JP2005232389A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 公知の(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂を用いた場合と比較して、硬化性、固結性に優れ、溶融したときの流動性、溶剤に溶解したときの粘度等についても、取り扱い性に優れ、適用する用途において良好な特性を付与することができる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ノボラック型フェノール樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなり、分子中にフェノール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関するものである。
従来、接着剤、塗料、積層材、成形材料など多くの分野で用いられてきた硬化性樹脂としては、縮合硬化型のフェノール樹脂とラジカル硬化型の不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂は、ヘキサメチレンテトラミンで代表される架橋剤によって硬化させるノボラック樹脂と、メチロール基及び/又はジメチレンエーテル基等の架橋基によって自己硬化するレゾール型フェノール樹脂とに大別される。
しかしながら、これらのフェノール樹脂は、縮合硬化に伴う以下の欠点を有している。(1)フェノール樹脂は、硬化時に水、アンモニア、ホルムアルデヒド、低級アミン等を発生するため、硬化物中に多数の微小なガス孔が形成され、その硬化物は硬くて脆くなりやすい。また、分子中にフェノール性の水酸基を有するが故に、硬化物は不透明である。(2)樹脂の硬化が主にヘキサメチレンテトラミンや、メチロール基及び/又はジメチレンエーテル基等の活性化温度に依存するため、硬化温度及び硬化速度等、硬化条件は自ずと制限される。
(3)ヘキサメチレンテトラミンを使用するノボラック樹脂においては、未反応ヘキサメチレンテトラミン、低級アミン等の不純物が硬化物中に存在するため、電気絶縁性の低下やインサート金属部品の腐食等、電気・電子部品として使用する際には不都合な問題を生じやすい。
特に、上記(3)の問題点を解決するためにはレゾール型フェノール樹脂が用いられているが、レゾール型フェノール樹脂は一般に硬化が遅く、また硬化の速いものは熱的に不安定であり、作業性に問題がある。
一方、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ(メタ)アクリレート樹脂はラジカル反応によって硬化するため、ボイドの発生がなく、硬化温度及び速度の制御が容易で電気特性が良好である。
しかしながら、これらの樹脂はフェノール性水酸基を有していないため、フェノール性水酸基に起因する特徴、即ち、硬化した樹脂中のフェノール性水酸基の分子間での相互作用による機械的強度、また、金属、あるいは金属酸化物等の基材、補強材等が存在する場合の密着性等がフェノール樹脂より低下する。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、一般的に、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる方法で合成される。また、ビスフェノール類又はノボラック樹脂のようなフェノール性水酸基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させる方法も知られている。後者の方法はコスト面で不利であるため一般には用いられないが、フェノール性水酸基の残存量を任意の割合でコントロールできることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、フェノール性水酸基を残した樹脂を単独でラジカル開始剤を用いて硬化させることは、フェノール性水酸基が重合禁止作用を有するためにラジカル重合しないと考えられ検討されていなかったが、フェノール性水酸基を残した樹脂単独でも、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂100重量部に対し、0.1〜15重量部のラジカル開始剤を用いれば、ラジカル硬化が可能であることが開示されている(例えば、特許文献2参
照。)。
しかし、このような樹脂においては、残存フェノール性水酸基に対する(メタ)アクリロイル基の比率を1:9〜9:1の範囲としても良好な硬化物を得ることができない場合があった。
例えば、残存フェノール性水酸基に対する(メタ)アクリロイル基の比率が高い場合には、樹脂の軟化点が著しく低下し、水飴状ないし粘着性の塊状になるので取り扱いが困難となり作業性が悪く、一方、(メタ)アクリロイル基の比率を少なくした場合には、架橋点が少なくなり硬化が不充分となる。
上記の系において良好な硬化物が得られなかった理由は次の通り考えられる。
一般に重合禁止剤として作用するのは、分子中に水酸基を1個または2個有する単量体のフェノール化合物であり、これは反応系内で動きやすいためラジカル捕捉能が高い。
同様に、樹脂中の低核体成分もラジカル捕捉能を有している。即ち、(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂及びフェノール樹脂は分子量が大きいため、単量体のフェノール化合物と比較すれば動きにくく、水酸基が有効にラジカルを捕捉する傾向は相対的には小さいものの、これらの低核体成分についてもラジカル重合の禁止剤として作用したことが理由と考えられる。
したがって、このような系において良好な硬化性を得るためには、(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂の原料となるフェノール樹脂中に残存するフェノール類や低核体成分の含有量を少なくすれば良い。
また、残存フェノール性水酸基に対する(メタ)アクリロイル基の比率が高い場合に、樹脂の軟化点の低下を抑制するには、上記ノボラック樹脂の軟化点を高くするため、分子量を大きくすればよい。しかし一方で、ノボラック樹脂の分子量が大きくなると、(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂が溶融した際に、流動性の低下、溶剤に溶解したときの粘度の増大などが起こり、用途によっては取り扱い性や適用が困難になることがある。
したがって、上記ノボラック樹脂の分子量分布としては、軟化点を上げるために、低核体成分の含有量が少なく、また溶融粘度の上昇を抑えるために、中分子量成分の含有量が多いことが好ましいことになる。
