JP2004059841A - フィルター用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】残留フェノール量が1重量%未満であるレゾール型フェノール樹脂を含有するフィルター用樹脂組成物であって、レゾール型フェノール樹脂が、アルデヒド類とフェノール類とを〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕=0.3〜0.6〔モル比〕となる割合で反応させて得られたノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とするフィルター用樹脂組成物。
【選択図】 なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルター製造時に、フェノール類やアルデヒド類の飛散量を低減した、フィルター用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フェノール樹脂を濾紙等のフィルター用紙に含浸し、硬化させたフィルターは、工作機械等の産業用機械や自動車用に幅広く利用されている。具体的には、エアーフィルター、エンジンオイルフィルター、燃料フィルター、オイルフィルター等に使用されている。これらのフィルターは、例えば、次の工程を経て製造されている。濾紙等の繊維状物質からなる繊維状基材(例えば、フィルター用紙)にレゾール型フェノール樹脂溶液を含浸させる。次いで、溶剤を揮発させてB化(乾燥状態化)する工程、コルゲート付けをして巻き取ったB化含浸紙を更に次の行程で襞状に折るプリーツ加工を行う工程、C化(硬化)工程させた後、エンドプレートを装着する工程。このようにして得られたフィルターは、耐熱性、耐油性、耐水性に優れ、破裂強度も大きく、強靱であり、通気性、濾過効率が良いという特徴を有する。
【0003】
前記レゾール型フェノール樹脂は、例えば、フェノール系単量体(フェノールモノマー)とホルムアルデヒド類とを反応させて得られるが、熱硬化性を有するため、反応後、高温で、未反応フェノールモノマーを除去しようとすると、樹脂が硬化するので、未反応フェノールモノマーを除去することが困難であった。そのため、得られたレゾール型フェノール樹脂中に未反応フェノールモノマー等の遊離フェノール類が固形分に対し8〜20重量%ほど含まれる。例えば、特開2001−114852号公報には、フェノールとホルムアルデヒドとの反応で得られるレゾール型フェノール樹脂中に残留する未反応フェノールモノマー量として、固形分に対して15重量%(54%水溶液で8.3%)、遊離フェノール量が固形分に対して2%(54%水溶液で1.1%)である旨の記載がある。更に、得られた樹脂溶液に大量の水を添加した後、温和な温度条件で未反応フェノールモノマーを除去する方法が提案されているが、その場合であっても、未反応フェノールモノマーが3.2〜4.7%(75%水溶液で2.4〜3.5%)残留している結果が記載されている。
【0004】
また、フェノール系単量体とホルムアルデヒド類との反応物であるメチロール基が1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)も多く残留する。前記メチロール化フェノール類は、これ自身が、飛散するばかりでなく、前記B化、C化反応の際に、熱分解して、フェノール系単量体(フェノールモノマー)とホルムアルデヒドが発生する。その結果、フェノールモノマーが残留しているレゾール型フェノール樹脂を用いて、フィルターを製造すると、B化工程及びC化工程において、未反応フェノール成分ばかりでなく、メチロール化フェノール類やホルムアルデヒドなどの成分の飛散が多く、排ガス中のフェノール類、ホルムアルデヒドの濃度が公害上の見地から問題視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、上述のようなフィルター製造時に、フェノール類、メチロール化フェノール類(1核体成分)或いはアルデヒド類の飛散しにくいフィルター用樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、下記の▲1▼及び▲2▼の知見を見出した。▲1▼フィルター用レゾール型フェノール樹脂として、未反応フェノールモノマー含有量を低減されたノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とから誘導されたレゾール型フェノール樹脂を用いることが、フィルター製造時に、フェノール類成分の飛散しにくく、更に、メチロール化フェノール類(1核体成分)の生成量が大幅に減少することから、アルデヒド類の飛散をも低減すること。
【0007】
▲2▼特定の比率でフェノール類成分とアルデヒド類とを反応して、得られた樹脂の分子量が制御されたノボラック型フェノール樹脂をレゾール型フェノール樹脂の原料として用いることが、フィルター製造時に、繊維状基材にレゾール型フェノール樹脂を含浸させることに適していることを見出した。
【0008】
