JP4340931B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材用として適するエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その優れた電気特性ゆえに電気電子材料部品を中心に幅広く使用される。
【0003】
これら電気電子材料部品は、ガラスエポキシ積層板やIC封止材に代表されるように高い難燃性が求められるが、エポキシ樹脂単独では充分な効果が得られないため、このエポキシ樹脂にハロゲン系の難燃剤を多く併用しているのが現状である。
【0004】
ところが近年、ダイオキシンに代表されるような有機ハロゲン物質の毒性が大きな問題となっていることや、ICパッケージにおけるハロゲンの長期信頼性への悪影響などから、ハロゲンの使用量を低減するか、ハロゲンに代替できる他の化合物を使用した難燃剤、あるいは他の難燃処方が強く求められている。
【0005】
そこで、例えばリン系化合物などの難燃剤を添加する方法などが考案されているが、この方法によると難燃性は改善されるが、耐熱性、耐湿性などの樹脂の基本的な物性を損なうという欠点を有している。
【0006】
この欠点を解消するため、特開平8−311142号公報には、エポキシ樹脂硬化剤としてトリアジン環を有する化合物で変性されたフェノール組成物を硬化剤として使用することが提案されている。
【0007】
しかしこの化合物を硬化剤とした場合、得られる硬化物は難燃効果は示すものの、耐熱性や耐湿性などの特性が未だ不十分であり、硬化速度が速すぎるために成型性が悪くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ樹脂組成物として使用した場合には、ハロゲンを使用しなくとも難燃性が改善され、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性、成型性に優れる硬化物を与えることができ、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材用として適するエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂に、トリアジン類で変性されていないノボラック型フェノール樹脂を加えることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤として、
フェノールと、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとを、フェノールと前記トリアジン類に対するホルムアルデヒドのモル比を1:0.2〜0.9とし、フェノールと前記トリアジン類との重量比を10〜98:90〜2として反応させた反応生成物であって、
フェノールと、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとの縮合物(a)、
メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとの縮合物(b)、
フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(c)、
フェノール(d)及び
メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類(e)の混合物からなり、
前記縮合物(a)及び前記縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構造単位Aと一般式(2)で表される構造単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれており、かつ前記縮合物(a)及び前記縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率が、全トリアジン類の30%以上であるトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂(X)と、
ビスフェノールAとホルムアルデヒドとの縮合物であって、前記トリアジン類で変性されていないノボラック型フェノール樹脂(Y)とを使用することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂(X)を得るためのフェノール類としては、フェノールである。また、ノボラック型フェノール樹脂(Y)を得るためのフェノール類としては、ビスフェノールAである。さらに本発明の樹脂(X)に用いるトリアジン類としては、メラミン、アセトグアナミン又はベンゾグアナミンである。
【0012】
これらのトリアジン類を使用するにあたっては、1種類のみに限定されるものではなく、2種以上を併用することも可能である
【0013】
本発明のフェノール樹脂(X)、(Y)を得るためのアルデヒド類は、取扱いの容易さの点からホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒドとしては、限定するものではないが、代表的な供給源としてホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0014】
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂とは、メチロール基を実質的に含まない樹脂をいい、未反応アルデヒドを含まないことを特徴とするものである。
【0015】
メチロール基を実質的に含まず、未反応アルデヒドを含まないことによりエポキシ樹脂用硬化剤として使用した場合、エポキシ樹脂との配合安定性が極めて良くなるという効果を有する。
【0016】
