JP4206909B2 - トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
メラミン変性ノボラック樹脂の合成方法として、低分子量のノボラック型フェノール樹脂を合成した後、pHを8〜10に調整し、メラミンで変性する方法が報告されている(例えば、特許文献2参照。)が、低分子量のノボラック型フェノール樹脂を合成するために、未反応フェノール類が多量に残り、この未反応フェノール類を除去するために減圧濃縮や水蒸気蒸留を長時間行わなければならない。また、フェノール類とトリアジン類を弱塩基性触媒の存在下でホルムアルデヒド類と直接反応を行う方法もある(例えば、特許文献1参照。)が、この場合も未反応フェノール類が多く残存し、収率が非常に低い結果となる。
このため、減圧蒸留等で未反応フェノール類を除去しない場合、通常3〜20重量%程度の未反応フェノール類が樹脂中に残存することになる。特に反応時のモル比(F/P)を低くし、分子量の小さなフェノール樹脂を得ようとした場合、未反応フェノール類の残量は多くなる傾向にある(例えば、非特許文献1参照)。
(1)トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、3官能性フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、(エ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、を有することを特徴とする、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)上記リン酸類が、リン酸である上記(1)に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、上記(1)または(2)に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)(イ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、あるいは(エ)工程は、上記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜8に調整して行うものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(5)上記(イ)工程あるいは(エ)工程は、上記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜7に調整して行うものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(6)上記トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
本発明の製造方法によれば、未反応フェノール類の含有量が少ないトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂を高収率で効率よく製造することができるので、工業的なトリアジン変性ノボラック型フェノールの製造方法として有用である。
本発明のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、
(ア)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(イ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、を有することを特徴とする。
3官能性フェノール類(以下、単に「フェノール類」という)としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノールなど、フェノール性水酸基を有し、且つフェノール性水酸基に対して少なくともメタの位置以外には置換基を持たない化合物の1種または2種以上を用いる。炭素数の多いアルキル基、アリール基等を置換基として持つ3官能性フェノール類を用いることもできる。また、レゾルシンの併用も可能である。
これは、フェノール樹脂(a)を製造する際に用いられるだけでなく、後述するトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂(以下、「フェノール樹脂(b)」という)を製造する際にも同様に用いられるものである。
R−PO(OH)2 (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)2を含む基である。)
上記一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、例えば、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸−N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸−N,N−ジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、等がある。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸を用いるのが好ましい。
とその効果は変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒としての効果が充分に現れなくなる。
また、触媒として上記ホスホン酸とともに、蓚酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸など、通常のノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸性触媒の併用も可能である。これらの酸の併用は、特に4核体以上の高分子量領域での反応促進に有効である。
この水分量は40重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。水分量が少ないほど未反応フェノール類や2核体のような低分子量成分を少なくする効果があるが、過少になると有機ホスホン酸が高粘度化もしくは固結しやすくなり、触媒作用が低下することがあるため、有機ホスホン酸が含有する結晶水に相当する程度の水分量である1重量%以上であることが好ましい。また、水分量が40重量%を越えると、未反応フェノール類を低減する効果がほとんど変わらないようになる。
また、アルデヒド類を添加しながら、生成する縮合水を蒸留等で取り除く反応は、反応系中の水分量が一定となり好ましい条件である。この場合、未反応フェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなることがあるので、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応フェノール類が蒸留されないようにして反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後あるいは取り除きながら、反応系中の水分量を40重量%以下、反応温度を90〜200℃として反応を続けることができる。
ル、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
