水性、
寸法安定性等の特性が得られる。
【0003】芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法
は、フェノール類と芳香族炭化水素アルデヒド樹脂とを
塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンス
ルホン酸、キシレンスルホン酸といった無機、有機酸を
触媒として反応させることで得られる。芳香族炭化水素
フェノール樹脂の分子量は、フェノール類と芳香族炭化
水素アルデヒド樹脂との仕込比率等で調整するのが一般
的であるが、分子量分布が広くなりやすい問題があっ
た。また、未反応のフェノール類が残り、一般的にはこ
れを取り除く操作を行うため収得量が下がる問題があっ
た。分子量分布を狭くする一般的手段としては、有機溶
媒中で反応させる方法、あるいは水蒸気蒸留や溶剤洗浄
により低分子量成分を除去する方法等がある。しかしな
がら、前者の場合は低分子量の芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂は得られず、後者の場合は収率が大きく低下して
しまう欠点があった。
は、フェノール類と芳香族炭化水素アルデヒド樹脂とを
塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンス
ルホン酸、キシレンスルホン酸といった無機、有機酸を
触媒として反応させることで得られる。芳香族炭化水素
フェノール樹脂の分子量は、フェノール類と芳香族炭化
水素アルデヒド樹脂との仕込比率等で調整するのが一般
的であるが、分子量分布が広くなりやすい問題があっ
た。また、未反応のフェノール類が残り、一般的にはこ
れを取り除く操作を行うため収得量が下がる問題があっ
た。分子量分布を狭くする一般的手段としては、有機溶
媒中で反応させる方法、あるいは水蒸気蒸留や溶剤洗浄
により低分子量成分を除去する方法等がある。しかしな
がら、前者の場合は低分子量の芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂は得られず、後者の場合は収率が大きく低下して
しまう欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の触媒
を用いることによって、未反応フェノール類が少なくか
つ分子量分布が狭い芳香族炭化水素フェノール樹脂を高
収率に製造する事を目的とする。
を用いることによって、未反応フェノール類が少なくか
つ分子量分布が狭い芳香族炭化水素フェノール樹脂を高
収率に製造する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意研究を行った結果、本発明者は、フェノール類と
芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とを有機ホスホン
酸を触媒として用いて反応する芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂製造方法を見出した。好ましくは有機ホスホン酸
が下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸であるこ
とを特徴とする。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。)
に鋭意研究を行った結果、本発明者は、フェノール類と
芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とを有機ホスホン
酸を触媒として用いて反応する芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂製造方法を見出した。好ましくは有機ホスホン酸
が下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸であるこ
とを特徴とする。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。)
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるフェノール類
としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メ
タクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラタ
ーシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノー
ル、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビス
フェノールF、レゾルシンなどのフェノール類であり、
これらから選ばれた少なくとも1種以上のフェノール類
が使用され、特に限定はしない。
としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メ
タクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラタ
ーシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノー
ル、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビス
フェノールF、レゾルシンなどのフェノール類であり、
これらから選ばれた少なくとも1種以上のフェノール類
が使用され、特に限定はしない。
【0007】芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、
例えば、メシチレンホルムアルデヒド樹脂、キシレンホ
ルムアルデヒド樹脂、トルエンホルムアルデヒド樹脂、
ベンゼンホルムアルデヒド樹脂、ナフタレンホルムアル
デヒド樹脂等の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂で
あり、これらから選ばれた少なくとも1種類が使用さ
れ、特に限定はしない。その芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂は、数平均分子量300〜1000、酸素含
有率5〜20%、軟化点40〜140℃の範囲にあるこ
とが好ましい。数平均分子量300未満であると未反応
の芳香族炭化水素が多く、1000を越えると芳香族炭
化水素同士の結合が多く高分子量化しやすい、酸素含有
率5%未満であると反応性が低すぎ、20%を越えると
反応性が高すぎる、軟化点40℃未満であると未反応の
芳香族炭化水素が多く、140℃を越えると芳香族炭化
水素同士の結合が多く高分子量化しやすい。
例えば、メシチレンホルムアルデヒド樹脂、キシレンホ
ルムアルデヒド樹脂、トルエンホルムアルデヒド樹脂、
ベンゼンホルムアルデヒド樹脂、ナフタレンホルムアル
デヒド樹脂等の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂で
