JP2005154613A - 液状フェノール樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フェノール樹脂組成物を液状で用いる形態において、組成物中に含有される未反応フェノール類量が少なく、かつ、硬化物に柔軟性を付与することができる液状フェノール樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂と、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂とを含有する液状フェノール樹脂組成物であって、(a)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下で、かつ、2核体成分の含有量が20〜70%であり、
(b)上記樹脂組成物の固形分中における未反応フェノール類の含有量が8重量%以下である、
ことを特徴とする液状フェノール樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液状フェノール樹脂組成物に関するものである。
フェノール樹脂は、成形材料、積層板、耐火物、塗料、各種基材の粘結材など多くの分野で用いられている。このフェノール樹脂の種類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが挙げられ、固形状、液状など、種々の形態のものが、用途によって単独で用いられたり、種々の比率で併用されたりしている。
これらの中でも、液状フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂の有機溶剤溶液が一般的な形態として用いられている。
一般にレゾール型フェノール樹脂は、仕込みモル比でフェノール類1モルに対しアルデヒド類を1〜5モルとして、触媒に水酸化ナトリウム、アンモニア水、第3級アミン、アルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、炭酸ナトリウムなどアルカリ性触媒を用いて反応させることにより得られる。
そして、ここで用いられるフェノール類とアルデヒド類との反応モル比を調整することにより、硬化物に目的とする種々の特性を付与することができる。
例えば、硬化物の脆さを改善するために柔軟性を付与する場合には、樹脂中の架橋点を少なくするために、フェノール類に対するアルデヒド類のモル数を少なくして反応させる方法がある。
しかし、このようにして得られたフェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が多くなるので、硬化物の特性を低下させるだけでなく、使用時、硬化時などにおける臭気等の環境衛生面においても問題がある。未反応フェノール類を除去する方法としては、水蒸気蒸留法が一般的に知られているが、長時間行わないと効果が少なく、除去工程が長時間になるという欠点があった。
また、硬化物に耐熱性を付与し、強靭に硬化させる場合には、フェノール類に対するアルデヒド類の反応モル数を多くして反応させることにより、樹脂中の架橋点を多くする手法が採られる。
ここで、樹脂中の未反応フェノール類の含有量を少なくし、かつ、硬化物に柔軟性を付与する場合は、フェノール類に対するアルデヒド類のモル数を多くして反応させて得られたレゾール型フェノール樹脂に、ノボラック型フェノール樹脂やビスフェノール類を添加する方法がある。
しかし、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂は分子量が大きく、水溶性も乏しいため、レゾール型フェノール樹脂に配合すると樹脂組成物の粘度が大きく上がったり、樹脂組成物の均一な水溶性が損なわれたりして、取り扱いが難しくなる。一方、低分子量のノボラック型フェノール樹脂を用いると、樹脂組成物中に含有される未反応フェノール類が多くなるという問題があった。
また、ビスフェノール類は結晶性が高くフェノール樹脂中で析出しやすいため、使用できる溶剤が限定されるという欠点があった。
このほか、レゾール型フェノール樹脂を水性乳濁液の形態で用いる場合は、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの反応がほぼ平衡状態に達した後、部分けん化のPVAを添加溶解する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような水性乳濁液の場合、界面活性剤等の乳化剤による硬化物物性への影響が無視できないという問題があった。
このように、液状のフェノール樹脂においては、硬化物に柔軟性を付与し、かつ、未反応フェノール類の含有量が少ない樹脂組成物を簡易に製造することが困難であった。
特公昭53−32389号公報
本発明は、フェノール樹脂組成物を液状で用いる形態において、組成物中に含有される未反応フェノール類量が少なく、かつ、硬化物が有する柔軟性や耐熱性を簡易に調整することができる液状フェノール樹脂組成物を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1)フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂と、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂とを含有する液状フェノール樹脂組成物であって、
(a)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下で、かつ、2核体成分の含有量が20〜70%であり、
(b)上記樹脂組成物の固形分中における未反応フェノール類の含有量が8重量%以下である、
ことを特徴とする液状フェノール樹脂組成物。
(2)上記レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とを、反応モル比(F/P)=1.2〜4.0として反応させてなるものである上記(1)に記載の液状フェノール樹脂組成物。
(3)上記ノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量が200〜700であり、かつ、重量平均分子量が250〜2000である上記(1)又は(2)に記載の液状フェノール樹脂組成物。
(4)上記樹脂組成物は、固形分換算で、上記レゾール型フェノール樹脂50〜98重量%、上記ノボラック型フェノール樹脂2〜50重量%を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
(5)上記樹脂組成物は、25℃において、該樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、純水100重量部以上を配合しても、懸濁や白濁が起こらない水溶性を有したものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