有機ホスホン酸は非常に水溶性が高く水和しやすい化合物である。そして、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂には、分子量の増大とともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。このため、反応時には、触媒である有機ホスホン酸を多量に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノール樹脂からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態になる。フェノール類は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分はアルデヒド類と反応するが、高分子量成分では溶出がほとんど無く反応が進行しない。また、水相に溶出したノボラック型フェノール樹脂はアルデヒドと反応して高分子量化して速やかに有機相に抽出され、それ以上反応は進行しない。
この様にして、低分子量成分と高分子量成分との間に反応速度差が生じるため、結果的に未反応フェノール類量が少ないフェノール樹脂(a)を高収率に製造することが可能となる。
フェノール樹脂(a)中における触媒の残存量を上記下限値以下とする方法としては特に限定されないが、フェノール樹脂(a)の反応終了後、樹脂層と触媒層とを静置分離することにより行うことができる。また、必要に応じて水洗を行うこともできる。
(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、上記フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてフェノール樹脂(a)を合成する工程、
(エ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、
を有することを特徴とする
反応モル比が上記下限値を下回る条件で反応を行ったものは、分子量が過少になる傾向があり、未反応フェノール類の残存量が多く歩留まりが低下するようになる。一方、反応モル比が上記上限値を越えると、トリアジン環を有する化合物との反応の際に分子量のコントロールが難しくなり、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物の生成が促進されることがある。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、分子量分布が狭く、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を効率的に得ることができる。
反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計量から、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
また、アルデヒド類を逐次添加して、生成する縮合水を蒸留等で取り除きながら行う反応方法は、反応系中の水分量が一定となり、好ましい反応条件で実施することができる。ただし、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる場合は、未反応フェノール類の含有量が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されない条件で反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後、あるいは取り除きながら反応を続けることが好ましい。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
このため、反応時には、触媒であるリン酸類を多量に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノール樹脂からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態になる。フェノール類モノマーおよび2核体成分等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分はアルデヒド類と反応するが、高分子量成分では溶出がほとんど無く反応が進行しない。また、水相に溶出したノボラック型フェノール樹脂はアルデヒドと反応して高分子量化して速やかに有機相に抽出され、それ以上反応は進行しない。
このようにして、低分子量成分と高分子量成分との間に反応速度差が生じるため、結果的に未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂を高収率に製造することができる。そして、反応条件の調整により2核体成分の含有量も少ないフェノール樹脂を製造することも可能となる。
フェノール樹脂(a)中における触媒の残存量を上記下限値以下とする方法としては特に限定されないが、フェノール樹脂(a)の反応終了後、樹脂層と触媒層とを静置分離することにより行うことができる。また、必要に応じて水洗を行うこともできる。
フェノール樹脂(a)中の未反応フェノール類の含有量を、上記上限値以下とする方法としては特に限定されないが、酸性触媒として上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を用いる本発明の製造方法によれば、反応により概ね上記上限値以下にすることができる。
さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等の通常の方法を組み合わせて未反応フェノール類を除去してもよい。
フェノール樹脂(b)は、以上に述べた方法で得られたフェノール樹脂(a)に、さらに、トリアジン環を有する化合物、および、アルデヒド類(F2)を反応させることにより得られる。
フェノール樹脂(b)を製造する際に用いられるアルデヒド類(F2)は、フェノール樹脂(a)を製造する際に用いられたアルデヒド類(F1)との合計で、フェノール類に対する反応モル比((F1+F2)/P)で0.5〜1.0であることが好ましく、さらに好ましくは、0.7〜0.9である。反応モル比が上記下限値を下回る条件で反応を行ったものは、分子量が小さくなる傾向がある。一方、反応モル比が上記上限値を越えると、分子量のコントロールが難しくなり、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物の生成が促進されることがある。
トリアジン環を有する化合物の添加量が上記下限値未満では、これによる変性効果が充分でないことがある。反対に上記上限値を越えると、トリアジン環を有する化合物のフェノール樹脂への溶解性が低下するようになる。トリアジン類の溶解性を向上させるためには、(イ)工程又は(エ)工程で添加するアルデヒド類の添加量を増加する方法があるが、その場合は上記反応モル比が高くなるため、反応条件によっては反応中にゲル化・部分ゲル化を引き起こしやすくなる。
pHをこの範囲とすることによりトリアジン環を有する化合物のメチロール化を抑制し、熱安定性の良好なフェノール樹脂(b)を得ることが可能になる。
上記pHを調整する方法としては特に限定されないが、通常はアルカリ性物質の添加により行うことができる。アルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等がある。
上記フェノール樹脂(b)中の未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とする方法としては、特に限定されないが、好ましくはフェノール樹脂(a)の未反応フェノール類含有量が2重量%以下であるものを用いる。これにより、上記上限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等の通常の方法を組み合わせて未反応フェノール類を除去してもよい。
