JP2004315780A - 成形材料用ノボラック型フェノール樹脂及び成形材料 - Google Patents

成形材料用ノボラック型フェノール樹脂及び成形材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 流動性、硬化性が良好で、成形品の機械的特性やや外観を向上させることができる成形材料用フェノール樹脂及びこれを含有するフェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】 本発明は、未反応フェノール類の含有量が1重量%以下、2核体成分の含有量が5重量%以下であることを特徴とする成形材料用ノボラック型フェノール樹脂であり、好ましくは、重量平均分子量800〜12000、軟化点70〜140℃であるノボラック型フェノール樹脂であり、更には、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸あるいはリン酸水溶液を触媒として用いて反応させて得られるものであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形材料用ノボラック型フェノール樹脂及びこれを含有するフェノール樹脂成形材料に関するものである。
フェノール樹脂成形材料の成形品は、軽量であり、機械的特性、電気的特性、耐熱性に優れ、低コストに製造できることなどから、日用品から産業用機構部品にいたるまで、広範な用途に用いられており、使用目的に応じて原材料成分の種類、配合など、様々な改良が行われている。
フェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂とともに、無機又は有機充填材を主成分として配合し、さらに必要に応じて種々の樹脂、樹脂硬化剤、可塑剤、顔料等の添加成分を加えて、この原材料混合物を混練装置にて溶融混練後、造粒または粉砕することにより製造される。そして、この成形材料を用いて、射出成形、移送成形、あるいは圧縮成形などの成形方法により成形を行い、各種の成形品を得ることができる。
フェノール樹脂は他の熱硬化性樹脂と同様に、その硬化物は硬い反面脆さを有しており、この性質を改善し、成形品の種々の特性を付与するために種々の充填材の配合が行われる。また、成形材料の製造コスト削減のためにも、充填材の配合量を増加する試みが行われている。しかし、充填材の種類や配合量によっては、溶融時の成形材料の流動性が大きく低下するため、原材料混合物の混練工程における均一混合性や成形品の成形性に影響するという問題があり、充填材の配合量には限界がある。
また、分子量が小さく流動性の大きいフェノール化合物を配合して流動性のよいフェノール樹脂成形材料を製造することも検討された(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような成形材料は二核体成分量が多くなるため、樹脂の硬化性が低下しやすい。また、成形時あるいは成形後の熱処理時にガス発生量が増加して、成形欠陥が発生したり成形品外観が低下したりするという問題があった。
また、1分子中にカルボキシル基(−COOH)とアルコール性水酸基(−OH)を持つオキシカルボン酸を触媒として用い、フェノール類とホルムアルデヒド類とを縮合反応させて得られる、低核体成分の含有量が少ないフェノール樹脂を用いた成形材料が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平05−156119号公報 特開平08−059769号公報
本発明は、流動性、硬化性が良好で、成形品の機械的特性や外観を向上させることができる成形材料用フェノール樹脂及びこれを含有するフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
このような発明は、下記の本発明(1)〜(7)により達成される。
(1) 未反応フェノール類の含有量が1重量%以下、2核体成分の含有量が5重量%以下であることを特徴とする成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
(2) 前記ノボラック型フェノール樹脂は、重量平均分子量800〜12000、軟化点70〜140℃である前記(1)に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
(3) 前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として用いて反応させて得られるものである上記(1)または(2)に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
(4) 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)で示されるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
R−PO(OH) (I)
(Rは炭素原子を含み、かつ −COOH、及び/又は −PO(OH) を含む基である)
(5)上記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、上記フェノール類1モルに対して0.2モル以上のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてなるものである上記(1)又は(2)に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
(6)上記リン酸類は、リン酸である上記(5)に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
(7) 上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
本発明は、未反応フェノール類の含有量が1重量%以下、2核体成分の含有量が5重量%以下であることを特徴とする成形材料用ノボラック型フェノール樹脂、及び、これを含有するフェノール樹脂成形材料であり、流動性、硬化性が良好で、成形品の機械的特性や外観を向上させることができるフェノール樹脂成形材料を提供することができるものである。
以下に、本発明の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂及び成形材料について説明する。
本発明の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「フェノール樹脂」ということがある)は、未反応フェノール類の含有量が1重量%以下、2核体成分の含有量が5重量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の成形材料は、上記ノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とする。
まず、本発明のフェノール樹脂について説明する。
本発明のフェノール樹脂に用いるフェノール類は特に限定されないが、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシンなどのフェノール類から選ばれた少なくとも1種以上のフェノール類が挙げられ、通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
