JP4506213B2 - 紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液とその製造方法 - Google Patents

紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液とその製造方法 Download PDF

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本発明は、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液およびその製造方法に関するものである。
従来から知られている紙力増強剤として、乾燥紙力増強剤としてポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化デンプン、酸化デンプン、湿潤紙力増強剤として尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプンなどがある。しかしながら、ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤では十分な湿潤強度が得られず、一方、湿潤紙力増強剤として用いられている尿素樹脂やメラミン樹脂は、樹脂中に残存しているホルムアルデヒドが廃水に溶出してしまうこと、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂は毒性が高いこと、などといった問題があった。そのため、未反応モノマーの含有量が少なく、環境影響性の小さい尿素樹脂やメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の開発が望まれていた。
そのため、代表的な熱硬化性樹脂であり、尿素樹脂やメラミン樹脂よりも高強度、高耐熱性を有するフェノール樹脂を紙力増強剤として使用する検討を実施したが、従来のフェノール樹脂では未反応モノマーであるフェノール及びホルムアルデヒド、また、ノボラック型においては硬化剤として使用されるヘキサメチレンテトラミンが廃水に溶出する恐れがあるため使用できなかった。
そこで、上記問題を解決し、紙力増強剤として使用するためには、未反応のフェノール類やアルデヒド類の含有量が極めて少ないレゾール型フェノール樹脂を合成した後に、これを乳濁液化し水性化すればよい。
しかしながら、一般にレゾール型フェノール樹脂は、仕込みモル比でフェノール類1モルに対しアルデヒド類を1〜3モルとして、触媒に水酸化ナトリウム、アンモニア水、第3級アミン、アルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、炭酸ナトリウムなどアルカリ性触媒を用いて反応することにより得られるが、これらの触媒を用いて反応させた場合は、通常、フェノール樹脂中に未反応のフェノール類やアルデヒド類が多く残存する。故に、通常の方法で合成されたレゾール型フェノール樹脂の乳濁液において、上記問題の解決は困難であった。
未反応のフェノール類とアルデヒド類とを少なくする方法としては、例えば、フェノール類1モルに対しアルデヒド類を1.3モル以下の低モル比で反応させた後、未反応のフェノール類を除去する方法、あるいは、フェノール類1モルに対しアルデヒド類を1.7モル以上の高モル比で反応させた後、未反応のアルデヒド類を除去する方法などがある。
未反応フェノール類を除去する方法としては、水蒸気蒸留法が一般的に知られている。しかし、水蒸気蒸留法は、長時間行わないと効果が少なく、除去工程が長時間になるという欠点があった。
また、未反応アルデヒド類は、尿素等のアルデヒド類のキャッチ剤を添加することによって除去が可能であるが、多量のキャッチ剤を添加することによって、これが変性剤として作用し耐水性などの物性が悪化することがある。また、フェノール樹脂を高温で硬化させた場合には、キャッチ剤とアルデヒド類との解離が起こり、アルデヒド類がガスとして発生し、大気汚染が問題視されることがある。さらに、硬化物の着色も起こりやすくなる。
これ以外にも、例えば、フェノール樹脂濃度が5〜45重量%程度となるように水を添加した後、これを100〜130℃程度に予め加熱しておいた管長(L)と管内径(D)との比(L/D)が少なくとも1000の管内に、減圧状態で送り込み、そのとき多量に発生する水蒸気によって管壁内面に縮重合生成物の過度の生成や付着等を抑制しつつ連続的に脱水処理を行うという方法がある(例えば、特許文献1参照。)。このような操作により、未反応のフェノール類やアルデヒド類を脱水液と共に溜去することができる。しかし、これらの方法では著しく工程が煩雑になり、水洗工程のための特殊な装置が必要になるといった問題があった。
このように、未反応のフェノール類とアルデヒド類の含有量が少ないレゾール型フェノール樹脂を簡易に製造する事が困難であるが故に、未反応のフェノール類とアルデヒド類の含有量が少ない紙力増強用レゾール型フェノール樹脂の乳濁液を製造することも困難であった。
特公昭58−17211号公報
本発明は、未反応のフェノール類とアルデヒド類の含有量が少ない紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液及びこれを製造する方法を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(7)により達成される。

(1) 紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法であって、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が5重量%以下であるノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(b)前記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する工程、及び、
