JP2013170171A - 熱硬化性樹脂組成物及び摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性と強度に優れる硬化物が得られ、耐火煉瓦を得るための結合剤や摩擦材を得るための含侵用組成物として有用な熱硬化性樹脂組成物と、これを用いた摩擦材を提供する。
【解決手段】 フェノール樹脂(A)とリン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、ホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、前記熱硬化性樹脂組成物を繊維状基材に含侵してなることを特徴とする摩擦材。
【選択図】なし
【解決手段】 フェノール樹脂(A)とリン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、ホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、前記熱硬化性樹脂組成物を繊維状基材に含侵してなることを特徴とする摩擦材。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性と強度に優れる硬化物が得られ、耐火煉瓦を得るための結合剤や摩擦材を得るための含侵用樹脂などとして好適に使用できる熱硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、自動車、産業機械等に使用されるブレーキやクラッチ用摩擦材、自動変速機などで油中に浸漬した状態で使用される湿式クラッチなどの摩擦材用樹脂組成物に好適な熱硬化性樹脂組成物及びこれを繊維状基材に含浸、硬化した摩擦材に関する。
熱硬化性樹脂の一種であるフェノール樹脂を含む組成物は、耐熱性や機械的強度に優れる硬化物が得られることから従来より、耐火煉瓦の結合剤や自動車用の摩擦材を得るための含侵用樹脂として使用されてきた。摩擦材の例として、湿式摩擦材が挙げられる。湿式摩擦材は油中で使用される摩擦材であり、オートマチック車のクラッチディスクなどに使用される。この湿式摩擦材は、例えば、パルプ、アラミド等の繊維状基材、摩擦調整剤としての添加剤の混合物等を抄造工程により抄造体とした後、フェノール樹脂を含む組成物を結合剤として含浸、熱硬化して製造されている。この様な摩擦材は環境負荷軽減の為、自動車の軽量化を目指し、摩擦材枚数の減少、摩擦面積の減少等が要求されて来た。この為、基材として使用される繊維状物を耐熱性や機械的強度の高いものへ変更することが検討されており、これに伴い結合剤であるフェノール樹脂もより高い耐熱性と強度を有する硬化物が得られる組成物が求められている。
耐熱性に優れる熱硬化性樹脂組成物として、例えば、フェノール樹脂とリン原子に直接結合するホスフィン化合物とを有する組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、レゾール型フェノール樹脂100質量部に対してリン原子に直接結合するホスフィン化合物として9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドを5質量部含む熱硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、室温から加熱を初め、硬化物の温度が500℃に達するまでには硬化物の50%以上が分解されるなど耐熱性が十分ではない。
本発明の課題は、耐熱性と強度に優れる硬化物が得られ、耐火煉瓦を得るための結合剤や摩擦材を得るための含侵用組成物として有用な熱硬化性樹脂組成物と、これを用いた摩擦材を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、前記特許文献1においてリン原子に直接結合するホスフィン化合物をフェノール樹脂に対して、特許文献1で用いられている以上に大量に使用した組成物を用いることにより、耐熱性に優れ強度の強い硬化物が得られること、該組成物は特に摩擦材用途に好適に用いることができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、フェノール樹脂(A)とリン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、ホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物を繊維状基材に含侵してなることを特徴とする摩擦材を提供するものである。
本発明によれば、耐熱性、耐久性に優れる硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供できる。この組成物は、特に、摩擦材を得るための含侵用樹脂組成物として好適に使用することができる。
本発明に用いるフェノール樹脂(A)は、ノボラック型フェノール樹脂或いはレゾール型フェノール樹脂の何れもが使用でき、特に限定されない。ノボラック型フェノール樹脂としては、〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕が、モル比で0.3〜1.0となる範囲で反応させて得られる樹脂が好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂としては、〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕が、モル比で1.0〜2.5となる範囲で反応させて得られる樹脂が好ましい。
