JP2024016502A - レゾール型フェノール樹脂水溶液、液状組成物、および硬化物 - Google Patents

レゾール型フェノール樹脂水溶液、液状組成物、および硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】その硬化物が優れた耐熱性および耐水性を有する、フェノール樹脂水溶液を提供する。【解決手段】レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントと、を含むレゾール型フェノール樹脂;アミン;および水、を含む、レゾール型フェノール樹脂の水溶液。【選択図】なし

Description

本発明は、レゾール型フェノール樹脂水溶液およびこれを含む液状組成物、ならびに当該液状樹脂組成物の硬化物に関する。
フェノール樹脂は、その優れた耐熱性、接着性、機械的特性、電気的特性、価格優位性等を利用し各種基材の成型材料や摩擦材用結合剤、研削材用結合剤、木材用接着剤、積層材用結合剤、鋳型用結合剤、コーティング剤、エポキシ樹脂硬化剤用等として幅広く使用されている。フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂であり、触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を用いるアルカリ型レゾールフェノール樹脂、触媒としてアンモニアやアミン類を用いるアンモニアレゾール型フェノール樹脂、酸性触媒を用いるノボラック型フェノール樹脂が知られている。
近年、環境負荷軽減の観点や労働安全衛生的観点から、有機溶剤使用量を用いないか、または有機溶剤使用量の少ないフェノール樹脂材料が求められており、溶媒として水を用いた水溶性樹脂や水系分散剤を用いた水分散型樹脂として提供可能な水希釈性の高いレゾール樹脂が求められている。しかしながら、レゾール樹脂の水希釈性は、通常、レゾール樹脂の分子量が小さくなるにつれて向上するため、低分子量化により水希釈性を高めようとする場合、硬化物強度や耐熱性が低下してしまうという問題がある。また分子量化により水希釈性を高めようとする場合、フェノールとホルマリンとの重縮合反応において反応が十分に進行していない、またはフェノールに対してホルマリンを過剰に使用する必要から残存フェノールや、揮発性の残存ホルマリンが多くなり、環境負荷を増大させる場合があった。とりわけ、レゾール樹脂は、水性化が可能であるものの、自己硬化型の熱硬化性樹脂であるために高温下での蒸留ができず、未反応フェノール類、アルデヒド類、あるいは1核体成分などの残存モノマーが樹脂中に残存し易いものであった。
残存モノマー量の低減を図りながら、水希釈性を向上させる技術として、例えば、特許文献1では、フェノール類、ホルムアルデヒド、およびアセトンを、所定割合で混合し、塩基性触媒存在下で反応させることで水溶性レゾール型フェノール樹脂を得ることが記載されている。特許文献1では、得られるレゾール型フェノール樹脂の水希釈性を向上するためには、塩基性触媒としてアルカリ金属の水酸化物を用いることが好ましいことが記載されている。
また特許文献2には、レゾール型フェノール樹脂と、エチレングリコール等の沸点が110~300℃の溶剤と、水を含有し、pHが7~10である水溶性フェノール樹脂組成物を提供する技術が開示されている。
特許第5472711号公報 特許第5761464号公報
しかしながら、特許文献1の技術で得られたレゾール型フェノール樹脂は、水希釈性は向上されるものの、耐熱性が不十分であった。また特許文献1の技術で得られたレゾール型フェノール樹脂は、触媒として使用したアルカリ金属水酸化物に由来するアルカリ金属が生成物の樹脂中に存在するため、樹脂硬化物の耐水性が劣る場合があった。またこのようなレゾール型フェノール樹脂は、アルカリ金属の存在が不利となる電子部品などの分野には適用できなかった。
特許文献2の技術で得られたフェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂組成物の水溶性を確保するために、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水溶性有機溶剤を使用しているため、環境負荷低減の点で改善の余地があった。
本発明は上記課題を鑑みなされたものであり、優れた水希釈性と高い耐熱性および耐水性を両立し、かつ塩基性触媒由来の金属イオンを含まないフェノール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下に示す水溶液が提供される。
[1]レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントと、を含むレゾール型フェノール樹脂;
アミン;および
水、を含む、レゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[2]前記カルボキシ基を有するセグメントは、アミノ酸に由来するセグメントである、項目[1]に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[3]前記アミンは、第三級アミンを含む、項目[1]または[2]に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[4]前記レゾール型フェノール樹脂の水トレランスは、20倍以上である、項目[1]~[3]のいずれかに記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[5]前記レゾール型フェノール樹脂に含まれる遊離フェノール量は、1.0質量%以下である、項目[1]~[4]のいずれかに記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[6]前記レゾール型フェノール樹脂に含まれる遊離ホルムアルデヒド量は、1.0質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
[7]項目[1]~[6]のいずれかに記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液を含む、液状組成物。
[8]項目[7]に記載の液状組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、優れた水希釈性または水分散性と、高い耐熱性および耐水性を両立して有するレゾール型フェノール樹脂水溶液が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、「a以上b以下」を意味する。例えば、「5~90質量%」とは「5質量%以上90質量%以下」を意味する。
