JP2003292555A - 固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法

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JP2003292555A
JP2003292555A JP2002093790A JP2002093790A JP2003292555A JP 2003292555 A JP2003292555 A JP 2003292555A JP 2002093790 A JP2002093790 A JP 2002093790A JP 2002093790 A JP2002093790 A JP 2002093790A JP 2003292555 A JP2003292555 A JP 2003292555A
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phenolic resin
phenol resin
type phenolic
phenols
resol
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JP2002093790A
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Yoshikazu Kobayashi
義和 小林
Takuya Tochimoto
卓哉 栃本
Masakatsu Asami
昌克 浅見
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 煩雑な工程を経ることなく、固形のレゾール
型フェノール樹脂を収率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 固形レゾール型フェノール樹脂の製造方
法であって、(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸
触媒を用いて反応させ、未反応フェノール類の含有量が
5重量%以下、GPC測定による重量平均分子量150
0以下であるノボラック型フェノール樹脂を合成する工
程、(b)前記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒ
ド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、レゾール型
フェノール樹脂を合成する工程、及び(c)前記レゾー
ル型フェノール樹脂中の水分量が5重量%以下となるよ
うに脱水処理する工程、を有することを特徴とする固形
レゾール型フェノール樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固形レゾール型フ
ェノール樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レゾール型フェノール樹脂は、通常、仕
込みモル比でフェノール類1モルに対しアルデヒド類を
1〜3モルとして、触媒に水酸化ナトリウム、アンモニ
ア水、第3級アミン、アルカリ土類金属の酸化物又は水
酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性触媒を用いて
反応することにより得られる。特に固形のレゾール型フ
ェノール樹脂を得る場合、アルカリ触媒として2価金属
の酸化物または水酸化物を用いて反応したレゾール型フ
ェノール樹脂は、フェノール類の水酸基に対してオルソ
位にメチレン結合やメチロール基を含有するために特に
硬化速度が速い特徴を有するが、この固形レゾール型フ
ェノール樹脂は親水性のメチロール基が多い構造を有す
るため吸湿性が著しく大きい、このために樹脂は固形状
になりにくく、半固形状の樹脂となり扱いが困難であ
る。一方、前記アルカリ触媒としてアンモニア、第3級
アミンを使用したり、芳香族アミンで変性したりするこ
とで疎水性の固形レゾール型フェノール樹脂が得られる
が、この樹脂は触媒や芳香族アミンを少量使用した場合
には固形状になりにくいため多量に使用する必要があ
る。これは含窒素化合物がフェノール樹脂と架橋するた
めで、融点が上昇し固形化しやすくなるものの、同時に
粘度が著しく上昇する。さらに、固形化するためには、
液状のレゾール型フェノール樹脂より高精度な脱水操作
が必要となるが、例えば反応容器内で脱水すると溶融状
態の樹脂は著しく粘度が高くなるが、レゾール型フェノ
ール樹脂は一般的に熱に対して不安定であることから、
反応容器から樹脂を排出する際の温度、時間が制限され
るため、反応容器から排出する時に適正な粘度に保つこ
とが難しい。
【0003】これらの理由により、固形のレゾール型フ
ェノール樹脂の製造方法については反応容器からの排出
方法、脱水方法に関わる知見が多くみられる。例えばレ
ゾール型フェノール樹脂を排出するための設備等を使用
