JPH083257A - ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法 - Google Patents

ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法

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JPH083257A
JPH083257A JP15675794A JP15675794A JPH083257A JP H083257 A JPH083257 A JP H083257A JP 15675794 A JP15675794 A JP 15675794A JP 15675794 A JP15675794 A JP 15675794A JP H083257 A JPH083257 A JP H083257A
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JP
Japan
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acid
phenolic resin
phenol
type phenolic
novolac type
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JP15675794A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Kurimoto
好章 栗本
Akiyuki Kojima
昭之 小島
Tsuyoshi Fukuda
強 福田
Kaori Hasegawa
かおり 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、フェノール類とアルデヒド類とを原
料とする分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂
を提供する。 【構成】本発明のノボラック型フェノール樹脂は、1分
子中にカルボキシル基−COOHとアルコール性水酸基
−OHを持つオキシルカルボン酸を触媒として用い、フ
ェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させて得られる
ものである。これにより、分子量分布が狭く、溶融粘度
の低減、硬化時間の均一化を図れるノボラック型フェノ
ール樹脂を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は分子量分布の狭いノボラ
ック型フェノール樹脂及びその製造方法に関する。
【従来の技術】従来、ノボラック型フェノール樹脂は、
フェノール類及びアルデヒド類を酸性触媒下で反応させ
ることで得られ、幅広い各種の分野に使用されている。
しかし、このような従来のノボラック型フェノール樹脂
にあっては、その分子量分布が広いために、樹脂の硬化
時間が不均一となったり、溶融粘度が高い等の欠点があ
った。上記欠点を解決すべく従来においても種々の方法
が取られてきた。例えば、フェノール類及びアルデヒド
類を酸性触媒の存在下で反応させるに際し、有機溶媒系
で反応させ、その溶媒組成を良溶媒と貧溶媒の混合溶媒
とすることで、分子量分布の狭いノボラック樹脂を得て
いる。また、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒存
在下で反応させた後、薄膜蒸発機で処理してノボラック
型フェノール樹脂を製造する方法も提示されていた。し
かしながら、これらの製造方法の場合、その工程が煩雑
となり、樹脂の収量が少なく、分子量分布も必ずしも十
分に狭いものではなかった。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み開発されたものであり、目的とするところは、フェ
ノール類とアルデヒド類とを原料とする分子量分布の狭
いノボラック型フェノール樹脂及びこのノボラック型フ
ェノール樹脂を高収率で得ることができる製造方法を提
供することにある。
【課題を解決するための手段】請求項1記載のノボラッ
ク型フェノール樹脂は、1分子中にカルボキシル基−C
OOHとアルコール性水酸基−OHを持つオキシルカル
ボン酸を触媒として用い、フェノール類とアルデヒド類
とを縮合反応させて得られるものである。請求項2記載
のノボラック型フェノール樹脂は、前記オキシカルボン
酸中のカルボキシル基−COOHとアルコール性水酸基
−OHを1ユニットとし、このユニット数にオキシカル
ボン酸モル数を乗したものとアルデヒド基のモル数との
比率が0.005〜4.0、好ましくは0.25〜2.