[レゾール型フェノール樹脂水溶液]
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂の水溶液(本明細書中、「レゾール型フェノール樹脂水溶液」または単に「水溶液」と称する)は、
レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントと、を含むレゾール型フェノール樹脂;
アミン;および
水、を含む。
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液において、この水溶液に含まれるレゾール型フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントとを含むフェノール樹脂である。このようなレゾール型フェノール樹脂は、硬化性に優れるとともに、得られる硬化物は優れた耐熱性と耐水性とを有する。
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液に含まれる、カルボキシ基含有セグメントを含むレゾール型フェノール樹脂(本明細書中、「カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂」と称する場合がある)は、当該水溶液に含まれるアミンとの相互作用により、カルボキシ基を有するセグメントにおけるカルボキシ基が中和されて、水溶性の油として存在する。よって、このようなカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、水中に溶解し、水溶液として提供され、有機溶剤を使用しないため、環境負荷が低減される。また本実施形態の水溶液は、金属水酸化物を含まない。そのため、金属水酸化物に起因する、当該樹脂組成物の硬化物の耐水性の不足といった問題が生じない。また分散剤としてエチレングリコール等の高沸点の成分を含まないため、作業性に優れる。
以下、本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液を構成する各成分について説明する。
(カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂)
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液に用いられるレゾール型フェノール樹脂は、水溶性であり、レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントと、を含む。レゾール型フェノール樹脂セグメントは、式(1)で表される構造を有するセグメントであり、フェノール類とアルデヒド類との縮合重合体に由来するセグメントである。
Figure 2024016502000001
式(1)において、
は、メチロール基(-CHOH)であり、
は、独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、または水酸基である。
を構成し得る炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状であってもよい。直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。環状のアルキル基としては、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
カルボキシ基を有するセグメントは、カルボキシ基(-COOH)を有する任意のセグメントであってよいが、好ましくは、式(2)で表される、アミノ酸に由来するセグメントである。
Figure 2024016502000002
式(2)において、Rは、置換もしくは無置換の、直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の炭素数1~10の炭化水素基、またはN、O、S、Seの1種以上を含有してもよい有機基である。
*は、結合を表し、好ましくは、式(1)で表されるセグメントと結合している。
式(1)で表されるセグメントおよび式(2)で表されるセグメントが有する構造は、以下で詳述するカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂の製造において用いる原料モノマーの種類を選択することにより、または製造条件を選択することにより、制御することができる。
一実施形態において、カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、上記式(2)で表されるカルボキシ基を有するセグメントの割合が、カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂全体(レゾール型フェノール樹脂セグメント(1)とカルボキシ基を有するセグメント(2)との合計量)に対して5~90モル%である構造を有する。カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂中の、式(2)で表されるカルボキシ基を有するセグメントの割合の上限値は、好ましくは、90モル%以下であり、より好ましくは、70モル%以下であり、さらにより好ましくは、50モル%以下である。カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂中の、式(2)で表されるカルボキシ基を有するセグメントの割合の下限値は、1モル%以上であり、より好ましくは、5モル%以上であり、さらにより好ましくは、10モル%以上である。式(2)で表されるカルボキシ基を有するセグメントの割合が上記範囲であるカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、水溶性であり、かつその硬化物は耐水性に優れる。カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂中の式(2)で表されるカルボキシ基を有するセグメントの割合は、以下で説明するカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂の製造において、使用する原料の配合割合を調整することにより、または製造条件を調整することにより、調整することができる。