本発明は、前記▲1▼、▲2▼の技術的知見に基づきなされたものである。すなわち、本発明は、残留フェノール量が1重量%未満であるレゾール型フェノール樹脂を含有するフィルター用樹脂組成物であって、レゾール型フェノール樹脂が、アルデヒド類とフェノール類とを〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕=0.3〜0.6〔モル比〕となる割合で反応させて得られたノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類(B)とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とするフィルター用樹脂組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルター用樹脂組成物に用いるレゾール型フェノール樹脂は、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類(B)とを反させて得られるもので、ノボラック型フェノール樹脂(A)は、例えば、下記の方法で得られる。
【0010】
フェノール類、アルデヒド類、触媒として酸とを仕込み、100℃で1〜5時間反応させる。その後、常圧脱水、減圧脱水工程を経て、180〜230℃の温度で、ノボラック型フェノール樹脂中に残留した未反応フェノールを除去する。その際、前記の残留した未反応フェノールモノマーのノボラック型フェノール樹脂中の含有量は、低いほど好ましく、0重量%まで除去しておくことが最も好ましいが、実質的には、1.0重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。更に、0.01重量%程度の量まで削減させておくことが特に好ましい。
【0011】
上記のノボラック型フェノール樹脂のように、未反応フェノールモノマーの含有量を低減することで、メチロール化フェノール類(1核体成分)の生成を抑制することができる。
【0012】
また、ここで、フェノール類とホルムアルデヒド類の反応割合は、〔ホルムアルデヒド〕/〔フェノール類〕=0.3〜0.6〔モル比〕であることが好ましい。モル比が、0.3未満でも製造は可能であるが、モル比が低下するに従い収率が悪くなり経済的には好ましくない。又0.6を超えると、得られるレゾール型フェノール樹脂の分子量が増大し、レゾール型フェノール樹脂組成物が高粘度となり、繊維状基材に含浸しにくくなり好ましくない。
【0013】
原料として使用するフェノール類としては、特に限定されるものではなく、たとえばフェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノールなどが挙げられる。またこれらのフェノール類は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能である。ここで製品として水溶性のレゾール型フェノール樹脂を得るためにはレゾルシン及び通常のフェノールモノマーが良いが安価な製品を得るためには、フェノールモノマーが好ましい。
【0014】
本発明のアルデヒド類としてはフェノール樹脂製造の際に一般的に良く用いられるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が有効であり、ウロトロピンも用いることが出来る。
【0015】
前記触媒として用いる酸類としては、ノボラック型フェノール樹脂の製造の際一般的に用いられる酸が使用可能であり、例えば、蓚酸、塩酸、燐酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸やハイオルソノボラック型フェノール樹脂の触媒である酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が用いられる。
【0016】
また、前記ノボラック型フェノール樹脂(A)としては、ノボラック型フェノール樹脂の合成過程でフェノールと例えばエポキシ樹脂、トリアジン類等を任意の割合で反応させたいわゆる変性ノボラック型フェノール樹脂も用いることが出来る。これらで変性されたノボラック型フェノール樹脂をレゾール型フェノール樹脂製造の際の原料として用いると、本発明の手法で製造されたレゾール型フェノール樹脂に耐水性や、耐熱性を付与することも可能である。
【0017】
次いで、上記のノボラック型フェノール樹脂(A)を原料としたレゾール型フェノール樹脂の製造方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。フェノールモノマーや1〜3個のメチロール基がフェノール核に結合した1核体成分を含まないレゾール型フェノール樹脂の製造方法として、上記ノボラック型フェノール樹脂のみを原料として、アルデヒド類、アルカリ金属触媒、アルカリ土類金属の酸化物やアミン類、アンモニア、或いは酢酸亜鉛等を用いて反応させることによって得ることが出来る。これらの触媒は1種或いは2種類の併用で反応させても良い。更に触媒を中和する目的で、硫酸、塩酸、燐酸、パラトルエンスルホン酸等を用いても良い。
【0018】
前記レゾール型フェノール樹脂の製造を製造する際の、ノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類との比率はC−13NMRで測定される樹脂の結合モル比として、〔ノボラック型フェノール樹脂(A)〕/〔アルデヒド類〕が、未反応のノボラック型フェノール樹脂成分が残留せずに、硬化性など物性が好ましくなる点から1以上が好ましく、また、未反応ホルムアルデヒドが残留せずに、環境対策上好ましい点から4.0以下が好ましい。更に、〔ノボラック型フェノール樹脂(A)〕/〔アルデヒド類〕=1.0〜2.5(モル比)が特に好ましい。
【0019】
触媒として用いるアルカリ類やアルカリ金属類の量は、反応が円滑に進む点から、原料として用いるノボラック型フェノール樹脂、或いはノボラック型フェノール樹脂とフェノールの合計モル数に対し触媒0.01倍モル以上が好ましく、また、反応の制御が容易で、触媒による製品の貯蔵安定性の悪化が無い点、或いは、得られた樹脂が脆くならない点から1.0倍モル以下が好ましい。