(c)前記レゾール型フェノール樹脂の合成中ないしは合成後に、ポリアクリルアマイド類より選ばれる水溶性の高分子化合物を添加し、前記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する工程、
を有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
(2) 前記酸性触媒は、有機ホスホン酸である上記(1)に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
(3) 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示すものである上記(1)又は(2)に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基である。)
(4) 前記酸性触媒は、リン酸類である上記(1)に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
(5) 前記リン酸類は、前記フェノール類1モルに対して0.2モル以上を用いるものである上記(4)に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
(6) 前記リン酸類は、リン酸である上記(4)又は(5)に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂と、ポリアクリルアマイド類より選ばれる水溶性の高分子化合物とを含有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液。
本発明は、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂と、水溶性の高分子化合物とを含有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液であり、紙力増強用として用いた場合に、製品加工時、及び、加工後の製品中から未反応モノマーが放出されにくくなり、労働環境ならびに生活環境を汚染する危険性を最小限にすることができる。
また、本発明は、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、ノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する工程、及び、
(c)上記レゾール型フェノール樹脂の合成中ないしは合成後に、水溶性の高分子化合物を添加し、上記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する工程、
を有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法、であり、未反応モノマーの含有量が少ないレゾール型フェノール樹脂乳濁液を得ることができる。
以下に、本発明の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液及びその製造方法について説明する。
本発明の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液は、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂と、水溶性の高分子化合物を含有することを特徴とする。
また、本発明の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法は、レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法であって、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、ノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する工程、及び、
(c)上記レゾール型フェノール樹脂の合成中もしくは合成後に、水溶性の高分子化合物を添加し、上記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する工程、
を有することを特徴とする。
まず、本発明の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液(以下、単に「レゾール型フェノール樹脂乳濁液」ということがある)について説明する。
本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液に用いられるレゾール型フェノール樹脂は、未反応モノマーの含有量が1重量%以下である。これにより、本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液を紙力増強用として用いた場合に、製品加工時、及び、加工後の製品中から未反応モノマーが放出されにくくなり、労働環境ならびに生活環境を汚染する危険性を最小限にすることができる。
なお、本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液及びその製造方法において、「未反応モノマー」とは、「未反応フェノール類」と、「未反応アルデヒド類」との両方を指し、「未反応モノマーの含有量」とは、「未反応フェノール類の含有量」と、「未反応アルデヒド類の含有量」との両方を指すものである。
ここで用いられるレゾール型フェノール樹脂の分子量としては特に限定されないが、例えば、数平均分子量で200〜1200であるものを好適に用いることができる。これにより、紙力増強剤として用いた場合に、優れた増強効果が期待できる。
