JP3975552B2 - フェノール樹脂組成物及びフェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂組成物及びフェノール樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂組成物及びフェノール樹脂の製造方法に関し、特にエポキシ硬化剤として使用した場合に、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性等に優れる硬化物を与えることができるので、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材用として適し、さらに摩擦特性、誘電特性に優れるので、ヘキサメチレンテトラミンやエチレン性不飽和基を含む化合物を硬化剤として用いる摩擦材用途や成形材用途に適し、さらにレゾール樹脂と組み合わせることで低温打ち抜き加工性、難燃性に優れる硬化物を与えることができるので、紙基材積層板用として適するフェノール樹脂組成物及びフェノール樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その優れた電気特性ゆえに電気電子材料部品を中心に幅広く使用される。
【0003】
これら電気電子材料部品は、ガラスエポキシ積層板やIC封止材に代表されるように高い難燃性が求められるが、エポキシ樹脂単独では充分な効果が得られないため、このエポキシ樹脂にハロゲン系の難燃剤を多く併用しているのが現状である。
【0004】
ところが近年、ダイオキシンに代表されるような有機ハロゲン物質の毒性が大きな問題となっていることや、ICパッケージにおけるハロゲンの長期信頼性への悪影響などから、ハロゲンの使用量を低減するか、ハロゲンに代替できる他の化合物を使用した難燃剤、あるいは他の難燃処方が強く求められている。
【0005】
そこで、例えばリン系化合物などの難燃剤を添加する方法などが考案されているが、この方法によると難燃性は改善されるが、耐熱性、耐湿性などの樹脂の基本的な物性を損なうという欠点を有している。
【0006】
この欠点を解消するため、特開平8−311142号公報には、エポキシ樹脂硬化剤としてトリアジン環を有する化合物で変性されたフェノール組成物を硬化剤として使用することが提案されている。
【0007】
しかしこの化合物を硬化剤とした場合、フェノールとトリアジン化合物との結合が充分ではないため、得られる硬化物は難燃効果は示すものの、耐熱性や耐湿性などの特性が未だ不十分であり、上述した問題を解決するものではない。
【0008】
また、従来ヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として用いる摩擦材用熱硬化性樹脂組成物においても、いわゆる「鳴き」の問題があり、上記の技術を用いてもこの問題は依然として解決されていない。
【0009】
さらに、紙基材積層板に使用した場合難燃効果は示すものの、低温打ち抜き加工性が不十分であるという問題を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として使用した場合には、ハロゲンを使用しなくとも難燃性が改善され、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性に優れる硬化物を与えることができ、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材用として適し、ヘキサメチレンテトラミンやエチレン性不飽和基を含む化合物を硬化剤として用いた場合、摩擦特性、誘電特性に優れ、摩擦材用途や成形材用途として適し、さらにレゾール樹脂と組み合わせることで低温打ち抜き加工性、難燃性に優れる硬化物を与えることができ、紙基材積層板用として適するフェノール樹脂組成物及びフェノール樹脂の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、フェノール類とトリアジン類との結合比率が特定の割合のノボラック樹脂を含有するフェノール樹脂組成物が上記課題を解決することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック樹脂を含んでなるフェノール樹脂組成物であって、該ノボラック樹脂が、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との縮合物(a)、トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)、フェノール類(d)及びトリアジン類(e)の混合物からなり、且つ該縮合物(a)及び該縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれていることを特徴とするフェノール樹脂組成物を提供するものであり、
(−X−NH−CH 2 −NH−) (1)
(−X−NH−CH 2 −Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