0としたものである。請求項3記載のノボラック型フェ
ノール樹脂は、前記オキシカルボン酸を、乳酸、リンゴ
酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸又はこれらの混合物
としたものである。請求項4記載のノボラック型フェノ
ール樹脂は、前記フェノール類を、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、ビスフェノールA又はこれらの混
合物としたものである。請求項5記載のノボラック型フ
ェノール樹脂は、前記アルデヒド類を、パラホルムアル
デヒド、ホルマリン、ベンズアルデヒド、サリチルアル
デヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタル
アルデヒド又はこれらの混合物としたものである。請求
項6記載のノボラック型フェノール樹脂は、前記アルデ
ヒド類とフェノール類のモル比率を0.1〜2.0、好
ましくは0.5〜1.0としたものである。請求項7記
載のノボラック型フェノール樹脂は、前記オキシカルボ
ン酸と、通常のノボラック型フェノール樹脂の製造に用
いられる酸触媒としての塩酸、硫酸、シュウ酸、p−ト
ルエンスルホン酸の内のいずれかの酸とを触媒として併
用して得られるものである。請求項8記載のノボラック
型フェノール樹脂の製造方法は、1分子中にカルボキシ
ル基−COOHとアルコール性水酸基−OHを持つオキ
シルカルボン酸からなる触媒下で、フェノール類とアル
デヒド類とを還流温度以下の温度で反応させ、反応終了
後、反応系を水で洗浄して触媒類を除去した後この反応
系を減圧脱水濃縮する縮合反応を行ってノボラック型フ
ェノール樹脂を得るものである。以下、本発明について
更に詳述する。本発明者等は前記目的を達成するために
鋭意検討を重ねた結果、1分子中にカルボキシル基−C
OOHとアルコール性水酸基−OHとを持つオキシカル
ボン酸、例えば、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石
酸、クエン酸又はこれらの混合物を触媒として用い、フ
ェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させることによ
り分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂を高収
率で得ることができることを見出し本発明を完成するに
至った。本発明におけるフェノール類とアルデヒド類と
の縮合反応は、例えば、上述した触媒の存在下で還流温
度以下の温度で反応させ、反応終了後、反応系を水で洗
浄して触媒類を除去し、次に、反応系を減圧脱水濃縮す
ることにより、分子量分布の狭いノボラック型フェノー
ル樹脂を高収率で得るものである。
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
本実施例のノボラック型フェノール樹脂は、1分子中に
カルボキシル基−COOHとアルコール性水酸基−OH
を持つオキシルカルボン酸を触媒として用い、フェノー
ル類とアルデヒド類とを縮合反応させて得られるもので
ある。前記フェノール類としては、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、ビスフェノールA又はこれらの混
合物を用いる。前記アルデヒド類としては、パラホルム
アルデヒド、ホルマリン、ベンズアルデヒド、サリチル
アルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフ
タルアルデヒド又はこれらの混合物を用いる。触媒とし
ては、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸
又はこれらの混合物が用いられ、また、これらを通常の
ノボラック樹脂製造用の触媒として用いる塩酸、硫酸、
シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の内のいずれかの
酸と併用することも可能である。前記フェノール類とア
ルデヒド類との反応モル比は、通常、フェノール類1モ
ルに対しアルデヒド類0.1〜2.0モル、好ましくは
0.5〜1.0モルである。フェノール類1モルに対し
アルデヒド類0.1モル以下では遊離フェノールが多く
分子量分布が狭くならず、また、フェノール類1モルに
対しアルデヒド類2.0以上では分子量分布が広くなっ
てしまう。更に、前記触媒として用いられるオキシカル
ボン酸中のカルボキシル基−COOHとアルコール性水
酸基−OHにおいて、これらを1ユニットとし(例え
ば、酒石酸を用いる場合、ユニット数は2となる)、こ
のユニット数にオキシカルボン酸モル数を乗したものと
アルデヒド基のモル数との比率は、アルデヒド基1.0
モルに対し0.005〜4.0モル、好ましくは0.2
5〜2.0モルである。アルデヒド基1.0モルに対し
0.005モル以下では分子量分布が広くなってしま
い、また、アルデヒド基1.0モルに対し4.0モル以
上では分子量が大きくならない。本実施例におけるフェ
ノール類とアルデヒド類との縮合反応は、例えば、上述
した触媒の存在下で還流温度以下の温度で反応させ、反
応終了後、反応系を水で洗浄して触媒類を除去する。次
に、反応系を減圧脱水濃縮することにより、分子量分布