本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液において、レゾール型フェノール樹脂の濃度としては特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂乳濁液全体に対して、15〜60重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは20〜55重量%である。
濃度が上記範囲外のものでも使用することはできるが、上記下限値未満であると、所定量のレゾール型フェノール樹脂乳濁液の貯蔵安定性が劣ることがある。また、上記上限値を越えると、レゾール型フェノール樹脂乳濁液の粘度が高くなるため、取り扱い作業性に劣ることがある。
本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液を紙力増強剤として用いた場合の添加量は特に限定されないが、対パルプ固形分100重量部に対して0.05〜5.0重量部とすることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜4.0重量部である。
添加量が上記範囲外でも抄紙できるが、上記下限値未満であると、十分な紙力増強効果は得られないことがある。また、上記上限値を越えると、紙力増強と言うよりもバインダーとしての使用になってしまう。
本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液において用いられる水溶性の高分子化合物は、ポリアクリルアマイド類である。
ポリアクリルアマイド類にはポリアクリルアマイド、ポリメタアクリルアマイド、ポリアクリルアマイド及びポリメタアクリルアマイドの部分加水分解物、アクリルアマイドとアクリル酸ないしメタクリル酸の共重合物、ビニル系ポリビニルアマイド共重合物、カチオン化ポリアクリルアマイド、両性のポリアクリルアマイド、スルホメチレン化ポリアクリ
ルアマイド、ウレタン化ポリビニルアルコールなどによって代表される分子中に酸アマイド基を含有するもの、更に、メチロール化ポリアクリルアマイドなどのような上記酸アマイド類のメチロール化合物を含む。
本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液において、水溶性の高分子化合物の添加量としては特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂乳濁液中のレゾール型フェノール樹脂100重量部に対して、1〜50重量部とすることが好ましい。さらに好ましくは3〜40重量部である。これにより、安定性と取り扱い性に優れたものとすることができる。
配合量が上記範囲外のものでも使用することはできるが、上記下限値未満であると、レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化するのが難しくなることがある。また、上記上限値を越えると、レゾール型フェノール樹脂乳濁液の粘度が高くなるため、基材に含浸させる際に長時間を要したり、これを含浸用として用いた場合の特性に影響を与えたりすることがある。
なお、本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液には、上記水溶性の高分子化合物のほか、必要に応じて分散助剤を併用することもできる。
ここで分散助剤としては特に限定されないが、一般に界面活性剤、キレート剤、保護コロイドといわれるものを使用することができ、例えば、アニオン型、カチオン型、非イオン型、両性イオン型の界面活性剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、澱粉類、トラガカントゴム、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン無水マレイン酸共重合物、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールなどの保護コロイド物質が挙げられる。これらの分散助剤は、アルカリ性触媒の種類、レゾール型フェノール樹脂乳濁液の用途などによって適宜選択されるものであるが、使用する場合は少量の添加量でよい。
次に、本発明の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について説明する。
本発明の製造方法においては、まず、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、ノボラック型フェノール樹脂を合成する。
本発明の製造方法において、上記(a)工程で用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシンなどが挙げられる。これらのフェノール類から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができるが、通常、フェノールやクレゾールが多く用いられる。
本発明の製造方法において、上記(a)工程で用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレインやこれらの混合物、これらのアルデヒド類の発生源となる物質、あるいは、これらのアルデヒド類の溶液などが挙げられる。これらのアルデヒド類から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができるが、通常、ホルムアルデヒドが多く用いられる。
本発明の製造方法において、上記(a)工程で用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸などの無機酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸などの有機酸を用いることができる。