一方で、常温で液体であることを特徴とした部分(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂として、例えばフェノール類(P)に対するアルデヒド類(F)のモル比(F/P)を0.1〜0.35として反応させ、未反応フェノール類の含有率が0.5重量%以下としたノボラック樹脂と、このノボラック樹脂のフェノール性水酸基に対して当量未満のグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させることにより、分子中にフェノール性水酸基を有し、常温で液体であることを特徴とする部分(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂が得られることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
このように、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂は、(メタ)アクリロイル基を導入することにより樹脂の軟化点が著しく低下するため、製品の形態が液状、ないしは水飴状または粘着性の塊状になり、適用されうる用途が限定されてしまう。
特開平05−057828号公報 特開平08−311137号公報 特開2002−308956号公報
本発明は、公知の(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂を用いた場合と比較して
、良好な硬化物が得られるとともに、固結性に優れ、溶融したときの流動性、溶剤に溶解したときの粘度等についても、取り扱い性に優れ、適用する用途において良好な特性を付与することができる硬化性樹脂組成物を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(9)により達成される。
(1)ノボラック型フェノール樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなり、分子中にフェノール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(2)上記(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂と、該ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対して当量以下のグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(3)上記ノボラック樹脂は、GPC測定による数平均分子量が500〜5000である上記(1)又は(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(4)上記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させてなるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(5)上記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示されるものである上記(4)に記載の硬化性樹脂組成物。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基である。)
(6)上記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸を用いて反応させてなるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(7)上記ノボラック型フェノール樹脂は、上記フェノール類1モルに対して、上記リン酸0.2モル以上を用いて反応させてなるものである上記(6)に記載の硬化性樹脂組成物。
(8)上記リン酸類は、リン酸である上記(6)又は(7)に記載の硬化性樹脂組成物。(9)上記硬化性樹脂組成物は、上記(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂100重量部に対して、ラジカル重合開始剤0.1〜20重量部を含有するものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
本発明は、ノボラック型フェノール樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなり、分子中にフェノール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であることを特徴とする。本発明の硬化性樹脂組成物は、良好な硬化物が得られるとともに、固結性に優れ、溶融したときの流動性、溶剤に溶解したときの粘度等についても、取り扱い性に優れ、適用する用途において良好な特性を付与することができるものである。
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)は、ノボラック型フェノール樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなり、分子中にフェ
ノール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であることを特徴とする。
以下、未反応フェノール類と2核体成分とを併せて、「低核体成分」ということがある。
まず、本発明の組成物に用いられる(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂の原料に用いられるノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「ノボラック樹脂」ということがある)について説明する。
このノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸性触媒の存在下で反応させて得られるものを好適に用いることができる。
ノボラック樹脂に用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、フェノールやクレゾールが多く用いられる。
ノボラック樹脂に用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレインやこれらの混合物、これらのアルデヒド類の発生源となる物質、あるいは、これらのアルデヒド類の溶液などが挙げられる。これらのアルデヒド類から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができるが、通常、ホルムアルデヒドが多く用いられる。