更に、本発明は、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との混合物を、系のpHを5〜10に調整する工程(i)、アルデヒド類が揮散しない条件下で該混合物を反応させる工程(ii)及び系内の反応水を除去する工程(iii)を含み、第1段反応として工程(i)工程(ii)及び工程(iii)を順次実施し、次いで第2段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第1段反応より高い温度下に順次実施し、第3段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第2段反応より高い温度下に実施し、更に必要に応じて第2段反応と第3段反応を繰り返し実施することにより、分子中のジメチレンエーテル結合をメチレン結合に変換することを特徴とするフェノール樹脂の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール樹脂組成物を得るための前記フェノール類としては、特に限定されるものではなく、たとえばフェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノールなどが挙げられる。またこれらのフェノール類は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能である。
【0014】
さらに本発明のフェノール樹脂組成物に用いるトリアジン環を含む化合物としては、特に限定されるものではなく、トリアジン環を有すれば構造の如何を問わないが、メラミン、アセトグアナミン又はベンゾグアナミンが好ましい。
【0015】
これらのトリアジン環を含む化合物を使用するにあたっては、1種類のみに限定されるものではなく、2種以上を併用することも可能である。
本発明のフェノール樹脂組成物を得るためのアルデヒド類は、特に限定されるものではないが、取扱いの容易さの点からホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドとしては、限定するものではないが、代表的な供給源としてホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0016】
本発明におけるノボラック樹脂とは、メチロール基を実質的に含まない樹脂をいい、未反応アルデヒドを含まないことを特徴とするものである。
メチロール基を実質的に含まず、未反応アルデヒドを含まないことによりエポキシ樹脂用硬化剤として使用した場合、エポキシ樹脂との配合安定性が極めて良くなるという効果を有する。
【0017】
また本発明のノボラック樹脂に含まれる未反応一官能性フェノール単量体の量は特に制限されるものではないが、3重量%以下であることが好ましい。未反応一官能性フェノール単量体を3重量%以下にすることによりエポキシ樹脂との配合安定性が向上し、得られるエポキシ樹脂硬化物の耐熱性、耐湿性が良くなるという効果がある。
【0018】
ここでいう未反応一官能性フェノール単量体とは、1分子中にエポキシ基と反応し得るフェノール性の水酸基を1つだけ含むフェノール単量体を意味する。
また本発明のフェノール樹脂組成物は、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック樹脂を含んでいるが、該ノボラック樹脂のうち、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との縮合物(a)、トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bとが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれていることを特徴とするものである。
【0019】
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
このうちB/A≧3であることがより好ましい。B/A<1.5であると、エポキシ樹脂との相溶性やヘキサメチレンテトラミンなどとの反応性が悪くなり、耐熱性や摩擦特性が低下する。
【0020】
本発明で規定する構成単位Aと構成単位Bとのモル比率は、核磁気共鳴スペクトル(以下13C−NMRという)のチャートから求めることができる。すなわち測定溶媒としてジメチルスルフォキシド(以下DMSOという)や重アセトンを用い、基準物質としてテトラメチルシランを用い、常法の測定条件にしたがって測定すると、構成単位Bのピークは13C−NMRチャートの42.5〜45ppmに現れ、構成単位Aのピークは47〜48.5ppmに現れることがわかっており、両者のピーク積分値の比率を算出することにより構成単位Aと構成単位Bとのモル比率を求めることができる。
【0021】
また、本発明のトリアジン類変性ノボラック樹脂は、縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率は、特に制限ないが、全トリアジン類の30%以上であることが好ましい。ここで30%以下では耐熱性や耐湿性が低下する。
【0022】
トリアジン類のモル比率は上記構成単位A及び構成単位Bと同様、13C−NMRのチャートから求めることができる。すなわちチャートの167.2〜167.4ppmに現れるシャープなピークは未反応のトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTmとし、163〜167.2ppmに現れるブロードなピークはホルムアルデヒドと反応したトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTrとすると、前期縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類の全トリアジン類中に占めるモル比率は下記式(4)で表すことができる。