これらの中でも、酸性触媒として有機ホスホン酸を用いることが好ましい。これにより、未反応モノマーの含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
上記有機ホスホン酸は、ホスホン酸基[−PO(OH)]を含む有機化合物であり、いかなるものも使用できるが、下記一般式(I)で示される有機ホスホン酸が、未反応モノマーの含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を製造するために好ましい。
R−PO(OH) (I)
(Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH)を含む基である。)
上記一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。これらの中でも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
上記有機ホスホン酸の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対し
て0.001〜3.0モル、好ましくは0.01〜2.0モルである。添加量が上記上限値を越えても、未反応モノマーの含有量を少なくする効果が変わらなくなる。また上記下限値未満では、有機ホスホン酸を用いる効果が小さくなる。
上記有機ホスホン酸を用いた場合の反応条件としては特に限定されないが、通常40〜240℃であり、好ましくは80〜140℃である。反応温度が40℃より低いと、反応の進行が遅く、未反応モノマーの含有量を十分に低下させるのに時間を要する。また、240℃より高温では有機ホスホン酸が加水分解するようになる。
反応時間については特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
また、酸性触媒としてリン酸類を用いることが好ましい。これにより、有機ホスホン酸を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
このリン酸類をリン酸類水溶液の形態で用いる場合、水溶液中のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
ここで用いられるリン酸類の量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液を含有する水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
酸性触媒として上記リン酸類を用いた場合の反応条件としては、特に限定されないが、反応温度は40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
反応時の反応系の水分量は、好ましくは1〜40重量%以下の範囲である。反応形態と
して、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。この他にも反応条件としては、ブタノール、プロパノール等の非水溶剤を使用した溶剤還流脱水反応、高圧反応等が考えられる。また、反応時の攪拌速度は速い方が好ましい。
本発明の製造方法において、上記(a)工程で用いられるフェノール類とアルデヒド類の反応モル比は特に限定されないが、酸性触媒として有機ホスホン酸を用いる場合は、フェノール類(P)に対するアルデヒド類(F)のモル比(F/P)が、0.1〜0.85であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.8である。
また、酸性触媒として上記リン酸類水溶液を用いる場合は、通常、0.1〜1.0であり、好ましくは、0.5〜0.95、より好ましくは、0.6〜0.9である。
これにより、未反応モノマーの含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。モル比が上記下限値より小さいと、未反応フェノール類の含有量が多くなる傾向があり、これをレゾール樹脂化したときにも未反応フェノール類の含有量が少ないものを得ることが難しいことがある。一方、モル比が上記上限値を越えると、ノボラック型フェノール樹脂をレゾール樹脂化する工程において、高粘度化あるいは反応条件によってはゲル化することがある。
また、酸性触媒として上記有機ホスホン酸あるいはリン酸類以外のものを用いる場合は、モル比(F/P)を0.05〜0.8とすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.7である。
上記フェノール類とアルデヒド類との反応方法としては、特に限定されないが、反応の開始時において、フェノール類とアルデヒド類を全量一括して仕込み触媒を反応させてもよく、また、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類と触媒を混合してからアルデヒド類を逐次添加して反応させてもよい。
上記(a)工程においては、以上に説明したように、フェノール類とアルデヒド類とを、上記有機ホスホン酸、あるいは、上記リン酸類水溶液を触媒として用いて反応させて得られるものであることが好ましいが、これ以外にも、公知の酸性触媒を用いて反応させることもできる。
このとき、酸性触媒の添加量としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.001〜0.1モルとすることが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05モルである。また、このときの反応条件は、通常、温度管理の容易な還流条件で反応させることができる。
