JP4206909B2 - トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
メラミンに代表されるトリアジン類でフェノール樹脂を変性することにより、フェノール樹脂の硬化速度を速くし、硬化物のガラス転移温度(Tg)を高くすることが可能である。また、エポキシ樹脂用硬化剤としてメラミン変性ノボラック型フェノール樹脂が使用されており、難燃性、耐熱性が向上する報告がある(例えば、特許文献1参照。)。
メラミン変性ノボラック樹脂の合成方法として、低分子量のノボラック型フェノール樹脂を合成した後、pHを8〜10に調整し、メラミンで変性する方法が報告されている(例えば、特許文献2参照。)が、低分子量のノボラック型フェノール樹脂を合成するために、未反応フェノール類が多量に残り、この未反応フェノール類を除去するために減圧濃縮や水蒸気蒸留を長時間行わなければならない。また、フェノール類とトリアジン類を弱塩基性触媒の存在下でホルムアルデヒド類と直接反応を行う方法もある(例えば、特許文献1参照。)が、この場合も未反応フェノール類が多く残存し、収率が非常に低い結果となる。
一般に、ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とを、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸といった少量の無機酸、有機酸を触媒として用い、反応させることにより得られていた。しかし、これら通常の酸性触媒を使用して反応を行った場合、原料のフェノール類を100%反応させることは困難であった。これは、反応の進行と共に2核体、3核体等が生成していくが、2核体、3核体中のフェノール核の方が未反応フェノール類よりも反応性が高いためである。
このため、減圧蒸留等で未反応フェノール類を除去しない場合、通常3〜20重量%程度の未反応フェノール類が樹脂中に残存することになる。特に反応時のモル比(F/P)を低くし、分子量の小さなフェノール樹脂を得ようとした場合、未反応フェノール類の残量は多くなる傾向にある(例えば、非特許文献1参照)。
特開平8−311142号公報 特開昭64−79253号公報 Andre Knop著,「フェノール樹脂」,(株)プラスチックエージ,1980年6月20日,p.82−85
本発明は、未反応フェノール類が少なく、かつ分子骨格中にトリアジン環を有するトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂を高収率で製造する方法を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜()記載の本発明により達成される。
)トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、3官能性フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、(エ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、を有することを特徴とする、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
)上記リン酸類が、リン酸である上記()に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、上記(1)または(2)に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(イ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、あるいは(エ)工程は、上記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜8に調整して行うものである上記(1)ないし()のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
)上記(イ)工程あるいは(エ)工程は、上記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜7に調整して行うものである上記(1)ないし()のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
)上記トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、上記(1)ないし()のいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
本発明は、3官能性フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させて得られるフェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させるトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法、あるいは、3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、所定量のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させて得られるフェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させるトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、未反応フェノール類の含有量が少ないトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂を高収率で効率よく製造することができるので、工業的なトリアジン変性ノボラック型フェノールの製造方法として有用である。
以下に、本発明のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法について説明する。
本発明のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、
(ア)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(イ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、を有することを特徴とする。