なお、本発明における未反応フェノール類の含有量は、JIS K0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した値である。
従来の製造方法、例えば、フェノール類、アルデヒド類、及びトリアジン環を有する化合物を、トリエチルアミン等の弱塩基性触媒を用いて1段で反応を行うと、樹脂中に未反応フェノール類が多量に残存するようになる。また、有機ホスホン酸を触媒として1段で反応させると、トリアジン類とアルデヒド類の反応のみが優先して起きてしまい、樹脂の
ゲル化が起こるようになる。
(1)フェノール樹脂(a)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学社製)600部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン561部(モル比F1/P=0.65)を60分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。その後、内温を80℃まで冷却し、30分間静置した。静置後反応装置底部より1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸水溶液を分離除去した。得られた樹脂を反応装置より取り出し、フェノール樹脂(a)1160部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=500、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=0.9%であった。樹脂中の触媒残存量は0.3%であった。
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへメラミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン243部(モル比(F1+F2)/P=0.90)を仕込み、発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温させた。そのまま100℃で120分反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を150℃まで上げて生成した縮合水を除去し、フェノール樹脂(b)1120部を得た。得られた樹脂のGPCによるMn=2700、Mw=9600であった。また、未反応フェノール含有量=0.7%であった。
(1)フェノール樹脂(a)の製造
37%ホルマリンの仕込量を647部(モル比F1/P=0.75)にした以外は実施例1と同様な方法で行い、フェノール樹脂(a)1180部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=700、Mw=1000であった。また、未反応フェノール含有量=
0.7%であった。樹脂中の触媒残存量は0.4%であった。
上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部にトリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.2とした。そこへメラミン122部(仕込みフェノール量に対し10モル%)と37%ホルマリン157部(モル比(F1+F2)/P=0.91)を入れ、実施例1と同様な方法で反応を実施し、フェノール樹脂(b)1050部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2500、Mw=9300であった。また、未反応フェノール含有量=0.8%であった。
(1)フェノール樹脂(a)の製造
撹拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン518部(モル比F1/P=0.60)を60分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。その後、内温を80℃まで冷却し、30分間静置した。静置後反応装置底部よりリン酸水溶液を分離除去した。ここへ純水500部を添加し、内温を80℃まで昇温し20分間攪拌洗浄した後、静置した。30分間静置後、反応装置上部より分離水を除去した。得られた樹脂を反応装置より取り出し、フェノール樹脂(a)1055部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=500、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=0.8%であった。樹脂中の触媒残存量は0.1%であった。
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン4部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへアセトグアナミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン172部(モル比(F1+F2)/P=0.80)を仕込み、発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温させた。そのまま100℃で120分間反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を150℃まで上げて生成した縮合水を除去し、フェノール樹脂(b)1110部を得た。得られた樹脂のGPCによるMn=2500、Mw=9300であった。また、未反応フェノール含有量=0.6%であった。
(1)フェノール樹脂(a)の製造
37%ホルマリンの仕込量を604部(モル比F1/P=0.70)にした以外は実施例1と同様な方法で行い、フェノール樹脂(a)1089部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=800、Mw=1000であった。また、未反応フェノール含有量=0.5%であった。樹脂中の触媒残存量は0.1%であった。
上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部にトリエチルアミン4部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへアセトグアナミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン129部(モル比(F1+F2)/P=0.85)を入れ、実施例1と同様な方法で反応を実施し、フェノール樹脂(b)1080部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2700、Mw=9600であった。また、未反応フェノール含有量=0.7%であった。
(1)フェノール樹脂(a)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、蓚酸10部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン431部(モル比F1/P=0.50)を90分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を130℃まで上げて生成した縮合水を除去し、ノボラック型フェノール樹脂(a)1060部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=400、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=18.2%であった。