また本発明のノボラック型フェノール樹脂に含まれる未反応一官能性フェノール単量体の量は特に制限されるものではないが、3重量%以下であることが好ましい。未反応一官能性フェノール単量体を3重量%以下にすることによりエポキシ樹脂との配合安定性が向上し、得られるエポキシ樹脂硬化物の耐熱性、耐湿性が良くなるという効果がある。
【0017】
ここでいう未反応一官能性フェノール単量体とは、1分子中にエポキシ基と反応し得るフェノール性の水酸基を1つだけ含むフェノール単量体を意味する。
【0018】
また本発明の樹脂(X)は、フェノールと、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとの混合物又は縮合物からなり、該混合物又は縮合物中に未反応ホルムアルデヒドを含まず、かつメチロール基を実質的に含まないことを特徴とするものである。樹脂(X)は、さらに好ましくは、フェノールと前記トリアジン類とホルムアルデヒドとからなるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂を含んでいるが、該ノボラック樹脂のうち、フェノールと前記トリアジン類とホルムアルデヒドとの縮合物(a)、前記トリアジン類とホルムアルデヒドとの縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構成単位Aと一般式(2)で表される構成単位Bとが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれていることを特徴とするものである。
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3)
このうちB/A≧3であることがより好ましい。B/A<1.5であると、エポキシ樹脂との相溶性が悪くなり、耐熱性が低下する。
【0019】
本発明で規定する構成単位Aと構成単位Bとのモル比率は、核磁気共鳴スペクトル(以下13C−NMRという)のチャートから求めることができる。すなわち測定溶媒としてジメチルスルフォキシド(以下DMSOという)や重アセトンを用い、基準物質としてテトラメチルシランを用い、常法の測定条件にしたがって測定すると、構成単位Bのピークは13C−NMRチャートの42.5〜45ppmに現れ、構成単位Aのピークは47〜48.5ppmに現れることがわかっており、両者のピーク積分値の比率を算出することにより構成単位Aと構成単位Bとのモル比率を求めることができる。
【0020】
また、本発明のトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂は、縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率は、特に制限ないが、全トリアジン類の30%以上である。ここで30%に満たないと耐熱性や耐湿性が低下する。
【0021】
トリアジン類のモル比率は上記構成単位A及び構成単位Bと同様、13C−NMRのチャートから求めることができる。すなわちチャートの167.2〜167.4ppmに現れるシャープなピークは未反応のトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTmとし、163〜167.2ppmに現れるブロードなピークはホルムアルデヒドと反応したトリアジン類に帰属でき、そのピーク積分値をTrとすると、前期縮合物(a)及び縮合物(b)中のトリアジン類の全トリアジン類中に占めるモル比率は下記式(4)で表すことができる。
このモル比率の値を以下「トリアジン類の反応率」という。
【0022】
次に本発明のトリアジン変性ノボラック型フェノール樹脂(X)を得るための代表的な製造方法について以下に説明する。
【0023】
まず、フェノールとホルムアルデヒドと前記トリアジン環を有する化合物とを系のpH4〜10好ましくはpH5〜9の条件下で反応させる。この時、触媒を用いても、用いなくても良い。触媒の種類は特に限定されるものではないが、トリアジン環を含む化合物の多くが塩基性溶液に容易に溶解することから塩基性触媒を使用することが好ましい。塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、およびこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらの塩基性触媒のうち、電気電子材料用のエポキシ樹脂用硬化剤として使用する場合には、金属などの無機物が触媒残として残ることは好ましくないことから、アミン類を使用するのが好ましい。
【0024】
また、各原料の反応順序も特に制限はなく、フェノール、ホルムアルデヒドをまず反応させてから前記トリアジン類を加えても、逆に前記トリアジン類とホルムアルデヒドを反応させてからフェノールを加えても、同時に全ての原料を加えて反応させても良い。この時、フェノールと前記トリアジン類に対するアルデヒド類のモル比は、1:0.2〜0.9であるが、1:0.4〜0.8が好ましい。またフェノールと前記トリアジン類との重量比は、10〜98:90〜2であるが、30〜95:70〜5が好ましい。フェノール類の重量比が10重量%未満では樹脂化することが困難となり、98重量%を超えると充分な難燃効果を得ることができなくなるので、好ましくない。
【0025】
また反応制御の面から各種溶媒の存在下で反応を行うこともできる。
この際溶媒としては、特に限定されないが、例えばアセトン、MEK、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらの溶剤は、単独または適宜に2種以上の混合溶剤として使用することができる。
【0026】
次に必要に応じて中和、水洗して塩類などの不純物を除去する。ただし触媒にアミン類を使用した場合にはこの工程は必要ない。