本実施形態の水溶液に用いられるカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で反応させてレゾール型のフェノール樹脂を得る工程(工程Ia)、および工程Iaで得られたレゾール型フェノール樹脂とアミノ酸とを反応させて、レゾール型フェノール樹脂セグメントとカルボキシ基を有するセグメントとを含む目的のカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を得る工程(工程IIa)により製造することができる。工程Iaと工程IIaは、この順で行ってもよいし、工程Iと工程IIとを同時に、換言すると、フェノール類、アルデヒド類、およびアミノ酸を、塩基性触媒の存在下で反応させて目的のカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を製造してもよい。
カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を製造するために使用できるフェノール類、すなわち、上記工程Iaで用いられるフェノール類としては、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p-tert-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p-フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1-ナフトール、2-ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。これらは、単独でかまたは2種以上混合して使用できる。中でも、製造コストの観点から、フェノールを使用することが好ましい。
カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を製造するために使用できるアルデヒド類、すなわち、上記工程Iaで用いられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらのアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を製造するために使用できるアミノ酸としては、公知のアミノ酸を使用できる。中でも、取扱い性が良好である観点から、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、バリン、およびフェニルアラニンを用いることが好ましい。中でも特に、入手容易性の観点から、グリシンおよびアラニンを用いることが好ましい。
カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を製造するために使用できる塩基性触媒、すなわち、上記工程Iaで用いられる塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
工程Iaで用いた塩基性触媒は、反応生成物中に存在することになる。塩基性触媒として水酸化ナトリウム等の金属水酸化物を用いた場合、フェノール樹脂の硬化物中に金属水酸化物が残留し、これは硬化物の耐水性の低下をもたらす。したがって、工程Iaで使用する塩基性触媒は、非金属触媒であるアミン類であることが好ましい。
工程Iaにおけるフェノール類とアルデヒド類との反応において、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)は、例えば、1.0以上であり、好ましくは1.1~2.5、より好ましくは1.2~2.3となるような比率で、反応釜に仕込み、さらに重合化触媒としての上述の塩基性触媒を添加して、適当な時間還流を行うことにより得られる。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(F/P)が上記範囲である条件下で、反応を行うことにより、ゲル化が抑制されて、所望の重量平均分子量を有するレゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
工程Iaにおけるレゾール型フェノール樹脂の製造において、フェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で反応させる工程は、例えば、50℃~120℃の温度下、好ましくは60℃~100℃の温度下で、例えば、10分間~180分間の反応時間で実施されることが好ましい。これにより、効率よく反応を十分に進めることができる。また加熱下で実施することにより、出発物質が均一に混合され、分子間の絡み合いや分子間の作用により、得られるレゾール型フェノール樹脂の分子量の均一化を図ることができる。なお、反応時間は、特に制限はなく、出発原料の種類、配合モル比、触媒の使用量及び種類、反応条件に応じて適宜決定すればよい。
工程IIaにおける、レゾール型フェノール樹脂とアミノ酸との反応は、工程Iaで得られたレゾール型フェノール樹脂を含む反応混合物に、所定量のアミノ酸を添加し、例えば、30℃~120℃の温度下、好ましくは40℃~90℃の温度下で、例えば、10分間~100分間の反応時間で実施されることが好ましい。これにより、目的の反応生成物である、レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントとを含む、カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を得ることができる。
工程Iaおよび工程IIaのカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、アルコール類、ケトン類、芳香族類等が挙げられる。またアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。芳香族類の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
工程Iaおよび工程IIaを経て得られたカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、100~2,000であり、好ましくは、120~1,500であり、より好ましくは、150~1,000であり、さらにより好ましくは、350~550である。
工程Iaおよび工程IIaを経て得られたカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、未反応の遊離フェノール類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。また工程Iaおよび工程IIaを経て得られたカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、未反応の遊離アルデヒド類の含有量が、1.0質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下、より好ましくは、0.6質量%以下まで低減されている。