Figure 0003975552
このモル比率の値を以下「トリアジン類の反応率」という。
【0023】
次に本発明のトリアジン変性ノボラック樹脂を得るための代表的な製造方法について以下に説明する。
すなわちフェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との混合物を、系のpHを5〜10に調整する工程(i)、アルデヒド類が揮散しない条件下で該混合物を反応させる工程(ii)及び系内の反応水を除去する工程(iii)を含み、第1段反応として工程(i)工程(ii)及び工程(iii)を順次実施し、次いで第2段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第1段反応より高い温度下に順次実施し、第3段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第2段反応より高い温度下に実施するものである。
【0024】
まず、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との混合物を、系のpHを5〜10に調整する工程(i)、アルデヒド類が揮散しない条件下で該混合物を反応させる工程(ii)及び系内の反応水を除去する工程(iii)について、説明する。
【0025】
工程(i)は、前記したフェノール類とアルデヒド類とトリアジン類とを混合し、系のpHを5〜10、好ましくはpH7〜9に調整する工程である。pHは、上記範囲内に調整できれば、触媒の使用は特に必要ないが、適宜塩基性化合物又は弱酸性化合物からなる触媒を系内に加えることができる。
【0026】
触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、およびこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等の塩基性触媒、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸マンガン等の弱酸性の触媒を挙げられる。これらの触媒のうち、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を使用するのがより好ましい。
【0027】
各原料の反応順序も特に制限はなく、フェノール類とアルデヒド類に後からトリアジン類を加えても、フェノール類とトリアジン類にフェノール類を加えてもよいが、本願発明の効果を達成するためにはフェノール類、アルデヒド類及びトリアジン類を同時に加えて反応させるのが好ましい。この時、フェノール類とトリアジン類に対するアルデヒド類のモル比は特に限定されるものではないが、1:0.2〜0.9が好ましく、1:0.4〜0.7がより好ましい。またフェノール類に対するトリアジン類との重量比は特に制限するものではないが、10〜98:90〜2が好ましく、30〜95:70〜5がより好ましい。フェノール類の重量比が10重量%以下では樹脂化することが困難となり、98重量%以上では充分な難燃効果を得ることができなくなるので、好ましくない。
【0028】
工程(ii)は、上記pHの条件下で且つ上記触媒の存在下でアルデヒドを揮散させないようにして上記混合物を反応させる工程である。アルデヒドを揮散させない条件とは系内の揮発分を系中へ戻すような還流条件をいい、系中の低沸点物の沸点付近で反応させる場合をいう。アルデヒドをすべて反応させることにより仕込みモル比で設計した樹脂が再現性よく安定して得られる。
【0029】
またこの反応の際、反応制御の面から各種溶媒の存在下で反応を行うこともできる。
溶媒としては、特に限定されないが、例えばアセトン、MEK、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらの溶剤は、単独または適宜に2種以上の混合溶剤として使用することができる。
【0030】
その後必要に応じて、水洗して触媒残や不純物を除去する。
工程(iii)は、系内の反応水及び溶媒等を常圧蒸留等の常法にしたがって除去する工程である。反応水等を除去するには、この工程(iii)の系内の温度を徐々に120℃以上まで加熱することが好ましい。
【0031】
本発明は、第1段反応として、以上の工程(i)工程(ii)及び工程(iii)を順次実施し、次いで第2段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第1段反応より高い温度下に順次実施し、第3段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第2段反応より高い温度下に実施するものである。
【0032】
すなわち系内のアルデヒド類を揮散させないようにして反応させ、その後系内の反応水及び溶媒等を常圧蒸留等の常法にしたがって除去し、その後再度系内のアルデヒド類を揮散させないようにして反応させ、その後系内の反応水及び溶媒等を常圧蒸留等の常法にしたがって除去することを前段より温度を上げて2回以上繰り返す。
【0033】
第3段反応の工程(iii)では、150℃以上、好ましくは170℃以上で真空下で蒸留を行うことにより反応水等を除去する。この際水とともに未反応のホルムアルデヒド、未反応のフェノール類モノマーも除去することができる。