ノボラック樹脂の合成に用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸などの無機酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸などの有機酸を用いることができる。
これらの中でも、酸性触媒として有機ホスホン酸を用いることが好ましい。
これにより、ノボラック樹脂中の未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下で、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であるノボラック樹脂を効率的に得ることができる。
上記有機ホスホン酸は、ホスホン酸基−PO(OH)を含む有機化合物であり、いかなるものも使用できるが、下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸が、低核体成分の含有量が少ないノボラック樹脂を製造するために好ましい。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基である。)
上記一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
酸性触媒として有機ホスホン酸を用いる場合、上記フェノール類とアルデヒド類との反応モル比としては特に限定されないが、モル比(F/P)が、0.1〜1.1であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.9である。これにより、低核体成分の含有量が少ないノボラック樹脂を効率的に得ることができる。モル比が上記下限値より小さいと、低核体成分の含有量が多くなる傾向がある。一方、モル比が前記上限値を越えると、ノボラック樹脂を合成する工程において、ゲル化することがある。
酸性触媒として有機ホスホン酸を用いる場合、その添加量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.001〜4.0モルであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5モルである。有機ホスホン酸の添加量が多いほど、未反応フェノール類の含有量が少なくなるという効果は大きいが、添加量が4.0モルを超えるとその効果は実質的に変わらなくなり、0.001モル未満では、触媒としての効果が充分に現れなくなる。
酸性触媒として有機ホスホン酸を用いる場合の反応温度としては特に限定されないが、通常、40〜240℃であり、好ましくは80〜140℃である。反応温度が40℃より低いと、反応の進行が遅く、低核体成分の含有量を十分に低下させるのに時間を要する。また、240℃より高温では有機ホスホン酸が加水分解するようになる。
また、反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
酸性触媒として有機ホスホン酸を用いた場合は、反応終了後、有機ホスホン酸を水洗にて除去あるいは回収することが可能であるが、除去あるいは回収方法、水洗方法について特に限定されない。水洗等により回収した有機ホスホン酸は再度触媒として使用することができる。また、アルカリ性の物質によって中和してもよい。
また、上記ノボラック樹脂は、触媒としてリン酸類を用いて得られるものであることが好ましい。これにより、有機ホスホン酸を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
リン酸類を水溶液の形態で用いる場合、リン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
ここで用いられるリン酸類の量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類を含有する水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
酸性触媒として上記の量のリン酸類を用いる場合、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比は特に限定されないが、は、フェノール類(P)に対するアルデヒド類(F)のモル比(F/P)が、0.3〜0.95であることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜0.9、特に好ましくは0.6〜0.90である。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
触媒として上記リン酸類水溶液を用いた場合の反応条件としては、特に限定されないが、反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
反応時の反応系の水分量は、好ましくは1〜40重量%以下の範囲である。反応形態として、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌は速い方が好ましい。
なお、酸性触媒として上記リン酸類水溶液を用いる場合は、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)を0.8〜0.95とし、上記反応温度を80〜150℃として反応させることにより、二核体成分の含有量を低減させる効果を高めることができる。
なお、酸性触媒として上記有機ホスホン酸あるいは上記リン酸類水溶液以外のものを用いる場合は、
上記反応モル比(F/P)を0.05〜0.9とすることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.8である。
この場合、酸性触媒の添加量は、フェノール類1モルに対して0.001〜0.1モルとすることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05モルである。
また、反応条件としては、温度管理の容易な還流条件で反応させることができる。
上記ノボラック樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下である。
ノボラック樹脂に含有される未反応フェノール類と2核体成分の含有量とを上記上限値以下とする方法としては特に限定されないが、酸性触媒として、上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類を用いる場合は、反応により概ね上記上限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等を組み合わせて未反応モノマーを除去してもよい。