本発明のフェノール樹脂に用いるアルデヒド類は特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン等あるいはこれらの混合物であり、これらのアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することも可能で、これらのアルデヒド類から選ばれた少なくとも1種以上のアルデヒド類が挙げられるが、通常はホルムアルデヒドが多く用いられる。
ここでホルムアルデヒドとしては特に限定されないが、好ましくはホルムアルデヒド水溶液、パラホルムアルデヒド等あるいはこれらの混合物であり、これらのホルムアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのホルムアルデヒドの溶液を使用することも可能である。
本発明のフェノール樹脂中の未反応フェノール類、及び2核体成分の含有量は、未反応フェノール類が1重量%以下、2核体成分は5重量%以下である。これにより、このフェノール樹脂を成形材料に用いた場合に、硬化性が向上し、成形品の機械的特性や外観を向上させることができる。未反応フェノール類や2核体成分の含有量が上記上限値より多い場合は、成形材料に用いた場合に硬化性の低下、成形品の機械的特性の低下、外観不良やガス欠陥を生じることがある。より好ましくは、未反応フェノール類が0.1重量%以下、2核体成分は4重量%以下である。
なお、上記未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準じ、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。また、2核体成分の含有量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定し、2核体成分の面積比率により求めたものである。
本発明のノボラック型フェノール樹脂は特に限定されないが、重量平均分子量800〜12000、軟化点70〜140℃であることが好ましく、より好ましくは、重量平均分子量1000〜8000、軟化点80〜130℃である。重量平均分子量が上記下限値より小さい場合、成形時の流れが大き過ぎ成形不良を起こすことがある。重量平均分子量が上記上限値より大きい場合、成形時の流れが小さすぎ成形不可となることがある。軟化点が上記下限値より低い場合、成形材料がブロッキングを生じることがある。軟化点が上記上限値を越えると、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンの分解温度より高いため、加熱時に樹脂が溶融する以前にヘキサメチレンテトラミンが分解し硬化剤として機能しない場合がある。
本発明のフェノール樹脂は特に限定されないが、上記フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として用いて反応させて得られるものであることが好ましい。これにより、フェノール樹脂中の未反応フェノール類、及び2核体成分の含有量が上記範囲内にあるものを簡易に得ることができる。
ここで触媒として使用する有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH) を含む有機化合物であり、いかなるものも使用可能であるが、下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸が、未反応フェノール類、2核体成分の含有量が少なく、ノボラック型フェノール樹脂を高収率に得るために好ましい。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ、−COOH及び又は−PO(OH)を含む基である)
一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、例えば、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
上記有機ホスホン酸の添加量は、特に限定されないが、フェノール類1モルに対して0.001〜4.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェノール類が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きいが、触媒添加量が4.0モルを越えるとその効果が変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒としての効果が実質的になくなる。
上記の反応条件は、特に限定されるものではないが、好ましい条件として、反応温度は、50〜200℃、更に好ましくは、80〜150℃である。50℃より低いと、触媒である有機ホスホン酸の触媒作用が低下するようになる。200℃を越えると有機ホスホン酸の分解及びフェノール樹脂の分解が起こることがある。
反応時の反応系の水分量は、少ない方が好ましく、更に好ましくは1〜30重量%の範囲である。反応形態として、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌は速い方が好ましい。
また、本発明のフェノール樹脂は、触媒として所定量のリン酸類を用いて得られるものであることが好ましい。これにより、有機ホスホン酸を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
このリン酸類水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
ここで用いられるリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、未反応フェノール類、及び、2核体成分の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類、及び、2核体成分の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
触媒として上記リン酸類水溶液を用いた場合の反応条件としては、特に限定されないが、反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
反応時の反応系の水分量は、好ましくは1〜40重量%以下の範囲である。反応形態として、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌は速い方が好ましい。
また、上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を触媒として用いる場合は、これらのほか、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの、通常、ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸の併用も可能である。これらの酸の併用は特に4核体以上の高分子領域を必要とする場合、その反応促進に有効であり、分子量分布を制御する方法として有効な手段である。