する方法として、回転羽根式の混練機兼反応機で排出す
る方法(特開昭49−83990号公報)、2軸押出機
で吐出する方法(特開昭54−83990号公報)、押
出機で連続押出しする方法(特公昭61−44884号
公報、特開昭54−28357号公報)がある。脱水工
程と反応容器からの排出工程を併せ持った方法として、
流動床型の乾燥機を使用するもの(特開昭53−243
090号公報)、薄膜蒸発機を用いるもの(特開昭56
−167719号公報、特開昭59−53519号公
報、特開昭58−103520号公報)、加熱式連続真
空乾燥機を用いるもの(特開平1−230615号公
報)などがある。しかしながら、これらはいずれも専用
の付加設備を要し、生産設備、生産量などのフレキシビ
リティーを低下させ、結果的に生産効率、生産コストに
反映される。
【0004】上記の問題は固形のレゾール型フェノール
樹脂の特性を改良し、付加設備を必要とせずに反応容器
から排出できるようにすることで解決される。つまり、
従来にないレゾール型フェノール樹脂の溶融粘度の性
状、すなわち高融点・低溶融粘度化することで解決され
る。こうすることで、付加設備を必要とせず反応容器か
ら排出する際には低粘度を維持することが可能であり、
運搬時、あるいは粉砕時には固結、あるいはベタツキを
防止できる。
【0005】通常、固形のレゾール型フェノール樹脂は
数重量%程度の未反応フェノール類を含有しているが、
未反応フェノール類を含むと融点が下がることは公知で
ある。したがって、未反応フェノール類量を低減すると
高融点化することができる。さらに、レゾール型フェノ
ール樹脂中のメチロール基の割合を少なくし、メチレン
結合の割合を増加させることで、含窒素化合物を変性し
た場合のような大幅な粘度上昇が起こらず、すなわち低
溶融粘度化することができる。これは未反応フェノール
類量が少なく、2核体以上の低核体成分が多いフェノー
ル樹脂を合成した後、レゾール化することで達成するこ
とができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、煩雑な工程
を経ることなく、固形のレゾール型フェノール樹脂を効
率よく製造する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明(1)〜(4)により達成される。 (1)固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法であっ
て、(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒を用
いて反応させ、未反応フェノール類の含有量が5重量%
以下、GPC測定による重量平均分子量が1500以下
であるノボラック型フェノール樹脂を合成する工程、
(b)前記ノボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類
とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、レゾール型フェ
ノール樹脂を合成する工程、及び(c)前記レゾール型
フェノール樹脂中の水分量が5重量%以下となるように
脱水処理する工程、を有することを特徴とする固形レゾ
ール型フェノール樹脂の製造方法。 (2)前記酸触媒として、有機ホスホン酸を用いる上記
(1)に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方
法。 (3)前記有機ホスホン酸が、下記一般式(I)に示す
有機ホスホン酸である上記(2)に記載の固形レゾール
型フェノール樹脂の製造方法。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。) (4)前記(a)ノボラック型フェノール樹脂を合成す
る工程において、フェノール類1モルに対して有機ホス
ホン酸0.05〜1.0モルを用い、アルデヒド類0.
3〜0.8モルを反応させる上記(2)又は(3)に記
載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の固形レゾール型フ
ェノール樹脂の製造方法(以下「製造方法」という)に
ついて詳細に説明する。本発明の製造方法は、(a)フ
ェノール類とアルデヒド類とを酸触媒を用いて反応さ
せ、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下、GP
C測定による重量平均分子量が1500以下であるノボ
ラック型フェノール樹脂を合成する工程、(b)前記ノ
ボラック型フェノール樹脂とアルデヒド類とをアルカリ
性触媒を用いて反応させ、レゾール型フェノール樹脂を
合成する工程、及び、(c)前記レゾール型フェノール
樹脂中の水分量が5重量%以下となるように脱水処理す
る工程、を有することを特徴とする。
【0009】前記(a)フェノール類とアルデヒド類と
を酸触媒を用いて反応させ、未反応フェノール類の含有