この場合、得られる樹脂中に含有される未反応のフェノール類、あるいは2核体成分の量が多くなることがあるので、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留、再結晶、溶剤抽出、水洗等の方法でこれを除去することができる。
一例を挙げると、未反応フェノール類は、170℃、500Paの減圧条件下で、また、2核体成分は、250℃、100Paの減圧条件下で除去することができる。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、上記(a)工程により合成されたノボラック型フェノール樹脂中に含有される未反応モノマーの含有量はそれぞれ5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは3重量%以下である。これにより、未反応モノマーの含有量が少ないレゾール型フェノール樹脂を効率的に得ることができ、環境に対する負荷の小さいレゾール型フェノール樹脂乳濁液を製造することができる。
本発明の製造方法において、上記(a)工程で合成されるノボラック型フェノール樹脂中に含有される未反応モノマーの含有量を上記上限値以下とする方法としては特に限定されないが、酸性触媒として有機ホスホン酸あるいはリン酸類を用いた場合は、反応により概ね上記上限値以下にすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留、減圧蒸留等を組み合わせて未反応モノマーを除去してもよい。
また、酸性触媒として有機ホスホン酸あるいはリン酸類以外のものを用いた場合は、ノボラック型フェノール樹脂を合成後、常圧蒸留、減圧蒸留等により未反応モノマーを除去することができる。
なお、ノボラック型フェノール樹脂を合成した後に、必要により粘度を調整する目的で水、溶剤を添加しても良い。
上記(a)工程において、酸性触媒として有機ホスホン酸あるいはリン酸類を用いた場合は、反応終了後、これらの触媒を水洗にて除去あるいは回収することが可能であるが、除去あるいは回収方法、水洗方法については特に限定されない。水洗等により回収した有機ホスホン酸やリン酸類は再度触媒として使用することができる。また、アルカリ性の物質によって中和してもよく、さらにアルカリ性の物質を過剰に添加してそのままレゾール化を行うことも可能である。
次に、本発明の製造方法においては、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する。
本発明の製造方法において、上記(b)工程で用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレインやこれらの混合物、これらのアルデヒド類の発生源となる物質、あるいは、これらのアルデヒド類の溶液などが挙げられる。これらのアルデヒド類から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができるが、通常、ホルムアルデヒドが多く用いられる。
本発明の製造方法において、上記(b)工程で用いられるアルデヒド類の量は特に限定されないが、上記(a)工程で、フェノール樹脂中に残存している未反応フェノール類が除去されることがあることから、このような場合も含めて、上記(a)工程で用いたフェノール類(P)に対し、上記(a)工程で用いたアルデヒド類(F)と、(b)工程で用いるアルデヒド類(F)との合計で、モル比[(F+F)/P]で0.7〜3.0とすることが好ましく、さらに好ましくは0.8〜2.5である。モル比が上記下限値より小さいと、(b)工程におけるレゾール化が不十分となることがあり、上記上限値を越えると、未反応アルデヒド類が多く残るようになる。
本発明の製造方法において、上記(b)工程で用いられるアルカリ性触媒としては特に限定されないが、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア水、トリエチルアミンなどの第3級アミン、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミンなどのアルカリ性物質などを用いることができる。
上記アルカリ性触媒の添加量は特に限定されないが、通常、(a)工程で用いたフェノール類1モルに対し、0.01〜0.5モルの範囲内で用いることができ、好ましくは0.05〜0.3モルである。
アルカリ性触媒の添加量が上記下限値より少ないと触媒としての作用が十分でないことがあり、一方、上記上限値より多いと、レゾール型フェノール樹脂の分子量が高くなりやすく、含浸性に影響を与えることがある。
本発明の製造方法において、上記(b)工程で得られるレゾール型フェノール樹脂は、未反応モノマーの含有量が1重量%以下である。
レゾール型フェノール樹脂中の未反応モノマーの含有量を1重量%以下とする方法としては特に限定されないが、上記(a)工程において、未反応モノマーの含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂、好ましくは未反応モノマーの含有量が5重量%以下であるノ
ボラック型フェノール樹脂を合成し、これをもとにレゾール型フェノール樹脂を合成することが好ましい。これにより、樹脂の分子量増大やゲル化等の問題を起こすことなく、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
なお、このほかにも必要に応じて、従来知られている未反応モノマー類を除去する工程あるいは方法を組み合わせて用いることもできる。
本発明の製造方法において、特に、上記(a)工程で、有機ホスホン酸あるいはリン酸類を触媒として、フェノール類とアルデヒド類からノボラック型フェノール樹脂を合成した後、さらにその生成物とアルデヒド類とからレゾール型フェノール樹脂を合成することにより、未反応モノマーの含有量を低減したレゾール型フェノール樹脂が得られる理由は、以下のように考えられる。