本発明のフェノール樹脂を合成する際に、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との仕込みモル比(F/P)は特に限定されないが、触媒として上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を用いる場合は、通常、0.1〜1.0であり、好ましくは、0.5〜0.95、より好ましくは、0.6〜0.9である。また、これら以外の酸性触媒を用いた場合は、0.05〜0.8とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.7である。
これにより、本発明の用途に用いるのに適したフェノール樹脂を得ることができる。
モル比が上記下限値より小さいと、反応が十分に行われず未反応のフェノール類が多量に残留したり、フェノール樹脂の収得量が少なくなったりすることがあり、上記上限値より大きいと、反応条件によっては反応が進みすぎてゲル化することがある。
なお、酸性触媒として上記リン酸類水溶液を用いる場合は、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)を0.8〜0.95とし、上記反応温度を80〜150℃として反応させることにより、二核体成分の含有量を低減させる効果を高めることができる。
上記フェノール類とアルデヒド類との反応方法としては特に限定されないが、反応の開始時において、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み触媒を反応させてもよく、また、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類と触媒を混合してからアルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。
上記反応において、消泡剤、界面活性剤等を反応安定化のために使用することは可能である。また、メタノール、アセトン等の有機溶剤を使用することも可能である。
上記反応終了後、触媒除去のために、相分離を利用して静置分離や遠心分離機等により取り除くことや、中和や水洗を行うことができる。その際、必要により、水や有機溶剤を添加することも可能である。有機ホスホン酸を含んだ水、あるいは、リン酸類水溶液は容易に相分離するため、比較的簡単に静置分離や遠心分離機等により取り除くことができる。除去された有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類水溶液は、再利用することができる。中和は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、トリエチルアミン等の有機または無機のアルカリ性物質を使用できる。これらの除去工程により、反応物のpHを2〜12として、その後の未反応フェノール類ないし2核体成分の除去時に、ノボラック型フェノール樹脂が熱による分解が起こらないようすることが望ましい。
本発明のフェノール樹脂は、以上に説明したように、フェノール類とアルデヒド類とを、上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を触媒として用いて反応させて得られるものであることが好ましいが、これ以外にも、公知の酸性触媒を用いて反応させることもできる。このとき、酸性触媒の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.001〜0.1モルとすることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05モルである。
この場合、得られる樹脂中に含有される未反応のフェノール類、あるいは2核体成分の量が多くなることがあるので、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留、再結晶、溶剤抽出、水洗等の方法でこれを除去することができる。
一例を挙げると、未反応フェノール類は、170℃、500Paの減圧条件下で、また、2核体成分は、250℃100Paの減圧条件下で除去することができる。
次に、本発明の成形材料について説明する。
本発明の成形材料は、これまで説明したノボラック型フェノール樹脂を含有するものである。通常、上記フェノール樹脂とともに、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤、基材として繊維状ないし粉末状の無機充填材およびまたは有機充填材を含有し、さらには、硬化助剤、離型剤、顔料等が配合されている。必要により、他のフェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂など)、ポリアミド、ポリビニルブチラールなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、NBR、SBR等のエラストマー等を、要求特性に応じて適宜配合される。
本発明の成形材料は、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記の材料を所定量配合し、リボンブレンダーやプラネタリミキサーなどを用いて予備混合する。さらに、これを加熱ロール、二軸押出混練機などを使用して溶融混練し、混練後のものを造粒したり冷却後に粉砕・分級したりすることにより得られる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重量%」を示す。
(フェノール樹脂の製造)
実施例1
3Lの三口フラスコ中に2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸50%水溶液(PBTC、城北化学(株)製)2000部を添加し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行い70%の濃度として、フェノール1000部を添加し、攪拌させながら110℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液733部を60分間かけて逐次添加し、110℃で1時間還流させながら反応させた。その後、90℃まで冷却して攪拌を停止した。30分間静置により反応物分離は上層と下層に分離した。上層は樹脂相、下層は2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液となり、下層の2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液を除去した後、樹脂相を純水1000g添加後70℃で10分間攪拌して、30分間静置分離した後、上層の水を除去する水洗を2回行った後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って170℃まで昇温してノボラック型フェノール樹脂A 1103部を得た。
実施例2
3Lの三口フラスコ中にシュウ酸1部、フェノール1000部を添加し、攪拌させながら100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液431部を60分間かけて逐次添加し、100℃での還流反応を30分間行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って280℃まで昇温した。その後、280℃の温度、1000Paの減圧度で減圧蒸留を8時間行いノボラック型フェノール樹脂B 480部を得た。