【0020】
本発明のフィルター用樹脂組成物に用いるレゾール型フェノール樹脂を製造する方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。まず、原料ノボラック型フェノール樹脂を、フェノールと37重量%濃度のホルムアルデヒド水溶液の混合物に反応触媒として蓚酸を添加し、反応系内の温度を100℃とし、1〜5時間反応させた後、200℃迄常圧状態で蒸留を行い、更に、得られるノボラック型フェノール樹脂中の残留フェノール量が1.0重量以下、好ましくは0.1重量%以下となるように減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂(A)を得る。
【0021】
次いで、上記反応で得られたノボラック型フェノール樹脂(A)と37重量%濃度のホルムアルデヒド水溶液または92重量%パラホルムアルデヒドの混合物に触媒として48重量%濃度の水酸化ナトリウムを添加し、50〜80℃の温度で1〜5時間反応して、得られたレゾール型フェノール樹脂中の残留フェノール量が1.0重量以下、好ましくは0.1重量%以下のレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
【0022】
本発明で用いるレゾール型フェノール樹脂の形態としては次のものが使用可能である。1.レゾール型フェノール樹脂水溶液:上記の反応で得られたもの。2.レゾール型フェノール樹脂溶液:上記の反応で得られたにレゾール型フェノール樹脂から、水を除いた後、メタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類エーテル等の溶剤で溶解したレゾール型フェノール樹脂溶液。3.水分散型樹脂:ノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類とを、触媒存在下それぞれ反応させる際に、例えば、ポリビニルアルコールの様なフェノール樹脂の分散に適した分散剤を用いる製造した水分散型レゾール型フェノール樹脂。
【0023】
本発明のフィルター用樹脂組成物を含浸する際に用いられるフィルター用濾紙としては、各種のフィルター用紙が何れも用いられる。例えば、リンターパルプのファイバーを主体として必要に応じてレイヨン、ポリエステル等の化学繊維を加え、抄紙して通気度、坪量、厚み等を調整した一般用フィルター用濾紙等がある。
【0024】
得られた含浸液のフィルター用濾紙への含浸は、樹脂濃度5〜40重量%の含浸液を用い、浸積及び絞り操作により含浸される、いわゆるディップスクイーズ(Dip−squeeze)方式や、特定濃度の含浸液を用いてキスロールにより含浸される(Kiss−coat)方式等の従来公知の方法によって、フィルター用濾紙100重量部に対し樹脂固形分が15〜40重量部付着するように実施されるのが一般的である。
【0025】
樹脂含浸紙のB化乾燥は、通常の乾燥条件、例えば80〜180℃で1〜15分等で行われる。その後樹脂含浸紙はコルゲート付けをした後にまきとられ巻き取られる。この様にして得られたB化紙は、裁断やヒダ付け等の加工を施し、その後加熱硬化させる。C化行程の乾燥、加熱条件は特に限定されるものではないが、通常100〜200℃にて1〜30分で行われる。
【0026】
こうして得られたフィルター用樹脂含浸紙は、適当な長さに裁断され、フィルターエレメントとして組み立てられる。
【0027】
本発明は、残留フェノール量が1.0重量以下、好ましくは0.1重量%以下のレゾール型フェノール樹脂をフィルター用濾紙に含浸することであり、一般のレゾール型フェノール樹脂のように残留フェノール類やメチロール基が1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)が多い場合はB化及びC化での揮発性のフェノール類、或いはホルムアルデヒド類が多くなり、硬化炉内や排ガス用の煙突に揮発したフェノール類が付着し、さらには熱により樹脂化してしまう。また、付着することなく煙突から大気中に放出されると大気汚染の原因となり、排ガス処理設備が必要になることもある。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。例中「部」「%」と表示しているものはそれぞれ重量部、重量%を表す。また、数平均分子量とはGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)により、分子量既知のポリスチレンに換算した分子量を示す。残留フェノールの測定は、残留フェノール1%以上の場合はGPCで測定し、これ以下の場合はガスクロマトグラフィーでの測定に依った。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1
2リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計をセットしフェノール941gと37.2%ホルマリン40.3gを仕込み蓚酸2水和物8.82gを添加し、還流温度100℃に昇温し、更に37%ホルマリン202.7gを1時間かけて滴下した。還流温度で5時間反応した後、蒸留を開始し180℃迄昇温した。その後温度を220℃まで上げ50torr(6.65kPas)で減圧蒸留を1時間行い環球法(B&R法)の軟化点が45℃、ガスクロマトグラフィーで測定した残留フェノール量0.1%、GPCによる数平均分子量610、またC13−NMRで求めた結合モル比が0.75であるノボラック型フェノール樹脂(I)を得た。前記ノボラック型フェノール樹脂(I)をメタノールで固形分80%となるように希釈して供試した。上記で得られたノボラック型フェノール樹脂(I)のメタノール溶液131.3gと37%ホルマリン36.5gを良く混合し、これに48%濃度の水酸化ナトリウム2.1gを添加し、70℃迄昇温した。70℃で4時間反応した後、減圧にて水分を除去し、メタノールを加え樹脂濃度を50%に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(II)を得た。レゾール型フェノール樹脂溶液(II)は、粘度200mPa・s、150℃のゲルタイム80秒、GPCで測定した残留フェノールの含有量は検出限界以下であり、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定したフリーフェノールは0.01%であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、検出限界以下であった。(GPC)。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.20であった。得られた樹脂液をメタノールにて希釈し樹脂濃度20%の溶液としてデッピングにて濾紙(140g/m2)に含浸し、風乾後100℃×5分にて乾燥し、樹脂量35g/m2のB化紙を得た。このB化紙を150℃×15分の熱処理を行いC化紙とし、常態破裂強度と、180℃に加熱した自動車エンジンオイルに2時間浸積後の耐油破裂強度及び常態曲げ強度とを測定した。さらに、B化紙を150℃×15分の熱処理条件にて放置し、発生するガスを水に採取し、揮発するフェノール類、ホルムアルデヒド量を測定した。フェノール類は4−アミノアンチピリン吸光度法、ホルムアルデヒドはアセチルアセトン吸光度法にて定量を行った。なお、濾紙含浸された樹脂中に残留する1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)は、発生ガス中のフェノールとホルムアルデヒドとに合算されて検出された。(実施例2〜4、比較例1、2も同様)
【0030】
実施例2
実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂(I)のメタノール溶液131.3gと92%パラホルムアルデヒド14.7gを良く混合し、これに48%濃度の水酸化ナトリウム2.1gを添加し、70℃迄昇温した。70℃で4時間反応した後、メタノールを加え樹脂濃度を50%に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(III)を得た。レゾール型フェノール樹脂溶液(III)は、粘度220mPa・s、150℃のゲルタイム75秒、GPCで測定した残留フェノールの含有量は検出限界以下であり、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定したフリーフェノールは0.01%であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、検出限界以下であった。(GPC)。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.23であった。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様に含浸処理を行い、常態破裂強度、耐油破裂強度、曲げ強度の測定及び発生ガス量の分析を行った。
【0031】
実施例3
実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂(I)のメタノール溶液131.3gと92%パラホルムアルデヒド14.7gを良く混合し、これに25%濃度のアンモニア水3.15gを添加した後75℃に昇温した。75℃で5時間反応した後、メタノールを加え樹脂濃度を50%に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(IV)を得た。レゾール型フェノール樹脂溶液(IV)は、粘度80mPa・s、150℃のゲルタイム95秒、GPCで測定した残留フェノールの含有量は検出限界以下であり、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定したフリーフェノールは0.02%であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、検出限界以下であった。(GPC)。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.18であった。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様に含浸処理を行い、常態破裂強度、耐油破裂強度、曲げ強度の測定及び発生ガス量の分析を行った。
【0032】
実施例4
