JP4720057B2 - エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フェノール樹脂を原料とした場合のエポキシ樹脂の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類を酸性物質の触媒下にて反応させ初期縮合物を得た後、これを常圧もしくは減圧下で脱水するか、または適当な有機溶媒を添加してフェノール樹脂を得、次いでこのフェノール樹脂をエピクロルヒドリンと反応させる方法が一般的である。しかし、かかる方法ではフェノール樹脂中に多量の遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分が存在し、硬化性のよいエポキシ樹脂を得るためには予めそれらを除去しなければならないという問題があった。
【0003】
フェノール樹脂中の遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分を低減させる方法としては、不活性気体及び/または水蒸気を反応液中に吹き込む方法(例えば特開昭58−84814号公報、特開昭59−131616号公報、特開昭60−110715号公報)、回転式の羽を有した配管内に初期縮合物と同時に不活性気体及びまたは水蒸気を供給する方法(例えば特開平1−113421号公報)などが知られているが、前者では水蒸気吹き込みに際して反応器の激しい振動が起こり、また両者とも遊離フェノール類の除去効率を高めるためには多量の水蒸気が必要である、などの問題がある。これらの方法以外にも、反応液に溶媒を加え薄膜蒸発で処理する方法(例えば特公昭61−7210号公報)があるが、反応に関与しない溶媒を使用しなければならない、薄膜蒸発機処理に際して予め反応液の水分を規定しておく必要がある、などの問題がある。また、これらの方法では、いずれにおいても高分子量成分を増やすことなく、2核体などの低分子量成分のみを除去し、その量を任意にコントロールすることはできなかった。
【0004】
また、フェノール樹脂中の遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分を反応段階で減らそうとした場合、2段階の反応工程を経由して合成する方法がある。これは最初の工程でフェノール類をレゾール樹脂化した後、あるいはフェノール類のメチロール化合物を原料にして、次の工程でこれらにフェノール類を縮合させる方法(例えば、特開平1−95118号公報、特開平3−47826号公報、特開平4−225012号公報、特開平4−264118号公報)であるが、歩留まりが悪い、工程が複雑になる、といった問題があり、経済的に好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分、および高分子量成分の含有量が少ないフェノール樹脂を効率的に製造し、これをエピクロルヒドリンと反応させることにより、同様の核体数構成を有するエポキシ樹脂を製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明により達成される。
(1)フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させてフェノール樹脂を製造し、次いで前記フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させるエポキシ樹脂の製造方法であって、有機ホスホン酸の添加量はフェノール類1モルに対し0.27〜4.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法。
(2)フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応させてフェノール樹脂を製造し、次いで前記フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることを特徴とする上記(1)に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
(3)有機ホスホン酸が、一般式(I)に示されるものである上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
R−PO(OH)2 (I)
(Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である。)
【0007】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。本発明の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させてフェノール樹脂を製造し、このフェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによりエポキシ樹脂を製造することを特徴とするものである。まず、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させ、遊離フェノール類や2核体などの低分子量成分の含有量が少ないフェノール樹脂を製造する工程について説明する。
【0008】
本発明の製造方法において用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えばフェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシンなどのフェノール性水酸基を有する化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0009】
本発明の製造方法において用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ポリオキシメチレン、ブチルアルデヒド、アクロレインやこれらの混合物、これらのアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液などが挙げられ、これらのアルデヒド類から選ばれた少なくとも1種以上のアルデヒド類を用いることができる。
【0010】