【0034】
さらに必要に応じて工程(ii)及び工程(iii)を再び繰り返すこともできる。
第2段、第3段反応により、メチロール基同士の縮合によって生じたジメチレンエーテル結合をメチレン結合に変換することができ、本発明のノボラック樹脂の特徴であるフェノール類とトリアジン類との結合比率を得ることができるだけでなく、樹脂の分子量を適切に制御することができる。本発明は、工程(ii)及び工程(iii)を第2段反応及び第3段反応で繰り返し、さらに必要に応じて繰り返すが、繰り返し数としては、2〜3回が好ましく、第1段反応から第3段反応又は第4段反応まで実施するのが望ましい。
【0035】
本発明のフェノール樹脂組成物は、エポキシ樹脂用硬化剤として使用することができる。
この場合のエポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エステル型エポキシ樹脂、脂肪族エステル型エポキシ樹脂、エーテルエステル型エポキシ樹脂、およびエポキシ化大豆油の如き非グリシジル系エポキシ樹脂およびこれらの臭素あるいは塩素等のハロゲン置換体等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を単独又は数種類混合して使用しても何等差し支えない。この際のエポキシ樹脂組成物に用いる溶剤としては、特に限定されず、上記の各種溶剤を挙げることができる。さらに必要に応じて種々の添加剤、難燃剤、充填剤等を適宜配合することができる。
【0036】
エポキシ樹脂と本発明のフェノール樹脂組成物との混合割合は、特に限定されるものではないが、エポキシ基1当量に対してフェノール樹脂組成物のフェノール性水酸基当量が0.5〜2.0当量が好ましく、0.9〜1.4当量がより好ましい。
【0037】
また、エポキシ樹脂を硬化させるに際して、必要に応じて、一般にエポキシ化合物の硬化に用いられている種々の硬化促進剤を使用することができる。この硬化促進剤としては、例えばイミダゾールおよびその誘導体、ホスフィン化合物、アミン類、BF3アミン化合物などが例示される。
【0038】
また本発明のフェノール樹脂組成物は、硬化剤を配合して、摩擦材や成形材等に使用することができる。硬化剤としては、特に限定されるものではなく、たとえばヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド等の加熱によりホルムアルデヒドを発生する物質や、ビスアリルナジックイミド、ビスマレイミド、ジアクリレート等のエチレン性不飽和基を2個以上含む化合物が挙げられる。これらのうち、ヘキサメチレンテトラミンあるいはビスマレイミドが好ましい。またこれらの硬化剤に必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては、上記したような一般にエポキシ化合物の硬化に用いられている種々のものの使用が可能である。
【0039】
本発明のフェノール樹脂組成物を摩擦材用結合剤として使用した摩擦材は、常法にしたがい、このフェノール樹脂組成物に繊維基材と硬化剤とを加え、熱硬化させることにより得ることができる。この際繊維基材としては、例えばガラス繊維、セラミック繊維、石綿繊維、炭素繊維、ステンレス繊維のような無機繊維、綿、麻のような天然繊維、ポリエステル、ポリアミドのような合成有機繊維等が挙げられる。これらの繊維を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、性能、価格等を考慮すると、ガラス繊維を主にしたものが好ましい。繊維基材の形状に関しても、何ら限定するものではなく、短繊維、長繊維、ヤーン、マット、シート等、どのようなものでもよい。また硬化剤としては、上記に記載したものを用いることができる。
【0040】
この組成物の熱硬化の条件は特に制限されるものではなく、通常のフェノール樹脂を硬化させる条件で硬化せしめることが可能である。すなわち通常樹脂成分が軟化する温度の120℃以上200℃以下の温度で行う。成形不良を起こさないためには、130〜180℃の範囲で行うのが好ましい。さらに耐熱性に優れた摩擦材を得るためには、成形後、焼成することが好ましい。
【0041】
本発明のフェノール樹脂組成物を摩擦材として使用する際に、充填剤、添加剤等をさらに添加することができる。充填剤、添加剤としては、一般的に知られているものを使用でき、例えばシリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、カシュー油重合物、二硫化モリブデン、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、黒鉛、グラファイト、ゴム粒、アルミニューム粉、銅粉、真ちゅう粉等が挙げられる。これらの充填剤等は単独でも、2種類以上混合して使用してもよい。またこれらの使用量も用途、要求性能によって調整されるべきものである。
【0042】