本発明に用いるフェノール樹脂(A)は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを、酸或いはアルカリを触媒として仕込み、40〜150℃で1〜5時間反応させる。次いで、常圧脱水、又は減圧脱水工程を経て、残留した水分を反応系内から除去する。この除去操作に於いて、残留する水分の含有量は特に限定されない。その後、反応系内にある縮合物をメタノール等の溶剤に溶解することにより得られる。
原料として使用するフェノール類としては、特に限定されるものではなく、たとえばフェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノールなどのアルキルフェノール類;レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、チオビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールフルオレン等のビスフェノール類;ハロゲン化フェノール、フェニルフェノール、アミノフェノール等が挙げられる。またこれらのフェノール類は、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能である。
本発明に用いるフェノール樹脂(A)は、フェノール類としてフェノールとビスフェノール類とを併用し、フェノール骨格とビスフェノール骨格を有するフェノール樹脂が、本発明の熱硬化性樹脂組成物を摩擦材用途に使用した時に、摩耗量が少ない摩擦材が得られることから好ましい。中でも、フェノール類としてフェノールを用い、且つ、ビスフェノール類としてビスフェノールAを併用して得られるフェノール樹脂が好ましい。
前記フェノール骨格とビスフェノール骨格を有するフェノール樹脂としては、例えば、以下の方法で得られるフェノール樹脂等が挙げられる。
ビスフェノールと、後述するアルデヒド類とフェノールを必須の構成成分として得られたノボラック型フェノール樹脂とを反応して得られるフェノール樹脂(1)。
フェノールと、後述するアルデヒド類とビスフェノールを必須の構成成分として得られたノボラック型フェノール樹脂とを反応して得られるフェノール樹脂(2)。
フェノールと、後述するアルデヒド類とビスフェノールを必須の構成成分として得られたノボラック型フェノール樹脂とを反応して得られるフェノール樹脂(2)。
前記フェノール骨格とビスフェノール骨格を有するフェノール樹脂の中でも、ビスフェノールとフェノールの使用量〔ビスフェノール/フェノール〕がモル換算で0.4〜1.0であるフェノール樹脂が、本発明の熱硬化性樹脂組成物を摩擦材用途に用いたときに耐摩耗性に優れる摩擦材が得られることから好ましく、ビスフェノールとフェノールの使用量〔ビスフェノール/フェノール〕がモル換算で0.5〜0.8であるフェノール樹脂がより好ましい。
前記アルデヒド類としてはフェノール樹脂製造の際に一般的に用いられるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられ、ヘキサメチレンテトラミンもまた用いることが出来る。
前記酸類としては、ノボラック型フェノール樹脂の製造の際に用いられる酸類を用いることができ、例えば、蟻酸、塩酸、燐酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。前記アルカリ類としては、レゾール型フェノール樹脂の製造に使用されるアルカリ類を用いることができ、例えば、苛性ソーダを始めとするアルカリ水酸化物、酸化アルカリ土類金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルカノールアミン等。ハイオルソ型や、ベンジリック型を製造する際の触媒である酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。
本発明で用いるフェノール樹脂(A)は更にトリアジン骨格を有するフェノール樹脂が、本発明の熱硬化性樹脂組成物を摩擦材用途に使用した時に、摩耗量が少ない摩擦材が得られることから好ましい。フェノール樹脂(A)の中でもトリアジン骨格を有するフェノール樹脂を得るには、例えば、トリアジン類をフェノール樹脂の原料として他の原料と共に用いればよい。
前記トリアジン類としては、例えば、次の一般式(X)で表される化合物を好ましく例示することができる。
前記式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、又はハロゲン元素を表す。
前記一般式(X)で示される化合物としては、具体的にはメラミン、あるいはアセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン誘導体、シアヌル酸、あるいはメチルシアヌレート、エチルシアヌレート、アセチルシアヌレート、塩化シアヌル等が挙げられる。これらのトリアジン環を含む化合物を使用するに当たっては、1種類に限定されるものではなく、2種以上を併用することも可能である。
本発明において、数平均分子量、重量平均分子量は以下の条件に従って測定した
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、リン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする。ホスフィン化合物(B)の含有量をこのような含有量とすることにより、耐熱性と強度と智煮満足する硬化物を得ることができる。ホスフィン化合物(B)の含有量は、フェノール樹脂(A)100質量部に対して15〜57質量部が好ましく、17〜55質量部が好ましく20〜50質量部がより好ましい。
本発明で用いるホスフィン化合物(B)としては、例えば下記一般式(1)または(2)で表される化合物等が挙げられる。