の狭いノボラック型フェノール樹脂を得る。以下に、本
発明の具体的実施例を詳細に説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。 [実施例1]温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量
300mlの4つ口セパラブルフラスコに、フェノール
141g、86%パラホルムアルデヒド41.9g、酒
石酸90gを仕込み、120℃にて昇温し、還流反応を
4時間行う。還流反応終了後、フェノールと同量の水1
41gで水洗を行い、酒石酸の除去を行う。酒石酸除去
の確認は、図1、図2に示す1740cmのカルボン酸
の吸収を指標として行う。水洗終了後、反応系の減圧脱
水濃縮を行い、黄褐色透明のノボラック型フェノール樹
脂151.3gを得た。なお、水洗前の1740cmの
カルボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトルグラ
フである図1により、酒石酸の存在が確認できる。ま
た、水洗後の1740cmのカルボン酸の吸収状態を示
す赤外線吸収スペクトルグラフである図2により、酒石
酸が除去されていることが確認できる。 [実施例2]実施例1で用いたものと同様の装置に、o
−クレゾール162g、86%パラホルムアルデヒド4
7.1g、クエン酸90gを仕込み、実施例1と同様に
120℃にて昇温し、還流反応を4時間行う。還流反応
終了後、o−クレゾールフェノールと同量の水162g
で水洗を行い、クエン酸の除去を行う。クエン酸除去の
確認は、前記実施例1と同様に図1、図2に示す174
0cmのカルボン酸の吸収を指標として行う。水洗終了
後、反応系の減圧脱水濃縮を行い、黄褐色透明のノボラ
ック型o−クレゾール樹脂172.9gを得た。 [比較例1]実施例1で用いたものと同様の装置に、フ
ェノール141g、37%ホルマリン97.3g、シュ
ウ酸0.99gを仕込み、100℃に昇温し、還流反応
を4時間行う。反応終了後、減圧脱水濃縮を行い、黄褐
色透明のノボラック型フェノール樹脂138.9gを得
た。実施例1、実施例2、比較例1にて得られた各樹脂
の軟化点、分子量分布の測定結果を表1に示す。なお、
上記分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトフラ
フィーにて測定し、分子量分布の広い、狭いの尺度はポ
リスチレン換算重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比を用いた。表1から明らかなように、実施
例1、実施例2により得られた各樹脂は比較例1により
得られた樹脂に比べ、軟化点がかなり低くなり、また、
分子量分布も1/2以下と狭く、收率も高くなっている
ことがわかる。
【表1】 また、実施例1、実施例2、比較例1にて得られた各樹
脂のゲルパーミエーションクロマトフラフによる測定結
果を図3、図4、図5に示す。これらの各図から明らか
なように、図3に示す実施例1により得られた樹脂は、
図5に示す比較例1により得られた樹脂のゲルパーミエ
ーションクロマトフラフによる測定結果と比較して、分
子量分布が狭くなっていることが確認できる。また、図
4に示す実施例2により得られた樹脂も、図5に示す比
較例1により得られた樹脂のゲルパーミエーションクロ
マトフラフによる測定結果と比較して、分子量分布が狭
くなっていることが確認できる。
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フェノー
ル類とアルデヒド類とを原料とし分子量分布が狭く、溶
融粘度の低減、硬化時間の均一化を図れるノボラック型
フェノール樹脂を提供することができる。また、本発明
によれば、上述したノボラック型フェノール樹脂を簡略
な工程でかつ高い収率で得ることが可能な製造方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における水洗前の1740cmのカル
ボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトルグラフ
【図2】実施例1における水洗後の1740cmのカル
ボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトルグラフ
【図3】実施例1により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
【図4】実施例2により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
【図5】比較例1により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明 細 書
【発明の名称】 ノボラック型フェノール樹脂及びそ
の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は分子量分布の狭いノボラ
ック型フェノール樹脂及びその製造方法に関する。
【従来の技術】従来、ノボラック型フェノール樹脂は、
フェノール類及びアルデヒド類を酸性触媒下で反応させ
ることで得られ、幅広い各種の分野に使用されている。
しかし、このような従来のノボラック型フェノール樹脂
にあっては、その分子量分布が広いために、樹脂の硬化
時間が不均一となったり、溶融粘度が高い等の欠点があ