また本発明のフェノール樹脂組成物は、レゾール樹脂を加え、紙基材積層板用の結合剤として使用することができる。この場合のレゾール樹脂としては、メチロール基を含む熱硬化性樹脂であり、たとえばフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、レゾルシン等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で反応させて得られる低分子量縮合樹脂である。またこれらのフェノール類を桐油、脱水ひまし油、亜麻仁油、トール油などの乾性油で変性したフェノール類を使用した乾性油変性樹脂であってもよい。さらにはメラミン、グアナミン等とホルムアルデヒド等のアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で反応させて得られる低分子量縮合樹脂であり、それらのメチロール基の一部又は全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものであってもよい。これらの樹脂は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能であるが、含浸性、打ち抜き特性を両立させる点から、低分子量縮合樹脂と乾性油変性レゾール樹脂を併用するのが好ましい。
【0043】
ここで塩基性触媒としては、上記のアンモニア、アミン系触媒、又は金属水酸化物等が用いられる。
本発明のフェノール樹脂組成物とレゾール樹脂との混合割合は、特に限定されるものではないが、固形分重量比がフェノール樹脂組成物:レゾール樹脂=5〜50:100の比率で配合されることが好ましい。
【0044】
紙基材積層板に用いる場合、必要に応じて他の熱硬化性樹脂を使用することができる。
他の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化アクリル樹脂等が挙げられるが、打ち抜き加工性の点等からエポキシ樹脂が好ましい。
【0045】
さらに必要に応じて種々の添加剤、難燃剤、充填剤等を適宜配合することが出来る。
紙基材積層板は、以上のようにして得られる樹脂組成物を必要に応じて有機溶剤に溶解してワニスとした後、クラフト紙、リンター紙、ガラス布、ガラス不織布、ポリエステル布、アラミド繊維布、帆布等の紙基材に塗布含浸し、乾燥して得られる積層材料を積層成形することにより得られる。
【0046】
この時、フェノール樹脂組成物とレゾール樹脂を塗布含浸する配合手順、配合割合は特に限定するものではないが、二段階に含浸する方式でフェノール樹脂を塗布含浸し、第1段目の含浸用樹脂として低分子量レゾール樹脂を使用し、第2段目の含浸用樹脂として乾性油変性レゾール樹脂と本発明のフェノール樹脂組成物とを用いるのが好ましい。
【0047】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に詳細に説明する。
実施例1
フェノール94部、ベンゾグアナミン12部に41.5%ホルマリン45部、およびトリエチルアミン0.4部を加え、系のpHを8.2に調整し、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃にて5時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら120℃まで2時間かけて昇温した。次に還流下にて3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点111℃のフェノール樹脂組成物を得た。
【0048】
以下この組成物を「N1」と略記する。
得られた組成物中のフェノール類とトリアジン類との重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位A、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率は次のように求めた。
<フェノールとトリアジン類(ベンゾグアナミン)の重量比率>
上記記載の180℃、減圧下にて反応系外に除去した流出物中のフェノール含量をガスクロマトグラフィから算出し、仕込みのフェノール部数から引いて樹脂組成物中のフェノール存在量とした。ベンゾグアナミンは仕込み量がそのまま組成物中に含まれることとした。両者の比率を存在比とした。
カラム:30%セライト545カルナバワックス2m×3mmΦ
カラム温度:170℃
注入口温度:230℃
検出器:FID
キャリアガス:N2ガス 1.0kg/cm2
測定法:内部標準法
<未反応ホルムアルデヒド量>
蒸留水50gに細かく粉砕した組成物N1約5gを加え、室温で24時間保持した。pH計にセットし、N/10塩酸水溶液を加えてpH=4.0に調整した。これにpH=4.0に調整した7%ヒドロキシルアミン水溶液50mlを加え、アルミ箔等で密封して30分放置した。その後pH計にセットし、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH=4.0に中和するまで滴定する。次式により遊離ホルムアルデヒド量を決定した。
【0049】
Figure 0003975552
S:サンプル量(g)
F:1N水酸化ナトリウムのファクター
T:1N水酸化ナトリウムの滴下量(ml)
<メチロール基の存在の有無>
13C−NMRを用いて樹脂組成物N1中に存在するメチロール基を測定した。
装置:日本電子(株)製 GSX270
プロトン:270MHZ
測定溶媒:DMSOあるいは重アセトン
基準物質:テトラメチルシラン
測定条件
パルス条件:45゜×10000times
パルス間隔:2秒
得られたチャートの60〜70ppmにピークが現れ、ノイズと明確に区別され得るピークを用いて判定した。ピークが認められた場合を「有」、認められない場合を「無」とした。
<構成単位A、構成単位Bのモル比率>
メチロール基測定と同一条件で測定した13C−NMRチャートを用いて算出した。
【0050】