工程Iaおよび工程IIaを経て得られたカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は、水溶性であり、具体的には、少なくとも20倍の水トレランスを有する。
(アミン)
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液はアミンを含む。水溶液中で、アミンは、上述のレゾール型フェノール樹脂のカルボキシ基と相互作用し、これによりカルボキシ基が中和されて、カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂は水溶性の油として存在する。
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液に用いられるアミンとしては、カルボキシ基を有するレゾール型フェノール樹脂を中和するのに適切な塩基性を有するとともに、水溶性である第三級アミンが好ましい。このような第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、キヌクリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノール、N-ジエチルアミノエタノール、ピリジン、2,6-ルチジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。中でも、適度な塩基性を有し、水溶性であり、さらに入手容易であることから、N-ジメチルアミノエタノールを用いることが好ましい。
(レゾール型フェノール樹脂水溶液の製造方法)
本実施形態の、上述のカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂とアミンとを含む水溶液は、(1)上記工程Iaにおいて塩基性触媒としてアミン以外の化合物を使用した場合、工程IIaで得られたカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂と上述のアミンとを、水中で混合することにより、(2)上記工程Iaにおいて塩基性触媒としてアミン触媒を使用した場合、工程IIaで得られたアミン触媒が残存する反応混合物をそのまま使用することにより、または(3)上記工程Iaにおいて塩基性触媒としてアミン触媒を使用した場合、工程IIaで得られたアミン触媒が残存する反応混合物にさらにアミンを添加することにより、製造することができる。
水溶液中、カルボキシ基を有するレゾール型フェノール樹脂は、得られる水溶液の固形分量が10~90質量%となる量で配合することができる。固形分量は、用いる水の量を調整することにより変更することができ、水溶液の用途に応じて所望の範囲に調整することができる。アミンの配合量は、カルボキシ基に対して、例えば10~80モル%であり、好ましくは、20~70モル%である。このような配合量でカルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂とアミンとを含む水溶液は、取扱い性に優れるとともに、これを硬化して得られる硬化物の機械的強度が優れる。
本実施形態の水溶液には、その用途に応じ、さらに添加剤を配合してもよい。用いることができる添加剤としては、チキソ剤、増粘剤、分散剤、硬化促進剤、凍結防止剤等が挙げられる。
(用途)
本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液は、例えば、摩擦材用接着剤、研削材用接着剤、木材用接着剤、積層材用接着剤、鋳型用接着剤として使用することができる。
例えば、本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液を摩擦材用接着剤として使用する場合、本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液を、湿式摩擦板用の金属基材に塗布する。塗布方法としては、スプレー塗布法、ロールコータ法等を使用することができる。次いで、塗布したレゾール型フェノール樹脂水溶液を、例えば、100℃で20分の条件で加熱して、溶剤である水を乾燥除去する。その後、この金属基材上の、乾燥後の樹脂層の側に、湿式摩擦板用の摩擦板を配置し、例えば、150℃の温度で、加熱加圧する。加熱加圧後に、例えば、200℃の温度で焼成し、カルボキシ基含有レゾール型フェノール樹脂を完全硬化させる。これにより、金属基材と摩擦板とが強固に接着された湿式摩擦板を製造することができる。本実施形態のレゾール型フェノール樹脂水溶液は、有機溶剤を含まないため、加熱乾燥時に有機溶剤の揮発が生じない。そのため、環境負荷が小さい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[フェノール樹脂を含む樹脂組成物の調製]
(実施例1:樹脂組成物1の調製)
4つ口フラスコにフェノール1000重量部、37%ホルムアルデヒド水溶液1380重量部(ホルムアルデヒド/フェノールモル比=1.6)、ジメチルアミノエタノール200重量部(カルボキシ基に対して42モル%)を仕込み、90℃に昇温して2時間反応させることでレゾール型フェノール樹脂セグメントを合成した。ここにグリシン400重量部を添加し、さらに60分反応させた後、水750重量部で希釈することで、カルボキシ基を有するセグメントが50モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂1を含む水溶液を樹脂組成物1として得た。フェノール樹脂1の重量平均分子量は450であり、樹脂組成物1の固形分は50%であった。
(実施例2:樹脂組成物2の調製)
レゾール型フェノール樹脂の合成触媒をジメチルアミノエタノール200重量部から、50%水酸化ナトリウム水溶液10重量部とジメチルアミノエタノール100重量部(カルボキシ基に対して42モル%)の混合触媒系に変更し、グリシンの添加量を200重量部、水の添加量を550部とした以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基を有するセグメントが25モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂2を含む水溶液を樹脂組成物2として得た。フェノール樹脂2の重量平均分子量は400であり、樹脂組成物2の固形分は50%であった。
(実施例3:樹脂組成物3の調製)
レゾール型フェノール樹脂の合成触媒をジメチルアミノエタノール200重量部から、50%水酸化ナトリウム水溶液20重量部とジメチルアミノエタノール40重量部(カルボキシ基に対して42モル%)の混合触媒系に変更し、グリシンの添加量を80重量部、水の添加量を450部とした以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基を有するセグメントが10モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂3を含む水溶液を樹脂組成物3として得た。フェノール樹脂3の重量平均分子量は360であり、樹脂組成物3の固形分は50%であった。