った。上記欠点を解決すべく従来においても種々の方法
が取られてきた。例えば、フェノール類及びアルデヒド
類を酸性触媒の存在下で反応させるに際し、有機溶媒系
で反応させ、その溶媒組成を良溶媒と貧溶媒の混合溶媒
とすることで、分子量分布の狭いノボラック樹脂を得て
いる。また、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒存
在下で反応させた後、薄膜蒸発機で処理してノボラック
型フェノール樹脂を製造する方法も提示されていた。し
かしながら、これらの製造方法の場合、その工程が煩雑
となり、樹脂の収量が少なく、分子量分布も必ずしも十
分に狭いものではなかった。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み開発されたものであり、目的とするところは、フェ
ノール類とアルデヒド類とを原料とする分子量分布の狭
いノボラック型フェノール樹脂及びこのノボラック型フ
ェノール樹脂を高収率で得ることができる製造方法を提
供することにある。
【課題を解決するための手段】請求項1記載のノボラッ
ク型フェノール樹脂は、1分子中にカルボキシル基−C
OOHとアルコール性水酸基−OHを持つオキシカルボ
酸を触媒として用い、フェノール類とアルデヒド類と
を縮合反応させて得られるものである。請求項2記載の
ノボラック型フェノール樹脂は、前記オキシカルボン酸
中のカルボキシル基−COOHとアルコール性水酸基−
OHを1ユニットとし、このユニット数にオキシカルボ
ン酸モル数を乗したものとアルデヒド基のモル数との比
率が0.005〜4.0、好ましくは0.25〜2.0
としたものである。請求項3記載のノボラック型フェノ
ール樹脂は、前記オキシカルボン酸を、乳酸、リンゴ
酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸又はこれらの混合物
としたものである。請求項4記載のノボラック型フェノ
ール樹脂は、前記フェノール類を、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、ビスフェノールA又はこれらの混
合物としたものである。請求項5記載のノボラック型フ
ェノール樹脂は、前記アルデヒド類を、パラホルムアル
デヒド、ホルマリン、ベンズアルデヒド、サリチルアル
デヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタル
アルデヒド又はこれらの混合物としたものである。請求
項6記載のノボラック型フェノール樹脂は、前記アルデ
ヒド類とフェノール類のモル比率を0.1〜2.0、好
ましくは0.5〜1.0としたものである。請求項7記
載のノボラック型フェノール樹脂は、前記オキシカルボ
ン酸と、通常のノボラック型フェノール樹脂の製造に用
いられる酸触媒としての塩酸、硫酸、シュウ酸、p−ト
ルエンスルホン酸の内のいずれかの酸とを触媒として併
用して得られるものである。請求項8記載のノボラック
型フェノール樹脂の製造方法は、1分子中にカルボキシ
ル基−COOHとアルコール性水酸基−OHを持つオキ
シカルボン酸からなる触媒下で、フェノール類とアルデ
ヒド類とを還流温度以下の温度で反応させ、反応終了
後、反応系を水で洗浄して触媒類を除去した後この反応
系を減圧脱水濃縮する縮合反応を行ってノボラック型フ
ェノール樹脂を得るものである。以下、本発明について
更に詳述する。本発明者等は前記目的を達成するために
鋭意検討を重ねた結果、1分子中にカルボキシル基−C
OOHとアルコール性水酸基−OHとを持つオキシカル
ボン酸、例えば、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石
酸、クエン酸又はこれらの混合物を触媒として用い、フ
ェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させることによ
り分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂を高収
率で得ることができることを見出し本発明を完成するに
至った。本発明におけるフェノール類とアルデヒド類と
の縮合反応は、例えば、上述した触媒の存在下で還流温
度以下の温度で反応させ、反応終了後、反応系を水で洗
浄して触媒類を除去し、次に、反応系を減圧脱水濃縮す
ることにより、分子量分布の狭いノボラック型フェノー
ル樹脂を高収率で得るものである。
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
本実施例のノボラック型フェノール樹脂は、1分子中に
カルボキシル基−COOHとアルコール性水酸基−OH
を持つオキシカルボン酸を触媒として用い、フェノール
類とアルデヒド類とを縮合反応させて得られるものであ
る。前記フェノール類としては、フェノール、クレゾー
ル、キシレノール、ビスフェノールA又はこれらの混合
物を用いる。前記アルデヒド類としては、パラホルムア
ルデヒド、ホルマリン、ベンズアルデヒド、サリチルア
ルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタ
ルアルデヒド又はこれらの混合物を用いる。触媒として
は、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸又
