JP2005068395A - ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造することができるノボラック型フェノール樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】 フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、上記フェノール類1モルに対して上記リン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、比較的少量の塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸といった無機酸、有機酸を触媒として反応させることで得られる。ここで、ノボラック型フェノール樹脂の分子量は、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比等で調整するのが一般的であるが、分子量の低いノボラック型フェノール樹脂を製造すると、その分子量分布が広くなりやすいという問題がある。
分子量分布を狭くする一般的な手段としては、例えば、有機溶媒中で反応させる方法、あるいは、水蒸気蒸留又は溶剤洗浄により低分子量成分を除去する方法があるが、前者の場合は低分子量のノボラック型フェノール樹脂は得られず、後者の場合は収率が大きく低下してしまう。
このほか、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−194941号公報
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造することができるノボラック型フェノール樹脂の製造方法を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、上記フェノール類1モルに対して上記リン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)上記リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度が、20〜99重量%である上記(1)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)が、0.3〜0.95である上記(1)又は(2)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)上記フェノール類と上記アルデヒド類とを、反応系中の水分含有率を1〜40重量%として反応させる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(5)上記フェノール類と上記アルデヒド類とを、40〜150℃で反応させる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(6)上記リン酸類が、リン酸である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(7)上記ノボラック型フェノール樹脂を合成後、反応系の水洗を行い、上記ノボラック型フェノール樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とする上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(8)上記反応系の水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和する上記(7)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(9)上記ノボラック型フェノール樹脂中に含有される未反応フェノール類が、3.0重量%以下である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(10)上記ノボラック型フェノール樹脂の分子量分布の分散度が、1.2〜3.0である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
本発明は、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、上記フェノール類1モルに対して上記リン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法であり、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布の分散度が小さいノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる。 従って本発明は、このようなノボラック型フェノール樹脂を工業的に生産する方法として好適である。
以下に、本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法について詳細に説明する。
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、
フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とするものである。
本発明の製造方法で用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、同様にアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法において、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、0.3〜0.95とすることが好ましい。さらに好ましくは0.4〜0.9、特に好ましくは0.6〜0.90である。
この反応モル比は、目的とするノボラック型フェノール樹脂の分子量に合わせて適宜選択して用いることができるが、反応モル比を上記下限値以上とすることにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率よく得ることができる。また、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の高粘度化やゲル化を抑制することができる。
これらのフェノール類とアルデヒド類との反応方法としては特に限定されないが、例えば、反応開始時にフェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み反応させる方法、あるいは、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類を一括して仕込んでからアルデヒド類を逐次添加して反応させる方法などを適用することができる。
本発明の製造方法は、上記フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるものであり、フェノール類1モルに対して上記リン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とする。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
このリン酸類水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
本発明の製造方法において用いられるリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上である。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、分子量分布が狭く、未反応フェノール類を少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという本発明の効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
本発明の製造方法において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる際の反応系中の水分含有率としては特に限定されないが、1〜40重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%である。
ここで、反応系中の水分含有率とは、反応系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、リン酸類水溶液、ノボラック型フェノール樹脂などの合計量に対する、反応系内に存在する水分の合計量の重量比率を指す。反応系内に存在する水分としては、リン酸類水溶液中の水分、アルデヒド類に含有される水分など、添加する原料に由来する水分のほか、反応時に発生する縮合水がある。
反応系中の水分含有率は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計を反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計量から、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