(6)上記酸性触媒は、有機ホスホン酸である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
(7)上記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示すものである上記(6)に記載の液状フェノール樹脂組成物。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH)を含む基である。)
(8)上記酸性触媒は、リン酸類である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
(9)上記ノボラック型フェノール樹脂を合成する際に用いられるフェノール類1モルに対して、リン酸類0.2モル以上を用いる上記(8)に記載の液状フェノール樹脂組成物。
(10)上記リン酸類は、リン酸である上記(8)又は(9)に記載の液状フェノール樹脂組成物。
本発明の液状フェノール樹脂組成物は、組成物中に含有される未反応フェノール類量が少なく、かつ、硬化物に柔軟性を付与することができるものである。
本発明の液状フェノール樹脂組成物は、組成物調製時、使用時、及び、加工後の硬化物から発生する未反応フェノール類を低減し、労働環境、生活環境の汚染を最小限にすることができる。そして、硬化物が有する柔軟性や耐熱性を簡易に調整することができるものである。
以下に、本発明の液状フェノール樹脂組成物について説明する。
本発明の液状フェノール樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂と、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂とを含有する液状フェノール樹脂組成物であって、
(a)上記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下で、かつ、2核体成分の含有量が20〜70%であり、
(b)上記樹脂組成物の固形分中における未反応フェノール類の含有量が8重量%以下である、
ことを特徴とする。
まず、本発明の組成物で用いられるレゾール型フェノール樹脂(以下、単に「レゾール樹脂」ということがある)について説明する。
本発明の組成物で用いられるレゾール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られるものである。
ここで用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
また、アルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。通常、ホルムアルデヒドが多く用いられる。
上記フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際に用いられるアルカリ性触媒として
は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミン等のアミン系化合物、あるいは、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミン等のアルカリ性物質等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物で用いられるレゾール樹脂を合成する際の、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、1.2〜4.0とすることが好ましい。さらに好ましくは1.3〜3.0である。
反応モル比が上位下限値より小さいと、レゾール樹脂中に未反応フェノール類が多く含有されるようになる。一方、上記上限値より大きいと、未反応アルデヒド類の含有量が多くなる。いずれの場合も歩留まりが低下し、未反応成分の除去に工数を要するようになる。
本発明の組成物で用いられるレゾール樹脂は、上記フェノール類、アルデヒド類を反応させたものを用いることができるが、このほかにも、各種アルキルフェノール、芳香族炭化水素、メラミン、アニリン、エポキシ化合物のほか、カシューナットオイル、亜麻仁油、エノ油、桐油等の植物油脂、ロジンを含む各種テルペン類、各種変性シリコーンオイル等により変性したものを用いることもできる。
本発明の組成物で用いられるレゾール樹脂は、合成したものが液状である場合は、そのままの形態で用いるか、水や有機溶剤で希釈して用いることができる。また、合成したものが半固形状〜固形状である場合は、水や有機溶剤に溶解して用いることができる。
次に、本発明の組成物で用いられるノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「ノボラック樹脂」ということがある)について説明する。
本発明の組成物で用いられるノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるものである。
ここで用いられるフェノール類及びアルデヒド類としては特に限定されないが、上記レゾール樹脂を製造する場合と同じものを用いることができる。
上記工程で用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸などの無機酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸などの有機酸を用いることができる。
これらの中でも、酸性触媒として有機ホスホン酸を用いることが好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック樹脂を効率的に得ることができる。
上記有機ホスホン酸は、ホスホン酸基 −PO(OH) を含む有機化合物であり、
いかなるものも使用できるが、下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸が、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック樹脂を製造するために好ましい。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基で
ある。)
上記一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホ
スホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