はこれらの混合物が用いられ、また、これらを通常のノ
ボラック樹脂製造用の触媒として用いる塩酸、硫酸、シ
ュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の内のいずれかの酸
と併用することも可能である。前記フェノール類とアル
デヒド類との反応モル比は、通常、フェノール類1モル
に対しアルデヒド類0.1〜2.0モル、好ましくは
0.5〜1.0モルである。フェノール類1モルに対し
アルデヒド類0.1モル以下では遊離フェノールが多く
分子量分布が狭くならず、また、フェノール類1モルに
対しアルデヒド類2.0以上では分子量分布が広くなっ
てしまう。更に、前記触媒として用いられるオキシカル
ボン酸中のカルボキシル基−COOHとアルコール性水
酸基−OHにおいて、これらを1ユニットとし(例え
ば、酒石酸を用いる場合、ユニット数は2となる)、こ
のユニット数にオキシカルボン酸モル数を乗したものと
アルデヒド基のモル数との比率は、アルデヒド基1.0
モルに対し0.005〜4.0モル、好ましくは0.2
5〜2.0モルである。アルデヒド基1.0モルに対し
0.005モル以下では分子量分布が広くなってしま
い、また、アルデヒド基1.0モルに対し4.0モル以
上では分子量が大きくならない。本実施例におけるフェ
ノール類とアルデヒド類との縮合反応は、例えば、上述
した触媒の存在下で還流温度以下の温度で反応させ、反
応終了後、反応系を水で洗浄して触媒類を除去する。次
に、反応系を減圧脱水濃縮することにより、分子量分布
の狭いノボラック型フェノール樹脂を得る。以下に、本
発明の具体的実施例を詳細に説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。 [実施例1]温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量
300mlの4つ口セパラブルフラスコに、フェノール
141g、86%パラホルムアルデヒド41.9g、酒
石酸90gを仕込み、120℃にて昇温し、還流反応を
4時間行う。還流反応終了後、フェノールと同量の水1
41gで水洗を行い、酒石酸の除去を行う。酒石酸除去
の確認は、図1、図2に示す1740cm-1 のカルボン
酸の吸収を指標として行う。水洗終了後、反応系の減圧
脱水濃縮を行い、黄褐色透明のノボラック型フェノール
樹脂151.3gを得た。なお、水洗前の1740cm
-1 のカルボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトル
グラフである図1により、酒石酸の存在が確認できる。
また、水洗後の1740cm-1 のカルボン酸の吸収状態
を示す赤外線吸収スペクトルグラフである図2により、
酒石酸が除去されていることが確認できる。 [実施例2]実施例1で用いたものと同様の装置に、o
−クレゾール162g、86%パラホルムアルデヒド4
7.1g、クエン酸90gを仕込み、実施例1と同様に
120℃にて昇温し、還流反応を4時間行う。還流反応
終了後、o−クレゾールフェノールと同量の水162g
で水洗を行い、クエン酸の除去を行う。クエン酸除去の
確認は、前記実施例1と同様に図1、図2に示す174
cm-1 のカルボン酸の吸収を指標として行う。水洗終
了後、反応系の減圧脱水濃縮を行い、黄褐色透明のノボ
ラック型o−クレゾール樹脂172.9gを得た。 [比較例1]実施例1で用いたものと同様の装置に、フ
ェノール141g、37%ホルマリン97.3g、シュ
ウ酸0.99gを仕込み、100℃に昇温し、還流反応
を4時間行う。反応終了後、減圧脱水濃縮を行い、黄褐
色透明のノボラック型フェノール樹脂138.9gを得
た。実施例1、実施例2、比較例1にて得られた各樹脂
の軟化点、分子量分布の測定結果を表1に示す。なお、
上記分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトフラ
フィーにて測定し、分子量分布の広い、狭いの尺度はポ
リスチレン換算重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比を用いた。表1から明らかなように、実施
例1、実施例2により得られた各樹脂は比較例1により
得られた樹脂に比べ、軟化点がかなり低くなり、また、
分子量分布も1/2以下と狭く、收率も高くなっている
ことがわかる。
【表1】 また、実施例1、実施例2、比較例1にて得られた各樹
脂のゲルパーミエーションクロマトフラフによる測定結
果を図3、図4、図5に示す。これらの各図から明らか
なように、図3に示す実施例1により得られた樹脂は、
図5に示す比較例1により得られた樹脂のゲルパーミエ
ーションクロマトフラフによる測定結果と比較して、分
子量分布が狭くなっていることが確認できる。また、図
4に示す実施例2により得られた樹脂も、図5に示す比
較例1により得られた樹脂のゲルパーミエーションクロ
マトフラフによる測定結果と比較して、分子量分布が狭
くなっていることが確認できる。
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、フェノー
ル類とアルデヒド類とを原料とし分子量分布が狭く、溶
融粘度の低減、硬化時間の均一化を図れるノボラック型
フェノール樹脂を提供することができる。また、本発明