本発明の製造方法における上記(ア)工程において、ノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「フェノール樹脂(a)」ということがある)を製造する際の原料として使用する
3官能性フェノール類(以下、単に「フェノール類」という)としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノールなど、フェノール性水酸基を有し、且つフェノール性水酸基に対して少なくともメタの位置以外には置換基を持たない化合物の1種または2種以上を用いる。炭素数の多いアルキル基、アリール基等を置換基として持つ3官能性フェノール類を用いることもできる。また、レゾルシンの併用も可能である。
また、上記(ア)工程で用いるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、クロトンアルデヒド、フルフラール、ブチルアルデヒド、ポリアセタールおよびこれらの混合物等が用いられるが、通常はホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリン、または、固形のパラホルムアルデヒドが用いられる。
これは、フェノール樹脂(a)を製造する際に用いられるだけでなく、後述するトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂(以下、「フェノール樹脂(b)」という)を製造する際にも同様に用いられるものである。
上記(ア)工程において、フェノール樹脂(a)を製造する際の、アルデヒド類(F)とフェノール類(P)との反応モル比(F/P)は特に限定されないが、0.2〜0.9であることが好ましく、さらに好ましくは、0.6〜0.8である。特に好ましくは、0.65〜0.75である。反応モル比が上記下限値を下回る条件で反応を行ったものは、分子量が過少になる傾向があり、未反応フェノール類の残存量が多く歩留まりが低下するようになる。一方、反応モル比が上記上限値を越えると、トリアジン環を有する化合物との反応の際に分子量のコントロールが難しくなり、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物の生成が促進されることがある。
上記(ア)工程において、フェノール樹脂(a)を製造する際の反応の方法としては、反応の開始時に、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み、触媒を添加し反応させてもよく、また、反応初期の発熱を抑制するために、フェノール類と触媒を仕込んだ後、アルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。
本発明の上記(ア)工程において、フェノール樹脂(a)を製造する際に触媒として用いられる有機ホスホン酸としては、ホスホン酸基 −PO(OH) を含む有機化合物であり、いかなるものも使用可能であるが、下記一般式(I)で示されるホスホン酸が、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(a)を高収率に得るために好ましい。
R−PO(OH)(I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)を含む基である。)
上記一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、例えば、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸−N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸−N,N−ジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、等がある。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸を用いるのが好ましい。
上記有機ホスホン酸の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.001〜4.0モルであることが好ましく、さらに好ましくは、0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェノール類が少ないフェノール樹脂(a)を高収率で得るという効果は大きいが、触媒添加量が4.0モルを超える
とその効果は変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒としての効果が充分に現れなくなる。
また、触媒として上記ホスホン酸とともに、蓚酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸など、通常のノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸性触媒の併用も可能である。これらの酸の併用は、特に4核体以上の高分子量領域での反応促進に有効である。
上記(ア)工程において、フェノール樹脂(a)を製造する際の反応条件としては特に限定されないが、反応系中の水分を40重量%以下、反応温度を90〜200℃とすることが好ましい。かかる反応条件は未反応フェノール類を選択的に反応させるのに有効であり好ましい。
上記(ア)工程において、反応系中の水分量とは、原料仕込時の水分と反応で生成する縮合水との合計水分量を仕込み全量で除した値である。ここで、原料仕込時の水分としては、仕込み時に添加した水分、添加するアルデヒド類に含まれる水分、添加する有機ホスホン酸に含まれる水分、有機ホスホン酸の結晶水等の仕込み原料に由来する水分などがある。また、仕込み全量とは、反応系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、フェノール樹脂、有機ホスホン酸等の全体量をいう。そして、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合は、上記合計水分量と仕込み全量の双方から、溜去した水分量を減じて算出すればよい。