ここで用いられる有機ホスホン酸の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して0.001〜4.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。添加量が上記上限値を越えても、未反応フェノール類の含有量を少なくする効果が変わらなくなる。また上記下限値未満では、有機ホスホン酸を用いる効果が小さくなる。
酸性触媒として有機ホスホン酸を用いた場合の反応条件としては特に限定されないが、反応温度は通常、50〜200℃であり、好ましくは80〜150℃である。反応温度が50℃より低いと、反応の進行が遅く、有機ホスホン酸の触媒作用が低下するようになる。一方、200℃より高温では有機ホスホン酸の分解及びフェノール樹脂の分解が起こることがある。
反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
反応時の反応系の水分量は、少ない方が好ましく、更に好ましくは1〜30重量%の範囲である。反応形態として、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌は速い方が好ましい。
また、酸性触媒としてリン酸類を用いることが好ましい。これにより、有機ホスホン酸を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
リン酸類を水溶液として用いる際の、リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
ここで用いられるリン酸類の量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液を含有する水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないこ
とがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
酸性触媒としてリン酸類を用いた場合の反応条件としては特に限定されないが、反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック樹脂の分解を抑制することができる。
反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
反応時の反応系の水分量は、1〜40重量%の範囲であることが好ましい。反応形態として、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌速度は速い方が好ましい。
ノボラック樹脂を合成する際に、有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を酸性触媒として用いる場合は、これらのほか、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの、通常、ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸を併用することもできる。
本発明の製造方法において、ノボラック樹脂の合成に用いられるフェノール類とアルデヒド類の反応モル比は特に限定されないが、酸性触媒として有機ホスホン酸を用いる場合は、フェノール類(P)に対するアルデヒド類(F)のモル比(F/P)が、0.1〜0.85であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.8である。
また、酸性触媒としてリン酸類を用いる場合は、0.1〜0.85であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.8である。
これにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、好ましい分子量を有するノボラック樹脂を効率的に得ることができる。モル比が上記下限値より小さいと、未反応フェノール類の含有量が多くなる傾向がある。一方、モル比が上記上限値を越えると、分子量が大きくなるため、本発明の組成物の粘度が高くなり、用途によっては本発明の組成物に用いるには適さないことがある。
本発明の組成物で用いられるノボラック樹脂は、以上に説明したように、フェノール類とアルデヒド類とを、有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を触媒として用いて反応させて得られるものであることが好ましいが、これ以外にも、公知の酸性触媒を用いて反応させて得ることもできる。
この場合、フェノール類とアルデヒド類の反応モル比は特に限定されないが、0.05〜0.75とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6である。
モル比が上記下限値より小さいと、未反応フェノール類の含有量が非常に多くなる傾向があり、これを減圧蒸留等で取り除く工程が非常に煩雑になる。一方、モル比が上記上限値を越えると、分子量が大きくなるため、本発明の組成物の粘度が高くなり、用途によっては本発明の組成物に用いるには適さないことがある。
また、この場合の酸性触媒の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.001〜0.1モルとすることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05モルである。
反応条件は、通常、温度管理の容易な還流条件で反応させることができる。反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条
件に応じて適宜決定すればよい。
この場合、得られる樹脂中に含有される未反応フェノール類の量が多くなることがあるので、必要に応じて、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留、再結晶、溶剤抽出、水洗等の方法でこれを除去することができる。一例を挙げると、未反応フェノール類は、170℃、500Paの減圧条件下で除去することができる。
ノボラック樹脂を合成する際の、フェノール類とアルデヒド類との反応方法としては特に限定されないが、例えば、反応の開始時にフェノール類、アルデヒド類、及び酸性触媒を全量一括して仕込んで反応させる方法、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類と酸性触媒を仕込んでからアルデヒド類を逐次添加して反応させる方法などが挙げられる。
本発明の組成物で用いられるノボラック樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下で、かつ、2各体成分の含有量が20〜70%である。