また、酸性触媒として上記以外のものを用いた場合は、ノボラック樹脂を合成後、常圧蒸留、減圧蒸留等により未反応モノマーを除去すればよい。
なお、ノボラック樹脂を合成した後に、場合により粘度を調整する目的で水、溶剤を添加しても良い。
また、上記ノボラック樹脂の分子量としては特に限定されないが、GPC測定による数平均分子量が500〜5000であることが好ましい。さらに好ましくは600〜3000である。
数平均分子量が上記下限値より小さいと樹脂の軟化点が低下し、種々の用途において作業性が低下するようになる。また、硬化物の機械的強度が十分でないことがある。一方、上記上限値より大きいと、樹脂の軟化点の上昇、流動性の低下等により、取り扱い時の作業性が低下するようになる。
上記ノボラック樹脂を合成する際に、上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類を酸性触媒として用いることにより、低核体成分の含有量を低減させたノボラック樹脂を効率的に得られる理由は、以下のように考えられる。
有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類は、非常に水溶性が高い。そして、フェノール類、アルデヒド類は水への溶解性が相対的には小さく、ノボラック樹脂は分子量増大ととも水への溶解性が更に低下する性質を有している。このため反応開始時には、触媒を多量に含んだ水相と、触媒がほとんど存在しないフェノール類からなる有機相とに相分離した状態となる。そして、水相に溶出したフェノール類とアルデヒド類の反応が優先的に進行し、その結果、未反応フェノール類の含有量が低減する。さらに、未反応フェノール類の含有量が低減すると上記触媒の特性上、次いで2核体成分の反応が起こりやすくなることから、低核体成分の含有量が少ないノボラック樹脂を得ることができる。
なお、ノボラック樹脂中の未反応フェノール類の含有量は、ガスクロマトグラフィー法により、JIS K 0114に準拠して、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定したものである。
また、ノボラック樹脂中の2核体成分の含有量、及び、数平均分子量は、液体クロマトグラフィーで測定したものである。液体クロマトグラフィーは、
・本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
・分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用し、
・流量1.0ml/分
・溶出溶媒:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
の分析条件で示差屈折計を検出器として用いて測定した。2核体成分の含有量は各成分のピーク面積比から算出し、分子量については標準ポリスチレンにより換算した。
本発明の組成物に用いられる(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂は、上記ノボラック樹脂と、グリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。
上記ノボラック樹脂と、グリシジル(メタ)アクリレートとを反応させる方法としては特に限定されないが、例えば、アミン類等の塩基性触媒の存在下、公知慣用の方法で70〜150℃、好ましくは75〜100℃の温度範囲で反応させることによって得られる。次いで、必要に応じて得られた樹脂を100℃〜200℃で減圧脱水を行うことができる。
ノボラック樹脂と、グリシジル(メタ)アクリレートとの反応比率としては特に限定されないが、通常、ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対して、当量以下のグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる。これにより、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂中の残存フェノール性水酸基と(メタ)アクリロイル基との割合を任意に調整することができる。
(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂中において、残存フェノール性水酸基と(メタ)アクリロイル基との割合は特に限定されないが、1:9〜6:4の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2:8〜5:5である。
(メタ)アクリロイル基の割合が上記範囲上限値より多いと樹脂の軟化点が低下し、水飴状ないし粘着性の固形状となるので、樹脂組成物としたときの作業性が低下するようになる。また、フェノール性水酸基を有する芳香核特有の特徴が減少する。一方、(メタ)アクリロイル基が上記範囲下限値より少ないと、架橋点が少なくなりすぎるため、硬化物の特性が低下するようになる。
なお、上記フェノール性水酸基と(メタ)アクリロイル基との割合は、H−NMR装置にて測定することができる。
なお、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂の合成反応時、及び、反応後においては、樹脂のゲル化防止や生成物の保存安定性向上、さらには、硬化性を調整する目的で、必要に応じて重合禁止剤を用いることができる。
この目的に用いられる重合禁止剤としては特に限定されないが、例えば、ヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、モノ−tert−ブチルヒドロキノンのようなヒドロキノン類、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジ−p−クレゾールのようなフェノール類、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノンのようなキノン類、またはナフテン酸銅のような銅塩などが挙げられる。
このようにして得られた(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂は、室温での固結性に優れ、しかも加熱溶融時の流動性に優れている。また、合成反応時の減圧脱水の有無に関わらず、使用される用途に応じて、溶剤に溶解することができる。これにより、粘度特性が良好な(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂溶液の形態として用いることができる。