量が5重量%以下、GPC測定による重量平均分子量が
1500以下であるノボラック型フェノール樹脂を合成
する工程について、まず、酸触媒として有機ホスホン酸
を用いた場合の方法について説明する。前記工程におい
て用いるフェノール類は特に限定されないが、例えば、
フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラ
クレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフ
ェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェ
ノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾル
シンなどのフェノール類が挙げられる。これらの少なく
とも1種以上を使用でき、フェノール樹脂の用途により
適宜選択されるが、通常、フェノール、クレゾールやビ
スフェノールAが多く用いられる。
【0010】また、前記工程において用いるアルデヒド
類は特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレインや
これらの混合物が挙げられる。これらのアルデヒド類の
発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液
を使用することも可能で、これらのアルデヒド類の少な
くとも1種以上を使用できるが、通常はホルムアルデヒ
ドが多く用いられる。
【0011】前記フェノール類とアルデヒド類との反応
モル比は特に限定されないが、フェノール類1.0モル
に対して、アルデヒド類が0.3〜0.8モル、好まし
くは0.4〜0.75モルである。これにより、重量平
均分子量が適正で、未反応フェノール類の少ないノボラ
ック型フェノール樹脂を得ることができる。フェノール
類に対するアルデヒド類が前記下限値より少ないと、フ
ェノール類の反応消費が充分に進行せず、レゾール化し
た際にも、未反応フェノール量が十分に低下しない。ま
た、前記上限値モルを越えると、分子量が大きくなるた
め後段でレゾール化を行うときにゲル化してしまうこと
がある。
【0012】ここで触媒として用いられる有機ホスホン
酸は、ホスホン酸基−PO(OH)2を含む有機化合物で
あり、いかなるものも使用可能であるが、一般式(I)
で示される有機ホスホン酸が、未反応フェノール類とア
ルデヒド類が少ないレゾール型フェノール樹脂を製造す
るために好ましい。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
−PO(OH)2 を含む基である。) 一般式(I)で示される有機ホスホン酸としては特に限
定されないが、例えばアミノポリホスホン酸類であるエ
チレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレ
ンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリスメチ
レンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−
ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1
−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2
−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等があ
る。本発明の目的からみて工業的に大量生産され安価で
あるアミノトリスメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキ
シエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノ
ブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
【0013】前記有機ホスホン酸の添加量としては特に
限定されないが、フェノール類1モルに対して0.05
〜1.0モル、好ましくは0.1〜0.6モルである。
有機ホスホン酸の添加量が前記上限値を越えても、未反
応フェノール類を少なくする効果が変わらなくなる。ま
た、前記下限値未満では、有機ホスホン酸の効果が充分
に発現しない傾向がある。
【0014】ノボラック型フェノール樹脂を合成する工
程の反応温度は、通常40〜240℃であり、好ましく
は80℃〜140℃である。反応温度が40℃より低い
と、反応の進行が遅く、未反応のフェノール類を十分に
低下させるのに時間を要する。また、240℃より高温
では触媒の有機ホスホン酸が加水分解するようになる。
また、反応時間については特に制限はなく、出発原料の
種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に