ノボラック樹脂中の未反応フェノール類の含有量が上記上限値より多いと、本発明の組成物において、未反応フェノール類の含有量を少なくすることが難しくなることがある。
また、2核体成分の含有量が上記下限値未満であると、通常、高分子量成分の含有量が多くなるので、本発明の組成物の粘度が高くなり、用途によっては本発明の組成物に用いるには適さないことがある。一方、上記上限値より多いと、2核体成分が結晶化しやすくなり、本発明の組成物中において、不溶物として析出することがある。
このような目的のためには、未反応フェノール類の含有量が3重量%以下で、かつ、2各体成分の含有量が20〜60%であることがさらに好ましい。
ノボラック樹脂の分子量としては特に限定されないが、数平均分子量が200〜700で、重量平均分子量が250〜2000であることが好ましい。
数平均分子量や重量平均分子量が上記下限値より小さい場合は、通常、2核体成分の含有量が多くなり、本発明の組成物中に不溶物として析出することがある。一方、上記上限値より大きい場合は、通常、高分子量成分の含有量が多くなるので、本発明の組成物の粘度が高くなり、用途によっては本発明の組成物に用いるには適さないことがある。
なお、未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定したものである。
また、数平均分子量、重量平均分子量、及び、2核体成分の含有量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定したものである。
ここで液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。また、2核体成分含有量は、得られた分子量分布曲線から、2核体成分に該当する面積の比率より算出した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
上記ノボラック樹脂中の未反応フェノール類の含有量を上記下限値以下とする方法としては特に限定されないが、酸性触媒として有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を用いた場合は、反応により概ね上記下限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等を組み合わせて未反応フェノール類を除去してもよい。
また、酸性触媒として有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類以外のものを用いた場合は
、ノボラック型フェノール樹脂を合成後、常圧蒸留、減圧蒸留等により未反応フェノール類を除去することができる。
なお、ノボラック型フェノール樹脂を合成した後に、水、あるいは溶剤を添加してもよい。
上記ノボラック樹脂の合成時、酸性触媒として有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を用いた場合は、反応終了後、これらの酸性触媒を水洗により除去あるいは回収することができる。
水洗方法、除去あるいは回収方法について特に限定されない。水洗等により回収した有機ホスホン酸やリン酸類は再度触媒として使用することができる。また、アルカリ性の物質によって中和することもできる。
上記ノボラック樹脂の合成時、有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を酸性触媒として、フェノール類とアルデヒド類からノボラック型フェノール樹脂を合成することにより、未反応フェノール類の含有量を低減したノボラック樹脂が得られる理由は、以下のように考えられる。
有機ホスホン酸やリン酸類は、非常に水溶性が高い。そして、フェノール類、アルデヒド類は水への溶解性が相対的には小さく、ノボラック型フェノール樹脂は分子量増大ととも水への溶解性が更に低下する性質を有している。このため反応開始時には、触媒である有機ホスホン酸やリン酸類を多量に含んだ水相と、触媒がほとんど存在しないフェノール類からなる有機相とに相分離した状態となる。
この反応系において、水相に溶出したフェノール類モノマーはアルデヒド類と反応するが、反応により生成した2核体以上の高分子量成分は水への溶解性が小さいため有機相に抽出され、さらに高分子量化する反応速度は小さくなる。
このように、低分子量成分と高分子量成分との間に反応速度差が生じ、フェノール類モノマーの反応が優先的に進行するので、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、2核体成分の含有量が多いノボラック型フェノール樹脂を高収率に製造することができる。
次に、本発明の組成物について説明する。本発明の組成物は、以上に説明したレゾール樹脂とノボラック樹脂とを含有するものである。
本発明の組成物において、上記レゾール樹脂とノボラック樹脂との配合割合としては特に限定されないが、レゾール樹脂/ノボラック樹脂(重量比)=98/2〜50/50であることが好ましい。さらに好ましくは95/5〜70/30である。
ノボラック樹脂の配合量が上記下限値より少ないと、組成物に柔軟性を付与する効果が充分に発現しないことがある。一方、上記上限値より多いと、組成物の硬化が遅くなったり、硬化物の架橋密度が低下して硬度が不足したりすることがある。
本発明の組成物に含有される未反応フェノール類は、8重量%以下である。これにより、組成物の使用時、硬化時などに、環境衛生面における問題を低減することができる。このような目的のためには、未反応フェノール類の含有量は5重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に含有される未反応フェノール類量を、上記上限値以下とする方法としては特に限定されないが、例えば、レゾール樹脂及びノボラック樹脂を合成する時のフェノール類とアルデヒド類との反応モル比を好ましくは上記範囲内とし、また、ノボラック樹脂の合成時に、酸性触媒として有機ホスホン酸、あるいは、リン酸類を用いることにより、概ね上記上限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、レゾール樹脂及びノボラック樹脂を合成後、常圧蒸留、減圧蒸留等を組み合わせて未反応フェノール類を除去したものを用いてもよい。
本発明の組成物の水溶性は特に限定されないが、25℃において、組成物中の樹脂固形分100重量部に対して、純水100重量部以上を配合しても、懸濁や白濁を起こさない水溶性(水倍率1倍以上)を有していることが好ましく、純水300重量部以上を配合しても、懸濁や白濁を起こさない水溶性(水倍率3倍以上)を有していることがさらに好ましい。