あり、これらから選ばれた少なくとも1種類が使用さ
れ、特に限定はしない。その芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂は、数平均分子量300〜1000、酸素含
有率5〜20%、軟化点40〜140℃の範囲にあるこ
とが好ましい。数平均分子量300未満であると未反応
の芳香族炭化水素が多く、1000を越えると芳香族炭
化水素同士の結合が多く高分子量化しやすい、酸素含有
率5%未満であると反応性が低すぎ、20%を越えると
反応性が高すぎる、軟化点40℃未満であると未反応の
芳香族炭化水素が多く、140℃を越えると芳香族炭化
水素同士の結合が多く高分子量化しやすい。
【0008】触媒として使用する有機ホスホン酸は、ホ
スホン酸基−PO(OH)2 を含む有機化合物であり、い
かなるものも使用可能であるが、一般式(I)で示され
るホスホン酸が、低分子量でかつ分子量分布が狭いノボ
ラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好まし
い。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。) 一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミ
ノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキス
ホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン
酸、アミノトリメチレンホスホン酸、β−アミノエチル
ホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸
N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,
1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4
−トリカルボン酸等がある。本発明の目的からみて工業
的に大量生産され安価であるアミノトリメチレンホスホ
ン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホ
ン酸、及び2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカル
ボン酸が好ましい。
スホン酸基−PO(OH)2 を含む有機化合物であり、い
かなるものも使用可能であるが、一般式(I)で示され
るホスホン酸が、低分子量でかつ分子量分布が狭いノボ
ラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好まし
い。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。) 一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミ
ノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキス
ホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン
酸、アミノトリメチレンホスホン酸、β−アミノエチル
ホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸
N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,
1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4
−トリカルボン酸等がある。本発明の目的からみて工業
的に大量生産され安価であるアミノトリメチレンホスホ
ン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホ
ン酸、及び2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカル
ボン酸が好ましい。
【0009】有機ホスホン酸の添加量としては、フェノ
ール類1モルに対して0.001〜4.0モル、好まし
くは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添
加量が多い方が、未反応フェノール類が少なくかつ分子
量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得
る効果が高い傾向にあるが、触媒添加量が4.0モルを
越えると、分子量を低く分子量分布を狭くする効果が変
わらなくなる。0.001モル未満では、触媒としての
効果が実質的になくなる。
ール類1モルに対して0.001〜4.0モル、好まし
くは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添
加量が多い方が、未反応フェノール類が少なくかつ分子
量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に得
る効果が高い傾向にあるが、触媒添加量が4.0モルを
越えると、分子量を低く分子量分布を狭くする効果が変
わらなくなる。0.001モル未満では、触媒としての
効果が実質的になくなる。
【0010】フェノール類に対する芳香族炭化水素アル
デヒド樹脂の反応モル比は、芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂をアルデヒド源と見なして、フェノール類
1.0当量(モル)に対して、芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂の反応性基が0.1〜3.0当量、好ましく0.
5〜1.0当量である。芳香族炭化水素アルデヒド樹脂
の反応性基が0.1当量未満の場合、未反応のフェノー
ル類が多く残るする問題がある。3.0当量を越えると
未反応の芳香族炭化水素アルデヒド樹脂が多く残り、ゲ
ル化等を起こすおそれがある。芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂の反応性基は、−CH2OH、−CH2OCH
2−、−CH2O−、−CH2OCH2OH等であり、反応
基の当量数は樹脂の酸素含有率から求めることができ
る。。芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の量が多い
と製造した樹脂組成物の芳香族炭化水素変性の変性率が
高くなり、電気絶縁性、耐水性が良好となるが、硬化
性、基材との密着性が悪化する傾向にある。また、分子
量も大きくなり成形性が悪くなる問題もある。
デヒド樹脂の反応モル比は、芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂をアルデヒド源と見なして、フェノール類
1.0当量(モル)に対して、芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂の反応性基が0.1〜3.0当量、好ましく0.