フェノール類とアルデヒド類の反応モル数については特に限定されないが、フェノール類1モルに対し、アルデヒド類が0.4〜1.1モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.6〜0.9モルである。かかる範囲内のモル数で反応させることにより、遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分の少ないフェノール樹脂をより簡便な工程で効率よく得ることができる。アルデヒド類のモル数が前記下限値より少ないと未反応の遊離フェノール類が多くなる傾向があり、これを中間製品としてエポキシ樹脂を製造した場合には1官能のエポキシ樹脂が生成し、エポキシ樹脂の硬化性に影響を与えることがある。また、前記上限値よりも多いとフェノール樹脂が高分子量化するようになり、これをもとにエポキシ樹脂を製造しても高粘度化するので、用途によっては作業性に劣る場合がある。
【0011】
フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際に用いられる有機ホスホン酸の添加量は、フェノール類1モルに対し、0.27〜4.0モルである。有機ホスホン酸の添加量が前記下限値より少ないと触媒としての効果が十分に現れず、また、前記上限値より多い場合では、触媒の効果が実質的に変わらなくなってくる。
【0012】
本発明の製造方法において、フェノール樹脂の製造に触媒として使用される有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH)2 を含む有機化合物であり、いかなるものも使用可能であるが、一般式(I)で示されるホスホン酸が、未反応フェノール類が少なく高収率にフェノール樹脂を得るために好ましい。
R−PO(OH)2 (I)
(Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である。)
【0013】
一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。これらの中でも本発明の目的からみて、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
【0014】
本発明の製造方法において、フェノール樹脂を製造する際の反応条件については特に限定されないが、反応系中の水分を30重量%以下、反応温度を110〜200℃とすることが好ましい。かかる反応条件は、遊離フェノール類のみならず2核体のような低分子量成分が選択的に反応するのに有効であり、得られるフェノール樹脂の分子量分布を狭くすることができるからである。即ち、未反応フェノール類の反応は前記反応条件の範囲外においても十分に進行するが、2核体のような低分子量成分の選択的な反応に対しては、前記反応条件の範囲内とすることが効果的である。
【0015】
本発明の製造方法において反応系中の水分量とは、原料仕込時の水分と反応で生成する縮合水との合計水分量を仕込み全量で除した値である。ここで、原料仕込時の水分としては、仕込み時に添加した水分、添加するアルデヒド類に含まれる水分、添加する有機ホスホン酸に含まれる水分、有機ホスホン酸の結晶水等の仕込み原料に由来する水分などがある。また、仕込み全量とは、反応系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、フェノール樹脂、有機ホスホン酸等の全体量をいう。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合は、前記合計水分量と仕込み全量の双方から、溜去した水分量を減じて算出すればよい。
この水分量は30重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。水分量が少ないほど未反応フェノール類や2核体のような低分子量成分は少なくなるが、過少になると有機ホスホン酸が高粘度化もしくは固結しやすくなり、触媒作用が低下することがあるため、結晶水を含むことができる程度の水分量である1重量%以上であることが好ましい。また、水分量が30重量%を越えると、その効果がほとんど変わらないようになる。
【0016】
また、反応温度についても特に限定しないが、110〜200℃とすることが好ましい。前記のような水分の少ない条件下では、110℃より低いと触媒である有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結し、触媒作用が低下することがある。一方200℃を越えると有機ホスホン酸やフェノール樹脂の分解が起こるようになる。有機ホスホン酸やフェノール樹脂の分解は低温であるほうが起こりにくいが、例えば前記水分量を1〜20重量%とした場合では、130〜160℃で反応を行うことがより好ましい。反応温度をかかる範囲内とすることにより、有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結することなく、触媒作用を十分に有した状態とすることができる。
【0017】
この反応を常圧下で実施する場合は、水分量が30重量%以下の範囲での還流温度はほぼ110〜200℃にあたり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。
また、アルデヒド類を添加しながら、生成する縮合水を蒸留等で取り除く反応は、反応系中の水分量が一定となり好ましい条件である。この場合、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなることがあるので、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されないようにして反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後あるいは取り除きながら、反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応を続けることができる。
【0018】
この反応に用いられる溶媒としては、水が一般的であり好ましいが、有機溶媒でもよく、非極性溶媒を用いて非水系で行うこともできる。また、パラホルム等を用いて反応溶媒なしで行ってもよい。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等を用いることが出来る。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0019】
反応終了後、触媒除去のために、中和や水洗を行ってもよい。また、必要により、触媒、水や有機溶剤、さらには未反応の遊離フェノール類を除去するため、常圧蒸留や減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことも可能である。
【0020】