(実施例3)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール1モルに対してリン酸類0.8モルに相当)を添加し、120℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド278部を30分間かけて逐次添加し、110℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、ノボラック型フェノール樹脂C 1032部を得た。
比較例1
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸を10部添加し、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、その後100℃で1時間還流させながら反応した。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、ノボラック型フェノール樹脂D 910部を得た。
実施例1〜3および比較例1で得られたフェノール樹脂A、B、C、Dについて、未反応フェノール量、2核体成分の含有量と分子量、および樹脂特性(軟化点、50%エタノール溶液の動粘度)を表1に示す。
Figure 2004315780
(測定方法)
1.軟化点:JIS K 2531に準拠して測定した。
2.50%エタノール溶液の動粘度:50%のエタノール溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
3.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K0114に準じ、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
4.2核体成分量、数平均分子量及び重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定
・液体クロマトグラフィー:
東ソー社製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。2核体成分量は、各成分のピーク面積比から求めた。
(成形材料の製造)
実施例4〜6および比較例2
実施例1〜3と比較例1で得られたノボラック型フェノール樹脂A、B、C、Dをそれぞれ単独で用い、下記の成形材料製造例Aに従って成形材料を製造した。次いで、これらの成形材料を用い、圧力30MPa、温度165℃で5分間コンプレッション成形を行い、成形品(試験片)を作製した。
(成形材料製造例A)
ノボラック型フェノール樹脂45部、ヘキサメチレンテトラミン7部、木粉(100メッシュパス、揮発分量9%、吸油量250ml/100g)35部、クレー((株)ECC製、ECKALITE1)10部、水酸化カルシウム1部、ステアリン酸2部を配合して加熱ロールにて溶融混合し、粉砕して成形材料を得た。
実施例7〜9および比較例3
実施例1〜3と比較例1で得られたノボラック型フェノール樹脂A、B、C、Dをそれぞれ単独で用い、下記の成形材料製造例Bに従って成形材料を製造した。次いで、これらの成形材料を用い、圧力30MPa、温度165℃で5分間コンプレッション成形を行い、成形品(試験片)を作製した。
(成形材料製造例B)
ノボラック型フェノール樹脂30部、ヘキサメチレンテトラミン5部、ガラス繊維(日本板硝子(株)製RES03−BM38)50部、クレー((株)ECC製、ECKALITE1)12部、水酸化カルシウム1部、ステアリン酸2部を配合して加熱ロールにて溶融混合し、粉砕して成形材料を得た。
成形材料特性及び成形品特性を表2に示す。
Figure 2004315780
(測定方法)
1.溶融粘度および硬化性:ラボプラストミル(東洋精機製)を用い130℃の温度で測定した。溶融粘度として、成形材料の溶融時の最低トルクを測定した。硬化性は、溶融トルクが最低トルクとなった時間から、最低トルクより50N・m高くなった時間までを反応時間として測定した。
2.成形品外観:下記曲げ強さ測定用の試験片の外観を目視で観察した。
3.曲げ強さ、曲げ弾性率およびシャルピー衝撃強さ:JIS K6911に準拠して測定した。
実施例1〜3で得られたフェノール樹脂を用いた成形材料は、比較例1で得られたフェノール樹脂を用いた成形材料に比べて、流動性、硬化性が良好であった。
また、これらの成形材料を用いた成形品は、機械的特性、特に曲げ強度において優れていた。これは充填材を高い割合で配合した実施例7〜9(成形材料製造例B)において顕著であり、外観も比較例3に比べ良好なものであった。
以上の説明の通り、本発明のノボラック型フェノール樹脂を用いた成形材料は、流動性、硬化性が良好であり、機械的特性や外観の優れた成形品を得ることができる。従って、本発明のノボラック型フェノール樹脂はフェノール樹脂成形材料用として極めて有用である。

Claims (7)

  1. 未反応フェノール類の含有量が1重量%以下、2核体成分の含有量が5重量%以下であることを特徴とする成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
  2. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、重量平均分子量800〜12000、軟化点70〜140℃である請求項1に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
  3. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として用いて反応させて得られるものである請求項1又は2に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
  4. 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)で示されるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
    R−PO(OH) (I)
    (Rは炭素原子を含み、かつ −COOH、及び/又は −PO(OH) を含む基である)
  5. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、前記フェノール類1モルに対して0.2モル以上のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させてなるものである請求項1又は2に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
  6. 前記リン酸類は、リン酸である請求項5に記載の成形材料用ノボラック型フェノール樹脂。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
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