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへメラミン193部(仕込みフェノール量に対し15%)と37%ホルマリン243部(モル比(F1+F2)/P=0.90)を仕込み発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温した。そのまま100℃で120分間反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を上げたところ、内温が110℃まで上昇した時点でゲル化を起こした。
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、メラミン202部(フェノールに対し13モル%)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学社製)4部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン509部(モル比F/P=0.59)を90分間かけて逐添した。その後、還流反応が10分間経過した時点でゲル化を起こした。
攪拌装置、冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、常圧で内温95℃まで昇温した後、37%ホルマリン716部(モル比F/P=0.83)を1時間かけて添加した。更に98〜100℃で1時間還流反応を行った後、脱水配管に切り替え生成した水を除去しながら140℃まで昇温した。次いで、釜内を5000Paまで徐々に減圧にしながら内温を220℃まで上げ、水分等を除去し、ノボラック型フェノール樹脂920部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=1000、Mw=9000であった。また、未反応のフェノール成分量=2.1%であった。
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、メラミン202部(フェノールに対し13モル%)、37%ホルマリン509部(モル比F/P=0.59)、トリエチルアミン2部を仕込み、常圧で内温100℃まで昇温した後、98〜100℃で4時間還流反応を行った。その後、還流配管を脱水配管に切り替え生成した水を除去しながら180℃まで昇温した。次いで、釜内を5000Paまで徐々に減圧にしながら内温を185℃まで上げ、未反応フェノール等を除去し、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂880部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2900、Mw=8100であった。また、未反応フェノール成分量=3.0%であった。
1.数平均分子量、重量平均分子量:GPC(液体クロマトグラフィー)で測定した。
・液体クロマトグラフィー:
フェノール樹脂(a)は、東ソー社製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を使用した。フェノール樹脂(b)は、昭和高分子社製GPCカラム(Shodex GPC KF−805:1本、KF−803:1本、KF−802:1本)を使用した。測定条件は、流量1.0ml/分、溶出溶媒ジメチルホルムアミド、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
2.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
3.触媒残量:蛍光X線により全リン量を測定し、濃度既知の有機ホスホン酸から検量線を作成し測定した。
4.ゲル化時間:レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製・「PR−51723」)と、各例で得られた樹脂とを1:1の割合で粉砕混合し、150℃の熱盤上で測定した。
5.加熱減量:セイコーインスツルメント社製TG/DTA6300により、昇温速度10℃/分でリファレンスに酸化アルミニウムを使用して測定した。
また、実施例3、4では、本発明の製造方法により、フェノールとホルムアルデヒドとを所定量のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させ、樹脂中の未反応フェノール量の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を得た。次いで、フェノール樹脂(a)とアセトグアナミン、ホルムアルデヒドとの反応を実施することにより、未反応フェノール量が1重量%以下であるフェノール樹脂(b)を得ることができた。
一方、比較例1では、フェノール樹脂(a)の触媒として蓚酸を用いたため、未反応フェノールが多い樹脂しか得ることが出来ず、さらに後段反応では、前段反応でのフェノールの反応率が低いため実質的なモル比が高くなりゲル化を起こした。比較例2では有機ホスホン酸を触媒として使用したが、2段反応を行わなかったために反応後半でゲル化を起こしてしまった。
比較例3ではメラミンを含有しない通常のノボラック型フェノール樹脂を得たが、メラミンを含有しないため、硬化性に劣るものであった。
比較例4は、トリエチルアミンを触媒としてメラミン変性ノボラック型フェノール樹脂を合成したが、未反応フェノールの含有量が多く、収率が低下し、加熱減量の値も劣るものであった。
Claims (6)
- トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、3官能性フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(エ)前記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、
を有することを特徴とする、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。 - 前記リン酸類が、リン酸である請求項1に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、請求項1または2に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- (イ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、あるいは(エ)工程は、前記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜8に調整して行うものである請求項1ないし3のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記(イ)工程あるいは(エ)工程は、前記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜7に調整して行うものである請求項1ないし4のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、請求項1ないし5のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
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