この水分量は40重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。水分量が少ないほど未反応フェノール類や2核体のような低分子量成分を少なくする効果があるが、過少になると有機ホスホン酸が高粘度化もしくは固結しやすくなり、触媒作用が低下することがあるため、有機ホスホン酸が含有する結晶水に相当する程度の水分量である1重量%以上であることが好ましい。また、水分量が40重量%を越えると、未反応フェノール類を低減する効果がほとんど変わらないようになる。
また、反応温度についても特に限定されないが、90〜200℃とすることが好ましい。上記のような水分の少ない条件下では、90℃より低いと、触媒である有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結が起こり、触媒作用が低下することがある。一方、200℃を越えると有機ホスホン酸やフェノール樹脂の分解が起こるようになる。有機ホスホン酸やフェノール樹脂の分解は低温であるほうが起こりにくいが、例えば上記水分量を1〜30重量%とした場合では、100〜160℃で反応を行うことがより好ましい。反応温度をかかる範囲内とすることにより、有機ホスホン酸が高粘度化若しくは固結することなく、触媒作用を充分に有した状態とすることができる。
この反応を常圧下で実施する場合は、水分量が40重量%以下の範囲での還流温度はほぼ100〜200℃にあたり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。
また、アルデヒド類を添加しながら、生成する縮合水を蒸留等で取り除く反応は、反応系中の水分量が一定となり好ましい条件である。この場合、未反応フェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなることがあるので、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応フェノール類が蒸留されないようにして反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後あるいは取り除きながら、反応系中の水分量を40重量%以下、反応温度を90〜200℃として反応を続けることができる。
この反応に用いられる溶媒としては、水が一般的であり好ましいが、有機溶媒でもよく、非極性溶媒を用いて非水系で行うこともできる。また、アルデヒド類としてパラホルムアルデヒド等を用いて、反応溶媒をなしとして行ってもよい。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等を用いることが出来る。アルコール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記(ア)工程においては、フェノール樹脂(a)の製造時に触媒として有機ホスホン酸を用い、反応系中の水分を40重量%以下、反応温度を90〜200℃とする反応条件が好ましい。かかる反応条件により、フェノール樹脂(b)を得るのに好適なフェノール樹脂(a)を高収率で得ることが出来る理由は、以下のように考えられる。
有機ホスホン酸は非常に水溶性が高く水和しやすい化合物である。そして、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂には、分子量の増大とともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。このため、反応時には、触媒である有機ホスホン酸を多量に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノール樹脂からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態になる。フェノール類は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分はアルデヒド類と反応するが、高分子量成分では溶出がほとんど無く反応が進行しない。また、水相に溶出したノボラック型フェノール樹脂はアルデヒドと反応して高分子量化して速やかに有機相に抽出され、それ以上反応は進行しない。
この様にして、低分子量成分と高分子量成分との間に反応速度差が生じるため、結果的に未反応フェノール類量が少ないフェノール樹脂(a)を高収率に製造することが可能となる。
フェノール樹脂(a)の反応終了後、触媒の除去を行うことが好ましい。触媒の樹脂中への残存量は、具体的には、フェノール樹脂(a)に対して0.7重量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.4重量%以下である。触媒が上記上限値を越えて残存すると、反応条件によっては次工程であるフェノール樹脂(b)の製造時にゲル化を起こすことがある。また、pH調整を実施した場合には、その際に生成する中和塩が析出することがある。
フェノール樹脂(a)中における触媒の残存量を上記下限値以下とする方法としては特に限定されないが、フェノール樹脂(a)の反応終了後、樹脂層と触媒層とを静置分離することにより行うことができる。また、必要に応じて水洗を行うこともできる。
また、本発明の製造方法は、
(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、上記フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてフェノール樹脂(a)を合成する工程、
(エ)上記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、
を有することを特徴とする
上記(ウ)工程で用いられる3官能性フェノール類とアルデヒド類としては特に限定されないが、上記(ア)工程で用いられるものと同じものを好適に用いることができる。
上記(ウ)工程において、ノボラック型フェノール樹脂を製造する際の、アルデヒド類(F)とフェノール類(P)との反応モル比(F/P)は特に限定されないが、0.2〜0.9であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜0.8である。特に好ましくは、0.6〜0.7である。