応じて適宜決定すればよい。反応終了後、有機ホスホン
酸を水洗にて除去あるいは回収することが可能である
が、それらの方法については特に限定されない。水洗等
により回収した有機ホスホン酸は再度触媒として使用す
ることができる。また、アルカリ性の物質によって中和
してもよく、さらに過剰に添加してそのままレゾール化
を行うことも可能である。
【0015】本発明の製造方法において、以上の方法で
得られたノボラック型フェノール樹脂中の未反応フェノ
ール類の含有量は5重量%以下である。これにより、ノ
ボラック型フェノール樹脂を原料としてレゾール型フェ
ノール樹脂としたときに高融点化、低溶融粘度化させる
ことができる。また、さらに真空蒸留等の操作を行うこ
とにより、未反応フェノール類量を低減させることもで
きる。未反応フェノール類の含有量としてさらに好まし
くは3重量%以下である。なお、本発明における未反応
フェノール類の含有量は、JIS K0114に準じ、
ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノー
ルを内部標準物質として内部標準法で測定した値であ
る。
【0016】また、前記ノボラック型フェノール樹脂の
GPC測定による重量平均分子量は1500以下であ
る。これにより、ノボラック型フェノール樹脂を原料と
してレゾール型フェノール樹脂としたときに低溶融粘度
とすることができる。重量平均分子量が1500を越え
ると粘度が高くなりやすく、必然的にレゾール化反応の
自由度が小さくなり、硬化強度の低いものしか得られな
くなる傾向がある。重量平均分子量としてさらに好まし
くは1350以下である。なお、ここで重量平均分子量
は、液体クロマトグラフィー装置を用いて測定したもの
である。液体クロマトグラフィー装置は東ソー製GPC
カラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:
2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0m
l/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40
℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC
測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算して算出
した。
【0017】以上に述べたノボラック型フェノール樹脂
の合成方法のほか、酸触媒として有機ホスホン酸の代わ
りに通常の塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−
トルエンスルホン酸といった無機酸あるいは有機酸を用
いてこれを行うこともできる。この場合には、フェノー
ル類に対し酸触媒を0.5〜5.0重量%用い、フェノ
ール類1モルに対しアルデヒド類を0.1〜0.6モル
といった低モル比で反応させる。フェノール類に対する
アルデヒド類が0.1モル未満では、未反応フェノール
類の含有量が多くなり、反応後の除去工程に時間を要す
るようになる。一方、0.6モルを超えるとノボラック
型フェノール樹脂の分子量が大きくなる傾向がある。ま
た、酸触媒はフェノール類に対し0.5重量%未満では
反応性が低くなる為、反応時間が長くなる傾向があり、
5.0重量%を超えると効果が変わらなくなる傾向があ
る。このようにして低分子量成分の多いノボラック型フ
ェノール樹脂を合成後、真空蒸留法等により未反応フェ
ノール類を除去すればよい。これにより、未反応フェノ
ール類の含有量が5重量%以下、GPC測定による重量
平均分子量が1500以下であるノボラック型フェノー
ル樹脂を合成することができる。
【0018】次に、(b)前記ノボラック型フェノール
樹脂とアルデヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応さ
せ、レゾール型フェノール樹脂を合成する工程、につい
て説明する。ノボラック型フェノール樹脂をレゾール化
する工程では、触媒として水酸化ナトリウム、水酸化リ
チウム、水酸化カリウム、アンモニア水、トリエチルア
ミンなどの第3級アミン、カルシウム、マグネシウム、
バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、
炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミンなどのアル
カリ性物質を用いる。
【0019】レゾール化する工程におけるフェノール類
とアルデヒド類のモル比は特に限定されないが、フェノ
ール類1モルに対し、ノボラック型フェノール樹脂を合
成する工程と、ノボラック型フェノール樹脂をレゾール
化する工程とで用いるアルデヒド類との合計で、通常
0.9〜3.0モルであるが、好ましくは1.0〜2.
5モルである。アルデヒド類が0.9モルより少ないと