これにより、本発明の組成物において、例えば、使用時の水による希釈、洗浄時の水洗など、水を使用した取り扱いを容易にすることができる。上記下限値量未満の純水を添加することで懸濁や白濁を起こすような水溶性では、上記取り扱い時に水を使用することが難しくなり、このような場合はメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を使用しなければならす、環境衛生面の問題が避けられない。
通常、レゾール樹脂は高い水溶性を有しているが、これにノボラック樹脂を配合すると、水溶性が低下してゆく傾向がある。本発明の組成物においては、レゾール樹脂に、上記ノボラック樹脂を好ましくは上記比率で配合することにより、水溶性を大きく低下させることなく、高い水溶性を有した組成物を得ることができる。
本発明の組成物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、
(1)レゾール樹脂の反応前、反応時、反応後のいずれかにおいて、ノボラック樹脂を添加して混合する方法、
(2)レゾール樹脂とノボラック樹脂とを別々に反応させた後に混合する方法、
などが挙げられる。
上記(1)の方法は、レゾール樹脂を合成する際にノボラック樹脂を添加するものであり、特に好ましくはレゾール樹脂の反応終了後、脱水を行う前に、水に分散または溶剤に溶解させたノボラック樹脂を添加して混合する。これにより、双方の樹脂の分子構造に実質的に影響することなく、両者が高い精度で混合した組成物が得られる。
また、上記(2)の方法の場合は、好ましくは液状の形態のレゾール樹脂に、水に分散または溶剤に溶解させたノボラック樹脂を添加して混合するものである。
本発明の組成物には、必要に応じて、尿素等のホルマリンキャッチ剤や、各種界面活性剤等の化合物を添加することもできる。また、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を添加することもできる。
また、乳酸、蓚酸、塩酸、硫酸、ホウ酸等で、レゾール樹脂合成時に用いたアルカリ性触媒を中和することも可能である。
次に、本発明の組成物を適用する一例として、積層板用のプリプレグを製造する方法について説明する。
本発明の組成物を好適な固形分含有量に調製したものに、ガラス繊維基材、紙繊維基材などの基材を浸漬して含浸させる。この後、所定の温度条件で水分や溶剤を乾燥除去するとともに、樹脂の反応を中途まで進行させることにより、取り扱いが容易なプリプレグとすることができる。そして、これらのプリプレグを複数枚積層し、加熱および加圧下で成形することにより積層板を得ることができる。
以上に説明したように、本発明の組成物は、フェノール樹脂を液状の形態で用いる場合において、未反応フェノール類の含有量を少ないものとすることで、労働環境、生活環境の汚染を最小限にすることができる。そして、組成物を種々の用途に用いる場合、レゾール樹脂とノボラック樹脂との配合比率や各々の樹脂の特性を適宜選択することにより、その硬化物が有する柔軟性や耐熱性を用途に合わせて簡易に調整することができる。
例えば、本発明の組成物では、ノボラック樹脂の配合により硬化物に柔軟性が付与されるが、その程度は実質的にノボラック樹脂の配合量に依存するので、その配合量を調整し
たり、配合するノボラック樹脂の量に応じて、その性状を適宜選択して用いたりすることができる。
これにより、水溶性や粘度特性などの実用特性を、良好な範囲内に維持しながら、硬化物の性状を簡易に調整することができるものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は、ノボラック樹脂中の二核体成分の含有量以外は「重量%」を示す。
1.レゾール樹脂の製造
(製造例1)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド水溶液1725部(モル比 F/P=2.0)、水酸化ナトリウム50%水溶液60部を添加し、80℃で3時間反応して、レゾール樹脂Aを得た。
得られた樹脂は、水倍率7倍、未反応フェノール類量2.6%(固形分換算で6.2%)、樹脂固形分濃度42%であった。
(製造例2)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド水溶液2156部(モル比 F/P=2.5)、水酸化ナトリウム50%水溶液60部を添加し、80℃で4時間反応して、レゾール樹脂Bを得た。
得られた樹脂は、水倍率5倍、未反応フェノール類量1.7%(固形分換算で4.7%)、樹脂固形分濃度36%であった。
(製造例3)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド水溶液862.5部(モル比 F/P=1.0)、水酸化ナトリウム50%水溶液30部を入れ、80℃で3時間反応して5000Paで真空脱水を行い、レゾール樹脂Cを得た。
得られた樹脂は、水倍率2倍、未反応フェノール類量11.2%(固形分換算で16.0%)、樹脂固形分濃度70%であった。
2.ノボラック樹脂の製造
(製造例4)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物95%以上、キシダ化学(株))2000部、フェノール1000部を仕込み、37%ホルムアルデヒド561部(モル比 F/P=0.65)を1時間かけて逐添した。その後、純水500部を添加混合後、60℃まで冷却して触媒を除去した。さらに残留触媒を除去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水洗を2回行った。その後、130℃まで常圧蒸留を行い、その後、5000Paの真空度で減圧蒸留を行い、ノボラック樹脂D1025部を得た。
(製造例5)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学(株))2000部、フェノール1000部を仕込み、37%ホルムアルデヒド474.5部(モル比 F/P=0.55)を1時間かけて逐添した。その後、純水500部を添加混合後、60℃まで冷却して触媒を除去した。さらに残留触媒を除去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水洗を2回行った。その後、1
30℃まで常圧蒸留を行い、その後、5000Paの真空度で減圧蒸留を行い、ノボラック樹脂E1030部を得た。
(製造例6)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モル)を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド569部(モル比 F/P=0.66)を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。次いで、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部を添加して中和を行い、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック樹脂F1037部を得た。