本発明の製造方法において、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させることにより、遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分が少ないフェノール樹脂を製造することができる理由は、以下のように考えられる。
本発明の製造方法に用いる有機ホスホン酸は、非常に水溶性が高い。しかし、フェノール類には溶解性が小さく、フェノール樹脂には分子量増大とともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。このため反応時には、触媒である有機ホスホン酸を多量に含んだ水相と、フェノール類、フェノール樹脂からなる、触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態となる。フェノール類及び2核体等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した成分はアルデヒド類と反応する。しかし、フェノール樹脂の高分子量成分は溶出がほとんどなく反応が進まない。また、水相で反応し高分子量化したフェノール樹脂は速やかに有機相に抽出され、その以上反応は進まない。
この様にして、低分子量領域と高分子量領域との反応速度差が生じるため、未反応フェノール類や2核体のような低分子量成分が少なく、かつ高分子量成分も少ないフェノール樹脂を製造することが可能となる。
【0021】
また本発明の製造方法においては、フェノール樹脂の製造条件として、好ましくは反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃とすることを特徴とする。かかる反応条件で製造することにより遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分が少ないフェノール樹脂が得られる理由は、以下のように考えられる。
反応温度が高温であることにより、2核体等の低分子量成分も水相へ溶出されやすく、かつ反応系中の水分が少ないために水相中のイオン濃度が高い状態で維持され、水相での反応が容易に進行する。また、有機ホスホン酸は高濃度であると粘度が高くなったり固結したりする性質があるが、高温では溶融した状態となり触媒機能の低下を防止できる。これらの効果により、未反応の遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分が少ないフェノール樹脂を得る効果がより向上するものと考えられる。
【0022】
次に、得られたフェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させ、エポキシ樹脂化する工程について説明する。本発明において、前記方法により得られたフェノール樹脂をエポキシ樹脂化するには、
通常用いられている方法が適用できる。すなわち、フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを2〜10倍重量添加し、必要に応じてイソプロピルアルコール等の溶媒を適宜加えた後、20〜50℃で水酸化ナトリウム水溶液をエピクロルヒドリンに対して0.1〜0.5モル添加する。50〜80℃で反応させた後、大過剰の水で水洗し、副生塩、過剰の水酸化ナトリウムを除去し、減圧下で過剰のエピクロルヒドリンを蒸留除去することにより、エポキシ樹脂が得られる。
【0023】
遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分を多く含有したフェノール樹脂をエポキシ樹脂化すると、フェノール核結合水酸基がエポキシ化されるため、多官能エポキシ化物とともに1官能もしくは2官能のエポキシ化物が生成する。
これらは、エポキシ樹脂の3次元架橋性すなわち硬化性に影響し、硬化物の耐熱性や耐湿性を低下させる場合がある。また、一般的な方法で製造したフェノール樹脂中には高分子量成分も多く含有されるため、これらがエポキシ化することにより樹脂が高粘度化し、作業性に支障を生ずることもある。従って、エポキシ樹脂としては、硬化性に影響を与える2核体のような低分子量成分と、作業性低下の要因となる高分子量成分がともに少ないことが好ましい。このようなエポキシ樹脂は、その原材料として同様の核体数構成を有するフェノール樹脂を用いることにより得ることができる。
【0024】
本発明の製造方法によるフェノール樹脂の製造に際しては、有機ホスホン酸を用いて、フェノール類に対しアルデヒド類を通常のモル比及び縮合度で反応させればよく、これにより、遊離フェノールの含有量が極めて少なく、かつ高分子量成分を増すことなく2核体のような低分子量成分を低減させたフェノール樹脂が得られ、これをエポキシ樹脂化することにより、前記のような好適なエポキシ樹脂を煩雑な工程を経ることなく効率よく製造することができる。
また、従来、低分子量成分の少ないフェノール樹脂を得るための水蒸気を吹き込む方法の場合には問題であった吹き込み時の反応器の振動や、初期縮合段階での樹脂粘度における制限を設けたり、薄膜蒸発機処理の場合必要であった反応液の水分量について規定する必要がない。このため、反応時に不活性気体及び/または水蒸気を必要としないか、必要としても従来法よりはるかに少なく済ませることができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重量%」を示す。
【0026】
(1)フェノール樹脂の製造
▲1▼3Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)1000部を添加し常圧蒸留を行い80%の濃度とし、フェノール1000部を添加して100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液550部を30分間かけて逐次添加し、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温させ反応系中の水分量を6%とした。その後、130℃に温度を維持し、水分量を約6%で一定として、常圧蒸留を行いながら37%ホルムアルデヒド水溶液140部を30分かけて添加した。その後、140℃で1時間還流させながら反応を行った。反応終了後、反応組成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Aを得た。
【0027】