この水分含有率を、好ましくは上記の範囲内で反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
本発明の製造方法において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる際の反応温度としては特に限定されないが、40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
また、本発明の製造方法においては、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)を0.8〜0.95とし、上記反応温度を80〜150℃として反応させることにより、未反応フェノール類だけでなく、二核体成分の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
本発明の製造方法により、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて常圧下で反応させる場合、例えば、水分含有率が20〜40重量%の範囲における還流温度は、ほぼ102〜110℃になり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。このほかの反応方法としては、例えば、ブタノール、プロパノールなどの非水系溶媒を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等の方法を適用することができる。
また、アルデヒド類を逐次添加して、生成する縮合水を蒸留等で取り除きながら行う反応方法は、反応系中の水分量が一定となり、好ましい反応条件で実施することができる。ただし、未反応のフェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる場合は、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応のフェノール類が蒸留されない条件で反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後、あるいは取り除きながら反応を続けることが好ましい。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、以上に説明した方法によりノボラック型フェノール樹脂を合成した後、反応系の水洗を行い、ノボラック型フェノール樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下である。
これにより、水洗後、常圧蒸留もしくは減圧蒸留を行うとき、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
ここで水洗を行う方法としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂を含む有機相と、リン酸類水溶液を含む水相とを、遠心分離により分離する。次いで、得られた有機相を、純水やイオン交換水で水洗を行うことにより、ノボラック型フェノール樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とすることができる。また、この水洗を複数回数実施することにより、リン酸類の濃度を0.1重量%以下とすることができる。
また、さらに、リン酸類の濃度が上記上限値以下になるまで水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和することが好ましい。これにより、リン酸類の有する触媒活性を失活させることができるので、この後の工程で、高温で脱水反応を行う場合でも、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
ここで用いられるアルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどを用いることができる。アルカリ性物質の形態としては特に限定されないが、水溶液の形態で用いることが好ましい。
本発明の製造方法においては、このほか、必要により、水や有機溶剤、さらには未反応フェノール類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を併せて行うこともできる。
本発明の製造方法においては、リン酸類を用いるが、このほか、通常、ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸触媒の併用も可能である。このような酸触媒としては例えば、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
本発明の製造方法において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができる理由は、以下のように考えられる。
リン酸類は非常に水溶性が高い化合物であるが、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂に対してはその分子量が増大するとともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。
このリン酸類水溶液をフェノール類に対して所定量用いることにより、反応開始時の反応系はフェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相に相分離する。この液−液不均一反応系において、フェノール類モノマー及び2核体成分等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した成分はリン酸類の触媒作用により、添加されたアルデヒド類と反応する。反応により生成したノボラック型フェノール樹脂は、速やかに有機相に抽出されるが、ある程度高分子量化したノボラック型フェノール樹脂は水相にほとんど溶出しないため、さらに高分子量化する反応は起こりにくくなる。
また、反応系中の水分量や反応温度を好ましくは上記範囲内とすることにより、反応により生じた2核体、3核体等の低分子成分がリン酸類触媒を有する水相へ溶出されやすくなり、水相での反応を容易に進めることができる。そして、水相中のイオン濃度が高い状態で維持されるので、水相と有機相との界面がよりしっかりと分離し、有機相側における高分子化反応を防止できる。
このように、本発明の製造方法による反応系においては、低分子量成分と高分子量成分とが、上記水相への溶解性の差異による反応速度差を生じ、フェノール類モノマーや2核体成分等の低分子量成分が選択的に反応するとともに、生成したノボラック型フェノール樹脂が過度に高分子量化することを抑制することができる。
この結果、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造することができる。
本発明の製造方法により得られるノボラック型フェノール樹脂中に含有される未反応フェノール類の含有量は特に限定されないが、好ましくは3.0重量%以下である。さらに好ましくは、1.0重量%以下である。
本発明の製造方法においては、フェノール類とアルデヒド類とをリン酸類を用い、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との間で液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とすることができる。また、必要に応じて、未反応フェノール類を除去するために、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を併せて行うこともできる。
本発明の製造方法により得られるノボラック型フェノール樹脂の分子量分布の分散度(分散度=重量平均分子量/数平均分子量)としては特に限定されないが、1.2〜3.0であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類含有量を少なくし、かつ、高分子量成分の増大を抑えることができる。これにより、分子量分布の分散度を上記範囲内とすることができる。
なお、本発明の製造方法において、未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、3,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。また、重量平均分子量及び数平均分子量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定し、2核体成分の含有量はその面積比率により求めたものである。
ここで液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で測定した。装置は、
本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G300
0HXL」1本、を使用した。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
(実施例1)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部を添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液604部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂A1037部を得た。