前記リン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)のなかでも、一般式(1)で表される化合物が好ましく、特に、9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenantrene−10−Oxyde(9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)が好ましい。
本発明で用いるフェノール樹脂は有機溶剤溶液としても良い。使用する溶剤成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;その多量体であるポリエーテルグリコール類;セロソルブ類;カルビトール類;メタノールを始めとする脂肪族アルコール等が挙げられる。特にハイオルソと呼ばれるオルソ/パラ比が高いものについては、芳香族溶剤等の使用も可能である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性と強度に優れる硬化物が得られ、耐火煉瓦を得るための結合剤や摩擦材を得るための含侵用樹脂などとして好適に使用できる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて耐火煉瓦用組成物とするには、例えば本発明の熱硬化性樹脂組成物と耐火性骨材を混合すればよい。
前記耐火性骨材としては、例えば、アルミナ、マグネシア、炭化珪素、ドロマイト鱗状黒紛、或いは土状黒鉛等が挙げられる。
前記耐火性骨材の配合比率は、耐火性骨材100重量部に対して、本発明の熱硬化性樹脂組成物中のフェノール樹脂(A)とリン原子に直接結合する芳香族基を有するホスフィン化合物(B)の合計重量が、1〜10重量部が好ましい。
耐火物用組成物には、必要に応じて、水或いは有機溶剤を配合することができ、該有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、又はエーテル類等が挙げられる。
本発明の摩擦材は、前記熱硬化性樹脂組成物を繊維状基材或いは、繊維状基材と摩擦調整剤とを抄造した基材に対して含浸、硬化させて得られる。繊維状基材としてはアラミド繊維単独でも良いし、木材パルプ、リンターパルプ、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維の様な無機繊維、綿、麻の様な天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維の様な合成有機繊維等とアラミド繊維を2種類以上混合したものでも良い。また繊維の形状に関しては有機繊維をフィブリル化して用いても良い。また摩擦調整剤としてはウオラストナイト、珪藻土、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化珪素などの無機物やカシューダスト、グラファイト等が用いられる。これらの摩擦調整剤は2種以上混合使用しても良い。繊維基材としては経済性、耐久性向上の点から特にアラミド繊維と他の繊維を混合使用したものが好ましい。繊維状基材と摩擦調整剤の比率は40〜60/60〜40が良い。
以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例だけに限定されるものではない。なお例中の部及び%は断りがない限り質量基準とする。
合成例1〔フェノール樹脂(A)の調製〕
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4つ口3Lフラスコに、フェノール941g、41.5%ホルマリン1084gを仕込み、触媒として25%アンモニア水溶液37.6gを加え80℃迄昇温し、3時間反応させた。その後、減圧脱水を行ない、脱水後メタノール300gを加え、80℃で3時間さらに反応させた。反応後、メタノールを添加し、樹脂分が50%になる様に調整し、25℃で測定した粘度が32mPa・sのレゾール型フェノール樹脂(A1)の溶液を得た。
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4つ口3Lフラスコに、フェノール941g、41.5%ホルマリン1084gを仕込み、触媒として25%アンモニア水溶液37.6gを加え80℃迄昇温し、3時間反応させた。その後、減圧脱水を行ない、脱水後メタノール300gを加え、80℃で3時間さらに反応させた。反応後、メタノールを添加し、樹脂分が50%になる様に調整し、25℃で測定した粘度が32mPa・sのレゾール型フェノール樹脂(A1)の溶液を得た。
合成例2(同上)
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4つ口2Lフラスコにフェノール941gと50%ホルマリン360gとを仕込み攪拌を開始し、次いで蓚酸1.88gを添加し100℃に昇温した。100℃で3時間反応した後150℃になるまで常圧で脱水を行った。次いで−0.094MPaにて脱フェノールを2時間行った。その後メタノール190gを突沸に注意しながら徐々に滴下し樹脂分が80%で、粘度が18000mPa・s/25℃のノボラック型フェノール樹脂の溶液を855g得た。得られた樹脂のGPCで測定した数平均分子量は450であった。
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4つ口2Lフラスコにフェノール941gと50%ホルマリン360gとを仕込み攪拌を開始し、次いで蓚酸1.88gを添加し100℃に昇温した。100℃で3時間反応した後150℃になるまで常圧で脱水を行った。次いで−0.094MPaにて脱フェノールを2時間行った。その後メタノール190gを突沸に注意しながら徐々に滴下し樹脂分が80%で、粘度が18000mPa・s/25℃のノボラック型フェノール樹脂の溶液を855g得た。得られた樹脂のGPCで測定した数平均分子量は450であった。