5〜1.0当量である。芳香族炭化水素アルデヒド樹脂
の反応性基が0.1当量未満の場合、未反応のフェノー
ル類が多く残るする問題がある。3.0当量を越えると
未反応の芳香族炭化水素アルデヒド樹脂が多く残り、ゲ
ル化等を起こすおそれがある。芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂の反応性基は、−CH2OH、−CH2OCH
2−、−CH2O−、−CH2OCH2OH等であり、反応
基の当量数は樹脂の酸素含有率から求めることができ
る。。芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の量が多い
と製造した樹脂組成物の芳香族炭化水素変性の変性率が
高くなり、電気絶縁性、耐水性が良好となるが、硬化
性、基材との密着性が悪化する傾向にある。また、分子
量も大きくなり成形性が悪くなる問題もある。
【0011】反応溶媒としては、水が一般的であり好ま
しいが、有機溶媒も使用できる。また、非極性溶媒を用
いて、非水系で行っても構わない。また、パラホルム等
用いて反応溶媒なしでもよい。有機溶媒としては、アル
コール類、ケトン類、芳香族類等で、アルコール類とし
ては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、グリセリン等で、ケトン類としては、
アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
しいが、有機溶媒も使用できる。また、非極性溶媒を用
いて、非水系で行っても構わない。また、パラホルム等
用いて反応溶媒なしでもよい。有機溶媒としては、アル
コール類、ケトン類、芳香族類等で、アルコール類とし
ては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、グリセリン等で、ケトン類としては、
アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0012】他の触媒として塩酸、硫酸、リン酸、亜リ
ン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホ
ン酸といった通常芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造
で使用する酸を併用することも可能である。
ン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホ
ン酸といった通常芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造
で使用する酸を併用することも可能である。
【0013】反応温度は、50〜250℃、好ましくは
120〜160℃の温度域で行う。反応温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、経済的に成り立たない。反応温度
が高すぎると触媒の分解、あるいは樹脂の再配列反応が
起こる。反応終了後、触媒除去のために、中和や水洗を
行っても構わない。また、反応溶媒である水や有機溶
媒、未反応のフェノール類を除去するため、常圧蒸留
や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行っても構わない。
120〜160℃の温度域で行う。反応温度が低すぎる
と反応の進行が遅く、経済的に成り立たない。反応温度
が高すぎると触媒の分解、あるいは樹脂の再配列反応が
起こる。反応終了後、触媒除去のために、中和や水洗を
行っても構わない。また、反応溶媒である水や有機溶
媒、未反応のフェノール類を除去するため、常圧蒸留
や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行っても構わない。
【0014】本発明の有機ホスホン酸触媒が、分子量分
布を狭く、かつ未反応フェノール類を少なく高収得に製
造できる理由は以下の様に考えられる。本発明の有機ホ
スホン酸は、非常に水溶性が高く水和しやすい、そし
て、フェノール類、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹
脂には溶解性が小さく、芳香族炭化水素フェノール樹脂
分子量増大ととも溶解性が更に低下する性質を有してい
る。このため反応時には、触媒である有機ホスホン酸を
多量に含んだ水相と、フェノール類、芳香族炭化水素ホ
ルムアルデヒド樹脂、芳香族炭化水素フェノール樹脂か
らなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した
状態となる。フェノール類、芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂、及び初期反応性物等低分子成分は比較的水
相に溶出しやすく、溶出した部分は反応は進むが、高分
子領域では溶出がほとんどなく反応が進まない。また、
水相に溶出し反応した芳香族炭化水素フェノール樹脂は
速やかに有機相に抽出され、分子量の増大しない。この
様にして、低核体領域と高分子領域の反応速度差が生じ
るため、結果的に分子量分布が狭く、かつ未反応フェノ
ール類が少ない芳香族炭化水素フェノール樹脂を高収率
に製造する事が可能となる。この際、フェノール類及び
芳香族炭化水素アルデヒド樹脂等低分子成分の有機相か
ら水相への溶出量と、反応した芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂の有機相への抽出量は、水相と有機相の相間の表
面積が広いほど多くなり、また速度も早くなる。このた
め、相間の表面積をが広くすることにより、分子量分布
が狭く、かつ未反応フェノール類が少ないノボラック型
樹脂を高収率に製造する事が可能となる。従って、攪拌
条件は、高速度で攪拌した方が望ましい。
布を狭く、かつ未反応フェノール類を少なく高収得に製
造できる理由は以下の様に考えられる。本発明の有機ホ
スホン酸は、非常に水溶性が高く水和しやすい、そし
て、フェノール類、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹
脂には溶解性が小さく、芳香族炭化水素フェノール樹脂
分子量増大ととも溶解性が更に低下する性質を有してい
る。このため反応時には、触媒である有機ホスホン酸を
多量に含んだ水相と、フェノール類、芳香族炭化水素ホ
ルムアルデヒド樹脂、芳香族炭化水素フェノール樹脂か
らなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した