(製造例7)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液500部(フェノール類1モルに対して0.41モル)を添加し、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド500部(モル比 F/P=0.58)を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。次いで、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部を添加して中和を行い、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、ノボラック樹脂G1050部を得た。
(製造例8)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド430部(モル比 F/P=0.50)を2時間かけて逐添した。その後、2時間還流反応を行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、250℃まで5000Paで減圧蒸留を行い、ノボラック樹脂H650部を得た。
(製造例9)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド430部(モル比 F/P=0.50)を2時間かけて逐添した。その後、2時間還流反応を行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、150℃まで5000Paで減圧蒸留を行い、ノボラック樹脂I1015部を得た。
(製造例10)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、フェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド690部(モル比 F/P=0.80)を2時間かけて逐添した。その後、2時間還流反応を行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、250℃まで5000Paで減圧蒸留を行い、ノボラック樹脂J965部を得た。
製造例1〜3で得られたレゾール樹脂、及び、製造例4〜10で得られたノボラック樹脂の性状について、表1に示す。
Figure 2005154613
3.組成物の製造
(実施例1)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A2143部(固形分換算で900部)、ノボラック樹脂D100部、尿素20部を入れ、50℃で2時間攪拌し
た後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(実施例2)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール型フェノール樹脂A1905部(固形分換算で800部)、ノボラック型フェノール樹脂F200部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を80℃に達するまで行い、メタノール300部を添加して組成物を得た。
(実施例3)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A1667部(固形分換算で700部)、ノボラック樹脂H300部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(実施例4)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂B2500部(固形分換算で9
00部)、ノボラック樹脂D100部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(実施例5)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂B2222部(固形分換算で800部)、ノボラック樹脂F200部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、27%アンモニア水10部を添加して、5000Paで真空脱水を80℃に達するまで行い、メタノール300部を添加して組成物を得た。
(実施例6)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A2262部(固形分換算で950部)、ノボラック樹脂E50部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(実施例7)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A1429部(固形分換算で600部)、ノボラック樹脂E400部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(実施例8)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂B2722部(固形分換算で980部)、ノボラック樹脂G20部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を80℃に達するまで行い、メタノール300部を添加して組成物を得た。
(実施例9)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂B1389部(固形分換算で500部)、ノボラック樹脂G500部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を80℃に達するまで行い、メタノール300部を添加して組成物を得た。
(比較例1)
レゾール樹脂C1428部(固形分換算で1000部)をそのまま用いた。
(比較例2)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A2381部(固形分換算で1000部)を用い、粘度調整のため50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行った。
(比較例3)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A1905部(固形分換
算で800部)、ノボラック樹脂I200部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