反応モル比が上記下限値を下回る条件で反応を行ったものは、分子量が過少になる傾向があり、未反応フェノール類の残存量が多く歩留まりが低下するようになる。一方、反応モル比が上記上限値を越えると、トリアジン環を有する化合物との反応の際に分子量のコントロールが難しくなり、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物の生成が促進されることがある。
上記(ウ)工程において、フェノール樹脂(a)を製造する際の反応の方法としては、反応の開始時に、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み、触媒を添加し反応させてもよく、また、反応初期の発熱を抑制するために、フェノール類と触媒を仕込んだ後、アルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。
上記(ウ)工程において用いられるリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
このリン酸類水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
上記(ウ)工程で用いられるリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上である。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる系において、フェノール樹脂やフェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、分子量分布が狭く、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を高収率で得るという効果は大きくなるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
なお、また、触媒として上記リン酸類水溶液とともに、蓚酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸など、通常のノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸性触媒の併用も可能である。これらの酸の併用は、特に4核体以上の高分子量領域での反応促進に有効である。
上記(ウ)工程において、反応系中の水分含有率としては特に限定されないが、1〜40重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%である。
ここで、反応系中の水分含有率とは、反応系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、リン酸類水溶液、ノボラック型フェノール樹脂などの合計量に対する、反応系内に存在する水分の合計量の重量比率を指す。反応系内に存在する水分としては、リン酸類水溶液中の水分、アルデヒド類に含有される水分など、添加する原料に由来する水分のほか、反応時に発生する縮合水がある。
反応系中の水分含有率は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計を
反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計量から、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
この水分含有率を、好ましくは上記の範囲内で反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(a)を高収率で得ることができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
上記(ウ)工程における反応温度としては特に限定されないが、40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
また、上記(ウ)工程においては、上記反応モル比を0.8〜0.95とし、上記反応温度を80〜150℃として反応させることにより、未反応フェノール類だけでなく、二核体成分の含有量を低減する効果を高めることができる。
上記(ウ)工程の反応を常圧下で行う場合は、水分含有率が20〜40重量%の範囲における還流温度は、ほぼ102〜110℃になり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。このほかの反応方法としては、例えば、ブタノール、プロパノールなどの非水系溶媒を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等の方法を適用することができる。
また、アルデヒド類を逐次添加して、生成する縮合水を蒸留等で取り除きながら行う反応方法は、反応系中の水分量が一定となり、好ましい反応条件で実施することができる。ただし、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる場合は、未反応フェノール類の含有量が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されない条件で反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後、あるいは取り除きながら反応を続けることが好ましい。
この反応に用いられる溶媒としては、水が一般的であり好ましいが、有機溶媒でもよく、非極性溶媒を用いて非水系で行うこともできる。また、パラホルム等を用いて反応溶媒なしで行ってもよい。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等、芳香族類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
フェノール樹脂(a)の合成後、触媒除去のために、中和や水洗を行うことができる。また、必要により、水や有機溶剤、さらには、未反応のフェノール類を除去するため、常圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行ってもよい。
上記(ウ)工程においては、フェノール樹脂(a)の製造時に触媒としてリン酸類水溶液を所定量用い、反応系中の水分を1〜40重量、反応温度を40〜150℃とする反応条件が好ましい。かかる反応条件により、好ましい性状を有するフェノール樹脂(a)を高収率で得ることができる理由は、以下のように考えられる。