チャートの42.5〜45ppmに現れるピークの積分値をBp、47〜48.5ppmに現れるピークの積分値をApとし、次式によりモル比率を求めた。構成単位B/構成単位A=Bp/Ap
<未反応フェノールモノマー量>
先に示したガスクロマトグラフィと同様の測定条件において流出物中のフェノールモノマー含量を測定した。
<トリアジン類反応率>
上記メチロール基を測定したのと同一条件で測定した13C−NMRチャートを用いて算出した。チャートの167.2〜167.4ppmに現れるシャープなピークの積分値をTm、163〜167.2ppmに現れるブロードなピークのピーク積分値をTrとし、次式により反応率を求めた。
【0051】
Figure 0003975552
このようにして求められた各成分量の結果は表1にまとめて記した。
【0052】
実施例2
フェノール94部、メラミン18部に41.5%ホルマリン45部、およびトリエチルアミン0.4部を加え、系のpHを8.2に調整し、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃にて5時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら120℃まで2時間かけて昇温した。次に還流下にて3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら140℃まで2時間かけて昇温した。還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点128℃のフェノール樹脂組成物を得た。フェノールとメラミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位A、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を、実施例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0053】
以下この組成物を「N2」と略記する。
実施例3
フェノール94部、ベンゾグアナミン70部、41.5%ホルマリン47部、トリエチルアミン0.5部を加え、系のpHを7.8に調整し、80℃にて3時間反応させた。次に常圧下にて水を除去しながら120℃まで昇温し、温度を保持したまま2時間反応させた。常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに温度を保持したまま2時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温し、次いで減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点135℃のフェノール樹脂組成物を得た。フェノールとベンゾグアナミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を、実施例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0054】
以下この組成物を「N3」と略記する。
実施例4
フェノール94部、メラミン9部に41.5%ホルマリン45部、およびトリエチルアミン0.4部を加え、系のpHを8.2に調整し、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃にて5時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら120℃まで2時間かけて昇温した。次に還流下にて3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら140℃まで2時間かけて昇温した。還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点120℃のフェノール樹脂組成物を得た。フェノールとメラミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位A、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を、実施例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0055】
以下この組成物を「N4」と略記する。
比較例1
フェノール94部、ベンゾグアナミン12部、41.5%ホルマリン45部、48%水酸化ナトリウム0.6部を加え、系のpHを8.2に調整し、100℃にて2時間反応させた。次に常圧下にて水を除去しながら180℃まで昇温し、減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点118℃のフェノール樹脂組成物を得た。フェノールとベンゾグアナミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を実施例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0056】
以下この組成物を「N5」と略記する。
比較例2