レゾール化が不十分となることがあり、3.0モルを越
えると未反応のアルデヒド類が多く残るようになる。こ
のとき、アルカリ性触媒の添加量は特に限定されない
が、通常フェノール1モルに対し、0.05〜1モルの
範囲内であり、好ましくは0.05〜0.5モルであ
る。0.01モルより低いと触媒としての作用が十分で
ないことがあり、また1モルより多いと、硬化の際に影
響を与えることがあり、場合により水洗などにより除去
するか、酸性の物質を添加し中和する必要がある。
【0020】このようにして得られたレゾール型フェノ
ール樹脂は、樹脂中の未反応フェノール類の含有量が十
分に少ないものであるが、更に未反応フェノール類を除
去するために、従来より知られている未反応フェノール
類を除去する工程を組み合わせてもよい。例えば、水蒸
気蒸留法等を行うことによって除去が可能である。未反
応アルデヒド類は、尿素等のアルデヒド類のキャッチ剤
を添加することによって除去が可能である。
【0021】そして、(c)前記レゾール型フェノール
樹脂中の水分量が5重量%以下となるように脱水処理す
る工程、について説明する。一般にレゾール型フェノー
ル樹脂は水分を含んでいると融点が低下する。固形レゾ
ール型フェノール樹脂を得ようとした場合はこの水分に
より固形化が阻害されるため、脱水処理を行うが、液状
のレゾール型フェノール樹脂を合成する場合よりも高精
度の脱水操作が必要である。本発明の製造方法において
は、レゾール型フェノール樹脂を合成後の脱水方法とし
ては、減圧脱水が一般的で好ましいが、常圧脱水でも良
い。例えば、減圧脱水時の真空度は30000Pa以下
であることが好ましく、さらに好ましくは20000P
a以下である。30000Paより大きな値であると、
脱水工程の時間が長くなり、その間の樹脂特性の変化が
大きくなることがある。このような操作により、レゾー
ル型フェノール樹脂中の水分量を5重量%以下とするこ
とができる。これらの方法により充分に水分を除去する
ことができるが、更に除去するために従来より知られて
いる水分の除去設備を使用する工程を組み合わせてもよ
い。例えば、水分は、薄膜蒸発装置を使用することによ
って除去が可能である。
【0022】また、場合によってはレゾール化反応後に
酸性物質を添加し、アルカリ性の触媒を中和することで
反応容器から排出する際のレゾール型フェノール樹脂の
安定性を高めることが可能である。添加する酸性物質は
無機酸、有機酸を問わずいずれも使用することができ
る。これらの酸性物質を使用し、中和した場合には、硬
化時に塩基性、または酸性の物質を添加することで硬化
速度を調整することができる。
【0023】前記(a)ノボラック型フェノール樹脂を
合成する工程、及び(b)レゾール型フェノール樹脂を
合成する工程、のいずれにおいても、用いる反応溶媒と
しては、水が一般的であり好ましいが、有機溶媒中でも
よく、非極性溶媒を用いて、非水系で行うこともでき
る。また、パラホルム等を用いて反応溶媒なしで行って
もよい。有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、
芳香族類等で、アルコール類としては、メタノール、エ
タノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリ
セリン等で、ケトン類としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン等で、芳香族類としては、トルエン、キシレン
等が挙げられる。
【0024】本発明の製造方法では、酸触媒のもとでフ
ェノール類とアルデヒド類からノボラック型フェノール
樹脂を合成した後、さらにアルカリ性触媒下でアルデヒ
ド類と反応させ、所定の脱水処理を行い固形のレゾール
型フェノール樹脂を合成する。ここで、特に酸触媒とし
て有機ホスホン酸を用いることにより、固形のレゾール
型フェノール樹脂を効率的に得られる理由は、以下のよ
うに考えられる。本発明の有機ホスホン酸は、非常に水
溶性が高い。そして、フェノール類、アルデヒド類は水
への溶解性が相対的には小さく、ノボラック型フェノー
ル樹脂は分子量増大ととも水への溶解性が更に低下する
性質を有している。このため、ノボラック型フェノール
樹脂の合成反応開始時には、触媒である有機ホスホン酸
を多量に含んだ水相と、触媒がほとんど存在しないフェ
ノール類からなる有機相とに相分離した状態となる。そ
して、水相に溶出したフェノール類とアルデヒド類の反
応が優先的に進行し、その結果、未反応のフェノール類
が低減する。さらに、2核体以上の反応生成物は前記の
触媒特性上、より高分子化への反応は起こりにくいこと
から、未反応フェノール類が少なく、重量平均分子量が
小さいノボラック型フェノール樹脂が得られる。次い
で、得られたノボラック型フェノール樹脂を原料にアル
デヒド類を必要量添加しレゾール化を行い、脱水工程を
経ることで、未反応フェノール類が少なく、高融点・低