リン酸類は非常に水溶性が高く水和しやすい化合物である。そして、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂には、分子量の増大とともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。
このため、反応時には、触媒であるリン酸類を多量に含んだ水相と、フェノール類、ノボラック型フェノール樹脂からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態になる。フェノール類モノマーおよび2核体成分等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した部分はアルデヒド類と反応するが、高分子量成分では溶出がほとんど無く反応が進行しない。また、水相に溶出したノボラック型フェノール樹脂はアルデヒドと反応して高分子量化して速やかに有機相に抽出され、それ以上反応は進行しない。
このようにして、低分子量成分と高分子量成分との間に反応速度差が生じるため、結果的に未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂を高収率に製造することができる。そして、反応条件の調整により2核体成分の含有量も少ないフェノール樹脂を製造することも可能となる。
なお、上記(ウ)工程においては、フェノール樹脂(a)の反応終了後、触媒の除去を行うことが好ましい。触媒の樹脂中への残存量は、具体的には、フェノール樹脂(a)に対して0.4重量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.2重量%以下である。触媒が上記上限値を越えて残存すると、反応条件によっては次工程であるフェノール樹脂(b)の製造時にゲル化を起こすことがある。
フェノール樹脂(a)中における触媒の残存量を上記下限値以下とする方法としては特に限定されないが、フェノール樹脂(a)の反応終了後、樹脂層と触媒層とを静置分離することにより行うことができる。また、必要に応じて水洗を行うこともできる。
上記(ア)工程、あるいは、上記(ウ)工程で得られたフェノール樹脂(a)中の未反応フェノール類の含有量としては特に限定されないが、2重量%以下とすることが好ましい。これにより、後述するフェノール樹脂(b)中に含有される未反応フェノール類を少なくすることができるとともに、収率を高いものにすることができる。
フェノール樹脂(a)中の未反応フェノール類の含有量を、上記上限値以下とする方法としては特に限定されないが、酸性触媒として上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を用いる本発明の製造方法によれば、反応により概ね上記上限値以下にすることができる。
さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等の通常の方法を組み合わせて未反応フェノール類を除去してもよい。
次に、本発明の製造方法における(イ)工程、及び、(エ)工程について説明する。
フェノール樹脂(b)は、以上に述べた方法で得られたフェノール樹脂(a)に、さらに、トリアジン環を有する化合物、および、アルデヒド類(F)を反応させることにより得られる。
フェノール樹脂(b)を製造する際に用いられるアルデヒド類(F)は、フェノール樹脂(a)を製造する際に用いられたアルデヒド類(F)との合計で、フェノール類に対する反応モル比((F+F)/P)で0.5〜1.0であることが好ましく、さらに好ましくは、0.7〜0.9である。反応モル比が上記下限値を下回る条件で反応を行ったものは、分子量が小さくなる傾向がある。一方、反応モル比が上記上限値を越えると、分子量のコントロールが難しくなり、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物の生成が促進されることがある。
本発明の製造方法で用いるトリアジン環を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等が挙げられる。トリアジン環を有する化合物の添加量は樹脂の使用目的により異なるが、フェノール類に対して1〜20モル%が好ましい。特に好ましくは5〜15モル%である。
トリアジン環を有する化合物の添加量が上記下限値未満では、これによる変性効果が充分でないことがある。反対に上記上限値を越えると、トリアジン環を有する化合物のフェノール樹脂への溶解性が低下するようになる。トリアジン類の溶解性を向上させるためには、(イ)工程又は(エ)工程で添加するアルデヒド類の添加量を増加する方法があるが、その場合は上記反応モル比が高くなるため、反応条件によっては反応中にゲル化・部分ゲル化を引き起こしやすくなる。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、フェノール樹脂(a)からフェノール樹脂(b)を製造する際に、フェノール樹脂(a)のpHを調整してもよい。このpHは特に限定されないが、2〜8が好ましい。さらに好ましくは2〜7である。特に好ましくは5〜7である。
pHをこの範囲とすることによりトリアジン環を有する化合物のメチロール化を抑制し、熱安定性の良好なフェノール樹脂(b)を得ることが可能になる。
上記pHを調整する方法としては特に限定されないが、通常はアルカリ性物質の添加により行うことができる。アルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等がある。
本発明の製造方法において、フェノール樹脂(b)を製造する際の反応温度は特に限定されないが、90〜120℃が好ましい。かかる範囲内の温度で反応することにより、目的とするフェノール樹脂(b)を効率よく得ることができる。反応温度が上記下限値未満では、充分な熱エネルギーが与えられず反応が起こりにくいことがある。一方、上記上限値を越えると、反応が進みすぎてゲル化物が生成する場合がある。
本発明の製造方法で得られるフェノール樹脂(b)に含有される未反応フェノール類の含有量は特に限定されないが、2重量%以下であることが好ましい。未反応フェノール類の含有量が上記上限値より多いときは、樹脂の取り扱い時における臭気等の環境衛生面の悪化はもちろんのこと、種々の用途に用いた場合に、機械的強度の低下、耐湿性の低下、寸法安定性の低下、あるいは、炭化したときに炭素歩留まりの低下等の問題が生じることがあるので、出来る限り小さいことが好ましい。