(実施例2)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液を1000部添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂B1065部を得た。
(実施例3)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液を1000部添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液776部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.08部(上記残存リン酸1当量に対して1.5当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂C1092部を得た。
(実施例4)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液を1000部添加し、120℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド278部を30分間かけて逐次添加し、110℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、フェノール樹脂D1032部を得た。
(実施例5)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、50%リン酸水溶液1000部を添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液638部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂E1048部を得た。
(実施例6)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液429部を添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂F1060部を得た。
(実施例7)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部を添加し、100℃に昇温し、35%ホルムアルデヒド水溶液730部を30分間かけて逐次添加し、60℃で2時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂F1052部を得た。
(実施例8)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部を添加し、100℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド139部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂G892部を得た。
(比較例1)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸10部を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Hを957部得た。
(比較例2)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、シュウ酸を10部添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂Iを972部得た。
実施例1〜8と比較例1〜2で得られたフェノール樹脂の特性について、表1に示す。
Figure 2005068395
(測定方法)
(1)樹脂収得量:フェノール1000部に対する収得したフェノール樹脂の量で示した。
(2)数平均分子量、及び重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定した。
・液体クロマトグラフィーは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で測定した。装置は、
本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本
を使用した。
(3)未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K 0114に準拠して、3,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
(4)二核体成分量:上記液体クロマトグラフィーで測定を行った際の、二核体成分に該当する部分の全体に対する面積比率により算出した。
(5)フェノール樹脂中のリン酸濃度:蛍光X線法により測定した。
実施例1〜8は、本発明の製造方法により得られたフェノール樹脂であり、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布の分散度が小さいものであった。また、反応収得量も高いものであった。
比較例1はリン酸を用いたが、比較例2における蓚酸と同じく少量の使用であり、本発明の製造方法による反応形態とは異なるため、未反応フェノール類の含有量が多く、分子量分布の分散度が大きくなった。また、反応収得量も減少した。
本発明は、フェノール類とアルデヒド類とを、所定量のリン酸類を含有するリン酸類水溶液を用いて反応させることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法である。
本発明の製造方法により、未反応フェノール類の含有量が少なく、分子量分布の分散度が小さいノボラック型フェノール樹脂を高収率で得ることができるので、様々な分野において使用されるノボラック型フェノール樹脂を工業的に生産する方法として好適である。

Claims (10)

  1. フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させるノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、前記フェノール類1モルに対して前記リン酸類0.2モル以上を用いることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  2. 前記リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度が、20〜99重量%である請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)が、0.3〜0.95である請求項1又は2に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  4. 前記フェノール類と前記アルデヒド類とを、反応系中の水分含有率を1〜40重量%として反応させる請求項1ないし3のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 前記フェノール類と前記アルデヒド類とを、40〜150℃で反応させる請求項1ないし4のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  6. 前記リン酸類が、リン酸である請求項1ないし5のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  7. 前記ノボラック型フェノール樹脂を合成後、反応系の水洗を行い、前記ノボラック型フェノール樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とする請求項1ないし6のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  8. 前記反応系の水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和する請求項7に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  9. 前記ノボラック型フェノール樹脂中に含有される未反応フェノール類が、3.0重量%以下である請求項1ないし8のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  10. 前記ノボラック型フェノール樹脂の分子量分布の分散度が、1.2〜3.0である請求項1ないし9のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100727625B1 (ko) * 2005-12-31 2007-06-13 화남전자 주식회사 로터리 인코더를 이용한 엔진 회전수 제어 회로 및 그 방법
JP2010215875A (ja) * 2009-03-19 2010-09-30 Asahi Organic Chem Ind Co Ltd レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法

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