有機ホスホン酸やリン酸類は、非常に水溶性が高い。そして、フェノール類、アルデヒド類は水への溶解性が相対的には小さく、ノボラック型フェノール樹脂は分子量増大ととも水への溶解性が更に低下する性質を有している。このため(a)工程の反応開始時には、触媒である有機ホスホン酸やリン酸類を多量に含んだ水相と、これらの触媒がほとんど存在しないフェノール類からなる有機相とに相分離した状態となる。そして、水相に溶出したフェノール類と、添加されたアルデヒド類との反応が優先的に進行し、その結果、未反応フェノール類の含有量が低減する。さらに、2核体以上の反応生成物は上記の触媒特性上、より高分子化への反応は起こりにくいことから、未反応フェノール類の含有量が少なく2核体成分の含有量が多いノボラック型フェノール樹脂が得られる。
次いで、得られたノボラック型フェノール樹脂を原料として、これにアルデヒド類を所定量添加して反応させることで、未反応モノマーの含有量が少なく、所望とする分子量を有するレゾール型フェノール樹脂を製造することが可能となる。
次に、本発明の製造方法においては、(c)上記レゾール型フェノール樹脂の合成中もしくは合成後に、水溶性高分子を添加し、上記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する。
本発明の製造方法において、上記(b)工程で合成されたレゾール型フェノール樹脂に、水溶性高分子を添加し、乳濁液化する方法としては、例えば、下記の方法がある。
(I)ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とを、アルカリ性触媒の存在下で途中まで反応させ、次いで水溶性の高分子化合物を添加し、更に反応を続けた後、所望とする最終のレゾール型フェノール樹脂の乳濁液を得る。
(II)ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とを、アルカリ性触媒の存在下で反応させ、反応の終了後に水溶性の高分子化合物を添加し、均一に混合し、レゾール型フェノール樹脂の乳濁液を得る。
なお、ここで水溶性の高分子化合物としては、上記に記載のものを使用することができる。
これらの水溶性の高分子化合物を用いる際の形態としては特に限定されないが、例えば、水溶性高分子をあらかじめ水溶液としたものを用いることもできるし、反応系中においてこれら水溶性高分子が溶解する時間が確保できる場合は、粉末の形態で用いることもできる。
また、レゾール型フェノール樹脂乳濁液を得る際には、上記水溶性の高分子化合物のほか、必要に応じて上記分散助剤を併用することもできる。
分散助剤を添加するタイミングは、水溶性高分子の添加に対し前後しても構わないし、あるいは同時でもよい。
本発明の製造方法において、上記(a)ないし(c)工程で用いられる反応装置としては特に限定されないが、通常のフェノール樹脂の合成に用いられる反応釜を使用して行うことができる。
特に上記(c)工程においても、ホモディスパー、ホモミキサー、ホモジナイザーや湿式粉砕機などのいわゆる乳化装置による強制攪拌を必要としない。ただし、必要に応じ、上述の乳化装置を併用しても構わない。
以上に説明したように、本発明の製造方法においては、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、ノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する工程、及び、
(c)上記レゾール型フェノール樹脂の合成中もしくは合成後に、水溶性の高分子化合物を添加して上記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する工程、
を有することを特徴とする。
上記(a)工程において合成されるノボラック型フェノール樹脂を、未反応モノマーの含有量が少ないものとすることにより、上記(b)工程において、煩雑な操作を必要とせずに未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。特に、上記(a)工程においては、酸性触媒として有機ホスホン酸あるいはリン酸類を用いることにより、未反応モノマーの含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
そして、かかるレゾール型フェノール樹脂を、上記(c)工程により乳濁液化することにより、未反応モノマーの含有量が少ないレゾール型フェノール樹脂乳濁液を製造することができる。
このようにして得られた本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液は、有機溶剤を使用しない形態であり、また、従来の製造方法で得られたレゾール型フェノール樹脂乳濁液と比較しても、未反応モノマーの含有量が非常に少ない。
このため、紙力増強用として用いた場合に、抄紙時及び乾燥時の作業性、安全衛生面において優れるだけでなく、使用時に排出される廃液中の未反応モノマー量も少なく抑えることができ、環境への負荷を低減することができる。さらに、このような廃液を処理する際にも、活性汚泥等の高価な処理設備を必要としないという利点をも有するものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
1.レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造
(実施例1)
攪拌装置及び温度計を備えた三口フラスコ中に、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸60%水溶液(ライオン社製・「フェリオックス115」)1500部を仕込み、120℃に昇温した後、フェノール1000部を仕込み、37%ホルムアルデヒド650部(モル比F/P=0.75)を2時間かけて逐添した。その後、純水500部を添加混合後、60℃まで冷却して触媒を除去した。さらに残留触媒を除去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水洗を2回行った。得られたノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノールの含有量は0.8%、未反応アルデヒドの含有量は0.0%であった。