状態となる。フェノール類、芳香族炭化水素ホルムアル
デヒド樹脂、及び初期反応性物等低分子成分は比較的水
相に溶出しやすく、溶出した部分は反応は進むが、高分
子領域では溶出がほとんどなく反応が進まない。また、
水相に溶出し反応した芳香族炭化水素フェノール樹脂は
速やかに有機相に抽出され、分子量の増大しない。この
様にして、低核体領域と高分子領域の反応速度差が生じ
るため、結果的に分子量分布が狭く、かつ未反応フェノ
ール類が少ない芳香族炭化水素フェノール樹脂を高収率
に製造する事が可能となる。この際、フェノール類及び
芳香族炭化水素アルデヒド樹脂等低分子成分の有機相か
ら水相への溶出量と、反応した芳香族炭化水素フェノー
ル樹脂の有機相への抽出量は、水相と有機相の相間の表
面積が広いほど多くなり、また速度も早くなる。このた
め、相間の表面積をが広くすることにより、分子量分布
が狭く、かつ未反応フェノール類が少ないノボラック型
樹脂を高収率に製造する事が可能となる。従って、攪拌
条件は、高速度で攪拌した方が望ましい。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重
量部」及び「重量%」を示す。
る。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重
量部」及び「重量%」を示す。
【0016】(実施例1)攪拌機及び温度計を備えた3
Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,
1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス11
5、(株)ライオン製)1000部を添加し、常圧蒸留
を行い濃度を85%にして、フェノール1000部、キ
シレンホルムアルデヒド樹脂1200部(ニカノール
G、数平均分子量520〜620、酸素含有率14〜1
6%、三菱ガス化学(株)製)を添加し140℃に昇温
させ4時間還流反応を行った。反応終了後、反応組成物
をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反
応フェノール量を測定した。その後、メチルエチルケト
ンを2000部を添加し、温度を60℃まで下げて純水
2000部を添加し、樹脂と分離している水相を除去す
る水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い13
0℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行
って180℃まで昇温し、樹脂Aを2120部得た。
Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,
1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス11
5、(株)ライオン製)1000部を添加し、常圧蒸留
を行い濃度を85%にして、フェノール1000部、キ
シレンホルムアルデヒド樹脂1200部(ニカノール
G、数平均分子量520〜620、酸素含有率14〜1
6%、三菱ガス化学(株)製)を添加し140℃に昇温
させ4時間還流反応を行った。反応終了後、反応組成物
をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反
応フェノール量を測定した。その後、メチルエチルケト
ンを2000部を添加し、温度を60℃まで下げて純水
2000部を添加し、樹脂と分離している水相を除去す
る水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い13
0℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行
って180℃まで昇温し、樹脂Aを2120部得た。
【0017】(比較例1)実施例1と同様のフラスコ中
にフェノール1000部、キシレンホルムアルデヒド樹
脂1200部(ニカノールG、数平均分子量520〜6
20、酸素含有率14〜16%、三菱ガス化学(株)
製)、パラトルエンスルホン酸2部を添加し120℃に
昇温させ2時間反応を行った。反応終了後、反応組成物
をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反
応フェノール量を測定した。その後、消石灰を10部を
添加し、その後、常圧蒸留を行い150℃まで昇温し、
5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って180℃まで
昇温し、樹脂Bを1920部得た。
にフェノール1000部、キシレンホルムアルデヒド樹
脂1200部(ニカノールG、数平均分子量520〜6
20、酸素含有率14〜16%、三菱ガス化学(株)
製)、パラトルエンスルホン酸2部を添加し120℃に
昇温させ2時間反応を行った。反応終了後、反応組成物
をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反
応フェノール量を測定した。その後、消石灰を10部を
添加し、その後、常圧蒸留を行い150℃まで昇温し、
5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って180℃まで
昇温し、樹脂Bを1920部得た。
【0018】
【表1】 数平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定 重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定 軟化点:JIS K−2531に準じ測定 50%エタノール溶液の動粘度:50重量%のエタノー
ル溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定 フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定 ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準じ、
2、5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測
定した値。液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカ
ラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2