フェノール94部、ベンゾグアナミン12部、41.5%ホルマリン50部、蓚酸0.3部を加え、系のpHを5.4に調整し、100℃にて2時間反応させた。次に常圧下にて水を除去しながら180℃まで昇温し、減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点102℃のフェノール樹脂組成物を得た。フェノールとベンゾグアナミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を実施例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0057】
以下この組成物を「N6」と略記する。
【0058】
【表1】
Figure 0003975552
実施例5〜7および比較例3〜4
EPICLON 850[エポキシ樹脂 エポキシ当量190 大日本インキ化学工業(株)製]100部に対して、硬化剤としてN1、N2、N4、N5、及びN6の化合物、硬化促進剤として2−エチル4−メチルイミダゾール(以下、2E4MZと略記する。)を加えて各々表2に示した割合にて配合した。この時、予め硬化剤樹脂に促進剤を加え、170℃に保持して溶融させた。同様に加熱しておいたエポキシ樹脂を加え、良く撹拌した後、3mm厚のガラス製型に流し込み、180℃で2時間加熱硬化させて注型板を得た。
【0059】
注型板について各物性試験を行ったところ、表2に示されるような結果が得られた。
【0060】
【表2】
Figure 0003975552
【0061】
*1:消炎性試験
幅12.7mmの試験片を垂直に立て、10秒間炎にさらした後、自己消火するまでの時間。また、2分以上燃焼が継続するか、下端から5cmまで燃焼した場合には「燃焼」とした。
【0062】
実施例8および比較例5〜6
N2、N5、及びN6のフェノール樹脂組成物100部にヘキサメチレンテトラミン10部を混合粉砕して粉末状の硬化性樹脂組成物を得た。この組成物の15部に対して、ガラス繊維(チョップドストランド)55部、アラミド繊維5部、カシュー油重合物8部、グラファイト7部、硫酸バリウム5部、炭酸カルシウム5部を混合機にて混合して、摩擦材用熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0063】
応用例1および比較応用例1〜2
上記実施例8と比較例5〜6にて得られた摩擦材用熱硬化性樹脂組成物を周知一般の方法の通り、160℃の金型にいれてプレス機を用いて圧縮成形加工し、成形物を得た。金型より抜型したものを、その後200℃にて2時間加熱後焼成を行い成形物を得た。この成形物を所定の大きさに切り出して摩擦性能試験(JIS D−4411)を行い、比較評価した。結果をまとめて表3に示す。
【0064】
尚、摩耗率の単位は、10−7cm/kg・mである。
【0065】
【表3】
Figure 0003975552
【0066】
実施例9および比較例7〜8
N3、N5、及びN6の化合物にトリフェニルフォスフィンを加え、200℃で溶融し、そこへエチレン性不飽和基を含むイミド化合物を表4に示した割合にしたがって加えて溶融混合し、良く攪拌した後、3mm厚のガラス製型に流し込み、180℃で2時間、さらに200℃で2時間加熱硬化させて注形板を得た。各物性試験を行ったところ、表4に示されるような結果が得られた。
【0067】
【表4】
Figure 0003975552
【0068】
応用例2および比較応用例3〜4
EPICLON 850 100部に対して、硬化剤としてN2、N5及びN6を表5に示した割合にて配合した。この時、EPICLON 850及び硬化剤は予めそれぞれ重量比でメチルエチルケトン/ジメチルホルアミド=50/50の混合溶剤に溶解させてから使用した。次いで各々に硬化促進剤として2E4MZ0.2部を加えて、さらに溶液の不揮発分をメチルエチルケトンにて55%に調整し、応用例2および比較応用例3〜4の混合溶液を調整した。
【0069】
しかるのち、各々の混合用液をガラスクロスに含浸させ、160℃で3分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね、その両面に35μmの銅箔を重ね、170℃、圧40kgf/cmにて1時間加熱加圧成型して厚さ1.5mmの両面銅張積層板を作製した。
【0070】
次いで、積層板は、エッチング処理を施し、銅箔除去した後、各物性試験を行った処、表5に示されるような結果が得られた。
*1:昇温スピード 3℃/min
*2:プレシャークッカーテスト(PCT)は、120℃水蒸気下中で、所定時間試験片を処理した。
*3:耐半田性試験は、PCT処理後260℃の半田浴に20sec浸漬して評価を行った。
【0071】
評価は、その試験片の外観、特にミーズリングの有無を目視判定により行った。
○:全く異常なし △:わずかにミーズリング発生 ×:ミーズリング有り
【0072】
【表5】
Figure 0003975552
【0073】
[応用合成例1](レゾール樹脂の合成例)
フェノール94部、41.5%ホルマリン87部、トリメチルアミン1.9部を加え60℃にて2時間反応させた。次に減圧下にて水を除去し、メタノール/水=70/30の混合溶剤で希釈して樹脂分50%の低分子量レゾール樹脂ワニスを得た。
【0074】
以下この樹脂ワニスを「W1」と略記する。
[応用合成例2](レゾール樹脂の合成例)
フェノール94部、桐油60部、パラトルエンスルホン酸0.5部を加え80℃にて3時間反応させた。次にトルエン60部とトリエタノールアミン2gを加えて希釈、中和後、パラホルムアルデヒド40部、25%アンモニア水2.4部を加え90℃で4時間反応させた。これに臭素化エポキシ樹脂[EPICLON153 大日本インキ化学工業(株)製]12部、トリフェニルホスフェート12部を加えた後、メタノール/トルエン=50/50の混合溶剤で希釈して樹脂分50%の桐油変性樹脂ワニスを得た。