次に、水酸化カルシウム30部、37%ホルムアルデヒド475部(仕込みフェノールに対するモル比F/P=0.55)を添加した後、80℃まで加熱し、還流反応を2時
間行った。その反応後、15000Paで減圧蒸留を行い、フラスコ内の水分量が反応生
成物と水分量の合計量に対して重量比で25%となるように調整した。その後、ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製・「ポリストロン117」、15%水溶液)670部と
水990部とを添加して1時間攪拌し、レゾール型フェノール樹脂乳濁液3250部を得
た。この一部をサンプリングし、未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。さらに、遠心分離(10000回転、10分間)により上澄み液を分離し、上澄み液中の未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。
(実施例2)
実施例1と同様のフラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液570部(モル比F/P=0.66)を30分かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。その後、純水500部を添加混合後、60℃まで冷却して触媒を除去した。さらに残留触媒を除去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水洗を2回行った。得られたノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノールの含有量は0.2%、未反応アルデヒドの含有量は0.0%であった。
次に、水酸化カルシウム30部、37%ホルムアルデヒド380部(仕込みフェノールに対するモル比F/P=0.44)を添加した後、80℃まで加熱し、還流反応を2時間行った。その反応後、15000Paで減圧蒸留を行い、フラスコ内の水分量が反応生
成物と水分量の合計量に対して重量比で25%となるように調整した。その後、ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製・「ポリストロン117」、15%水溶液)740部と
水350部とを添加して1時間攪拌し、レゾール型フェノール樹脂乳濁液2970部を得
た。この一部をサンプリングし、未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。さらに、遠心分離(10000回転、10分間)により上澄み液を分離し、上澄み液中の未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。
(実施例3)
実施例1と同様のフラスコ中に、フェノール1000部、蓚酸10部を仕込み、100℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド430部(モル比F/P=0.5)を2時間かけて逐添した。その後、2時間還流反応を行った後、150℃まで常圧蒸留を行い、さらに、250℃まで500Paで減圧蒸留を行った。得られたノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノールの含有量は0.0%、未反応アルデヒドの含有量は0.0%であった。
次に、80部の水を添加しながら50℃まで冷却した後、水酸化カルシウム30部、37%ホルムアルデヒド400部(仕込みフェノールに対するモル比F/P=0.46)を添加した後、80℃まで加熱し、還流反応を2時間行った。その反応後、ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製・「ポリストロン117」、15%水溶液)670部と水600部とを添加して1時間攪拌し、レゾール型フェノール樹脂乳濁液2450部を得た。
この一部をサンプリングし、未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。さらに、遠心分離(10000回転、10分間)により上澄み液を分離し、上澄み液中の未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。
(比較例1)
実施例1と同様のフラスコ中に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド1120部(モル比F/P=1.3)、触媒として水酸化カルシウム30部を添加し、80℃で3時間反応させた。反応後、15000Paで減圧蒸留を行い、フラスコ内の水分量が
反応生成物と水分量の合計量に対して重量比で25%となるように調整した。
次に、ポリアクリルアマイド(荒川化学工業社製・「ポリストロン117」、15%水溶液)670部と水940部とを添加して1時間攪拌し、レゾール型フェノール樹脂乳濁液3110部を得た。この一部をサンプリングし、未反応フェノールの含有量、未反応アル
デヒドの含有量を測定した。さらに、遠心分離(10000回転、10分間)により上澄み液を分離し、上澄み液中の未反応フェノールの含有量、未反応アルデヒドの含有量を測定した。
2.特性の評価
実施例および比較例で得られたレゾール型フェノール樹脂乳濁液について、特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004506213