溶融粘度である固形のレゾール型フェノール樹脂を効率
よく製造することが可能となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。ここで記載されている「部」及び「%」は全て「重
量部」及び「重量%」を示す。
【0026】(実施例1)攪拌機及び温度計を備えた三
口フラスコ中に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−
ジホスホン酸60%水溶液(フェリオックス115、
(株)ライオン製)1250部を仕込み、120℃に昇
温させ濃度85%になるまで常圧下で濃縮を行った。そ
の後、フェノール1000部を仕込み、100℃に昇温
した後、37%ホルムアルデヒド604部を2時間かけ
て逐添した。その後、60℃まで下げて触媒を除去し
た。残留触媒を除去するため、1000部の純水を添加
混合し除去する水洗を3回行った。得られたノボラック
型フェノール樹脂の重量平均分子量=875、未反応フ
ェノール類=1.2%であった。その後、37%ホルム
アルデヒド431部を添加した後、水酸化カルシウムを
20部加え、80℃まで加熱し、還流反応を1時間行っ
た。反応後、17500Paで減圧蒸留を行い95℃に
達した後にフラスコから取り出し、レゾール型フェノー
ル樹脂1255部を得た。
【0027】(実施例2)実施例1と同様のフラスコ中
に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸
60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン
製)1250部を仕込み、120℃に昇温させ濃度85
%になるまで常圧下で濃縮を行った。その後、フェノー
ル1000部を仕込み、100℃に昇温した後、37%
ホルムアルデヒド690部を2時間かけて逐添した。そ
の後、60℃まで下げて触媒を除去した。残留触媒を除
去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水
洗を3回行った。得られたノボラック型フェノール樹脂
の重量平均分子量=1250、未反応フェノール類=
0.3%であった。その後、37%ホルムアルデヒド4
31部を添加した後、水酸化カルシウムを40部加え、
80℃まで加熱し、還流反応を1時間行った。反応後、
pHが6.0となるまで酢酸を加えた後、17500Pa
で減圧蒸留を行い95℃に達した後にフラスコから取り
出し、レゾール型フェノール樹脂1346部を得た。
【0028】(実施例3)実施例1と同様のフラスコ中
に1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸
60%水溶液(フェリオックス115、(株)ライオン
製)1250部を仕込み、120℃に昇温させ濃度85
%になるまで常圧下で濃縮を行った。その後、フェノー
ル1000部を仕込み、100℃に昇温した後、37%
ホルムアルデヒド517部を2時間かけて逐添した。そ
の後、60℃まで下げて触媒を除去した。残留触媒を除
去するため、1000部の純水を添加混合し除去する水
洗を3回行った。得られたノボラック型フェノール樹脂
の重量平均分子量=652、未反応フェノール類=2.
7%であった。その後、37%ホルムアルデヒド561
部を添加した後、25%アンモニア水を60部加え、1
00℃まで加熱し、還流反応を2時間行った。反応後、
17500Paで減圧蒸留を行い95℃に達した後にフ
ラスコから取り出し、レゾール型フェノール樹脂123
0部を得た。
【0029】(比較例1)実施例1と同様のフラスコ中
に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド1
294部、触媒として50%水酸化カルシウム水溶液4
0部を添加し、100℃で4時間反応させた。反応後、
17500Paで減圧蒸留を行った後、68℃でフラス
コから取り出し、レゾール型フェノール樹脂1680部
を得た。
【0030】(比較例2)実施例1と同様のフラスコ中
に、フェノール1000部、37%ホルムアルデヒド1
380部、触媒として25%アンモニア水60部を添加
し、90℃で45分間反応させた。反応後、17500
Paで減圧蒸留を行った後、95℃に達した後にフラス
コから取り出し、レゾール型フェノール樹脂1265部
を得た。
【0031】(比較例3)実施例1と同様のフラスコ中
に蓚酸を10部、フェノールを1000部仕込み、10
0℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド604部を
2時間かけて逐添した。その後、触媒を中和するため、
pHが7.0になるまで水酸化カルシウムを添加した。
得られたノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量
=552、未反応フェノール類=16.1%であった。