【0027】
反応終了後、未反応のホルムアルデヒド、フェノール、溶媒等を常圧蒸留、真空蒸留等の常法にしたがって除去する。この時、本発明の樹脂の特徴である未反応のホルムアルデヒドとメチロール基を実質的に含まない樹脂を得るためには120℃以上の加熱処理を必要とする。120℃以下の加熱処理ではメチロール基を実質的に消失させることは困難である。また120℃以上の温度であれば充分に時間をかけることによりメチロール基を消失させることができるが、効率的に消失させるにはより高い温度、好ましくは150℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。この時高温においてはノボラック型フェノール樹脂を得るときの常法にしたがい、加熱とともに蒸留することが好ましい。またこの時同時に未反応一官能性のフェノール単量体類を3重量%以下にすることが好ましい。
【0028】
本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂(Y)は、常法に従いフェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で反応させ、150℃以上の温度にて未反応のアルデヒド類、フェノール類を除去することで得られる。この時、触媒として、蓚酸、酢酸、スルホン酸類、カルボン酸類、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができるが、触媒の残存が少ないことから蓚酸、酢酸が望ましい。
【0029】
また、本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂(Y)は、フェノール類にビスフェノールAを用い、アルデヒド類にホルムアルデヒドを用いる。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エステル型エポキシ樹脂、脂肪族エステル型エポキシ樹脂、エーテルエステル型エポキシ樹脂、リン変性エポキシ樹脂、およびエポキシ化大豆油の如き非グリシジル系エポキシ樹脂およびこれらの臭素あるいは塩素等のハロゲン置換体等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を単独又は数種類混合して使用しても何等差し支えない。この際のエポキシ樹脂組成物に用いる溶剤としては、特に限定されず、上記の各種溶剤を挙げることができる。さらに必要に応じて種々の添加剤、充填剤等を適宜配合することができる。
【0033】
エポキシ樹脂と本発明のフェノール樹脂との混合割合は、特に限定されるものではないが、エポキシ基1当量に対してフェノール樹脂のフェノール性水酸基当量が0.5〜2.0当量が好ましく、0.9〜1.4当量がより好ましい。
【0034】
また、エポキシ樹脂を硬化させるに際して、必要に応じて、一般にエポキシ化合物の硬化に用いられている種々の硬化促進剤を使用することができる。この硬化促進剤としては、例えばイミダゾールおよびその誘導体、ホスフィン化合物、アミン類、BF3アミン化合物などが例示される。
【0035】
また、エポキシ樹脂組成物には必要に応じて他の難燃剤を配合することができる。難燃剤のうち特にリン化合物が好ましい。リン含有化合物とは、その構造中にリン原子を含む化合物をいい、例えばリン酸、およびリン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、これらリン酸エステルの機能的誘導体、重合性りん化合物、含窒素リン化合物、ホスフィン類、ホスフィンオキサイド類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、ジブチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスクレジルホスフェート、トリスキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、ジヒドロキシフェニルフェニルホスフェート、トリヒドロキシフェニルホスフェート、及びこれらフェニルホスフェートのアルキル化物、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキサイド、フェニルジアリルホスフィンオキサイドや赤リンなどが例示される。
【0036】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に詳細に説明する。
【0037】
合成例1(トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂の製造)
フェノール94部、ベンゾグアナミン12部に41.5%ホルマリン45部、およびトリエチルアミン0.4部を加え、系のpHを8.2に調整し、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃にて5時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら120℃まで2時間かけて昇温した。次に還流下にて3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点111℃のフェノール樹脂を得た。
【0038】
以下この樹脂を「N1」と略記する。
【0039】
得られた樹脂中のフェノール類とトリアジン類との重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位A、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率は次のように求めた。
<フェノールとトリアジン類(ベンゾグアナミン)の重量比率>