本発明の組成物は、この(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有するものである。
ラジカル重合開始剤の配合量としては特に限定されないが、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましい。好ましくは0.5〜10重量部である。配合量が上記下限値より少ないと硬化性が低下するようになる。一方、上記上限値より多いと硬化が速くなりすぎ、また硬化剤に起因する残存物が硬化物特性に影響を及ぼすことがある。
本発明の組成物に使用されるラジカル重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、シュウ酸パーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、パラクロロベンゾイルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドが一般的であり好適である。これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
本発明の組成物において、(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂がフェノール性水酸基を含有するにも関わらず、ラジカル反応による硬化性を有する理由は次の通りと考えられる。
一般に重合禁止剤として作用するのは、分子中に水酸基を1個または2個有する単量体フェノール化合物であり、反応系内で動きやすいためラジカル捕捉能が高い。このため、(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂中に低核体成分が多量に残存した場合、低核体成分は重合禁止剤として作用し、ラジカルを捕捉してしまうため、ラジカル反応による硬化性が低下する。
しかしながら、本発明の(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂は、原料となるノボラック樹脂中に含まれる低核体成分が少ないことから、(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂中に含まれる低核体成分も必然的に少なくなる。また、分子量が比較的大きく流動性が制限されること、及び、フェノール性水酸基の隣接位に比較的長鎖のグリシジル(メタ)アクリレート由来の官能基が存在する場合が多いことなどの理由により、フェノール性水酸基が有効にラジカルを捕捉しがたく、従って(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂のフェノール性水酸基はビニル基の重合に対して禁止作用が小さい。
更にフェノール性水酸基がラジカルを捕捉した場合に生成する酸素原子上のラジカルが架橋に寄与する他の末端のラジカルと反応し、新たな架橋が生成する。(重合禁止剤のような分子中に水酸基が1個または2個の単量体の場合は、重合停止反応を誘引し、架橋が進行しない。)
以上の理由から本発明の硬化性樹脂組成物はラジカル反応によって硬化すると考えられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
(実施例1)
三口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン製)1000部を仕込み、常圧蒸留を行い80%の濃度として、ここにフェノール1000部を添加して100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液550部を30分間かけて逐次添加し、常圧蒸留を行い、130℃まで昇温させ反応系中の水分量を6%とした。その後、130℃に温度を維持し、水分量を約6%で一定として、常圧蒸留を行いながら37%ホルムアルデヒド水溶液140部を30分かけて添加した。この間蒸留により失われたフェノール量は仕込んだフェノールに対して0.3%であった。その後、140℃で1時間還流させながら反応を行った。反応終了後、純水500部添加し、樹脂と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。常圧蒸
留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック樹脂Aを得た。
次に、得られたノボラック樹脂A200部、メチルイソブチルケトン(MIBK)100部、グリシジルメタアクリレート220部(ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対するグリシジルメタアクリレートの反応当量比:0.8)、トリエチルアミン2部を3口フラスコに仕込み、100℃で6時間反応させ、減圧下にて溶媒を除去することによってメタアクリロイル化ノボラック樹脂を得た。H−NMR装置にて分析を行ったところ、メタアクリロイル基とフェノール性水酸基の比は8:2であることが確認された。
さらに、得られたメタアクリロイル化ノボラック樹脂100部に対して、ジクミルパーオキシド5部を加え、乳鉢で混合した後、アルミバット内で90℃で溶融混合し、樹脂組成物Aを得た。
(実施例2)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部を仕込み、120℃に昇温し、92%パラホルムアルデヒド278部を30分間かけて逐次添加し、110℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って190℃まで昇温し、ノボラック樹脂Bを得た。
次に、得られたノボラック樹脂B200部、メチルイソブチルケトン(MIBK)100部、グリシジルメタアクリレート170部(ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対するグリシジルメタアクリレートの反応当量比:0.6)、トリエチルアミン2部を3口フラスコに仕込み、100℃で6時間反応させ、減圧下にて溶媒を除去することによってメタアクリロイル化ノボラック樹脂を得た。H−NMR装置にて分析を行ったところ、メタアクリロイル基とフェノール性水酸基の比は6:4であることが確認された。
さらに得られたメタアクリロイル化ノボラック樹脂100部に対して、ジクミルパーオキシド5部を加え、乳鉢で混合した後、アルミバット内で90℃で溶融混合し、樹脂組成物Bを得た。
(比較例)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部とシュウ酸10部とを仕込み、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液690部を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧下で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック樹脂C972部を得た。