その後、37%ホルムアルデヒド431部を添加した
後、水酸化カルシウムを20部加え、100℃まで加熱
し、還流反応を4時間行った。反応後、17500Pa
で減圧蒸留を行い95℃に達した後にフラスコから取り
出し、レゾール型フェノール樹脂1258部を得た。
【0032】実施例および比較例で得られたレゾール型
フェノール樹脂について、ゲル化時間、融点、溶融粘
度、未反応フェノール量、水分量を測定した。結果を表
1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】(表の注) (1)ゲル化時間:JIS K6909に準じ150℃
の熱板に樹脂2mlを用いて測定した。 (2)融点:JIS B7411に準じ測定した。 (3)溶融粘度:I.C.I.コーンプレートにより、1
10℃における粘度を測定した。 (4)未反応フェノール量:JIS K0114に準
じ、2,5‐キシレノールを内部標準として内部標準法
によって測定した。 (5)水分量:カールフィッシャー法により測定した。 (6)収得率:仕込んだ原料からホルマリン中に含まれ
る水分量を減じた値に対する、得られた樹脂分より水分
量を減じた値の割合から算出した。
【0035】実施例1、2、3は、本発明の固形レゾー
ル型フェノール樹脂の製造方法により得られたものであ
り、融点が高く、低溶融粘度であり、かつ、収率もよい
ものであった。比較例1では、得られたレゾール型フェ
ノール樹脂は、実施例より溶融粘度が高いが融点は低
く、ベトツキがあり、固形化しなかった。一方、比較例
2では溶融粘度が大きく上昇し、収率が低下した。ま
た、比較例3のように通常の酸触媒を用いてノボラック
型フェノール樹脂を合成した後、未反応フェノール類を
除去する工程を経ずにレゾール化した場合には、未反応
フェノール類の残存量が多いため、融点が低く、ベトツ
キがあり、充分固形化しなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明は、フェノール類とアルデヒド類
とを酸触媒を用いて反応させ、未反応フェノール類の含
有量が5重量%以下、GPC測定による重量平均分子量
が1500以下であるノボラック型フェノール樹脂を合
成し、これからレゾール型フェノール樹脂を合成した
後、水分量が5重量%以下となるように脱水処理する工
程を有することを特徴とする固形レゾール型フェノール
樹脂の製造方法であり、煩雑な工程を経ることなく、固
形のレゾール型フェノール樹脂を収率よく製造すること
ができる。従って本発明は、砥石、研磨布紙、摩擦材、
成形材料、積層板、接着剤、塗料、発泡体のバインダー
として用いられる固形のレゾール型フェノール樹脂の製
造方法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J033 CA01 CA02 CA11 CA12 CA14 CA18 CA19 CC08 CD05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形レゾール型フェノール樹脂の製造方
    法であって、(a)フェノール類とアルデヒド類とを酸
    触媒を用いて反応させ、未反応フェノール類の含有量が
    5重量%以下、GPC測定による重量平均分子量が15
    00以下であるノボラック型フェノール樹脂を合成する
    工程、(b)前記ノボラック型フェノール樹脂とアルデ
    ヒド類とをアルカリ性触媒を用いて反応させ、レゾール
    型フェノール樹脂を合成する工程、及び(c)前記レゾ
    ール型フェノール樹脂中の水分量が5重量%以下となる
    ように脱水処理する工程、を有することを特徴とする固
    形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸触媒として、有機ホスホン酸を用
    いる請求項1に記載の固形レゾール型フェノール樹脂の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機ホスホン酸が、下記一般式
    (I)に示す有機ホスホン酸である請求項2に記載の固
    形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。 R−PO(OH)2 (I) (Rは、炭素原子を必ず含み、かつ−COOH及び又は
    −PO(OH)2 を含む基である。)
  4. 【請求項4】 前記(a)ノボラック型フェノール樹脂
    を合成する工程において、フェノール類1モルに対して
    有機ホスホン酸0.05〜1.0モルを用い、アルデヒ
    ド類0.3〜0.8モルを反応させる請求項2又は3に
    記載の固形レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
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