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4つ口3Lフラスコにフェノール600g(6.38モル)、前記ノボラック型フェノール樹脂の溶液500g、メラミン200g、50%ホルマリン765.6gを仕込み攪拌を開始した。次いでトリエチルアミン24gを添加し80℃に昇温した。80℃で3時間反応した後、−0.094MPaで温度が90℃になる迄減圧蒸留を行った。突沸に注意しながらメタノール1300gを加え溶解させた後常温まで冷却し、樹脂固形分が49%で、25℃で測定した粘度が39mPa・sのベンゾグアナミン変性レゾール型フェノール樹脂(A2)の溶液を得た。
実施例1
レゾール型フェノール樹脂(A1)の溶液中の樹脂分100質量部に対して9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA)が10質量部となるように、レゾール型フェノール樹脂(A1)とHCAを混合し、更に、固形分が50%になるようにメタノールで希釈し本発明の熱硬化性樹脂組成物(1)を得た。
レゾール型フェノール樹脂(A1)の溶液中の樹脂分100質量部に対して9,10−ジヒドロキシ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA)が10質量部となるように、レゾール型フェノール樹脂(A1)とHCAを混合し、更に、固形分が50%になるようにメタノールで希釈し本発明の熱硬化性樹脂組成物(1)を得た。
熱硬化性樹脂組成物(1)をアルミシャーレに3gはかり取り、200℃×15分熱硬化させ、硬化物を得た。この硬化物を粉砕後の粉砕物の辺の長さが100μ以下になるように粉砕し、粉砕物を得た。得られた粉砕物を用いて示差熱-熱重量同時測定法により粉砕物の熱減量を測定した。測定条件、評価方法を下記に示す。評価結果を第2表に示す。
使用機器:エスアイアイナノテクノロジー社製のTG/DTA6200
測定条件:粉砕物を常温から1分あたり10℃の昇温速度で加熱した。粉砕物の温度が300℃、400℃及び500℃の時点における粉砕物の質量を求め、この質量が加熱前の質量と比較しどの程度減少しているかを求めた。第2表の記載は300℃、400℃及び500℃の時点で加熱前の質量から何%減少しているかを表している。この値がゼロに近いほど、高温下でも安定性に優れている。
測定条件:粉砕物を常温から1分あたり10℃の昇温速度で加熱した。粉砕物の温度が300℃、400℃及び500℃の時点における粉砕物の質量を求め、この質量が加熱前の質量と比較しどの程度減少しているかを求めた。第2表の記載は300℃、400℃及び500℃の時点で加熱前の質量から何%減少しているかを表している。この値がゼロに近いほど、高温下でも安定性に優れている。
更に、第1表に示す抄紙体基材に熱硬化性樹脂組成物(1)をディッピング法にて含浸し、常温で溶剤を揮発させ、更に200℃で15分間硬化させペーパー摩擦材を得た。なお、抄紙基材と固形分の比率は70/30(重量比)になるように調整した。 得られたペーパー摩擦材を用いてDMAを以下の方法に従い測定した。測定結果を第二表に示す。
DMA:引張りモード、周波数:1Hz、負荷歪み:0.1%
DMA:引張りモード、周波数:1Hz、負荷歪み:0.1%
実施例2〜7及び比較例1〜4
フェノール樹脂(A1)〜(A2)とHCAとを第2表に示す配合で配合した以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物(1)〜(7)及び比較対照用熱硬化性樹脂組成物(1´)〜(4´)を得た実施例1と同様にしてTG/DTA及びDMAを測定した。評価結果を第2表に示す。
フェノール樹脂(A1)〜(A2)とHCAとを第2表に示す配合で配合した以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物(1)〜(7)及び比較対照用熱硬化性樹脂組成物(1´)〜(4´)を得た実施例1と同様にしてTG/DTA及びDMAを測定した。評価結果を第2表に示す。
上記結果からHCAの添加量が増えるにつれて、300〜500℃の熱重量減少の割合が減ることが分かる。また、DMAで弾性率を見ると100/20が最も良いことが分かる。
Claims (7)
- フェノール樹脂(A)とリン原子に直接結合するホスフィン化合物(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物であり、ホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 前記ホスフィン化合物(B)の含有量がフェノール樹脂(A)100質量部に対して17〜50質量部である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂(A)が、〔アルデヒド類〕/〔フェノール類〕=0.3〜1.0〔モル比〕で反応して得られるノボラック型フェノール樹脂、または、〔ホルムアルデヒド〕/〔フェノール類〕=1.0〜2.5〔モル比〕で反応して得られるレゾール型フェノール樹脂である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂(A)がトリアジン骨格を有するものである請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を繊維状基材に含侵してなることを特徴とする摩擦材。
- 前記繊維状基材がアラミド繊維を含有するものである請求項6記載の摩擦材。
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