上記フェノール樹脂(b)中の未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とする方法としては、特に限定されないが、好ましくはフェノール樹脂(a)の未反応フェノール類含有量が2重量%以下であるものを用いる。これにより、上記上限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等の通常の方法を組み合わせて未反応フェノール類を除去してもよい。
なお、本発明における未反応フェノール類の含有量は、JIS K0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した値である。
本発明の製造方法においては、以上に説明したような2段反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(b)を安定して効率よく得ることができる。
従来の製造方法、例えば、フェノール類、アルデヒド類、及びトリアジン環を有する化合物を、トリエチルアミン等の弱塩基性触媒を用いて1段で反応を行うと、樹脂中に未反応フェノール類が多量に残存するようになる。また、有機ホスホン酸を触媒として1段で反応させると、トリアジン類とアルデヒド類の反応のみが優先して起きてしまい、樹脂の
ゲル化が起こるようになる。
これに対して、本発明の製造方法によれば、まず、前段反応でフェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸、あるいは、所定量のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を触媒として反応させることにより、樹脂の分子量が比較的小さく、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を高収率で得ることができ、これを後段反応において、トリアジン環を有する化合物及びアルデヒド類と反応させる際のベースレジンとして使用する。また、フェノール樹脂(a)中の未反応フェノール類の含有量が少ないことにより、後段反応で得られるフェノール樹脂(b)も、同様に未反応フェノール類の含有量が少ないものを簡易に得ることができる。そして、フェノール類のほとんどが前段反応で消費されているので、後段反応でアルデヒド類を添加しても上記モル比を適正に保つことができ、樹脂のゲル化等を起こすことなく安定して反応を行うことができる。
以上に説明した方法により得られたフェノール樹脂(b)は、硬化性、耐熱性に優れ、例えば、成形材料、エポキシ樹脂硬化剤、炭素材ベース樹脂、熱可塑性樹脂改質材、ゴム配合用等の幅広い分野に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。しかし、本発明は実施例により限定されるものではない。また、実施例、比較例で示される「部」及び「%」は、全て「重量部」及び「重量%」を表す。
<実施例1>
(1)フェノール樹脂(a)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学社製)600部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン561部(モル比F/P=0.65)を60分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。その後、内温を80℃まで冷却し、30分間静置した。静置後反応装置底部より1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸水溶液を分離除去した。得られた樹脂を反応装置より取り出し、フェノール樹脂(a)1160部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=500、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=0.9%であった。樹脂中の触媒残存量は0.3%であった。
(2)フェノール樹脂(b)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへメラミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン243部(モル比(F+F)/P=0.90)を仕込み、発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温させた。そのまま100℃で120分反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を150℃まで上げて生成した縮合水を除去し、フェノール樹脂(b)1120部を得た。得られた樹脂のGPCによるMn=2700、Mw=9600であった。また、未反応フェノール含有量=0.7%であった。
<実施例2>
(1)フェノール樹脂(a)の製造
37%ホルマリンの仕込量を647部(モル比F/P=0.75)にした以外は実施例1と同様な方法で行い、フェノール樹脂(a)1180部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=700、Mw=1000であった。また、未反応フェノール含有量=
0.7%であった。樹脂中の触媒残存量は0.4%であった。
(2)フェノール樹脂(b)の製造
上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部にトリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.2とした。そこへメラミン122部(仕込みフェノール量に対し10モル%)と37%ホルマリン157部(モル比(F+F)/P=0.91)を入れ、実施例1と同様な方法で反応を実施し、フェノール樹脂(b)1050部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2500、Mw=9300であった。また、未反応フェノール含有量=0.8%であった。
<実施例3>