(比較例4)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、レゾール樹脂A1905部(固形分換
算で800部)、ノボラック樹脂J200部を入れ、50℃で2時間攪拌した後、5000Paで真空脱水を行い、組成物を得た。
4.特性の評価
実施例および比較例で得られた組成物について、特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005154613
5.評価方法
(1)未反応フェノール量:JIS K 0114 に準拠して、2,5‐キシレノールを内部標準として内部標準法によって測定し、これより固形分換算値を算出した。
(2)ノボラック樹脂の数平均分子量、重量平均分子量、2核体成分含有量:
液体クロマトグラフィー(GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。また、2核体成分含有量は、得られた分子量分布曲線から、2核体成分に該当する面積の比率より算出した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
(3)樹脂固形分濃度:JIS K 6909 に準拠して、約2mlをアルミ箔の容器に取り、135℃の乾燥装置内で1時間加熱した後の残量から、樹脂固形分の割合を算出
した。
(4)粘度:JIS K 6909 に準拠して、同期電動式回転粘度計を用い25℃で測定した。
(5)ゲル化時間:JIS K 6909 に準拠して、約2mlを用い、150℃の熱盤上で測定した。
(6)水倍率(25℃):樹脂あるいは組成物の固形分100部に対して、撹拌しながら純水100部ずつを添加していき、懸濁や白濁が起こらない純水の最大添加量から下記式により算出した。なお、組成物を調製した段階ですでに白濁を生じたものを「白濁」とした。
水倍率=懸濁や白濁が起こらない純水の最大添加量/100
(7)機械的特性:以下の条件により、実施例の組成物と、比較例のレゾール樹脂及び組成物を基材に含浸、乾燥、後硬化させて試料を作成し、JIS K 7202に準拠して
、常温と200℃での曲げ強度、弾性率を測定した。
・基材:ろ紙(1mm厚)
・樹脂固形分濃度:メタノールで希釈して、固形分重量を55%に調整して用いた。
・含浸率:ろ紙重量に対して50%とした。
・含浸時間:30秒間
・乾燥条件:80℃、30分間
・後硬化:200℃、30分間
実施例1〜9はいずれも、本発明の組成物であり、未反応フェノール類の含有量を低減するとともに、硬化物にノボラック型樹脂の配合量に応じた柔軟性を付与することができた。
比較例1は、低いF/P反応モル比で得られたレゾール樹脂Cをそのまま用いたが、未反応フェノール類の含有量が多いものとなった。
比較例2は、レゾール樹脂Aのみを実施例1と同等まで粘度調整して用いたが、熱時の曲げ弾性率が高く、硬化物は脆さを有したものとなった。
比較例3は、低分子量で未反応フェノール類の含有量が多いノボラック樹脂を配合したが、組成物中の未反応フェノール類の含有量が多いものとなった。
そして、比較例4は、高分子量のノボラック樹脂を配合したが、組成物を調製した段階で白濁した状態となり、粘度も高く作業性に劣るものとなった。
本発明の液状フェノール樹脂組成物は、例えば、有機繊維粘結剤、砥石粘結剤、無機繊維粘結剤、積層板用樹脂、摩擦材用粘結剤、摺動部材用粘結剤などの用途に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂と、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂とを含有する液状フェノール樹脂組成物であって、
    (a)前記ノボラック型フェノール樹脂は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下で、かつ、2核体成分の含有量が20〜70%であり、
    (b)前記樹脂組成物の固形分中における未反応フェノール類の含有量が8重量%以下である、
    ことを特徴とする液状フェノール樹脂組成物。
  2. 前記レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とを、反応モル比(F/P)=1.2〜4.0として反応させてなるものである請求項1に記載の液状フェノール樹脂組成物。
  3. 前記ノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量が200〜700であり、かつ、重量平均分子量が250〜2000である請求項1又は2に記載の液状フェノール樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物は、固形分換算で、前記レゾール型フェノール樹脂50〜98重量%、前記ノボラック型フェノール樹脂2〜50重量%を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物は、25℃において、該樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、純水100重量部以上を配合しても、懸濁や白濁が起こらない水溶性を有したものである請求項1ないし4のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
  6. 前記酸性触媒は、有機ホスホン酸である請求項1ないし5のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
  7. 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示すものである請求項6に記載の液状フェノール樹脂組成物。
    R−PO(OH) (I)
    (Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH)を含む基である。)
  8. 前記酸性触媒は、リン酸類である請求項1ないし5のいずれかに記載の液状フェノール樹脂組成物。
  9. 前記ノボラック型フェノール樹脂を合成する際に用いられるフェノール類1モルに対して、リン酸類0.2モル以上を用いる請求項8に記載の液状フェノール樹脂組成物。
  10. 前記リン酸類は、リン酸である請求項8又は9に記載の液状フェノール樹脂組成物。
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WO2024095521A1 (ja) * 2022-11-01 2024-05-10 本州化学工業株式会社 硬化性組成物

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