上記記載の180℃、減圧下にて反応系外に除去した流出物中のフェノール含量をガスクロマトグラフィから算出し、仕込みのフェノール部数から引いて樹脂中のフェノール存在量とした。ベンゾグアナミンは仕込み量がそのまま樹脂中に含まれることとした。両者の比率を存在比とした。
カラム:30%セライト545カルナバワックス2m×3mmΦ
カラム温度:170℃
注入口温度:230℃
検出器:FID
キャリアガス:N2ガス 1.0kg/cm2
測定法:内部標準法
<未反応ホルムアルデヒド量>
蒸留水50gに細かく粉砕した樹脂N1約5gを加え、室温で24時間保持した。pH計にセットし、N/10塩酸水溶液を加えてpH=4.0に調整した。これにpH=4.0に調整した7%ヒドロキシルアミン水溶液50mlを加え、アルミ箔等で密封して30分放置した。その後pH計にセットし、1Nの水酸化ナトリウム溶液でpH=4.0に中和するまで滴定する。次式により遊離ホルムアルデヒド量を決定した。
S:サンプル量(g)
F:1N水酸化ナトリウムのファクター
T:1N水酸化ナトリウムの滴下量(ml)
<メチロール基の存在の有無>
13C−NMRを用いて樹脂N1中に存在するメチロール基を測定した。
装置:日本電子(株)製 GSX270
プロトン:270MHZ
測定溶媒:DMSOあるいは重アセトン
基準物質:テトラメチルシラン
測定条件
パルス条件:45゜×10000times
パルス間隔:2秒
得られたチャートの60〜70ppmにピークが現れ、ノイズと明確に区別され得るピークを用いて判定した。ピークが認められた場合を「有」、認められない場合を「無」とした。
<構成単位A、構成単位Bのモル比率>
メチロール基測定と同一条件で測定した13C−NMRチャートを用いて算出した。
【0040】
チャートの42.5〜45ppmに現れるピークの積分値をBp、47〜48.5ppmに現れるピークの積分値をApとし、次式によりモル比率を求めた。構成単位B/構成単位A=Bp/Ap
<未反応フェノールモノマー量>
先に示したガスクロマトグラフィと同様の測定条件において流出物中のフェノールモノマー含量を測定した。
<トリアジン類反応率>
上記メチロール基を測定したのと同一条件で測定した13C−NMRチャートを用いて算出した。チャートの167.2〜167.4ppmに現れるシャープなピークの積分値をTm、163〜167.2ppmに現れるブロードなピークのピーク積分値をTrとし、次式により反応率を求めた。
このようにして求められた各成分量の結果は表1にまとめて記した。
【0041】
合成例2(トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂の製造)
フェノール94部、メラミン18部に41.5%ホルマリン45部、およびトリエチルアミン0.4部を加え、系のpHを8.2に調整し、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃にて5時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら120℃まで2時間かけて昇温した。次に還流下にて3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら140℃まで2時間かけて昇温した。還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら160℃まで2時間かけて昇温した。さらに還流下で3時間反応させた後、常圧下にて水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応のフェノールを除去し、軟化点128℃のフェノール樹脂を得た。フェノールとメラミンの重量比率、未反応ホルムアルデヒド量、メチロール基の存在の有無、構成単位A、構成単位Bのモル比率、未反応フェノールモノマー量、及びトリアジン類反応率を、合成例1と同様に求め、結果を表1にまとめて示した。
【0042】
以下この樹脂を「N2」と略記する。
【0043】
合成例3(トリアジン類で変性されていないノボラック型フェノール樹脂の製造)
p−ターシャリーブチルフェノール(以下、pTBPという。)150部に41.5%ホルマリン217部、および水酸化ナトリウム0.15部を加え、60℃にて5時間反応させた。次に樹脂溶液に硫酸を加えてpHを7±1に調整し、さらに水を加えてしばらく系を撹拌させた後、分離した水層を除去することでpTBPのジメチロール体を含むメチロール体を得た。次に系の温度を50℃以下に下げ、フェノール282部、シュウ酸2.8部を加えて昇温し、還流温度にて2時間反応させた。
【0044】
反応終了後、常圧下にて水を除去しながら130℃まで昇温し、混合物の沸点温度にてさらに2時間反応させた。反応終了後、常圧下にて水を除去しながら150℃まで昇温し、混合物の沸点温度にてさらに2時間反応させた。再度常圧下にて水を除去しながら180℃まで昇温し、減圧下にて未反応のフェノールを除去し、3官能性化合物を含む樹脂を得た。
【0045】
化合物の各官能性化合物成分の含有量は以下の条件にしたがい、GPCのピーク面積比により決定した。
装置:東ソー(株)製
カラム:昭和電工(株)製、SHODEX 803/802/802
ピークの特定:
4官能性以上の化合物・・保持時間31分以前の全ピーク
3官能性化合物・・・・・ 〃 31〜33分の間のピーク
2官能性化合物・・・・・ 〃 33〜34分の間のピーク
この結果、得られた樹脂の3官能性化合物の含有量は35%、2官能性化合物の含有量は4%であり、4官能性以上の化合物成分の含有量は61%であった。
【0046】
以下、この樹脂を「H1」と略記する。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1、参考例1〜4および比較例1〜3