次に、得られたノボラック樹脂C200部、メチルイソブチルケトン(MIBK)100部、グリシジルメタアクリレート170部(ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対するグリシジルメタアクリレートの反応当量比:0.6)、トリエチルアミン2部を3口フラスコに仕込み、100℃で6時間反応させ、減圧下にて溶媒を除去することによってメタアクリロイル化ノボラック樹脂を得た。H−NMR装置にて分析を行ったところ、メタアクリロイル基とフェノール性水酸基の比は6:4であることが確認された。
さらに得られたメタアクリロイル化ノボラック樹脂100部に対して、ジクミルパーオキシド5部を加え、乳鉢で混合した後、アルミバット内で90℃で溶融混合し、樹脂組成物Cを得た。
実施例および比較例で得られたノボラック樹脂、及び、メタアクリロイル化ノボラック樹脂を用いた組成物について、特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2005232389
1.ノボラック樹脂の評価方法
(1)軟化点:JIS K 2531 に準拠して行った。
(2)未反応フェノール類の含有量:ガスクロマトグラフィーで測定した。ガスクロマトグラフィーは、JIS K 0114 に準拠して、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
(3)2核体成分量、数平均分子量:2核体成分量は液体クロマトグラフィーで得られた分子量分布曲線から、2核体成分に該当する部位の面積比率を算出した。
液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で示差屈折計を検出器として用いて測定し、分子量については標準ポリスチレンにより換算した。装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
2.組成物の評価方法
(1)キュラストメーターによる硬化速度、最大硬化度の測定:市販のJSR型キュラストメーターにて、金型表面温度150℃とし、一定振幅の振動変形を与え、硬化時間に対する樹脂組成物の発生応力変化を検出した。応力変化がほぼ一定となった最高値を最大硬化度とし、硬化開始から最大硬化度の90%にあたる発生応力になるまでの時間を硬化速度とした。
実施例1は、フェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を用いて反応させることにより得られたノボラック型フェノール樹脂をアクリロイル化したものであり、実施例2は、フェノール類とアルデヒド類とをリン酸を用いて反応させることにより得られたノボラック型フェノール樹脂をアクリロイル化したものである。これらの樹脂は、蓚酸触媒を用いて反応させることにより得られたノボラック型フェノール樹脂をアクリロイル化した比較例の樹脂と比べて、低分子量成分の含有量が少なく、硬化速度、最大硬化度ともに優
れたものが得られた。また、比較例は低分子量成分の含有量が多いため、アクリロイル化することで軟化点が低くなり、20℃で2ヶ月間保管したところ、固結した。
本発明は、公知の(メタ)アクリロイル化したノボラック樹脂を用いた場合と比較して、良好な硬化物が得られるとともに、固結性に優れ、溶融したときの流動性、溶剤に溶解したときの粘度等についても、取り扱い性に優れ、適用する用途において良好な特性を付与することができる硬化性樹脂組成物を提供するものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、接着剤、塗料、積層材、成形材料、有機材料または無機材料の結合剤等として好適に用いることができるものである。

Claims (9)

  1. ノボラック型フェノール樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなり、分子中にフェノール性水酸基を有する(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が0.5重量%以下であり、かつ、2核体成分の含有量が5%以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂と、該ノボラック型フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基に対して当量以下のグリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記ノボラック樹脂は、GPC測定による数平均分子量が500〜5000である請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸を用いて反応させてなるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示されるものである請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
    R−PO(OH) (I)
    (Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基である。)
  6. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸を用いて反応させてなるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、前記フェノール類1モルに対して、前記リン酸0.2モル以上を用いて反応させてなるものである請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記リン酸類は、リン酸である請求項6又は7に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記硬化性樹脂組成物は、前記(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂100重量部に対して、ラジカル重合開始剤0.1〜20重量部を含有するものである請求項1ないし8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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