【0075】
以下この樹脂ワニスを「W2」と略記する。
応用例3および比較応用例5〜6
表6に示した割合にしたがって、W1、W2およびN2、N5、及びN6を混合溶解して均一な溶液とした後、135g/m2のクラフト紙に塗布含浸し、乾燥して樹脂含量が52〜55%のプリプレグを得た。これを8枚積層し、160℃、80kg/cm2で60分間熱圧成形し、厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0076】
これらの積層板について得られた諸特性を表6に示した。
試験方法は、吸水率、絶縁抵抗はJIS C6481に準じて行い、打ち抜き加工性はASTM D−617による。
【0077】
【表6】
Figure 0003975552
【0078】
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂組成物は、エポキシ樹脂硬化剤として使用した場合に、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性に優れる硬化物を与えることができ、ハロゲンを使用しなくとも難燃性の改善され、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材に用いることができる。さらに摩擦特性、誘電特性に優れるので摩擦材や成形材に用いることができる。また、難燃性、低温打ち抜き加工性に優れるので紙基材積層板に用いることができる。

Claims (13)

  1. フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類とからなるトリアジン類変性ノボラック樹脂を含んでなるフェノール樹脂組成物であって、該ノボラック樹脂が、フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との縮合物(a)、トリアジン類とアルデヒド類との縮合物(b)、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(c)、フェノール類(d)及びトリアジン類(e)の混合物からなり、且つ該縮合物(a)及び該縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれていることを特徴とするフェノール樹脂組成物。
    (−X−NH−CH 2 −NH−) (1)
    (−X−NH−CH 2 −Y−) (2)
    (式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
    B/A≧1.5 (3)
  2. 前記縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率が、全トリアジン類の30%以上である請求項1記載のフェノール樹脂組成物。
  3. トリアジン類が、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載のフェノール樹脂組成物。
  4. 前記フェノール樹脂組成物が、さらに硬化剤を含んでなる請求項1〜3のいずれか1項記載のフェノール樹脂組成物。
  5. 硬化剤が、ヘキサメチレンテトラミンである請求項4記載のフェノール樹脂組成物。
  6. 硬化剤が、分子中に少なくともエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物である請求項4記載のフェノール樹脂組成物。
  7. 分子中に少なくともエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物がビスマレイミドである請求項6記載のフェノール樹脂組成物。
  8. 前記フェノール樹脂組成物が、さらにレゾール樹脂を含んでなる請求項1〜7のいずれか1項記載のフェノール樹脂組成物。
  9. 請求項1記載のフェノール樹脂組成物を主成分としてなるエポキシ樹脂用硬化剤。
  10. 請求項1記載のフェノール樹脂組成物を主成分としてなる摩擦材用結合剤。
  11. 請求項1記載のフェノール樹脂組成物を主成分としてなる紙基材積層板用結合剤。
  12. フェノール類とトリアジン類とアルデヒド類との混合物を、系のpHを5〜10に調整する工程(i)、アルデヒド類が揮散しない条件下で該混合物を反応させる工程(ii)及び系内の反応水を除去する工程(iii)を含み、第1段反応として工程(i)工程(ii)及び工程(iii)を順次実施し、次いで第2段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第1段反応より高い温度下に順次実施し、第3段反応として工程(ii)及び工程(iii)を第2段反応より高い温度下に実施し、更に必要に応じて第2段反応と第3段反応を繰り返し実施することにより、分子中のジメチレンエーテル結合をメチレン結合に変換することを特徴とするフェノール樹脂の製造方法。
  13. フェノール類及びトリアジン類とアルデヒド類とのモル比が、1:0.2〜0.9である請求項12記載のフェノール樹脂の製造方法。
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