エピクロン1050[エポキシ樹脂 エポキシ当量450 大日本インキ化学工業(株)製]50部とエピクロンN690[エポキシ樹脂 エポキシ当量220大日本インキ化学工業(株)製]50部に対して、硬化剤としてN1、N2、H1の化合物、フェノールノボラック樹脂フェノライトTD−2090[OH当量104 大日本インキ化学工業(株)製]、ビスフェノールAノボラック樹脂VH−4290[OH当量118 大日本インキ化学工業(株)製]、及び縮合リン酸エステルPX−200[大八化学工業(株)製]を表2に示した割合にて配合した。この時、エピクロン及び硬化剤は予めそれぞれ重量比でメチルエチルケトン/ジメチルホルアミド=50/50の混合溶剤に溶解させてから使用した。次いで各々に硬化促進剤として2エチル4メチルイミダゾール(以下2E4MZという)0.1部を加えて、さらに溶液の不揮発分をメチルエチルケトンにて55%に調整し、実施例1、参考例1〜4および比較例1〜3の混合溶液を調整した。
【0049】
しかるのち、各々の混合溶液をガラスクロスに含浸させ、160℃で3分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね、その両面に35μの銅箔を重ね、170℃、圧40kgf/cm2にて1時間加熱加圧成型して厚さ1.5mmの両面銅張積層板を作製した。
【0050】
次いで、積層板は、エッチング処理を施し、銅箔除去した後、各物性試験を行った処、表2に示されるような結果が得られた。
*1:昇温スピード 3℃/min
*2:プレシャークッカーテスト(PCT)は、120℃水蒸気下中で、所定時間試験片を処理した。
*3:耐半田性試験は、PCT処理2時間後260℃の半田浴に20sec浸漬して評価を行った(n=3)。
【0051】
評価は、その試験片の外観、特にミーズリングの有無を目視判定により行った。
【0052】
○:全く異常なし △:わずかにミーズリング発生 ×:ミーズリング有り
*4:消炎性試験
幅12.7mmの試験片を垂直に立て、10秒間炎にさらした後、自己消火するまでの時間(秒)。また、2分以上燃焼が継続するか、下端から15cmまで燃焼した場合には「燃焼」とした。
*5:成型性
作成したプリプレグのゲルタイム(GT)を160℃で測定し、その後プリプレグを40℃×7日間保存した後に再度GTを測定し、初期GTに対する比率Pr(ただしPr=処理後GT/初期GT)について以下の評価を行った。
Pr≧0.85:○ 0.7≦Pr<0.85:△ Pr<0.7:×
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、難燃性、耐熱性、耐湿性、金属密着性、成型性に優れる硬化物を与えることができ、ハロゲンを使用しなくとも難燃性の改善され、封止、積層、塗料などのエポキシ樹脂を用いる各種用途、特にガラスエポキシ積層板やIC封止材に用いることができる。
Claims (2)
- エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤として、
フェノールと、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとを、フェノールと前記トリアジン類に対するホルムアルデヒドのモル比を1:0.2〜0.9とし、フェノールと前記トリアジン類との重量比を10〜98:90〜2として反応させた反応生成物であって、
フェノールと、メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとの縮合物(a)、
メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類と、ホルムアルデヒドとの縮合物(b)、
フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(c)、
フェノール(d)及び
メラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれるトリアジン類(e)の混合物からなり、
前記縮合物(a)及び前記縮合物(b)の中に、一般式(1)で表される構造単位Aと一般式(2)で表される構造単位Bが、モル比率で下記式(3)を満足する状態で含まれており、かつ前記縮合物(a)及び前記縮合物(b)中のトリアジン類のモル比率が、全トリアジン類の30%以上であるトリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂(X)と、
ビスフェノールAとホルムアルデヒドとの縮合物であって、前記トリアジン類で変性されていないノボラック型フェノール樹脂(Y)とを使用することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(−X−NH−CH2−NH−) (1)
(−X−NH−CH2−Y−) (2)
(式中、Xはトリアジン類の残基を示し、Yはフェノール類残基を示す)
B/A≧1.5 (3) - 前記トリアジン類変性ノボラック型フェノール樹脂(X)が、塩基性触媒を用いて製造されたものであり、かつ前記ノボラック型フェノール樹脂(Y)が、触媒として、蓚酸、酢酸、スルホン酸類、カルボン酸類、塩酸、硫酸、硝酸の中から選ばれる少なくとも1つの触媒を用いて、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で反応させて製造されたものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
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