によれば、上述したノボラック型フェノール樹脂を簡略
な工程でかつ高い収率で得ることが可能な製造方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における水洗前の1740cm-1 のカ
ルボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトルグラフ
【図2】実施例1における水洗後の1740cm-1 のカ
ルボン酸の吸収状態を示す赤外線吸収スペクトルグラフ
【図3】実施例1により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
【図4】実施例2により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
【図5】比較例1により得られた樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトフラフによる測定結果を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 かおり 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化学 工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1分子中にカルボキシル基−COOHとア
    ルコール性水酸基−OHを持つオキシルカルボン酸を触
    媒として用い、フェノール類とアルデヒド類とを縮合反
    応させて得られることを特徴とするノボラック型フェノ
    ール樹脂。
  2. 【請求項2】前記オキシカルボン酸中のカルボキシル基
    −COOHとアルコール性水酸基−OHを1ユニットと
    し、このユニット数にオキシカルボン酸モル数を乗した
    ものとアルデヒド基のモル数との比率が0.005〜
    4.0、好ましくは0.25〜2.0である請求項1記
    載のノボラック型フェノール樹脂。
  3. 【請求項3】前記オキシカルボン酸が、乳酸、リンゴ
    酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸又はこれらの混合物
    である請求項1又は2記載のノボラック型フェノール樹
    脂。
  4. 【請求項4】前記フェノール類が、フェノール、クレゾ
    ール、キシレノール、ビスフェノールA又はこれらの混
    合物である請求項1乃至3記載のノボラック型フェノー
    ル樹脂。
  5. 【請求項5】前記アルデヒド類が、パラホルムアルデヒ
    ド、ホルマリン、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒ
    ド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタルアル
    デヒド又はこれらの混合物である請求項1乃至3記載の
    ノボラック型フェノール樹脂。
  6. 【請求項6】前記アルデヒド類とフェノール類のモル比
    率が0.1〜2.0、好ましくは0.5〜1.0である
    請求項1乃至3記載のノボラック型フェノール樹脂。
  7. 【請求項7】前記オキシカルボン酸と、通常のノボラッ
    ク型フェノール樹脂の製造に用いられる酸触媒としての
    塩酸、硫酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸の内の
    いずれかの酸とを触媒として併用して得られる請求項1
    乃至3記載のノボラック型フェノール樹脂。
  8. 【請求項8】1分子中にカルボキシル基−COOHとア
    ルコール性水酸基−OHを持つオキシルカルボン酸から
    なる触媒下で、フェノール類とアルデヒド類とを還流温
    度以下の温度で反応させ、反応終了後、反応系を水で洗
    浄して触媒類を除去した後この反応系を減圧脱水濃縮す
    る縮合反応を行ってノボラック型フェノール樹脂を得る
    ことを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0789041A1 (en) * 1995-10-30 1997-08-13 Gun Ei Chemical Industry Co., Ltd. Novolak type phenolic resins and methods of manufacturing thereof
JP2003096157A (ja) * 2001-09-20 2003-04-03 Sumitomo Bakelite Co Ltd エポキシ樹脂の製造方法
JP2007254666A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Sumitomo Bakelite Co Ltd ノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料
KR20150123688A (ko) * 2014-04-25 2015-11-04 국도화학 주식회사 협분산 페놀노볼락수지 제조 방법 및 그 제조 방법으로 얻은 협분산 페놀 노볼락 수지

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