評価方法
(1)樹脂固形分濃度:JIS K 6909 に準じ、レゾール型フェノール樹脂乳濁液、又は、レゾール型フェノール樹脂有機溶剤溶液約2mlをアルミ箔の容器に取り、135℃の乾燥装置内で1時間加熱した後の残量から、樹脂固形分の割合を算出した。
(2)ゲル化時間:JIS K 6909 に準じ、レゾール型フェノール樹脂乳濁液、又は、レゾール型フェノール樹脂有機溶剤溶液約2mlを用い、150℃の熱盤で測定した。
(3)ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、及び、レゾール型フェノール樹脂乳濁液中の未反応フェノールの含有量:JIS K 0114 に準じ、2,5‐キシレノールを内部標準として内部標準法によって測定した。
(4)ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、及び、レゾール型フェノール樹脂乳濁液中の未反応ホルムアルデヒドの含有量:塩酸ヒドロキシルアミン法によって測定した。
(5)上澄み液中の未反応フェノールの含有量と未反応ホルムアルデヒドの含有量:簡易水質分析用のパックテスト(フェノール用;型式 WAK−PNL、共立理化学研究所製、ホルムアルデヒド用;型式、WAK−FOR)を用い、任意の倍率に希釈することにより測定した。
3.紙力の評価
実施例で得られたレゾール型フェノール樹脂乳濁液を用いて抄紙し、紙力を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004506213
評価方法
カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)が約400mlになるまで試験用叩解機で叩解しスラリー化したパルプ(LBKP)を1%濃度スラリーに調製し、1分間攪拌した後、レゾール型フェノール樹脂乳濁液をパルプ固形分100重量部に対して0.5重量部、及び、1重量部添加して、更に5分間攪拌した。このスラリーを丸型シートマシーンで抄紙し、プレスの後、乾燥した。抄紙した紙を、JIS P 8113 に準拠して、引張試験により紙力の評価を行った。
実施例1〜3はいずれも、本発明の製造方法により得られたレゾール型フェノール樹脂乳濁液であり、他の特性に実質的に影響を与えることなく、未反応モノマーの含有量が少ないレゾール型フェノール樹脂乳濁液を得ることができた。
一方、比較例は従来の方法でレゾール型フェノール樹脂を合成し、これを乳濁液化したものであるが、乳濁液中、上澄み液中とも、未反応モノマーの含有量が多いものとなった。
また、実施例で得られたレゾール型フェノール樹脂乳濁液を紙力増強剤として用いた紙は、引張強さにおいて、紙力増強剤を用いなかった紙と比較して約20〜40%の強度アップを図ることができた。
本発明は、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂と、水溶性の高分子化合物とを含有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液とその製造方法である。本発明のレゾール型フェノール樹脂乳濁液は、紙力増強用として用いた場合に、製品加工時、及び、加工後の製品中から未反応モノマーが放出されにくくなり、労働環境ならびに生活環境を汚染する危険性を最小限にすることができるので、環境負荷の小さい紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法であって、
    (a)フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が5重量%以下であるノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
    (b)前記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂を合成する工程、及び、
    (c)前記レゾール型フェノール樹脂の合成中ないしは合成後に、ポリアクリルアマイド類より選ばれる水溶性の高分子化合物を添加し、前記レゾール型フェノール樹脂を乳濁液化する工程、
    を有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
  2. 前記酸性触媒は、有機ホスホン酸である請求項1に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
  3. 前記有機ホスホン酸は、下記一般式(I)に示すものである請求項1又は2に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
    R−PO(OH) (I)
    (Rは、炭素原子を含み、かつ −COOH 及び又は −PO(OH) を含む基である。)
  4. 前記酸性触媒は、リン酸類である請求項1に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
  5. 前記リン酸類は、前記フェノール類1モルに対して0.2モル以上を用いるものである請求項4に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
  6. 前記リン酸類は、リン酸である請求項4又は5に記載の紙力増強用レゾール型フェノール樹脂乳濁液の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、未反応モノマーの含有量が1重量%以下であるレゾール型フェノール樹脂と、ポリアクリルアマイド類より選ばれる水溶性の高分子化合物とを含有することを特徴とする、紙力増強用レゾール型フェノー
    ル樹脂乳濁液。
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