実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂(I)のメタノール溶液131.3gと92%パラホルムアルデヒド14.7gを良く混合し、これに48%濃度の水酸化カリウム2.1gを添加し、70℃迄昇温した。70℃で4時間反応した後、メタノールを加え樹脂濃度を50%に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(V)を得た。レゾール型フェノール樹脂溶液(V)は、粘度150mPa・s、150℃のゲルタイム90秒、GPCで測定した残留フェノールの含有量は検出限界以下であり、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定したフリーフェノールは0.02%であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、検出限界以下であった。(GPC)。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.20であった。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様に含浸処理を行い、常態破裂強度、耐油破裂強度、曲げ強度の測定及び発生ガス量の分析を行った。
【0033】
比較例1
2リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計をセットしフェノール750g,37%ホルマリン776g、48%水酸化ナトリウム4.1gを仕込み、80℃で3時間反応させた後、減圧脱水を行った。脱水後90℃まで昇温し、メタノール200gを加え還流温度で5時間反応させ、メタノールを加えて50%濃度に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(VI)を得た。レゾール型フェノール樹脂(VI)は、粘度95mPa・s、ゲルタイム85秒、フェノールモノマー含有量7%(樹脂固形分当たり14%)であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、11%であった。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.18であった。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様に含浸処理を行い、常態破裂強度、耐油破裂強度、曲げ強度の測定及び発生ガス量の分析を行った。
【0034】
比較例2
2リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計をセットしフェノール750,37%ホルマリン776g、25%アンモニア水12gを仕込み、80℃で5時間反応させた後、減圧脱水を行った。脱水後90℃まで昇温し、メタノール200gを加え還流温度で5時間反応させ、メタノールを加えて50%濃度に調整し、レゾール型フェノール樹脂溶液(VII)を得た。レゾール型フェノール樹脂(VII)は、粘度80mPa・s、ゲルタイム95秒、フェノールモノマー含有量8%(樹脂固形分当たり16%)であった。また、1〜3個フェノール核に結合したメチロール化フェノール類(1核体成分)の残留量は、12%であった。また、C−13NMRで測定したこの樹脂の結合モル比は1.15であった。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様に含浸処理を行い、常態破裂強度、耐油破裂強度、曲げ強度の測定及び発生ガス量の分析を行った。この結果を表1,表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
実施例1〜4の樹脂は、比較例1〜2と比較して、残留フェノールが極端に少ない。実質的なフィルターの性能を損なうことなく、B化及びC化時に発生するフェノール類、ホルムアルデヒドを大幅に低減できる。
【0038】
【本発明の効果】
本発明のフィルター用樹脂組成物によれば、従来、除去することが困難な残留フェノール成分が極端に少ないので、フィルターの製造工程のB化及びC化行程において問題となるフェノールモノマー、メチロール化フェノールなどの1核体成分やアルデヒド類の飛散がなく、作業環境の維持、或いは、排ガス処理などの煩雑な対応が不要となり、作業の合理化が図れるという利点がある。
Claims (4)
- 残留フェノール量が1重量%未満であるレゾール型フェノール樹脂を含有するフィルター用樹脂組成物であって、レゾール型フェノール樹脂が、アルデヒド類とフェノール類とを〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕=0.3〜0.6〔モル比〕となる割合で反応させて得られたノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類(B)とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とするフィルター用樹脂組成物。
- レゾール型フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂(A)とアルデヒド類(B)との結合のモル比が、〔(A)〕/〔(B)〕=1.0〜4.0となるように反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂である請求項1記載のフィルター用樹脂組成物。
- ノボラック型フェノール樹脂(A)の残留フェノール量が0.1重量%以下である請求項1または2記載のフィルター用樹脂組成物。
- ノボラック型フェノール樹脂(A)のGPCで測定した数平均分子量が500〜800である請求項3記載のフィルター用樹脂組成物。
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2002
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