(1)フェノール樹脂(a)の製造
撹拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン518部(モル比F/P=0.60)を60分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。その後、内温を80℃まで冷却し、30分間静置した。静置後反応装置底部よりリン酸水溶液を分離除去した。ここへ純水500部を添加し、内温を80℃まで昇温し20分間攪拌洗浄した後、静置した。30分間静置後、反応装置上部より分離水を除去した。得られた樹脂を反応装置より取り出し、フェノール樹脂(a)1055部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=500、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=0.8%であった。樹脂中の触媒残存量は0.1%であった。
(2)フェノール樹脂(b)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン4部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへアセトグアナミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン172部(モル比(F+F)/P=0.80)を仕込み、発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温させた。そのまま100℃で120分間反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を150℃まで上げて生成した縮合水を除去し、フェノール樹脂(b)1110部を得た。得られた樹脂のGPCによるMn=2500、Mw=9300であった。また、未反応フェノール含有量=0.6%であった。
<実施例4>
(1)フェノール樹脂(a)の製造
37%ホルマリンの仕込量を604部(モル比F/P=0.70)にした以外は実施例1と同様な方法で行い、フェノール樹脂(a)1089部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=800、Mw=1000であった。また、未反応フェノール含有量=0.5%であった。樹脂中の触媒残存量は0.1%であった。
(2)フェノール樹脂(b)の製造
上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部にトリエチルアミン4部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへアセトグアナミン193部(仕込みフェノール量に対し15モル%)と37%ホルマリン129部(モル比(F+F)/P=0.85)を入れ、実施例1と同様な方法で反応を実施し、フェノール樹脂(b)1080部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2700、Mw=9600であった。また、未反応フェノール含有量=0.7%であった。
<比較例1>
(1)フェノール樹脂(a)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、蓚酸10部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン431部(モル比F/P=0.50)を90分間かけて逐添した後、1時間還流反応を行った。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を130℃まで上げて生成した縮合水を除去し、ノボラック型フェノール樹脂(a)1060部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=400、Mw=800であった。また、未反応フェノール含有量=18.2%であった。
(2)フェノール樹脂(b)の製造
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10L反応装置中に、上記で得られたフェノール樹脂(a)1000部を仕込み、トリエチルアミン2部を入れ、系のpH=5.5とした。そこへメラミン193部(仕込みフェノール量に対し15%)と37%ホルマリン243部(モル比(F+F)/P=0.90)を仕込み発熱に注意しながら系の内温を100℃まで昇温した。そのまま100℃で120分間反応を実施した。還流冷却管を脱水配管に切り替えて内温を上げたところ、内温が110℃まで上昇した時点でゲル化を起こした。
<比較例2>
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置に、フェノール1000部、メラミン202部(フェノールに対し13モル%)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学社製)4部を添加し、内温を100℃まで昇温した後、37%ホルマリン509部(モル比F/P=0.59)を90分間かけて逐添した。その後、還流反応が10分間経過した時点でゲル化を起こした。
<比較例3>
攪拌装置、冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、常圧で内温95℃まで昇温した後、37%ホルマリン716部(モル比F/P=0.83)を1時間かけて添加した。更に98〜100℃で1時間還流反応を行った後、脱水配管に切り替え生成した水を除去しながら140℃まで昇温した。次いで、釜内を5000Paまで徐々に減圧にしながら内温を220℃まで上げ、水分等を除去し、ノボラック型フェノール樹脂920部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=1000、Mw=9000であった。また、未反応のフェノール成分量=2.1%であった。
<比較例4>