(実施例4:樹脂組成物4の調製)
グリシンをアラニン475重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基を有するセグメントが50モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂4を含む水溶液を樹脂組成物4として得た。フェノール樹脂4の重量平均分子量は510であり、樹脂組成物4の固形分は50%であった。
(実施例5:樹脂組成物5の調製)
37%ホルムアルデヒド水溶液を1897部(ホルムアルデヒド/フェノールモル比=2.2)に変更した以外は実施例1と同様にして、カルボキシ基を有するセグメントが50モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂5を含む水溶液を樹脂組成物5として得た。フェノール樹脂5の重量平均分子量は520であり、樹脂組成物5の固形分は50%であった。
(実施例6:樹脂組成物6の調製)
レゾール型フェノール樹脂の合成触媒をジメチルアミノエタノールからトリエタノールアミン334重量部(カルボキシ基に対して42モル%)に変更した以外は実施例1と同様に反応し、カルボキシ基を有するセグメントが50モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂を合成した。フェノール樹脂6の重量平均分子量は420であり、樹脂組成物6の固形分は50%であった。
(実施例7:樹脂組成物7の調製)
レゾール型フェノール樹脂の合成触媒をジメチルアミノエタノール200重量部から、50%水酸化ナトリウム水溶液20重量部とジメチルアミノエタノール100重量部(カルボキシ基に対して21モル%)の混合触媒系に変更した以外は実施例1と同様にして、カルボキシ基を有するセグメントが50モル%であるカルボキシ変性レゾール型フェノール樹脂7を含む水溶液を樹脂組成物7として得た。フェノール樹脂7の重量平均分子量は400であり、樹脂組成物7の固形分は50%であった。
(比較例1:樹脂組成物8の調製)
4つ口フラスコにフェノール1000重量部、37%ホルムアルデヒド水溶液1380重量部(ホルムアルデヒド/フェノールモル比=1.6)、ジメチルアミノエタノール200重量部を仕込み、90℃に昇温して2時間反応させた後、水350重量部を添加することでカルボキシ基含有セグメントを有さない未変性のレゾール型フェノール樹脂8を含む水溶液を樹脂組成物8として得た。フェノール樹脂8の重量平均分子量は320であり、樹脂組成物8の固形分は50%であった。
(比較例2:樹脂組成物9の調製)
4つ口フラスコにフェノール1000重量部、37%ホルムアルデヒド水溶液1380重量部(ホルムアルデヒド/フェノールモル比=1.6)、50%水酸化ナトリウム水溶液150重量部を仕込み、90℃に昇温して1時間反応させた後、水350重量部を添加することでカルボキシ基含有セグメントを有さない未変性のレゾール型フェノール樹脂9を含む水溶液を樹脂組成物9として得た。フェノール樹脂9の重量平均分子量は450であり、樹脂組成物9の固形分は50%であった。
[樹脂組成物の硬化物の物性評価]
上記実施例で得られた樹脂組成物の硬化物について、以下の物性を測定した。
(硬化物の作製)
得られた樹脂組成物を固形分が10%になるように水で希釈し、120mm×10mm×厚さ1mmのろ紙に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、樹脂含浸紙を試験片として得た。レゾール型のフェノール樹脂(実施例4)はそのまま、ノボラック型のフェノール樹脂(実施例1~3、および5)は硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを5phr添加して使用した。
(耐水性評価)
この樹脂含浸紙について、硬化後と、80℃水中に24時間浸漬後で、引張強度を測定し、強度の低下率=水中浸漬後強度/硬化後強度(%)を測定することで耐水性を評価した。強度の低下率(%)の値が大きいほど、耐水性が高いことを意味する。
(柔軟性評価)
硬化後の含浸紙の引張破断伸び(%)を測定し、柔軟性を評価した。引張破断伸び(%)の値が大きいほど、柔軟性が高いことを意味する。
Figure 2024016502000003
比較例1の樹脂組成物8は、水トレランスが低く、残存する遊離フェノール含有量および遊離ホルムアルデヒド含有量が高かった。比較例2の樹脂組成物9は、硬化物の耐水性と柔軟性が劣っていた。
実施例の樹脂組成物は、水トレランスが高く、遊離フェノール含有量および遊離ホルムアルデヒド含有量がともに低減されていた。また実施例の樹脂組成物の硬化物は、優れた耐水性と柔軟性とを有していた。

Claims (8)

  1. レゾール型フェノール樹脂セグメントと、カルボキシ基を有するセグメントと、を含むレゾール型フェノール樹脂;
    アミン;および
    水、を含む、レゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  2. 前記カルボキシ基を有するセグメントは、アミノ酸に由来するセグメントである、請求項1に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  3. 前記アミンは、第三級アミンを含む、請求項1に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  4. 前記レゾール型フェノール樹脂の水トレランスは、20倍以上である、請求項1に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  5. 前記レゾール型フェノール樹脂に含まれる遊離フェノール量は、1.0質量%以下である、請求項1に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  6. 前記レゾール型フェノール樹脂に含まれる遊離ホルムアルデヒド量は、1.0質量%以下である、請求項1に記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のレゾール型フェノール樹脂の水溶液を含む、液状組成物。
  8. 請求項7に記載の液状組成物を硬化してなる硬化物。
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