▲2▼3Lの三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)1000部を仕込み、常圧蒸留を行い80%の濃度とし、オルソクレゾール1000部を添加し100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液479部を30分かけて逐次添加し、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温させ反応系内の水分量を5%とした。その後、130℃に温度を維持し、水分量を約5%で一定とし、常圧蒸留を行いながら37%ホルムアルデヒド水溶液122部を30分かけて逐次添加した。その後、140℃で1時間還流させながら反応を行った。反応終了後、反応生成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応オルソクレゾール量を測定した。その後、純水500部を添加し樹脂と分離している水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Bを得た
【0028】
▲3▼3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応した。反応終了後、反応生成物をサンプリングしガスクロマトグラフィーを用いて未反応フェノール量を測定した。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、フェノール樹脂Cを得た。
【0029】
(2)エポキシ樹脂の製造
<実施例1>
攪拌機、温度計、分離器を備えた反応装置に、前記フェノール樹脂の製造▲1▼で得たフェノール樹脂A1.0モル(水酸基換算)をそれぞれエピクロルヒドリン8.0モルに溶解した。この溶解液に48%苛性ソーダ1.05モルを減圧下共沸温度80℃で5時間を要して逐次添加しながら、エピクロルヒドリンは反応系内に戻しつつ水分は反応系外へ除去して反応を行ない、その後同条件で1.0時間保持して反応を完結した。得られた各反応物を酸で中和後、エピクロルヒドリンを溜去して反応生成物をメチルイソブチルケトンに溶解した。中和塩を水洗濾別しメチルイソブチルケトンを溜去して、エポキシ樹脂を得た。
<実施例2>
フェノール樹脂として、前記フェノール樹脂の製造▲2▼で得たフェノール樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
<比較例>
フェノール樹脂として、前記フェノール樹脂の製造▲3▼で得たフェノール樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂を得た。
【0030】
実施例および比較例で得られた結果を表1に示す。
【表1】
【0031】
(3)評価方法
1)軟化点:JIS K‐2531にて測定した。
2)遊離フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。ガスクロマトグラフィーは、JISK0114に準じ、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
3)数平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定した。
4)2核体成分量:液体クロマトグラフィーで測定したチャートの面積比から求めた。なお、数平均分子量、2核体成分量とも、液体クロマトグラフィーは東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用い測定し、数平均分子量については標準ポリスチレンにより換算した。
【0032】
表1の結果より、実施例1,2はいずれも、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させてフェノール樹脂を製造し、このフェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂を製造している。このため、中間製品であるフェノール樹脂は遊離フェノール量、2核体成分量が少ない。また、軟化点を比較例と同等に保ちつつ、高分子量成分が少ないため数平均分子量を小さくすることができた。これらのフェノール樹脂から得られたエポキシ樹脂は、2核体成分量が少なく、数平均分子量も同様に小さいものであった。一方、比較例ではフェノール樹脂製造時に有機ホスホン酸のかわりに蓚酸を用いたが、遊離フェノール量や2核体成分量がともに多く、また高分子量成分のために数平均分子量の大きいフェノール樹脂となり、これから得られたエポキシ樹脂についても同様の結果となった。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させてフェノール樹脂を製造し、前記フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法であり、遊離フェノール類や2核体のような低分子量成分、および高分子量成分の含有量が少ないエポキシ樹脂を効率よく製造することができる。従って本発明は、このようなエポキシ樹脂を製造する方法として好適である。
Claims (3)
- フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させてフェノール樹脂を製造し、次いで前記フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させるエポキシ樹脂の製造方法であって、有機ホスホン酸の添加量はフェノール類1モルに対し0.27〜4.0モルであることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法。
- フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応系中の水分量を30重量%以下、反応温度を110〜200℃として反応させてフェノール樹脂を製造し、次いで前記フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
- 有機ホスホン酸が、一般式(I)に示されるものである請求項1または2に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
R−PO(OH)2 (I)
(Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は−PO(OH)2 を含む基である。)
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