攪拌装置、還流冷却管および温度計を備えた10Lの反応装置にフェノール1000部、メラミン202部(フェノールに対し13モル%)、37%ホルマリン509部(モル比F/P=0.59)、トリエチルアミン2部を仕込み、常圧で内温100℃まで昇温した後、98〜100℃で4時間還流反応を行った。その後、還流配管を脱水配管に切り替え生成した水を除去しながら180℃まで昇温した。次いで、釜内を5000Paまで徐々に減圧にしながら内温を185℃まで上げ、未反応フェノール等を除去し、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂880部を得た。得られた樹脂のGPC測定によるMn=2900、Mw=8100であった。また、未反応フェノール成分量=3.0%であった。
以上、実施例、比較例で製造した樹脂についての結果を表1に示す。また、各例および表1中における各物性値の測定方法は以下の通りである。なお、収率はフェノールとメラミンまたはアセトグアナミンとの合計仕込み量に対する収得量の値である。
(測定方法)
1.数平均分子量、重量平均分子量:GPC(液体クロマトグラフィー)で測定した。
・液体クロマトグラフィー:
フェノール樹脂(a)は、東ソー社製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を使用した。フェノール樹脂(b)は、昭和高分子社製GPCカラム(Shodex GPC KF−805:1本、KF−803:1本、KF−802:1本)を使用した。測定条件は、流量1.0ml/分、溶出溶媒ジメチルホルムアミド、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
2.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
3.触媒残量:蛍光X線により全リン量を測定し、濃度既知の有機ホスホン酸から検量線を作成し測定した。
4.ゲル化時間:レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製・「PR−51723」)と、各例で得られた樹脂とを1:1の割合で粉砕混合し、150℃の熱盤上で測定した。
5.加熱減量:セイコーインスツルメント社製TG/DTA6300により、昇温速度10℃/分でリファレンスに酸化アルミニウムを使用して測定した。
Figure 0004206909
実施例1、2では、本発明の製造方法により、フェノールとホルムアルデヒドとを有機ホスホン酸を用いて反応させ、樹脂中の未反応フェノール量の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を得た。次いで、フェノール樹脂(a)とメラミン、ホルムアルデヒドとの反応を実施することにより、未反応フェノール量が1重量%以下であるフェノール樹脂(b)を得ることができた。
また、実施例3、4では、本発明の製造方法により、フェノールとホルムアルデヒドとを所定量のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させ、樹脂中の未反応フェノール量の含有量が少ないフェノール樹脂(a)を得た。次いで、フェノール樹脂(a)とアセトグアナミン、ホルムアルデヒドとの反応を実施することにより、未反応フェノール量が1重量%以下であるフェノール樹脂(b)を得ることができた。
一方、比較例1では、フェノール樹脂(a)の触媒として蓚酸を用いたため、未反応フェノールが多い樹脂しか得ることが出来ず、さらに後段反応では、前段反応でのフェノールの反応率が低いため実質的なモル比が高くなりゲル化を起こした。比較例2では有機ホスホン酸を触媒として使用したが、2段反応を行わなかったために反応後半でゲル化を起こしてしまった。
比較例3ではメラミンを含有しない通常のノボラック型フェノール樹脂を得たが、メラミンを含有しないため、硬化性に劣るものであった。
比較例4は、トリエチルアミンを触媒としてメラミン変性ノボラック型フェノール樹脂を合成したが、未反応フェノールの含有量が多く、収率が低下し、加熱減量の値も劣るものであった。
本発明の製造方法により得られたトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂は、硬化性、耐熱性に優れ、例えば、成形材料、エポキシ樹脂硬化剤、炭素材ベース樹脂、熱可塑性樹脂改質材、ゴム配合用等の幅広い分野に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、(ウ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、3官能性フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
    (エ)前記ノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、
    を有することを特徴とする、トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  2. 前記リン酸類が、リン酸である請求項に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、請求項1または2に記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  4. (イ)3官能性フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂に、さらにトリアジン環を有する化合物とアルデヒド類とを反応させる工程、あるいは(エ)工程は、前記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜8に調整して行うものである請求項1ないしのいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 前記(イ)工程あるいは(エ)工程は、前記ノボラック型フェノール樹脂のpHを2〜7に調整して行うものである請求項1ないしのいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  6. 前記トリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が2重量%以下である、請求項1ないしのいずれかに記載のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
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