本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml
/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃
の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測
定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算。
ル溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定 フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定 ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準じ、
2、5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測
定した値。液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカ
ラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2
本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml
/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃
の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測
定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算。
【0019】表1の結果から明らかなように、実施例で
得られた樹脂は比較例による樹脂に比べて未反応フェノ
ールが少なく、分子量分布が狭く、かつ反応収率も高
い。
得られた樹脂は比較例による樹脂に比べて未反応フェノ
ールが少なく、分子量分布が狭く、かつ反応収率も高
い。
【0020】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明の製造方法に
より、芳香族炭化水素フェノール樹脂を、未反応フェノ
ール類を少なく、分子量分布が狭く、かつ高収率で得る
ことができる。
より、芳香族炭化水素フェノール樹脂を、未反応フェノ
ール類を少なく、分子量分布が狭く、かつ高収率で得る
ことができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 フェノール類と芳香族炭化水素アルデヒ
ド樹脂とを、有機ホスホン酸を触媒として反応すること
を特徴とする芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方
法。 - 【請求項2】 有機ホスホン酸が、一般式(I)に示す
有機ホスホン酸である請求項1記載の芳香族炭化水素フ
ェノール樹脂の製造方法。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383657A JP2002179751A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383657A JP2002179751A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002179751A true JP2002179751A (ja) | 2002-06-26 |
Family
ID=18851275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000383657A Pending JP2002179751A (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | 芳香族炭化水素フェノール樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002179751A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008231374A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-10-02 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。 |
JP2009155638A (ja) * | 2007-12-07 | 2009-07-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 変性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂 |
WO2011125326A1 (ja) * | 2010-04-07 | 2011-10-13 | 三菱瓦斯化学株式会社 | アルキルナフタレンホルムアルデヒド重合体の精製方法 |
-
2000
- 2000-12-18 JP JP2000383657A patent/JP2002179751A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008231374A (ja) * | 2007-03-23 | 2008-10-02 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | フェノール類変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。 |
JP2009155638A (ja) * | 2007-12-07 | 2009-07-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 変性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂 |
WO2011125326A1 (ja) * | 2010-04-07 | 2011-10-13 | 三菱瓦斯化学株式会社 | アルキルナフタレンホルムアルデヒド重合体の精製方法 |
JP5870918B2 (ja) * | 2010-04-07 | 2016-03-01 | 三菱瓦斯化学株式会社 | アルキルナフタレンホルムアルデヒド重合体の精製方法 |
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